JP4792903B2 - 半導体ウエーハの製造方法及び半導体インゴットの切断位置決定システム - Google Patents
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Description
また、N領域の半導体ウエーハを製造する場合に限らず、半導体ウエーハにスライスする前に規格が外れた部分を除外して所望の品質の半導体ウエーハを確実に得ることは極めて困難であった。
スリップ転位が生じたインゴットでは、転位が生じている部分から製品となる半導体ウエーハを得ることはできないため、予め無転位である部分を対象として切断位置を決定すれば、無転位のブロックだけを得ることができ、所望の品質の半導体ウエーハを確実に製造することができる。
このようにブロックの両端から切り出したサンプルの品質が最終的に規格範囲内であることを確認した上でブロックをスライスして半導体ウエーハにすれば、所望の品質の半導体ウエーハをより確実に製造することができる。特に、本発明では少なくともインゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る操業データが目標値から外れた位置を切断し、品質が最も規格から外れている可能性が高い位置から切り出したサンプルの測定をするので、より確実に品質保証ができることとなる。
特に、CZ法における半導体インゴットの直径の変動や引上げ速度の変動は特にグローンイン欠陥の発生に大きく影響するため、各ブロックの両端から切り出したサンプルにより所望の結晶欠陥領域を有することを確認した後、これをスライスすれば、所望の結晶欠陥領域を有する半導体ウエーハを確実に製造することができる。
さらに、この切断位置決定システムを用いれば、例えばグローンイン欠陥が発生しやすい位置を正確に、かつ、容易に判断し、この切断位置情報を確実にインゴット切断機に伝達することができるので、切断位置の判断ミスや情報伝達ミスによる不良発生やリードタイムロスを確実に防止することができる。
さらに、作業者の違いや経験不足による切断位置の判断ミスや情報伝達ミス等の人為的なミスを防ぎ、不良発生やリードタイムロスを確実に防止することができる。
図1は、本発明に係る半導体インゴット切断位置決定システムの構成の一例(図1(A))とともに、この切断位置決定システム10を用いて半導体インゴットを切断するフロー(図1(B))を示している。この切断位置決定システム10は、主に、操業データ取り込み手段11と、切断位置決定手段13と、切断位置情報送信手段15とから構成されている。なお、これらの各手段は、例えば少なくとも1台のコンピュータ14とプログラムによって構成することができる。
まず、シリコン単結晶インゴットを育成する前に、育成すべきインゴットの長さ、直径、抵抗率、ブロック長さ規格等を考慮して、予め切断位置(初期切断位置)を設定しておく(S1)。
育成中、引上げ機9に具備されるコンピュータによりインゴットの成長軸に沿って直径及び引上げ速度をモニターし、シリコン単結晶インゴットを育成した後、データ取り込み手段11により、インゴットの成長軸に沿った直径及び引上げ速度に係る目標値(設定値)、並びに操業中の実際のインゴットの直径及び引上げ速度に係る操業データをコンピュータ14(データベース12)に自動的に取り込む。
そして、予め設定した切断位置のほか、直径及び引上げ速度に係る操業データと目標値との差等に基づきインゴットの切断位置を調整する(S4)。このとき、インゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る操業データと目標値との差が所定の値以上となった場合は少なくとも当該所定の値以上となった位置で切断するように切断位置を決定する(S5)。
一方、インゴットの全長にわたって操業データと目標値との差が所定の値より小さければ、予め設定していた位置をそのまま切断位置と決定すればよい。
上記のようにインゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る操業データを解析し、それらの操業データと目標値との差に基づいて切断位置を決定し、さらに決定された切断位置の情報を切断機に送信するまでの一連の作業は、切断位置決定システム10により自動的に行うことができる。従って、操業データ等の取り込みから切断位置の決定まで短時間で済み、作業者の負担にならない上、作業者の人為的ミスや経験不足により、切断位置を誤ったり、不適切な位置を切断位置としてしまうことを防ぐことができる。
前記のように切断位置を決定した上でインゴットを切断し、例えば両端においてインゴットの直径または引上げ速度が所定の値以上となった位置で切断して得られたブロックは、両端でグローンイン欠陥密度が高い値となる。従って、両端のグローンイン欠陥密度が規格範囲内であれば、このブロックを内周刃、ワイヤーソー等のスライシング装置に投入してスライスすることにより、グローンイン欠陥密度が規格内にあるシリコンウエーハを確実に製造することができる。
また、このようにブロックの両端から切り出したサンプルによってグローンイン欠陥の密度が規格範囲内となったことを確認した上でスライス工程に回せば、グローンイン欠陥密度の規格が外れている部分を含むブロックをスライスし、その後の工程に流すといった無駄な工程を無くすことができる。
(実施例1)
<インゴットの育成>
口径24インチの石英ルツボに155kgのシリコン多結晶をチャージし、抵抗率8.5〜11.5Ωcm、酸素濃度9.1〜12.1ppma(JEIDA)を狙って、直径200mm、直胴長さ1300mmのシリコン単結晶インゴットを結晶径方向全面がN領域となるように引上げ速度を制御して育成した。
このインゴットを、肩部から0mm、150mm、600mm、990mm、1300mmの位置で切断して4つのブロックに分かれるように切断位置を予め設定した。一方、実際の引上げ速度が設定した引上げ速度に対して0.01mm/min以上、またはシリコン単結晶育成中に検出された直径が平均直径に対して1.2mm以上変動した場合、その位置を切断位置とすることとした。
上記のように決定した切断位置でインゴットを切断し、4つのブロックに分割した。各ブロックの両端からスラブサンプルを切り出し、OSF密度及びLEPを測定した。OSF密度は、切り出したスラブサンプルを4分割した1/4サンプルを1000℃、3時間+1150℃、100分の熱処理を施したのち、ライト(Wright)液でエッチング処理し、中心(C)、中心から50mm(R/2)、周辺から10mm(E)の各位置で測定した。また、LEPは切り出したスラブサンプルの別の1/4サンプルにセコ(Secco)エッチングを30分行ってから測定した。
その結果、図3に示されるように、いずれもOSF及びLEPが観察されなかった。このように、OSFが観察されず、LEPも存在しないということは、サンプル全面がN領域であることを示している。なお、図中のResは抵抗値を表し、Csは炭素濃度である。
<インゴットの育成>
実施例1と同じ条件でシリコン単結晶インゴットを育成した。このインゴットを肩部から20mm、150mm、550mm、990mm、1300mmの位置で切断して4つのブロックに分かれるように切断位置を予め設定した。一方、実際の引上げ速度が、設定した引上げ速度に対して0.01mm/min以上、またはシリコン単結晶育成中に検出された直径が平均直径に対して1.2mm以上変動した場合、その位置を切断位置とすることとした。
図4に示すように直胴652mmの位置で引上げ速度が設定した速度より0.01mm/min以上変動したため、この位置を切断位置とするとともに、インゴットを切断して得られるブロックが所定の長さの範囲内となるように予め設定していた切断位置の一部を変更した。その結果、肩部から20mm、150mm、401mm、652mm、996mm、1340mmを切断位置と決定した。
上記のように決定した切断位置でインゴットを切断し、5つのブロックに分割した。各ブロックの両端からスラブサンプルを切り出し、OSF密度及びLEPを測定した。その結果、図5に見られるように直胴652cmの位置でOSF(R/2で48個/cm2)及びLEPが観察された。そこで、LEPが観察された切断位置の前後、すなわち3番目のブロックのテール側及び4番目のブロックのトップ側を切り込み、切り込んだ各ブロックの端からさらにスラブサンプルを切り出して、OSF密度とLEPについて再測定した。その結果、図5に示されるように、いずれもOSF及びLEPが観察されなかった。
実施例1と同じ条件で100本のシリコン単結晶インゴットを育成した。各インゴットについて本発明に係る切断位置決定システムにより切断位置を決定し、その切断位置でインゴットを切断してブロックを得た後、スライス工程に送り、シリコンウエーハを製造した。
従来、切断忘れ、切断位置の間違い等により、ブロック長さが規格より短くなって廃棄するロスや、規格より長くなって再切断する工程ロスは、0.05件/本程度発生していたが、本発明に係る切断位置決定システムを用いることでそのようなロスは全く生じなかった。
また、従来、平均ブロック数は5ブロック/インゴットであったが、本発明に係る切断位置決定システムを用いることで平均4.5ブロック/インゴットに減少した。これによりブロック切断工程及びスラブサンプルの検査工程の負担が軽減した。さらに、従来特定の熟練した作業者しかインゴットの切断位置を決定することができなかったため、この作業者が不在の場合はインゴットの切断位置が決定されないまま放置される場合があったが、本発明に係る切断位置決定システムを用いることで、このようなリードタイムのロスがなくなった。その結果、シリコン単結晶の製造終了からスラブサンプルの検査が終了し、スライス工程に投入するまでのリードタイムが5%短縮した。
10…半導体インゴット切断位置決定システム
11…操業データ取り込み手段
12…データベース
13…切断位置決定手段
14…コンピュータ
15…切断位置情報送信手段
16…インゴット切断機
Claims (9)
- チョクラルスキー法により半導体インゴットを育成し、該インゴットから半導体ウエーハを製造する方法において、前記半導体インゴットの成長軸に沿って該インゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る操業データをコンピュータに取り込み、前記インゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る前記操業データと目標値との差が所定の値以上となった場合は少なくとも当該所定の値以上となった位置で切断するように切断位置を決定し、前記インゴットの直径及び引上げ速度に係る前記操業データと目標値との差が所定の値未満となった場合はブロック数が最小になるように切断位置を決定し、少なくとも前記切断位置において成長軸に垂直な方向に前記インゴットを切断してブロックに分け、該ブロックをスライスして半導体ウエーハにすることを特徴とする半導体ウエーハの製造方法。
- 前記半導体インゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る前記操業データと目標値との差が所定の値以上となった場合、該所定の値以上となった位置のほか、該インゴットを切断して得られるブロックが所定の長さの範囲内となるように調整した位置及び/又は予め設定した位置で切断するように切断位置を決定し、前記半導体インゴットの直径及び引上げ速度に係る前記操業データと目標値との差が所定の値未満となった場合、ブロックが所定の長さの範囲内で等分となるように調整した位置で切断位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記半導体インゴットの無転位である部分について前記切断位置を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記半導体インゴットを切断して得たブロックの両端からサンプルを切り出し、各サンプルの品質を測定し、該ブロックの両端から切り出されたサンプルの品質が規格範囲内であることを確認した後、該ブロックをスライスして半導体ウエーハにすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記半導体インゴットを切断して得たブロックの両端からサンプルを切り出し、各サンプルの品質を測定し、少なくとも一方のサンプルの品質が規格範囲外であれば、該規格範囲外のサンプルが切り出された側の端から再度サンプルを切り出して品質の測定を繰り返し行い、該ブロックの両端から切り出されたサンプルの品質が規格範囲内であることを確認した後、該ブロックをスライスして半導体ウエーハにすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記測定するサンプルの品質として、グローンイン欠陥について測定することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の半導体ウエーハの製造方法。
- 前記半導体インゴットをN領域となるように育成し、該半導体インゴットを切断して得たブロックの両端から切り出したサンプルがN領域であることを確認した後、該ブロックをスライスして半導体ウエーハにすることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の半導体ウエーハの製造方法。
- チョクラルスキー法により育成した半導体インゴットを切断してブロックに分ける際、前記半導体インゴットの切断位置を決定するシステムであって、少なくとも、前記半導体インゴットの成長軸に沿って該インゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る操業データをコンピュータに取り込む手段と、前記インゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る前記操業データと目標値との差が所定の値以上となった場合は少なくとも当該所定の値以上となった位置で切断するように切断位置を決定する手段と、該切断位置の情報を前記半導体インゴットを切断するための切断機に送る手段とを具備することを特徴とする半導体インゴットの切断位置決定システム。
- 前記切断位置を決定する手段が、前記半導体インゴットの直径及び/又は引上げ速度に係る前記操業データと目標値との差が所定の値以上となった場合、該所定の値以上となった位置のほか、該インゴットを切断して得られるブロックが所定の長さの範囲内となるように調整した位置及び/又は予め設定した位置で切断するように切断位置を決定するものであることを特徴とする請求項8に記載の半導体インゴットの切断位置決定システム。
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