JP7232431B2 - 電極、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池システム - Google Patents

電極、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池システム Download PDF

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Description

本開示は、電極、電池セル、セルスタック、及びレドックスフロー電池システムに関する。
特許文献1のレドックスフロー電池は、電池セルの電極として、多孔質板と繊維集合材とが積層された積層体を用いている。多孔質板は、炭素同士の物理的な結合によって連続した三次元網目状に形成された多孔質炭素材で構成されている。多孔質板は、炭素の親水性を高めるために熱処理が施されている。繊維集合材の構成材料は、複数の炭素繊維を主体とする。
特開2017-10809号公報
本開示に係る電極は、
炭素繊維を有する電極であって、
前記炭素繊維は、前記炭素繊維の表面を含む第一領域を有し、
前記炭素繊維の断面を電子エネルギー損失分光法によって分析したとき、前記第一領域は、285eV付近と530eV付近の両方にピークを有し、
前記第一領域は、前記表面から中心に向かって前記炭素繊維の直径の10%までの間に設けられる。
本開示に係る電池セルは、本開示の電極を備える。本開示に係るセルスタックは、本開示の電池セルを備える。本開示に係るレドックスフロー電池システムは、本開示の電極、本開示の電池セル、又は本開示のセルスタックを備える。
図1は、実施形態に係るレドックスフロー電池に備わる電極の概略を示す斜視図である。 図2は、図1に示す電極の破線円で囲まれた領域を拡大して示す拡大図である。 図3は、実施形態に係るレドックスフロー電池の電極に備わる炭素繊維の横断面である。 図4は、実施形態に係るレドックスフロー電池の動作原理図である。 図5は、実施形態に係るレドックスフロー電池の概略構成図である。 図6は、実施形態に係るレドックスフロー電池に備わるセルスタックの概略構成図である。 図7は、試料No.1の炭素繊維を電子エネルギー損失分光によって分析したエネルギー損失スペクトルを示すグラフである。 図8は、図7のグラフのうち、250eVから350eVの範囲のエネルギー損失スペクトルを示すグラフである。 図9は、図7のグラフのうち、450eVから600eVの範囲のエネルギー損失スペクトルを示すグラフである。 図10は、第一領域における340eV以上380eV以下の面積S1を求める手法を説明する説明図である。 図11は、第一領域における550eV以上580eV以下の面積S2を求める手法を説明する説明図である。
[本開示が解決しようとする課題]
電極に備わる炭素繊維は、親水性に優れるだけでなく耐久性に優れることが望まれている。親水性に優れる炭素繊維は電解液と良好に接触できるため、その炭素繊維を有する電極は、セル抵抗率を低減できるレドックスフロー電池システムを構築し易いからである。また、耐久性に優れる炭素繊維は充放電によりやせ細り難いため、その炭素繊維を有する電極は、長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易いからである。
そこで、本開示は、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い電極、電池セル、及びセルスタックを提供することを目的の一つとする。また、本開示は、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを提供することを目的の一つとする。
[本開示の効果]
本開示に係る電極、本開示に係る電池セル、及び本開示に係るセルスタックは、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い。本開示に係るレドックスフロー電池システムは、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能である。
《本開示の実施形態の説明》
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係る電極は、
炭素繊維を有する電極であって、
前記炭素繊維は、前記炭素繊維の表面を含む第一領域を有し、
前記炭素繊維の断面を電子エネルギー損失分光法によって分析したとき、前記第一領域は、285eV付近と530eV付近の両方にピークを有し、
前記第一領域は、前記表面から中心に向かって前記炭素繊維の直径の10%までの間に設けられる。
上記電極は、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い。後述するように、炭素繊維の表面を含む表層に設けられる第一領域が親水性かつ耐久性に優れるからである。
285eV付近にピークを有するとは、第一領域が結晶性の高い炭素の結晶構造を有することを意味する。530eV付近にピークを有するとは、第一領域が酸素を含むことを意味する。炭素繊維の表面を含む表層に酸素を有する第一領域が設けられていることで、第一領域は親水性に優れる。そのため、炭素繊維は、電解液と良好に接触できる。よって、この炭素繊維を有する電極は、セル抵抗率の低いRF電池システムを構築し易い。また、炭素繊維の表層に結晶性の高い炭素の結晶構造を有する第一領域が設けられていることで、第一領域は耐久性に優れる。耐久性に優れるとは、レドックスフロー電池システムの充放電により炭素繊維がやせ細り難いことを言う。特に、この炭素繊維は、第一領域よりも内部に酸素を有さない。そのため、内部における炭素の結晶構造の結晶性がより一層高いことで、炭素繊維の耐久性がより一層優れる。よって、この炭素繊維を有する電極は、長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い。
(2)上記電極の一形態として、
前記炭素繊維は、前記第一領域よりも中心側に第二領域を有し、
前記第二領域は、530eV付近にピークを有することなく、285eV付近にピークを有することが挙げられる。
上記電極は、より一層長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い。第二領域が実質的に酸素を含まないことで、第二領域における炭素の結晶構造の結晶性は第一領域よりも高い。即ち、第二領域の耐久性が第一領域よりも優れることで、炭素繊維の耐久性がより一層優れるからである。
(3)上記(2)の電極の一形態として、
前記第一領域及び前記第二領域は、更に、291eV付近にピークを有することが挙げられる。
上記電極は、長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムをより一層構築し易い。291eV付近にピークを有するとは、第一領域及び第二領域が結晶性のより一層高い炭素の結晶構造を有することを意味する。即ち、炭素繊維の耐久性がより一層優れるため、電極の耐久性がより一層優れるからである。
(4)上記(3)の電極の一形態として、
前記第一領域において、285eV付近のピークの高さh1に対する291eV付近のピークの高さh2の比h2/h1が、1.1以上2以下であることが挙げられる。
上記電極は、より一層長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い。上記比h2/h1が上記範囲を満たすことで、第一領域における炭素の結晶構造の結晶性がより一層高いからである。
(5)上記電極の一形態として、
前記第一領域の任意の箇所において、340eV以上380eV以下の面積S1と550eV以上580eV以下の面積S2との合計面積を100%とするとき、前記合計面積に対して前記面積S2の占める割合が、0.1%以上30%以下であることが挙げられる。
面積S2の割合が0.1%以上を満たすことで、第一領域は、十分な酸素を有するため、親水性に優れる。面積S2の割合が30%以下を満たすことで、第一領域における酸素が過度に多すぎない。そのため、酸素によって炭素の結晶性が低下し難いので、第一領域は耐久性に優れる。
(6)本開示の一態様に係る電池セルは、
上記(1)から上記(5)のいずれか1つの電極を備える。
上記電池セルは、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い。上記電池セルは、親水性かつ耐久性に優れる電極を備えるからである。
(7)本開示の一態様に係るセルスタックは、
上記(6)の電池セルを複数備える。
上記セルスタックは、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能なレドックスフロー電池システムを構築し易い。セルスタックに備わる電池セルが、親水性かつ耐久性に優れる電極を備えるからである。
(8)本開示の一態様に係るレドックスフロー電池システムは、
上記(1)から上記(5)のいずれか1つの電極、上記(6)の電池セル、又は上記(7)のセルスタックを備える。
上記レドックスフロー電池システムは、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能である。上記レドックスフロー電池システムは、親水性かつ耐久性に優れる電極、その電極を備える電池セル、又は、その電池セルを備えるセルスタックのいずれかを備えるからである。
《本開示の実施形態の詳細》
本開示の実施形態の詳細を、以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
《実施形態》
〔レドックスフロー電池システム〕
図1から図11を参照して、実施形態のレドックスフロー電池システム(RF電池システム)1を説明する。図4、図5に示すように、RF電池システム1は、電池セル10と循環機構とを備える。電池セル10は、正極電極14と、負極電極15と、正極電極14と負極電極15との間に介在される隔膜11とを有する。循環機構は、電池セル10に電解液を循環する。本形態のRF電池システム1の特徴の一つは、正極電極14及び負極電極15の少なくとも一方が特定の電極100(図1)で構成されている点にある。具体的には、電極100が特定の炭素繊維110を有する点にある(図3)。以下の説明は、RF電池システム1の概要と基本構成、本形態のRF電池システム1の各構成を詳細、の順に行う。
[RF電池システムの概要]
RF電池システム1は、発電部510で発電した電力を充電して蓄え、蓄えた電力を放電して負荷530に供給する(図4)。RF電池システム1は、代表的には、交流/直流変換器500と変電設備520とを介して発電部510と負荷530との間に接続される。発電部510としては、例えば、太陽光発電装置や風力発電装置、その他一般の発電所などが挙げられる。負荷530としては、例えば、電力の需要家などが挙げられる。RF電池システム1は、正極電解液と負極電解液とを使用する。正極電解液と負極電解液とは、酸化還元により価数が変化する金属イオンを活物質として含有する。RF電池システム1の充放電は、正極電解液に含まれるイオンの酸化還元電位と負極電解液に含まれるイオンの酸化還元電位との差を利用して行われる。図4における実線矢印は充電、破線矢印は放電を意味する。RF電池システム1は、例えば、負荷平準化用途、瞬低補償や非常用電源などの用途、大量導入が進められている太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの出力平滑化用途などに利用される。
[RF電池システムの基本構成]
RF電池システム1は、水素イオンを透過させる隔膜11で正極セル12と負極セル13とに分離された電池セル10を備える。正極セル12には、正極電極14が内蔵される。正極セル12には、正極用循環機構10Pにより正極電解液が循環する。正極用循環機構10Pは、正極電解液タンク18と、供給管20と、排出管22、ポンプ24とを備える。正極電解液タンク18は、正極電解液を貯留する。供給管20と排出管22は、正極セル12と正極電解液タンク18とを接続する。ポンプ24は、供給管20の途中に設けられる。同様に、負極セル13には、負極電極15が内蔵される。負極セル13には、負極用循環機構10Nにより負極電解液が循環する。負極用循環機構10Nは、負極電解液タンク19と、供給管21と、排出管23と、ポンプ25とを備える。負極電解液タンク19は、負極電解液を貯留する。供給管21と排出管23は、負極セル13と負極電解液タンク19とを接続する。ポンプ25は、供給管21の途中に設けられる。
充放電を行う運転時、ポンプ24及びポンプ25により、正極電解液及び負極電解液は、正極電解液タンク18及び負極電解液タンク19から供給管20及び供給管21を流通して正極セル12及び負極セル13に供給される。そして、正極電解液及び負極電解液は、正極セル12及び負極セル13から排出管22及び排出管23を流通して正極電解液タンク18及び負極電解液タンク19に排出されることで正極セル12及び負極セル13に循環される。充放電を行わない待機時、ポンプ24及びポンプ25が停止され、正極電解液及び負極電解液は循環されない。
[電極]
本形態の電極100は、上述したように正極電極14及び負極電極15の少なくとも一方を構成する(図4から図6)。電極100は、複数の炭素繊維110を有する(図2)。複数の炭素繊維110を有する電極100の種類としては、例えば、カーボンフェルト、カーボンクロス、カーボンペーパーなどが挙げられる。炭素繊維110は、第一領域111を有する(図3)。詳しくは後述するものの、第一領域111を有する炭素繊維110は、親水性かつ耐久性に優れる。そのため、電極100に占める全ての炭素繊維110のうち、第一領域111を有する炭素繊維110の割合は高いほど好ましい。電極100は、セル抵抗率が小さく、長期にわたって使用可能なRF電池システム1を構築し易いからである。
(第一領域)
第一領域111は、エネルギー損失スペクトルにおいて、285eV付近と530eV付近の両方にピークを有する(図7から図9)。図7は、後述の試験例で用いた試料No.1の炭素繊維の断面を電子エネルギー損失分光(EELS)によって分析した5つのエネルギー損失スペクトルを示すグラフである。以下の説明では、エネルギー損失スペクトルを単にスペクトルということがある。断面は、炭素繊維110の長手方向に直交する横断面が挙げられる。図7から図9のグラフの詳細は後述する。
285eV付近とは、281eV以上289eV以下をいう(図7,図8)。530eV付近とは、526eV以上534eV以下をいう(図7、図9)。285eV付近のピークは、π成分に由来するピークである。第一領域111が530eV付近にピークを有するとは、第一領域111が酸素を有することを意味する。第一領域111は、酸素を有することで親水性に優れる。
第一領域111の形成箇所は、炭素繊維110の表面を含む表層が挙げられる(図3)。炭素繊維110の表面とは、外周面をいう。表層とは、炭素繊維110の表面から中心に向かって炭素繊維110の直径の10%までの間が挙げられる。炭素繊維110の中心とは、炭素繊維110の横断面の輪郭で囲まれる領域の重心をいう。例えば、炭素繊維110の外形が円形のとき、炭素繊維110の中心は円の中心である。
炭素繊維110の表層に酸素を含む第一領域111が設けられていることで、表層は親水性に優れる。そのため、炭素繊維110は、電解液と良好に接触できる。よって、この炭素繊維110を有する電極100は、セル抵抗率の低いRF電池システム1を構築し易い。また、炭素繊維110の表層に結晶性の高い炭素の結晶構造を有する第一領域111が設けられていることで、第一領域111は耐久性に優れる。耐久性に優れるとは、RF電池システム1の充放電により炭素繊維110がやせ細り難いことを言う。よって、この炭素繊維110を有する電極100は、長期にわたって使用可能なRF電池システム1を構築し易い。
第一領域111の形成箇所は、更に、炭素繊維110の表面から中心に向かって炭素繊維110の直径の8%までの間が挙げられ、特に、炭素繊維110の表面から中心に向かって炭素繊維110の直径の5%までの間が挙げられる。
第一領域111は、更に、スペクトルにおいて、291eV付近にピークを有することが好ましい(図7,図8)。291eV付近とは、287eV以上295eV以下を言う。291eV付近のピークは、σ成分に由来するピークである。第一領域111が291eV付近にピークを有するとは、第一領域111が結晶性の高い炭素の結晶構造を有することを意味する。そのため、第一領域111の耐久性が優れる。よって、電極100は、より一層長期にわたって使用可能なRF電池システム1を構築し易い。
第一領域111において、285eV付近のピークの高さh1に対する291eV付近のピークの高さh2の比h2/h1は、1.1以上2以下を満たすことが好ましい(図7,図8)。第一領域111における上記比h2/h1が上記範囲を満たすことで、第一領域111における炭素の結晶構造の結晶性がより一層高いと考えられるからである。そのため、電極100は、より一層長期にわたって使用可能なRF電池システム1を構築し易い。上記比h2/h1は、更に、1.5以上1.7以下が好ましい。ピークの高さh1、h2は、280eV付近のスペクトルの高さを0(ゼロ)としたときの285eV付近と291eV付近のそれぞれのスペクトルにおけるピークの頂点までの距離をいう。280eV付近とは、276eV以上284eV以下を言う。
第一領域111の任意の箇所において、340eV以上380eV以下の面積S1(図10)と550eV以上580eV以下の面積S2(図11)との合計を100%とするとき、合計面積に対して面積S2の占める割合は、0.1%以上30%以下を満たすことが好ましい。第一領域111における面積S2の割合が0.1%以上を満たすことで、第一領域111は、十分な酸素を有するため、親水性に優れる。第一領域111における面積S2の割合が30%以下を満たすことで、第一領域111は、酸素が過度に多すぎず、耐久性に優れる。第一領域111における面積S2の割合は、更に、1%以上25%以下が好ましく、特に、2%以上20%以下が好ましい。面積S1と面積S2の求め方は、詳しくは後述する。
(第二領域)
炭素繊維110は、更に、第二領域112を有することが好ましい。第二領域112は、スペクトルにおいて、530eV付近にピークを有さず、285eV付近にピークを有する。即ち、第二領域112は、酸素を有さず、結晶性の高い炭素の結晶構造を有する。第二領域112が酸素を有さないため、第二領域112における炭素の結晶構造の結晶性は第一領域111よりも高い。よって、第二領域112の耐久性は、第一領域111よりも優れる。第二領域112は、更に、291eV付近にピークを有することが好ましい。第二領域112の耐久性がより一層優れるからである。第二領域112の形成箇所は、第一領域111よりも中心側である。第一領域111と同様、第二領域112において、285eV付近のピークの高さh1に対する291eV付近のピークの高さh2の比h2/h1は、1.3超2未満を満たすことが好ましい。上記比h2/h1は、特に、1.5以上1.7以下が好ましい。
(平均径)
炭素繊維110の平均径は、例えば、1μm以上20μm以下が好ましい。炭素繊維110の平均径が1μm以上であれば、炭素繊維110自体の強度を確保し易い。炭素繊維110の平均径が20μm以下であれば、単位重量当たりの炭素繊維110の表面積を大きくでき、電池反応が生じる面積を十分に確保し易い。炭素繊維110の平均径は、更に、3μm以上18μm以下が好ましく、特に、5μm以上16μm以下が好ましい。炭素繊維110の平均径とは、10本以上の炭素繊維110の円相当径を測定し、その平均値とする。1本の炭素繊維110当たりに1箇所以上の円相当径を測定する。1本の炭素繊維110当たりに、その長手方向の複数箇所で円相当径を求めてもよい。円相当径とは、炭素繊維110の横断面積を真円換算した等面積円相当径のことである。
(製造)
第一領域111を有する炭素繊維110の製造は、例えば、不純物の含有量の少ない炭素繊維を準備し、炭素繊維に熱処理を施すことで行える。不純物としては、例えば、ナトリウム、カルシウムなどの金属元素が挙げられる。熱処理温度は、例えば、300℃以上800℃以下が挙げられる。熱処理時間は、例えば、10分以上120分以下が挙げられる。熱処理の雰囲気は、例えば、大気など酸素を含む雰囲気が挙げられる。熱処理温度とは、炭素繊維自体の温度をいう。熱処理時間とは、炭素繊維を上記温度に保持する時間をいう。
[セルスタック]
電池セル10は、通常、図5と図6の下段とに示すように、セルスタック200と呼ばれる構造体の内部に形成される。セルスタック200は、サブスタック200sと呼ばれる積層体と、2枚のエンドプレート220と、締付機構230とで構成されている(図6の下段)。2枚のエンドプレート220は、積層体をその両側から挟み込む。締付機構230は、両エンドプレート220を締め付ける。サブスタック220sの数は、単数でもよいし複数でもよい。図6の下段は、複数のサブスタック200sを備える形態を例示している。サブスタック200sは、図5と図6の上段とに示すように、セルフレーム16、正極電極14、隔膜11、及び負極電極15を、この順番で複数積層してなり、その積層体の両端に給排板210(図6の下段)が配置される。
[セルフレーム]
セルフレーム16は、双極板161と枠体162とを備える。枠体162は、双極板161の外周縁部を囲む。セルフレーム16は、双極板161の表面と枠体162の内周面とで正極電極14又は負極電極15を配置する凹部160を形成する。隣接するセルフレーム16の双極板161の間に一つの電池セル10が形成される。双極板161を挟んで表裏に、隣り合う電池セル10の正極電極14と負極電極15とが配置される。即ち、双極板161を挟んで表裏に、隣り合う電池セル10の正極セル12と負極セル13とが形成される。
セルフレーム16は、中間セルフレームと端部セルフレームとがある。中間セルフレームは、上記積層体の隣り合う電池セル10(図4から図6)の間に配置される。端部セルフレームは、上記積層体の両端に配置される。中間セルフレームは、双極板161の表裏に一方の電池セル10の正極電極14及び他方の電池セル10の負極電極15が接する。端部セルフレームは、双極板161の一方の面に電池セル10の正極電極14及び負極電極15のいずれかの一方の電極と接して他方の面には電極が存在しない。セルフレーム16の表裏面の構成は、中間セルフレーム及び端部セルフレームのいずれにおいても同様である。
枠体162は、双極板161を支持する。枠体162は、内側に電池セル10となる領域を形成する。枠体162の形状は、矩形枠状である。即ち、凹部160の開口形状は、矩形状である。枠体162は、給液側片と、給液側片に対向する排液側片とを備える。セルフレーム16を平面視した際、給液側片と排液側片とが互いに対向する方向を縦方向とし、縦方向に直交する方向を横方向とすると、給液側片が上記縦方向下側、排液側片が上記縦方向上側に位置している。給液側片は、電池セル10の内部に電解液を供給する給液マニホールド163、164及び給液スリット163s、164sを有する。排液側片は、電池セル10の外部に電解液を排出する排液マニホールド165、166、及び排液スリット165s、166sを有する。電解液の流れは、枠体162の上記縦方向下側から上記縦方向上側に向かう方向である。
給液側片には、その内縁に給液整流部(図示略)が形成されていてもよい。給液整流部は、給液スリット163s、164sを流通する電解液を給液側片の内縁沿いに拡散する。排液側片には、その内縁に排液整流部(図示略)が形成されていてもよい。排液整流部は、正極電極14(負極電極15)を流通した電解液を集約して排液スリット165s、166sに流通させる。
セルフレーム16における各極電解液の流れは、次の通りである。正極電解液は、給液マニホールド163から枠体162の一面側の給液側片に形成される給液スリット163s、164sを流通して正極電極14に供給される。正極電解液は、図6の上段の矢印に示すように、正極電極14の下側から上側へ流通する。正極電解液は、排液側片に形成される排液スリット165s、166sを流通して排液マニホールド165、166に排出される。負極電解液の供給及び排出は、枠体162の他面側で行われる点を除き、正極電解液と同様である。
各枠体162間には、環状のシール溝に環状のシール部材167が配置されている。このシール部材167は、電池セル10からの電解液の漏洩を抑制する。シール部材167は、例えばOリングや平パッキンなどが利用できる。
[電解液]
正極電解液及び負極電解液は、正極用循環機構10P及び負極用循環機構10Nによって正極電極14及び負極電極15に循環供給される。この循環により、正極電解液及び負極電解液の活物質イオンの価数変化反応に伴って充放電が行われる。
正極電解液の活物質は、マンガンイオン、バナジウムイオン、鉄イオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンからなる群より選択される1種以上を含有することが挙げられる。負極電解液の活物質は、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、ポリ酸、キノン誘導体、及びアミンからなる群より選択される1種以上を含有することが挙げられる。図4及び図5は、正極電解液及び負極電解液に含まれるイオンとして、バナジウム(V)イオンを例示している。
正極活物質の濃度、及び負極活物質の濃度は適宜選択できる。例えば、正極活物質の濃度、及び負極活物質の濃度の少なくとも一方は、0.3mol/L以上5mol/L以下が挙げられる。上記濃度が0.3mol/L以上であれば、大容量の蓄電池として十分なエネルギー密度を有することができる。十分なエネルギー密度とは、例えば、10kWh/m程度が挙げられる。上記濃度が高いほどエネルギー密度が高められる。上記濃度は、更に、0.5mol/L以上、1.0mol/L以上が挙げられ、特に、1.2mol/L以上、1.5mol/L以上が挙げられる。上記濃度が5mol/L以下であれば、溶媒に対する溶解度を高め易い。上記濃度は、更に、2mol/L以下が利用し易い。この濃度を満たす電解液は、製造性に優れる。
電解液の溶媒は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸からなる群より選択される1種以上の酸又は酸塩を含む水溶液などが挙げられる。
[作用効果]
本形態のRF電池システム1は、電極100が親水性かつ耐久性に優れる炭素繊維110を有することで、セル抵抗率が低く、かつ長期にわたって使用可能である。
《試験例》
試験例では、電極に備わる炭素繊維の親水性と耐久性とを調べた。
〔試料No.1〕
試料No.1の電極は、複数の炭素繊維からなるカーボンフェルトを用いた。この電極は、複数の炭素繊維からなる繊維集合体を用意し、繊維集合体を熱処理することで作製した。用意した炭素繊維は、不純物の少ないものを用いた。熱処理は、大気雰囲気下で、炭素繊維の温度を600℃に加熱し、その温度を30分間保持した。
〔試料No.2〕
試料No.2の電極は、熱処理を変更した点を除いて、試料No.1と同様にして作製した。具体的には、炭素繊維の温度を550℃に加熱し、その温度を2時間保持した。
〔試料No.101〕
試料No.101の電極は、繊維集合体に熱処理を施さなかった点を除いて、試料No.1と同様にして作製した。
〔試料No.102〕
試料No.102の電極は、不純物の含有量の多い炭素繊維を用いた点を除いて、試料No.1と同様にして作製した。
〔EELS分析〕
各試料の電極に備わる炭素繊維をEELSによって分析した。まず、各試料の電極から1本の炭素繊維を取り出した。取り出した各炭素繊維の直径は、10μmであった。取り出した炭素繊維を樹脂に埋設した。集束イオンビーム加工により樹脂を除去しつつ、樹脂に埋設された炭素繊維の横断面を作製した。装置を用いて炭素繊維の横断面を分析し、炭素繊維のエネルギー損失スペクトルを得た。用いた装置は、日本電子社製の透過電子顕微鏡である。
代表して、試料No.1の炭素繊維のエネルギー損失スペクトルを図7から図11に示す。図7は、試料No.1の炭素繊維の5つのエネルギー損失スペクトルを示すグラフである。図7のグラフの横軸は、エネルギー損失(eV)である。図7のグラフの縦軸は、強度(任意単位)である。図7の点線、細破線、細線、太破線、太線はそれぞれ、炭素繊維の横断面において、炭素繊維の表面(外周面)から中心に向かって20nmの地点のスペクトル、50nmの地点のスペクトル、80nmの地点のスペクトル、100nmの地点のスペクトル、200nmの地点のスペクトルである。図8は、図7のグラフのうち、250eV以上350eV以下の範囲のスペクトルを示す。図9は、図7のグラフのうち、450eV以上600eV以下の範囲のスペクトルを示す。図9は、説明の便宜上、530eV付近のピークの位置を白抜き矢印で指している。
[ピークの位置]
試料No.1の炭素繊維は、図7から図9に示すように、表面から中心にむかって20nmの地点と、50nmの地点と、80nmの地点とに、285eV付近と530eV付近の両方にピークを有することがわかった。また、試料No.1の炭素繊維は、表面から中心に向かって100nmの地点と、200nmの地点とに、285eV付近にピークを有するものの、530eV付近にピークを有さないことがわかった。これらの結果から、試料No.1の炭素繊維は、炭素繊維の直径の10%までの間に、285eV付近と530eV付近の両方にピークを有する第一領域が設けられていることがわかった。また、試料No.1の炭素繊維は、第一領域よりも中心側に530eV付近にピークを有することなく、285eV付近にピークを有する第二領域が設けられていることがわかった。
また、試料No.1の炭素繊維は、図7、図8に示すように、上記20nmの地点と、上記50nmの地点と、上記80nmの地点と、上記100nmの地点と、上記200nmの地点の全てに、更に、291eV付近にピークを有することがわかった。即ち、試料No.1の炭素繊維の第一領域及び第二領域は、更に、291eV付近にピークを有することがわかった。
図示は省略しているものの、試料No.2、No.101、No.102の炭素繊維をEELS分析した結果は、以下の通りである。
試料No.2の炭素繊維のエネルギー損失スペクトルは、試料No.1と同様であることがわかった。即ち、試料No.2の炭素繊維は、炭素繊維の直径の10%までの間に、285eV付近と530eV付近の両方にピークを有する第一領域が設けられていることがわかった。また、試料No.2の炭素繊維は、第一領域よりも中心側に530eV付近にピークを有することなく、285eV付近にピークを有する第二領域が設けられていることがわかった。この試料No.2の炭素繊維の第一領域及び第二領域は、更に、291eV付近にピークを有することがわかった。
試料No.101、No.102の炭素繊維のエネルギー損失スペクトルは、試料No.1とは異なることがわかった。
試料No.101の炭素繊維は、表面から中心に向かって炭素繊維の直径の10%までの間に、285eV付近と291eV付近の両方にピークを有することがわかった。また、試料No.101の炭素繊維は、表面から中心に向かって炭素繊維の直径の10%までの間に、530eV付近のピークを有さないことがわかった。そして、試料No.101の炭素繊維は、表面から中心に向かって炭素繊維の直径の10%までの地点よりも中心側にも、285eV付近と291eV付近の両方にピークを有することと、530eV付近のピークを有さないこととがわかった。
試料No.102の炭素繊維は、表面から中心に向かって炭素繊維の直径の10%までの間に、285eV付近と291eV付近と530eV付近の全てにピークを有することがわかった。また、試料No.102の炭素繊維は、表面から中心に向かって炭素繊維の直径の10%までの地点よりも中心側にも、285eV付近と291eV付近と530eV付近の全てにピークを有することがわかった。
[ピークの高さの比h2/h1]
試料No.1の炭素繊維の第一領域において、図7、図8から、285eV付近のピークの高さh1に対する291eV付近のピークの高さh2の比h2/h1を求めた。また、図示は省略しているものの、試料No.2の炭素繊維の第一領域や、試料No.101、No.102の炭素繊維においても、試料No.1と同様にして上記比h2/h1を求めた。各試料において、炭素繊維の上記50nmの地点における上記比h2/h1の結果を表1に示す。
[面積S2の割合]
試料No.1の炭素繊維の第一領域の任意の箇所において、図10,図11から、以下に示すようにして、340eV以上380eV以下の面積S1(図10)と550eV以上580eV以下の面積S2(図11)とを求めた。そして、面積S1と面積S2の合計を100%としたときの面積S2の割合(%)を求めた。
図10は、図7に示す50nmの地点におけるスペクトルの340eV以上380eV以下の範囲を実線で示し、250eV以上280eV以下の範囲を破線で示す。ここでは、グラフの横軸上で、340eVの点と250eVの点とが揃うように示した。二点鎖線で示すように、340eVの点と250eVの点とを直線で結び、380eVの点と280eVの点とを直線で結んだ。面積S1は、図10のハッチングに示すように、340eV以上380eV以下のスペクトルと、250eV以上280eV以下のスペクトルとで囲まれる領域の面積である。
図11は、図7に示す50nmの地点におけるスペクトルの550eV以上580eV以下の範囲を実線で示し、490eV以上520eV以下の範囲を破線で示す。ここでは、グラフの横軸上で、550eVの点と490eVの点とが揃い、580eVの点と520eVの点とが揃うように示している。二点鎖線で示すように、550eVの点と490eVの点とを直線で結び、580eVの点と520eVの点とを直線で結んだ。面積S2は、図11のハッチングに示すように、550eV以上580eV以下のスペクトルと490eV以上520eV以下のスペクトルとで囲まれる領域の面積である。
また、図示は省略しているものの、試料No.2の炭素繊維の第一領域や、試料No.102の炭素繊維においても、試料No.1と同様にして面積S2の割合を求めた。試料No.1、No.2、No.102において、炭素繊維の上記50nmの地点における面積S2の割合と、表面から中心に向かって2000nmの地点における面積S2の割合とを表1に示す。なお、試料No.101は、530eV付近のピークを有さないため、面積S2の割合は0である。
〔親水性の評価〕
炭素繊維の親水性の評価は、各試料の電極を用いて単セル電池を作製し、セル抵抗率(Ω・cm)を測定することで行った。セル抵抗率が小さいほど、炭素繊維の親水性が優れることを意味する。単セル電池は、正極セルと負極セルとを一つずつ備える電池要素からなるものである。単セル電池は、一つの隔膜の両側にそれぞれ正極電極、負極電極を配置し、双極板を備えるセルフレームで電極の両側を挟んで構成した。電極の反応面積は9cmとした。正極電解液及び負極電解液は、硫酸バナジウム溶液を用いた。硫酸バナジウム溶液のバナジウム濃度は1.7M(mol/L)とした。作製した各試料の単セル電池に電流密度:70mA/cmの定電流で充放電を行った。この試験では、複数サイクルの充放電を行った。即ち、この試験では、予め設定した所定の切替電圧に達したら、充電から放電に切り替え、予め設定した所定の切替電圧に達したら、放電から充電に切り替える。充放電後、各試料についてセル抵抗率を求めた。セル抵抗率は、[{(Vc-Vd)/2}/I]×Sにより算出したものとした。Vcは、充電時の中間電圧である。Vdは、放電時の中間電圧である。中間電圧とは、充電又は放電を開始してから終了するまでの時間の中間時点における電圧値をいう。Iは、電流値である。Sは、電極面積である。その結果を表1に示す。
〔耐久性の評価〕
炭素繊維の耐久性の評価は、各試料の電極を構成する炭素繊維を電解液に浸漬させ、浸漬前後の炭素繊維の重量から重量減少率を求めることで行った。重量減少率が小さいほど、炭素繊維の耐久性が優れることを意味する。各試料の電極から1本の炭素繊維を取り出して電解液に浸漬させた。電解液は、バナジウム濃度が1.7M(mol/L)の硫酸バナジウム溶液を用いた。浸漬日数は、30日とした。浸漬前後の炭素繊維の重量を測定し、重量減少率を求めた。重量減少率は、{(浸漬前の炭素繊維の重量-浸漬後の炭素繊維の重量)/浸漬前の炭素繊維の重量}×100とした。その結果を、表1に示す。表1の「Good」は、重量減少率が1%以下を意味する。表1の「Bad」は、重量減少率が1%超を意味する。
Figure 0007232431000001
表1に示すように、試料No.1、No.2の炭素繊維のセル抵抗率は1Ω・cm以下であった。また、試料No.1、No.2の炭素繊維の重量減少率は1%以下であった。具体的には、試料No.1、No.2の炭素繊維の重量減少率は0%であった。これらの結果から、試料No.1、No.2の炭素繊維は、親水性かつ耐久性に優れることがわかった。
表1に示すように、試料No.101の炭素繊維のセル抵抗率は1Ω・cm超であった。また、試料No.101の炭素繊維の重量減少率は1%以下であった。具体的には、試料No.101の炭素繊維の重量減少率は0%であった。これらの結果から、試料No.101の炭素繊維は、耐久性に優れるものの親水性に劣ることがわかった。
表1に示すように、試料No.102の炭素繊維のセル抵抗率は1Ω・cm以下であった。また、試料No.102の炭素繊維の重量減少率は1%超であった。具体的には、試料No.102の炭素繊維の重量減少率は5%であった。これらの結果から、試料No.102の炭素繊維は、親水性に優れるものの、耐久性に劣ることがわかった。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 レドックスフロー電池システム(RF電池システム)
100 電極
110 炭素繊維
111 第一領域
112 第二領域
10 電池セル
11 隔膜
12 正極セル
14 正極電極
13 負極セル
15 負極電極
16 セルフレーム
160 凹部
161 双極板
162 枠体
163、164 給液マニホールド
163s、164s 給液スリット
165、166 排液マニホールド
165s、166s 排液スリット
167 シール部材
10P 正極用循環機構
10N 負極用循環機構
18 正極電解液タンク
19 負極電解液タンク
20、21 供給管
22、23 排出管
24、25 ポンプ
200 セルスタック
200s サブスタック
210 給排板
220 エンドプレート
230 締付機構
500 交流/直流変換器
510 発電部
520 変電設備
530 負荷

Claims (8)

  1. 炭素繊維を有する電極であって、
    前記炭素繊維は、前記炭素繊維の表面を含む第一領域を有し、
    前記炭素繊維の断面を電子エネルギー損失分光法によって分析したとき、前記第一領域は、285eV付近と530eV付近の両方にピークを有し、
    前記第一領域は、前記表面から中心に向かって前記炭素繊維の直径の10%までの間に設けられる、
    電極。
  2. 前記炭素繊維は、前記第一領域よりも中心側に第二領域を有し、
    前記第二領域は、530eV付近にピークを有することなく、285eV付近にピークを有する請求項1に記載の電極。
  3. 前記第一領域及び前記第二領域は、更に、291eV付近にピークを有する請求項2に記載の電極。
  4. 前記第一領域において、285eV付近のピークの高さh1に対する291eV付近のピークの高さh2の比h2/h1が、1.1以上2以下である請求項3に記載の電極。
  5. 前記第一領域の任意の箇所において、340eV以上380eV以下の面積S1と550eV以上580eV以下の面積S2との合計面積を100%とするとき、前記合計面積に対して前記面積S2の占める割合が、0.1%以上30%以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電極。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電極を備える、
    電池セル。
  7. 請求項6に記載の電池セルを複数備える、
    セルスタック。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電極、請求項6に記載の電池セル、又は請求項7に記載のセルスタックを備える、
    レドックスフロー電池システム。
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