以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、本明細書等において結晶面および方向はミラー指数で示す。結晶面および方向の表記は、結晶学上、数字に上付きのバーを付すが、本明細書等では出願表記の制約上、数字の上にバーを付す代わりに、数字の前に-(マイナス符号)を付して表現する場合がある。また、結晶内の方向を示す個別方位は[ ]で、等価な方向すべてを示す集合方位は< >で、結晶面を示す個別面は( )で、等価な対称性を有する集合面は{ }でそれぞれ表現する。また1Åは10‐10mである。
本明細書等において、偏析とは、複数の元素(たとえばA,B,C)からなる固体において、ある元素(たとえばB)が空間的に不均一に分布する現象をいう。
本明細書等において、活物質等の粒子の表層部とは、表面から10nm程度までの領域をいう。ひびやクラックにより生じた面も表面といってよい。また表層部より深い領域を、内部という。
本明細書等において、リチウムと遷移金属を含む複合酸化物が有する層状岩塩型の結晶構造とは、陽イオンと陰イオンが交互に配列する岩塩型のイオン配列を有し、遷移金属とリチウムが規則配列して二次元平面を形成するため、リチウムの二次元的拡散が可能である結晶構造をいう。なお陽イオンまたは陰イオンの欠損等の欠陥があってもよい。また、層状岩塩型結晶構造は、厳密に言えば、岩塩型結晶の格子が歪んだ構造となっている場合がある。
また本明細書等において、岩塩型の結晶構造とは、陽イオンと陰イオンが交互に配列している構造をいう。なお陽イオンまたは陰イオンの欠損があってもよい。
層状岩塩型結晶、および岩塩型結晶の陰イオンは立方最密充填構造(面心立方格子構造)をとる。擬スピネル型結晶も、陰イオンは立方最密充填構造をとると推定される。これらが接するとき、陰イオンにより構成される立方最密充填構造の向きが揃う結晶面が存在する。ただし、層状岩塩型結晶および擬スピネル型結晶の空間群はR-3mであり、岩塩型結晶の空間群Fm-3m(一般的な岩塩型結晶の空間群)およびFd-3m(最も単純な対称性を有する岩塩型結晶の空間群)とは異なるため、上記の条件を満たす結晶面のミラー指数は層状岩塩型結晶および擬スピネル型結晶と、岩塩型結晶では異なる。本明細書では、層状岩塩型結晶、擬スピネル型結晶、および岩塩型結晶において、陰イオンにより構成される立方最密充填構造の向きが揃うとき、結晶の配向が概略一致する、と言う場合がある。
二つの領域の結晶の配向が概略一致することは、TEM(透過電子顕微鏡)像、STEM(走査透過電子顕微鏡)像、HAADF-STEM(高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡)像、ABF-STEM(環状明視野走査透過電子顕微鏡)像等から判断することができる。X線回折(XRD)、電子線回折、中性子線回折等も判断の材料にすることができる。TEM像等では、陽イオンと陰イオンの配列が、明線と暗線の繰り返しとして観察できる。層状岩塩型結晶と岩塩型結晶において立方最密充填構造の向きが揃うと、結晶間で、明線と暗線の繰り返しのなす角度が5度以下、より好ましくは2.5度以下である様子が観察できる。なお、TEM像等では酸素、フッ素をはじめとする軽元素は明確に観察できない場合があるが、その場合は金属元素の配列で配向の一致を判断することができる。
また本明細書等において、正極活物質の理論容量とは、正極活物質が有する挿入脱離可能なリチウムが全て脱離した場合の電気量をいう。たとえばLiCoO2の理論容量は274mAh/g、LiNiO2の理論容量は274mAh/g、LiMn2O4の理論容量は148mAh/gである。
また本明細書等において、挿入脱離可能なリチウムが全て挿入されているときの充電深度を0、正極活物質が有する挿入脱離可能なリチウムが全て脱離したときの充電深度を1ということとする。
また本明細書等において、充電とは、電池内において正極から負極にリチウムイオンを移動させ、外部回路において負極から正極に電子を移動させることをいう。正極活物質については、リチウムイオンを離脱させることを充電という。また充電深度が0.8以上の正極活物質を、高電圧で充電された正極活物質ということとする。そのためたとえばLiCoO2において219.2mAh/g以上充電されていれば、高電圧で充電された正極活物質である。またLiCoO2において、25℃環境下で、電池電圧が4.6V(対極リチウムの場合)となるまで定電流充電し、その後電流値が0.01Cとなるまで定電圧充電した後の正極活物質も、高電圧で充電された正極活物質ということとする。
同様に、放電とは、電池内において負極から正極にリチウムイオンを移動させ、外部回路において正極から負極に電子を移動させることをいう。正極活物質については、リチウムイオンを挿入することを放電という。また充電深度が0.06以下の正極活物質、または高電圧で充電された状態から充電容量の90%以上の容量を放電した正極活物質を、十分に放電された正極活物質ということとする。たとえばLiCoO2において充電容量が219.2mAh/gならば高電圧で充電された状態であり、ここから充電容量の90%である197.3mAh/g以上を放電した後の正極活物質は、十分に放電された正極活物質である。また、LiCoO2において、25℃環境下で電池電圧が3V以下(対極リチウムの場合)となるまで定電流放電した後の正極活物質も、十分に放電された正極活物質ということとする。
粒子径は例えば、レーザー散乱法により評価できる。あるいは、SEM(走査電子顕微鏡)により粒子の表面を観察して評価できる場合がある。あるいは、SEM、TEM等により粒子の断面を観察し、評価できる場合がある。
(実施の形態1)
[正極活物質の作製方法]
まず、図1を用いて、本発明の一態様である正極活物質100の作製方法の一例について説明する。
<S11>
図1のS11に示すように、まず第1の混合物の材料として、フッ素等のハロゲン源およびマグネシウム源を用意する。またリチウム源も用意することが好ましい。
フッ素源としては、例えばフッ化リチウム、フッ化マグネシウム等を用いることができる。なかでも、フッ化リチウムは融点が848℃と比較的低く、後述するアニール工程で溶融しやすいため好ましい。塩素源としては、例えば塩化リチウム、塩化マグネシウム等を用いることができる。マグネシウム源としては、例えばフッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等を用いることができる。リチウム源としては、例えばフッ化リチウム、炭酸リチウムを用いることができる。つまり、フッ化リチウムはリチウム源としてもフッ素源としても用いることができる。またフッ化マグネシウムはフッ素源としてもマグネシウム源としても用いることができる。
例えば、フッ素源およびリチウム源としてフッ化リチウムを用意し、フッ素源およびマグネシウム源としてフッ化マグネシウムを用意し、フッ化リチウムLiFとフッ化マグネシウムMgF2は、LiF:MgF2=65:35(モル比)程度で混合すると融点を下げる効果が最も高くなる(非特許文献4)。一方、フッ化リチウムが多くなると、リチウムが過剰になりすぎサイクル特性が悪化する懸念がある。そのため、フッ化リチウムLiFとフッ化マグネシウムMgF2のモル比は、LiF:MgF2=x:1(0≦x≦1.9)であることが好ましく、LiF:MgF2=x:1(0.1≦x≦0.5)がより好ましく、LiF:MgF2=0.33:1程度がさらに好ましい。
また、次の混合および粉砕工程を湿式で行う場合は、溶媒を用意する。溶媒としてはアセトン等のケトン、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール、エーテル、ジオキサン、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等を用いることができる。リチウムと反応が起こりにくい、非プロトン性溶媒を用いることがより好ましい。本実施の形態では、アセトンを用いることとする。
<S12>
次に、上記の第1の混合物の材料を混合および粉砕する(S12)。混合は乾式または湿式で行うことができるが、湿式はより小さく粉砕することができるため好ましい。混合には例えばボールミル、ビーズミル等を用いることができる。ボールミルを用いる場合は、たとえばメディアとしてジルコニアボールを用いることが好ましい。この混合および粉砕工程を十分に行い、第1の混合物を微粉化することが好ましい。
<S13、S14>
上記で混合、粉砕した材料を回収し(S13)、第1の混合物を得る(S14)。
第1の混合物は、たとえば平均粒子径(D50)600nm以上20μm以下であることが好ましい。このように微粉化された第1の混合物ならば、後の工程でリチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物と混合したときに、複合酸化物の粒子の表面に第1の混合物を均一に付着させやすい。複合酸化物の粒子に第1の混合物が均一に付着していると、加熱後に複合酸化物粒子の表層部にもれなくハロゲンおよびマグネシウムを分布させることができるため好ましい。第1の混合物の平均粒子径は例えば、後述するS25で得られる複合酸化物の平均粒子径の0.2倍以上5倍以下、あるいは0.2倍より大きく0.8倍より小さい。
<S21>
次に、図1のS21に示すように、リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物の材料として、リチウム源および遷移金属源を用意する。
リチウム源としては、例えば炭酸リチウム、フッ化リチウム等を用いることができる。
遷移金属としては、コバルト、マンガン、ニッケルの少なくとも一を用いることができる。リチウム、遷移金属および酸素を有する酸化物は層状岩塩型の結晶構造を有することが好ましいため、層状岩塩型をとりうるコバルト、マンガン、ニッケルの混合比であることが好ましい。また、層状岩塩型の結晶構造をとりうる範囲で、これらの遷移金属にアルミニウムを加えてもよい。
本発明の一態様の正極活物質を用いることにより、高い電流密度において二次電池を充電、あるいは放電することができる。遷移金属としてニッケルを用いることにより例えば、二次電池の容量を高めることができる。また遷移金属としてニッケルを用いることにより例えば、充電の電圧を低くすることができる場合がある。充電の電圧を低くすることにより、二次電池に本発明の一態様の正極活物質を用いた場合に、電解液の分解を抑制できる。また、遷移金属としてニッケルを用いることにより例えば、二次電池のコストを低減できる。
遷移金属としてマンガンを用いることにより例えば、二次電池の安全性を高めることができる。また、遷移金属としてマンガンを用いることにより例えば、充放電サイクルに伴う容量低下を抑制できる。また、遷移金属としてマンガンを用いることにより例えば、二次電池のコストをさらに低減できる。また、遷移金属としてマンガンを用いることにより例えば、複合酸化物の、充放電における構造変化を抑制できる場合がある。
また、遷移金属として、ニッケルおよびマンガンを有することが好ましい。遷移金属としてニッケルおよびマンガンを有することにより例えば、容量が高く、かつ充放電における構造変化の小さい、より安定した二次電池を実現することができる。
遷移金属源としては、上記遷移金属の酸化物、水酸化物等を用いることができる。コバルト源としては、例えば酸化コバルト、水酸化コバルト等を用いることができる。マンガン源としては、酸化マンガン、水酸化マンガン等を用いることができる。ニッケル源としては、酸化ニッケル、水酸化ニッケル等を用いることができる。アルミニウム源としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等を用いることができる。
<S22>
次に、上記のリチウム源および遷移金属源を混合する(S22)。混合は乾式または湿式で行うことができる。混合には例えばボールミル、ビーズミル等を用いることができる。ボールミルを用いる場合は、たとえばメディアとしてジルコニアボールを用いることが好ましい。
<S23>
次に、上記で混合した材料を加熱する。本工程は、後の加熱工程との区別のために、焼成または第1の加熱という場合がある。加熱は800℃以上1100℃未満で行うことが好ましく、900℃以上1000℃以下で行うことがより好ましく、950℃程度がさらに好ましい。温度が低すぎると、出発材料の分解および溶融が不十分となるおそれがある。一方温度が高すぎると、遷移金属が過剰に還元される、リチウムが蒸散するなどの原因で欠陥が生じるおそれがある。たとえばコバルトが2価となる欠陥が生じうる。
加熱時間は、2時間以上20時間以下とすることが好ましい。焼成は、乾燥空気等の水が少ない雰囲気(たとえば露点-50℃以下、より好ましくは100℃以下)で行うことが好ましい。たとえば1000℃で10時間加熱することとし、昇温は200℃/h、乾燥雰囲気の流量は10L/minとすることが好ましい。その後加熱した材料を室温まで冷却する。たとえば規定温度から室温までの降温時間を10時間以上50時間以下とすることが好ましい。
<S24、S25>
上記で焼成した材料を回収し(S24)、リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物を得る(S25)。具体的には、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルトの一部がマンガンで置換されたコバルト酸リチウム、またはニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムを得る。
また、S25としてあらかじめ合成されたリチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物を用いてもよい。この場合、S21乃至S24を省略することができる。
あらかじめ合成されたリチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物を用いる場合、不純物の少ないものを用いることが好ましい。ここでは、主成分をリチウム、遷移金属(コバルト、ニッケル、マンガン)およびアルミニウム、酸素とし、上記主成分の元素を不純物とする。たとえばグロー放電質量分析法で分析したとき、リチウム、遷移金属および酸素以外の元素の濃度があわせて10,000ppm wt以下であることが好ましく、5000ppm wt以下がより好ましい。特に、チタンまたはヒ素等の遷移金属の不純物濃度があわせて3000ppm以下であることが好ましく、1500ppm以下であることがより好ましい。
S25のリチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物は欠陥およびひずみの少ない層状岩塩型の結晶構造を有することが好ましい。そのため、不純物の少ない複合酸化物であることが好ましい。リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物に不純物が多く含まれると、欠陥またはひずみの多い結晶構造となる可能性が高い。
<S31>
次に、第1の混合物と、リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物と、を混合する(S31)。リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物と、第1の混合物Mix1が有するマグネシウムとの原子数比は、複合酸化物:MgMix1=1:y(0.0005≦y≦0.03)であることが好ましく、複合酸化物:MgMix1=1:y(0.001≦y≦0.01)であることがより好ましく、複合酸化物:MgMix1=1:0.005程度がさらに好ましい。
S31の混合は、複合酸化物の粒子を破壊しないためにS12の混合よりも穏やかな条件とすることが好ましい。混合は乾式または湿式で行うことができる。混合には例えばボールミル、ビーズミル等を用いることができる。ボールミルを用いる場合は、たとえばメディアとしてジルコニアボールを用いることが好ましい。
<S32、S33>
上記で混合した材料を回収し(S32)、第2の混合物を得る(S33)。
なお、本実施の形態ではフッ化リチウムおよびフッ化マグネシウムの混合物を、複合酸化物に添加する方法について説明しているが、本発明の一態様はこれに限らない。S33の第2の混合物の代わりに、複合酸化物の出発材料にマグネシウム源およびフッ素源を添加して焼成したものを用いてもよい。この場合は、S11乃至S14の工程と、S21乃至S25の工程を分ける必要がないため簡便で生産性が高い。
または、あらかじめマグネシウムおよびフッ素が添加されたコバルト酸リチウムを用いてもよい。マグネシウムおよびフッ素が添加されたコバルト酸リチウムを用いれば、S32までの工程を省略することができより簡便である。
さらに、あらかじめマグネシウムおよびフッ素が添加されたコバルト酸リチウムに、さらにマグネシウム源およびフッ素源を添加してもよい。
<S34>
次に、第2の混合物を加熱する。本工程は、先の加熱工程との区別のために、アニールまたは第2の加熱という場合がある。
アニールは、適切な温度および時間で行うことが好ましい。適切な温度および時間は、S25のリチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物の粒子の大きさおよび組成等の条件により変化する。粒子が小さい場合は、大きい場合よりも低い温度または短い時間がより好ましい場合がある。
アニール後の降温時間は、たとえば10時間以上50時間以下とすることが好ましい。
第2の混合物をアニールすると、まず第1の混合物のうち融点の低い材料(たとえばフッ化リチウム、融点848℃)が溶融し、複合酸化物粒子の表層部に分布すると考えられる。次に、この溶融した材料の存在により他の材料の融点降下が起こり、他の材料が溶融すると推測される。たとえばフッ化マグネシウム(融点1263℃)が溶融し、複合酸化物粒子の表層部に分布すると考えられる。
そして表層部に分布した第1の混合物が有する元素は、リチウム、遷移金属および酸素を有する複合酸化物中に固溶すると考えられる。
この第1の混合物が有する元素の拡散は、複合酸化物粒子の内部よりも、表面および粒界の方が速い。そのためマグネシウムおよびハロゲンは、表面および粒界において、内部よりも高濃度となる。後述するが表面および粒界のマグネシウム濃度が高いと、結晶構造の変化をより効果的に抑制することができる。
<S35>
上記でアニールした材料を回収し、本発明の一態様である正極活物質100を得る。
正極活物質100は遷移金属として、ニッケルおよびマンガンを有することが好ましい。遷移金属としてニッケルおよびマンガンを有することにより例えば、容量が高く、かつ安全性の高い二次電池を実現することができる。正極活物質100は、ニッケルおよびマンガンを有することが好ましく、マンガンのモル数がニッケルのモル数の0.5倍以上3倍以下である領域を有することが好ましく、1.2倍より大きく2倍より小さい領域を有することがより好ましい。また正極活物質100はニッケル、マンガンおよびコバルトを有することが好ましく、マンガンのモル数がニッケルのモル数の0.5倍以上3倍以下であり、かつコバルトのモル数がニッケルのモル数の0.5倍以上2倍以下である領域を有することが好ましい。あるいは、正極活物質100はニッケル、マンガンおよびコバルトを有することが好ましく、マンガンのモル数がニッケルのモル数の1.2倍より大きく2倍より小さく、かつコバルトのモル数がニッケルのモル数の0.5倍以上2倍以下である領域を有することが好ましい。
正極活物質100が有する遷移金属の原子数比は例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry:ICP-MS分析法)、エネルギー分散型X線分光分析(EDX:Energy Dispersion X-ray Spectroscopy)、電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy-Loss Spectroscopy)、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)、等を用いて測定できる場合がある。
[正極活物質の構造]
図2は、本発明の一態様の正極活物質が有する結晶構造を示す。図2は、空間群R-3mを有するニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムの結晶構造の一例を示す。
≪表層部≫
マグネシウムは正極活物質100の粒子全体に分布していることが好ましいが、これに加えて粒子表層部のマグネシウム濃度が、粒子全体の平均よりも高いことがより好ましい。粒子表面はいうなれば全て結晶欠陥である上に、充電時には表面からリチウムが抜けていくので内部よりもリチウム濃度が低くなりやすい部分である。そのため、不安定になりやすく結晶構造の変化が始まりやすい部分である。表層部のマグネシウム濃度が高ければ、結晶構造の変化をより効果的に抑制することができる。また表層部のマグネシウム濃度が高いと、電解液が分解して生じたフッ酸に対する耐食性が向上することも期待できる。
またフッ素等のハロゲンも、正極活物質100の表層部の濃度が、粒子全体の平均よりも高いことが好ましい。電解液に接する領域である表層部にハロゲンが存在することで、フッ酸に対する耐食性を効果的に向上させることができる。
このように正極活物質100の表層部は内部よりも、マグネシウムおよびフッ素の濃度が高い、内部と異なる組成であることが好ましい。またその組成として常温で安定な結晶構造をとることが好ましい。そのため、表層部は内部と異なる結晶構造を有していてもよい。たとえば、正極活物質100の表層部の少なくとも一部が、岩塩型の結晶構造を有していてもよい。なお表層部と内部が異なる結晶構造を有する場合、表層部と内部の結晶の配向が概略一致していることが好ましい。
ただし表層部がMgOのみ、またはMgOとCoO(II)が固溶した構造のみでは、上述したようにリチウムの挿入脱離の経路がなくなってしまう。そのため表層部は少なくともコバルトを有し、放電状態においてはリチウムも有し、リチウムの挿入脱離の経路を有している必要がある。また、マグネシウムよりもコバルトの濃度が高いことが好ましい。
≪粒界≫
さらに、正極活物質100の結晶粒界およびその近傍のマグネシウム濃度も、内部の他の領域よりも高いことが好ましい。また結晶粒界およびその近傍のハロゲン濃度も高いことが好ましい。
粒子表面と同様、結晶粒界も面欠陥である。そのため不安定になりやすく結晶構造の変化が始まりやすい。そのため、結晶粒界およびその近傍のマグネシウム濃度が高ければ、結晶構造の変化をより効果的に抑制することができる。
また、結晶粒界およびその近傍のマグネシウムおよびハロゲン濃度が高い場合、正極活物質100粒子の結晶粒界に沿ってクラックが生じた場合でも、クラックにより生じた表面の近傍でマグネシウムおよびフハロゲン濃度が高くなる。そのためクラックが生じた後の正極活物質においてもフッ酸に対する耐食性を高めることができる。
なお本明細書等において、結晶粒界の近傍とは、粒界から10nm程度までの領域をいうこととする。
マグネシウム、フッ素、等の原子数比はXPS、EDX、等を用いて測定することが好ましい。正極活物質100は例えば、XPS分析を行ったとき、正極活物質100が有するマグネシウムの原子数比は、遷移金属の0.4倍以上1.5倍以下が好ましく、0.45倍以上1.00倍未満がより好ましい。例えば、正極活物質100が遷移金属としてニッケル、マンガンおよびコバルトを有する場合、マグネシウムの原子数比は、ニッケル、マンガンおよびコバルトの原子数比の和に対して、0.4倍以上1.5倍以下が好ましく、0.45倍以上1.00倍未満がより好ましい。また、EDX分析を行ったとき、正極活物質100が有するマグネシウムの原子数比は、遷移金属の0.020倍以上0.50倍以下であることが好ましく、さらには0.025倍以上0.30倍以下が好ましく、さらには0.030倍以上0.20倍以下が好ましい。また、XPS分析を行ったとき、正極活物質100が有するフッ素の原子数比は、遷移金属の0.05倍以上1.5倍以下が好ましく、0.3倍以上1.00倍以下がより好ましい。
≪充電方法≫
上記判断をするための高電圧充電は、例えば対極リチウムでコインセル(CR2032タイプ、直径20mm高さ3.2mm)を作製して行うことができる。
より具体的には、正極には、正極活物質、導電助剤およびバインダを混合したスラリーを、アルミニウム箔の正極集電体に塗工したものを用いることができる。
対極にはリチウム金属を用いることができる。なお対極にリチウム金属以外の材料を用いたときは、二次電池の電位と正極の電位が異なる。本明細書等における電圧および電位は、特に言及しない場合、正極の電位である。
電解液が有する電解質には、1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用い、電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)がEC:DEC=3:7(体積比)、ビニレンカーボネート(VC)が2wt%で混合されたものを用いることができる。
セパレータには厚さ25μmのポリプロピレンを用いることができる。
正極缶及び負極缶には、ステンレス(SUS)で形成されているものを用いることができる。
上記条件で作製したコインセルを、4.6V、0.5Cで定電流充電し、その後電流値が0.01Cとなるまで定電圧充電する。なおここでは1Cは137mA/gとする。温度は25℃とする。このようにして充電した後に、コインセルをアルゴン雰囲気のグローブボックス中で解体して正極を取り出せば、高電圧で充電された正極活物質を得られる。この後各種分析を行う際も、アルゴン雰囲気でハンドリングすることが好ましい。たとえばXRDは、アルゴン雰囲気の密閉容器内に封入して行うことができる。
≪XRD≫
図3は、図2に示す結晶構造において、(0 0 3)面、(1 0 4)面、および(1 0 1)面を追記した図である。なお、図をみやすくするため、図3においてはリチウム原子を表記していない。
本発明の一態様の正極活物質のXRDパターンが空間群R-3mに対応する場合、2θが18.5°近傍、例えば17.5°より大きく20°より小さい範囲に一以上のピークを有し、かつ、2θが37.0°近傍、例えば36°より大きく38.5°より小さい範囲に一以上のピークを有し、かつ、2θが45.0°近傍、例えば43.5°より大きく46.5°より小さい範囲に一以上のピークを有する。
本発明の一態様の正極活物質のXRDパターンが空間群R-3mに対応する場合、18.5°近傍のピークは、図3の実線に示す(0 0 3)面に対応し、37.0°近傍のピークは、図3の二点鎖線に示す(1 0 1)面に対応し、45.0°近傍のピークは、図3の一点鎖線に示す(1 0 4)面に対応する。
充電において正極活物質からリチウムが脱離することにより、正極活物質の格子定数が変化する。このとき、格子定数の変化はa、b、およびc軸のそれぞれの方向において、なるべく均等に変化することが好ましい。ここで均等に変化するとは、充放電の過程において格子定数が変化する場合に、結晶の歪みの異方性が、より小さいことを指す。結晶の歪みの異方性が小さいとは例えば、それぞれの軸の格子定数の比の変化が、より小さいことを指す。例えば、本発明の一態様の正極活物質において、a軸とc軸の格子定数の比は、充放電の過程において、その値の変化がより小さいことが好ましい。
充電状態から放電状態に変化する際の結晶の歪みの異方性が大きい場合には、結晶構造が崩れやすくなり、充放電サイクルの繰り返しに伴い、顕著な容量低下が生じる場合がある。また、歪みの異方性が小さい場合には例えば、本発明の一態様の正極活物質を用いた正極において、歪みが小さくなる場合がある。
本発明の一態様の正極活物質は、充放電に伴う歪みの異方性が小さいため、充放電の過程を経た後も、固体電解質と良好な界面を保つことができる。よって、本発明の一態様の正極活物質は、固体電解質を用いた二次電池に適している。
図2に示す結晶構造からわかるように、リチウムはc軸にほぼ垂直な面状に分布する。リチウムの脱離により、結晶構造のc軸方向の伸縮が生じやすいことが示唆される。また、結晶構造のc軸方向の伸縮を抑制できれば、充放電に伴う容量の低下を抑制できる場合があり、好ましい。
図3より、c軸は(1 0 1)面に対して角度が小さい。このことから、結晶のc軸方向の伸縮は、(1 0 1)面の間隔の変化への寄与が小さいと考えられる。一方、(0 0 3)面はc軸と平行であり、結晶のc軸方向の進捗の影響を顕著にうけると考えられる。また、(1 0 4)面についても、c軸との角度が大きいことから、影響を受けやすいと考えられる。
本発明の一態様の正極活物質がリチウム、ニッケル、およびマンガンを有し、該正極活物質を正極に用い、金属リチウムを負極に用いたリチウムイオン二次電池を、25℃環境下において、4.6Vとなるまで定電流充電し、その後電流値が0.01Cとなるまで定電流充電した場合のa軸の格子定数をc軸の格子定数で割った値をa_0/c_0とし、a_0/c_0は、0.198より大きく0.202より小さいことが好ましい。さらに、25℃環境下において電池電圧が2.5Vとなるまで定電流放電した場合のa軸の格子定数をc軸の格子定数で割った値をa_N/c_Nとし、a_0/c_0は、a_N/c_Nの0.993倍より大きく1.02倍より小さいことが好ましい。
また、正極活物質において、複数の相が存在する場合がある。例えば、本発明の一態様の正極活物質は、第1相と第2相を有し、それぞれの相において、格子定数が異なる場合がある。それぞれの相において、空間群は異なってもよいが、同一であることがより好ましい。
正極活物質が複数の相を有する場合には、先に述べた18.5°近傍のピーク、45.0°近傍のピーク、および37.0°近傍のピークのうちいずれか一以上において、リートベルト解析を行った場合に、ピークが半値幅が0.5°以下、あるいは0.3°以下の二以上のピークに分離する場合がある。
二以上のピークに分離する場合、リートベルト解析において正極活物質が二以上の相を有する場合がある。
本発明の一態様の正極活物質のXRDパターンを解析することにより得られる結晶子サイズは例えば、10nmより大きく500nmより小さく、あるいは、30nmより大きく300nmより小さい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した正極活物質100を有する二次電池に用いることのできる材料の例について説明する。本実施の形態では、正極、負極および電解液が、外装体に包まれている二次電池を例にとって説明する。
[正極]
正極は、正極活物質層および正極集電体を有する。
<正極活物質層>
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を有する。また、正極活物質層は、正極活物質に加えて、活物質表面の被膜、導電助剤またはバインダなどの他の物質を含んでもよい。
正極活物質としては、先の実施の形態で説明した正極活物質100を用いることができる。先の実施の形態で説明した正極活物質100を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた二次電池とすることができる。
導電助剤としては、炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用いることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。活物質層の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt%以上5wt%以下がより好ましい。
導電助剤により、活物質層中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤により、正極活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
導電助剤としては、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ等の人造黒鉛、炭素繊維などを用いることができる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーやカーボンナノチューブなどを用いることができる。カーボンナノチューブは、例えば気相成長法などで作製することができる。また、導電助剤として、例えばカーボンブラック(アセチレンブラック(AB)など)、グラファイト(黒鉛)粒子、グラフェン、フラーレンなどの炭素材料を用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
また、導電助剤としてグラフェン化合物を用いてもよい。
グラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性および高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラフェン化合物は平面的な形状を有する。グラフェン化合物は、接触抵抗の低い面接触を可能とする。また、薄くても導電性が非常に高い場合があり、少ない量で効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。そのため、グラフェン化合物を導電助剤として用いることにより、活物質と導電助剤との接触面積を増大させることができるため好ましい。スプレードライ装置を用いることで、活物質の表面全体を覆って導電助剤であるグラフェン化合物を被膜として形成することが好ましい。また、電気的な抵抗を減少できる場合があるため好ましい。ここでグラフェン化合物として例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンまたはRGOを用いることが特に好ましい。ここで、RGOは例えば、酸化グラフェン(graphene oxide:GO)を還元して得られる化合物を指す。
粒径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。そのため導電助剤の量が多くなりがちであり、相対的に活物質の担持量が減少してしまう傾向がある。活物質の担持量が減少すると、二次電池の容量が減少してしまう。このような場合には、導電助剤としてグラフェン化合物を用いると、グラフェン化合物は少量でも効率よく導電パスを形成することができるため、活物質の担持量を減らさずに済み、特に好ましい。
以下では一例として、活物質層200に、導電助剤としてグラフェン化合物を用いる場合の断面構成例を説明する。
図4(A)に、活物質層200の縦断面図を示す。活物質層200は、粒状の正極活物質100と、導電助剤としてのグラフェン化合物201と、バインダ(図示せず)と、を含む。ここで、グラフェン化合物201として例えばグラフェンまたはマルチグラフェンを用いればよい。ここで、グラフェン化合物201はシート状の形状を有することが好ましい。また、グラフェン化合物201は、複数のマルチグラフェン、または(および)複数のグラフェンが部分的に重なりシート状となっていてもよい。
活物質層200の縦断面においては、図4(B)に示すように、活物質層200の内部において概略均一にシート状のグラフェン化合物201が分散する。図4(B)においてはグラフェン化合物201を模式的に太線で表しているが、実際には炭素分子の単層又は多層の厚みを有する薄膜である。複数のグラフェン化合物201は、複数の粒状の正極活物質100を一部覆うように、あるいは複数の粒状の正極活物質100の表面上に張り付くように形成されているため、互いに面接触している。
ここで、複数のグラフェン化合物同士が結合することにより、網目状のグラフェン化合物シート(以下グラフェン化合物ネットまたはグラフェンネットと呼ぶ)を形成することができる。活物質をグラフェンネットが被覆する場合に、グラフェンネットは活物質同士を結合するバインダとしても機能することができる。よって、バインダの量を少なくすることができる、又は使用しないことができるため、電極体積や電極重量に占める活物質の比率を向上させることができる。すなわち、二次電池の容量を増加させることができる。
ここで、グラフェン化合物201として酸化グラフェンを用い、活物質と混合して活物質層200となる層を形成後、還元することが好ましい。グラフェン化合物201の形成に、極性溶媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いることにより、グラフェン化合物201を活物質層200の内部において概略均一に分散させることができる。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散媒から溶媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元するため、活物質層200に残留するグラフェン化合物201は部分的に重なり合い、互いに面接触する程度に分散していることで三次元的な導電パスを形成することができる。なお、酸化グラフェンの還元は、例えば熱処理により行ってもよいし、還元剤を用いて行ってもよい。
従って、活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフェン化合物201は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、通常の導電助剤よりも少量で粒状の正極活物質100とグラフェン化合物201との電気伝導性を向上させることができる。よって、正極活物質100の活物質層200における比率を増加させることができる。これにより、二次電池の放電容量を増加させることができる。
また、予め、スプレードライ装置を用いることで、活物質の表面全体を覆って導電助剤であるグラフェン化合物を被膜として形成し、さらに活物質同士間をグラフェン化合物で導電パスを形成することもできる。
バインダとしては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン-スチレンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体などのゴム材料を用いることが好ましい。またバインダとして、フッ素ゴムを用いることができる。
また、バインダとしては、例えば水溶性の高分子を用いることが好ましい。水溶性の高分子としては、例えば多糖類などを用いることができる。多糖類としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉などを用いることができる。また、これらの水溶性の高分子を、前述のゴム材料と併用して用いると、さらに好ましい。
または、バインダとしては、ポリスチレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース等の材料を用いることが好ましい。
バインダは上記のうち複数を組み合わせて使用してもよい。
例えば粘度調整効果の特に優れた材料と、他の材料とを組み合わせて使用してもよい。例えばゴム材料等は接着力や弾性力に優れる反面、溶媒に混合した場合に粘度調整が難しい場合がある。このような場合には例えば、粘度調整効果の特に優れた材料と混合することが好ましい。粘度調整効果の特に優れた材料としては、例えば水溶性高分子を用いるとよい。また、粘度調整効果に特に優れた水溶性高分子としては、前述の多糖類、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびジアセチルセルロース、再生セルロースなどのセルロース誘導体や、澱粉を用いることができる。
なお、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えばカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩などの塩とすることにより溶解度が上がり、粘度調整剤としての効果を発揮しやすくなる。溶解度が高くなることにより電極のスラリーを作製する際に活物質や他の構成要素との分散性を高めることもできる。本明細書においては、電極のバインダとして使用するセルロースおよびセルロース誘導体としては、それらの塩も含むものとする。
水溶性高分子は水に溶解することにより粘度を安定化させ、また活物質や、バインダとして組み合わせる他の材料、例えばスチレンブタジエンゴムなどを、水溶液中に安定して分散させることができる。また、官能基を有するために活物質表面に安定に吸着しやすいことが期待される。また、例えばカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、例えば水酸基やカルボキシル基などの官能基を有する材料が多く、官能基を有するために高分子同士が相互作用し、活物質表面を広く覆って存在することが期待される。
活物質表面を覆う、または表面に接するバインダが膜を形成する場合には、不動態膜としての役割を果たして電解液の分解を抑える効果も期待される。ここで、不動態膜とは、電子の伝導性のない膜、または電気伝導性の極めて低い膜であり、例えば活物質の表面に不動態膜が形成された場合には、電池反応電位において、電解液の分解を抑制することができる。また、不動態膜は、電気の伝導性を抑えるとともに、リチウムイオンは伝導できるとさらに望ましい。
<正極集電体>
正極集電体としては、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、及びこれらの合金など、導電性が高い材料をもちいることができる。また正極集電体に用いる材料は、正極の電位で溶出しないことが好ましい。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。集電体は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体は、厚みが5μm以上30μm以下のものを用いるとよい。
[負極]
負極は、負極活物質層および負極集電体を有する。また、負極活物質層は、導電助剤およびバインダを有していてもよい。
<負極活物質>
負極活物質としては、例えば合金系材料や炭素系材料等を用いることができる。
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な元素を用いることができる。例えば、シリコン、スズ、ガリウム、アルミニウム、ゲルマニウム、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、亜鉛、カドミウム、インジウム等のうち少なくとも一つを含む材料を用いることができる。このような元素は炭素と比べて容量が大きく、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと高い。このため、負極活物質にシリコンを用いることが好ましい。また、これらの元素を有する化合物を用いてもよい。例えば、SiO、Mg2Si、Mg2Ge、SnO、SnO2、Mg2Sn、SnS2、V2Sn3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb、SbSn等がある。ここで、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可能な元素、および該元素を有する化合物等を合金系材料と呼ぶ場合がある。
本明細書等において、SiOは例えば一酸化シリコンを指す。あるいはSiOは、SiOxと表すこともできる。ここでxは1近傍の値を有することが好ましい。例えばxは、0.2以上1.5以下が好ましく、0.3以上1.2以下がより好ましい。
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等を用いればよい。
黒鉛としては、人造黒鉛や、天然黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛としては例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ系人造黒鉛等が挙げられる。ここで人造黒鉛として、球状の形状を有する球状黒鉛を用いることができる。例えば、MCMBは球状の形状を有する場合があり、好ましい。また、MCMBはその表面積を小さくすることが比較的容易であり、好ましい場合がある。天然黒鉛としては例えば、鱗片状黒鉛、球状化天然黒鉛等が挙げられる。
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム-黒鉛層間化合物の生成時)にリチウム金属と同程度に低い電位を示す(0.05V以上0.3V以下 vs.Li/Li+)。これにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が比較的小さい、安価である、リチウム金属に比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
また、負極活物質として、二酸化チタン(TiO2)、リチウムチタン酸化物(Li4Ti5O12)、リチウム-黒鉛層間化合物(LixC6)、五酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)等の酸化物を用いることができる。
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつLi3-xMxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)を示し好ましい。
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させることで、負極活物質としてリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウムとの合金を作らない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、Ge3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3等のフッ化物でも起こる。
負極活物質層が有することのできる導電助剤およびバインダとしては、正極活物質層が有することのできる導電助剤およびバインダと同様の材料を用いることができる。
<負極集電体>
負極集電体には、正極集電体と同様の材料を用いることができる。なお負極集電体は、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることが好ましい。
[電解液]
電解液は、溶媒と電解質を有する。電解液の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
また、電解液の溶媒として、難燃性および難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ又は複数用いることで、二次電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇しても、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。二次電池を携帯端末や、車両等の機器に搭載する場合には、二次電池と使用者との距離が密接な状態で、該機器が使用される場合がある。二次電池の破裂や発火などが生じた場合には例えば、人体等の使用者に危険が及ぶ場合がある。電解液の溶媒がイオン液体を有することにより、使用者は、二次電池が搭載された携帯端末、車両、等をより安全な状態で使用できる。イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。電解液に用いる有機カチオンとして、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、および四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオンおよびピリジニウムカチオン等の芳香族カチオンが挙げられる。また、電解液に用いるアニオンとして、1価のアミド系アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、パーフルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、またはパーフルオロアルキルホスフェートアニオン等が挙げられる。
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiAlCl4、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li2B10Cl10、Li2B12Cl12、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiN(C2F5SO2)2等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
二次電池に用いる電解液の溶媒として、有機溶媒とイオン液体を混合した溶媒を用いてもよい。
二次電池に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、単に「不純物」ともいう。)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好ましい。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。
また、電解液にビニレンカーボネート、プロパンスルトン(PS)、tert-ブチルベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、LiBOB、またスクシノニトリル、アジポニトリル等のジニトリル化合物などの添加剤を添加してもよい。添加する材料の濃度は、例えば溶媒全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とすればよい。
また、ポリマーを電解液で膨潤させたポリマーゲル電解質を用いてもよい。
ポリマーゲル電解質を用いることで、漏液性等に対する安全性が高まる。また、二次電池の薄型化および軽量化が可能である。
ゲル化されるポリマーとして、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等を用いることができる。
ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキシド構造を有するポリマーや、PVDF、およびポリアクリロニトリル等、およびそれらを含む共重合体等を用いることができる。例えばPVDFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるPVDF-HFPを用いることができる。また、形成されるポリマーは、多孔質形状を有してもよい。
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。本発明の一態様の正極を用いることにより例えば、二次電池の充放電の過程を経た後も、固体電解質との良好な界面を保つことができる。
[セパレータ]
また二次電池は、セパレータを有することが好ましい。セパレータとしては、例えば、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、或いはナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンを用いた合成繊維等で形成されたものを用いることができる。セパレータはエンベロープ状に加工し、正極または負極のいずれか一方を包むように配置することが好ましい。
セパレータは多層構造であってもよい。たとえばポリプロピレン、ポリエチレン等の有機材料フィルムに、セラミック系材料、フッ素系材料、ポリアミド系材料、またはこれらを混合したもの等をコートすることができる。セラミック系材料としては、たとえば酸化アルミニウム粒子、酸化シリコン粒子等を用いることができる。フッ素系材料としては、たとえばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン等を用いることができる。ポリアミド系材料としては、たとえばナイロン、アラミド(メタ系アラミド、パラ系アラミド)等を用いることができる。
セラミック系材料をコートすると耐酸化性が向上するため、高電圧充放電の際のセパレータの劣化を抑制し、二次電池の信頼性を向上させることができる。またフッ素系材料をコートするとセパレータと電極が密着しやすくなり、出力特性を向上させることができる。ポリアミド系材料、特にアラミドをコートすると、耐熱性が向上するため、二次電池の安全性を向上させることができる。
たとえばポリプロピレンのフィルムの両面に酸化アルミニウムとアラミドの混合材料をコートしてもよい。また、ポリプロピレンのフィルムの、正極と接する面に酸化アルミニウムとアラミドの混合材料をコートし、負極と接する面にフッ素系材料をコートしてもよい。
多層構造のセパレータを用いると、セパレータ全体の厚さが薄くても二次電池の安全性を保つことができるため、二次電池の体積あたりの容量を大きくすることができる。
[外装体]
二次電池が有する外装体としては、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。また、フィルム状の外装体を用いることもできる。フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のフィルムを用いることができる。
[充放電方法]
二次電池の充放電は、たとえば下記のように行うことができる。
≪CC充電≫
まず、充電方法の1つとしてCC充電について説明する。CC充電は、充電期間のすべてで一定の電流を二次電池に流し、所定の電圧になったときに充電を停止する充電方法である。二次電池を、図5(A)に示すように内部抵抗Rと二次電池容量Cの等価回路と仮定する。この場合、二次電池電圧VBは、内部抵抗Rにかかる電圧VRと二次電池容量Cにかかる電圧VCの和である。
CC充電を行っている間は、図5(A)に示すように、スイッチがオンになり、一定の電流Iが二次電池に流れる。この間、電流Iが一定であるため、VR=R×Iのオームの法則により、内部抵抗Rにかかる電圧VRも一定である。一方、二次電池容量Cにかかる電圧VCは、時間の経過とともに上昇する。そのため、二次電池電圧VBは、時間の経過とともに上昇する。
そして二次電池電圧VBが所定の電圧、例えば4.3Vになったときに、充電を停止する。CC充電を停止すると、図5(B)に示すように、スイッチがオフになり、電流I=0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧VRが0Vとなる。そのため、内部抵抗Rでの電圧降下がなくなった分、二次電池電圧VBが下降する。
CC充電を行っている間と、CC充電を停止してからの、二次電池電圧VBと充電電流の例を図5(C)に示す。CC充電を行っている間は上昇していた二次電池電圧VBが、CC充電を停止してから若干低下する様子が示されている。
≪CCCV充電≫
次に、上記と異なる充電方法であるCCCV充電について説明する。CCCV充電は、まずCC充電にて所定の電圧まで充電を行い、その後CV(定電圧)充電にて流れる電流が少なくなるまで、具体的には終止電流値になるまで充電を行う充電方法である。
CC充電を行っている間は、図6(A)に示すように、定電流電源のスイッチがオン、定電圧電源のスイッチがオフになり、一定の電流Iが二次電池に流れる。この間、電流Iが一定であるため、VR=R×Iのオームの法則により、内部抵抗Rにかかる電圧VRも一定である。一方、二次電池容量Cにかかる電圧VCは、時間の経過とともに上昇する。そのため、二次電池電圧VBは、時間の経過とともに上昇する。
そして二次電池電圧VBが所定の電圧、例えば4.3Vになったときに、CC充電からCV充電に切り替える。CV充電を行っている間は、図6(B)に示すように、定電圧電源のスイッチがオン、定電流電源のスイッチがオフになり、二次電池電圧VBが一定となる。一方、二次電池容量Cにかかる電圧VCは、時間の経過とともに上昇する。VB=VR+VCであるため、内部抵抗Rにかかる電圧VRは、時間の経過とともに小さくなる。内部抵抗Rにかかる電圧VRが小さくなるに従い、VR=R×Iのオームの法則により、二次電池に流れる電流Iも小さくなる。
そして二次電池に流れる電流Iが所定の電流、例えば0.01C相当の電流となったとき、充電を停止する。CCCV充電を停止すると、図6(C)に示すように、全てのスイッチがオフになり、電流I=0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧VRが0Vとなる。しかし、CV充電により内部抵抗Rにかかる電圧VRが十分に小さくなっているため、内部抵抗Rでの電圧降下がなくなっても、二次電池電圧VBはほとんど降下しない。
CCCV充電を行っている間と、CCCV充電を停止してからの、二次電池電圧VBと充電電流の例を図6(D)に示す。CCCV充電を停止しても、二次電池電圧VBがほとんど降下しない様子が示されている。
≪CC放電≫
次に、放電方法の1つであるCC放電について説明する。CC放電は、放電期間のすべてで一定の電流を二次電池から流し、二次電池電圧VBが所定の電圧、例えば2.5Vになったときに放電を停止する放電方法である。
CC放電を行っている間の二次電池電圧VBと放電電流の例を図7に示す。放電が進むに従い、二次電池電圧VBが降下していく様子が示されている。
次に、放電レート及び充電レートについて説明する。放電レートとは、電池容量に対する放電時の電流の相対的な比率であり、単位Cで表される。定格容量X(Ah)の電池において、1C相当の電流は、X(A)である。2X(A)の電流で放電させた場合は、2Cで放電させたといい、X/5(A)の電流で放電させた場合は、0.2Cで放電させたという。また、充電レートも同様であり、2X(A)の電流で充電させた場合は、2Cで充電させたといい、X/5(A)の電流で充電させた場合は、0.2Cで充電させたという。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の二次電池が有する電解液として用いることができる、イオン液体について説明する。電解液の溶媒として、以下に説明するイオン液体を複数、混合して用いてもよい。
イオン液体は一つ又は複数の種類を組み合わせて用いればよい。該イオン液体は、カチオンとアニオンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。
該有機カチオンとして、例えば芳香族カチオンや、四級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、及び四級ホスホニウムカチオン等の脂肪族オニウムカチオン等を用いることが好ましい。
芳香族カチオンとしては、例えば5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンであることが好ましい。5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンとしてはベンゾイミダゾリウムカチオン、ベンゾオキサゾリウムカチオン、ベンゾチアゾリウムカチオン等がある。単環式化合物である5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンとしてはオキサゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、イソチアゾリウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン等がある。化合物の安定性、粘度およびイオン伝導度、並びに合成の簡易さから、単環式化合物である5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンであることが好ましく、特にイミダゾリウムカチオンは粘度の低下が期待できるため、より好ましい。
また、上記イオン液体におけるアニオンとして、例えば、1価のアミドアニオン、1価のメチドアニオン、フルオロスルホン酸アニオン(SO3F-)、フルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレート(BF4
-)、フルオロアルキルボレート、ヘキサフルオロホスフェート(PF6
-)またはフルオロアルキルホスフェート等が挙げられる。そして、1価のアミドアニオンとしては、(CnF2n+1SO2)2N-(n=0以上3以下)、1価の環状のアミドアニオンとしては、(CF2SO2)2N-などがある。1価のメチドアニオンとしては、(CnF2n+1SO2)3C-(n=0以上3以下)、1価の環状のメチドアニオンとしては、(CF2SO2)2C-(CF3SO2)などがある。フルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、(CmF2m+1SO3)-(m=0以上4以下)などがある。フルオロアルキルボレートとしては、{BFn(CmHkF2m+1-k)4-n}-(n=0以上3以下、m=1以上4以下、k=0以上2m以下)などがある。フルオロアルキルホスフェートとしては、{PFn(CmHkF2m+1-k)6-n}-(n=0以上5以下、m=1以上4以下、k=0以上2m以下)などがある。なお、当該アニオンはこれらに限るものではない。
5員環のヘテロ芳香環を含むカチオンを有するイオン液体として、例えば、一般式(G1)で表すことができる。
一般式(G1)中において、R1は、炭素数が1以上4以下のアルキル基を表し、R2乃至R4は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が1以上4以下のアルキル基を表し、R5は、C、O、Si、N、S、Pの原子から選択された2つ以上で構成される主鎖を表し、A-は、1価のイミド系アニオン、スルホニルイミド(IUPAC命名法に従うとスルホニルアミドとも呼ぶ)アニオン、1価のアミドアニオン、1価のメチドアニオン、フルオロスルホン酸アニオン、フルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、フルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、またはフルオロアルキルホスフェートアニオンのいずれか一を表す。
また、R5の主鎖に置換基が導入されていてもよい。導入される置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
なお、一般式(G1)で表されるイオン液体の当該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のどちらであってもよい。例えば、エチル基、tert‐ブチル基である。また、一般式(G1)で表されるイオン液体において、R5は酸素-酸素結合(ペルオキシド)を持たないことが好ましい。酸素‐酸素間の単結合は非常に壊れやすく、反応性が高いために爆発性を有する可能性がある。このため、蓄電装置には適さない。
また、イオン液体は、6員環のヘテロ芳香環を含んでもよい。例えば、下記一般式(G2)で表されるイオン液体を用いることができる。
一般式(G2)中において、R6は、C、O、Si、N、S、Pの原子から選択された2つ以上で構成される主鎖を表し、R7乃至R11は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数が1以上4以下のアルキル基を表し、A-は、1価のイミド系アニオン、スルホニルイミド(IUPAC命名法に従うとスルホニルアミドとも呼ぶ)アニオン、1価のアミドアニオン、1価のメチドアニオン、フルオロスルホン酸アニオン、フルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、フルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、またはフルオロアルキルホスフェートアニオンのいずれか一を表す。
また、R6の主鎖に置換基が導入されていてもよい。導入される置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
また、四級アンモニウムカチオンを有するイオン液体として、例えば、下記一般式(G3)で表されるイオン液体を用いることができる。
一般式(G3)中、R12乃至R17は、それぞれ独立に、炭素数が1以上20以下のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、または水素原子のいずれかを表す。
また、イオン液体として、例えば、四級アンモニウムカチオンおよび1価のアニオンから構成され、下記一般式(G4)で表されるイオン液体を用いることができる。
一般式(G4)中、R18乃至R24は、それぞれ独立に、炭素数が1以上20以下のアルキル基、メトキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、または水素原子のいずれかを表す。
また、イオン液体として、例えば、四級アンモニウムカチオンおよび1価のアニオンから構成され、下記一般式(G5)で表されるイオン液体を用いることができる。
一般式(G5)中、n及びmは1以上3以下である。αは0以上6以下とし、nが1の場合αは0以上4以下であり、nが2の場合αは0以上5以下であり、nが3の場合αは0以上6以下である。βは0以上6以下とし、mが1の場合βは0以上4以下であり、mが2の場合βは0以上5以下であり、mが3の場合βは0以上6以下である。なお、αまたはβが0であるとは、無置換であることを表す。また、αとβが共に0である場合は除くものとする。X又はYは、置換基として炭素数が1以上4以下の直鎖状若しくは側鎖状のアルキル基、炭素数が1以上4以下の直鎖状若しくは側鎖状のアルコキシ基、又は炭素数が1以上4以下の直鎖状若しくは側鎖状のアルコキシアルキル基を表す。また、A-は1価のアミドアニオン、1価のメチドアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、パーフルオロアルキルボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン及びパーフルオロアルキルホスフェートアニオンのいずれかを表す。
四級スピロアンモニウムカチオンにおいて、スピロ環を構成する二つの脂肪族環は5員環、6員環又は7員環のいずれかである。
上記一般式(G1)のカチオンの具体例として、例えば構造式(111)乃至構造式(174)が挙げられる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した正極活物質100を有する二次電池の形状の例について説明する。本実施の形態で説明する二次電池に用いる材料は、先の実施の形態の記載を参酌することができる。
[コイン型二次電池]
まずコイン型の二次電池の一例について説明する。図8(A)はコイン型(単層偏平型)の二次電池の外観図であり、図8(B)は、その断面図である。
コイン型の二次電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306により形成される。また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質層309により形成される。
なお、コイン型の二次電池300に用いる正極304および負極307は、それぞれ活物質層は片面のみに形成すればよい。
正極缶301、負極缶302には、電解液に対して耐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えばステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極307とそれぞれ電気的に接続する。
これら負極307、正極304およびセパレータ310を電解質に含浸させ、図8(B)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を介して圧着してコイン形の二次電池300を製造する。
正極304に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、高容量でサイクル特性に優れたコイン型の二次電池300とすることができる。
ここで図8(C)を用いて二次電池の充電時の電流の流れを説明する。リチウムを用いた二次電池を一つの閉回路とみなした時、リチウムイオンの動きと電流の流れは同じ向きになる。なお、リチウムを用いた二次電池では、充電と放電でアノード(陽極)とカソード(陰極)が入れ替わり、酸化反応と還元反応とが入れ替わることになるため、反応電位が高い電極を正極と呼び、反応電位が低い電極を負極と呼ぶ。したがって、本明細書においては、充電中であっても、放電中であっても、逆パルス電流を流す場合であっても、充電電流を流す場合であっても、正極は「正極」または「+極(プラス極)」と呼び、負極は「負極」または「-極(マイナス極)」と呼ぶこととする。酸化反応や還元反応に関連したアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いると、充電時と放電時とでは、逆になってしまい、混乱を招く可能性がある。したがって、アノード(陽極)やカソード(陰極)という用語は、本明細書においては用いないこととする。仮にアノード(陽極)やカソード(陰極)という用語を用いる場合には、充電時か放電時かを明記し、正極(プラス極)と負極(マイナス極)のどちらに対応するものかも併記することとする。
図8(C)に示す2つの端子には充電器が接続され、二次電池300が充電される。二次電池300の充電が進めば、電極間の電位差は大きくなる。
[円筒型二次電池]
次に円筒型の二次電池の例について図9を参照して説明する。円筒型の二次電池600は、図9(A)に示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
図9(B)は、円筒型の二次電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の二次電池と同様のものを用いることができる。
円筒型の蓄電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603および負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperature Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構612は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。
また、図9(C)のように複数の二次電池600を、導電板613および導電板614の間に挟んでモジュール615を構成してもよい。複数の二次電池600は、並列接続されていてもよいし、直列接続されていてもよいし、並列に接続された後さらに直列に接続されていてもよい。複数の二次電池600を有するモジュール615を構成することで、大きな電力を取り出すことができる。
図9(D)はモジュール615の上面図である。図を明瞭にするために導電板613を点線で示した。図9(D)に示すようにモジュール615は、複数の二次電池600を電気的に接続する導線616を有していてもよい。導線616上に導電板を重畳して設けることができる。また複数の二次電池600の間に温度制御装置617を有していてもよい。二次電池600が過熱されたときは、温度制御装置617により冷却し、二次電池600が冷えすぎているときは温度制御装置617により加熱することができる。そのためモジュール615の性能が外気温に影響されにくくなる。温度制御装置617が有する熱媒体は絶縁性と不燃性を有することが好ましい。
モジュール615が温度制御装置617を有するため、所望の性能に合わせて二次電池600の温度を変化させることができる。例えば、二次電池600を加熱することにより、より高い電流密度での充電、および放電が可能となる。例えば、充電の時間を短くできる。また、二次電池600を加熱する場合には、二次電池600の電解液の溶媒はイオン液体を有することが好ましい。イオン液体は有機溶媒と比べて、加熱時の蒸気圧の上昇が抑えられるため、加熱を行った場合でも、二次電池600の膨らみを抑制することができる。すなわち、安全性を確保したまま、加熱により性能を向上させることができる。
モジュール615は例えば、二次電池600に加えて、他の蓄電池を有してもよい。例えばモジュール615は、鉛蓄電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、等の蓄電池を有してもよい。これらの蓄電池を用いて温度制御装置617を起動し、動作させてもよい。
正極604に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた円筒型の二次電池600とすることができる。
[二次電池の構造例]
二次電池の別の構造例について、図10乃至図14を用いて説明する。
図10(A)及び図10(B)は、二次電池の外観図を示す図である。二次電池は、回路基板900と、二次電池913と、を有する。二次電池913には、ラベル910が貼られている。さらに、図10(B)に示すように、二次電池は、端子951と、端子952と、アンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子951、端子952、アンテナ914、アンテナ915、及び回路912に接続される。なお、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源端子などとしてもよい。
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914及びアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ914若しくはアンテナ915は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ914若しくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これにより、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
二次電池は、アンテナ914及びアンテナ915と、二次電池913との間に層916を有する。層916は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽する機能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
なお、二次電池の構造は、図10に限定されない。
例えば、図11(A-1)及び図11(A-2)に示すように、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設けてもよい。図11(A-1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図11(A-2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池と同じ部分については、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池の説明を適宜援用できる。
図11(A-1)に示すように、二次電池913の一対の面の一方に層916を挟んでアンテナ914が設けられ、図11(A-2)に示すように、二次電池913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば二次電池913による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用いることができる。
上記構造にすることにより、アンテナ914及びアンテナ918の両方のサイズを大きくすることができる。アンテナ918は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ918には、例えばアンテナ914に適用可能な形状のアンテナを適用することができる。アンテナ918を介した二次電池と他の機器との通信方式としては、NFCなど、二次電池と他の機器との間で用いることができる応答方式などを適用することができる。
又は、図11(B-1)に示すように、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池913に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子911に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けなくてもよい。なお、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池と同じ部分については、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池の説明を適宜援用できる。
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
又は、図11(B-2)に示すように、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池913にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電気的に接続される。なお、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池と同じ部分については、図10(A)及び図10(B)に示す二次電池の説明を適宜援用できる。
センサ921としては、例えば、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定することができる機能を有すればよい。センサ921を設けることにより、例えば、二次電池が置かれている環境を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる。
さらに、二次電池913の構造例について図12及び図13を用いて説明する。
図12(A)に示す二次電池913は、筐体930の内部に端子951と端子952が設けられた捲回体950を有する。捲回体950は、筐体930の内部で電解液に含浸される。端子952は、筐体930に接し、端子951は、絶縁材などを用いることにより筐体930に接していない。なお、図12(A)では、便宜のため、筐体930を分離して図示しているが、実際は、捲回体950が筐体930に覆われ、端子951及び端子952が筐体930の外に延在している。筐体930としては、金属材料(例えばアルミニウムなど)又は樹脂材料を用いることができる。
なお、図12(B)に示すように、図12(A)に示す筐体930を複数の材料によって形成してもよい。例えば、図12(B)に示す二次電池913は、筐体930aと筐体930bが貼り合わされており、筐体930a及び筐体930bで囲まれた領域に捲回体950が設けられている。
筐体930aとしては、有機樹脂など、絶縁材料を用いることができる。特に、アンテナが形成される面に有機樹脂などの材料を用いることにより、二次電池913による電界の遮蔽を抑制できる。なお、筐体930aによる電界の遮蔽が小さければ、筐体930aの内部にアンテナ914やアンテナ915などのアンテナを設けてもよい。筐体930bとしては、例えば金属材料を用いることができる。
さらに、捲回体950の構造について図13に示す。捲回体950は、負極931と、正極932と、セパレータ933と、を有する。捲回体950は、セパレータ933を挟んで負極931と、正極932が重なり合って積層され、該積層シートを捲回させた捲回体である。なお、負極931と、正極932と、セパレータ933と、の積層を、さらに複数重ねてもよい。
負極931は、端子951及び端子952の一方を介して図10に示す端子911に接続される。正極932は、端子951及び端子952の他方を介して図10に示す端子911に接続される。
正極932に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた二次電池913とすることができる。
[ラミネート型二次電池]
次に、ラミネート型の二次電池の例について、図14乃至図20を参照して説明する。ラミネート型の二次電池は、可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少なくとも一部有する電子機器に実装すれば、電子機器の変形に合わせて二次電池も曲げることもできる。
図14を用いて、ラミネート型の二次電池980について説明する。ラミネート型の二次電池980は、図14(A)に示す捲回体993を有する。捲回体993は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。捲回体993は、図13で説明した捲回体950と同様に、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。
なお、負極994、正極995およびセパレータ996からなる積層の積層数は、必要な容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。負極994はリード電極997およびリード電極998の一方を介して負極集電体(図示せず)に接続され、正極995はリード電極997およびリード電極998の他方を介して正極集電体(図示せず)に接続される。
図14(B)に示すように、外装体となるフィルム981と、凹部を有するフィルム982とを熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に上述した捲回体993を収納することで、図14(C)に示すように二次電池980を作製することができる。捲回体993は、リード電極997およびリード電極998を有し、フィルム981と、凹部を有するフィルム982との内部で電解液に含浸される。
フィルム981と、凹部を有するフィルム982は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。フィルム981および凹部を有するフィルム982の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときにフィルム981と、凹部を有するフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製することができる。
また、図14(B)および図14(C)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体993を収納してもよい。
正極995に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた二次電池980とすることができる。
また図14では外装体となるフィルムにより形成された空間に捲回体を有する二次電池980の例について説明したが、たとえば図15のように、外装体となるフィルムにより形成された空間に、短冊状の複数の正極、セパレータおよび負極を有する二次電池としてもよい。
図15(A)に示すラミネート型の二次電池500は、正極集電体501および正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504および負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と、外装体509と、を有する。外装体509内に設けられた正極503と負極506との間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509内は、電解液508で満たされている。電解液508には、実施の形態2で示した電解液を用いることができる。
図15(A)に示すラミネート型の二次電池500において、正極集電体501および負極集電体504は、外部との電気的接触を得る端子の役割も兼ねている。そのため、正極集電体501および負極集電体504の一部は、外装体509から外側に露出するように配置してもよい。また、正極集電体501および負極集電体504を、外装体509から外側に露出させず、リード電極を用いてそのリード電極と正極集電体501、或いは負極集電体504と超音波接合させてリード電極を外側に露出するようにしてもよい。
ラミネート型の二次電池500において、外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設けた三層構造のラミネートフィルムを用いることができる。
また、ラミネート型の二次電池500の断面構造の一例を図15(B)に示す。図15(A)では簡略のため、2つの集電体で構成する例を示しているが、実際は、複数の電極層で構成する。
図16(B)では、一例として、電極層数を16としている。なお、電極層数を16としても二次電池500は、可撓性を有する。図15(B)では負極集電体504が8層と、正極集電体501が8層の合計16層の構造を示している。なお、図15(B)は負極の取り出し部の断面を示しており、8層の負極集電体504を超音波接合させている。勿論、電極層数は16に限定されず、多くてもよいし、少なくてもよい。電極層数が多い場合には、より多くの容量を有する二次電池とすることができる。また、電極層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた二次電池とすることができる。
ここで、ラミネート型の二次電池500の外観図の一例を図16及び図17に示す。図16及び図17は、正極503、負極506、セパレータ507、外装体509、正極リード電極510及び負極リード電極511を有する。
図18(A)は正極503及び負極506の外観図を示す。正極503は正極集電体501を有し、正極活物質層502は正極集電体501の表面に形成されている。また、正極503は正極集電体501が一部露出する領域(以下、タブ領域という)を有する。負極506は負極集電体504を有し、負極活物質層505は負極集電体504の表面に形成されている。また、負極506は負極集電体504が一部露出する領域、すなわちタブ領域を有する。正極及び負極が有するタブ領域の面積や形状は、図18(A)に示す例に限られない。
[ラミネート型二次電池の作製方法]
ここで、図16に外観図を示すラミネート型二次電池の作製方法の一例について、図18(B)、(C)を用いて説明する。
まず、負極506、セパレータ507及び正極503を積層する。図18(B)に積層された負極506、セパレータ507及び正極503を示す。ここでは負極を5組、正極を4組使用する例を示す。次に、正極503のタブ領域同士の接合と、最表面の正極のタブ領域への正極リード電極510の接合を行う。接合には、例えば超音波溶接等を用いればよい。同様に、負極506のタブ領域同士の接合と、最表面の負極のタブ領域への負極リード電極511の接合を行う。
次に外装体509上に、負極506、セパレータ507及び正極503を配置する。
次に、図18(C)に示すように、外装体509を破線で示した部分で折り曲げる。その後、外装体509の外周部を接合する。接合には例えば熱圧着等を用いればよい。この時、後に電解液508を入れることができるように、外装体509の一部(または一辺)に接合されない領域(以下、導入口という)を設ける。
次に、外装体509に設けられた導入口から、電解液508を外装体509の内側へ導入する。電解液508の導入は、減圧雰囲気下、或いは不活性雰囲気下で行うことが好ましい。そして最後に、導入口を接合する。このようにして、ラミネート型の二次電池である二次電池500を作製することができる。
正極503に、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、高容量でサイクル特性に優れた二次電池500とすることができる。
[曲げることのできる二次電池]
次に、曲げることのできる二次電池の例について図19および図20を参照して説明する。
図19(A)に、曲げることのできる二次電池500の上面概略図を示す。図19(B1)、(B2)、(C)にはそれぞれ、図19(A)中の切断線C1-C2、切断線C3-C4、切断線A1-A2における断面概略図である。電池50は、外装体51と、外装体51の内部に収容された正極11aおよび負極11bを有する。正極11aと電気的に接続されたリード12a、および負極11bと電気的に接続されたリード12bは、外装体51の外側に延在している。また外装体51で囲まれた領域には、正極11aおよび負極11bに加えて電解液(図示しない)が封入されている。
電池50が有する正極11aおよび負極11bについて、図20を用いて説明する。図20(A)は、正極11a、負極11bおよびセパレータ14の積層順を説明する斜視図である。図20(B)は正極11aおよび負極11bに加えて、リード12aおよびリード12bを示す斜視図である。
図20(A)に示すように、電池50は、複数の短冊状の正極11a、複数の短冊状の負極11bおよび複数のセパレータ14を有する。正極11aおよび負極11bはそれぞれ突出したタブ部分と、タブ以外の部分を有する。正極11aの一方の面のタブ以外の部分に正極活物質層が形成され、負極11bの一方の面のタブ以外の部分に負極活物質層が形成される。
正極11aの正極活物質層の形成されていない面同士、および負極11bの負極活物質の形成されていない面同士が接するように、正極11aおよび負極11bは積層される。
また、正極11aの正極活物質が形成された面と、負極11bの負極活物質が形成された面の間にはセパレータ14が設けられる。図20では見やすくするためセパレータ14を点線で示す。
また図20(B)に示すように、複数の正極11aとリード12aは、接合部15aにおいて電気的に接続される。また複数の負極11bとリード12bは、接合部15bにおいて電気的に接続される。
次に、外装体51について図19(B1)、(B2)、(C)、(D)を用いて説明する。
外装体51は、フィルム状の形状を有し、正極11aおよび負極11bを挟むように2つに折り曲げられている。外装体51は、折り曲げ部61と、一対のシール部62と、シール部63と、を有する。一対のシール部62は、正極11aおよび負極11bを挟んで設けられ、サイドシールとも呼ぶことができる。また、シール部63は、リード12a及びリード12bと重なる部分を有し、トップシールとも呼ぶことができる。
外装体51は、正極11aおよび負極11bと重なる部分に、稜線71と谷線72が交互に並んだ波形状を有することが好ましい。また、外装体51のシール部62及びシール部63は、平坦であることが好ましい。
図19(B1)は、稜線71と重なる部分で切断した断面であり、図19(B2)は、谷線72と重なる部分で切断した断面である。図19(B1)、(B2)は共に、電池50及び正極11aおよび負極11bの幅方向の断面に対応する。
ここで、正極11aおよび負極11bの幅方向の端部、すなわち正極11aおよび負極11bの端部と、シール部62との間の距離を距離Laとする。電池50に曲げるなどの変形を加えたとき、後述するように正極11aおよび負極11bが長さ方向に互いにずれるように変形する。その際、距離Laが短すぎると、外装体51と正極11aおよび負極11bとが強く擦れ、外装体51が破損してしまう場合がある。特に外装体51の金属フィルムが露出すると、当該金属フィルムが電解液により腐食されてしまう恐れがある。したがって、距離Laを出来るだけ長く設定することが好ましい。一方で、距離Laを大きくしすぎると、電池50の体積が増大してしまう。
また、積層された正極11aおよび負極11bの合計の厚さが厚いほど、正極11aおよび負極11bと、シール部62との間の距離Laを大きくすることが好ましい。
より具体的には、積層された正極11aおよび負極11bおよび図示しないがセパレータ214の合計の厚さを厚さtとしたとき、の合計の厚さを厚さtとしたとき、距離Laは、厚さtの0.8倍以上3.0倍以下、好ましくは0.9倍以上2.5倍以下、より好ましくは1.0倍以上2.0倍以下であることが好ましい。距離Laをこの範囲とすることで、コンパクトで、且つ曲げに対する信頼性の高い電池を実現できる。
また、一対のシール部62の間の距離を距離Lbとしたとき、距離Lbを正極11aおよび負極11bの幅(ここでは、負極11bの幅Wb)よりも十分大きくすることが好ましい。これにより、電池50に繰り返し曲げるなどの変形を加えたときに、正極11aおよび負極11bと外装体51とが接触しても、正極11aおよび負極11bの一部が幅方向にずれることができるため、正極11aおよび負極11bと外装体51とが擦れてしまうことを効果的に防ぐことができる。
例えば、一対のシール部62の間の距離Laと、負極11bの幅Wbとの差が、正極11aおよび負極11bの厚さtの1.6倍以上6.0倍以下、好ましくは1.8倍以上5.0倍以下、より好ましくは、2.0倍以上4.0倍以下を満たすことが好ましい。
言い換えると、距離Lb、幅Wb、及び厚さtが、下記数式1の関係を満たすことが好ましい。
ここで、aは、0.8以上3.0以下、好ましくは0.9以上2.5以下、より好ましくは1.0以上2.0以下を満たす。
また、図19(C)はリード12aを含む断面であり、電池50、正極11aおよび負極11bの長さ方向の断面に対応する。図19(C)に示すように、折り曲げ部61において、正極11aおよび負極11bの長さ方向の端部と、外装体51との間に空間73を有することが好ましい。
図19(D)に、電池50を曲げたときの断面概略図を示している。図19(D)は、図19(A)中の切断線B1-B2における断面に相当する。
電池50を曲げると、曲げの外側に位置する外装体51の一部は伸び、内側に位置する他の一部は縮むように変形する。より具体的には、外装体51の外側に位置する部分は、波の振幅が小さく、且つ波の周期が大きくなるように変形する。一方、外装体51の内側に位置する部分は、波の振幅が大きく、且つ波の周期が小さくなるように変形する。このように、外装体51が変形することにより、曲げに伴って外装体51にかかる応力が緩和されるため、外装体51を構成する材料自体が伸縮する必要がない。その結果、外装体51は破損することなく、小さな力で電池50を曲げることができる。
また、図19(D)に示すように、電池50を曲げると、正極11aおよび負極11bとがそれぞれ相対的にずれる。このとき、複数の積層された正極11aおよび負極11bは、シール部63側の一端が固定部材17で固定されているため、折り曲げ部61に近いほどずれ量が大きくなるように、それぞれずれる。これにより、正極11aおよび負極11bにかかる応力が緩和され、正極11aおよび負極11b自体が伸縮する必要がない。その結果、正極11aおよび負極11bが破損することなく電池50を曲げることができる。
また、正極11aおよび負極11bと外装体51との間に空間73を有していることにより、曲げた時内側に位置する正極11aおよび負極11bが、外装体51に接触することなく、相対的にずれることができる。
図19および図20で例示した電池50は、繰り返し曲げ伸ばしを行っても、外装体の破損、正極11aおよび負極11bの破損などが生じにくく、電池特性も劣化しにくい電池である。電池50が有する正極11aに、先の実施の形態で説明した正極活物質を用いることで、さらにサイクル特性に優れた電池とすることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である二次電池を電子機器に実装する例について説明する。
まず実施の形態3の一部で説明した、曲げることのできる二次電池を電子機器に実装する例を図21(A)乃至図21(G)に示す。曲げることのできる二次電池を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
また、フレキシブルな形状を備える二次電池を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
図21(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、二次電池7407を有している。上記の二次電池7407に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯電話機を提供できる。
図21(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている二次電池7407も湾曲される。また、その時、曲げられた二次電池7407の状態を図21(C)に示す。二次電池7407は薄型の蓄電池である。二次電池7407は曲げられた状態で固定されている。なお、二次電池7407は集電体7409と電気的に接続されたリード電極7408を有している。例えば、集電体7409は銅箔であり、一部ガリウムと合金化させて、集電体7409と接する活物質層との密着性を向上し、二次電池7407が曲げられた状態での信頼性が高い構成となっている。
図21(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び二次電池7104を備える。また、図21(E)に曲げられた二次電池7104の状態を示す。二次電池7104は曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して二次電池7104の一部または全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径の値で表したものを曲率半径であり、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または二次電池7104の主表面の一部または全部が変化する。二次電池7104の主表面における曲率半径が40mm以上150mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。上記の二次電池7104に本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯表示装置を提供できる。
図21(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の二次電池を有している。本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な携帯情報端末を提供できる。例えば、図21(E)に示した二次電池7104を、筐体7201の内部に湾曲した状態で、またはバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができる。
携帯情報端末7200はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋センサ、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサや、タッチセンサ、加圧センサ、加速度センサ、等が搭載されることが好ましい。
図21(G)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部7304を有し、本発明の一態様の二次電池を有している。また、表示装置7300は、表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させることもできる。
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示状況を変更することができる。
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
表示装置7300が有する二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な表示装置を提供できる。
また、先の実施の形態で示したサイクル特性のよい二次電池を電子機器に実装する例を図21(H)、図22および図23を用いて説明する。
日用電子機器に二次電池として本発明の一態様の二次電池を用いることで、軽量で長寿命な製品を提供できる。例えば、日用電子機器として、電動歯ブラシ、電気シェーバー、電動美容機器などが挙げられ、それらの製品の二次電池としては、使用者の持ちやすさを考え、形状をスティック状とし、小型、軽量、且つ、大容量の二次電池が望まれている。
図21(H)はタバコ収容喫煙装置(電子タバコ)とも呼ばれる装置の斜視図である。図21(H)において電子タバコ7500は、加熱素子を含むアトマイザ7501と、アトマイザに電力を供給する二次電池7504と、液体供給ボトルやセンサなどを含むカートリッジ7502で構成されている。安全性を高めるため、二次電池7504の過充電や過放電を防ぐ保護回路を二次電池7504に電気的に接続してもよい。図22(H)に示した二次電池7504は、充電機器と接続できるように外部端子を有している。二次電池7504は持った場合に先端部分となるため、トータルの長さが短く、且つ、重量が軽いことが望ましい。本発明の一態様の二次電池は高容量、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができる小型であり、且つ、軽量の電子タバコ7500を提供できる。
次に、図22(A)および図22(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。図22(A)および図22(B)に示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9631aと表示部9631bを有する表示部9631、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。表示部9631には、可撓性を有するパネルを用いることで、より広い表示部を有するタブレット端末とすることができる。図22(A)は、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、図22(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部に蓄電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図22(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図22(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634有する。また、蓄電体9635として、本発明の一態様に係る蓄電体を用いる。
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630aおよび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の二次電池を用いた蓄電体9635は高容量、良好なサイクル特性を有するため、長期間に渡って長時間の使用ができるタブレット型端末9600を提供できる。
また、この他にも図22(A)および図22(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。なお蓄電体9635としては、リチウムイオン二次電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図22(B)に示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図22(C)にブロック図を示し説明する。図22(C)には、太陽電池9633、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図22(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにして蓄電体9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
図23に、他の電子機器の例を示す。図23において、表示装置8000は、本発明の一態様に係る二次電池8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、二次電池8004等を有する。本発明の一態様に係る二次電池8004は、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8004に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能となる。
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図23において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る二次電池8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、二次電池8103等を有する。図23では、二次電池8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、二次電池8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8103に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8103を無停電電源として用いることで、照明装置8100の利用が可能となる。
なお、図23では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、本発明の一態様に係る二次電池は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
図23において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、本発明の一態様に係る二次電池8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、二次電池8203等を有する。図23では、二次電池8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、二次電池8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、二次電池8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8203に蓄積された電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に二次電池8203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8203を無停電電源として用いることで、エアコンディショナーの利用が可能となる。
なお、図23では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナーを例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコンディショナーに、本発明の一態様に係る二次電池を用いることもできる。
図23において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る二次電池8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、二次電池8304等を有する。図23では、二次電池8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8304に蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係る二次電池8304を無停電電源として用いることで、電気冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
なお、上述した電子機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電子機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補助するための補助電源として、本発明の一態様に係る二次電池を用いることで、電子機器の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、二次電池に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、二次電池8304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われる昼間において、二次電池8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
本発明の一態様により、二次電池のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様によれば、高容量の二次電池とすることができ、よって、二次電池の特性を向上することができ、よって、二次電池自体を小型軽量化することができる。そのため本発明の一態様である二次電池を、本実施の形態で説明した電子機器に搭載することで、より長寿命で、より軽量な電子機器とすることができる。本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、車両に本発明の一態様である二次電池を搭載する例を示す。
二次電池を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
図24において、本発明の一態様である二次電池を用いた車両を例示する。図24(A)に示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。また、自動車8400は二次電池を有する。二次電池は、車内の床部分に対して、図7(C)および図7(D)に示した二次電池のモジュールを並べて使用すればよい。また、図12に示す二次電池を複数組み合わせた電池パックを車内の床部分に対して設置してもよい。二次電池は電気モーター8406を駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
また、二次電池は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、二次電池は、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
図24(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する二次電池にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。図24(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された二次電池8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された二次電池8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に二次電池の充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
また、図24(C)は、本発明の一態様の二次電池を用いた二輪車の一例である。図24(C)に示すスクータ8600は、二次電池8602、サイドミラー8601、方向指示灯8603を備える。二次電池8602は、方向指示灯8603に電気を供給することができる。
また、図24(C)に示すスクータ8600は、座席下収納8604に、二次電池8602を収納することができる。二次電池8602は、座席下収納8604が小型であっても、座席下収納8604に収納することができる。二次電池8602は、取り外し可能となっており、充電時には二次電池8602を屋内に持って運び、充電し、走行する前に収納すればよい。
本発明の一態様によれば、二次電池のサイクル特性が良好となり、二次電池の容量を大きくすることができる。よって、二次電池自体を小型軽量化することができる。二次電池自体を小型軽量化できれば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭載した二次電池を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、例えば電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。電力需要のピーク時に商用電源を用いることを回避できれば、省エネルギー、および二酸化炭素の排出の削減に寄与することができる。また、サイクル特性が良好であれば二次電池を長期に渡って使用できるため、コバルトをはじめとする希少金属の使用量を減らすことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の一態様である正極活物質と、比較例の正極活物質を作製し、XRDを用いて特徴を分析した。また、高電圧充電におけるサイクル特性を評価した。
[正極活物質の作製]
≪Sample1≫
Sample1では、実施の形態1の図2に示した作製方法で、遷移金属としてコバルトを有する正極活物質を作製した。まずLiFとMgF2のモル比が、LiF:MgF2=1:3となるよう秤量し、溶媒としてアセトンを加えて湿式で混合および粉砕をした。混合および粉砕はジルコニアボールを用いたボールミルで行い、150rpm、1時間行った。処理後の材料を回収し、第1の混合物とした。
Sample1では、あらかじめ合成された複合酸化物として、豊島製作所製ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムを用いた。ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムは、平均粒径(D50)が12μm程度のニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムである。該ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムをSEM-EDXを用いて測定したところ、ニッケル、マンガンおよびコバルトの原子数比はニッケル:マンガン:コバルト=1:1.8:1.2であった。なお、原子数比は、測定点合計5点の平均値を算出した。
次に、ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムの分子量に対して、第1の混合物が有するマグネシウムの原子量が0.5原子%となるよう秤量し、乾式で混合した。混合はジルコニアボールを用いたボールミルで行い、150rpm、1時間行った。処理後の材料を回収し、第2の混合物とした。
次に、第2の混合物をアルミナ坩堝に入れ、酸素雰囲気のマッフル炉にて700℃、60時間アニールした。酸素の流量は10L/minとした。昇温は200℃/hrとし、降温は10時間以上かけて行った。加熱処理後の材料を、Sample1の正極活物質とした。
≪Sample2≫
Sample2では、ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムを第1の混合物と混合せず、アニールのみを行った。アニール条件はSample1と同様とした。
≪Sample3≫
特に処理を行わないニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムを、Sample3(比較例)とした。
[二次電池の作製]
次に、上記で作製したSample1乃至Sample3を用いて、CR2032タイプ(直径20mm高さ3.2mm)のコイン型の二次電池を作製した。
正極には、上記で作製した正極活物質と、アセチレンブラック(AB)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、活物質:AB:PVDF=95:3:2(重量比)で混合したスラリーを集電体に塗工したものを用いた。
対極にはリチウム金属を用いた。
電解液が有する電解質には、1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を用い、電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)がEC:DEC=3:7(体積比)、ビニレンカーボネート(VC)が2wt%で混合されたものを用いた。
セパレータには厚さ25μmのポリプロピレンを用いた。
正極缶及び負極缶には、ステンレス(SUS)で形成されているものを用いた。
Sample1乃至Sample3を用いた二次電池の正極には、210kNで加圧したものを用いた。
[充電前のXRDから格子定数を算出]
Sample1およびSample3を用いた充電前の正極について、CuKα1線による粉末XRD分析を行った。XRDは大気中で測定し、電極は平坦性を保つためにガラス板に張り付けた。XRD装置は粉末サンプル用のセッティングとしたが、サンプルの高さは装置の要求する測定面に合わせた。
得られたXRDパターンを図25(A)に示す。得られたXRDパターンは、DIFFRAC.EVA(Bruker社製XRDデータ解析ソフト)を用いて、バックグラウンド除去とKα2除去を行った。これにより、導電助剤およびバインダの炭素、および密閉容器等に由来するシグナルも除去されている。
[初回充電(1st充電)後のXRD]
Sample1およびSample3を用いた二次電池を、4.6VでCCCV充電した。具体的には4.6Vを上限として0.5Cで定電流充電した後、電流値が0.01Cとなるまで定電圧充電した。1Cは正極活物質あたりの電流値で137mA/gとした。そして充電状態の二次電池をアルゴン雰囲気のグローブボックス内で解体して正極を取り出し、DMC(ジメチルカーボネート)で洗浄して電解液を取り除いた。そしてアルゴン雰囲気の密閉容器に封入し、XRD解析を行った。
図25(B)に、Sample1およびSample3を用いた二次電池を4.6Vで充電した後の正極のXRDパターンを示す。また、図25(B)において、2θ=18.5°近傍を拡大した図を図26(A)に、2θ=37.0°近傍を拡大した図を図26(B)に、2θ=37.0°近傍を拡大した図を図27(A)に、それぞれ示す。2θ=18.5°近傍のピークと、2θ=45.0°近傍のピークは、ともにブロードなピークであった。先に述べた通り、18.5°近傍のピークと45.0°近傍のピークは、37.0°近傍のピークに比べて、c軸の伸縮の影響を受けやすいと考えられる。これらのピークが充電によりブロードに変化したことから、c軸の伸縮が示唆される。また例えば図27(A)に示すスペクトルは、二つのピークへの分離が示唆される。よって、Sample1およびSample3は、二つの相を有する可能性が示唆される。
[初回放電(1st放電)後のXRD]
Sample1およびSample3を用いた二次電池を4.6VでCCCV充電した後、2.5VでCC放電した。具体的には4.6Vを上限として0.5Cで定電流充電した後、電流値が0.01Cとなるまで定電圧充電し、その後、2.5Vを下限として0.5Cで定電流放電した。1Cは正極活物質あたりの電流値で137mA/gとした。そして充電状態の二次電池をアルゴン雰囲気のグローブボックス内で解体して正極を取り出し、DMC(ジメチルカーボネート)で洗浄して電解液を取り除いた。そしてアルゴン雰囲気の密閉容器に封入し、XRD解析を行った。
図27(B)に、Sample1およびSample3を用いた二次電池を4.6Vで充電した後の正極のXRDパターンを示す。また、図28には充電および放電のカーブを示す。
[二回目充電(2nd充電)後のXRD]
Sample1およびSample3を用いた二次電池を、初回充放電と同じ条件を用いて、充放電を一回行った後、二回目の充電を行い、XRD解析を行った。
測定されたXRDパターンについて、TOPASを用いて格子定数を算出した。このとき原子位置等の最適化は行わず、格子定数のみをフィッティングした。GOF(good of fitness)、推定される結晶子サイズ、a軸およびc軸の格子定数、a軸をc軸で割った値(a/c)、および複数の相を有する場合のそれぞれの割合を表1および表2に示す。表1はSample1の解析結果、表2はSample2の解析結果をそれぞれ示す。また、表1および表2に記載されているCRは、一回目放電のa/cを1として規格化した。
表1より、Sample1の初回充電後の第1の相と第2の相のa/cの平均値は0.1990、CRの平均値は1.0000、二回目充電後の第1の相と第2の相のa/cの平均値は0.1989、CRの平均値は0.9999であった。表2より、Sample3の初回充電後の第1の相と第2の相のa/cの平均値は0.1976、CRの平均値は0.9921、二回目充電後の第1の相と第2の相のa/cの平均値は0.1976、CRの平均値は0.9922であった。Sample1の方が、CRの値が1に近い値を示し、放電後からの歪みの異方性が抑えられることが示唆された。
[サイクル特性]
次に、Sample1乃至Sample3を用いた二次電池について、サイクル特性を評価した結果を図29に示す。
充放電は25℃で行った。1Cは正極活物質あたりの電流値で137mA/gとした。充電条件ははCCCV(0.5C、4.6V、終止電流0.01C)、放電条件はCC(0.5C、2.5V)として50サイクルの充放電を行った際の、放電容量をを示す。図29(A)にはサイクル数(Cycle number)に伴う放電容量(Discharge Capacity)の推移を、図29(B)にはサイクル数(Cycle number)に伴う放電容量の容量維持率(Capacity Retention Rate)を、それぞれ示す。
XRDの解析結果より充電と放電の過程において歪みの異方性が抑えられることが示唆されたSample3では、サイクルに伴う容量減少が抑えられることがわかった。