JP7237758B2 - ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
この種のガスセンサとして、板状のセンサ素子の後端側外表面に複数の電極パッドを設け、この電極パッドのそれぞれに端子金具を電気的に接触させてセンサ素子からのセンサ出力信号を外部に取り出したり、センサ素子に積層されたヒータに給電するものが広く用いられている(特許文献1)。
このガスセンサでは、セラミック製筒状のセパレータがセンサ素子の後端側を囲むと共に端子金具を保持している。そして、図13(a)に示すように、セパレータは、セラミック粉末をセパレータ形状に成形して未焼成セパレータ1000xを作製し、未焼成セパレータ1000xの下面を焼成基台(セッタ)120の上に載置して焼成して製造されている。
そこで、本発明は、端子金具を保持するセラミック製のセパレータの寸法精度を向上させることができるガスセンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
従って、第1領域と第2領域に凹部領域を設けることで、焼成の際に第1領域と第2領域の収縮を妨害せず、第1領域と第2領域の寸法精度が向上する。
そして、S2/S1≧0.5の関係を満たすことで、第1領域と第2領域の合計面積の1/2以上の領域が凹部となるので、第1領域と第2領域と焼成基台との間の摩擦力を確実に小さくし、第1領域と第2領域の寸法精度を確実に向上させることができる。
素子孔は、そもそも貫通孔であり、素子孔自体は焼成時に収縮せず、素子孔の径方向外側に位置する凹部領域が収縮する。そこで、S4/S1≧0.5の関係を満たすことで、第1領域と第2領域の合計面積の1/2以上の領域が、収縮に関与する凹部領域となるので、第1領域と第2領域の寸法精度をさらに確実に向上させることができる。
セパレータの外周に近いほど、焼成時の収縮量が多いため、凹部領域がセパレータの外周に繋がっていると、セパレータと焼成基台との間の摩擦力をさらに小さくし、第1領域と第2領域の寸法精度をさらに確実に向上させることができる。
このガスセンサによれば、未焼成セパレータを焼成基台上に載置して焼成する際、未焼成セパレータの先後の向きを考慮しなくてよいので、生産性が向上する。
このガスセンサによれば、未焼成セパレータの端面も、水平面をなす焼成基台の上に自立するので、焼成時に未焼成セパレータの転倒防止の支持をする必要がなく、生産性が向上する。
図1は本発明の実施形態に係るガスセンサ(酸素センサ)1の軸線O方向に沿う全体断面図、図2はセンサ素子10の斜視図、図3は先端側セパレータ90の斜視図、図4は先端側端子金具30を先端側セパレータ90に保持する工程図、図5は図4のA-A線に沿う断面で、先端側セパレータ90と後端側セパレータ95の組み付けを示す工程図、を示す。
このガスセンサ1は、自動車や各種内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサである。
又、後述するように、後端側セパレータ95は、先端側セパレータ90の後端側に接して配置され、互いに接続されている。
先端側端子金具30と、後端側端子金具40とはそれぞれ先端側と後端側に配置されて互いに接続されている。先端側セパレータ90、先端側端子金具30がそれぞれ「特許請求の範囲の「セパレータ」、「端子金具」に相当する。
各電極パッド11aは、例えばPtを主体とする焼結体として形成することができる。一方、センサ素子10の先端のガス検出部11は、アルミナ等の多孔質保護層14で覆われている。
また、セラミックスリーブ106と主体金具138の後端部140との間には、加締めパッキン157が配置されている。なお、主体金具138の後端部140は、加締めパッキン157を介してセラミックスリーブ106を先端側に押し付けるように、加締められている。
そして、外筒144の後端側(図1における上方)の開口部には、後端側セパレータ95から引き出された6本のリード線146(図1では2本のみを表示)が挿通されるリード線挿通孔170hが形成された、ゴム製のグロメット170が配置されている。
又、グロメット170と先端側セパレータ90の間に後端側セパレータ95が配置され、グロメット170の弾性力により後端側セパレータ95が先端側セパレータ90を先端側へ押圧する。これにより、鍔部90pが保持部材169側へ押し付けられ、先端側セパレータ90及び後端側セパレータ95は、外筒144の内部に互いに接続された状態で(つまり、軸線O方向に分離せずに)保持されている。
このようにして、素子孔90hがセンサ素子10の後端側を囲み、各溝部90cに保持された各先端側端子金具30が素子孔90hに臨んでセンサ素子10の後端側の外表面に対向し、センサ素子10の外表面に形成された電極パッド11a(図1参照)に直接接して電気的に接続する。
そして、先端側端子金具30が先端側セパレータ90内に保持された状態で、接続部33が先端側セパレータ90の後端側へ突出している(図4(b))。
先端側端子金具30及び後端側端子金具40は、例えば1枚の金属板(SUS304等)を打ち抜いた後、所定形状に折り曲げて製造することができるが、これに限定されない。
そして、後端側セパレータ95は周方向に並ぶ4個の挿通孔95hを有する円筒状をなし、この挿通孔に後端側端子金具40が挿通されて保持される(図5(a))。
このとき、後端側端子金具40の先端部43の先端側が後端側セパレータ95の先端向き面よりも突出している。
又、図5に示すように、後端側セパレータ95の先端向き面の外周側には、センサ素子10の幅方向に沿って突出する2つの凸部95pが形成されている。
そして、この状態で、軸線O方向に先端側セパレータ90の後端側に後端側セパレータ95を配置し、先端側セパレータ90の第2の凹部領域90r2に後端側セパレータ95の凸部95pを係合させ、図1の保持部材169とグロメット170との間に、先端側セパレータ90と後端側セパレータ95を挟んで保持することで、先端側セパレータ90と後端側セパレータ95とが互いに接続される(図5(b))。
又、このとき、先端側セパレータ90の後端側に突出した先端側端子金具30の断面C字の円筒状の接続部33に、後端側セパレータ95の先端側に突出した後端側端子金具40の先端部43が嵌挿され、両端子金具が電気的に接続されるようになっている。この場合、先端側端子金具30は後端側端子金具40を介してリード線146に間接的に接続されることとなる。
図3に示すように、後端側(特定方向)から見たとき、先端側セパレータ90は最も後端側に位置する4つの端面(凸面)90eと、端面90eよりも凹んだ第1の凹部領域90r1、第2の凹部領域90r2及び素子孔90hと、を有する。ここで、理解を助けるため、4つの端面90eをハッチング表示してある。
第1の凹部領域90r1は、センサ素子10の短辺方向に沿い、素子孔90hを跨いで合計2個形成されている。第2の凹部領域90r2は、第1の凹部領域90r1と交差するように、センサ素子10の長辺方向に沿い、素子孔90hを跨いで合計2個形成されている。
4つの端面90eは、それぞれ隣接する第1の凹部領域90r1と第2の凹部領域90r2と、素子孔90hとで囲まれた部位に形成されている。
第1の凹部領域90r1、第2の凹部領域90r2、及び素子孔90hが特許請求の範囲の「凹部領域」に相当する。
又、図7に示すように、SA領域からSB領域を除いた部位を第1領域R1とする。又、SC領域からSB領域を除き、かつ第1領域R1と重ならない部位を第2領域R2とする。
第1領域R1は、センサ素子10の短辺方向に沿い、センサ素子10を跨いで合計2個形成されている。第2領域R2は、第1領域R1と交差するように、センサ素子10の長辺方向に沿い、センサ素子10を跨いで合計2個形成されている。
具体的には、本例では、素子孔90hがセンサ素子10を囲むようにして、第1領域R1と第2領域の素子側に重なる。又、素子孔90hよりの径方向外側にて、2つの第1の凹部領域90r1が2つの第1領域R1をそれぞれ包含しつつ第1領域R1よりはみ出して形成され、2つの第2の凹部領域90r2が2つの第1領域R1とそれぞれ完全に重なっている。
又、第1の凹部領域90r1及び第2の凹部領域90r2の径方向内側が素子孔90hに連通(接続)している。
まず、セラミック粉末を成形して、図9に示す未焼成セパレータ90xを作製する。未焼成セパレータ90xは、焼成して先端側セパレータ90となり、その寸法は焼成後の先端側セパレータ90よりわずかに大きいが、実質的には相似形をなす。
ここで、未焼成セパレータ90xの各構成要素は、図9において、図3の先端側セパレータ90の各構成要素の符号の末尾に「x」を付記して図示され、焼成前後の各構成要素は対応しているので説明を省略する。例えば、先端側セパレータ90の端面90eと、未焼成セパレータ90xの端面90exとが対応する。
素子挿通予定領域SDは未焼成セパレータ90xを見ただけでは規定できないので、センサ素子10の短辺方向の向きを先端側セパレータ90に組付けた状態に揃え、センサ素子10の短辺方向の大きさをセパレータ90と未焼成セパレータ90xの大きさの比率に合わせて拡大した状態で、上記した後端側(特定方向)から見たとき、未焼成セパレータ90xの重心にセンサ素子10の重心を合わせたときのセンサ素子10の外縁とみなす。セパレータ90と未焼成セパレータ90xの大きさの違いは、公知のセラミックスの焼成時の収縮率から算出したり、同素材、同形状のセパレータを実際に同条件で焼成することで実験的に求めることができる。
例えば、セパレータの大きさが焼成前後で3/4に収縮する場合、素子挿通予定領域SDの大きさは、(焼成後の)センサ素子10の大きさの4/3に拡大した上で規定することになる。
ここで、未焼成セパレータ90xが焼成基台120と接する部分に、凹部領域(第1の凹部領域90r1、第2の凹部領域90r2及び素子孔90h)が存在することで、未焼成セパレータ90xの端面90eのみが焼成基台120と接し、焼成基台120との接触面積が低減する。このため、図8(b)に示すように、焼成の際に未焼成セパレータ90xと焼成基台120との間の摩擦力が小さくなるので、未焼成セパレータ90xの下面側の収縮を妨害せず、焼成後の先端側セパレータ90の上面と下面とが同様に収縮する。その結果、セパレータの上下の寸法(径)差が生じることを抑制してセパレータの寸法精度を向上させることができる。
従って、第1領域R1と第2領域R2に凹部領域を設けることで、焼成の際に第1領域R1と第2領域R2の収縮を妨害せず、第1領域R1と第2領域R2の寸法精度が向上する。
そして、S2/S1≧0.5の関係を満たすことで、第1領域R1と第2領域R2の合計面積の1/2以上の領域が凹部となるので、第1領域R1と第2領域R2と焼成基台120との間の摩擦力を確実に小さくし、第1領域R1と第2領域R2の寸法精度を確実に向上させることができる。
これに対し、例えばセンサ素子10を挟んで対向する2つの第1の凹部領域90r1xのみを設けた場合、図11に示すように、第1の凹部領域90r1xと交差する方向(図11の上下方向)には凹部が存在せず焼成基台120との接触面積が低減しない。このため、第1の凹部領域90r1xと交差する方向では焼成基台120との間に摩擦力Fが生じて収縮を妨害し、摩擦力が小さい第1の凹部領域90r1xの方向(図11の水平方向)との間で径方向に収縮度が異なって寸法(径)差が生じ、得られたセパレータの断面が不均一(楕円形)になってしまう。
一方、後端側セパレータ95は端子金具40を保持するが、端子金具40は端子金具30に接続されるものであって、センサ素子10の電極パッド11aに直接接しないので、特許請求の範囲の「セパレータ」に該当しない。
素子孔90hは、そもそも貫通孔であり、素子孔90h自体は焼成時に収縮せず、素子孔90hの径方向外側に位置する第1の凹部領域90r1と第2の凹部領域90r2とが収縮する。
そこで、S4/S1≧0.5の関係を満たすことで、第1領域R1と第2領域R2の合計面積の1/2以上の領域が、収縮に関与する第1の凹部領域90r1と第2の凹部領域90r2となるので、第1領域R1と第2領域R2の寸法精度をさらに確実に向上させることができる。
先端側セパレータ90の外周に近いほど、焼成時の収縮量が多いため、凹部領域が先端側セパレータ90の外周に繋がっていると、先端側セパレータ90と焼成基台120との間の摩擦力をさらに小さくし、第1領域R1と第2領域R2の寸法精度をさらに確実に向上させることができる。
又、先端側セパレータ90の端面90eを鉛直方向下向きにした状態で先端側セパレータ90を水平面上に載置した際に、端面90eのみが水平面に接触した状態で自立するとよい。
この場合、図8(a)に示すように、先端側セパレータ90とほぼ相似形の未焼成セパレータ90xの端面(下面)90exも、水平面をなす焼成基台120の上面に自立するので、焼成時に未焼成セパレータ90xの転倒防止の支持をする必要がなく、生産性が向上する。
又、有底の凹部領域としては、本実施例の第1の凹部領域90r1と第2の凹部領域90r2のように、素子孔90hの外縁に連通(接続)する態様に限らず、素子孔90hの径方向外側に分離して第1の凹部領域90r1と第2の凹部領域90r2が存在する(つまり素子孔90hと第1の凹部領域90r1と第2の凹部領域90r2との間にも端面90eが介在する)態様でもよい。
10 センサ素子
11a 電極パッド
30 端子金具(先端側端子金具)
90 セパレータ(先端側セパレータ)
90e、90ex 端面
90h、90hx 素子孔(凹部領域)
90r1、90r1x 第1の凹部領域(凹部領域)
90r2、90r1x 第2の凹部領域(凹部領域)
90x 未焼成セパレータ
R1 第1領域
R2 第2領域
O 軸線
LA 短辺
LB 長辺
Claims (6)
- 軸線方向に延び、該軸線方向に垂直に切断した際の断面形状が一対の長辺と一対の短辺とを有する略矩形状をなし、後端側の外表面に電極パッドを有するセンサ素子と、
前記電極パッドに直接接して電気的に接続する端子金具と、
前記センサ素子の後端側を囲んで前記軸線方向に貫通する素子孔を有し、前記端子金具を前記素子孔に臨ませて保持するセラミック製のセパレータと、を備え、
前記軸線方向に沿い、先端側又は後端側の一方である特定方向から見たとき、前記セパレータは最も前記特定方向側に位置する端面と、前記端面よりも凹み、前記素子孔を含む凹部領域とを有するガスセンサであって、
前記ガスセンサを前記特定方向から見たとき、前記一対の短辺を仮想的に延長した短辺仮想線と前記セパレータの外縁とによって画定されるSA領域から、前記センサ素子の占めるSB領域を除いた一対の第1領域と、前記一対の長辺を仮想的に延長した長辺仮想線と前記セパレータの外縁とによって画定されるSC領域から、前記SB領域を除き、かつ前記第1領域と重ならない一対の第2領域と、が存在し、
前記凹部領域は、前記センサ素子を挟む合計4つの前記第1領域と前記第2領域のすべてに存在し、かつ、
前記第1領域と前記第2領域の合計面積をS1とし、
前記素子孔を含む前記凹部領域の合計面積をS2としたとき、
S2/S1≧0.5の関係を満たすことを特徴とするガスセンサ。 - 前記凹部領域のうち、前記素子孔の面積S3を除いた面積S4に対し、
S4/S1≧0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のガスセンサ。 - 前記凹部領域は、前記セパレータの外周に繋がっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスセンサ。
- 前記凹部領域は、前記セパレータを先端側及び後端側の両方向から見たときに、それぞれ設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のガスセンサ。
- 前記端面を鉛直方向下向きにした状態で前記セパレータを水平面上に載置した際に、前記端面のみが前記水平面に接触した状態で自立することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のガスセンサ。
- 軸線方向に延び、該軸線方向に垂直に切断した際の断面形状が一対の長辺と一対の短辺とを有する略矩形状をなし、後端側の外表面に電極パッドを有するセンサ素子と、
前記電極パッドに直接接して電気的に接続する端子金具と、
前記センサ素子の後端側を囲んで前記軸線方向に貫通する素子孔を有し、前記端子金具を前記素子孔に臨ませて保持するセラミック製のセパレータと、を備え、
前記軸線方向に沿い、先端側又は後端側の一方である特定方向から見たとき、前記セパレータは最も前記特定方向側に位置する端面と、前記端面よりも凹み、前記素子孔を含む凹部領域とを有するガスセンサの製造方法であって、
未焼成セパレータを前記特定方向から見たとき、前記センサ素子を挿通する素子挿通予定領域をSDとし、前記SDにおける一対の短辺を仮想的に延長した短辺仮想線と前記未焼成セパレータの外縁とによって画定されるSA領域から、前記SDを除いた一対の第1領域と、前記SDにおける一対の長辺を仮想的に延長した長辺仮想線と前記未焼成セパレータの外縁とによって画定されるSC領域から、前記SDを除き、かつ前記第1領域と重ならない一対の第2領域と、が存在し、
前記凹部領域は、前記センサ素子を挟む合計4つの前記第1領域と前記第2領域のすべてに存在し、かつ、
前記第1領域と前記第2領域の合計面積をS1とし、
前記未焼成セパレータの素子孔を含む前記凹部領域の合計面積をS2としたとき、
S2/S1≧0.5の関係を満たすようにし、
前記端面が焼成基台に向くようにして、前記未焼成セパレータを前記焼成基台の上に載置して焼成し、前記セパレータを得ることを特徴とするガスセンサの製造方法。
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