JP7235222B2 - 粘性流体および粘性流体封入ダンパー - Google Patents
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Description
凝集パラメータP=D2/D1 ・・・(1)
F3/F1<0.40 ・・・(2)
F3/F1<0.15 ・・・(3)
本発明について実施形態に基づき詳しく説明する。本発明の光硬化性組成物は、粘性流体は、一次粒子とその凝集粒子を含む粉体を粘性基液に分散した粘性流体であって、前記一次粒子の平均粒径をD1とし、前記粉体のメジアン径(D50v)をD2としたとき、下記(1)式で規定した凝集パラメータPが1.4~1.7であることを特徴とする。
凝集パラメータP=D2/D1 ・・・(1)
本発明の粘性流体は、後述する粘性流体封入ダンパーのような密閉容器内で粘性流動して振動エネルギーを吸収するため、適度な粘度と、密閉容器内での経時安定性、耐熱性などを備えることが要求される。そのため、粘性基液とこの粘性基液に溶解しない粉体とを混合した粘性流体を用いている。
本発明の粘性流体における「粉体」は、一次粒子とその凝集粒子を含む。ここで、「粒子」とは、粉体を構成する個々の粉を指す。また、「一次粒子」とは、粉体をブレードミキサによって、これ以上ほぐすことができない単位をいう。「一次粒子の平均粒径」は、本明細書では、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して、任意の100個の粒子の粒径をそれぞれ測定し、その相加平均を計算することにより求められる。なお、走査型電子顕微鏡に供する試料および走査型電子顕微鏡の測定条件については、実施例の欄において詳細に説明する。「粉体のメジアン径(D50v)」は、体積基準の粒度分布における、出現頻度の累積が50%になる粒子径を指す。
F3/F1<0.40 ・・・(2)
F3/F1<0.15 ・・・(3)
粘性基液と粉体との混合比は、所望の粘性および振動減衰特性の観点から、重量比で30:70~70:30程度であり、40:60~65:35が好ましく、45:55~60:40がより好ましい。
その他の添加材として、上記所定の耐熱性樹脂粒子には、所望の分散性能を悪化させない範囲において、また、耐熱性樹脂粒子単独の場合よりも分散性能を向上させる目的や粘度を調整する目的で他の粒子を加えることができる。他の粒子としては、例えば、シリコーンレジン粉体、炭酸カルシウム粉体、ポリメチルシルセスキオキサン粉体、湿式シリカ粒、乾式シリカ粒、ガラスビーズ、ガラスバルーン、結晶性ケイ酸カリウムのゾノライト、塩基性硫酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムのカオリン等の無機系微粉体あるいはそれらの粒子に表面処理が施されたもの等が挙げられ、それぞれ単独で、または組み合わせて必要に応じて混合することができる。上述した他の粒子の中で、上記所定の耐熱性樹脂粒子に対するダレ防止剤(粘度調整剤)として機能するシリカや炭酸カルシウム粉体を添加することが好ましい。
図4は、本発明の粘性流体封入ダンパーの一例の断面図である。図4に示す粘性流体封入ダンパー11は、硬質樹脂でなる円筒形状の周壁部13と、その一端に固着するゴム状弾性体でなる可撓膜部14と、シャフト7を差し込ませて保持する攪拌筒部15とで容器本体を形成し、この容器本体が硬質樹脂でなる蓋体16と固着して密閉容器18を形成している。また、この密閉容器18の内部には振動減衰特性を有し上述した粘性流体12が封入されている。
以下に示すように、試料を作製した。まず、粘性流体封入ダンパー11は、図4で示す密閉容器18の直径が15mm、高さが10mmである粘性流体封入ダンパー11を製造した。周壁部13、蓋体16にはポリプロピレン樹脂を用い、可撓膜部14や攪拌筒部15には、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(以下「SEBS」と略記する。)を用いた。また、密閉容器18に封入する粘性流体12として、以下に示す粘性基液と粉体とを混合した粘性流体を用いた。そして、封入する粘性流体のみが相違する粘性流体封入ダンパー11を、試料1~試料7とした。
超高分子量ポリエチレン粒子(平均分子量:2.0×106、平均粒径D50:42μm、MFR:0.01g/10分未満、極限粘度η:14dl/g)100gを、ブレードミキサを用い、処理時間を1分~60分の間で変更(暫定条件)することで、凝集体の含有量の異なる試料1~5に供する、各前処理済み粉体を得た。試料6、7は未処理の粉体である。
試料1~6に供した粘性流体を所定量(1.5g)ビーカーに入れる。次いで、100csのジメチルシリコーン50mlをビーカーに入れて、均一になるまでかき混ぜる。濾紙をセットした漏斗に50mlを入れて、粉体を濾過する。このとき濾紙としては、アドバンテック社製「定性濾紙 No.2」(JIS P 3801:1995[ろ紙(化学分析用)]に規定される2種に相当)を用いる。続いて、前記ビーカー100csのジメチルシリコーン50mlを再度注ぎ、ビーカー内の残渣と共に前記漏斗へ注ぎ、濾紙上の粉体を洗浄する。この操作を再度行い、濾紙上の粉体を洗浄する。その後、濾紙を室温(平均28℃)で1週間放置して、ジメチルシリコーンを乾燥させたものを、後述する各粒径の測定用サンプルとした。なお、前記濾過をした際に濾紙を通った濾液は透明だった。また、上記分離前処理によって、基本的に粘性流体中に存在した粉体の粒径が変化する可能性は極めて少ない。
上述のように粘性流体から分離前処理された微量の粉体を、カーボンテープに付着させ、次いでエアダスターで余分な粉を吹き飛ばしたものを準備した。次いで、スパッタ装置を用いて、準備した試料の表面に白金膜を形成した。これらを、走査型電子顕微鏡(SU3500、(株)日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、400倍の倍率で観察した。試料1に用いた粘性流体から分離前処理した後の粉体は、図3に示すように、得られたSEM画像を基に、任意(無作為に選んだ)の一次粒子100個の粒径を測定し、その相加平均を計算した。なお、このとき球状粒子については直径を測定するものとし、楕円形や不定形などのアスペクト比を有する粒子の場合には、長軸と長軸に垂直な方向の長さを測定して平均値を粒子の大きさとした。また、走査型電子顕微鏡の一の視野に一次粒子が100個ない場合は、複数の視野において粒径を測定した。試料2~6についても、試料1の場合と同様に、上述のように分離前処理後の粉体について測定した。
本明細書に開示されるメジアン径(「D50v」とも呼ばれる)は、Beckman Coulter MULTISIZER 3(Beckman Coulter社製)を用いて測定した。代表的なサンプリングは、以下のように行ってもよい。上述のように粘性流体から分離前処理された少量の粉体のサンプル(約1g)を、電解質水溶液(4%の塩化ナトリウム水溶液)に入れ、濃度約10%を得て、次いで、このサンプルをBeckman Coulter Multisizer 3に供する。測定条件は、アパーチャを200μm、ビンを300、粒径範囲を4μmから120μmの条件で60秒間測定して、メジアン径(D50v)および体積基準の粒度分布を得た。
まず、試験に供した装置について説明する。各実施例の試料については、図5に示すマスモデルを用いて、振動減衰特性を評価した。マスモデルは、振動経路において防振対象とする2次側部材、具体的にはCDプレーヤ等の再生機構1として設定して試験を行った。この再生機構1は、加振テーブル2と、加振テーブル2に配置した3つの粘性流体封入ダンパー11及び3つの支持壁3と、各支持壁3に吊り下げたコイルスプリング4と、3つのコイルスプリング4で支持される被支持板5と、被支持板5の上面の中央に配置した錘6とを備える構成とした。被支持板5の裏面には3本のシャフト7が配置されており、それぞれ対応する粘性流体封入ダンパー11に挿入されている。そして、上下方向に一定加速度9.8m/s2、周波数7Hz~200Hzの範囲で振動させ、加振テーブル2と被支持板5との振動減衰率τ100(dB)を測定した。また、共振倍率Q(dB)は、共振周波数f0(Hz)において加振テーブル2の加速度a1に対し、被支持板5の加速度a2を測定し、20Log(a2/a1)の関係式で換算して求めた。
2 加振テーブル
3 支持壁
4 コイルスプリング
5 被支持板
6 錘
7 シャフト
11 粘性流体封入ダンパー
12 粘性流体
13 周壁部
14 可撓膜部
15 攪拌筒部
16 蓋体
16a 孔
18 密閉容器
Claims (6)
- 一次粒子とその凝集粒子を含む粉体を粘性基液に分散した10~5000Pa・sの粘度である粘性流体であって、
前記一次粒子の平均粒径をD1とし、前記粉体のメジアン径をD2としたとき、
前記粉体のメジアン径D2が、10~200μmであり、
下記(1)式で規定した凝集パラメータPが1.4~1.7であることを特徴とする粘性流体。
凝集パラメータP=D2/D1 ・・・(1) - 前記粉体は、体積基準の粒度分布において、前記D1の3倍の粒径を有する粒子の出現頻度F3と、前記D1における出現頻度F1との関係が下記(2)を満たす請求項1に記載の粘性流体。
F3/F1<0.40 ・・・(2) - 前記粉体は、体積基準の粒度分布において、前記D1の3倍の粒径を有する粒子の出現頻度F3と、前記D1における出現頻度F1との関係が下記(3)を満たす請求項1に記載の粘性流体。
F3/F1<0.15 ・・・(3) - 前記粘性基液の粘度が、1~100Pa・sである請求項1~3の何れか1項記載の粘性流体。
- 前記粉体が、高分子量ポリオレフィンである請求項1~4の何れか1項記載の粘性流体。
- 請求項1~5の何れか1項記載の粘性流体が可撓性成形体内に封入された粘性流体封入ダンパー。
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