JP7237283B2 - 焼成物解砕装置 - Google Patents

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Description

本発明は、焼成物解砕装置に関する。
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコン等の携帯型電子機器に広く用いられている。かかるリチウムイオン二次電池用の正極活物質には、LiCoO、LiNiO、LiNi0.8Co0.2、LiMn等のリチウムと遷移金属等との複合酸化物が用いられている。
このリチウムイオン二次電池正極活性物は、原料となる水酸化リチウムと酸化ニッケルを混合して混合物を調製し、この混合物を匣鉢に収容した状態で焼成することにより得られる。しかし、混合物を匣鉢に収容した状態で焼成すると、この焼成物は硬く焼結した塊となるので、リチウムイオン二次電池正極活性物質とするためには、この焼成物を粉砕(解砕)して粒径約数十μm程度の微粉にする必要がある。
焼成物を直接微粉まで解砕することは難しいため、通常は、ロールクラッシャー等の装置によって焼成物をある程度の大きさの塊にまで解砕したのち、ピンミル等の装置によってさらに細かく粉砕される。
ところが、ロールクラッシャーに投入される焼成物の塊が大き過ぎると、ロールクラッシャーの投入口付近において塊が目詰まりを起こし、投入口に塊が滞留してロールクラッシャーに塊が投入されない状態となる。このため、ロールクラッシャーに塊を投入する前に、塊を適当な大きさにまで解砕する処理を行う必要がある。
焼成物を破砕する方法として、特許文献1、2に記載された技術がある。
特許文献1には、1.5~3.0mm程度の厚さに形成された薄い板状の成形体に複数本の針状の突起物を押し付けて粉砕する技術が開示されている。
特許文献2には、匣鉢に収容されている焼成ケーキにたがねを突き刺すことによって、焼成ケーキを匣鉢から分離して破砕する技術が開示されている。
特許第5497760号公報 特開昭63-178856号公報
特許文献1の技術は、複数本の針状の突起物を押し付けて粉砕するが、所望の粒径の粒子を得るために、成形体を破砕しやすい状態に成形しているので、径が細い針状の突起物でも解砕することができる。しかし、かかる径の細い針状の突起物では、硬く焼結した大きな塊を破砕することは難しい。しかも、径が細い針状の突起物の場合、大きな塊に接触した際に先端部が破損する可能性がある。破損した先端部が焼成物に混入した場合、不純物となってしまう。かかる事情もあり、ロールクラッシャーに供給する前の大きな塊を粗破砕する際に特許文献1の技術を採用することは難しい。
一方、特許文献2の技術は、たがねを使用して塊を破砕するので、硬く焼結した大きな塊でも破砕できるし、先端部の破損も生じにくいと考える。しかし、たがねの場合、先端部の幅が広く塊との接触面積が大きいので、強い力や衝撃力を加えなければ塊を破砕することが難しい。強い力や衝撃力を加えると塊を破砕するだけでなく、塊が収容されている匣鉢も破損してしまう可能性がある。
本発明は上記事情に鑑み、大きな塊の焼成物を比較的容易に粗解砕することができる焼成物解砕装置を提供することを目的とする。
第1発明の焼成物解砕装置は、容器に収容された状態の焼成物を粗解砕するための装置であって、焼成物が収容された容器を保持する保持部と、該保持部によって保持された状態における前記容器の上方に配置された解砕部と、を備えており、該解砕部が、複数本の棒状部材と、該複数本の棒状部材が互いに平行となるように取り付けられたベース部材と、前記複数本の棒状部材の先端が前記保持部によって保持された状態における前記容器を向いた状態となるように前記ベース部材が取り付けられ、該ベース部材を前記容器に接近離間させる移動機構と、前記保持部によって保持された状態における前記容器と前記移動機構との間に配置されたストッパー部材と、を有しており、該ストッパー部材は、前記移動機構によって前記ベース部材が前記保持部によって保持された状態における前記容器に接近した際に、前記複数本の棒状部材が挿通される貫通孔を有しており、ことを特徴とする。
第2発明の焼成物解砕装置は、第1発明において、前記複数本の棒状部材は、その先端が球面状に加工されていることを特徴とする。
第3発明の焼成物解砕装置は、第1または第2発明において、前記複数本の棒状部材は、
その軸径が、2~20mmであることを特徴とする。
第4発明の焼成物解砕装置は、第1、第2または第3発明において、前記移動機構は、前記ベース部材が前記容器に接近した際に、前記複数本の棒状部材の先端が前記容器内に進入し該容器の底面に接触しない位置で停止するように作動が制御されていることを特徴とする。
第5発明の焼成物解砕装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記解砕部を複数備えており、該複数の解砕部の移動機構は、一つの前記容器に対して異なるタイミングで前記ベース部材を接近させることを特徴とする。
第6発明の焼成物解砕装置は、第1から第5発明のいずれかにおいて、前記ベース部材は、前記複数本の棒状部材が着脱可能に設けられており、該複数本の棒状部材の配置が変更可能であることを特徴とする。
第7発明の焼成物解砕装置は、第1から第6発明のいずれかにおいて、ロールクラッシャーに供給する解砕物を形成するものであることを特徴とする。
第1発明によれば、移動機構によってベース部材を容器に接近させれば、容器内の焼成物に棒状部材を突き刺すことができる。その後、移動機構によってベース部材を容器から離間させれば、容器内に破砕された焼成物(解砕物)を残すことができる。そして、ストッパー部材によってベース部材とともに焼成物が容器から離脱することを防止できるので、解砕物が容器からこぼれることを防止できる。
第2発明によれば、複数本の棒状部材の損傷を防ぐことができる。
第3発明によれば、焼成物を所望の大きさに解砕することができる。
第4発明によれば、複数本の棒状部材が容器に接触して、容器が損傷することを防止できる。
第5発明によれば、焼成物の解砕が容易になる。
第6発明によれば、焼成物に合わせて複数本の棒状部材の配置を変更できるので、焼成物を適切に解砕することができる。
第7発明によれば、適切な大きさに解砕されているので、ロールクラッシャーに供給された解砕物がロールクラッシャーにおいて滞留することを防止できる。
本実施形態の焼成物解砕装置1の概略正面図ある。 本実施形態の焼成物解砕装置1の側面図である。 (A)は図1のIIIA-IIIA線概略断面図であり、(B)はストッパー部材13の単体平面図である。 解砕部10の複数の棒状部材12の先端が容器Sに入っている状態の概略説明図である。
本実施形態の焼成物解砕装置は、粉体などを焼成して製造された焼成物を解砕する装置であって、焼成物をある程度の大きさを有する塊に粗解砕するものである。
本実施形態の焼成物解砕装置によって粗解砕される焼成物はとくに限定されない。粉体を焼成して得られる焼成物であれば、種々の焼成物の粗解砕に本実施形態の焼成物解砕装置を使用することができる。例えば、リチウムイオン二次電池正極活性物の原料となる水酸化リチウムと酸化ニッケルを混合した混合物を焼成した焼成物等を本実施形態の焼成物解砕装置で解砕する焼成物として挙げることができる。
本実施形態の焼成物解砕装置によって粗解砕される焼成物の大きさや、粗解砕後の解砕物の大きさもとくに限定されない。例えば、二次電池正極活性物質を焼成した焼成物を粗解砕する場合であれば、幅200~400mm×奥行200~400mm×高さ50~150mm程度の大きさの匣鉢等の容器に収容された焼成物を、一辺が10~100mm程度の大きさの解砕物にする場合に本実施形態の焼成物解砕装置を使用することができる。他の焼成物でも、上述した大きさの容器に収容されている焼成物を上述した大きさの解砕物する場合にも本実施形態の焼成物解砕装置を使用することができる。
また、本実施形態の焼成物解砕装置は、ロールクラッシャーやハンマーミル等のような解砕装置が解砕する対象物を予備解砕(粗解砕)する装置として使用することができる。本実施形態の焼成物解砕装置によって適切な大きさに粗解砕しておけば、解砕装置に供給された解砕物を解砕装置によって適切に解砕することができる。例えば、本実施形態の焼成物解砕装置によって解砕された解砕物をロールクラッシャーに供給する場合には、解砕物がロールクラッシャーのロール刃上に滞留することを抑制できる。すると、ロールクラッシャーによる解砕物の解砕を効果的に実施することができる。
<焼成物解砕装置1>
以下、図面に基づいて本実施形態の焼成物解砕装置1を説明する。
<フレーム2>
図1において、符号2は、本実施形態の焼成物解砕装置1のフレームを示している。このフレーム2は、ベース部分2aに複数本の柱2bが立設されており、この複数本の柱2bの上部間に複数本の梁2cが架けられている。このフレーム2に、後述する保持部5や解砕部10の各機器が設置されている。
<搬送装置3>
図1に示すように、ベース部分2aと複数本の柱2bと複数本の梁2cとに囲まれた空間には、搬送装置3が設けられている。この搬送装置3は、解砕する焼成物Cを搬送するものである。具体的には、搬送装置3は、焼成工程等の前工程において焼成された焼成物Cが収容されている容器S(匣鉢など)を、焼成物解砕装置1まで搬送するものである。そして、搬送装置3は、焼成物解砕装置1によって解砕された解砕物を、容器Sに収容した状態で、解砕物をさらに小さく解砕する解砕装置(ロールクラッシャー等)に搬送する機能を有している。
なお、搬送装置3は、容器Sを載せた状態で搬送できるものであればよく、とくにその構造は限定されない。例えば、ローラコンベアやベルトコンベア等を搬送装置3として使用することができる。
また、本実施形態の焼成物解砕装置1は搬送装置3を有していなくてもよい。この場合には、設備等に設置されている搬送装置を使用すればよい。例えば、焼成工程等の前工程から解砕装置まで容器Sを搬送する搬送装置が設けられている場合には、その搬送装置の途中に本実施形態の焼成物解砕装置1を設置すればよい。この場合にも、ベース部分2aと複数本の柱2bと複数本の梁2cとに囲まれた空間を搬送装置3が通過するようになっていればよい。言い換えれば、搬送装置3によって搬送される容器Sが上述した空間を通過するようになっていればよい。
<保持部5>
図1に示すように、上述した搬送装置3の側方には、保持部5の一対の保持機構6,6が配設されている。この一対の保持機構6,6は、フレームのベース部分2aの上面に設けられた一対の台座2d,2dに設置されている。一対の台座2d,2dは搬送装置3を側方から挟むように設置されており、一対の台座2d,2dに設置された一対の保持機構6,6も搬送装置3を側方から挟む位置に設けられている。
この一対の保持機構6,6は、シリンダや万力等の保持プレート移動機構7と、この保持プレート移動機構7によって搬送装置3に対して接近離間する保持プレート8と、を備えている。例えば、保持プレート移動機構7がシリンダであれば、そのロッドに保持プレート8が取り付けられている。
一対の保持機構6,6の一対の保持プレート移動機構7,7は、水平方向に沿って保持プレート8を移動させることができるように一対の台座2d,2dにそれぞれ設置されている。しかも、一対の保持プレート移動機構7,7は、その保持プレート8を移動させる方向がほぼ同軸となるように設けられている。例えば、保持プレート移動機構7がシリンダであれば、そのロッドの軸がほぼ同軸となるように設けられている。
一対の保持機構6,6の一対の保持プレート8,8は、搬送装置3上に配置された状態の容器Sとほぼ同じ高さになるように一対の保持プレート移動機構7,7によってそれぞれ保持されている。しかも、一対の保持プレート移動機構7,7が一対の保持プレート8,8を搬送装置3に向かって移動させれば、前面が搬送装置3上の容器Sの側面に接触するように、一対の保持プレート8,8は一対の保持プレート移動機構7,7に設けられている。
かかる構成であるので、一対の保持機構6,6の保持プレート移動機構7,7を同時に一対の保持プレート8,8が接近するように作動させれば、一対の保持機構6,6の一対の保持プレート8,8間に容器Sを挟んで保持することができる。逆に、一対の保持機構6,6の保持プレート移動機構7,7を同時に一対の保持プレート8,8が離間するように作動させれば、一対の保持機構6,6の保持プレート8,8を容器Sから離間させることができ、容器Sを解放することができる。
なお、保持部5によって容器Sを保持するタイミングを調整する方法はとくに限定されない。例えば、容器Sの位置を検出するセンサを設けておき、容器Sが所定の位置まで搬送されたことセンサが検出すると、一対の保持機構6,6の保持プレート移動機構7,7が作動し容器Sを保持するようにしてもよい。容器Sの搬送が一定の時間間隔で所定の位置に到着する場合には、一定の時間ごとに一対の保持機構6,6の保持プレート移動機構7,7を作動させるようにしてもよい。
また、保持部5によって容器Sを解放するタイミングを調整する方法はとくに限定されない。例えば、後述する解砕部10から所定の作業が終了したことを知らせる指令が送信されると、一対の保持機構6,6の保持プレート移動機構7,7が作動し、容器Sを解放するようにしてもよい。容器Sの処理時間が一定である場合には、一対の保持機構6,6の保持プレート移動機構7,7が一対の保持プレート8,8を接近させるように作動してから一定の時間後に、一対の保持機構6,6の保持プレート移動機構7,7が一対の保持プレート8,8を容器Sから離間させて容器Sを解放するようにしてもよい。
<解砕部10>
図1に示すように、搬送装置3の上方には2つの解砕部10が設けられている。2つの解砕部10は実質的に同じ構造を有しており、後述するベース部材11を移動機構15によって移動させて、ベース部材11に設けられている複数本の棒状部材12によって容器S内の焼成物Cを解砕するものである。2つの解砕部10は、その移動機構15が異なるタイミングでベース部材11を容器Sに接近させるようにその作動が制御されている。すると、各解砕部10によって解砕する面積が小さくなるので、焼成物Cの解砕が容易になる。
なお、解砕部10を設ける数はとくに限定されず、解砕部10の数は1つでもよいし、3つ以上設けてもよい。解砕する焼成物Cの大きさや硬さ、材料等によって適切な数の解砕部10を設ければよい。
以下、図1に基づいて解砕部10の詳細を説明する。
<ベース部材11および棒状部材12>
図1に示すように、解砕部10は、複数本の棒状部材12が設けられたベース部材11を備えている。このベース部材11は板状の部材であり、その一方の面に複数本の棒状部材12が立設されている。具体的には、複数本の棒状部材12は、ベース部材11の一方の面(図1では下面)に対してほぼ直交するように取り付けられている。また、複数本の棒状部材12は、その軸方向が互いに平行となり、かつ、格子状に並ぶように設けられている。例えば、解砕された焼成物mの大きさを変えたい場合には、隣接する棒状部材12間の距離、つまり、複数本の棒状部材12を配置するピッチは、10~100mm程度とすることができる。
なお、ベース部材11に取り付ける複数本の棒状部材12の配置やピッチはとくに限定されない。解砕する焼成物Cの大きさや硬さ、材料等によって適切な数の棒状部材12を設ければよい。例えば、解砕された焼成物mを破砕するロールクラッシャー等の装置に余力がある場合には、複数本の棒状部材12を配置するピッチは広くすることが望ましい。また、不等間隔で複数本の棒状部材12を配置してもよいし、特定の位置に集中して複数本の棒状部材12を配置してもよい。
また、ベース部材11は、複数本の棒状部材12が固定されていてもよいし、複数本の棒状部材12を着脱可能に取り付けることができるようになっていてもよい。複数本の棒状部材12がベース部材11に着脱可能に設けられていれば、解砕する焼成物C等に合わせて複数本の棒状部材12の本数や配置を調整できる。すると、解砕する焼成物C等に応じたベース部材11を準備する必要がないので装置の部品点数を少なくできる。例えば、ベース部材11に複数の孔を設けておき、その孔に棒状部材12を取り付けるようにしておけば、複数本の棒状部材12の配置を簡単に変更することができる。
複数本の棒状部材12は、その軸方向に沿って長い部材であり、その先端部が円錐状に形成されたものである。そして、複数本の棒状部材12は、その先端が球面状に加工されている。例えば、棒状部材12の軸径が2~20mmであり、その軸長が100~200mmであれば、円錐状の部分の長さは5~20mm、球面の曲率半径は1~5mmに形成することができる。ここでいう棒状部材12の軸長とは、棒状部材12をベース部材11に取り付けた状態において、ベース部材11の下面から先端までの長さを意味している。
なお、複数本の棒状部材12の寸法はとくに限定されず、解砕する焼成物Cの大きさや硬さ、材料等によって適切な棒状部材12を設ければよい。
また、複数本の棒状部材12の先端部は円錐状になっている方が焼成物Cを解砕しやすいという点で好ましいが、焼成物Cの硬さによっては単に先端を球面状にするだけとしてもよい。
<移動機構15>
図1に示すように、フレーム2の梁2cには、搬送装置3の上方に位置するように、シリンダやスライドガイド等の移動機構15が取り付けられている。この移動機構15は、移動機構15にはベース部材11が取り付けられている。例えば、移動機構15がシリンダであれば、そのロッドにベース部材11が取り付けられている。この移動機構15は、ベース部材11を移動させる方向が鉛直方向と平行となるようにフレーム2の梁2cに設けられている。そして、移動機構15を作動させれば、搬送装置3に対して、言い換えれば、搬送装置3上の容器Sに対してベース部材11が接近離間するように設けられている。
また、ベース部材11は、その下面が搬送装置3側を向いた状態であり、かつ、複数本の棒状部材12の軸方向が鉛直方向と平行となるように設けられている。つまり、複数本の棒状部材12の軸方向と、移動機構15がベース部材11を移動させる方向と、が平行となるように設けられている。
したがって、移動機構15を作動させれば、ベース部材11を搬送装置3に対して、言い換えれば、ベース部材11を搬送装置3上の容器3に対して接近させることができる。すると、複数本の棒状部材12を容器3に収容されている焼成物Cに接触させて突き刺すことができる(図4参照)。また、複数本の棒状部材12を焼成物Cに突き刺した状態から移動機構15によってベース部材11を搬送装置3から離間させれば、複数本の棒状部材12を焼成物Cから抜くことができる。
なお、移動機構15によってベース部材11を搬送装置3に対して接近させる移動量はとくに限定されない。ベース部材11を搬送装置3に対して接近させた際に、複数本の棒状部材12の先端が容器S内の焼成物Cに突き刺さればよい。とくに、複数本の棒状部材12の先端が、容器Sの底面(内底面)近傍までは移動するが、容器S内の底面に接触しない位置で停止するように作動が制御されていることが望ましい。すると、複数本の棒状部材12が容器Sに接触して、容器Sや複数本の棒状部材12が損傷することを防止できる。例えば、複数本の棒状部材12の先端が、容器Sの底面からの距離H(図4参照)が5~20mmの位置でベース部材11の移動が停止するようになっていれば、解砕を適切にでき、しかも、容器Sや複数本の棒状部材12が損傷することを防止できる。
<ストッパー部材13>
図1~図3に示すように、移動機構15と搬送装置3の間にはストッパー部材13が設けられている。言い換えれば、搬送装置3上の容器Sと移動機構15との間に位置するように、ストッパー部材13が設けられている。このストッパー部材13は、複数本の棒状部材12を焼成物Cに突き刺した状態から抜いたときに、焼成物Cが複数本の棒状部材12とともに移動することを防止するために設けられている。
このストッパー部材13は板状の部材であり、その表裏を貫通する貫通孔13hが複数設けられている(図3(B)参照)。この貫通孔13hは、ベース部材11が移動機構15によって容器Sに接近した際に、複数本の棒状部材12が挿通される複数の貫通孔13hを有している。具体的には、複数の貫通孔13hは、ベース部材11と対応する位置に設けられており、その孔径は棒状部材12の軸径よりも若干大きく設けられている。
なお、ストッパー部材13を設ける高さはとくに限定されないが、ストッパー部材13はできるだけ容器Sの上端に近い位置に配置されていることが望ましい。例えば、搬送装置3上に配置された容器Sの上端からの距離D(図3参照)が、1~5mm程度が望ましい。
また、ストッパー部材13は、ベース部材11に対応した個別のストッパー部材13を設けてもよい。しかし、ストッパー部材13は、ベース部材11に最も多く棒状部材12を設けた際に、全ての棒状部材12に対応する貫通孔13hがあるように形成しておくことが望ましい。すると、ベース部材11に設ける棒状部材12の数や位置を変更した場合でも、ストッパー部材13を変更する必要はないので、変更作業の作業効率を高くできる。
<本実施形態の焼成物解砕装置1による解砕作業>
本実施形態の焼成物解砕装置1による焼成物Cの解砕作業を説明する。
なお、以下の説明では、ベース部材11が容器Sに接近するように移動することを「下降」という場合があり、ベース部材11が容器Sから離間するように移動することを「上昇」という場合がある、
まず、解砕する焼成物Cが収容された容器Sが搬送装置3によって本実施形態の焼成物解砕装置1まで搬送され、容器Sが所定の位置まで搬送されると、搬送装置3が停止する。所定の位置とは、保持部5の位置、つまり、一対の保持機構6,6の間である。なお、搬送装置3は、容器Sが所定の位置に到達したことをセンサが検出すると、センサからの信号に基づいて搬送装置3が停止する。
搬送装置3が停止すると、一対の保持機構6,6の一対の保持プレート8,8が容器Sに接近するように一対の保持プレート移動機構7,7が作動する。すると、一対の保持プレート8,8に挟まれた状態で、保持部5の一対の保持機構6,6に容器Sが保持される。
容器Sが保持部5の一対の保持機構6,6に保持されると、解砕部10の移動機構15が作動し、ベース部材11が容器Sに接近するように移動する。すると、ベース部材11の複数本の棒状部材12がストッパー部材13の貫通穴13hを貫通し、複数本の棒状部材12が容器S内の焼成物Cに突き刺さる。
複数本の棒状部材12が容器S内の焼成物Cに突き刺さってから、さらにベース部材11が下降すると、複数本の棒状部材12はさらに深く焼成物Cに侵入する。すると、焼成物Cにはひび割れなどが発生し、ある程度の大きさの塊に解砕される。
やがて、複数本の棒状部材12の先端が容器S内の底面から所定の距離になるまでベース部材11が下降すると、移動機構15の下降が停止し、移動機構15は容器Sから離間するようにベース部材11を移動させる。
焼成物Cが解砕されていれば、複数本の棒状部材12は焼成物Cから抜けるので、ベース部材11の上昇に伴って複数本の棒状部材12はストッパー部材13の貫通穴13hから抜ける。そして、元の位置までベース部材11が上昇すると、移動機構15の作動が停止する。
なお、焼成物Cが十分に解砕されていなければ、ベース部材11が上昇した際に、焼成物Cが複数本の棒状部材12とともに上昇する場合がある。この場合でも、焼成物Cはストッパー部材13に接触すれば複数本の棒状部材12の移動に追従できず、焼成物Cから複数本の棒状部材12が抜ける。すると、焼成物Cは容器S内に落下するので、焼成物Cは落下の衝撃で解砕される。
移動機構15の作動が停止すると、一対の保持プレート8,8が容器Sから離間するように、保持部5の一対の保持機構6,6の一対の保持プレート移動機構7,7が作動する。すると、保持部5の一対の保持機構6,6から容器Sが解放される。すると、搬送装置3が作動し、解砕された焼成物mが収容されている容器Sは焼成物解砕装置1から搬出される。そして、新たに解砕された焼成物mが収容されている容器Sが焼成物解砕装置1に搬送され、上記と同様の作業が実施される。
以上のように、本実施形態の焼成物解砕装置1によれば、容器Sに収容された焼成物Cを容器S内において連続して粗解砕することができる。そして、複数の棒状部材12を焼成物Cに突き刺して解砕するので、焼成物Cを適切な大きさ、例えば、ロールクラッシャー等の解砕装置が適切に行える大きさに粗解砕することができる。
本発明の焼成物解砕装置は、焼成物を解砕装置に供給する前処理として粗解砕する装置として適している。
1 焼成物解砕装置
2 フレーム
3 搬送装置
5 保持部
6 保持プレート
7 保持プレート移動機構
10 解砕部
11 ベース部材
12 棒状部材
13 ストッパー部材
13h 貫通孔
15 移動機構
C 焼成物
S 容器

Claims (7)

  1. 容器に収容された状態の焼成物を粗解砕するための装置であって、
    焼成物が収容された容器を保持する保持部と、
    該保持部によって保持された状態における前記容器の上方に配置された解砕部と、を備えており、
    該解砕部が、
    複数本の棒状部材と、
    該複数本の棒状部材が互いに平行となるように取り付けられたベース部材と、
    前記複数本の棒状部材の先端が前記保持部によって保持された状態における前記容器を向いた状態となるように前記ベース部材が取り付けられ、該ベース部材を前記容器に接近離間させる移動機構と、
    前記保持部によって保持された状態における前記容器と前記移動機構との間に配置されたストッパー部材と、を有しており、
    該ストッパー部材は、
    前記移動機構によって前記ベース部材が前記保持部によって保持された状態における前記容器に接近した際に、前記複数本の棒状部材が挿通される貫通孔を有している
    ことを特徴とする焼成物解砕装置。
  2. 前記複数本の棒状部材は、
    その先端が球面状に加工されている
    ことを特徴とする請求項1記載の焼成物解砕装置。
  3. 前記複数本の棒状部材は、
    その軸径が、2~20mmである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の焼成物解砕装置。
  4. 前記移動機構は、
    前記ベース部材が前記容器に接近した際に、前記複数本の棒状部材の先端が前記容器内に進入し該容器の底面に接触しない位置で停止するように作動が制御されている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の焼成物解砕装置。
  5. 前記解砕部を複数備えており、
    該複数の解砕部の移動機構は、
    一つの前記容器に対して異なるタイミングで前記ベース部材を接近させる
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の焼成物解砕装置。
  6. 前記ベース部材は、
    前記複数本の棒状部材が着脱可能に設けられており、該複数本の棒状部材の配置が変更可能である
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の焼成物解砕装置。
  7. ロールクラッシャーに供給する解砕物を形成するものである
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の焼成物解砕装置。
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