以下、本発明の所定の実施態様を詳細に参照し、その例を、添付の構造及び式に示す。本発明は、列挙された実施態様との関連で説明されるが、それらは、本発明をそれらの実施態様に限定することを意図するものではないことは理解されるであろう。それどころか、本発明は、特許請求の範囲によって定まる本発明の範囲内に含まれうる代替態様、変形態様、及び均等物をカバーすることが意図される。当業者であれば、本発明の実施において使用されうる、ここに記載されるものと同様又は均等の多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、記載される方法及び材料には決して限定されない。限定されないが、定義された用語、用語の使用法、説明された手法などを含む、援用された文献、特許、及び類似の資料の一又は複数が、この出願とは異なるか又は矛盾する場合、この出願が優先する。ここに記載のものと同様又は均等の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、適切な方法及び材料は以下に記載する。ここで言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、出典明示によりその全体が援用される。
本発明によれば、式(I)の化合物の塩酸塩、硫酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩及びメタンスルホン酸塩、並びにその結晶形態が、例えば、特定の貯蔵条件を必要としない長期の安定維持、及び優れた水溶性を含み、非晶質形態及び遊離塩基形態と比較して、改善された物理化学的特性を有することが発見された。
本発明は、式(I)の化合物の結晶形態を提供する。本発明はまた更に式(I)の化合物の塩の様々な結晶性の多形形態を提供する。本発明はまた更に式(I)の化合物の様々な塩及び結晶性の多形形態を調製するための方法を提供する。
特に定義されない限り、ここで使用される技術用語及び科学用語を含む全ての用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって文脈内で一般に理解されるのと同じ意味を有する。しかし、特に断りのない限り、以下に記載される用語は、明細書全体にわたって以下に示される意味を有する。
ここで使用される場合、「約」という用語は、特定の値又は範囲の5%以内、好ましくは1%~2%以内であることを意味する。例えば、「約10%」は、9.5%~10.5%、好ましくは9.8%~10.2%を意味する。別の例では、「約100℃」は95℃~105℃、好ましくは98℃~102℃を意味する。
ここで使用される場合、「遊離塩基」という用語は、その任意の塩とは異なる式(I)の親化合物を意味する。
ここで使用される場合、「実質的に純粋」という用語は、少なくとも95%純粋、好ましくは99%純粋を意味し、95%純粋は、式(I)の化合物の任意の他の形態(例えば、他の結晶形態又は非晶質形態)が5%以下存在することを意味し、99%純粋は1%以下存在することを意味する。ここで使用される場合、「本質的に」という用語は、参照基準で少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも99.5%又は少なくとも99.9%を意味する。
ここで使用される場合、「多形(polymorph)」又は「多形性(polymorphism)」は、特定の物質の異なる結晶形態が「多形」と呼ばれる、物質が一を超える結晶形態で存在する能力を意味する。一般に、多形性は、異なる多形の結晶格子中の異なる原子配置に反映される、物質の分子がそのコンフォメーションを変え、又は異なる分子間又は分子内相互作用、特に水素結合を形成する能力に影響されうると考えられる。物質の異なる多形は、結晶格子の異なるエネルギーを保有している可能性があるため、固体状態では、それらは異なる物理的性質、例えば、限定されないが、形、密度、融点、色、安定性、溶解度、及び溶解速度などを示し得、これが次には、限定されないが、所与の多形の安定性、溶解速度及び/又は生物学的利用能などの性質と、医薬としての及び薬学的組成物における使用に対するその適合性に影響を及ぼしうる。
ここで使用される場合、式(I)の塩に関して、ビス(例えば、ビス塩酸塩)、2-(例えば、2HCl)、及びジ-(di-)(例えば、二塩酸塩(dihydrochloride))という用語は互換的に使用される。例えば、ここで使用される場合、ビス塩酸塩、ビスクロライド及び二塩酸塩は同じ意味を有する。
結晶形態は、結晶形態で測定されるPXRDパターンにおける観察可能なピークの存在によって特徴付けられうる。ここで報告される塩及び結晶形態について測定され又は計算されたPXRDパターンは、他の実験的に決定されたパターンと比較して一致を見出すことができるフィンガープリントを表す。それぞれの結晶形態の同一性は、実験的に決定されたPXRDパターンとここに報告されている結晶形態のPXRDパターンとの重複又は一致によって確立される。様々な実施態様では、塩及び結晶形態は、PXRDピークによって特徴付けられる。従って、様々な実施態様では、塩又は結晶形態は、それぞれのPXRDパターンから、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上のピーク;2以上のピーク;3以上のピーク;4以上のピーク;5以上のピークなど、の一致によって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、塩又は結晶形態は、約5%以上又は約10%以上の相対強度(I/Io)を有するピークの一致によって特徴付けられ得、Iは各ピークの強度を示し、Ioは最高ピークの強度を示す。
特に断りのない限り、この発明において報告されたPXRD研究からのピーク値は、この分野で典型的に観察可能な実験誤差に関連していることは、当業者には明らかに違いない。具体的には、特に断りのない限り、ピークはここに報告された値の±0.5°以内にあると解釈され、より具体的には、ピークはここに報告された値の±0.2°以内にあると解釈される。
幾つかの実施態様では、ここに記載された式(I)の化合物の塩又は結晶形態の何れかの結晶化度パーセントは、式(I)の化合物の全量に対して変動しうる。特に、所定の実施態様は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%である式(I)の化合物の塩又は結晶形態の結晶化度パーセントを提供する。幾つかの実施態様では、結晶化度パーセントは、実質的に100%であり得、ここで、実質的に100%とは、当該技術分野で知られている方法を使用してできる限りベストに決定して、式(I)の化合物の全量が結晶性であるように見えることを示す。従って、式(I)の化合物の薬学的組成物及び治療有効量は、結晶化度が変動する量を含みうる。これらには、固体形態の式(I)の化合物のある量が続いて液体に溶解され、部分的に溶解され、又は懸濁され又は分散される場合を含み、式(I)の化合物が様々な製剤及び固体形態で医薬品有効成分(API)として使用される場合が含まれる。
[式(I)の化合物の塩]
幾つかの実施態様では、本発明は、式(I)の化合物の塩を提供する。
式(I)の遊離塩基は水に難溶性であり、0.4μg/mL未満の溶解度である。遊離塩基化合物の塩形態は、改善された水溶性をもたらしうる。塩形態は、例えば限定されないが、特定の結晶多形の調製の再現性、高度な結晶化度、結晶形態の安定性、化学的安定性、及び低吸湿性など、薬学的用途に必要とされる全体的な物理化学的性質をまた有しているべきである。
式(I)の遊離塩基の化合物は、その全体が出典明示によりここに援用される国際公開第2013/100632号に記載されている手順に従って調製することができる。
式(I)の化合物の適切な塩タイプを同定するために、式(I)の化合物の遊離塩基の塩を、様々な条件及び手順に従って様々な酸及び溶媒を使用して調製し、こうして得られた塩の物理化学的特性を評価した。幾つかの実施態様では、式(I)の塩には、塩酸塩(hydrochloric acid salt)(塩酸塩(hydrochloride salt))、硫酸塩(硫酸水素塩)、p-トルエンスルホン酸塩(p-toluenesulfonic acid salt)(p-トルエンスルホン酸塩(p-toluenesulfonate salt))、エタンスルホン酸塩(ethanesulfonic acid salt)(エタンスルホン酸塩(ethanesulfonate salt))及びメタンスルホン酸塩(methanesulfonic acid salt)(メタンスルホン酸塩(methanesulfonate salt))が含まれる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、塩酸塩、硫酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩及びメタンスルホン酸塩から選択される。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、ビス塩酸塩、ビス硫酸水素塩、ビスp-トルエンスルホン酸塩、ビスエタンスルホン酸塩、及びビスメタンスルホン酸塩から選択される。
一実施態様では、式(I)の塩はビス塩酸塩である。別の実施態様では、式(I)の塩はビス硫酸水素塩である。別の実施態様では、式(I)の塩はビスp-トルエンスルホン酸塩である。別の実施態様では、式(I)の塩はビスエタンスルホン酸塩である。別の実施態様では、式(I)の塩はビスメタンスルホン酸塩である。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は非晶質形態である。幾つかの実施態様では、式(I)の塩は結晶形態である。幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、非晶質形態と結晶形態の混合物である。
[式(I)の化合物とその塩の結晶形態]
幾つかの実施態様では、結晶性の式(I)の化合物とその塩が提供される。今日までの実験に基づいて、その式(I)の塩の結晶形態は、遊離塩基形態及び非晶質形態と比較して、改善された物理化学的特性を提供する。
幾つかの実施態様では、式(I)の化合物の結晶形態は遊離塩基である。幾つかの実施態様では、遊離塩基は、図29によるPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、遊離塩基は、Cu-Kα光源を照射した場合、4.6°、9.2°、12.7°、13.8°、25.9°、26.5°、及び27.0°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択された1、2、3、4、5、6、又は7のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、遊離塩基は、9.2°、12.7°、13.8°、25.9°及び27.0°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。
幾つかの他の実施態様では、式(I)の化合物の結晶形態は塩である。幾つかのそのような実施態様では、塩は、塩酸塩、硫酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、及びメタンスルホン酸塩から選択される。幾つかのそのような実施態様では、塩は、ビス塩酸塩、ビス硫酸水素塩、ビスp-トルエンスルホン酸塩、ビスエタンスルホン酸塩、ビスメタンスルホン酸塩、及びビスベンゼンスルホン酸塩から選択される。
本発明の一実施態様では、式(I)の化合物の塩酸塩の様々な結晶形態が提供される。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図35によるPXRDパターンによって特徴付けられるビス塩酸塩の多形形態Iである。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Iは、Cu-Kα光源を照射した場合、5.89°、7.77°、8.31°、11.80°、16.68°、23.22°、23.69°、26.89°、27.51°、28.29°、及び29.53°の回折角2θ値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有する粉末X線回折パターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Iは、5.89°、7.77°、8.31°、11.80°、16.68°、23.69°、26.89°、及び27.51の回折角2θ値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Iは、5.89°、7.77°、8.31°、16.68°、26.89°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Iは、5.89°、7.77°、及び8.31°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Iは、5.89°、7.77°、8.31°、11.80°、16.68°、23.22°、23.69°、26.89°、27.51°、28.29°及び29.53°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、結晶性の式(I)のビス塩酸塩の多形形態Iは、三水和物である。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図14によるPXRDパターンによって特徴付けられるビス塩酸塩の多形形態IIである。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIは、Cu-Kα光源を照射した場合、6.19°、6.55°、7.00°、9.01°、9.85°、11.64°、12.86°、14.05°、及び25.31°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8又は9のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIは、6.19°、6.55°、7.00°、9.01°及び12.86°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIは、6.19°、6.55°、及び7.00°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIは、6.19°、6.55°、7.00°、9.01°、9.85°、11.64°、12.86°、14.05°及び25.31°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図17によるPXRDパターンによって特徴付けられるビス塩酸塩の多形形態IIIである。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIIは、Cu-Kα光源を照射した場合、6.01°、9.00°、11.47°、12.05°、14.48°、16.33°、16.83°、18.13°、19.01°、19.26°、22.63°、23.10°、24.51°±0.2°、25.31°、25.94°、26.51°、27.10°、28.12°、30.44°及び31.25°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIIは、6.01°、9.00°、11.47°、16.33°、18.13°、22.63°、23.10°、25.94°、27.10°及び30.44°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIIは、6.01°、9.00°、11.47°、14.48°、16.33°、18.13°、22.63°、23.10°、27.10°、及び30.47°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIIは、6.01°、9.00°、11.47°、16.33°及び23.10°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIIは、9.00°、11.47°、及び6.33°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIIは、6.01°、9.00°、11.47°、12.05°、14.48°、16.33°、16.83°、18.13°、19.01°、19.26°、22.63°、23.10°、24.51°、25.31°、25.94°、26.51°、27.10°、28.12°、30.47°及び31.25°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図20によるPXRDパターンによって特徴付けられるビス塩酸塩の多形形態IVである。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IVは、Cu-Kα光源を照射した場合、5.56°、6.64°、7.15°、9.07°、11.22°、11.76°、12.12°、13.30°、14.28°、15.57°、17.26°、18.25°、22.26°、22.95°、23.69°、24.77°、25.06°、25.88°、28.20°、29.92°、31.33°及び34.17°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IVは、6.64°、7.15°、9.07°、11.22°、11.76°、13.30°、22.95°、23.69°、24.77°、25.06°、28.20°、及び29.92°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IVは、6.64°、7.15°、9.07°、11.22°、11.76°、13.30°、22.95°、23.69°、24.77°、及び25.06°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IVは、6.64°、9.07°、11.22°、11.76°及び13.30°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IVは、6.64°、11.22°、及び11.76°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IVは、5.56°、6.64°、7.15°、9.07°、11.22°、11.76°、12.12°、13.30°、14.28°、15.57°、17.26°、18.2°、22.3°、22.9°、23.7°、24.8°、25.1°、25.9°、28.2°、29.9°、31.3°及び34.2°(2θ±0.2°)の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図21によるPXRDパターンによって特徴付けられるビス塩酸塩の多形形態Vである。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IVは、Cu-Kα光源を照射した場合、5.44°、6.58°、7.48°、9.22°、10.84°、11.47°、12.45°、13.17°、16.61°、17.18°、17.92°、18.52°、22.21°、23.07°、23.84°、24.70°、25.37°、26.08°、27.33°、29.12°、31.02°、31.43°、34.65°及び37.46°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Vは、6.58°、7.48°、9.22°、10.84°、11.47°、13.17°、16.61°、17.18°、18.52°、22.21°、23.07°、23.84°、24.70°、25.37°、26.08°、27.33°、29.12°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Vは、6.58°、7.48°、9.22°、10.84°、11.47°、13.17°、17.18°、18.52°、23.07°、23.84°、24.70°、25.37°及び27.33°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Vは、6.58°±0.2°、7.48°±0.2°、9.22°±0.2°、10.84°±0.2°、11.47°±0.2°、13.17°±0.2°、17.18°±0.2°、23.07°±0.2°、24.70°±0.2°、及び27.33°±0.2°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Vは、6.58°、7.48°、11.47°、13.17°及び23.07°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態Vは、6.58°、7.48°、及び11.47°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態IIは、5.44°、6.58°、7.48°、9.22°、10.84°、11.47°、12.45°、13.17°、16.61°、17.18°、17.92°、18.52°、22.21°、23.07°、23.84°、24.70°、25.37°、26.08°、27.33°、29.12°、31.02°、31.43°、34.65°及び37.46°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図22によるPXRDパターンによって特徴付けられるビス塩酸塩の多形形態VIである。幾つかのそのような実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態VIは、Cu-Kα光源を照射した場合、5.86°、8.47°、8.90°、12.10°、14.00°、16.30°、16.71°、及び23.49°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態VIは、5.86°、8.47°、8.90°、12.10°、及び23.49°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態VIは、5.86°、8.47°及び8.90°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス塩酸塩の多形形態VIは、8.5°及び8.9°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図4によるPXRDパターンによって特徴付けられるビス硫酸水素塩である。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビス硫酸水素塩は、Cu-Kα光源を照射した場合、5.7°、7.4°、7.9°、9.4°、11.5°、13.7°、15.0°、15.9°、16.9°、17.7°、18.5°、18.9°、20.3°、20.9°、21.6°、22.4°、22.9°、23.3°、24.0°、24.4°、24.6°、25.3°、25.9°、26.5°、27.3°、28.7°及び33.7°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビス硫酸水素塩は、5.7°、7.4°、7.9°、11.5°、13.7°、15.0°、15.9°、18.5°、18.9°、20.3°、20.9°、21.6°、22.4°、22.9°、23.3°、24.0°、24.4°、24.6°、25.3°、25.9°、26.5°及び27.3°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビス硫酸水素塩は、7.4°、7.9°、11.5°、15.0°、15.9°、18.5°、18.9°、22.4°、22.9°、24.0°、24.4°、24.6°、25.3°及び25.9°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビス硫酸水素塩は、Cu-Kα光源を照射した場合、7.4°、7.9°、15.0°、15.9°、18.5°、22.4°、24.0°、24.4°、25.3°及び25.9°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビス硫酸水素塩は、Cu-Kα光源を照射した場合、7.9°、15.0°、15.9°、18.5°、及び25.9°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、ビス硫酸水素塩は、5.7°、7.4°、7.9°、9.4°、11.5°、13.7°、15.0°、15.9°、16.9°、17.7°、18.5°、18.9°、20.3°、20.9°、21.6°、22.4°、22.9°、23.3°、24.0°、24.4°、24.6°、25.3°、25.9°、26.5°、27.3°、28.7°及び33.7°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図26によるPXRDパターンによって特徴付けられるビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形である。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、Cu-Kα光源を照射した場合、3.2°、4.5°、7.7°、8.4°、9.0°、11.7°、13.2°、13.6°、14.1°、15.3°、15.8°、16.7°、17.4°、18.8°、19.9°、21.7°、21.9°、22.3°、23.0°、23.5°、24.6°、24.7°、25.6°、27.4°、及び29.0°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、3.2°、4.5°、7.7°、8.4°、11.7°、13.2°、13.6°、14.1°、15.3°、15.8°、17.4°、18.8°、21.7°、21.9°、22.3°、23.0°、23.5°、24.6°、24.7°、25.6°、27.4°、及び29.0°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、4.5°、14.1°、15.3°、17.4°、21.7°、21.9°、22.3°、23.0°、24.6°、24.7°、25.6°及び27.4°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、4.5°、14.1°、15.3°、17.4°、21.7°、21.9°、23.0°、24.6°、24.7°、及び25.6°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビス-p-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、4.5°、15.3°、17.4°、21.7°、21.9°、23.0°、24.6°及び24.7°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、4.5°、15.3°、17.4°、21.7°及び21.9°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、4.5°、15.3°及び21.7の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aの多形は、3.2°、4.5°、7.7°、8.4°、9.0°、11.7°、13.2°、13.6°、14.1°、15.3°、15.8°、16.7°、17.4°、18.8°、19.9°、21.7°、21.9°、22.3°、23.0°、23.5°、24.6°、24.7°、25.6°、27.4°、及び29.0°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図27によるPXRDパターンによって特徴付けられるビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形である。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、Cu-Kα光源を照射した場合、5.7°、7.8°、9.3°、11.4°、11.6°、12.5°、12.9°、13.2°、14.0°、15.0°、15.8°、16.0°、17.0°、17.5°、18.8°、19.2°、19.8°、20.5°、21.0°、21.4°、21.9°、22.4°、22.8°、23.4°、24.2°、24.9°、26.2°、27.2°、28.1°、29.1°及び31.6°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、5.7°、7.8°、11.4°、11.6°、12.9°、13.2°、14.0°、15.0°、15.8°、16.0°、17.0°、17.5°、18.8°、19.2°、19.8°、20.5°、21.4°、21.9°、22.4°、22.8°、23.4°、24.9°、26.2°、27.2°、及び29.1°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、5.7°、7.8°、11.6°、13.2°、15.8°、16.0°、17.0°、17.5°、18.8°、19.2°、22.4°、22.8°、23.4°、24.9°及び26.2°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、5.7°、11.6°、13.2°、15.8°、17.0°、18.8°、19.2°、22.4°、23.4°、及び26.2°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、5.7°、11.6°、15.8°、17.0°、19.2°、22.4°、23.4°及び26.2°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、又は8のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、5.7°、11.6°、15.8°、17.0°、及び22.4°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、5.7°、11.6°及び22.4°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bの多形は、5.7°、7.8°、9.3°、11.4°、11.6°、12.5°、12.9°、13.2°、14.0°、15.0°、15.8°、16.0°、17.0°、17.5°、18.8°、19.2°、19.8°、20.5°、21.0°、21.4°、21.9°、22.4°、22.8°、23.4°、24.2°、24.9°、26.2°、27.2°、28.1°、29.1°及び31.6°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図28によるPXRDパターンによって特徴付けられるビスp-エタンスルホン酸塩である。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-エタンスルホン酸塩は、Cu-Kα光源を照射した場合、5.7°、6.8°、7.4°、11.5°、14.8°、15.2°、17.6°、18.4°、20.2°、20.5°、22.1°、22.3°、23.2°、23.6°、23.8°、25.2°、25.6°、25.8°、26.4°、27.5°、28.1°、及び28.8°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-エタンスルホン酸塩は、6.8°、7.4°、14.8°、15.2°、18.4°、20.5°、22.3°、25.2°、25.6°、及び26.4°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-エタンスルホン酸塩は、6.8°、7.4°、14.8°、15.2°、及び20.5°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-エタンスルホン酸塩は、6.8°、7.4°及び14.8°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-エタンスルホン酸塩は、5.7°、6.8°、7.4°、11.5°、14.8°、15.2°、17.6°、18.4°、20.2°、20.5°、22.1°、22.3°、23.2°、23.6°、23.8°、25.2°、25.6°、25.8°、26.4°、27.5°、28.1°及び28.8°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
幾つかの実施態様では、式(I)の塩は、図7によるPXRDパターンによって特徴付けられるビスp-メタンスルホン酸塩である。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-メタンスルホン酸塩は、Cu-Kα光源を照射した場合、5.6°、7.1°、7.6°、11.4°、15.1°、15.4°、16.6°、18.2°、20.4°、21.5°、22.3°、22.7°、23.1°、24.4°、24.9°及び25.6°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-メタンスルホン酸塩は、7.1°、7.6°、11.4°、15.1°、15.4°、18.2°、21.5°、23.1°、24.4°、24.9°、及び25.6°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-メタンスルホン酸塩は、7.1°、7.6°、15.1°、15.4°、18.2°、21.5°、23.1°、24.4°、24.9°、及び25.6°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-メタンスルホン酸塩は、7.1°、7.6°、15.4°、18.2°、21.5°、及び23.1°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、5、又は6のピーク、3以上のピーク、又は5以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-メタンスルホン酸塩は、7.1°、7.6°、15.4°、18.2°、及び23.1°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、3、4、又は5のピーク、又は3以上のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかのそのような実施態様では、式(I)のビスp-メタンスルホン酸塩は、7.1°、7.6°、及び15.4°の回折角2θ±0.2°値のピークから選択される1、2、又は3のピークを有するPXRDパターンによって特徴付けられる。幾つかの実施態様では、式(I)のビスp-メタンスルホン酸塩は、5.6°、7.1°、7.6°、11.4°、15.1°、15.4°、16.6°、18.2°、20.4°、21.5°、22.3°、22.7°、23.1°、24.4°、24.9°及び25.6°の回折角2θ±0.2°値において10%以上のI/Io比を有するピークによって特徴付けられる。
[式(I)の化合物とその塩の結晶形態の調製]
幾つかの実施態様では、式(I)の結晶性の酸塩形態は、(a)有機溶媒と式(I)の化合物の遊離塩基を組み合わせて混合物を形成する工程;(b)工程(a)で得られた混合物に式(I)の1当量当たり2~3当量の酸を加えて、固体結晶性の式(I)の塩を含むスラリーを形成する工程;及び(c)スラリーから結晶性の式(I)の塩を単離する工程を含む方法によって調製されうる。塩は場合によっては乾燥させられうる。
幾つかの実施態様では、酸は、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びそれらの混合物から選択される。
幾つかの実施態様では、有機溶媒は本質的に無水である。有機溶媒の例には、例えば、限定されないが、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(「THF」)、イソプロピルアルコール(「IPA」)、DMF、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル(「ACN」)、メチルエチルケトン、及びそれらの組み合わせが含まれる。幾つかの実施態様では、溶媒は水を更に含みうる。
幾つかの実施態様では、溶媒と式(I)の混合物は溶液である。幾つかの実施態様では、溶媒と式(I)の混合物は、懸濁液又はスラリーである。そのような実施態様では、溶媒の最小量は、式(I)の化合物の遊離塩基又はその塩が適切な温度(例えば、還流下)で可溶性である量であるか、又は所望の温度で懸濁液が撹拌されうる量である。溶媒の最大量は狭くは限定されず、実用的な収率と許容可能な純度の結晶生成物を製造するのに適した式(I)又はその塩の濃度をもたらす溶媒の量である。
式(I)の化合物に対する酸の当量比は、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9又は約3.0、及びそれらの範囲、例えば、約2~約3、約2~約2.5、又は約2.2~約2.3である。
式(I)の化合物のビス塩酸塩の結晶形態は、次の工程を含む方法により製造することができる。式(I)の遊離塩基を溶媒と混合して、混合物を形成する。混合物は、適切にはスラリー又は溶液でありうる。幾つかの態様では、混合物は加熱されうる。幾つかの態様では、混合物は加熱して還流させうる。式(I)の1当量当たり約2~約3当量の塩酸を混合物に加えて、固体結晶性の式(I)のビス塩酸塩を含むスラリーを形成する。幾つかの態様では、式(I)のビス塩酸塩の結晶化を促進するために、スラリーを例えば約25℃未満に冷却することができる。固体結晶性の式(I)のビス塩酸塩は、例えば、濾過又は遠心分離を含む当該技術分野で既知の手段により、スラリーから単離することができる。単離された結晶性の式(I)のビス塩酸塩は、不純物を除去するために場合によっては洗浄されうる。ついで、結晶は、例えば、真空オーブン乾燥又は流動床乾燥を含む、当該技術分野で既知の手段によって乾燥されうる。
幾つかの実施態様では、有機溶媒は、メタノール、エタノール及びそれらの混合物から選択される。そのような態様では、乾燥された結晶性の式(I)のビス塩酸塩形態(I)は、水蒸気を含む空気への曝露により水和される。幾つかの態様では、結晶性の式(I)のビス塩酸塩の多形形態Iは三水和物である。
幾つかの特定の実施態様では、式(I)の遊離塩基は、場合によっては、アルコール溶媒と混合して溶液を形成し、続いて濾過することができる。幾つかの態様では、溶媒はエタノール又はメタノールであるか、又はメタノールである。溶液中の式(I)の遊離塩基の濃度は、適切には約1g/L~約25g/L、約5g/L~約20g/L、又は約10g/Lである。温度は、式(I)の遊離塩基濃度で溶液となるように選択され、例えば、約35℃~約60℃又は約35℃~約50℃などの30℃より高い。活性炭を、場合によっては、撹拌しながら混合物に添加してもよい。次に、この混合物を、場合によってはセライト(登録商標)(珪藻土)などの濾過助剤で濾過する。次に、濾液を、例えば蒸発により濃縮して、式(I)の遊離塩基残留物を形成することができる。次に、残留物をエタノールに懸濁させる。幾つかの態様では、エタノールは水性エタノールである。幾つかの態様では、水性アルコールは、約70%エタノール~約90%エタノール、例えば約80%エタノールである。懸濁液中の式(I)の遊離塩基の含有量は、適切には約10g/L~約150g/L、約25g/L~約75g/L、又は約50g/Lである。塩酸を懸濁液に添加して、本明細書の他の箇所に記載されているような、酸対式(I)の遊離塩基の当量比、例えば約2~約3、約2~約2.5、又は約2.2~約2.3の混合物を形成する。混合物を、例えば還流するなど、撹拌しながら加熱し、式(I)の遊離塩基から式(I)のビス塩酸塩への転換を本質的に完了するのに十分な時間保持する。次に、混合物を、例えば約35℃未満まで冷却し、式(I)のビス塩酸塩形態Iを、濾過などによって単離する。式(I)のビス塩酸塩形態Iは、約40℃~約60℃などの適切な温度で真空下で乾燥させる。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。次に、乾燥した固形物を、水蒸気を含む空気に曝露して、水和した式(I)のビス塩酸塩結晶性多形形態Iを形成する。加湿条件は、適切には、約50%RH~約95%RH、約60%RH~約90%RH、又は約70%RH~約80%RHの空気に曝露した状態で約30℃~約50℃である。
幾つかの実施態様では、有機溶媒はDMFであり、乾燥させた結晶性の式(I)ビス塩酸塩は、多形形態Vである。そのような実施態様では、式(I)の遊離塩基をDMFと組み合わせて、約10g/L~約200g/L、約25g/L~約150g/L、又は約50g/L~約75g/Lの式(I)の含有量を有する懸濁液を形成する。懸濁液を加熱して溶液を形成する。幾つかの態様では、温度は、例えば約120℃、約140℃などの100℃を超えるか、又は還流温度である。本明細書の他の箇所に記載されているように、式(I)の遊離塩基に対する酸の当量比で塩酸を溶液に添加して、固体結晶性の式(I)のビス塩酸塩形態Vを含む懸濁液を形成する。幾つかの態様では、酸添加前に、溶液を約80℃などの100℃未満に冷却する。次に、懸濁液を冷却し、撹拌しながら、例えば約30℃未満で少なくとも1時間エージングさせ、式(I)のビス塩酸塩の多形形態Vを、例えば濾過によって単離する。式(I)のビス塩酸塩形態Vを、真空下で、約40℃~約60℃などの適切な温度で乾燥させる。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。
結晶形態II、結晶形態III、結晶形態IV、及び結晶形態VIを含む式(I)のビス塩酸塩の様々な結晶形態を、結晶形態Iから製造することができる。
図25は、式(I)の化合物のビス塩酸塩の多形間の多形間の相互転換を図示し要約する。結晶形態II、形態III、及び形態IV並びに非晶質形態は、結晶形態Iの再結晶化によって調製することができる。結晶形態Vは、式(I)の化合物の遊離塩基から調製することができる。結晶形態VIは、水分吸収(例えば、60%を超える相対湿度)により結晶形態Iに転換させることができる。式(I)の他の全ての結晶形態は、約80%エタノール中の同じ還流条件で結晶形態Iに転換させることができる。
幾つかの実施態様では、式(I)のビス塩酸塩の多形形態IIは、形態Iから調製することができる。幾つかのそのような実施態様では、形態Iの式(I)のビス塩酸塩を、メタノール及びTHFと合わせ、その後加熱し、冷却し及び乾燥させて、形態IIを生成する。メタノール/THF中の形態Iの濃度は、適切には約5g/L~約100g/L、約10g/L~約50g/L、又は約10g/L~約30g/Lである。メタノールとTHFの体積比は、適切には約1.5:1~約0.25:1、約1:1~約0.5:1、又は約0.75:1~約0.5:1である。温度は適切には少なくとも60℃又は還流である。次に、混合物を冷却し、撹拌しながら、例えば約30℃未満で少なくとも1時間エージングさせ、式(I)のビス塩酸塩の多形形態IIを、例えば濾過によって単離する。形態IIの多形は、真空下、例えば約40℃~約60℃などの適切な温度で乾燥される。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。次に、乾燥した固形物を、水蒸気を含む空気に曝して、水和形態IIを形成する。加湿条件は、適切には、約15℃~約50℃、又は約15℃~約35℃であり、約40%RH~約90%RH、約40%RH~約80%RH、又は約50%RH~約70%RHの空気に曝される。形態Iは、形態Iの調製に関連して本明細書の他の場所に記載されているように、水性エタノール中での加熱、単離、乾燥、及び加湿によって形態IIから再生されうる。
幾つかの実施態様では、式(I)のビス塩酸塩の多形形態IIIは、形態Iから調製することができる。幾つかのそのような実施態様では、形態Iの式(I)のビス塩酸塩を、メタノール及びIPAと合わせ、その後加熱し、冷却し及び乾燥させて、形態IIを生成する。メタノール/IPA中の形態Iの濃度は、適切には約5g/L~約100g/L、約10g/L~約50g/L、又は約10g/L~約30g/Lである。メタノールとIPAの体積比は、適切には約1.5:1~約0.25:1、約1:1~約0.5:1、又は約0.75:1~約0.5:1である。温度は適切には少なくとも60℃又は還流である。次に、混合物を冷却し、撹拌しながら、例えば約30℃未満で少なくとも1時間エージングさせ、式(I)のビス塩酸塩の多形形態IIIを、例えば濾過によって単離する。形態IIIの多形は、真空下、例えば約40℃~約60℃などの適切な温度で乾燥される。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。次に、乾燥した固形物を、水蒸気を含む空気に曝して、水和形態IIIを形成する。加湿条件は、適切には、約15℃~約50℃、又は約15℃~約35℃であり、約40%RH~約90%RH、約40%RH~約80%RH、又は約50%RH~約70%RHの空気に曝される。形態Iは、形態Iの調製に関連して本明細書の他の場所に記載されているように、水性エタノール中での加熱、単離、乾燥、及び加湿によって形態IIIから再生されうる。
幾つかの実施態様では、式(I)のビス塩酸塩の多形形態IVは、形態Iから調製することができる。幾つかのそのような実施態様では、形態Iの式(I)のビス塩酸塩を、DMFと組み合わせ、その後加熱し、冷却し及び乾燥させて、形態IVを生成する。DMF中の形態Iの濃度は、適切には約25g/L~約250g/L、約50g/L~約150g/L、又は約75g/L~約125g/Lである。溶液は、適切には少なくとも130℃の温度で形成され、又は還流されて、溶液を形成する。次に、混合物を冷却し、撹拌しながら、例えば約30℃未満で少なくとも1時間エージングさせる。冷却中又は冷却後などに、種結晶を場合によっては添加してもよい。式(I)のビス塩酸塩の多形形態IVは、例えば濾過によって単離される。形態IVの多形は、真空下、例えば約40℃~約60℃などの適切な温度で乾燥される。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。形態Iは、形態Iの調製に関連して本明細書の他の場所に記載されているように、水性エタノール中での加熱、単離、乾燥、及び加湿によって形態IVから再生されうる。
幾つかの実施態様では、式(I)のビス塩酸塩の多形形態VIは、形態Iから調製することができる。幾つかのそのような実施態様では、形態Iの式(I)ビス塩酸塩は、約40℃~約60℃などの適切な温度で真空下で乾燥される。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。幾つかの態様では、形態Iは、約40%RH~約90%RH、約40%RHRH~約80%RH、又は約50%RH~約70%RHの空気に曝しながら、約15℃~約35℃の加湿条件で水水和により形態VIから再生することができる。幾つかの他の態様では、形態Iは、少なくとも1日の間、約10%RH~約50%RH、又は約10%RH~約30%RHの空気に曝しながら、適切には約15℃~約30℃の加湿条件で水水和により形態VIから再生することができる。
幾つかの実施態様では、非晶質の式(I)のビス塩酸塩は、結晶性の式(I)のビス塩酸塩(例えば、形態I)で調製されてもよい。ビス塩酸塩は、約50g/L~約400g/L、約100g/L~約300g/L、又は約150g/L~約250g/Lの濃度でDMSOと組み合わされ、続いて、混合しながら少なくとも100℃、少なくとも110℃、又は少なくとも120℃に加熱して、溶液を形成する。溶液を35℃未満に冷却し、続いて貧溶媒(例えば、アセトン)を添加して、非晶質の式(I)のビス塩酸塩のスラリーを形成する。アセトン対DMSOの体積比は、適切には少なくとも0.5:1、少なくとも1:1又は少なくとも2:1である。非晶質の式(I)のビス塩酸塩は、濾過などによって単離され、真空下で、約40℃~約60℃などの適切な温度で乾燥される。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。
幾つかの実施態様では、結晶性の式(I)のビス硫酸水素塩は、式(I)の遊離塩基から調製することができる。そのような実施態様では、式(I)の遊離塩基は、アルコール溶媒(例えば、メタノール)と組み合わされて、約10g/L~約150g/L、約20g/L~約100g/L、又は約25g/L~約75g/Lの適切な濃度で混合物を形成する。幾つかの態様では、メタノールは、約80%などの約70%~約90%のメタノール含有量を有する水性メタノールである。硫酸を混合物に添加して、本明細書の他の場所に記載されるような酸対式(I)の遊離塩基の当量比、例えば約2~約3、約2~約2.5、又は約2.2~約2.3で混合物を形成する。幾つかの態様では、反応は周囲温度で行われうる。混合物を撹拌し、懸濁液中の式(I)の遊離塩基から固体の式(I)のビス硫酸水素塩への転換を本質的に完了させるのに十分な時間保持する。式(I)のビス硫酸水素塩は、例えば濾過により単離され、真空下で適切な温度、例えば約40℃~約60℃で乾燥される。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。
幾つかの実施態様では、結晶性の式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aは、式(I)の遊離塩基から調製されうる。そのような実施態様では、式(I)の遊離塩基をアセトンと組み合わせて、約10g/L~約150g/L、約20g/L~約100g/L、又は約25g/L~約75g/Lの適切な濃度で混合物を形成する。p-トルエンスルホン酸を混合物に加えて、本明細書の他の箇所に記載されている酸対式(I)の遊離塩基の当量比、例えば約2~約3、約2~約2.5、又は約2.2~約2.3で混合物を形成する。幾つかの態様では、反応は周囲温度で行われうる。混合物を撹拌し、懸濁液中の式(I)の遊離塩基から固体結晶性の式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Aへの転換を本質的に完了させるのに十分な時間保持し、濾過などにより塩を単離し、約40℃~約60℃などの適切な温度で真空下で乾燥させる。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。
幾つかの実施態様では、結晶性の式(I)ビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bは、式(I)の遊離塩基から調製されうる。そのような実施態様では、式(I)の遊離塩基をACNと組み合わせて、約10g/L~約150g/L、約20g/L~約100g/L、又は約25g/L~約75g/Lの適切な濃度で混合物を形成する。p-トルエンスルホン酸を混合物に添加して、本明細書の他の箇所に記載されている酸対式(I)の遊離塩基の当量比、例えば約2~約3、約2~約2.5、又は約2.2~約2.3で混合物を形成する。幾つかの態様では、反応は周囲温度で行われうる。混合物を撹拌し、懸濁液中の式(I)の遊離塩基から固体結晶性の式(I)のビスp-トルエンスルホン酸塩形態Bへの転換を本質的に完了させるのに十分な時間保持し、濾過などにより塩を単離し、約40℃~約60℃などの適切な温度で真空下で乾燥させる。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。
幾つかの実施態様では、結晶性の式(I)のビスエタンスルホン酸塩は、式(I)の遊離塩基から調製されうる。そのような実施態様では、式(I)の遊離塩基は、アルコール溶媒(例えば、エタノール)と組み合わされて、約10g/L~約150g/L、約20g/L~約100g/L、又は約25g/L~約75g/Lの適切な濃度で混合物を形成する。エタンスルホン酸を混合物に添加して、本明細書の他の箇所に記載されるような酸対式(I)遊離塩基の当量比、例えば約2~約3、約2~約2.5、又は約2.2~約2.3で混合物を形成する。幾つかの態様では、反応は、約70℃を超える温度で、又は還流で行われうる。混合物を撹拌し、懸濁液中の式(I)の遊離塩基から固体結晶性の式(I)のエタンスルホン酸塩への転換を本質的に完了させるのに十分な時間、約35℃未満の温度で保持し、濾過などにより、塩を単離し、真空下で約40℃~約60℃などの適切な温度で乾燥させる。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。
幾つかの実施態様では、結晶性の式(I)のビスメタンスルホン酸塩は、式(I)の遊離塩基から調製されうる。そのような実施態様では、式(I)の遊離塩基は、アルコール溶媒(例えば、エタノール)と組み合わされて、約10g/L~約150g/L、約20g/L~約100g/L、又は約25g/L~約75g/Lの適切な濃度で混合物を形成する。メタンスルホン酸を混合物に添加して、本明細書の他の箇所に記載されるような酸対式(I)の遊離塩基の当量比、例えば、約2~約3、約2~約2.5、又は約2.2~約2.3で混合物を形成する。幾つかの態様では、反応は、約70℃を超える温度で、又は還流で行われうる。混合物を撹拌し、懸濁液中の式(I)の遊離塩基の固体結晶性の式(I)のメタンスルホン酸塩への転換を本質的に完了させるのに十分な時間、約35℃未満の温度で保持し、濾過などにより、塩を単離し、真空下で約40℃~約60℃などの適切な温度で乾燥させる。乾燥した固形物は、場合によっては破砕又は粉砕されうる。
[医療用途と薬学的組成物]
国際公開第2013/100632号に開示されているように、式(I)の化合物は、プロテインキナーゼの異常活性化によって引き起こされる異常細胞増殖疾患の予防又は治療に有用であることが示されている。
一実施態様では、本発明は、プロテインキナーゼの活性を阻害することによる異常細胞増殖疾患の予防又は治療における使用のための、ここに記載される式(I)の化合物の塩、式(I)の化合物の塩の結晶形態、又は式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形態を更に提供する。
更なる実施態様では、本発明は、ここに記載される式(I)の化合物の塩、又は式(I)の化合物の塩の結晶形態の治療有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、異常細胞増殖疾患の予防又は治療方法を提供する。
更なる実施態様では、プロテインキナーゼは、ALK、AMPK、オーロラA、オーロラB、オーロラC、Axl、Blk、Bmx、BTK、CaMK、CDK2/サイクリンE、CDK5/p25、CHK1、CK2、A-Raf、B-Raf、C-Raf、DDR1、DDR2、DMPK、EGFR1、Her2、Her4、EphA1、EphB1、FAK、FGFR2、FGFR3、FGFR4、Flt-1、Flt-3、Flt-4、Fms(CSF-1)、Fyn、GSK3ベータ、HIPK1、IKKベータ、IGFR-1R、IR、Itk、JAK2、JAK3、KDR、Kit、Lck、Lyn、MAPK1、MAPKAP-K2、MEK1、Met、MKK6、MLCK、NEK2、p70S6K、PAK2、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、PDK1、Pim-1、PKA、PKBアルファ、PKCアルファ、Plk1、Ret、ROCK-I、Rsk1、SAPK2a、SGK、Src、Syk、Tie-2、Tec、Trk及びZAP-70から選択される。
更なる実施態様では、予防又は治療される異常細胞増殖疾患は、胃がん、肺がん、肝臓がん、結腸直腸がん、小腸がん、膵臓がん、脳がん、骨がん、黒色腫、乳がん、硬化性腺症、子宮がん、子宮頸がん、頭頸部がん、食道がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、腎がん、肉腫、前立腺がん、尿道がん、膀胱がん、血液がん、リンパ腫、線維腺腫、炎症、糖尿病、肥満、乾癬、関節リウマチ、血管腫、急性及び慢性腎疾患、冠動脈再狭窄、自己免疫疾患、喘息、神経変性疾患、急性感染症、血管新生に起因する眼疾患から選択される。
この実施態様では、式(I)の化合物の塩又は式(I)の化合物の塩の結晶形態は、プロテインキナーゼの異常な活性化によって引き起こされる異常な細胞増殖疾患を予防し又は治療するための薬学的組成物の調製に使用されうる。薬学的組成物は、上記の塩又は塩の結晶形態について記載したものと同じ疾患を予防し又は治療するために使用されうる。
従って、本発明は、好ましくは結晶形態での、式(I)の化合物の塩、又は式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形態と少なくとも一種の薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、プロテインキナーゼの異常活性化によって引き起こされる異常細胞増殖疾患の予防又は治療に使用されうる。
好ましくは結晶形態の、式(I)の化合物の塩又はそれを含む薬学的組成物の投与用量は、治療される対象、疾患の重症度又は対象の健康状態、投与率、及び医師の決定によって変わりうるが、それは、例えば70kgの体重を有するヒト対象に、経口又は非経口投与経路によって、式(I)の化合物基準で遊離塩基として10mg~2000mgの量で、好ましくは50mg~1000mgの量で、毎日1~4回、又はオン/オフスケジュールで従来通り投与されうる。場合によっては、上記よりも低投与量、有害な副作用を引き起こさない場合は、上記よりも高投与量を投与するのがより適切であるかもしれず、有意に多い投与量が投与される場合には、投与は、一回の投与当たりより少ない投与量で数回に分割された用量で毎日実施されてもよい。
本発明に係る薬学的組成物は、例えば錠剤、丸剤、粉剤、カプセル、シロップ、乳濁液、マイクロエマルジョンなど、一般的な方法による経口投与のための、又は非経口投与のための様々な製剤として調製することができる。
薬学的組成物は、担体、希釈剤、アジュバント、及びビヒクルを含む、任意の一般的な非毒性の薬学的に許容される賦形剤を含みうる。
本発明に係る薬学的組成物が経口投与用の製剤として調製される場合、使用される担体には、例えば、限定されないが、セルロース、ケイ酸カルシウム、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、デキストロース、リン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ゼラチン、タルク、界面活性剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、及びそれらの組み合わせが含まれうる。加えて、薬学的組成物が経口投与用の製剤として調製される場合、使用される希釈剤には、例えば、限定されないが、ラクトース、マンニトール、糖類、微結晶性セルロース、セルロース誘導体、コーンスターチ、及びそれらの組み合わせが含まれうる。経口投与用の製剤はまた、例えば、限定されないが、ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー)、抗酸化剤、保存料、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、加工助剤、造粒剤、分散剤、着色料、香味料を含みうる。
圧縮錠剤は、粉末又は顆粒などの流動性形態の活性成分を適切な機械で圧縮し、場合によっては結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性又は分散剤と混合することにより調製できる。成形錠剤は、適切な機械で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状活性成分の混合物を成形することによって作製することができる。錠剤は、場合によってはコーティングされ又は割線入れされうる。錠剤はコーティングされていなくてもよく、又はマイクロカプセル化を含む既知の技術でコーティングされて、消化管中での崩壊と吸着を遅らせ、それにより長期間にわたる持続性作用を付与することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質を単独で、又はワックスと共に用いることができ、場合によっては、そこからの活性成分の徐放又は制御放出をもたらすように製剤化される。
本発明に係る薬学的組成物が注射用製剤として調製される場合、使用される担体には、例えば、限定されないが、水、生理食塩水、グルコース水溶液、糖様水溶液、アルコール、グリコール(例えば、ポリエチレングリコール400)、エーテル、油、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリド、界面活性剤、懸濁剤、乳化剤、及びそれらの組み合わせが含まれる。
結合標的が脳内にある場合、本発明の所定の実施態様は、血液脳関門を通過することができる式(I)の化合物の形態を提供する。所定の神経変性疾患は、式(I)の化合物を脳に容易に導入することができるように、血液脳関門の透過性の増加と関連している。血液脳関門がそのまま残っている場合、限定されないが、物理的方法、脂質ベース法、受容体及びチャネルベース方法を含む、分子をそれを越えて輸送するための幾つかの技術的に既知のアプローチが存在する。
式(I)の化合物を血液脳関門を越えて輸送する物理的方法は、血液脳関門を完全に迂回すること、又は血液脳関門に開口を作成することを含むが、これらに限定されない。
迂回方法には、脳への直接注射(例えば、Papanastassiou等, Gene Therapy 9:398-406, 2002を参照)、間質注入/対流強化送達(例えば、Bobo等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91 :2076-2080, 1994を参照)、及び脳内への送達デバイスの埋め込み(例えば、Gill等, Nature Med. 9:589-595, 2003;及びGliadel Wafers, Guildford)が含まれるが、これらに限定されない。
関門に開口を作成する方法には、超音波法(例えば、米国特許出願公開第2002/0038086号を参照)、浸透圧法(例えば、高浸透圧マンニトールの投与による(Neuwelt, E. A., Implication of the Blood-Brain Barrier and its Manipulation, Volumes 1 and 2, Plenum Press, N.Y., 1989))、及び例えばブラジキニン又は透過処理剤A-7による透過処理(例えば、米国特許第5112596号、第5268164号、第5506206号、及び第5686416号を参照)が含まれるが、これらに限定されない。
式(I)の化合物を血液脳関門を越えて輸送する脂質ベース法には、限定されないが、血液脳関門の血管内皮上の受容体に結合する抗体結合断片に結合されたリポソームに式(I)の化合物をカプセル化するもの(例えば、米国特許出願公開第2002/0025313号を参照)、及び式(I)の化合物を低密度リポタンパク質粒子(例えば、米国特許出願公開第2004/0204354号を参照)又はアポリポタンパク質E(例えば、米国特許出願公開第2004/0131692号を参照)でコーティングするものが含まれる。
式(I)の化合物を血液脳関門を越えて輸送する受容体及びチャネルベース法には、限定されないが、糖質コルチコイドブロッカーを使用して血液脳関門の透過性を増加させるもの(例えば、米国特許出願公開第2002/0065259号、第2003/0162695号、及び第2005/0124533号を参照);カリウムチャネルを活性化するもの(例えば、米国特許出願公開第2005/0089473号を参照)、ABC薬物輸送体を阻害するもの(例えば、米国特許出願公開第2003/0073713号を参照)。式(I)の化合物をトランスフェリンでコーティングし、一又は複数のトランスフェリン受容体の活性を調節するもの(例えば、米国特許出願公開第2003/0129186号を参照)、及び抗体をカチオン化するもの(例えば、米国特許第5004697号を参照)が含まれる。
脳内使用の場合、所定の実施態様では、薬学的組成物は、CNSの流体リザーバーへの注入によって連続的に投与することができるが、ボーラス注射は許容されうる。薬学的組成物は、脳室に投与するか、そうでなければCNS又は脊髄液に導入することができる。投与は、留置カテーテルとポンプなどの連続投与手段を使用することによって実施することができ、又は移植、例えば徐放性ビヒクルの脳内移植によって投与することができる。より具体的には、薬学的組成物は、慢性的に埋め込まれたカニューレを介して注射されうるか、又は浸透圧ミニポンプの助けを借りて慢性的に注入されうる。小さなチューブを通して脳室にタンパク質を送達する皮下ポンプが利用可能である。高度に洗練されたポンプは皮膚を通して補充することができ、その送達速度は外科的介入なしで設定できる。完全に埋め込まれた薬物送達システムを介した皮下ポンプデバイス又は連続脳室内注入を含む適切な投与プロトコル及び送達システムの例は、Harbaugh, J. Neural Transm. Suppl. 24:271, 1987;及びDeYebenes等, Mov. Disord. 2: 143, 1987に記載されているように、アルツハイマー病患者及びパーキンソン病の動物モデルへのドーパミン、ドーパミンアゴニスト、及びコリン作動性アゴニストの投与に使用されているものである。
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、例示目的のみのためであり、本発明はこれらの実施例によって限定されることは意図されない。
[PXRDの分析装置及び方法]
サンプルのPXRD分析を、D8 Advance(Bruker ASX, 独国)アナライザーを使用して、3°2θ~40°2θの範囲で実施した。所与のサンプルの量が100mg未満の場合、約5mg~10mgのサンプルを、サンプルホルダーに取り付けたスライドガラス上に穏やかに押し付けた。所与のサンプルの量が100mgを超える場合、約100mgのサンプルをプラスチック製のサンプルホルダーに穏やかに押し付け、サンプル表面が平らになり、サンプルホルダーレベルの直ぐ上に位置するようにした。
測定は次のように実施した。アノード材料(Kα):CuKα(1.54056Å)。スキャン範囲:3°~40°。発電機の設定:100mA、40.0kV。スキャン速度:1秒/ステップ。ダイバースリット:0.3°。散乱防止スリット:0.3°。温度:20℃。ステップサイズ:0.02°2θ。ローテーション:使用。ゴニオメーター半径:435mm。
[示差走査熱量測定(DSC)の分析装置及び方法]
示差走査熱量計(DSC)分析を、STA-1000(Scinco、韓国)で30℃~350℃で実施した。5mg~10mgの量のサンプルを秤量し、アルミニウムDSCファンに加え、ファンを穿孔アルミニウム蓋で非密封方式でシールした。次に、サンプルをスキャン速度10℃/分で30℃から350℃に加熱し、発生した熱流反応をDSCで監視した。
[動的蒸気収着(DVS)の分析装置及び方法]
動的蒸気収着(DVS)分析を、DVSアドバンテージ(表面測定システム、英国)アナライザーで25℃、相対湿度0%~90%で実施した。10mgの量のサンプルをワイヤーメッシュ蒸気収着バランスパンに入れ、ついで表面測定システムを介してDVSアドバンテージ動的蒸気収着バランスに取り付けた。サンプルを、安定した重量が達成されるまで(99.5%ステップ完了)、各ステップにサンプルを維持しながら、10%増分で0%から90%の相対湿度の勾配プロファイルに供した。収着サイクルが完了すると、相対湿度を0%に維持しながら、同じプロセスを使用してサンプルを乾燥させた。吸着/脱着サイクル中のサンプル重量の変化(3回繰り返した)を記録し、サンプルの吸湿性を測定した。DVS等温線図を図1、3、6、10、13、16及び19に示す。ここで、標的PP(%)は相対湿度を指し、「SORP」は吸着を指し、「DESORP」は脱着を指す。
[式(I)の化合物の塩の結晶形態の調製]
実施例1:式(I)の塩スクリーニング
式(I)の様々な塩形態を式(I)の遊離塩基から調製し、水溶性、PXRD、DSC、DVS及び吸湿性によって特徴付けた。
実施例1A:式(I)のビス塩酸塩のpKa値の評価
式(I)のビス塩酸塩を、以下に記載されるように調製した。pKa値はGLpKa法で測定し、3.86(pKa1)、4.73(pKa2)、及び10.30(pKa3)と決定した。これらのpKa値に基づき、式(I)は弱塩基性化合物であると考えられる。
実施例1B:式(I)の酸塩の調製及び評価
実施例1Bの各塩について、40mL(20v/w)の適切な溶媒と2gの式(I)の遊離塩基の混合物を、室温で撹拌して形成した。示された酸(2.2当量)を混合物に加え、塩の形成を目視検査により監視した。得られた固体のビス酸塩を室温で24時間撹拌し、ついで濾過し、適切な溶媒で洗浄した。
式(I)のビス塩酸塩を調製し、PXRD、DSC及びDVSによって特徴付けた。
ビス塩酸塩のPXRDの結果を図34及び表1に示し、DSCの結果を図2に示し、DVSの結果を図3に示す。表1では、回折角を2θ度で報告し、d値をオングストロームで報告し、強度をカウント/秒で報告している。
表1
2θ:回折角;d:結晶面間の距離;I/I0(%):相対強度(Iは各ピークの強度を示し;I0は最も高いピークの強度を示す)
式(I)のビス塩酸塩の吸湿性を、25℃及び75%RHで測定し、含水量を、6.2%から11.7%に増加すると決定した。
式(I)のビス硫酸水素塩を調製し、PXRD、DSC及びDVSによって特徴付けた。
ビス硫酸水素塩のPXRDの結果を図4及び表2に示し、DSCの結果を図5に示し、DVSの結果を図6に示す。
表2
式(I)のビス硫酸水素塩の吸湿性を、25℃及び75%RHで測定し、含水量を、2.6%から17.1%に増加すると決定した。
式(I)のビスメタンスルホン酸塩を調製し、PXRD、DSC及びDVSによって特徴付けた。
ビスメタンスルホン酸塩のPXRDの結果を図7及び表3に示す。
表3
式(I)のビスベンゼンスルホン酸塩を調製し、PXRD、DSC及びDVSによって特徴付けた。
ビスベンゼンスルホン酸塩のPXRDの結果を図8に示す。2θ±0.2度の特性ピークは、7.17と7.58に示されている。
式(I)のビス臭化水素酸塩を調製し、PXRD、DSC及びDVSによって特徴付けた。
ビス臭化水素酸塩のPXRDの結果を図9に示す。図9は、塩が非晶質であることを示している。
実施例1Bの各塩の含水量、水への溶解度(mg/mL)、外観、塩収率(%)及びPXRDの結果を表4にまとめる。表中、「MsOH」はメタンスルホン酸を指し;「BsOH」はベンゼンスルホン酸を指し;「OW」はオフホワイトを指し;「W」は白を指し;「Cryst」は結晶を指し;「Amorph」は非晶質を指す。溶解度は、KP、USP及びEPの一般的な章に従ってHPLCで測定した。要約すると、塩は一般に水にほとんど溶けず、pH1.6の緩衝液に極めて溶けにくく、3を超えるpHを有する緩衝液にほとんど溶けなかった。
表4
実施例2:結晶性の式(I)のビス塩酸塩の多形形態Iの物理化学的性質
式(I)のビス塩酸塩の多形形態Iを、実施例3の方法によって調製した。
式(I)のビス塩酸塩の形態Iの物理化学的特性を、外観、吸湿性、水溶液のpH、融点/熱分析、解離定数、分配係数及び形態(すなわち、結晶又は非晶質)を含めて測定した。
外観を、韓国薬局方,第10版に詳述されている試験に従って評価した。外観は、淡褐色又はオフホワイトの粉末であると決定された。
溶解度を、KP、USP及びEPの一般的な章に従ってHPLCで測定した。式(I)のビス塩酸塩は、pH1.2及びpH2.0の緩衝液に極めて溶けにくく、pH3.0を超える緩衝液と水にほとんど溶けなかった。式(I)のビス塩酸塩は、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノールに極めて溶けにくく、ジクロロメタン、ACN、酢酸エチル、n-ヘキサン、及びエチルエーテルにほとんど溶けなかった。溶解度の結果は、HPLC試験と観察試験の間で同じであった。HPLC試験及び観察試験による溶解度の結果を表5に示す。
表5
吸湿性をDVSによって測定し、式(I)のビス塩酸塩のDVS曲線をDVS Advantage Iアナライザー(SMS、英国)で記録した。DVSは、水の表面吸着効果を測定するために、25℃において0%RHから90%RHまで3サイクルにわたって操作した。図10は式(I)のビス塩酸塩形態Iの水分吸収挙動を示す。
DVSの結果は、0%RH~90%RHでの水分吸収及び脱着による含水量(%)の変化を示している。水分吸収は急速に起こり(0%RHから20%RHまで約9.4%)、その後、水分吸収率は20%RHから90%RHに14.1%に増加した。水の脱着は、90%RHから10%RHまで約5.2%までゆっくりと発生し、その後、水の脱着は10%RHから約0%RHまで約8.9%まで急速に減少した。含水量の結果は、吸収-脱着プロセス中の再現可能な結果であった。水分吸収は0%RHから90%RHで約14.1%であることを確認した。式(I)のビス塩酸塩のDVSチャートを図10に示す。
水溶液のpHを、式(I)のビス塩酸塩の0.01%、0.1%、及び1%の水溶液を調製し、ついで溶液を室温で30分間振盪した後、濾過することにより測定した。濾過した水溶液のpHを、韓国薬局方の方法に従ってS2K713ポケットpHメーター(ISFETCOM、日本)で測定した。
式(I)のビス塩酸塩の水溶液(濃度=1%)のpHは、室温で約1.8であった。pHは濃度と共に低下した。0.1mg/mL(0.01%)の溶液のpHは3.9であり;1mg/mL(0.1%)の溶液のpHは2.6であり;10mg/mL(1%)の溶液のpHは1.8であった。
融点と熱分析をDSCで測定し、式(I)のビス塩酸塩のDSCサーモグラムを、10℃/分の速度で操作するSTA S-1000DSC(Scinco、韓国)で記録した。DSC曲線は、標準のアルミニウムカップで30℃から350℃で取得した。
DSCサーモグラムの結果は、式(I)のビス塩酸塩の融点(分解点)が197℃~225℃であることを示している。揮発性物質によって引き起こされる重量減少と幅広い吸熱ピークが40℃~150℃で観察され、融解と分解によって引き起こされる他の吸熱ピークが197℃(開始)~225℃(最大)で観察された。式(I)のビス塩酸塩は、目視観察により230℃~233℃で分解した。DSCプロットを図11に示す。
結晶性の式(I)のビス塩酸塩の多形形態Iは、三水和物であると考えられる。図11に示されるように、TGA/DSC試験において、約10%の重量減少が、40℃から150℃の間で観察され、これは水分損失によるものである。水の初期量はカールフィッシャー滴定によって確認した。TGA/DSC試験において失われた水の量は、一般に、三水和物中の8.92%の水の理論的な量に対応すると考えられる。式(I)のビス塩酸塩の製造バッチ中の含水量が理論値(8.92%)よりも高かった(約9から13%の水など)にもかかわらず、この結論に達した。如何なる特定の理論に束縛されるものではないが、約8.92%を超える含水量は、三水和物を得るために使用される加湿工程に由来すると思われる過剰な水分から生じると考えられる。そのようなプロセスの一例は次の通りである:(i)最終の結晶化工程で沈殿した式(I)のビス塩酸塩(三水和物として)の濾過工程;(ii)濾過されたウェットケーキを乾燥させて、高温で残留有機溶媒を除去する工程(この工程では、三水和物に対応する水の一部が除去されると考えられる);及び(iii)加湿工程による三水和物への回復工程。含水量が約8.92%を超えているにもかかわらず、製造バッチのビス塩酸塩の多形形態Iは三水和物として残っていると考えられる。
図10に示されるように、DVSによる分析は、式(I)のビス塩酸塩三水和物の多形形態Iの含水量が、相対湿度20%から90%で約9%から約14%、及び相対湿度90%から20%で約14%から約9%まで変化したことを示している。如何なる特定の理論に束縛されるものではないが、約8.92%を超える含水量(約14%の合計含水量の場合、最大約5%の過剰水)は、三水和物への水の吸着から生じたもので、結晶化による四水和物の形成(四水和物は、約11.6%の理論含水量を有しうる)から生じたものではないと考えられる。これは、三水和物サンプルのPXRDスペクトルが最大約5%の追加の含水量でも変化しなかったためである。
解離pKaを、T3(Sirius Analytical Instrument Ltd.、英国)で測定した。約1mgの式(I)のビス塩酸塩をGLpKaビーカーに移し、43%から53%のMDM溶液(ISA水/MeOH/ACN/p-ジオキサン=40/20/20/20、Sirius)で溶解させ、0.5NのHClでpH1.8に調整し、0.5NのKOHでpH12.2まで滴定した。水溶液としてのpKaは外挿により計算した。
式(I)のビス塩酸塩の解離定数(pKa)は、水溶液として3.86(pKa1)、4.73(pKa2)、及び10.30(pKa3)であると決定された。解離定数データを表6に示す。
表6
分配係数LogPを、T3(Sirius Analytical Instrument Ltd.、英国)で測定した。約1mgの式(I)のビス塩酸塩を15mLのGLpKaビーカーに加え、オクタノール/150mMのKClで溶解させ、0.5NのHClでpH1.8に調整し、0.5NのKOHでpH12.2まで滴定した。オクタノール-水系の分配係数を、以前に測定した解離定数の値を挿入することにより、滴定曲線からブランクの滴定曲線間の差を補正することによって決定した。
式(I)のビス塩酸塩の分配係数(LogD)は、pH7.4で5.24であると決定され、オクタノール相対水相中の式(I)のビス塩酸塩の分配比は、約200000対1であると決定された。式(I)のビス塩酸塩はpH11以上の中性状態で存在し、LogPは4.33であり、オクタノール相と水相における式(I)のビス塩酸塩の分配比は約200000対1である。式(I)のビス塩酸塩の分配係数の結果を表7に示す。
表7:
固体形態(結晶性又は非晶質)は、ドイツのBRUKER AXSにより製造され、CuKα(1.54056Å)線と回転を使用して、25℃、40.0KV及び100mAで操作するD8 ADVANCEに記録されたPXRDによって決定した。
図1に示されるように、式(I)のビス塩酸塩は結晶形態を有する。回折パターンのピークデータを表8に示す。
表8
実施例3:式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態I)の調製
式(I)の化合物の粗二塩酸塩(純度98.3%)を、ここで参照された国際公開第2013/100632号に開示された方法又はここで参照されたその類似の方法に従って調製した式(I)の遊離塩基から調製した。200gの式(I)の化合物と10Lのメタノールを20Lの反応器に入れ、続いて活性炭(20g)を入れた。反応混合物を40~45℃に加熱し、次に2時間撹拌した。反応混合物を約30℃に冷却し、セライトパッドで濾過し、1Lのメタノールで洗浄した。濾液を真空で濃縮した。残留物を4.0Lの80%エタノール水溶液に懸濁させ、ついで濃HCl溶液を加えた。混合物を還流して2時間撹拌し、ついで30℃に冷却して沈殿物を形成した。沈殿物を4時間濾過し、ついで2.0Lのエタノールで洗浄した。濾過した固形物を、50℃の真空オーブンで24時間乾燥させた。乾燥した固形物を粉砕し、湿度チャンバー(40℃、75%RH)に一晩保存した。収量:198g(99.0%);水分:12%;イオンクロマトグラフィーICによるHCl含有量:13.0%(2HClとしての理論値13.0%)。
[特性の分析]
実施例3において調製した結晶形態のPXRD分析の結果を図35に示し、DSCの結果を図12に示し、DVSの結果を図13に示す。
形態Iは、約221℃の開始温度(DSC)を有する融点によって特徴付けられた(図12)。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表9に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は5.89°、7.77°、8.31°、11.80°、16.68°、23.22°、23.69°、26.89°、27.51°、28.29°及び29.53°(2θ±0.2°)であった。
表9
実施例4:式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態II)の調製
実施例3で調製した式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態I)25gを反応器に入れ、ついで500mLのメタノールと750mLのTHFを加えた。得られた懸濁液を18時間還流して加熱した。反応混合物を20~25℃に冷却した。生成した沈殿物を濾過し、ついで125mLのTHFで洗浄した。濾過した固形物を50℃の真空オーブンで21時間乾燥させた。得られた固形物を粉砕し、湿度チャンバー(25℃、60%RH)で21時間保存した。収量:17.8g(71.0%);水分;13.9%;ICによるHCl含有量:13.2%(2HClとしての理論値13.0%)。
[特性の分析]
実施例4で調製された結晶形態のPXRD分析の結果を図14に示し、DSCの結果を図15に示し、DVSの結果を図16に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表10に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は6.19°、6.55°、7.00°、9.01°、9.85°、11.64°、12.86°、14.05°及び25.31°(2θ±0.2°)であった。
形態IIは、約213℃の開始温度(DSC)を有する融点によって特徴付けられた(図15)。
表10
実施例5:式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態III)の調製
実施例3で調製した式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態I)25gを反応器に入れ、ついで500mLのメタノールと750mLのIPAを加えた。得られた懸濁液を18時間還流して加熱した。反応混合物を20~25℃に冷却した。生成した沈殿物を濾過し、ついで125mLのIPAで洗浄した。濾過した固形物を50℃の真空オーブンで21時間乾燥させた。得られた固形物を粉砕し、湿度チャンバー(25℃、60%RH)で21時間保存した。収量:18.4g(74.0%);水分:0.4%;ID:及びHCl含有量は13.2%(2HClとしての理論値13.0%);残留溶媒:2%のメタノール。
[特性の分析]
実施例5で調製された結晶形態のPXRD分析の結果を図17に示し、DSCの結果を図18に示し、DVSの結果を図19に示す。
形態IIは、約254℃の開始温度(DSC)を有する融点によって特徴付けられた(図18)。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表11に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は6.01°、9.00°、11.47°、12.05°、14.48°、16.33°、16.83°、18.13°、19.01°、19.26°、22.63°、23.10°、24.51°、25.31°、25.94°、26.51°、27.10°、28.12°、30.47°及び31.25°(2θ±0.2°)であった。
表11
実施例6:式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態IV)の調製
実施例3で調製した式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態I)5gを反応器に入れ、ついで50mLのDMFを加えた。混合物を1時間還流して加熱した。反応混合物を20~25℃に冷却した。シーディング化合物を20~25℃で添加した。得られた固形物を20~25℃で24時間撹拌し、濾過し、ついで50mLのn-ヘプタンで洗浄した。濾過した固形物を50℃の真空オーブンで21時間乾燥させた。収量:0.72g(14.4%);残留溶媒:2.1%のDMF。
[特性の分析]
実施例6で調製された結晶形態のPXRD分析の結果を図20に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表12に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は5.56°、6.64°、7.15°、9.07°、11.22°、11.76°、12.12°、13.30°、14.28°、15.57°、17.26°、18.2°、22.3°、22.9°、23.7°、24.8°、25.1°、25.9°、28.2°、29.9°、31.3°及び34.2°(2θ±0.2°)であった。
表12
実施例7:式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態V)の調製
式(I)の化合物の遊離塩基(純度99.7%、<0.1%のH2O)20gを反応器に入れ、ついで300mLのDMFを加えた。混合物を140℃に加熱した。反応混合物を80℃に冷却し、ついで8mLの濃HClを加えた。得られた固形物を20~25℃で2.5時間撹拌し、濾過し、ついで50mLのn-ヘプタンで洗浄した。濾過した固形物を50℃の真空オーブンで21時間乾燥させた。収量:26g(110%);残留溶媒:12.4%のDMF。
[特性の分析]
実施例7で調製された結晶形態のPXRD分析の結果を図21に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表13に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は5.44°、6.58°、7.48°、9.22°、10.84°、11.47°、12.45°、13.17°、16.61°、17.18°、17.92°、18.52°、22.21°、23.07°、23.84°、24.70°、25.37°、26.08°、27.33°、29.12°、31.02°、31.43°、34.65°及び37.46°(2θ±0.2°)であった。
表13
実施例8:式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態VI)の調製
実施例1で調製した式(I)の化合物の二塩酸塩の結晶形態(形態I)20gを、真空オーブン内で50℃で24時間乾燥させた。収量:17.4g(87.0%);水分:0.7%。
[特性の分析]
実施例8で調製した結晶形態のPXRD分析の結果を図22に示し、DSCの結果を図23に示す。
形態VIは、約220℃の開始温度(DSC)を有する融点によって特徴付けられた(図23)。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表14に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は8.5°及び8.9°(2θ±0.2°)であった。
表14
実施例9:形態VIからの式(I)のビス塩酸塩の多形形態Iの調製
結晶形態VIを2通りの方法で形態Iに転換させた。第一の方法では、形態VIを25℃において60%の相対湿度に曝露した。第二の方法では、形態VIを21℃において20%の相対湿度に曝露した。形態VIから形態Iへの転換に対するPXRDの結果を図24に示す。描写されているのは、(i)形態I;(ii)形態Iを真空オーブン内で50℃において24時間乾燥させることにより調製した形態VI;(iii)21℃、20%RHに3時間曝露した結果、8.0%の含水量になる形態VI;(iv)21℃、20%RHに6時間曝露した結果、10.4%の含水量になる形態VI;(v)21℃、20%RHに5日間曝露した結果、10.1%の含水量になる形態V;及び(vi)25℃、60%RHに曝露した結果、11.3%の含水量になる形態VIである。
実施例10:式(I)のビス塩酸塩多形の相互転換のまとめ
図25は、本実施例に記載されている、式(I)のビス塩酸塩の多形形態Iと、形態II~VIとの、並びに非晶質の式(I)のビス塩酸塩への相互転換をまとめている。
実施例11:式(I)の化合物の二硫酸水素塩の結晶形態の調製
式(I)の化合物の遊離塩基500mgを反応器に入れ、ついで10mLの80%メタノール(MeOH)を加えた。懸濁混合物に、硫酸(2.2当量)を加えた。得られた固形物を20~25℃において12時間撹拌した。得られた固形物を濾過し、ついで10mLの80%MeOHで洗浄した。濾過した固形物を、50℃の真空オーブンで18時間乾燥させた。648mgの表題化合物を得た(収率:92%)。
[特性の分析]
実施例11で調製した結晶形態のPXRD分析の結果を図4に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表15に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は5.7°、7.4°、7.9°、9.4°、11.5°、13.7°、15.0°、15.9°、16.9°、17.7°、18.5°、18.9°、20.3°、20.9°、21.6°、22.4°、22.9°、23.3°、24.0°、24.4°、24.6°、25.3°、25.9°、26.5°、27.3°、28.7°及び33.7°(2θ±0.2°)であった。
表15
実施例12:式(I)の化合物の二(p-トルエンスルホン酸塩)の結晶形態(形態A)の調製
[0031]工程1:式(I)の化合物の二(p-トルエンスルホン酸塩)の非晶質形態の調製
式(I)の化合物の遊離塩基0.5gを反応器に入れ、ついで10mLのアセトン(AC)を加えた。懸濁混合物に、p-トルエンスルホン酸一水和物(2.2当量)を加えた。得られた固形物を20~25℃で24時間撹拌し、ついで濾過し、ついで2.5mLのACで洗浄した。濾過した固形物をオーブンで50℃において18時間乾燥させた。収量:0.3g(35%)
工程2:式2の化合物の二(p-トルエンスルホン酸塩)の結晶形態(形態A)の調製
式(I)の化合物の非晶質形態15gを反応器に入れ、ついで300mLの酢酸エチル(EA)を加えた。懸濁混合物を還流で24時間撹拌し、濾過し、ついで75mLのEAで洗浄した。濾過した固形物を、50℃の真空オーブンで18時間乾燥させた。収量:11g(73%)
[特性の分析]
実施例12で調製した結晶形態のPXRD分析の結果を図26に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表16に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は3.2°、4.5°、7.7°、8.4°、9.0°、11.7°、13.2°、13.6°、14.1°、15.3°、15.8°、16.7°、17.4°、18.8°、19.9°、21.7°、21.9°、22.3°、23.0°、23.5°、24.6°、24.7°、25.6°、27.4°及び29.0°(2θ±0.2°)であった。
表16
実施例13:式(I)の化合物の二(p-トルエンスルホン酸塩)の結晶形態(形態B)の調製
[0040]式(I)の化合物の遊離塩基3gを反応器に入れ、ついで、50mLのACNを加えた。懸濁混合物に、ACN(10mL)中のp-トルエンスルホン酸一水和物(2.2当量)を加えた。得られた固形物を20~25℃で24時間撹拌し、濾過し、ついで50mLのACNで洗浄した。濾過した固形物をオーブンで50℃で18時間乾燥させた。収量:4.92g(95%)。
[特性の分析]
実施例13で調製された結晶形態のPXRD分析の結果を図27に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表17に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は5.7°、7.8°、9.3°、11.4°、11.6°、12.5°、12.9°、13.2°、14.0°、15.0°、15.8°、16.0°、17.0°、17.5°、18.8°、19.2°、19.8°、20.5°、21.0°、21.4°、21.9°、22.4°、22.8°、23.4°、24.2°、24.9°、26.2°、27.2°、28.1°、29.1°及び31.6°(2θ±0.2°)であった。
表17
実施例14:式(I)の化合物のジエタンスルホン酸塩の結晶形態の調製
[0046]工程1:式(I)の化合物の粗ジエタンスルホン酸塩の調製
10gの式(I)の化合物の遊離塩基を反応器に入れ、ついで200mLのエタノール(EtOH)を加えた。懸濁混合物に、エタンスルホン酸(2.2当量)を加えた。得られた固形物を還流で12時間撹拌し、ついで20~25℃で2時間撹拌した。得られた固形物を濾過し、ついで50mLのEtOHで洗浄した。濾過した固形物をオーブンで50℃で18時間乾燥させた。収量:12g(80%)。
工程2:式(I)の化合物のジエタンスルホン酸塩の結晶形態の調製
12gの式(I)の化合物の粗ジエタンスルホン酸塩を反応器に入れ、ついで240mLのEtOHを加えた。得られた固形物を還流で12時間撹拌し、ついで20~25℃で2時間撹拌した。得られた固体を濾過し、ついで60mLのEtOHで洗浄した。濾過した固形物をオーブンで50℃で18時間乾燥させた。収量:11g(92%)。
[特性の分析]
実施例14で調製した結晶形態のPXRD分析の結果を図28に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表18に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は5.7°、6.8°、7.4°、11.5°、14.8°、15.2°、17.6°、18.4°、20.2°、20.5°、22.1°、22.3°、23.2°、23.6°、23.8°、25.2°、25.6°、25.8°、26.4°、27.5°、28.1°及び28.8°(2θ±0.2°)であった。
表18
実施例15:式(I)の化合物のジメタンスルホン酸塩の結晶形態の調製
[0055]工程1:式(I)の化合物の粗ジメタンスルホン酸塩の調製
3gの式(I)の化合物の遊離塩基を反応器に入れ、ついで60mLのEtOHを加えた。懸濁混合物に、メタンスルホン酸(2.2当量)を加えた。得られた固形物を還流で18時間撹拌し、ついで20~25℃で2時間撹拌した。得られた固形物を濾過し、ついで15mLのEtOHで洗浄した。濾過した固形物をオーブンで80℃で18時間乾燥させた。収量:4.25g(101%)。
工程2:式(I)の化合物のジメタンスルホン酸塩の結晶形態の調製
3.6gの式(I)の化合物の粗ジメタンスルホン酸塩を反応器に入れ、ついで72mLのEtOHを加えた。懸濁混合物に、メタンスルホン酸(2.0当量)を加えた。得られた固形物を還流で18時間撹拌し、ついで20~25℃で2時間撹拌した。得られた固形物を濾過し、ついで18mLのEtOHで洗浄した。濾過した固形物をオーブンで80℃で18時間乾燥させた。収量:3.68g(102%)。
[特性の分析]
実施例15で調製された結晶形態のPXRD分析の結果を図7に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表19に示す。10%以上のI/Io比を有するピークの場合、回折角は5.6°、7.1°、7.6°、11.4°、15.1°、15.4°、16.6°、18.2°、20.4°、21.5°、22.3°、22.7°、23.1°、24.4°、24.9°及び25.6°(2θ±0.2°)であった。
表19
実施例16:式(I)の化合物の遊離塩基の結晶形態の調製
[0064]200.0gの式(I)の化合物の二塩酸塩(2HCl)の結晶形態を10Lの反応器に入れ、ついで1.0LのDMSOと4.0LのMeOHを加えた。得られた懸濁液を55~60℃に加熱して、メカニカルスターラーで撹拌しながら式(I)の化合物を溶解させた。反応器の温度を55~60℃に維持し、200rpmで撹拌しながら、347mLのDIPEAを反応混合物に2時間かけて添加した。反応器の温度を55~60℃に維持し、50~60rpmで弱く撹拌しながら、得られた混合物を加熱し、36時間撹拌して、沈殿物を形成した。反応混合物を20~25℃に冷却し、ついで6時間撹拌した。生成された沈殿物を濾過し、ついで10.0LのMeOHで洗浄した。濾過した固形物を真空オーブンで40℃において48時間乾燥させた。収量:146g(94.6%)。
[特性の分析]
実施例16で調製した結晶形態のPXRD分析の結果を図29に示す。
上記結晶形態のPXRDスペクトルにおいて3%以上の相対強度(I/Io)を有するピークを以下の表20に示す。10%以上のI/Io比を有するピークでは、回折角は9.2°、12.7°、13.8°及び26.5°(2θ±0.2°)であった。
表20
比較例1:式(I)の遊離塩基の化合物の非晶質形態の調製
式(I)の化合物の非晶質形態を、ここで参照される国際公開第2013/100632号に開示されている方法に従って調製した。
[特性の分析]
比較例1で調製した非晶質形態のPXRD分析の結果を図30に示す。
非晶質形態は、PXRDスペクトルにおいて何ら特定の回折パターンを示さなかった。
比較例2:式(I)のビス塩酸塩の化合物の非晶質形態の調製
5gの式(I)のビス塩酸塩(100.2%アッセイ、12.0%のH2O)を反応器に入れ、ついで25mLのDMSOを加えた。懸濁混合物を130℃に1.5時間加熱して、黄色の透明な溶液を形成した。反応混合物を20~25℃に冷却した。50mLのアセトンを20~25℃で15分間滴下してスラリーを形成し、得られた固形物を20~25℃で18時間撹拌し、ついでスラリーを濾過し、50mLのアセトンで洗浄した。濾過した固形物を、50℃の真空オーブンで24時間乾燥させた。収量:4.26g(85%)、水分:5.5%、残留溶媒:12%のDMSO。
図31は、シャープなピークがないことによって特徴付けられ、式(I)のビス塩酸塩の非晶質形態を示しているPXRDパターンを示す。
図32は、式(I)のビス塩酸塩の結晶形態I~VIと非晶質の式(I)のビス塩酸塩のPXRDパターンの重ね合わせを示す。
試験例1:ストレス安定性試験
実施例3(結晶性の式(I)のビス塩酸塩形態I)及び16(式(I)の結晶性遊離塩基)で調製した結晶形態と比較例1で調製した非晶質形態の間の物理化学的安定性を比較するために、ストレス安定性試験を、サンプルを60℃で、最大4週間までの様々な期間、保存することによって行った。結果を以下の表21にまとめる。
表21
上の表21に示されるように、遊離塩基の結晶形態と二塩酸塩の結晶形態(形態I)は、非晶質形態よりも著しく優れた安定性を示した。非晶質形態は7日後に純度の変化を示した。従って、本発明に係る結晶形態は、非晶質形態よりも優れた物理化学的安定性を示すことが分かる。
結晶性の式(I)のビス塩酸塩形態Iの安定性は、相対湿度60%で20℃~30℃及び遮光の条件下、3月、6月、9月、12、18月及び24月で評価した。安定性基準には次の基準を含めた。3~24月の各間隔で、結晶性の式(I)のビス塩酸塩形態Iは、淡褐色からオフホワイトの粉末の外観であった。同定は、本明細書の他の場所で説明されているように、IR、PXRD、及びHPLC法で実施し、結果は合格/不合格として報告した。純度は、1.1、1.7及び2.1の相対保持時間(「RRT」)で既知の不純物を使用してHPLCで測定した。結果を表22に示す。表中、「Init」は初期を指し、「Iden」は同定を指し、「Imp」は不純物を指し、「A.U.I」は任意の不特定不純物を指し、「T.U.I.」を全不特定不純物を指し、「T.I.」は全不純物を指し、「N.D.」は検出されていないことを指す。初期、6月、12月及び24月のPXRDの結果を図33に示す。
表22