JP7234536B2 - シリカゾルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカゾルの製造方法に関する。
金属や無機化合物等の材料の表面を研磨する方法として、研磨液を用いた研磨方法が知られている。中でも、半導体用のプライムシリコンウェーハやこれらの再生シリコンウェーハの最終仕上げ研磨、及び、半導体デバイス製造時の層間絶縁膜の平坦化、金属プラグの形成、埋め込み配線形成等の化学的機械的研磨(CMP)では、その表面状態が半導体特性に大きく影響するため、これらの部品の表面や端面は、極めて高精度に研磨されることが要求されている。
このような精密研磨においては、シリカゾルを含む組成物が採用されており、その主成分である砥粒として、コロイダルシリカが広く用いられている。コロイダルシリカは、その製造方法の違いにより、四塩化珪素の熱分解によるもの(ヒュームドシリカ等)、水ガラス等の珪酸アルカリの脱イオンによるもの、テトラアルコキシシランの加水分解反応によるもの(一般に「ゾルゲル法」と称される)等が知られている。
コロイダルシリカを含むシリカゾルの製造方法に関し、これまで多くの検討がなされてきた。例えば、特許文献1には、高純度シリカゾルを製造する方法として、テトラアルコキシシランの加水分解反応・縮合反応によって合成された反応液を、濃縮して溶媒置換する前に、及び/又は、濃縮して溶媒置換した後に、分散剤を添加する、高純度シリカゾルを製造する方法が提案されている。また、特許文献2には、高純度シリカゾルを製造する方法として、テトラアルコキシシランを加水分解して得られた加水分解液を、アルカリ触媒及び水を含む母液に添加する、高純度シリカゾルを製造する方法が提案されている。
国際公開第2008/015943号 国際公開第2008/123373号
しかしながら、特許文献1の方法では、テトラアルコキシシランの加水分解反応・縮合反応の際、水溶性の低いテトラアルコキシシランを、効率よく水を含む反応液に分散させるため、テトラアルコキシシランを含む原料液やアルカリ触媒及び水を含む母液に、アルコール等の有機溶媒を添加するが必要がある。そのため、大量の溶媒を除去する必要があり、その濃縮工程により多くの時間を費やさなければならないという課題を有する。特に、有機溶媒としてメタノールを使用する場合には、メタノールの引火点が11℃と非常に低く大量の取り扱いにおける危険性の高い化合物であり、また、メタノールが毒劇物取締法上の劇物に該当する化合物であるため、できる限りメタノールの使用量を削減することが求められる。
また、特許文献2の方法では、シリカゾルを得る過程やシリカゾルを得た後に、コロイダルシリカが凝集し、溶媒・分散媒中で沈降してしまうという課題を有する。コロイダルシリカが凝集・沈降してしまうと、シリカゾル中でコロイダルシリカの濃度ムラが発生し、研磨液として使用する際に被研磨面にスクラッチを発生させる等、研磨液としての品質が低下し、本来のシリカゾルとしての性能を損なう恐れがある。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、メタノールに代表される有機溶媒の使用量を削減し、濃縮工程の時間を短くすることができ、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制した、特に金属不純物含有率が極めて少ない高純度のシリカゾルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下を要旨とする。
[1]以下の工程(1)~工程(4)を含む、シリカゾルの製造方法。
工程(1)テトラアルコキシシランを加水分解し、加水分解液を得る工程。
工程(2)アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する工程。
工程(3)前記母液に、前記加水分解液を添加し、シリカゾル反応液を得る工程。
工程(4)前記シリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
[2]更に、以下の工程(5)を含む、[1]に記載のシリカゾルの製造方法。
工程(5)前記分散剤を添加したシリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程。
[3]更に、以下の工程(6)を含む、[2]に記載のシリカゾルの製造方法。
工程(6)前記溶媒を置換したシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
[4]以下の工程(1)~工程(3)及び工程(7)~工程(8)を含む、シリカゾルの製造方法。
工程(1)テトラアルコキシシランを加水分解し、加水分解液を得る工程。
工程(2)アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する工程。
工程(3)前記母液に、前記加水分解液を添加し、シリカゾル反応液を得る工程。
工程(7)前記シリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程。
工程(8)前記溶媒を置換したシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
[5]前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランを含む、[1]~[4]のいずれかに記載のシリカゾルの製造方法。
[6]前記アルカリ触媒が、アンモニア及びテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のシリカゾルの製造方法。
[7]前記分散剤が、有機酸及び有機酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[6]のいずれかに記載のシリカゾルの製造方法。
[8]シリカゾルの金属不純物含有率が、1ppm以下である、[1]~[7]のいずれかに記載のシリカゾルの製造方法。
本発明のシリカゾルの製造方法によれば、メタノールに代表される有機溶媒の使用量を削減し、濃縮工程によって高温条件にさらされる時間を短くすることができ、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制した、特に金属不純物含有率が極めて少ない高純度のシリカゾルを効率的に製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
なお、以下において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明の第1態様に係るシリカゾルの製造方法は、以下の工程(1)~工程(4)を含む。
研磨に好適な溶媒・分散媒とすることができることから、更に以下の工程(5)を含むことが好ましい。
シリカゾルを得た後にコロイダルシリカの凝集・沈降を抑制することができることから、更に以下の工程(6)を含むことが好ましい。
工程(1)テトラアルコキシシランを加水分解し、加水分解液を得る工程。
工程(2)アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する工程。
工程(3)前記母液に、前記加水分解液を添加し、シリカゾル反応液を得る工程。
工程(4)前記シリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
工程(5)前記分散剤を添加したシリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程。
工程(6)前記溶媒を置換したシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
本発明の第1態様に係るシリカゾルの製造方法は、工程(1)を含むことにより、濃縮除去すべき有機溶媒量を最少量にできる。また、工程(4)の後に工程(5)を有することにより、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制すると共に、研磨に好適な溶媒・分散媒とすることができる。更に、工程(6)を含むことにより、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制することができる。
本発明の第2態様に係るシリカゾルの製造方法は、以下の工程(1)~工程(3)及び工程(7)~工程(8)を含む。
工程(1)テトラアルコキシシランを加水分解し、加水分解液を得る工程。
工程(2)アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する工程。
工程(3)前記母液に、前記加水分解液を添加し、シリカゾル反応液を得る工程。
工程(7)前記シリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程。
工程(8)前記溶媒を置換したシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
本発明の第2態様に係るシリカゾルの製造方法は、工程(1)を含むことにより濃縮除去すべき有機溶媒量を最少量にできる。また、工程(8)を含むことにより、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制することができる。
以下に、第1態様及び第2態様のシリカゾルの製造方法を工程毎に説明する。
[第1態様のシリカゾルの製造方法]
<工程(1)>
工程(1)は、テトラアルコキシシランを加水分解して加水分解液を得る工程である。
テトラアルコキシシランの加水分解液は、テトラアルコキシシランを水で加水分解して調製する。
具体的には、テトラアルコキシシランのアルコキシ基に対し、当量以上の水を加えて下記反応を行わせて、活性テトラアルコキシシラン溶液を調製する。
Si(OR)+4HO → Si(OH)+4ROH
(但し、Rは、アルキル基を示す。)
テトラアルコキシシランの加水分解液は、公知の方法によって調製することができ、例えば、水にテトラアルコキシシランを加え、攪拌する方法が挙げられる。この方法では、1~2時間程度で加水分解が進行し、所定の加水分解液を得ることができる。
最終的に得られる加水分解液のシリカ濃度は、0.1~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、2~5質量%が更に好ましい。加水分解液のシリカ濃度が0.1質量%以上であると、コロイダルシリカの粒子成長を効率的に行わせることができる。また、加水分解液のシリカ濃度が20質量%以下であると、加水分解液の高粘度化を抑制することができる。
最終的に得られる加水分解液のシリカ濃度は、テトラアルコキシシランと水の量により調整することができる。
「シリカ濃度」とは、加水分解に用いたテトラアルコキシシランがすべてシリカ(SiO)となったときの濃度を表す。
テトラアルコキシシランは、Si(OR)で表され、4つのRは、同一であっても異なっていてもよい。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのテトラアルコキシシランは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのテトラアルコキシシランの中でも、加水分解反応が早く、未反応物が残留しづらく、シリカゾルの生産性に優れ、安定なシリカゾルを容易に得ることができることから、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがより好ましく、テトラメトキシシランが更に好ましい。
テトラアルコキシシランの加水分解液は、保存性が低いので、必要に応じて、工程(3)までの間に固形分濃度を調整してもよい。
テトラアルコキシシランの加水分解液を得るための加水分解は、触媒の存在下で行ってもよく、無触媒下で行ってもよいが、不純物の混入を抑制することができることから、無触媒下で行うことが好ましい。
触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸等の無機酸;有機酸;強酸性陽イオン交換樹脂等の固体酸等が挙げられる。これらの触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<工程(2)>
工程(2)は、アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する工程である。
母液は、水にアルカリ触媒を添加することにより調製する。
アルカリ触媒としては、公知のアルカリ触媒を用いることができるが、金属不純物の混入を抑制できることから、金属成分を含まない有機系塩基触媒が好ましい。
有機系塩基触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルグアニジン等が挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの触媒の中でも、金属不純物の混入を抑制することができ、触媒作用に優れ、コロイダルシリカの粒子の形状を制御しやすいことから、アンモニア、テトラアルキルアンモニウム塩が好ましく、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドがより好ましく、揮発性が高く、シリカゾル反応液を得た後の除去性に優れることから、アンモニアがより好ましい。
アルカリ触媒の添加量は、母液のpHが7~14の範囲内になるように適宜設定すればよく、好ましくはpHが7~12であり、より好ましくはpHが7~9である。
工程(2)において、母液中に種晶を存在させてもよい。種晶を存在させることにより、工程(3)において加水分解液からのコロイダルシリカの粒子の成長を促進でき、大粒子径のコロイダルシリカを含むシリカゾルを短時間に得ることができる。
種晶としては、例えば、市販のシリカゾル;チタニア、ジルコニア、アルミナ等の無機粒子;表面に親シリカ処理を施した有機粒子等が挙げられる。これらの種晶は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの種晶の中でも、金属不純物の混入を抑制することができることから、シリカゾルが好ましく、金属不純物含有率が1ppm以下のシリカゾルがより好ましい。
母液中の種晶の含有量は、特に限定されず、所望のシリカゾルに応じて適宜設定すればよい。
種晶の体積平均粒子径は、特に限定されず、所望のシリカゾルに応じて適宜設定すればよいが、5~200nmが好ましい。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で調製した母液に、工程(1)で得た加水分解液を添加し、シリカゾル反応液を得る工程である。
母液にテトラアルコキシシランの加水分解液を添加する際、母液を加熱しておくことが好ましい。加熱温度は、50~100℃が好ましく水還流状態とすることがより好ましい。
反応温度は、より高温であるほど緻密粒子が得られ、50~100℃が好ましく、水還流状態とすることがより好ましい。
工程(3)において、より高温度で還流できるよう、加圧下で加水分解液の添加を行ってもよい。
母液への加水分解液の添加は、所望のコロイダルシリカの粒子に成長するまで継続する。加水分解液の添加速度は、加水分解液の濃度、所望のコロイダルシリカの粒子径等によって適宜選択すればよく、0.5~200gシリカ/時/kg母液が好ましく、1~100gシリカ/時/kg母液がより好ましい。加水分解液の添加速度が0.5gシリカ/時/kg母液以上であると、シリカゾルの生産性に優れる。また、加水分解液の添加速度が200gシリカ/時/kg母液以下であると、緻密なコロイダルシリカの粒子が形成される。
「gシリカ」とは、コロイダルシリカの粒子の質量を表す。「kg母液」とは、母液の質量を表す。
テトラアルコキシシランの加水分解液の添加に伴い、反応液のpHは徐々に低下する。工程(3)において、反応液のpHは、7~10に維持することが好ましい。反応液のpHを維持するために、適宜アルカリ触媒を追加添加してもよい。
<工程(4)>
工程(4)は、工程(3)で得られたシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程である。
工程(4)で用いる分散剤は、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制し、シリカゾル中でコロイダルシリカの濃度ムラを抑制する作用を有する。その結果、研磨液として使用する際に被研磨面にスクラッチを発生させる等、研磨液としての品質が低下することを抑制し、本来のシリカゾルとしての性能を発揮することができる。
工程(4)で用いる分散剤としては、例えば、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、界面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの分散剤の中でも、工程(5)において分解せず、揮発性が低く、コロイダルシリカの凝集・沈降の抑制を維持することができることから、有機酸、有機酸塩が好ましく、分解温度及び沸点が共に60℃以上である有機酸、有機酸塩がより好ましく、クエン酸、安息香酸、安息香酸アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、クエン酸水素二アンモニウム、クエン酸テトラメチルアンモニウムが更に好ましい。
無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、アルキルリン酸エステル、ホウ酸、ピロリン酸、ホウフッ酸、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これらの無機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの無機酸の中でも、硫酸、硝酸が好ましい。
無機酸塩としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、ホウ酸アンモニウム八水和物等が挙げられる。これらの無機酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの無機酸塩の中でも、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムが好ましい。
有機酸としては、例えば、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コハク酸、マロン酸、フマル酸、フタル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコ-ル酸、サリチル酸、グリセリン酸、乳酸等が挙げられる。これらの有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの有機酸の中でも、クエン酸、安息香酸が好ましい。
有機酸塩としては、例えば、安息香酸アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、クエン酸水素二アンモニウム、シュウ酸アンモニウム一水和物、ギ酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、クエン酸テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。これらの有機酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの有機酸塩の中でも、安息香酸アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、クエン酸水素二アンモニウム、クエン酸テトラメチルアンモニウムが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;1級又は3級アルキルアミン塩、4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;アミノ酸、アルキルベタイン等の両性界面活性剤;グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤の中でも、非イオン性界面活性剤が好ましい。
工程(4)で用いる分散剤は、揮発性が低く、コロイダルシリカの凝集・沈降の抑制を維持することができることから、分解温度及び沸点が共に60℃以上であることが好ましい。また、工程(5)を含む場合、工程(4)で用いる分散剤は、工程(5)において分解・揮発せず、コロイダルシリカの凝集・沈降の抑制を維持することができることから、分解温度及び沸点が共に工程(5)における最高温度以上であることが好ましい。
分散剤は、シリカゾルの金属不純物含有率の上昇を抑制することができることから、金属含有率が1ppm以下であることが好ましく、金属含有率が0.1ppm以下であることがより好ましい。
対象の金属は、ナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀とする。
分散剤として有機酸、無機酸を添加する際は、シリカゾル反応液のpHを7以上に維持しつつ、分散剤を添加することが好ましい。
工程(4)の後の分散剤の濃度は、コロイダルシリカの粒子径に応じて適宜設定すればよいが、シリカゾル反応液100質量%中、10~5000ppmが好ましく、30~3000ppmがより好ましい。分散剤の濃度が10ppm以上であると、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制し、シリカゾル中でコロイダルシリカの濃度ムラを抑制することができる。また、分散剤の濃度が5000ppm以下であると、シリカゾルの研磨液としての品質の低下を抑制することができる。
2種以上の分散剤を併用する場合、工程(4)の後の分散剤の濃度とは、併用したすべての分散剤の合計の濃度を表す。
<工程(5)>
工程(5)は、工程(4)において分散剤を添加したシリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程である。
工程(5)における濃縮法としては、例えば、加熱濃縮法等が挙げられる。具体的には、分散剤を添加したシリカゾル反応液を加熱し、加熱による留出分と同量の反応液を加えながら濃縮することで、優れた生産性でシリカゾルを製造することができる。
得られた濃縮液は、溶媒・分散媒で置換することにより、所望の溶媒・分散媒とすることができ、所望のコロイダルシリカ含有率のシリカゾルを得ることができる。
置換する溶媒・分散媒としては、例えば、水、親水性溶媒等が挙げられる。これらの置換する溶媒・分散媒の中でも、汎用性に優れることから、水が好ましい。
溶媒・分散媒で置換した後のシリカゾル中のコロイダルシリカの含有率は、シリカゾル100質量%中、3~50質量%が好ましく、4~40質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましい。コロイダルシリカの含有率が3質量%以上であると、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。また、コロイダルシリカの含有率が50質量%以下であると、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制し、シリカゾル中でコロイダルシリカの濃度ムラを抑制することができる。
溶媒・分散媒で置換した後のシリカゾル中の溶媒・分散媒の含有率は、シリカゾル100質量%中、50~97質量%が好ましく、60~96質量%がより好ましく、70~95質量%が更に好ましい。溶媒・分散媒の含有率が50質量%以上であると、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制し、シリカゾル中でコロイダルシリカの濃度ムラを抑制することができる。また、溶媒・分散媒の含有率が97質量%以下であると、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
<工程(6)>
工程(6)は、工程(5)で得られた溶媒置換濃縮液であるシリカゾル反応液に分散剤を更に添加する工程である。
工程(6)は、必ずしも必要でないが、工程(4)で添加した分散剤の分解温度が工程(5)における最高温度よりも低い場合や工程(4)で添加した分散剤の添加量が少ない場合には、工程(6)を行うことが好ましい。工程(6)で分散剤を更に添加することで、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制し、シリカゾル中でコロイダルシリカの濃度ムラを抑制することができる。
この工程(6)で用いる分散剤としては、工程(4)で用いる分散剤として前述した分散剤の1種又は2種以上を用いることができる。
工程(4)で添加する分散剤と工程(6)で添加する分散剤は同一であってもよく、異なっていてもよい。
工程(6)の後の分散剤の濃度は、コロイダルシリカの粒子径に応じて適宜設定すればよいが、シリカゾル100質量%中、10~5000ppmが好ましく、30~3000ppmがより好ましい。分散剤の濃度が10ppm以上であると、コロイダルシリカの凝集・沈降を抑制し、シリカゾル中でコロイダルシリカの濃度ムラを抑制することができる。また、分散剤の濃度が5000ppm以下であると、シリカゾルの研磨液としての品質の低下を抑制することができる。
2種以上の分散剤を併用する場合、工程(6)の後の分散剤の濃度とは、併用したすべての分散剤の合計の濃度を表す。
[第2態様のシリカゾルの製造方法]
<工程(1)~工程(3)>
第2態様における工程(1)~(3)は、第1態様における工程(1)~(3)と同様に行うことができる。
<工程(7)>
工程(7)は、工程(3)で得られたシリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程である。
第2態様における工程(7)は、第1態様における工程(5)と同様に行うことができる。
<工程(8)>
工程(8)は、工程(7)で溶媒を置換したシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程である。
第2態様における工程(8)は、第1態様における工程(6)と同様に行うことができる。
<その他の工程>
シリカゾルには、コロイダルシリカ、溶媒・分散媒及び分散剤以外に、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、酸化剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、pH緩衝剤、キレート剤、抗菌・殺生物剤等の他の添加剤を添加してもよい。
特に、シリカゾルの保存安定性に優れることから、シリカゾル中に抗菌・殺生物剤を添加することが好ましい。シリカゾル中に抗菌・殺生物剤を添加するのは、コロイダルシリカを得た後が好ましい。具体的には、第1の態様においては、工程(5)を含まない場合は、工程(3)又は工程(4)の後が好ましく、工程(5)を含む場合は、工程(5)又は工程(6)の後が好ましい。第2の態様においては、工程(7)又は工程(8)の後が好ましい。
抗菌・殺生物剤としては、例えば、過酸化水素、アンモニア、第四級アンモニウム水酸化物、四級アンモニウム塩、エチレンジアミン、グルタルアルデヒド、過酸化水素、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。これらの抗菌・殺生物剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの抗菌・殺生物剤の中でも、シリカゾルとの親和性に優れることから、過酸化水素が好ましい。
殺生物剤は、一般に殺菌剤と言われるものも含む。
抗菌・殺生物剤の含有率は、シリカゾル100質量%中、0.0001~10質量%が好ましく、0.001~1質量%がより好ましい。抗菌・殺生物剤の含有率が0.0001質量%質量%以上であると、シリカゾルの保存安定性に優れる。抗菌・殺生物剤の含有率が10質量%以下であると、シリカゾルの本来の性能を損なわない。
[シリカゾルの好適特性]
本発明のシリカゾルの製造方法により製造されたシリカゾルは、下記に示す理由により、金属不純物含有率が1ppm以下であることが好ましく、0.5ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることが更に好ましい。
半導体デバイスのシリコンウェーハの研磨において、金属不純物が被研磨体の表面に付着・汚染することで、ウェーハ特性に悪影響を及ぼすと共に、ウェーハ内部に拡散して品質が劣化するため、このようなウェーハによって製造された半導体デバイスの性能が著しく低下する。
また、シリカゾル中に金属不純物が存在すると、酸性を示す表面シラノール基と金属不純物とが配位的な相互作用が発生し、表面シラノール基の化学的性質(酸性度等)を変化させたり、コロイダルシリカ表面の立体的な環境(コロイダルシリカの凝集のしやすさ等)を変化させたり、研磨レートに影響を及ぼす。
シリカゾルの金属不純物含有率は、高周波誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により測定したものとする。具体的には、シリカゾル2gを正確に量り取り、硫酸とフッ酸を加え、加温・溶解・蒸発させ、残存した硫酸滴に総量が正確に10gとなるよう純水を加えて試験液を作成し、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定するものとする。対象の金属は、ナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀とする。
シリカゾルの金属不純物含有率は、テトラアルコキシシランを主原料として加水分解反応・縮合反応(ゾルゲル法)を行うことで、1ppm以下とすることができる。
水ガラス等の珪酸アルカリの脱イオンによる方法では、原料由来のナトリウム等が残存するため、シリカゾルの金属不純物含有率を1ppm以下とすることが困難である。
また、金属不純物含有率を低減させるためには、シリカゾルの製造で用いる分散剤や添加剤等として金属含有率が極めて低い又は全く含まないものを用い、反応容器等として金属汚染性が極めて低いものを用い、更に、製造場所を金属汚染性が極めて低い環境となるように保つ設備とすることが好ましい。
シリカゾル中のコロイダルシリカの平均1次粒子径は、10~200nmが好ましく、15~100nmがより好ましい。コロイダルシリカの平均1次粒子径が10nm以上であると、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、シリカゾルの保存安定性に優れる。また、コロイダルシリカの平均1次粒子径が200nm以下であると、研磨時のシリコンウェーハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、コロイダルシリカの沈降を抑制することができる。
コロイダルシリカの平均1次粒子径は、BET法により測定したものとする。具体的には、比表面積自動測定装置を用いてコロイダルシリカの比表面積を測定し、下記式(1)を用いて平均1次粒子径を算出するものとする。
平均1次粒子径(nm)
=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm)) ・・・ (1)
コロイダルシリカの平均1次粒子径は、公知の条件・方法により、所望の範囲に設定することができる。
シリカゾル中のコロイダルシリカの平均2次粒子径は、20~300nmが好ましく、30~200nmがより好ましい。コロイダルシリカの平均2次粒子径が20nm以上であると、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れ、シリカゾルの保存安定性に優れる。コロイダルシリカの平均2次粒子径が300nm以下であると、研磨時のシリコンウェーハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れ、コロイダルシリカの沈降を抑制することができる。
コロイダルシリカの平均2次粒子径は、DLS法により測定したものとする。具体的には、動的光散乱粒子径測定装置を用いて測定するものとする。
コロイダルシリカの平均2次粒子径は、公知の条件・方法により、所望の範囲に設定することができる。
シリカゾル中のコロイダルシリカのcv値は、15~50が好ましく、20~40がより好ましい。コロイダルシリカのcv値が15以上であると、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、シリコンウェーハの生産性に優れる。また、コロイダルシリカのcv値が50以下であると、研磨時のシリコンウェーハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れる。
コロイダルシリカのcv値は、動的光散乱粒子径測定装置を用いてコロイダルシリカの平均2次粒子径を測定し、下記式(2)を用いてcv値を算出するものとする。
cv値=(標準偏差(nm)/平均2次粒子径(nm))×100 ・・・ (2)
シリカゾル中のコロイダルシリカの会合比は、1.2~2.5が好ましく、1.5~2.2がより好ましい。コロイダルシリカの会合比が1.2以上であると、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、シリコンウェーハの生産性に優れる。また、コロイダルシリカの会合比が2.5以下であると、研磨時のシリコンウェーハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、コロイダルシリカの凝集を抑制することができる。
コロイダルシリカの会合比は、前述の測定方法にて測定した平均1次粒子径と前述の測定方法にて測定した平均2次粒子径とから、下記式(3)を用いて会合比を算出するものとする。
会合比=平均2次粒子径/平均1次粒子径 ・・・ (3)
[研磨液]
本発明のシリカゾルの製造方法により製造されたシリカゾルは、水溶性高分子を溶解させることで、研磨液を得ることができる。
水溶性高分子は、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨液の濡れ性を高める。水溶性高分子は、水親和性の高い官能基を保有する高分子であることが好ましく、この水親和性の高い官能基とコロイダルシリカの表面シラノール基との親和性が高く、研磨液中でより近傍にコロイダルシリカと水溶性高分子とが安定して分散する。そのため、シリコンウェーハに代表される被研磨体への研磨の際、コロイダルシリカと水溶性高分子との効果が相乗的に機能する。
水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン骨格を有する共重合体、ポリオキシアルキレン構造を有する重合体等が挙げられる。
セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、加水分解処理を施したヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
ポリビニルピロリドン骨格を有する共重合体としては、例えば、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとのグラフト共重合体等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン構造を有する重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体等が挙げられる。
これらの水溶性高分子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの水溶性高分子の中でも、コロイダルシリカの表面シラノール基との親和性が高く、相乗的に作用して被研磨体の表面に良好な親水性を与えることから、セルロース誘導体が好ましく、ヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。
水溶性高分子の質量平均分子量は、1,000~3,000,000が好ましく、5,000~2,000,000がより好ましく、10,000~1,000,000が更に好ましい。水溶性高分子の質量平均分子量が1,000以上であると、研磨液の親水性が向上する。また、水溶性高分子の質量平均分子量が3,000,000以下であると、シリカゾルとの親和性に優れ、シリコンウェーハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
水溶性高分子の質量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算で、0.1mol/LのNaCl溶液を移動相とする条件で、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定するものとする。
水溶性高分子の含有率は、研磨液100質量%中、0.02~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましい。水溶性高分子の含有率が0.02質量%以上であると、研磨液の親水性が向上する。また、水溶性高分子の含有率が10質量%以下であると、研磨液調製時のコロイダルシリカの凝集・沈降を抑制することができる。
研磨液のpHは、8~12が好ましく、9~11がより好ましい。研磨液のpHが8以上であると、研磨液中のコロイダルシリカの凝集・沈降を抑制することができる。また、研磨液のpHが12以下であると、コロイダルシリカの溶解を抑制することができる。
研磨液のpHは、後述するpH調整剤を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
研磨液は、シリカゾル及び水溶性高分子以外に、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、塩基性化合物、研磨促進剤、親水性化合物、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、pH緩衝剤、キレート剤、抗菌・殺生物剤等の他の添加剤を含んでもよい。
特に、シリコンウェーハに代表される被研磨体の表面に化学的な作用を与えて化学的研磨(ケミカルエッチング)ができ、シリコンウェーハに代表される被研磨体の研磨速度を向上させることができることから、研磨液中に塩基性化合物を含ませることが好ましい。
塩基性化合物としては、例えば、有機塩基性化合物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの塩基性化合物の中でも、水溶性が高く、コロイダルシリカや水溶性高分子との親和性に優れることから、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムが好ましく、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムがより好ましく、アンモニアが更に好ましい。
塩基性化合物の含有率は、研磨液100質量%中、0.001~5質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましい。塩基性化合物の含有率が0.001質量%以上であると、シリコンウェーハに代表される被研磨体の研磨速度を向上させることができる。また、塩基性化合物の含有率が5質量%以下であると、研磨液の安定性に優れる。
研磨液は、シリカゾル、水溶性高分子、及び、必要に応じて、他の添加剤を混合することで得られるが、保管・運搬を考慮し、一旦高濃度で調製し、研磨直前に水等で希釈してもよい。
[用途]
本発明のシリカゾルの製造方法により製造されたシリカゾル及びそれを含む研磨液は、研磨用途に好適に用いることができ、例えば、シリコンウェーハ等の半導体材料の研磨、ハードディスク基板等の電子材料の研磨、集積回路を製造する際の平坦化工程における研磨(化学的機械的研磨)、フォトマスクや液晶に用いる合成石英ガラス基板の研磨、磁気ディスク基板の研磨等に用いることができ、中でもシリコンウェーハの研磨や化学的機械的研磨に特に好適に用いることができる。
シリカゾル及び研磨液の研磨への使用の際は、公知の研磨と同様に行えばよい。例えば、シリコンウェーハを研磨する際は、濃度を調製、添加剤を添加した上、研磨機の常盤にセットされた研磨パッド上に滴下して研磨すればよい。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
テトラメトキシシランと水とを1:12(体積比)で混合し、攪拌し、加水分解反応を開始させる。加水分解反応を1時間継続し、シリカ濃度3質量%の加水分解液が得られる。
2質量%のアンモニア水を母液とし、母液を加熱し、水還流状態となったところで得られた加水分解液を、10gシリカ/時/kg母液の添加速度で10時間添加し、シリカゾル反応液が得られる。加水分解液の添加中、pHを8程度に維持するよう、2質量%のアンモニア水を添加する。
得られたシリカゾル反応液に、シリカゾル反応液100質量%中の安息香酸アンモニウムの濃度が1000ppmになるよう、分散剤として安息香酸アンモニウムを添加する。
得られた分散剤を添加したシリカゾル反応液を、コロイダルシリカの含有率が約20質量%になるように、液量を純水追加で調整しながら、温度を上げてメタノールとアンモニアの除去を行い、コロイダルシリカの含有率が約20質量%のシリカゾルを得る。
得られたシリカゾルに、シリカゾル100質量%中の安息香酸アンモニウムの濃度が2000ppmになるよう、安息香酸アンモニウムを添加する。
得られた分散剤を添加したシリカゾルは、金属不純物含有率が1ppm以下であり、180日静置してもコロイダルシリカの凝集・沈降が抑制される。
[比較例1]
シリカ反応液への分散剤の添加及びシリカゾルへの分散剤の添加を行わなかったこと以外は、実施例1と同様に操作を行い、シリカゾルを得る。
得られた分散剤を添加しなかったシリカゾルは、金属不純物含有率が1ppm以下であるが、180日静置したらコロイダルシリカの凝集・沈降が多く確認される。
本発明のシリカゾルの製造方法により製造されたシリカゾル及びそれを含む研磨液は、研磨用途に好適に用いることができ、例えば、シリコンウェーハ等の半導体材料の研磨、ハードディスク基板等の電子材料の研磨、集積回路を製造する際の平坦化工程における研磨(化学的機械的研磨)、フォトマスクや液晶に用いる合成石英ガラス基板の研磨、磁気ディスク基板の研磨等に用いることができ、中でもシリコンウェーハの研磨や化学的機械的研磨に特に好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 以下の工程(1)~工程(4)を含むシリカゾルの製造方法であって、該シリカゾル中のコロイダルシリカの会合比が1.2~2.5であり、該シリカゾル中の金属不純物含有率が1ppm以下である、シリカゾルの製造方法。
    工程(1)テトラアルコキシシランを加水分解し、加水分解液を得る工程。
    工程(2)アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する工程。
    工程(3)前記母液に、前記加水分解液を添加し、シリカゾル反応液を得る工程。
    工程(4)前記シリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
  2. 更に、以下の工程(5)を含む、請求項1に記載のシリカゾルの製造方法。
    工程(5)前記分散剤を添加したシリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程。
  3. 更に、以下の工程(6)を含む、請求項2に記載のシリカゾルの製造方法。
    工程(6)前記溶媒を置換したシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
  4. 以下の工程(1)~工程(3)及び工程(7)~工程(8)を含むシリカゾルの製造方法であって、該シリカゾル中のコロイダルシリカの会合比が1.2~2.5であり、該シリカゾル中の金属不純物含有率が1ppm以下である、シリカゾルの製造方法。
    工程(1)テトラアルコキシシランを加水分解し、加水分解液を得る工程。
    工程(2)アルカリ触媒及び水を含む母液を調製する工程。
    工程(3)前記母液に、前記加水分解液を添加し、シリカゾル反応液を得る工程。
    工程(7)前記シリカゾル反応液を濃縮し、溶媒を置換する工程。
    工程(8)前記溶媒を置換したシリカゾル反応液に、分散剤を添加する工程。
  5. 前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
  6. 前記アルカリ触媒が、アンモニア及びテトラアルキルアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
  7. 前記分散剤が、有機酸及び有機酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
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