JP2015163591A - 抗癌剤の併用による癌治療方法 - Google Patents

抗癌剤の併用による癌治療方法 Download PDF

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貞夫 黒光
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Abstract

【課題】抗腫瘍作用の増強を発揮できる新たな抗癌剤の組み合わせを提供する。【解決手段】N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、既存又は開発中の特定の抗癌剤との併用のための癌治療用医薬組成物に関し、各々単独での抗腫瘍作用よりも増強された抗腫瘍作用を発揮することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、医薬、殊に、癌治療用医薬組成物、特に、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、他の抗癌剤との併用のための癌治療用医薬組成物に関する。また、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩、及び、抗癌剤の併用療法に関する。
ALK(Anaplastic Lymphoma Kinase)は、受容体型チロシンキナーゼであり、中央部に細胞膜貫通領域を有し、そのカルボキシル末端側にチロシンキナーゼ領域、アミノ末端側に細胞外領域を有するタンパク質である。これまでに、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳がん、メラノーマ等、いくつかの外胚葉を起源とする癌細胞において全長ALKが発現していることが報告されている。ヒト悪性リンパ腫の一部の症例においては、ALK遺伝子が染色体転座の結果、他の遺伝子(例えば、NPM遺伝子、CLTCL遺伝子、TFG遺伝子)と融合し、癌化能を持った融合型チロシンキナーゼを作ることが報告されている(Science, vol.263, p.1281, 1994; Blood, vol.86, p.1954, 1995; Blood, vol.95, p.3204, 2000; Blood, vol.94, p.3265, 1999)。炎症性筋線維芽細胞腫瘍(Inflammatory Myofibroblastic Tumor)においても、染色体転座の結果、CARS遺伝子やSEC31L1遺伝子等の他の遺伝子とALK遺伝子が融合し、融合型チロシンキナーゼを作ることが知られている(Laboratory Investigation, a journal of technical methods and pathology, vol.83, p.1255, 2003; International Journal of Cancer, vol.118, p.1181, 2006)。2007年には非小細胞肺癌において、EML4(echinoderm microtubule associated protein like-4)遺伝子とALK遺伝子が融合していることが報告され(Nature 448, p.561-566, 2007)、食道癌や卵巣癌においてもそれぞれTPM4-ALK融合蛋白、FN1-ALK融合蛋白が存在していることが示されている(World Journal of Gastroenterology, vol.12, p.7104, 2006; Journal Molecular Medicine, vol.85, p.863, 2007,Cancer Research, OnlineFirst on May 8, 2012)。EML4を含め、ALKと融合するパートナー分子の多くは複合体形成ドメインを有し、融合体自身も複合体を形成していると考えられており、この複合体形成がALKのチロシンキナーゼ活性の制御不能を引き起こし、細胞内シグナルが異常に活性化される結果、癌化を引き起こしていると考えられている(Cellular and Molecular Life Science, vol.61, p.2939, 2004; Nature Reviews Cancer, vol.8, p.11, 2008)。
ALK阻害剤は上記のALK融合遺伝子を発現する細胞の増殖を阻害し、抗腫瘍作用を示すと考えられる。実際にALK阻害剤として知られるクリゾチニブ(crizotinib)はALK融合遺伝子を発現した非小細胞肺癌患者において顕著な有効性を示し、治療薬として用いられている。クリゾチニブの臨床試験における全奏功率は50%以上であったが、奏功を示した患者の多くは部分寛解であり、有効性の持続期間は約10カ月であった(J. Clin. Oncol., vol.30, suppl, abstr.7553, 2012)。クリゾチニブ耐性の要因としては、二次的なALKの変異とKRAS、KIT、EGFRなどの代替経路の活性化が知られている(例えば、非特許文献1又は非特許文献2を参照)。
一般に、腫瘍、特に悪性腫瘍の化学療法において抗癌剤を単独で投与する場合、副作用等の点からその効果には限界があり、十分な抗腫瘍作用が得られない場合が多い。そのため、臨床の場では作用機序の異なる2剤若しくは3剤以上を組み合わせた多剤併用療法が行なわれている。この併用療法は、作用機序の異なる抗癌剤を組み合わせることにより、1)非感受性細胞集団を減少させる、2)薬剤耐性出現を予防若しくは遅延させる、3)毒性の異なる薬剤の組み合わせにより毒性を分散させる、等の抗腫瘍作用の増強や副作用の軽減を目的とする。しかしながら、作用機序の異なる抗癌剤を漫然と組み合わせて併用療法を行っても必ずしも抗腫瘍作用の増強が得られるとは限らず、毒性の増強のみが見られる場合もあり、より高い抗腫瘍作用を示す抗癌剤の組み合わせが検討されている。
クリゾチニブ耐性細胞において、クリゾチニブとEGFR阻害剤の併用で細胞増殖抑制作用を示すことが報告されている(例えば、非特許文献3を参照)。また、クリゾチニブ耐性患者において、EGFRの変異やリン酸化の亢進が認められている(例えば、非特許文献1又は非特許文献2を参照)。そして、臨床試験で、クリゾチニブとEGFR阻害剤であるエルロチニブとの併用が検討されているが、それは、非小細胞肺癌におけるEGFR阻害剤の耐性にMETが関与しているために、MET阻害作用も有するクリゾチニブをEGFR阻害剤との併用に用いているものである(例えば、非特許文献4を参照)。
ペメトレキセドはALK融合遺伝子陽性の患者で有効であるとの報告がなされている(例えば、非特許文献5を参照)。また、髄膜病変を持つ2例の非小細胞肺癌の患者においてクリゾチニブとペメトレキセドの併用でそれぞれ10カ月、6カ月の無増悪生存期間を示している(例えば、非特許文献6を参照)。
N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩は、ALK阻害作用、並びに、EML4-ALK融合タンパク及び変異EGFRタンパクのキナーゼ活性の阻害作用を有する(特許文献1)。特許文献1には、当該化合物が、単剤で癌、肺癌、非小細胞肺癌、又は小細胞肺癌の治療剤、或いは、EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性及び/若しくは変異EGFRポリヌクレオチド陽性の癌、肺癌、非小細胞肺癌、又は小細胞肺癌の治療剤として有用であることも開示されている。また、この化合物の化学構造は以下の通りであり、そのフリー体が特許文献1の実施例23に開示されている
Figure 2015163591
特許文献1には、併用しうる薬剤として、パクリタキセル等が例示されているが、具体的な併用方法やデータについての開示はなく、エルロチニブ等との組み合わせは具体的に記載されていない。
また、特許文献2には、上記構造式で示した化合物の結晶多形が開示されている。
国際公開第2009/008371号パンフレット 国際公開第2011/145548号パンフレット
Clin. Cancer Res., 2012年, 第18巻, p.1472-1482 Sci. Transl. Med., 2012年, 第4巻, p.120ra17 Cancer Res., 2011年, 第71巻, p.6051-6060 J. Clin. Oncol., 2012年, 第30巻, suppl. abstr.2610 Study of Lung Cancer., 2011年, 第6巻, p.774-80 Lung Cancer, 2012年, 第76巻, p. 253-254
複数の抗癌剤を併用する場合には、抗腫瘍作用とともに副作用も増大する場合が多く、二種以上の抗癌剤を組み合わせることは容易ではない。そのため、副作用を増大させることなく、抗腫瘍作用を発揮できる新たな抗癌剤の組み合わせが切望されている。
本発明者らは、意外にも、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(以下、「化合物A」と称する)を、ある抗癌剤との併用では増強作用が不十分である一方、特定の抗癌剤と併用することにより、抗腫瘍作用が増強されることを知見して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1] パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と、組み合わせて併用投与されるように用いられることを特徴とする、化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する癌治療用医薬組成物、
[2] パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用されることを特徴とする、癌治療用医薬組成物の製造のための、化合物A又はその製薬学的に許容される塩の使用、
[3] 癌治療のための、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用されることを特徴とする、化合物A又はその製薬学的に許容される塩、
[4] パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用される、化合物A又はその製薬学的に許容される塩の使用、
[5] パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物及び化合物A又はその製薬学的に許容される塩を、同時に、別々に、連続して、或いは間隔をあけて投与されることを特徴とする、[1]に記載の癌治療用医薬組成物、
[6] (a) 化合物A又はその製薬学的に許容される塩、並びに、(b) パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物、を有効成分とする癌治療用医薬組成物、
[7] 癌治療のための、(a) 化合物A又はその製薬学的に許容される塩、並びに、(b) パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物、
[8] パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物の治療有効用量、並びに、化合物A又はその製薬学的に許容される塩の治療有効用量を組み合わせて、対象に投与することを特徴とする癌の治療方法、
[9] パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物の治療有効用量、並びに、化合物A又はその製薬学的に許容される塩の治療有効用量を、同時に、別々に、連続して或いは間隔をあけて対象に投与することを特徴とする癌の治療方法、
[10] 化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物の抗癌作用増強剤、
[11] (a) 化合物A又はその製薬学的に許容される塩、並びに、(B) パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物、を組み合わせて包含するキット、
[12] (a) 化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物と、(c)パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用することが表示された添付文書を含有してなる、癌治療用医薬品、
[13] 化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物による抗癌治療を受けている対象を治療するための癌治療用医薬組成物、
[14] 肺癌、非小細胞肺癌、又は、小細胞肺癌の治療用である[1]、[5]、[6]、又は[13]に記載の医薬組成物、
[15] EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性及び/若しくは変異EGFRポリヌクレオチド陽性の癌の治療用である[1]、[5]、[6]、又は[13]に記載の医薬組成物、
に関する。
なお、「対象」とは、その予防若しくは治療を必要とするヒト又はその他の動物であり、ある態様としては、その予防若しくは治療を必要とするヒトである。
本発明により、抗腫瘍作用の増強を発揮できる新たな抗癌剤の組み合わせを提供できる。すなわち、化合物A、及び、既存又は開発中の特定の抗癌剤との併用により、各々単独では十分な抗腫瘍作用の得られない対象にも高い抗腫瘍作用をもたらすことができる。
図1は、化合物A(CompA)とパクリタキセル(PTX)を併用投与した実施例1の結果を示すグラフである。(a)は腫瘍体積(Tumor Volume (mm3))を、(b)は体重(Body Weight(g))をそれぞれ示すグラフである。横軸は薬剤投与開始後の日数(Days)を表わす。Untreatedは無処置群を表わす。 図2は、化合物A(CompA)とカルボプラスチン(CBDCA)を併用投与した実施例1の結果を示すグラフである。(a)は腫瘍体積(Tumor Volume (mm3))を、(b)は体重(Body Weight(g))をそれぞれ示すグラフである。横軸は薬剤投与開始後の日数(Days)を表わす。Untreatedは無処置群を表わす。 図3は、化合物A(CompA)とエルロチニブ(Erlotinib)を併用投与した実施例1の結果を示すグラフである。(a)は腫瘍体積(Tumor Volume (mm3))を、(b)は体重(Body Weight(g))をそれぞれ示すグラフである。横軸は薬剤投与開始後の日数(Days)を表わす。Controlはコントロール群を表わす。 図4は、化合物A(CompA)とペメトレキセド(MTA)を併用投与した実施例1の結果を示すグラフである。(a)は腫瘍体積(Tumor Volume (mm3))を、(b)は体重(Body Weight(g))をそれぞれ示すグラフである。横軸は薬剤投与開始後の日数(Days)を表わす。Controlはコントロール群を表わす。
本発明の「癌治療用医薬組成物」における、癌にはすべての固形癌及びリンパ腫が含まれる。ある態様としては、皮膚癌、膀胱癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、肺癌、大腸癌、膵癌、腎癌、胃癌等であり、別の態様としては、肺癌、非小細胞肺癌、又は小細胞肺癌である。また、別の態様としては、非小細胞肺癌が挙げられる。
さらに別の態様としては、EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性及び/若しくは変異EGFRポリヌクレオチド陽性である癌が挙げられる。またさらに別の態様としては、EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性及び/若しくは変異EGFRポリヌクレオチド陽性である肺癌、非小細胞肺癌、又は小細胞肺癌が挙げられる。また別の態様としては、EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性及び/若しくは変異EGFRポリヌクレオチド陽性である非小細胞肺癌が挙げられる。
別の態様としては、EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性である癌が挙げられる。またさらに別の態様としては、EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性である肺癌、非小細胞肺癌、又は小細胞肺癌が挙げられる。また別の態様としては、EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性である非小細胞肺癌が挙げられる。
本発明の医薬組成物の有効成分である、化合物A又はその製薬学的に許容される塩は、例えば、国際公開第2009/008371号パンフレットに記載の方法、若しくは、当業者にとって自明である方法、又はそれらの変法によって容易に入手可能である。
本発明におけるOSI-906は、例えば、国際公開第2005/097800号パンフレットに記載の方法、若しくは、当業者にとって自明である方法、又はそれらの変法によって容易に入手可能である。OSI-906の化学構造は以下の通りである。
Figure 2015163591
本発明におけるAZD-4547は、例えば、国際公開第2008/075068号パンフレットに記載の方法、若しくは、当業者にとって自明である方法、又はそれらの変法によって容易に入手可能である。AZD-4547の化学構造は以下の通りである。
Figure 2015163591
パクリタキセル(Paclitaxel: PTX)、エルロチニブ(Erlotinib)、ペメトレキセド(Pemetrexed: MTA)、ラパチニブ(Lapatinib)は、市販品を購入し添付資料等に基づいて調製することができる(例えば、日本の医薬品医薬機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/を参照)。また、これらの化合物は、公知の情報若しくは当業者にとって自明である方法、又はそれらの変法によって容易に入手可能である。例えば、エルロチニブは、国際公開第1996/30347号パンフレットに記載の方法、若しくは、当業者にとって自明である方法、又はそれらの変法によって容易に入手可能である。ラパチニブは、Bioorg. Med. Chem. Lett., vol.16 p.4686-4691, 2006に記載の方法、若しくは、当業者にとって自明である方法、又はそれらの変法によって容易に入手可能である。
「化合物A又はその製薬学的に許容される塩」とは、国際公開第2009/008371号パンフレットに記載の酸との塩を意味し、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
「パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物」には、それらの製薬学的に許容される塩も包含されうる。これらの製薬学的に許容される塩は、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある具体的には、前述した塩が挙げられる。
「化合物A又はその製薬学的に許容される塩」は、各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質であってもよく、いずれも本発明の医薬組成物の有効成分に包含される。また、「パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、エルロチニブ、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物」は、各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質を含有する化合物であってもよい。また、本発明は、種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物を含有する医薬組成物をも包含する。
本発明の医薬組成物は、当分野において通常用いられている賦形剤、即ち、薬剤用賦形剤や薬剤用担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は、関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えば滑沢剤や崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばエタノールのようなアルコール類がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
化合物A又はその製薬学的に許容される塩、或いは、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、エルロチニブ、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物を、通常、経口投与するの場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2回〜4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回〜複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回〜複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
投与経路、剤形、投与部位、賦形剤や添加剤の種類によって異なるが、本発明の医薬組成物は0.01〜100重量%、ある態様としては0.01〜50重量%の有効成分を含有する。
本発明において化合物A又はその製薬学的に許容される塩と併用可能な抗癌剤は、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物が挙げられる。また別の態様としては、エルロチニブ、AZD-4547、OSI-906、及びラパチニブからなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物が挙げられる。さらに別の態様としては、エルロチニブ、AZD-4547、及び、OSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物が挙げられる。また別の態様としては、エルロチニブを含有する医薬組成物が挙げられる。
上記の抗癌剤のうちすでに臨床で使用中のものは、その入手方法、投与経路、投与量は、当業者に明らかである。癌種や症状、併用する薬剤によって好適な用法・用量(Dosage ans Administration)は異なり、これらの詳細な情報はFDAがて供する各種データベース、例えば、"Approved Oncology Drugs" (http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/)、"Orange Book" (http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/ob/default.cfm)や日本の医薬品医薬機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)により容易に入手可能である。これらのデータベースにある各抗癌剤の情報は本願に組み込まれるものである。
以下に、日本の医薬品医薬機器情報提供ホームページに開示される各抗癌剤に関する用法・用量の一部を抜粋して記載する。以下の投与条件は、一例であり、実際の投与に当たっては、これらの完全な情報を参照する必要があることは当然理解されよう。
パクリタキセル(Paclitaxel: PTX): 適応癌種は、卵巣癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、子宮体癌、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、再発又は遠隔転移を有する食道癌、血管肉腫、進行又は再発の子宮頸癌等である。各癌種に応じて、通常、以下のいずれかの用法用量で投与する。1日1回210mg/m2(体表面積)を3時間かけて点滴静注し少なくとも3週間休薬する、1日1回100mg/m2(体表面積)を1時間かけて点滴静注し週1回投与を6週連続し少なくとも2週間休薬する、1日1回80mg/m2(体表面積)を1時間かけて点滴静注し週1回投与を3週連続する、或いは、1日1回135mg/m2(体表面積)を24時間かけて点滴静注し少なくとも3週間休薬する、用法用量。
エルロチニブ(Erlotinib) : 適応癌種は、切除不能な再発・進行性でがん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌、又は、治癒切除不能な膵癌等である。エルロチニブとして100mg乃至150mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日1回経口投与する。なお、患者の症状により適宜減量する。
ペメトレキセド(Pemetrexed: MTA): 適応癌種は、悪性胸膜中皮腫、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌等である。各癌種に応じて、通常、以下のいずれかの用法用量を用いる。シスプラチンとの併用において、ペメトレキセドとして、1日1回500mg/m2(体表面積)を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとし、投与を繰り返す。ペメトレキセドとして、1日1回500mg/m2(体表面積)を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1コースとし、投与を繰り返す。なお、何れの場合、も患者の状態により適宜減量する。
ラパチニブ(Lapatinib):適応癌種は、HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳癌等である。カペシタビンとの併用において、通常、成人にはラパチニブとして1250mgを1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
AZD-4547:投与経路、投与量は、国際公開第2008/075068号パンフレットに記載の用法用量等を参照することができる。具体的には、たとえば体重kg当たり有効成分0.1mg乃至1000mgの範囲の1日量が得られるように、必要であれば分割量で投与される。ただし1日量は、患者の状態や投与経路によって適宜増減する。ある態様としては、非経口経路を用いる場合、低用量で投与される。静脈内投与については、例えば、体重kg当たり有効成分0.1mg乃至30mgの範囲の用量が挙げられる。別の態様としては、経口投与用医薬組成物として、例えば、体重kg当たり0.1mg乃至2gの有効成分を含有することが挙げられる。
OSI-906:投与経路、投与量は、国際公開第2005/097800号パンフレットに記載の用法用量等を参照することができる。具体的には、例えば、1日に約0.01mg/kg乃至150mg/kgであり、別の態様としては1日に約0.5mg/患者乃至7g/患者であり、また別の態様としては1日に約0.01乃至50mg/kgであり、さらに別の態様としては1日に約0.5mg/患者乃至3.5mg/患者である。別の態様としては、J. Clin. Oncol., vol.28, Abstract 2530, 2010; J. Clin. Oncol., vol.28, Abstract 2531, 2010; J. Clin. Oncol., vol.28, Abstract 3016,2010; J. Clin. Oncol., vol. 27, Abstract 2559, 2009等に記載の用法用量等を参照することができる。
本発明における「治療有効用量」とは、併用治療に用いる場合は、通常投与される投与経路により、通常単独で投与される場合と同じ投与量若しくはそれより低用量、例えば単独で投与した場合の最高用量の0.10−0.99倍が挙げられる。一定の投与サイクルで投与される医薬組成物の場合は、化合物Aとの併用に適するように投与サイクルを適宜調整することが好ましい。具体的な、投与頻度、投与量、点滴投与時間、投与サイクル等は、患者の症状、年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
化合物A又はその製薬学的に許容される塩及びパクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物を併用投与する場合の投与形態としては、それぞれに適した投与経路、投与頻度及び投与量を採用する限りは特に限定されないが、同時投与、別々に、連続して、若しくは所望の時間間隔をあけて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。具体的には、例えば、(1)化合物A、並びに、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物、即ち、合剤としての投与、(2)化合物A、並びに、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)化合物A、並びに、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間間隔をあけての投与(例えば、化合物Aの次に、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物の順序での投与、或いは、逆の順序での投与)、(4)化合物A、並びに、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)化合物A、並びに、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間間隔をおいての投与(例えば、化合物Aの次に、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物の順序での投与、或いは、逆の順序での投与)等が挙げられる。
別の態様としては、化合物A、並びに、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤を、それぞれに適する投与経路並びに投与頻度で、同時に若しくは時間間隔をあけて投与する方法が挙げられる。
なお、時間間隔をあけての投与の場合、抗腫瘍作用を増強するに足る間隔で投与することができる。化合物Aとの薬物相互作用が懸念される場合は、相互作用を回避するために必要な間隔をあけて投与することができる。
本発明の「(a) 化合物A又はその製薬学的に許容される塩、並びに、(b) パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物、を組み合わせて包含するキット」とは、有効成分(a)を含む製剤(第一製剤)及び有効成分(b)を含む製剤(第二製剤)を、これらの有効成分の併用療法に用いることができるように組み合わせて含むものである。本発明のキットは、所望により、プラセボ剤等のそれぞれの投与時期に合わせた投与を容易にする追加的な製剤や表示部材を含んでいてもよい包装品であってもよい。
2種類の製剤は、例えば、各製剤のバイオアベイラビリティー、安定性等を考慮し、それぞれの製剤に適した製剤処方、投与経路、投与頻度等の投与条件下にて、同一又は異なる投与ルートで同時に若しくは別々に投与されるものである。ここで、「同時に」とは、第一製剤と第二製剤を一緒に同じ投与経路で投与することを意味し、「別々に」とは、第一製剤と第二製剤を同一若しくは異なる投与経路で、同一若しくは異なる投与頻度又は投与間隔で、別々に投与することを意味する。
本発明の「(a) 化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物と、(c)パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用することが表示された添付文書を含有してなる、癌治療用医薬品」とは、治療有効用量の有効成分を含有する医薬組成物(a)と、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用することが表示された、前記(a)の医薬組成物に係る添付文書(c)、の両方を含んで包装された、癌治療用の医薬品を意味する。
本発明の「化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物による抗癌治療を受けている対象を治療するための癌治療用医薬組成物」における、「対象」は、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物による治療を受けていれば、他の抗癌剤の投与を受けていてもよい。「対象」は、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物を、化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する癌治療用医薬組成物と同時、別々に、連続して、或いは間隔をあけて投与されていてもよい。
本明細書の実施例に示すように、化合物Aと既存又は開発中の特定の抗癌剤の併用により、抗腫瘍作用が増強されることが見出された。つまり、化合物Aは、アキシチニブ又はカルボプラスチンによる抗腫瘍作用に影響しない一方で、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、又は、OSI-906と併用した場合には、抗腫瘍作用を示すことが確認された。
中でも、実施例2に示すように、化合物Aをエルロチニブ、ラパチニブ、AZD-4547、又はOSI-906と併用した場合は、相乗的な抗腫瘍作用を示した。
特に、実施例1に示すように、化合物Aをエルロチニブと併用した場合は、エルロチニブの抗腫瘍作用が認められない用量で、相乗的な作用を示すことが明らかとなった。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において化合物Aと併用する既存又は開発中の抗癌剤として、以下の化合物を用いた。
パクリタキセル(Paclitaxel: PTX)およびペメトレキセド(Pemetrexed: MTA)は、LCLabs社からの購入した。エルロチニブ(Erlotinib)(EGF受容体阻害剤)は、市販品を中外製薬社から購入し抽出した。ラパチニブ(Lapatinib)(EGF受容体およびHER2阻害剤)は、Bioorg. Med. Chem. Lett., vol.16 p.4686-4691, 2006に記載の方法を参照して合成した。AZD-4547(FGF受容体阻害剤)は、国際公開第2008/075068号パンフレットに記載の方法を参照して合成した。OSI-906(IGF1受容体およびインスリン受容体阻害剤)は、国際公開第2005/097800号パンフレットに記載の方法を参照して合成した。カルボプラチン(Carboplatin: CBDCA)は、シグマ社およびブリストルマイヤーズ社から購入した。アキシチニブ(Axitinib)(PDGF受容体阻害剤)は、国際公開第2006/048745号パンフレットを参照して合成した。
実験例1.NCI-H2228細胞に対する抗腫瘍試験(in vivo)
1.実験方法
PBSに懸濁したNCI-H2228細胞(EML4-ALK融合タンパク発現している非小細胞肺癌細胞) (Cell, vol.131, p.1190, 2007を参照)約3×106個を雄性NOD/SCIDマウス(日本チャールズリバー社)の背部皮下に移植し、腫瘍の生育を確認した後、被験化合物の投与を開始した。試験はコントロール群又は無処置群、化合物A単独群、併用剤単独群、併用群の4群で行った。コントロール群には、溶媒(0.5%メチルセルロース水溶液)を投与した。無処置群には、溶媒を投与しなかった。化合物Aは0.5%メチルセルロース懸濁液として10 mg/kg/dayを1日1回毎日経口投与した。パクリタキセルは12 mg/kg/dayを投与開始後5日間静脈内投与した。併用群には両方の薬剤を単剤群と同様に投与した。また、別の3つの試験として、併用剤にカルボプラチン(60 mg/kg/dayを7日に1回静脈内投与)、エルロチニブ(60 mg/kg/dayを1日1回毎日経口投与)またはペメトレキセド(50 mg/kg/dayを1日1回5日間静脈内投与)を用いる試験を実施した。体重および腫瘍径を週2回測定し、以下の式により腫瘍体積を算出した。
[腫瘍体積(mm3)]=[腫瘍の長径(mm)]×[腫瘍の短径(mm)]2×0.5
2.結果
結果を図1−4に示す。
パクリタキセル(PTX)、エルロチニブ(Erlotinib)およびペメトレキセド(MTA)との併用試験において、化合物A(Comp A)およびそれぞれの試験の併用剤単独は腫瘍の増殖を抑制した。それぞれの試験の併用群における腫瘍体積はそれぞれの単独群と比べて小さかった。一方、カルボプラチンとの併用試験においては、化合物Aとカルボプラチンはそれぞれ単独で腫瘍の増殖を抑制したが、併用群における腫瘍体積は化合物A単独群と同程度であった。以上のことから、パクリタキセル、エルロチニブおよびペメトレキセドと化合物Aとの併用での抗腫瘍作用の増強が確認された。
実験例2.ヒト非小細胞肺癌細胞株NCI-H2228細胞(EML4-ALK融合タンパク発現細胞)より樹立した化合物A耐性H2228細胞株を用いた増殖抑制試験(in vitro)
1.実験方法
化合物A耐性H2228細胞株はNCI-H2228細胞を化合物Aの0.3および1μmol/L存在下で約1年間培養することにより樹立した。
96ウェルスフェロイドプレートに、NCI-H2228細胞または化合物A耐性H2228細胞株を10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地(Invitrogen)で播種した。5%CO2存在下、37℃にて一晩培養後、被験化合物またはDMSOを添加し、さらに5日間培養した。その後、細胞数測定試薬(CellTiter-GloTM Luminescent Cell Viability Assay; Promega社)を用いて細胞数を測定した。培地のみおよびDMSO群での測定値をそれぞれ100%抑制、0%抑制として被験化合物の抑制率を算出し、50%抑制濃度(IC50値)をロジスティック回帰法により求めた。被験化合物として、化合物A、パクリタキセル、カルボプラチン、アキシチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、AZD-4547、OSI-906を用いた。
2.結果
結果を表1乃至表3に示す。表1は、「NCI-H2228細胞および化合物A耐性H2228細胞株に対する単剤の細胞増殖阻害作用」(Cell growth inhibitory effects of each compound as a single agent against NCI-H2228 cells and Comp A-resistant H2228 cells)を示す。表2は、「1μmol/Lの化合物A存在下における化合物A耐性H2228細胞株に対する各化合物の細胞増殖阻害作用」(Cell growth inhibitory effects of each compound against Comp A-resistant H2228 cells in the presence of 1μmol/L Comp A)を示す。表3は、「各化合物の存在下における化合物A耐性H2228細胞株に対する化合物Aの細胞増殖阻害作用」(Cell growth inhibitory effects of Comp A against Comp A-resistant H2228 cells in the presence of each compound)を示す。表の数値はIC50を示し、単位はいずれもμmol/Lである。
Figure 2015163591
Figure 2015163591
Figure 2015163591
表1に示すように、化合物AはNCI-H2228細胞および化合物A耐性H2228細胞株に対して、それぞれ0.065および3.85μmol/LのIC50値で増殖を阻害した。アキシチニブ、エルロチニブ、AZD-4547、OSI-906はそれぞれ3μmol/Lにおいて、両細胞の増殖を50%以上阻害しなかった。また、ラパチニブは1μmol/Lにおいて、両細胞の増殖を50%以上阻害しなかった。一方で、表2に示すように、化合物Aの1μmol/L存在下において、エルロチニブ、ラパチニブ、AZD-4547、OSI-906はそれぞれ0.48、0.11、0.28、0.49μmol/LのIC50値で化合物A耐性H2228細胞株の増殖を阻害した。化合物AはアキシチニブのASP3026耐性H2228細胞株に対する増殖阻害作用に影響しなかった。また、化合物Aはパクリタキセルおよびカルボプラチンの化合物A耐性H2228細胞株に対する増殖阻害作用についても影響しなかった。
逆に、表3に示すように、化合物A耐性H2228細胞株をエルロチニブ、ラパチニブ、AZD-4547、OSI-906のそれぞれ、1、1、0.3、3μmol/L存在下で培養し、化合物Aの増殖抑制作用を評価したところ、化合物Aはそれぞれ0.40、0.72、0.075、0.11μmol/LのIC50値で増殖を阻害した。
以上のことから、化合物Aは化合物A耐性H2228細胞株において、エルロチニブ、ラパチニブ、AZD-4547、OSI-906と相乗的に細胞増殖抑制作用を示すことが確認された。
本発明は、医薬、殊に、癌治療用医薬組成物、特に、化合物A又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、他の抗癌剤との併用のための癌治療用医薬組成物に関する。また、化合物A又はその製薬学的に許容される塩、及び、抗癌剤の併用療法に関する。本発明により、抗腫瘍作用を発揮できる新たな抗癌剤の組み合わせを提供できる。すなわち、化合物A、及び、既存又は開発中の特定の抗癌剤との併用により、各々単独では十分な抗腫瘍作用の得られない対象にも高い抗腫瘍作用をもたらすことができる。

Claims (15)

  1. パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と、組み合わせて併用投与されるように用いられることを特徴とする、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する癌治療用医薬組成物。
  2. パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用されることを特徴とする、癌治療用医薬組成物の製造のための、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩の使用。
  3. 癌治療のための、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用されることを特徴とする、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩。
  4. パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用される、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩の使用。
  5. パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物及びN-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩を、同時に、別々に、連続して、或いは間隔をあけて投与されることを特徴とする、請求項1に記載の癌治療用医薬組成物。
  6. (a) N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩、並びに、(b) パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物、を有効成分とする癌治療用医薬組成物。
  7. 癌治療のための、(a) N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩、並びに、(b) パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物。
  8. パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物の治療有効用量、並びに、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩の治療有効用量を組み合わせて、対象に投与することを特徴とする癌の治療方法。
  9. パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物の治療有効用量、並びに、N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩の治療有効用量を、同時に、別々に、連続して、或いは間隔をあけて対象に投与することを特徴とする癌の治療方法。
  10. N-[2-(イソプロピルスルフォニル)フェニル]-N'-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物の抗癌作用増強剤。
  11. (a) N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩、並びに、(B) パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物、を組み合わせて包含するキット。
  12. (a) N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物と、(c)パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物と併用することが表示された添付文書を含有してなる、癌治療用医薬品。
  13. N-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]フェニル}-N '-[2-(プロパン-2-スルホニル)フェニル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、パクリタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ラパチニブ、AZD-4547、及びOSI-906からなる群から選択される1以上の化合物を含有する医薬組成物による抗癌治療を受けている対象を治療するための癌治療用医薬組成物。
  14. 肺癌、非小細胞肺癌、又は、小細胞肺癌の治療用である請求項1、5、6、又は13に記載の医薬組成物。
  15. EML4-ALK融合ポリヌクレオチド陽性及び/若しくは変異EGFRポリヌクレオチド陽性の癌の治療用である請求項1、5、6、又は13に記載の医薬組成物。
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