JP2024509269A - 脳がんの治療における使用のためのベルバラフェニブ - Google Patents

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Abstract

BRAF変異、NRAS変異、KRAS変異またはこれらの組み合わせを有する転移性脳がんを含む脳がんを治療するためのベルバラフェニブの使用のための方法が提供される。【選択図】図2

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月9日に出願された米国仮出願第63/158,798号の優先権を主張する。その仮出願の全文は、参照により本出願に組み入れられる。
本開示の分野
本開示の分野は、一般に、脳内のがんの治療に関し、より具体的には、RAFキナーゼ阻害が有効であるがんの治療に関する。
背景
NIHからのデータに基づくと、2017年の脳および他の神経系がんの新規症例の割合は10万人あたり6.4人であり、死亡率は10万人あたり4.4人であり、集団の約0.6%が生涯のいずれかの時点で脳および他の神経系がんと診断される。さらに、2010年から2016年の期間での5年生存率は約33%に過ぎなかった。
問題点として、脳がん治療法薬の有効性は、血液脳関門(BBB)を形成する脳毛細血管壁を通過し、治療有効量で脳に入る薬物の能力に依存する。一部の推定によれば、小分子薬物の2%未満が実際に何らかの有意な量でBBBを横切る。(Pardridge,The Blood-Brain Barrier:Bottleneck in Brain Drug Development,NeuroRx.2005 Jan2(1):3-14.)。
神経膠芽腫は、毎年約15,000の新たな症例が診断される、脳内で発生する最も一般的な脳腫瘍であり、平均生存率は約11~15ヶ月である。
転移性脳腫瘍は、身体の他の場所で形成されたがんに由来し、成人で最も一般的な脳腫瘍であり、毎年推定20万人および30万人の新規症例が診断される。このような脳腫瘍の多くは、BRAFおよびNRAS変異から生じるMAPKシグナル伝達経路の機能不全によって引き起こされる、黒色腫などのがんの拡散から生じる。毛様細胞性星状細胞腫などのある種の小児脳腫瘍も、BRAFなどのMAPKタンパク質中の変異によって引き起こされると考えられている(例えば、Faulkner et al.,J.Neuropathol.Exp.Neurol.,74:867-872,(2015);Penman,et al.,Frontiers in Oncology,5:54,2015;およびKurani,Child’s Nervous System,35:1525-1536,(2019))。
過去10年間にわたって、単独でのまたはMEK阻害剤と組み合わせたBRAF阻害剤は、黒色腫の約50%を占めるBRAF V600変異黒色腫を有する患者の治療における新しい画期的出来事となった。それにもかかわらず、脳への高悪性度の転移は、黒色腫患者における不良な転帰と関連しており、したがって、さらに優れた治療がなお必要とされる。また、今日まで、黒色腫の約20%を占めるNRAS変異を有する患者に対する標的化治療法は開発されていない。
したがって、NRASおよびRAF変異を有する転移性脳がんを含む脳がん のための改善された化学療法治療が必要とされている。
簡単な説明
いくつかの局面において、本開示は、転移性黒色腫を治療する方法であって、転移性黒色腫を治療することを必要とする対象に、前記転移性黒色腫を治療するのに有効な量のベルバラフェニブを投与することを含み、転移の部位が前記対象の脳内にある、方法に関する。
いくつかの局面において、本開示は、脳がんを治療する方法に関する。本方法は、(i)脳がんを治療するために、脳がんを治療することを必要とする対象に、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含み;(ii)前記ベルバラフェニブの投与は、前記対象における脳がん細胞の増殖および生存能を阻害し;(iii)前記脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする。
いくつかの他の局面において、本開示は、併用療法を含む脳がんを治療する方法に関する。本方法は、(i)脳がんを治療することを必要とする対象に、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を投与することと;(ii)有効量のMEK阻害剤またはその薬学的に許容され得る塩を前記患者に投与することとを含み;(iii)前記ベルバラフェニブおよび前記MEK阻害剤の投与は、前記対象における脳がん細胞の増殖および生存能を阻害し;(iv)前記脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする。
ベルバラフェニブは、経口投与後にマウスおよびラットの脳内に蓄積することができることが見出された。脳におけるベルバラフェニブの曝露は、血漿における曝露と類似していた(約100%の脳対血漿比)。ベルバラフェニブの脳透過のこのレベルは、低いレベルの脳透過を有することが知られている現在承認されているBRAF阻害剤とは有意に異なる。ベルバラフェニブは、黒色腫細胞を用いた同所性脳腫瘍モデルにおいて優れた抗腫瘍活性を示した。ベルバラフェニブは、BRAFV600E A375SM黒色腫細胞を頭蓋内に移植されたマウスの全生存期間を有意に増加させた。さらに、本明細書中に提示されるデータは、ベルバラフェニブがNRAS変異黒色腫患者を治療する治療的可能性を有することも実証する。
ベルバラフェニブは汎Raf阻害剤であるので、Raf悪性腫瘍に由来する任意の脳に転移した腫瘍が治療され得るであろう。
図1は、本開示のA375SM_Luc細胞脳転移マウスモデルにおいて評価されているマウスの一群の代表的な生物発光画像である。
図2は、本開示のA375SM_Luc細胞脳転移マウスモデルにおいて評価されているマウスのカプラン・マイヤー生存曲線のプロットである。
詳細な説明
ベルバラフェニブ
ベルバラフェニブは、BRAF WT、BRAFV600EおよびCRAFに対して強い阻害活性を示す強力かつ選択的な汎RAFキナーゼ阻害剤である。ベルバラフェニブは、BRAF、NRASまたはKRAS変異を有する様々ながん細胞株の増殖を強く阻害し、前臨床動物モデルにおいて顕著な抗がん効果を示すことが以前に報告されている。
ベルバラフェニブは、PCT出願国際公開第2013/100632号に開示されており、化学名4-アミノ-N-(1-((3-クロロ-2-フルオロフェニル)アミノ)-6-メチルイソキノリン-5-イル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-7-カルボキサミド(本明細書では式(I)と呼ばれる)を有し、以下の化学構造:
Figure 2024509269000002
を有する。
ベルバラフェニブは、BRAFおよびCRAFアイソフォームの選択的阻害を提供する高度に強力かつ選択的なII型RAF二量体阻害剤(汎RAF阻害剤)である。BRAFV600選択的単量体阻害剤とは対照的に、ベルバラフェニブは、非BRAFV600変異体細胞中のMAPK経路を活性化せず、代わりに、BRAFおよびCRAF二量体を阻害することによってMAPKシグナル伝達の抑制を維持し、BRAFV600およびRAS変異体腫瘍の両方において低下した細胞増殖および増加した抗腫瘍活性をもたらす。
3つのサブタイプ(A-RAF、B-RAF、C-RAF)からなるRAFキナーゼファミリーは、RASの下流のMAPKシグナル伝達経路の重要な構成要素である。RAF遺伝子、特にコドンV600でのBRAFにおける変異は、悪性黒色腫、結腸直腸がん、甲状腺がんおよび肺がんを含む様々ながんにおいて同定されている。Davies H,Bignell GR,Cox C,et al.,“Mutations of the BRAF gene in human cancer”,Nature 417:949-54,200を参照されたい。BRAFV600変異は、BRAFが単量体としてシグナル伝達することを可能にし、それによって下流のMAPKシグナル伝達経路を構成的に活性化する。
RAS遺伝子は、ヒトのがんにおいて最も頻繁に変異する癌遺伝子である。RASアイソフォームの中で、KRASが最も頻繁に変異し(86%)、NRASがこれに続き(11%)、主に皮膚黒色腫において変異している(28%)。Cox AD,Fesik SW,Kimmelman AC,et al,“Drugging the undruggable RAS:Mission possible?”,Nat Rev Drug Discov 13:828-51,2014;Hilmi Kodaz,Osman Kostek,Muhammet Bekir Hacioglu,et al.,“Frequency of RAS Mutations(KRAS,NRAS,HRAS)in Human Solid Cancer”,EJMO 1:1-7,2017;およびCancer Genome Atlas N,“Genomic Classification of Cutaneous Melanoma”,Cell 161:1681-96,2015を参照されたい。
ベムラフェニブ、ダブラフェニブおよびエンコラフェニブなどのBRAF単量体阻害剤の発見は、BRAFV600変異体腫瘍を有する患者の治療に著しい進歩をもたらしたが、それにもかかわらず、主にBRAF二量体化に収束するBRAF増幅、BRAFスプライスバリアントおよびRAS変異ならびにBRAFV600単量体療法に対する耐性を含む様々な耐性機構のために、治療応答の持続性は制限されてきた。Sullivan RJ,Flaherty KT,“Resistance to BRAF-targeted therapy in melanoma”Eur J Cancer 49:1297-304,2013を参照されたい。
ベルバラフェニブは、BRAFまたはRAS変異体黒色腫、NSCLCおよびCRC細胞株中のMAPK経路におけるMEKおよびERKのリン酸化を阻害する。ベルバラフェニブは、BRAFまたはRAS変異体黒色腫、NSCLC、CRCおよび甲状腺がん細胞株の増殖をインビトロで阻害することが実証されている。
ベルバラフェニブは、インビトロで、BRAFV600E変異体(IC50=7nM)、BRAF野生型(IC50=41nM)およびRAF-1(CRAF)(IC50=2nM)を含むRAFキナーゼの強力かつ選択的な阻害剤である。189のキナーゼアッセイのパネルで試験された場合、ベルバラフェニブは、7つの他の受容体チロシンキナーゼ(RTK)(コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)、以前のマクドナフネコ肉腫(FMS)ホモログ、ジスコイジンドメイン受容体チロシンキナーゼ1(DDR1)、ジスコイジンドメイン受容体チロシンキナーゼ2(DDR2)、EPHA2、EPHA7、EPHA8およびEPHB2)に対して、1μMで>90%の阻害を有する阻害活性を示した。
ベルバラフェニブのインビトロ抗腫瘍効果は、様々なマウス異種移植モデルにおける有効性に移行した。ベルバラフェニブは、BRAFおよびNRAS変異体黒色腫に対する、KRAS変異非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、ならびにBRAF変異体結腸直腸がん(CRC)マウス異種移植モデルに対する単剤療法として、マウス異種移植モデルにおいて腫瘍増殖の用量依存的阻害を示す。
ベルバラフェニブ臨床データ
ベルバラフェニブは、現在までに、いくつかのがんに対して安全かつ有効な治療法を提供することが臨床試験において示されている。
例えば、完了した非盲検の第Ia相用量漸増は、BRAF、KRASまたはNRAS遺伝子中に変異を保有する固形腫瘍を有する患者において、ベルバラフェニブのいくつかの用量およびスケジュールを調べた。少なくとも1回のベースライン後の腫瘍評価を受けた72名の対象のうち67名について、有効性を分析した。最良全奏効率(BORR)は8.96%(6/67の対象)であり、客観的奏効率(ORR)は4.48%(3/67の対象)であり、確認された最良全奏効としての部分奏効(PR)であった(黒色腫を有する2名の対象および消化管間質腫瘍を有する1名の対象)。ベルバラフェニブ100mg1日1回用量レベルまたはそれを上回るレベルで治療された対象の50.57%(34/67)において疾患制御が観察された。59名(88.06%)の対象が事象(疾患の進行または死亡)を発症し、そのすべてが進行性疾患(PD)として報告された。さらに、無増悪生存期間の中央値は11.53週であり、中央値の95%信頼区間は[7.12週、13.38週)であった。更新された結果では、BORRは10.45%(7/67対象)であり、95%正確信頼区間は[4.30%、20.35%]であった。ORRは4.48%のままである(3/67対象)。さらに、BRAF変異体黒色腫対象に対するサブグループ再分析は、7.69%(1/13の対象)のBORRを示し、DCR、PFSの中央値および進行までの時間は全対象において変化しなかった。DOR中央値は、800mg1日2回群では30.18週に上昇し、100.29週である対象のDORを含む合計群では23.99週に上昇した。
別の非盲検第Ib相用量拡大試験では、BRAF、KRASまたはNRAS遺伝子中に変異を保有する固形腫瘍を有する患者において、ベルバラフェニブを450mg1日2回の用量で評価した。登録後に少なくとも1用量のベルバラフェニブを服用し、ベースライン後に少なくとも1回の腫瘍評価を受けた63名の対象のうち59名について有効性を分析した。BORRは11.86%(7/59対象)であり、ORRは6.78%(4/59対象)であり、確認された最良全奏効としてのPRであった(黒色腫を有する3名の対象およびCRCを有する1名の対象)。対象の35.59%(21/59)において、疾患制御が観察された。59名の対象のうち50名(84.75%)が事象(疾患の進行または死亡)を発症し、1名の死亡例を除いてそのすべてがPDとして報告された。さらに、無増悪生存期間(PFS)の中央値は7.83週間であり、中央値の95%信頼区間は[7.26週間、8.26週間]であった。この研究における全奏効の奏効中央期間(DOR)は、奏効者7名からの15.66週間であった。彼らのうち、2名のBRAF変異体黒色腫応答者は、22.49週間のDOR中央値を示した。
健康な対象における別の第I相、単回投与、無作為化、クロスオーバー相対バイオアベイラビリティおよび食物効果研究では、第I相から第II相錠剤への製剤変更の、ベルバラフェニブ曝露に対する影響を評価した。合計18人の健康な対象が試験に登録され、以下の無作為化された治療を受けた:摂食状態で1錠の150mgおよび1錠の50mg第I相錠剤、摂食状態で2錠の100mg第II相錠剤または絶食状態で2錠の100mg第II相錠剤、治療間に18日間の休薬を設ける。絶食状態と比較して摂食状態では、ベルバラフェニブ曝露に対する食物のプラスの効果が存在した。ベルバラフェニブ曝露、CmaxおよびAUC0-infは、200mgの単回用量で健康な対象にベルバラフェニブを摂食状態で投与した場合、絶食状態と比較して、それぞれ約2.2倍および2.8倍増加された。この試験では、重篤な有害事象、特別な関心のある有害事象または死亡は報告されなかった。
脳のがんに対して有効なベルバラフェニブ
本開示によれば、ベルバラフェニブがBBBを効果的に横切り、脳内のがんの治療のための有効な化学療法薬であることが発見された。
本明細書で使用される場合、「血液脳関門」または「BBB」は、循環血液中の溶質が中枢神経系の細胞外液中に非選択的に入るのを防ぐ内皮細胞の高度に選択的な半透性境界を指す。Daneman“The blood-brain barrier”,Cold Spring Harbor Perspectives in Biology 7(1)2015を参照されたい。
現在までの実験的証拠に基づいて、ベルバラフェニブは(動物研究で示されたように)脳内に効果的に透過し、ベルバラフェニブは、2つの最も多く発現される排出阻害剤であるP-gpおよびBCRPの基質ではないと考えられている。当技術分野で公知であるように、薬物がこれらの排出阻害剤の一方または両方の基質である場合、薬物は、通常、血液中に再び流出し、一般に、低い適切な脳透過を有するか、または適切な脳透過を有さない。例えば、RAF阻害剤薬物エンコラフェニブは、P-gpおよびBCRP排出基質であり、わずか約0.004の脳対血漿比をもたらす(Pharmocol Res2018;129:414-23を参照)。さらに、RAF阻害剤薬物ベムラフェニブは、P-gpおよびBCRP排出基質であり、わずか約0.004~約0.01の脳対血漿比をもたらす(Pharmocol Exp Ther 2012;342:33-40参照)。さらに、RAF阻害剤薬物ダブラフェニブは、P-gpおよびBCRP排出基質であり、わずか約0.02~約0.04の脳対血漿比をもたらす(Pharmocol Exp Ther 2013;344:655-64参照)。対照的に、ベルバラフェニブは、P-gpおよびBCRP排出基質ではなく、約0.8~約1.2の脳対血漿比を提供する。ベルバラフェニブの高い脳透過の発見は、MAPK変異を有する脳がんおよび転移性脳がんに対する治療選択肢を提供し得る。
成人における脳転移の最も一般的な原因とそれらのおよその頻度は、以下のとおりである。
Figure 2024509269000003
略語 NSCLC:非小細胞肺がん、HER2:ヒト上皮成長因子受容体2、HR:ホルモン受容体、+:は陽性を表す、-:は陰性を表す、TNBC:トリプルネガティブ乳がん、HCC:肝細胞癌腫
参考文献
1.Cancer2011,117(8)、,pp1687-96(doi.org/10.1002/cncr.25634)
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5.Oncotarget,2017,8,pp25814-25829(doi.org/10.18632/oncotarget.15730)
本開示によれば、ベルバラフェニブがBBBを効果的に横断することが動物研究において発見された。本開示の実験のげっ歯類モデルがヒトにおける効果を確実に予測することは当技術分野で公知であり、受け入れられている。したがって、ベルバラフェニブはヒトにおいてBBBを効果的に横切ると考えられる。ヒト腫瘍細胞がヌードマウスの脳内に移植され、経口ベルバラフェニブ療法に応答して腫瘍が退縮することがルシフェラーゼアッセイによって示された本実施例は、ヒトへの治療法の移行可能性を指し示しているとさらに考えられる。
転移性脳腫瘍は、検出の時点でステージIIIb以上に進行したがんの形態から生じる可能性が高い。
本発明は、脳特異的がんの他に、MAPK経路に依存するいくつかのがんに適用可能であり得る。後者の場合、脳転移が主な死因であり、転移性脳腫瘍を効果的に標的とする方法が生存を延長させる上で有効であり得ることを意味する。脳転移の状況では、化学療法および/または放射線療法を試みることが通常であり、成功しなかった場合、RAFおよびMEK阻害剤の組み合わせなどのより標的化された療法を使用することができる。
本開示の脳薬物動態実験に基づいて、臨床試験において安全で十分に耐容されることが示されている用量で投与されたベルバラフェニブは、治療量でBBBを効果的に横切ると考えられる。1つのそのような指標薬物動態特性は、脳対血漿濃度比B/Pである。ベルバラフェニブB/P比は、ng・時間/g脳組織の単位での脳についての曲線下面積(AUClast)およびng・時間/mLの単位での血漿についてのAUClastから計算され得る。本開示によれば、ベルバラフェニブB/Pは、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6または約1.7またはそれより大きく、およびそれらから構築される任意の範囲、例えば、約0.3~約1.7、約0.7~約1.6または約0.8~約1.5である。最大ベルバラフェニブ脳濃度までの時間(Tmax)は、約4時、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間または約10時間、およびそれらから構築される任意の範囲、例えば、約4時間~約10時間、約5時間~約9時間または約6時間~約8時間である。脳内でのベルバラフェニブの半減期(t1/2)は、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間または約12時間、およびそれらから構築される任意の範囲、例えば、約3時間~約12時間、約4時間~約11時間または約5時間~約10時間である。脳内での平均滞留時間(MRTlast)は、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間または約20時間、およびそれらから構築される任意の範囲、例えば約7時間~約20時間、約9時間~約18時間または約10時間~約17時間である。
ベルバラフェニブ脳AUClastおよびピーク脳濃度(Cmax)は、用量によって変化する。kg体重当たり15mgの用量では、ng・時間/g脳組織の単位でのAUClastは、約25,000、約30,000、約35,000、約40,000、約45,000、約50,000、約55,000、約60,000、約65,000、約70,000、約75,000、約80,000、約85,000、約90,000、約95,000または約100,000またはそれより大きく、およびそれらから構築される任意の範囲、例えば約25,000~約100,000、約50,000~約90,000または約65,000~約80,000である。kg体重当たり15mgの用量では、グラム脳組織あたりのngベルバラフェニブの単位でのCmaxは、約1,000、約1,500、約2,000、約2,500、約3000、約3,500、約4,000、約4,500、約5,000、約5,500、約6,000、約6,500、約7,000、約7,500または約8,000またはそれより大きく、それらから構築される任意の範囲、例えば、約1,000~約8,000、約2,000~約7,000、または約3,000~約6,000である。
治療可能ながん
いくつかの局面において、がんは転移性黒色腫であり、転移性黒色腫は、転移性黒色腫を治療することを必要とする対象に、前記転移性黒色腫を治療するのに有効な量のベルバラフェニブを含む治療法を適用することによって治療され、転移の部位は前記対象の脳内にある。
いくつかの局面において、がんは脳がんであり、脳がんは、(i)脳がんを治療するために、脳がんを治療することを必要とする対象に、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含み;(ii)前記ベルバラフェニブの投与は、前記対象における脳がん細胞の増殖および生存能を阻害し;(iii)前記脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする。
いくつかの局面において、がんは脳がんであり、脳がんは、(i)脳がんを治療することを必要とする対象に、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を投与することと;(ii)有効量のMEK阻害剤またはその薬学的に許容され得る塩を前記患者に投与することとを含み;(iii)前記ベルバラフェニブおよび前記MEK阻害剤の投与は、前記対象における脳がん細胞の増殖および生存能を阻害し;(iv)前記脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする。
いくつかの局面において、がんは脳がんであり、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物が脳がんの治療における使用のために提供される。いくつかのそのような局面において、脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする。そのような局面のいずれにおいても、ベルバラフェニブの投与は、脳がん細胞の増殖および生存能を阻害する。
いくつかの局面において、がんは脳がんであり、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物が脳がんの治療における使用のために提供される。このような局面において、医薬組成物は、本明細書の他の箇所に記載されるように、治療有効量のMEK阻害剤またはその薬学的に許容され得る塩と組み合わせて投与される。いくつかのそのような局面において、脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする。そのような局面のいずれにおいても、ベルバラフェニブとMEK阻害剤の組み合わせの投与は、脳がん細胞の増殖および生存能を阻害する。
本開示の様々な局面のいずれにおいても、脳がんは、(i)例えば、限定されないが、神経膠芽腫などの、脳内に起源を有するがん(ii)小児患者に生じる脳腫瘍、または(iii)黒色腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸直腸腺癌などの結腸直腸(CRC)がん、肺腺癌、頭頸部扁平細胞癌腫および膵管腺癌を含むが、これらに限定されない、脳に転移したRAS変異体がんであり得る。他のこのようながんには、乳癌腫、膀胱尿路上皮癌腫、胆嚢、腎芽腫、消化管間質腫瘍(GIST)、前立腺、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、甲状腺、胆管、腺癌、絨毛癌腫および肉腫が含まれ得る。前述したもののいずれかの組み合わせに罹患している患者も治療可能であり得る。
いくつかの局面において、がんは、RAF変異を有する。
いくつかの局面において、がんは、BRAFV600E変異を有する。
いくつかの局面において、がんは、RAF二量体クラス2/融合変異、またはクラス3変異などの非標準BRAF変異を有する。
いくつかの局面において、がんは、G13、G12またはQ61NRAS変異のうちの1つ以上を有する。
いくつかの局面において、がんは、NRASG12D変異、NRASQ61K変異、NRASQ61R変異、NRASG12R変異およびNRASG12C変異から選択される少なくとも1つの変異を有し、脳に転移している。いくつかの局面において、がんは、Q61R、Q61H、Q61K、Q61Lおよびこれらの組合せから選択されるNRAS変異を有する黒色腫である。
いくつかの局面において、がんは、KRASG12V変異、KRASG12D変異、KRASG12C変異、KRASG12R変異およびKRASQ61H変異から選択される少なくとも1つの変異を有し、脳に転移している。いくつかの局面において、がんは、G12V、G12C、G12Dおよびこれらの組み合わせから選択されるKRAS変異を有する結腸直腸腺癌である。いくつかの局面において、がんは、G12V、G12R、G12Dおよびこれらの組み合わせから選択されるKRAS変異を有する膵管腺癌である。いくつかの局面において、がんは、G12V、G12C、G12Dおよびこれらの組み合わせから選択されるKRAS変異を有する肺腺癌である。
いくつかのそのような局面において、脳がんは、BRAF変異およびNRAS変異、またはBRAF変異およびKRAS変異などの2つの変異を有する。一局面において、がんは、BRAFV600E変異およびNRASQ61L変異を有する。
いくつかの局面において、がんは、BRAFV600E変異、KRASG12V変異、KRASG12D変異、KRASG12C変異、KRASQ61H変異、NRASG12D変異、NRASQ61K変異、NRASQ61R変異、NRASQ61H変異、NRASQ61L変異およびNRASG12C変異から選択される少なくとも1つの変異を有する。
いくつかの局面において、がんは、KRASG12V変異を有する肉腫、NRASG12D変異を有する黒色腫、NRASQ61K変異を有する黒色腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、NRASQ61L変異を有する黒色腫、NRASG12C変異を有する黒色腫、KRASG12D変異を有する胆嚢がん、KRASG12C変異を有するCRC、KRASG12V変異を有するCRC、KRASQ61H変異を有するCRC、KRASG12D変異を有するCRC、KRAG12D変異を有する膀胱がん、KRASG12V変異を有する膀胱がんおよびこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの局面において、がんは、KRASG12V変異を有する肉腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、KRASG12D変異を有する胆嚢がん、KRASG12C変異を有するCRC、KRASG12V変異を有するCRC、KRASG12D変異を有するCRC、KRASG12D変異を有する膀胱がん、KRASG12V変異を有する膀胱がんおよびこれらの組み合わせである。
いくつかの局面において、がんは、NRASQ61L変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、NRASQ61K変異を有する黒色腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫およびこれらの組み合わせから選択される。
いくつかの局面において、脳がんは小児患者に存在し、BRAFV600E変異またはKIAA1549-BRAF融合癌遺伝子を有する腫瘍から選択される。一局面において、腫瘍は、毛様細胞性星状細胞腫などの神経膠腫である。1つ以上のこのようなBRAF変異を有する他の神経膠腫には、毛様類粘液星細胞腫、未分化星状細胞腫、多形神経膠芽腫、びまん性線維性星細胞腫、多形黄色星細胞腫、線維形成性乳児星細胞腫および神経節膠腫が含まれる。
投薬
対象は、1日当たり体重1kg当たり約2.5mgのベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩、1日当たり約5mg/kg、1日当たり約7.5mg/kg、1日当たり約10mg/kg、1日当たり約12.5mg/kg、1日当たり約15mg/kg、1日当たり約17.5mg/kg、1日当たり約20mg/kg、1日当たり約22.5mg/kg、または1日当たり約25mg/kg、およびそれらから構築される任意の範囲、例えば1日当たり約2.5mg/kg~1日当たり約25mg/kg、1日当たり約7.5mg/kg~1日当たり約20mg/kg、または1日当たり約10mg/kg~1日当たり約15mg/kgで適切に治療され得る。
ベルバラフェニブの用量は、最大耐容用量に対する応答を誘発するのに十分な用量の範囲であり得る。例えば、いずれかの特定の用量に拘束されないが、1日用量は、適切には、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mgまたは約1500mg、およびそれらから構築される任意の範囲、例えば100mg~1300mg、200mg~1300mg、600mg~1300mg、700mg~1200mgまたは800mg~1000mgであり得る。ベルバラフェニブは、前述の1日用量範囲に従って、1日1回、1日2回、1日3回または1日4回投薬され得る。
いくつかの局面において、ベルバラフェニブは1日2回投薬される。1つのこのような局面において、ベルバラフェニブは、250mg1日2回、300mg1日2回、350mg1日2回、400mg1日2回、450mg1日2回または500mg1日2回で投薬され得る。投薬は、食物ありまたはなしで行われ得る。投薬スケジュールは、適切には、28日のスケジュールの毎日、または28日のスケジュールの21日以上であり得る。
ベルバラフェニブの形態
ベルバラフェニブは、好適には、その立体異性体、幾何異性体および互変異性体、ならびに溶媒和物、代謝産物、同位体、薬学的に許容され得る塩またはプロドラッグの形態であり得る。いくつかの特定の局面では、ベルバラフェニブは、その薬学的に許容され得る塩である。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る塩」という用語は、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持し、生物学的にもまたはその他の点でも望ましくないものではない塩を指す。ベルバラフェニブの例示的な酸塩としては、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩が挙げられる。いくつかの局面において、塩は、ビス-塩酸塩、ビス-硫酸水素塩、ビス-p-トルエンスルホン酸塩、ビス-エタンスルホン酸塩およびビス-メタンスルホン酸塩からなる群から選択される。いくつかの局面において、塩は、ビス-塩酸塩またはビス-メタンスルホン酸塩である。一局面において、塩はビス-メタンスルホン酸塩である。
ベルバラフェニブは、適切には、非晶質形態または結晶形態のいずれかであり得る。いくつかの局面において、塩は結晶性である。いくつかのそのような局面において、塩はビス-メタンスルホン酸塩である。いくつかの特定の局面において、ビス-メタンスルホン酸塩は、Cu-Kα光源で照射したときに、5.6°、7.1°、7.6°、11.4°、15.1°、15.4°、16.6°、18.2°、20.4°、21.5°、22.3°、22.7°、23.1°、24.4°、24.9°および25.6°の回折角2θ±0.2°の値のピークから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つもしくは10のピーク、3つ以上のピーク、または5つ以上のピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンを特徴とする。いくつかの局面において、塩はビス-塩酸塩である。いくつかの特定の局面において、ビス塩酸塩は、Cu-Kα光源で照射したときに、5.89°±0.2°、7.77°±0.2°、8.31°±0.2°、11.80°±0.2°、16.68°±0.2°、23.22°±0.2°、23.69°±0.2°、26.89°±0.2°、27.51°±0.2°および29.53°±0.2°の回折角2θ値におけるピークから選択される3つ以上のピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とするI型多形である。固体形態(結晶性または非晶質)は、CuKα(1.54056Å)線および回転を使用して、25℃、ならびに40.0KVおよび100mAで動作する、ドイツのBRUKER AXS製のD8 ADVANCEに記録されたPXRDによって適切に決定され得る。
ベルバラフェニブおよび本開示の範囲内の他の活性物質は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体、補助剤および/または賦形剤とともに、カプセル、錠剤(丸剤)、粉末、シロップ、分散液、懸濁液、エマルジョン、溶液などの形態で適切に製剤化され得る。適切な液体担体の非限定的な例としては、水;生理食塩水;水性デキストロース;グリコール;エタノール;石油、動物、植物または合成起源のものを含む油;およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な薬学的補助剤/賦形剤の非限定的な例には、デンプン、セルロース、ポリビニルピロリドン、タルク、グルコース、ラクトース、タルク、ゼラチン、麦芽、コメ、粉類、チョーク、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが含まれる。ベルバラフェニブはまた、保存剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、浸透圧を調整するための塩、緩衝剤などのさらなる従来の医薬添加剤とともに適切に製剤化され得る。このような組成物は、いずれにしても、対象への適切な投与のために適切な剤形を調製するように、有効量のベルバラフェニブを含有するであろう。
ベルバラフェニブは、経口的に対象に適切に投与され得る。
ベルバラフェニブの機能および作用
本開示の様々な局面のいずれにおいても、ベルバラフェニブ治療法は、(i)脳がん転移の阻害;(ii)脳がん転移サイズの縮小;(iii)脳がん転移数の低下;(iv)脳がん細胞の数の低下;(v)脳がん細胞生存能の低下;および(vi)脳がん細胞増殖の阻害のうちの1つ以上をもたらし得る。
本明細書において使用される場合、「阻害する」および「阻害」は、阻害剤の非存在下における標的酵素の活性と比較した、標的酵素の活性の減少を指す。いくつかの局面において、「阻害する」および「阻害」という用語は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%の、活性の減少を意味する。他の局面において、阻害するおよび阻害は、約5%~約25%、約25%~約50%、約50%~約75%、または約75%~100%の活性の減少を意味する。いくつかの局面において、阻害するおよび阻害は、約95%~100%の活性の減少、例えば、95%、96%、97%、98%、99%または100%の活性の減少を意味する。このような減少は、当業者により認識可能であろう様々な技術を使用して測定され得る。
本明細書で使用される場合、「低下させる」および「低下」は、化学療法の非存在下でのその測定指標と比較した、サイズ、数および生存能などの示された測定指標の減少を指す。いくつかの局面において、「低下させる」および「低下」という用語は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%の測定指標の減少を意味する。他の局面において、低下させるおよび低下とは、約5%~約25%、約25%~約50%、約50%~約75%または約75%~100%の測定指標の減少を意味する。いくつかの局面において、低下させるおよび低下とは、約95%~100%の測定指標の減少、例えば、95%、96%、97%、98%、99%または100%の活性の減少を意味する。このような減少は、当業者により認識可能であろう様々な技術を使用して測定され得る。
MEK阻害剤との併用療法
いくつかの局面において、少なくとも1つの追加の治療が、ベルバラフェニブ療法とともに投与され得る。いくつかのそのような局面において、少なくとも1つの追加の治療法は化学療法剤である。
いくつかのそのような局面において、追加の治療法はMEK阻害剤薬物である。本開示の範囲内のMEK阻害剤の例としては、コビメチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、セルメチニブ、ピマセルチニブ、レファメチニブ、PD-0325901およびBI-847325ならびにこれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる。
本開示のいくつかの特定の局面において、MEK阻害剤はコビメチニブまたはその薬学的に許容され得る塩(例えば、Cotellic(登録商標))である。コビメチニブは、MEK1およびMEK2(RAS/RAF/MEK/ERK(MAPK)の中心成分)経路の可逆的で強力かつ高度に選択的な阻害剤であり、複数のヒトがんモデルにおいて単剤抗腫瘍活性を有する。コビメチニブは、CAS登録番号1168091-68-6を有し、化学名S)[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル][3-ヒドロキシ-3-(ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル)メタノンであり、以下の構造:
Figure 2024509269000004
である。
Cotellic(登録商標)は、コビメチニブのフマル酸塩である。コビメチニブは、米国特許第7,803,839号および同第8,362,002号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が組み入れられる。
コビメチニブは、MEK1およびMEK2の阻害を介して様々なヒト腫瘍細胞株の増殖を阻害する。さらに、コビメチニブは、異種移植腫瘍モデルにおいてERKリン酸化を阻害し、アポトーシスを刺激する。コビメチニブは腫瘍異種移植片中に蓄積し、血漿濃度が低下した後も腫瘍中に高濃度で保たれる。ERK1リン酸化を阻害するコビメチニブの活性は、血漿中よりも腫瘍組織中のその濃度とより密接に相関しており、一般に、低下したERK1リン酸化と腫瘍異種移植片モデルにおける有効性との間には良好な相関関係が存在する。腫瘍退縮が、いくつかのヒト腫瘍異種移植片モデルにおいて観察されている。試験した最高用量での100%の退縮まで、この退縮は用量依存性であった。試験したモデルには、CRC、悪性黒色腫、乳癌腫および肺癌腫が含まれる。
単剤として投与されたコビメチニブの薬物動態は、BRAF、NRASまたはKRAS変異を有する患者における1日当たり60mgのコビメチニブ用量の評価を含んだStudy MEK4592gでの単回および複数回投薬後の経口投与後にがん患者において特徴付けられている。全体で6名の患者(その全員が黒色腫を有していた;6.2%)が確認された部分奏効(PR)を有し、28名の患者(28.9%)が安定疾患(SD)を有し、40名の患者(41.2%)が進行性疾患を有していた。14名の結腸直腸がん(CRC)患者のうち、すべての患者が進行性疾患(PD)を経験した。Study MEK4592gのステージIIIでは、18名の患者が登録され、18名の患者のうち14名に対して最良全奏効が評価された。4名の患者(22.2%)が最良全奏効としてSDを有し、2名の患者(11.1%)が未確認の腫瘍応答を有した。
コビメチニブは、中程度の吸収速度(最大濃度までの時間[tmax]の中央値が1~3時間)および48.8時間の平均終末相半減期(t1/2)(23.1~80時間の範囲)を有する。コビメチニブは、濃度非依存的に血漿タンパク質に結合する(95%)。コビメチニブは、0.05 mg/kg(70kgの成人に対して約3.5 mg/kg)~80 mgの用量範囲で線形薬物動態を示し、健康な対象でのStudy MEK4952gにおいて、絶対バイオアベイラビリティは、45.9%(90% CI:39.74%、53.06%であると決定されたコビメチニブの薬物動態は、健康な対象における絶食状態での投与と比較して、摂食状態で投与された場合に変化しない。食物はコビメチニブの薬物動態を変化させないので、コビメチニブは食物とともに、または食物なしで投与され得る。プロトンポンプ阻害剤であるラベプラゾールは、絶食状態でのコビメチニブ単独投与と比較して、高脂肪食の存在下または非存在下で投与されたかどうかにかかわらず、コビメチニブの薬物動態に対して最小限の効果を有するようである。したがって、胃内pHの増加はコビメチニブの薬物動態に影響を与えず、胃内pHの変化に対して感受性がないことを示している。
コビメチニブ塩、結晶形態およびプロドラッグは、本開示の範囲内である。コビメチニブ、調製方法および治療的使用は、国際公開第2007/044515号、国際公開第2014/027056号および国際公開第2014/059422号に開示されており、これらの各々は参照により本明細書に組み入れられる。例えば、本開示のいくつかの局面において、MEK阻害剤は、結晶性ヘミフマル酸コビメチニブ多形A形である。
本開示の範囲内のMEK阻害剤(例えば、コビメチニブ)用量は、1日当たり約20mg~約100mg、約40mg~約80mgまたは約60mgのMEK阻害剤である。特定の態様において、MEK阻害剤はコビメチニブであり、約60mg、約40mgまたは約20mgで投薬される。
MEK阻害剤は、好適には1日1回投与される。いくつかの局面において、MEK阻害剤は、28日の治療サイクルの連続する21日間、1日1回投与される。いくつかの局面において、MEK阻害剤は、28日の治療サイクルの1~21日目または3~23日目に1日1回投与される。
Hanmi Research Centerの動物実験委員会は、実施例1~3の動物実験プロトコルを承認した。
実施例1:マウスにおけるベルバラフェニブの脳分布。
実施例1は、経口投与後のマウスにおけるベルバラフェニブの薬物動態プロファイルおよび脳分布を評価した。
マウス系統は、Orient Bio Inc.,Koreaによって供給されたICR(CD-1(登録商標))であった。マウスは雄であり、投薬の開始時に8週齢であり、30±1グラムの体重範囲を有していた。
実験の開始前に、馴化のためにマウスを通常の動物実験室ケージ内で5日間飼育した。ケージは、ポリスルホン1291H(W425×D266×H185mm、Techniplast、Italy)であった。22±2℃の温度、50±20%の相対湿度、10~15回/時の換気頻度、12時間の明/暗サイクル、150~300ルクスの光強度、少なくとも毎週のケージ交換で、12匹のマウスを各ケージに収容した。マウスには、豊富な水道水とともに、Picolab Rodent飼料(5053、Lab Diet、USA)を与えた。
室温で保存された99.6%の純度のベルバラフェニブ二塩酸塩をマウスに投薬した。投薬は、活性成分遊離塩基を基礎としており、アッセイおよび含水量について補正された。投薬ビヒクルは、DMSO(5%)、クレモフォアEL(5%)および脱イオン水(90%)であった。1.950 mg/mLの最終濃度になるように、投薬のためのベルバラフェニブ(28.08 mg)を14.40 mLのビヒクルに溶解した。
単回1日投薬レジメンでは、マウスを一晩絶食させた。マウスの体重を治療の日に測定し、そこから投薬量を設定した。次いで、マウスに10 mL/kgのベルバラフェニブ溶液を投薬し、それによって15 mg/kgの活性用量を与えた。マウスには、投薬の4時間後に給餌した。
投薬前および投薬後の期間中に、一般的な臨床徴候を観察した。臨床徴候は観察されなかった。
ベルバラフェニブ投与の0.5、1、2、4、7、24、48、および72時間後に後眼窩神経叢から血液(0.3mL)を採取した。12,000rpmで2分間の遠心分離(Eppendorf)によって血漿を得て、次いで採取し、分析まで-20℃で保存した(Panasonic、MDF-U334-PK)。
各時点でのマウスの瀉血後に、灌流せずに直ちに脳を収集した。脳組織を生理食塩水で1~2回洗浄して表面の血液を除去した。次いで、脳を切断した。収集した脳組織を正確に秤量し、脳重量に基づいて4倍生理食塩水と混合した(5倍の最終希釈倍率)。次いで、各脳試料をホモジナイズし、1.5mLチューブに入れ、分析まで-20℃で保存した(Panasonic、MDF-U334-PK)。
ブランクマトリックスとして使用するために、非治療動物の血漿および脳を同様に得た。
LC-MS/MS(Waters UPLC H-Class/Xevo TQ(Waters USA))を使用した分析によって決定されたベルバラフェニブの血漿および脳濃度。
Phoenix(商標)WinNonlin8.1(Certara、USA)を使用する非コンパートメント法によって、血漿および脳の濃度-時間データからベルバラフェニブの薬物動態パラメータを計算した。ピーク血漿および脳濃度(Cmax)および対応する時間(Tmax)を生データから直接得た。血漿曲線下面積(AUClast)は、線形対数台形加算によって得られた。無限大に外挿された投薬時間からのAUC(AUCinf)、半減期(t1/2)および平均滞留時間(MTRlast)などの他のPKパラメータは、WinNonlinを使用して計算された。ベルバラフェニブの血漿濃度および脳濃度を平均±標準偏差として示した。脳におけるAUClastを血漿におけるAUClastで割ることによって、ベルバラフェニブの脳対血漿(B/P)比を計算した。
15mg/kgの用量での経口投与後のベルバラフェニブの、マウスにおける平均(±標準偏差)血漿および脳濃度-時間プロファイル(AUC)、Cmax、Tmax、t1/2、MRTおよびB/P比を表1に示す。
Figure 2024509269000005
30mg/kgの用量での経口投与後のベルバラフェニブの、マウスにおける平均(±標準偏差)血漿および脳濃度-時間プロファイル(AUC)、Cmax、TmaxおよびB/P比を表2に示す。
Figure 2024509269000006
実施例1の結果は、15mg/kgの用量でのベルバラフェニブの経口投与後に、血漿中のAUClastおよびCmaxは、それぞれ84264.0ng・h/mLおよび4782.1ng/mLであったことを示す。血漿Tmaxおよび半減期は、それぞれ4.0時間および6.6時間であった。脳におけるAUClastおよびCmaxは、それぞれ78259.6ng・h/gおよび5238.8ng/gであった。脳のTmaxおよび半減期は、それぞれ7.0時間および6.3時間であった。実施例1の結果は、30mg/kgの用量でのベルバラフェニブの経口投与後に、血漿中のAUClastおよびCmaxは、それぞれ132731.0ng・h/mLおよび6211.4ng/mLであったことを示す。血漿Tmaxは7.0時間であった。脳におけるAUClastおよびCmaxは、それぞれ100735.8ng・h/gおよび6099.0ng/gであった。脳のTmaxは7.0時間であった。データは、ベルバラフェニブが血漿中よりもわずかに遅いTmaxで脳にゆっくりと分布したことを示している。ベルバラフェニブの脳および血漿における曝露は、AUClastおよびCmaxが約1倍の差であり、類似していた。15.0 mg/kgおよび30.0 mg/kgでのベルバラフェニブのAUClastに基づくB/P比は、マウスにおいてそれぞれ0.929および0.8であり、マウス脳における高い分布を示す。したがって、本実施例は、血液脳関門を通じたベルバラフェニブの高い透過性を示す。
実施例2:ラットにおけるベルバラフェニブの脳分布。
実施例2は、経口投与後のラットにおけるベルバラフェニブの薬物動態プロファイルおよび脳分布を評価した。
ラット系統は、Orient Bio Inc.,Koreaによって供給されたSDであった。ラットは雄であり、投薬の開始時に7週齢であり、230.1±6.4グラムの体重範囲を有していた。
実験の開始前に、馴化のためにラットを通常の動物実験室ケージ内で5日間飼育した。ケージは、ポリスルホン1291H(W425×D266×H185mm、Techniplast、Italy)であった。22±2℃の温度、50±20%の相対湿度、10~15回/時の換気頻度、12時間の明/暗サイクル、150~300ルクスの光強度、少なくとも毎週のケージ交換で、3匹のラットを各ケージに収容した。マウスには、豊富な水道水とともに、Picolab Rodent飼料(5053、Lab Diet、USA)を与えた。
室温で保存された99.6%の純度のベルバラフェニブ二塩酸塩をラットに投薬した。投薬は、活性成分遊離塩基を基礎としており、アッセイおよび含水量について補正された。投薬ビヒクルは、DMSO(10%)、PEG400(50%)および脱イオン水(40%)であった。1.950mg/mLの最終濃度になるように、投薬のためのベルバラフェニブ(169.51mg)を86.93mLのビヒクルに溶解した。
単回1日投薬レジメンでは、ラットを一晩絶食させた。ラットの体重を治療の日に測定し、そこから投薬量を設定した。次いで、ラットに10 mL/kgのベルバラフェニブ溶液を投薬し、それによって15 mg/kgの活性用量を与えた。ラットには、投薬の4時間後に給餌した。
投薬前および投薬後の期間中に、一般的な臨床徴候を観察した。臨床徴候は観察されなかった。
ベルバラフェニブ投与の0.5、1、2、4、7、24、48、および72時間後に腹部動脈から血液(0.3mL)を採取した。12,000rpmで2分間の遠心分離(Eppendorf)によって血漿を得て、次いで採取し、分析まで-20℃で保存した(Panasonic、MDF-U334-PK)。
各時点でのラットの瀉血後に、灌流せずに直ちに脳を収集した。脳組織を生理食塩水で1~2回洗浄して表面の血液を除去した。次いで、脳を切断した。収集した脳組織を正確に秤量し、脳重量に基づいて4倍生理食塩水と混合した(5倍の最終希釈倍率)。次いで、各脳試料をホモジナイズし、1.5mLチューブに入れ、分析まで-20℃で保存した(Panasonic、MDF-U334-PK)。
ブランクマトリックスとして使用するために、非治療動物の血漿および脳を同様に得た。
LC-MS/MS(Waters UPLC H-Class/Xevo TQ(Waters USA))を使用した分析によって決定されたベルバラフェニブの血漿および脳濃度。
Phoenix(商標)WinNonlin8.1(Certara、USA)を使用する非コンパートメント法によって、血漿および脳の濃度-時間データからベルバラフェニブの薬物動態パラメータを計算した。ピーク血漿および脳濃度(Cmax)および対応する時間(Tmax)を生データから直接得た。血漿曲線下面積(AUClast)は、線形対数台形加算によって得られた。無限大に外挿された投薬時間からのAUC(AUCinf)、半減期(t1/2)および平均滞留時間(MTRlast)などの他のPKパラメータは、WinNonlinを使用して計算された。ベルバラフェニブの血漿濃度および脳濃度を平均±標準偏差として示した。脳におけるAUClastを血漿におけるAUClastで割ることによって、ベルバラフェニブの脳対血漿(B/P)比を計算した。
15mg/kgの用量での経口投与後のベルバラフェニブの、ラットにおける平均(±標準偏差)血漿および脳濃度-時間プロファイル(AUC)、Tmax、t1/2、MRTおよびB/P比を表3に示す。
Figure 2024509269000007
30mg/kgの用量での経口投与後のベルバラフェニブの、ラットにおける平均(±標準偏差)血漿および脳濃度-時間プロファイル(AUC)、Cmax、TmaxおよびB/P比を表4に示す。
Figure 2024509269000008
実施例2の結果は、15mg/kgの用量でのベルバラフェニブの経口投与後に、血漿中のAUClastおよびCmaxは、それぞれ49418.4ng・h/mLおよび2132.9ng/mLであったことを示す。血漿Tmaxおよび半減期は、それぞれ4.0時間および12.5時間であった。脳におけるAUClastおよびCmaxは、それぞれ67954.7ng・h/gおよび3914.3ng/gであった。脳のTmaxおよび半減期は、それぞれ7.0時間および9.0時間であった。実施例2の結果は、30mg/kgの用量でのベルバラフェニブの経口投与後に、血漿中のAUClastおよびCmaxは、それぞれ97988.0ng・h/mLおよび4151.7ng/mLであったことを示す。血漿Tmaxは7.0時間であった。脳におけるAUClastおよびCmaxは、それぞれ113670.1ng・h/gおよび4876.0ng/gであった。脳のTmaxは7.0時間であった。脳における曝露は血漿における曝露よりも高かった。ベルバラフェニブのAUClastに基づくB/P比は、ラットにおいて15mg/kgおよび30mg/kgの用量でそれぞれ1.375および1.2であり、ラット脳における高い分布を示した。したがって、本実施例は、血液脳関門を通じたベルバラフェニブの高い透過性を示す。
実施例3:ヒトBCRPおよびMDR1 ABC(排出)輸送体とのベルバラフェニブの相互作用
ベルバラフェニブが血液脳関門上に発現される排出輸送体P-gpおよびBCRPの基質であるかどうかを決定するために実験を行った。
ベルバラフェニブ2HCl(10mM、1.33mM、1 mMおよび0.1mM)のストック溶液をDMSO中で調製した。系列希釈(7段階、3倍)をDMSO中で調製し、阻害アッセイにおける試験溶液として使用した(100倍希釈)。基質実験における希釈倍数は100倍であった。アッセイ緩衝液中の溶媒濃度は、アッセイにおいて1.5%(v/v)を超えなかった。
検出のために使用される機器には、Thermo Scientific TSQ Quantum Access Maxトリプル四重極MSを備えたThermo Scientific Dionex UltiMate 3000シリーズUHPLC(Thermo Scientific、San Jose、CA);Perkin Elmer MicroBeta2液体シンチレーションカウンター(Perkin Elmer、Waltham MA)およびBMG Labtech FluoStar Omega多機能マイクロプレートリーダー(BMG Labtech、Offenburg、Germany)が含まれる。
ヒトABC輸送体を過剰発現する細胞から調製された裏返しにした膜小胞を用いて、小胞輸送アッセイを行った。輸送体は、化学的選択によって哺乳動物の(KおよびM)細胞中でSOLVO Biotechnologyによって発現されている。
小胞輸送アッセイのパラメータを表6に列挙する。「BCRP」は、乳がん抵抗性タンパク質を指し、「MDR1」は多剤耐性タンパク質1を指し、「E3S」は、エストロン-3-サルファートを指し、「NMQ」はN-メチルキニジンを指す。
Figure 2024509269000009
ベルバラフェニブ2HClを、膜小胞調製物(総タンパク質:MDR1については50μg/ウェル、BCRPについては25μg/ウェル)およびプローブ基質とインキュベートした。小胞内への輸送体を介した取り込みと受動拡散を区別するために、4mMATPまたはAMPの存在下でインキュベーションを実施した。ベルバラフェニブ2HClを0.75μLの溶媒(最終インキュベーション体積の1%)中の反応混合物に添加した。反応混合物を37±1℃(またはBCRPについては32±1℃)で15分間プレインキュベートした。25μLの12mMMgATP(またはバックグラウンド対照として、アッセイ緩衝液中の12mMAMP)を添加することによって反応を開始し、別々にプレインキュベートした。200μLの氷冷洗浄緩衝液の添加および96ウェルプレート(フィルタープレート)に取り付けたガラスファイバーフィルターによる即時のろ過によって反応をクエンチした。フィルターを洗浄し(5×200μLの氷冷洗浄緩衝液)、乾燥させ、ろ過された小胞内の基質の量を液体シンチレーションカウンティングによって決定した。治療群が表6に列挙されている。
Figure 2024509269000010
対照は以下のとおりであった。AMPとのインキュベーションは、すべてのデータ点に対してバックグラウンド活性値を与えた。プローブ基質(溶媒のみ)とのインキュベーションにより、100%の活性値が得られた。基準阻害剤は、阻害の陽性対照としての役割を果たした。
小胞輸送基質アッセイのための実験方法。膜小胞内へのベルバラフェニブ2HClの取り込みは、BCRPまたはMDR1 ABC輸送体を過剰発現する細胞および対照細胞から調製された裏返しにした膜小胞(総タンパク質:MDR1については50μg/ウェルまたはBCRPについては25μg/ウェル)を使用して決定した。ベルバラフェニブ2HClが小胞内に能動的に輸送されるかどうかを決定するために、2つのインキュベーション時点(2分および20分)および2つの濃度(1μMおよび10μM)のベルバラフェニブ2HClをATPまたはAMPの存在下で試験した。BCRPについては32℃、MDR1アッセイについては37℃で15分間、反応混合物および開始試薬(MgATPおよびAMP溶液)をプレインキュベートした。開始試薬(MgATPまたはAMP)を適切なウェルに添加することによって、反応を開始した。200μLの氷冷洗浄緩衝液の添加および96ウェルプレート(フィルタープレート)に取り付けたガラスファイバーフィルターによる即時のろ過によって反応をクエンチした。5×200μLの氷冷洗浄緩衝液でフィルターを洗浄し、乾燥させた。100μLのMeOH:H2O(2:1)で小胞を2回洗浄した後、小胞内に保持された蓄積されたベルバラフェニブ2HClの量をLC-MS/MS検出によって決定した。実現可能性試験のための条件および実験群を表7に列挙する。
Figure 2024509269000011
すべてのウェルについて、転位置されたプローブ基質の量をcpmで決定した。以下の式を使用して相対活性を計算した:相対活性%=(A-B)/(C-D)*100。Aは、TAおよびATPの存在下での転位置された基質の量である。Bは、TAおよびAMPの存在下での転位置された基質の量である。Cは、溶媒およびATPの存在下での転位置された基質の量である。Dは、溶媒およびAMPの存在下での転位置された基質の量である。
小胞輸送基質アッセイでは、輸送体含有小胞および対照小胞の両方において、以下の式を使用して、各濃度および時点について、TAのATP依存性輸送およびATP依存性蓄積倍数を計算した:
ATP依存性輸送=nATP-NAMP
蓄積倍数=nATP/nAMP
ATPは、pmol/mgで表した、4mMATPの存在下での転位置されたTAの量である。nAMPは、pmol/mgで表した、4mMAMPの存在下での転位置されたTAの量である。
ATP依存性蓄積倍数値が輸送体含有小胞において>2であり、輸送体の公知の阻害剤によって阻害され得る場合、TAは調査された輸送体の基質であると考えることができる。さらに、同様のATP依存性倍数蓄積は、対照小胞では観察されない。
Microsoft Excel 2010(Microsoft Corporation、Redmond、WA)を基本的なデータ処理のために使用し、GraphPad Prism 5.0(GraphPad Software Inc.、San Diego、CA))をカーブフィッティングおよび反応パラメータの決定のために使用した。小胞輸送阻害アッセイでは、適用可能な場合、IC50(μM)を計算した。最大活性を50%阻害するために必要とされるTAの濃度として、IC50を定義した。4パラメトリックロジスティック方程式[log(阻害剤)対応答-可変勾配]からIC50値を導き、非線形回帰を用いて、曲線を相対活性対TA濃度プロットにフィッティングした。別段の明記がなければ、最高(最大応答)および最低(最大に阻害された応答)の値は、それぞれ100および0の一定値に制約されなかった。
結果は、ベルバラフェニブ2HClが、用量依存的に、適用された濃度でBCRP媒介性E3S蓄積を阻害したことを示している。調査した最低の濃度(0.02μM)でさえ、70%の阻害が検出された。曲線の最上部を100%に拘束すると、0.011μMのIC50値が推定された。
結果は、ベルバラフェニブ2HClが、適用された濃度で、MDR1媒介NMQ蓄積を用量依存的に阻害し、32%の最大阻害であったことをさらに示す。阻害が50%に達しなかったとしても、29.64μMのIC50値が相互作用について推定された。推定のために、ボトム拘束(bottom constrain)(0%)を適用した。
小胞輸送基質アッセイでは、ベルバラフェニブ2HClのATP依存性蓄積はATPおよびAMPの存在下で類似しており(ATP依存性蓄積倍数は<2であった)、試験したすべての条件下で、(BCRPおよびMDR1の両方について)輸送体発現小胞または対照小胞のいずれかにおけるベルバラフェニブ2HClの能動的蓄積がないことを示す。陽性対照実験により、適用された小胞での輸送体の機能が確認された。結果の要約を表8に示す。
Figure 2024509269000012
データは、ベルバラフェニブ2HClが0.011μMの推定IC50値でBCRPを阻害したことを示す。データは、ベルバラフェニブ2HClがMDR1を最高の適用された濃度(13.3μM)で32%阻害し、29.64μMの推定IC50値であることをさらに示す。結論として、適用された実験条件下でATPまたは輸送体依存性蓄積が検出されなかったので、ベルバラフェニブ2HClはおそらくMDR1またはBCRPの基質ではない。
実施例4:異種移植(xenographic)脳転移マウスモデルにおけるベルバラフェニブの抗腫瘍有効性評価。
マウス系統は、Orient Bio Inc.,Koreaによって作製され、供給されたBALB/c Nude(nu/nu)であった。マウスは雄であり、投薬の開始時に7週齢であり、13.9~20.4グラムの体重範囲を有していた。
実験の開始前に、馴化のためにマウスを通常の動物実験室ケージ内で少なくとも1週間飼育した。ケージは、ポリスルホン1291H(W425×D266×H185mm、Techniplast、Italy)であった。22±2℃の温度、50±20%の相対湿度、10~15回/時の換気頻度、12時間の明/暗サイクル、150~300ルクスの光強度、少なくとも毎週のケージ交換で、8匹のマウスを各ケージに収容した。マウスには、Picolab Rodent飼料(5053、Lab Diet、USA)を自由に与えた。UV照射およびろ過後に水道水を自由に与えた。
がん細胞株は、BRAFV600変異を有するA375SM-Lucであった。その細胞株は、黒色腫におけるBRAFV600に対するRAF阻害剤の有効性研究に適していると考えられた。
A375SM-Luc細胞株を以下のようにして確立した。10%FBS(Gibco、USA)を補充したMEM培地(Gibco、USA)中に2.5×10細胞/ウェルを有する24ウェル透明平底プレート中にA375SM細胞を播種した。翌日、CMV-ホタルルシフェラーゼレンチウイルス(Cellomics Inc.、USA)を、8μg/mLのポリブレン(Sigma Aldrich、St.Louis MO、USA)を含有する完全培地中に希釈した。調製された培地中で細胞を800xgで90分間遠心分離し、続いて新鮮な培地中で2~3日間インキュベートした。ピューロマイシンを用いて安定なクローンを選択し、10μL(15mg/mL)のD-ルシフェリン(Gold Biotechnology、USA)を加えた後、IVIS(登録商標)Lumina Series III In Vivo Imaging System(PerkinElmer Inc.、USA)で個々のクローンの発光を測定することによって、ルシフェラーゼ活性について個々のクローンをスクリーニングした。インビトロ培地はMEM 10%FBSであった。インビトロ培養条件は、37℃、5%COでのインキュベーションであった。
インビボ細胞接種は以下のとおりであった。30mg/kgのZoletil 50(Virbac、France)および10mg/kgのRompun(Bayer Korea、Korea)の腹腔内(i.p.)注射によって、マウスを麻酔した。定位固定装置(David Kopf Instruments、USA)を用いて、右前頭半球(ブレグマからAP+2.0、ML-1.0、DV+2.0)中に、10μLのリン酸緩衝生理食塩水に懸濁された5000個の細胞を頭蓋内注入した。2日にわたってマウスモデルを作製した。
接種(移植)から6~7日後に、BLIによる腫瘍量によってマウスを無作為化した(1群あたり8匹のマウス)。次いで、室温で保存された99.6%の純度のベルバラフェニブ二塩酸塩をマウスに投薬した。投薬は、活性成分遊離塩基を基礎としており、アッセイおよび含水量について補正された。投薬ビヒクルは、DMSO(5%)、クレモフォアEL(5%)および脱イオン水(90%)であった。投薬のためのベルバラフェニブをビヒクルに溶解した。
102日間にわたって1日1回(QD)、ベルバラフェニブ(群2および3)およびビヒクル(群1)を10mL/kg(p.o.)で投薬した。試験群の設計および用量レベルを以下の表9に示す。
Figure 2024509269000013
試験期間中少なくとも1日1回、一般的な臨床徴候を観察した。体重測定は、投薬期間中に週2回行った。相対体重(%)は、X日の体重(g)/当初体重(g)×100(X日=体重測定日)によって算出された。毎週、IVIS(登録商標)Lumina Series III In Vivo Imaging System(PerkinElmer Inc.、USA)を使用して生物発光イメージング(BLI)によって、腫瘍量を測定した。Living Image(登録商標)ソフトウェアで露光時間およびピクセルビニングを最適化し、生物発光シグナルを強度マップとして表示した。第1~3群のマウスの長期生存を示すカプラン・マイヤー生存曲線を薬物投与の日からプロットした。全生存率の中央値(mOS)は、その後にマウスの50%が死亡し、50%が生存した時間であった。
データを平均±平均の標準誤差(SEM)として表した。統計解析は、GraphPad PRISM(登録商標)Version 6(GraphPad Software、USA)によって行った。群間の有意差を評価するために、ロングレンジ検定(long-range test)を行った。0.05未満のp値を統計学的に有意とみなした。
臨床徴候、体重減少および臨床徴候を以下の表10に報告する。ベルバラフェニブ群2および3では、投与の7日目から発毛が示され、11日間、他の臨床徴候または体重減少は認められなかった。11日後、ビヒクル群は、体重減少、ならびに腫瘍成長による衰弱によって引き起こされた、痩せ、低体温、蒼白、点状出血、痂皮、衰弱および膨満などの様々な臨床徴候を示した。同様の臨床徴候が、14日目から群2(5mg/kgのベルバラフェニブ)において生じ、16日目から群3(15mg/kgのベルバラフェニブ)において生じた。群2および3における影響は、薬物ではなく腫瘍の影響によるものであった。表10において:「belv.」はベルバラフェニブを指し、「----」は顕著な所見がないことを指し、「EM」は脱毛を指し、「H」は低体温を指し、「HG」は発毛を指し、「PA」は蒼白を指し、「W」は虚弱を指し、」「D」は死亡を指し、「P」は点状出血を指し、「S」は痂皮を指し、括弧内のデータは、全生存動物の数あたりの症候を有する動物の数を指す。
Figure 2024509269000014
Figure 2024509269000015
Figure 2024509269000016
Figure 2024509269000017
1、5、12、19、26、33、40、47、54、61、68、75、82、89、96および103日目のそれぞれに、15mg/mLのD-ルシフェリンをマウスに腹腔内注射し、IVIS(登録商標)Lumina Series III In Vivo Image System(PerkinElmer Inc.、USA)を用いたBLIイメージングで評価した。結果を図1に示す。
BLIを使用して、長期的な脳増殖を定量化した。5mg/kgで投薬されたベルバラフェニブは、ビヒクルよりも効果的な腫瘍阻害を示し、15mg/kgで投薬されたベルバラフェニブは、ビヒクルと比較して顕著に遅延した腫瘍増殖をもたらした。より具体的には、5mg/kgおよび15mg/kgで投薬されたベルバラフェニブは、ビヒクルと比較して(mOS24.5日)、有意に延長された生存期間をもたらし、それぞれ34.5日(p<0.05)および70.0日(p<0.001)の生存期間中央値(mOS)であった。図2および表11を参照されたい。表11において:「mOS」は、全生存期間の中央値を指し、最大体重減少は、Y日目における(1-個々の相対体重の平均)×100によって計算した。Y日は、この例での最大の体重減少を有する。
Figure 2024509269000018
表11の生データが、ビヒクル(表12)、5mg/kgのベルバラフェニブ(表13)および15mg/kgのベルバラフェニブ(表14)について表12~14に示されている。
Figure 2024509269000019
Figure 2024509269000020
Figure 2024509269000021
実施例5:従来技術の汎RAF、BRAF V600EおよびMEK阻害剤と比較したベルバラフェニブの脳対血漿比。
汎RAF阻害剤ベルバラフェニブの脳対血漿比を、汎RAF阻害剤DAY101(トボラフェニブ、MLN2480);BRAF V600E阻害剤ダブラフェニブ、ベムラフェニブおよびエンコラフェニブ;ならびにMEK阻害剤であるコビメチニブ、トラメチニブおよびセルメチニブと比較した。結果を以下の表15に示す。脳対血漿比は、血漿に対する脳曝露の百分率として定義されるB/P(非臨床)に関して表される。ベルバラフェニブのB/Pは、本開示に従って実験的に決定され、93%のB/Pはマウスについてのものであり、138%のB/Pはラットについてのものである。DAY101のB/Pはマウスに対するものであり、Gampa,et al.,“Brain Distribution and Active Efflux of Three pan-RAF Inhibitors:Considerations in the Treatment of Melanoma Brain Metastases”,J Pharmacol Exp Ther 368:446-461,March 2019から入手した。ダブラフェニブのB/Pはマウスに対するものであり、Mittapalli,et al.,“Mechanisms Limiting Distribution of the Threonine-Protein Kinase B-RaFV600E Inhibitor Dabrafenib to the Brain:Implications for the Treatment of Melanoma Brain Metastases”,J Pharmacol Exp Ther 344:655-364,2013から入手した。ベムラフェニブのB/Pはマウスに対するものであり、Mittapalli,et al.,“Impact of P-glycoprotein(ABCB1)and breast cancer resistance protein(ABCG2)on the brain distribution of a novel BRAF inhibitor:vemurafenib(PLX4032)”,J Pharmacol Exp Ther 342:33-40,2013から入手した。エンコラフェニブのB/Pはマウスに対するものであり、Wang,et al.,“P-glycoprotein(MDR1/ABCB1)and Breast Cancer Resistance Protein(BCRP/ABCG2)affect brain accumulation and intestinal disposition of encorafenib in mice”,Pharmacol Res.2018 Mar;414-423から入手した。コビメチニブのB/Pはマウスに対するものであり、Choo,et al.,“Role of P-glycoprotein on the brain penetration and brain pharmacodynamic activity of the MEK inhibitor cobimetinib”,Mol Pharm.2014 Nov 3;11(11):4199-207から入手した。トラメチニブのB/Pはマウスに対するものであり、Vaidhyanathan,et al.,“Factors Influencing the CNS Distribution of a Novel MEK-1/2 Inhibitor:Implications for Combination Therapy for Melanoma Brain Metastases”,Drug Metab Dispos.2104 Aug;42(8):1292-1300から入手した。セルメチニブのB/Pはマウスに対するものであり、Gooijer et al.,“The impact of P-glycoprotein and breast cancer resistance protein on the brain pharmacokinetics and pharmacodynamics of a panel of MEK inhibitors”,Int J Cancer.2018 Jan 15;142(2):381-391から入手した。表15において、「P-gp」はP-糖タンパク質(MDR1、ABDB1)を指し、「BCRP」は乳がん抵抗性タンパク質(ABCG2)を指す。
Figure 2024509269000022
この明細書は、最良の様式を含む本発明を開示するため、かつ任意の当業者による任意のデバイスまたはシステムの作製および使用、ならびに任意の組み込まれる方法の実行を含む、本発明の実施を可能にするために、実施例を使用する。本発明の特許取得の対象となる範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言と実質的でない差異を有する同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。

Claims (62)

  1. 転移性黒色腫を治療する方法であって、転移性黒色腫を治療することを必要とする対象に、前記転移性黒色腫を治療するのに有効な量のベルバラフェニブを投与することを含み、転移の部位が前記対象の脳内にある、方法。
  2. 前記黒色腫がRAF変異を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記黒色腫が、BRAFV600E変異を有する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記黒色腫が、NRAS変異またはKRAS変異を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記黒色腫が、NRAS変異を有する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記黒色腫が、NRASG12D変異、NRASQ61K変異、NRASQ61R変異、NRASG12C変異、NRASQ61H変異、NRASQ61L変異およびこれらの組み合わせを有する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記対象が、1日当たり約2.5mg/kg体重~約25mg/kg体重のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩で治療される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記対象が、1日当たり約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、または約1500mgのベルバラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩で治療される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記対象が、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mgまたは約500mgのベルバラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩で1日2回治療される、請求項7または請求項8に記載の方法。
  10. ベルバラフェニブが、28日の治療サイクルの連続する28日間、毎日投与される、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. ベルバラフェニブが経口投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 脳がんを治療する方法であって、
    (i)前記脳がんを治療するために、脳がんを治療することを必要とする対象に、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含み;
    (ii)前記ベルバラフェニブの投与は、前記対象における脳がん細胞の増殖および生存能を阻害し;
    (iii)前記脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする、方法。
  13. 前記がんが、神経膠芽腫および黒色腫、肺、乳房、結腸直腸(CRC)、膀胱、胆嚢、腎芽腫、消化管間質腫瘍(GIST)、前立腺、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、甲状腺、胆管、腺癌、絨毛癌、肉腫、扁平細胞から選択される転移性がんならびにこれらの組み合わせから選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記転移性がんが、黒色腫、腎芽腫、GIST、CRC、肉腫、胆嚢、膀胱およびこれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記がんがRAF変異を有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記がんが、BRAFV600E変異を有する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記がんが、BRAFV600E変異を有する腎芽腫、BRAFV600E変異を有する黒色腫、BRAFV600E変異を有するGIST、BRAFV600E変異を有するCRCおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項15または請求項16に記載の方法。
  18. 前記がんが、BRAFV600E変異を有する黒色腫、BRAFV600E変異を有する腎芽腫、BRAFV600E変異を有するGISTおよびこれらの組み合わせである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記がんが、BRAFV600E変異を有する黒色腫、BRAFV600E変異を有するGISTおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記黒色腫が転移性であるか、または切除不能である、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記がんが、NRAS変異またはKRAS変異を有する、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記がんが、BRAFV600E変異、KRASG12V変異、KRASG12D変異、KRASG12C変異、KRASQ61H変異、NRASG12D変異、NRASQ61K変異、NRASQ61R変異、NRASQ61H変異、NRASQ61L変異およびNRASG12C変異から選択される少なくとも1つの変異を有する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記がんが、KRASG12V変異を有する肉腫、NRASG12D変異を有する黒色腫、NRASQ61K変異を有する黒色腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、NRASQ61L変異を有する黒色腫、NRASG12C変異を有する黒色腫、KRASG12D変異を有する胆嚢がん、KRASG12C変異を有するCRC、KRASG12V変異を有するCRC、KRASQ61H変異を有するCRC、KRASG12D変異を有するCRC、KRAG12D変異を有する膀胱がん、KRASG12V変異を有する膀胱がんおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記がんが、KRASG12V変異を有する肉腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、KRASG12D変異を有する胆嚢がん、KRASG12C変異を有するCRC、KRASG12V変異を有するCRC、KRASG12D変異を有するCRC、KRASG12D変異を有する膀胱がん、KRASG12V変異を有する膀胱がんおよびこれらの組み合わせである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記がんが、NRASQ61L変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、NRASQ61K変異を有する黒色腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫およびこれらの組み合わせから選択される、請求項22に記載の方法。
  26. 前記がんが、NRAS変異を有する黒色腫である、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記対象が、1日当たり約2.5mg/kg体重~約25mg/kg体重のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩で治療される、請求項12~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記対象が、1日当たり約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、または約1500mgのベルバラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩で治療される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記対象が、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mgまたは約500mgのベルバラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩で1日2回治療される、請求項27または請求項28に記載の方法。
  30. ベルバラフェニブが、28日の治療サイクルの連続する28日間、毎日投与される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. ベルバラフェニブが経口投与される、請求項12~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記対象がヒトである、請求項12~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 少なくとも1つの追加の治療法を適用することをさらに含む、請求項12~32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記少なくとも1つの追加の治療法が化学療法剤である、請求項33に記載の方法。
  35. 前記少なくとも1つの追加の治療法がMEK阻害剤である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記MEK阻害剤がコビメチニブである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記投与することが、(i)脳がん転移の阻害;(ii)脳がん転移サイズの低下;(iii)脳がん転移数の低下;(iv)脳がん細胞の数の低下;(v)脳がん細胞生存率の低下;および(vi)脳がん細胞増殖の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項12~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 脳がんを治療する方法であって、
    (i)脳がんを治療することを必要とする対象に、治療有効量のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩を投与することと;
    (ii)有効量のMEK阻害剤またはその薬学的に許容され得る塩を前記対象に投与することと
    を含み;
    (iii)前記ベルバラフェニブおよび前記MEK阻害剤の投与は、前記対象における脳がん細胞の増殖および生存能を阻害し;
    (iv)前記脳がんは、変異したMAPKシグナル伝達経路を特徴とする、
    方法。
  39. 前記がんが、神経膠芽腫および黒色腫、肺、乳房、結腸直腸(CRC)、膀胱、胆嚢、腎芽腫、消化管間質腫瘍(GIST)、前立腺、骨髄性白血病、多発性骨髄腫、甲状腺、胆管、腺癌、絨毛癌、肉腫、扁平細胞から選択される転移性がんならびにこれらの組み合わせから選択される、請求項38に記載の方法。
  40. 前記転移性がんが、黒色腫、腎芽腫、GIST、CRC、肉腫、胆嚢、膀胱およびこれらの組み合わせから選択される、請求項39に記載の方法。
  41. 前記がんがRAF変異を有する、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記がんが、BRAF V600E変異を有する、請求項41に記載の方法。
  43. 前記がんが、BRAFV600Eを有する腎芽腫、BRAFV600E変異を有する黒色腫、BRAFV600E変異を有するGIST、BRAFV600E変異を有するCRCおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項41または請求項42に記載の方法。
  44. 前記がんが、BRAFV600E変異を有する黒色腫、BRAFV600E変異を有する腎芽腫、BRAFV600E変異を有するGISTおよびこれらの組み合わせである、請求項43に記載の方法。
  45. 前記がんが、BRAFV600E変異を有する黒色腫、BRAFV600E変異を有するGISTおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項44に記載の方法。
  46. 前記黒色腫が転移性であるか、または切除不能である、請求項42~45のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記がんが、NRAS変異またはKRAS変異を有する、請求項38~46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記がんが、BRAFV600E変異、KRASG12V変異、KRASG12D変異、KRASG12C変異、KRASQ61H変異、NRASG12D変異、NRASQ61K変異、NRASQ61R変異、NRASQ61H変異、NRASQ61L変異およびNRASG12C変異から選択される少なくとも1つの変異を有する、請求項47に記載の方法。
  49. 前記がんが、KRASG12V変異を有する肉腫、NRASG12D変異を有する黒色腫、NRASQ61K変異を有する黒色腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、NRASQ61L変異を有する黒色腫、NRASG12C変異を有する黒色腫、KRASG12D変異を有する胆嚢がん、KRASG12C変異を有するCRC、KRASG12V変異を有するCRC、KRASQ61H変異を有するCRC、KRASG12D変異を有するCRC、KRASG12D変異を有する膀胱がん、KRASG12V変異を有する膀胱がんおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項48に記載の方法。
  50. 前記がんが、KRASG12V変異を有する肉腫、NRASG61R変異を有する黒色腫、NRASG61H変異を有する黒色腫、KRASG12D変異を有する胆嚢がん、KRASG12C変異を有するCRC、KRASG12V変異を有するCRC、KRASG12D変異を有するCRC、KRASG12D変異を有する膀胱がん、KRASG12V変異を有する膀胱がんおよびこれらの組み合わせである、請求項49に記載の方法。
  51. 前記がんが、NRASG61L変異を有する黒色腫、NRASQ61H変異を有する黒色腫、NRASQ61K変異を有する黒色腫、NRASQ61R変異を有する黒色腫およびこれらの組み合わせから選択される、請求項49に記載の方法。
  52. 前記がんが、NRAS変異を有する黒色腫である、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記対象が、1日当たり約2.5mg/kg体重~約25mg/kg体重のベルバラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩で治療される、請求項38~52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記対象が、1日当たり約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、約1000mg、約1050mg、約1100mg、約1150mg、約1200mg、約1250mg、約1300mg、約1350mg、約1400mg、約1450mg、または約1500mgのベルバラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩で治療される、請求項53に記載の方法。
  55. 前記対象が、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mgまたは約500mgのベルバラフェニブ、またはその薬学的に許容され得る塩で1日2回治療される、請求項53または請求項54に記載の方法。
  56. ベルバラフェニブが、28日の治療サイクルの連続する28日間、毎日投与される、請求項53~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. ベルバラフェニブが経口投与される、請求項38~56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記対象が、1日当たり約20mg~約100mg、約40mg~約80mg、または約60mgの前記MEK阻害剤で治療される、請求項38~57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記MEK阻害剤がコビメチニブまたはその薬学的に許容され得る塩であり、さらに、前記対象が1日当たり約60mg、約40mg、または約20mgの前記コビメチニブで治療される、請求項38~58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記MEK阻害剤が、28日の治療サイクルの連続する21日間、1日1回投与される、請求項38~59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記対象がヒトである、請求項38~60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記投与することが、(i)脳がん転移の阻害;(ii)脳がん転移サイズの低下;(iii)脳がん転移数の低下;(iv)脳がん細胞の数の低下;(v)脳がん細胞生存率の低下;および(vi)脳がん細胞増殖の阻害のうちの1つ以上をもたらす、請求項38~61のいずれか一項に記載の方法。
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