JP7230483B2 - ホットスタンピング箔および積層体の製造方法 - Google Patents

ホットスタンピング箔および積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、ホットスタンピング箔、およびこのホットスタンピング箔を用いた積層体の製造方法に関する。
カードやパスポートなどの個人認証媒体として、回折などの光学的な効果を発現するレリーフ構造が個人認証媒体の外形を形成する2つのラミネート材の間に挟まれて封止された構成が知られている。
このような個人認証媒体を製造する場合、まずレリーフ構造を含むホットスタンピング箔を準備し、このホットスタンピング箔を一方のラミネート材上に転写接合する。次に、他方のラミネート材を、ホットスタンピング箔を覆うように一方のラミネート材に重ねて加熱しながら加圧する。これにより、2つのラミネート材が融着し、個人認証媒体としての積層体が製造される(例えば、特許文献1参照)。
特許第4925543号公報
2つのラミネート材を互いに融着させる場合、ホットスタンピング箔をラミネート材に転写するときに比べて、より高い温度およびより高い圧力がより長時間にわたってホットスタンピング箔に加えられる。このような高温および高圧は、ホットスタンピング箔の光学的な効果に悪影響を及ぼす可能性がある。
温度や圧力に対する耐性を高めるために、高融点および高剛性を有する材料でホットスタンピング箔を構成することが考えられる。しかし、このような材料は、ホットスタンピング箔の転写精度を低下させやすい。
別の観点として、このような材料は、ホットスタンピング箔の上面を覆うラミネート材との密着性に劣ることが多い。積層体においてホットスタンピング箔の上面とラミネート材との密着性が低いと、積層体からホットスタンピング箔を容易に取り出すことができ、改ざんや偽造が容易になる。
上記事情を踏まえ、本発明の実施形態は、転写精度が高いホットスタンピング箔を提供できる。
さらに、本発明の実施形態は、ホットスタンピング箔の転写性とラミネート材との密着性が両立された積層体の製造方法を提供できる。
本発明の第一の側面は、キャリアと、キャリア上に形成され、転写時に前記キャリアから剥離される剥離層と、剥離層上に形成された接着層とを備え、剥離層が、非結晶性樹脂と、結晶性樹脂の粒子とを含むホットスタンピング箔である。
本発明の第二の側面は、本発明のホットスタンピング箔を用いた積層体の製造方法である。
この製造方法は、本発明のホットスタンピング箔を第一のラミネート材上に配置し、剥離層および接着層を第一のラミネート材に転写するステップAと、第一のラミネート材に第二のラミネート材を重ねて剥離層を覆うステップBと、第一のラミネート材および第二のラミネート材に熱および圧力を加えて、第一のラミネート材と第二のラミネート材とが一体となり、かつ剥離層及び接着層が内部に埋め込まれた積層体を形成するステップCとを備える。
本発明の実施形態のホットスタンピング箔は、転写精度が高い。
さらに、本発明の実施形態の製造方法は、ホットスタンピング箔の転写性とラミネート材との密着性が両立できる。
本発明の第一実施形態に係るホットスタンピング箔の層構造を概念的に説明する図である。 同ホットスタンピング箔の剥離層を室温から転写温度まで加熱した際の吸熱および発熱量を概念的に説明するグラフである。 結晶性樹脂および非結晶性樹脂における温度と弾性率との関係を示す概念図である。 同ホットスタンピング箔の転写時の一過程を説明する図である。 同ホットスタンピング箔の転写時の一過程を説明する図である。 同ホットスタンピング箔を用いた積層体の製造方法の一過程を概念的に説明する図である。 同製造方法の一過程を概念的に説明する図である。 同製造方法の一過程を概念的に説明する図である。 同積層体の製造時における転写体の温度変化を説明する図である。 本発明の第二実施形態に係るホットスタンピング箔の層構造を概念的に説明する図である。
以下、本発明の一実施形態について、図1から図9を参照しながら説明する。
(ホットスタンピング箔)
図1は、本実施形態のホットスタンピング箔1の層構造を概念的に説明する図である。ホットスタンピング箔1は、キャリア10と、キャリア10上に形成された剥離層20と、剥離層20上に形成された接着層30とを備える。剥離層20および接着層30は、ラミネート材等の対象物に転写される転写体2を構成する。
キャリア10は、プラスチックフィルムとできる。プラスチックフィルムの材料には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、ポリプロピレン(PP)等とできる。キャリア10の材料は、キャリア10上に剥離層20および接着層30を形成する際に掛かる熱や圧力などによって変形したり変質したりしにくい材料とできる。キャリア10の材料は、プラスチックフィルムの他に、紙、合成紙、プラスチック複層紙、および、樹脂含浸紙等とできる。
剥離層20は、キャリア10から剥離可能な状態で転写体2をキャリア10の一方の面上に支持する。剥離層20は、キャリア10から剥離され、かつ、転写体2が対象物に転写された後、外的な要因による損傷から接着層7を保護する。
剥離層20は、非結晶性樹脂と結晶性樹脂とを含有する。剥離層20の非結晶性樹脂と結晶性樹脂は、熱可塑性樹脂とできる。非結晶性樹脂は、アクリル樹脂、セルロース樹脂、またはその混合とできる。結晶性樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂またはその混合とできる。また、剥離層20の非結晶性樹脂と結晶性樹脂は、熱硬化性、紫外線硬化性、および、電子線硬化性であってもよい。
剥離層20は、滑剤を含有してもよい。剥離層20の滑剤の含有量は、非結晶性樹脂および結晶性樹脂より少なくてよい。滑剤は、パウダー、ワックス、またはその混合とできる。パウダーはポリエチレンパウダー、フッ素系パウダー等とできる。ワックスは、パラフィンワックス、シリコーンワックス、および、カルナウバロウ等とできる。
剥離層20の厚さは、0.5μm以上5μm以下とできる。
剥離層20において、非結晶性樹脂21の母材に、粒子状の結晶性樹脂22が分散している。言い換えれば、剥離層20は、連続相の非結晶性樹脂21の母材と、粒子状の分散相の結晶性樹脂22との複合体である。
粒子状の結晶性樹脂22は、サブミクロンスケールとできる。すなわち、粒子状の結晶性樹脂22は平均径1μm未満とできる。これにより、剥離層20は透明にできる。
粒子状の結晶性樹脂22と非結晶性樹脂21の母材の境界面は滑らかでもよい。これにより、粒子状の結晶性樹脂22による散乱性を低減できる。粒子状の結晶性樹脂22の形状は球に近くてもよい。これにより、粒子状の結晶性樹脂22による散乱性をさらに低減できる。粒子状の結晶性樹脂22と非結晶性樹脂の母材の境界面は、不鮮明でもよい。これにより、剥離層20の透明性を向上できる。
剥離層20の樹脂成分、すなわち、非結晶性樹脂21と結晶性樹脂22との和に占める結晶性樹脂22の質量比率は、20%以下とでき、さらには、5%以上10%以下とできる。
結晶性樹脂とは、結晶構造(規則構造を伴ってポリマー鎖が配列した領域)を部分的に有した樹脂である。結晶構造は、ポリエチレン構造やポリプロピレン構造とできる。結晶性樹脂において、樹脂全体のうちの結晶構造の割合を示す結晶化度は5%以上とできる。
結晶性樹脂は、その中に含まれている結晶構造が分子熱運動によって規則性構造を消失する温度、すなわちガラス転移点と、樹脂全体が溶融を開始する温度である融点とを持つ。結晶性樹脂は、ガラス転移点と融点とで2段階の弾性率減少を生じる物理的特徴を有する。
また、結晶性樹脂は、非結晶性樹脂と比較して弾性や剛性が高く、物理的強度に優れる。一方で、結晶構造と非結晶構造が混合している為に、透明性に劣り、体積変化率の値が大きい。
非結晶性樹脂は、ポリマー鎖が規則性のない状態で存在している。すなわち、非結晶性樹脂は、分子中に結晶構造をほぼ有しない樹脂である。非結晶性樹脂において、樹脂全体のうちの結晶構造の割合を示す結晶化度は5%未満とできる。非結晶性樹脂は、その構造に起因して、温度上昇によって穏やかな弾性率減少を示すため、明確な融点を定義できない。一般に、非結晶性樹脂においては、融点に代えて軟化温度が定義される。非結晶性樹脂は、軟化温度付近で穏やかな弾性率減少を示す。非結晶性樹脂の透明性は高い。さらには、非結晶性樹脂の透明性は、結晶性樹脂より高い。非結晶性樹脂の体積変化率は小さい。つまり、非結晶性樹脂は寸法安定性に優れる。
結晶性樹脂22は、ポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂とできる。ポリエステル樹脂として、東洋紡(株)製のVYLON(登録商標) GA-5310(ガラス転移温度26℃、融点110℃、重量平均分子量Mw25000)を適用できる。非結晶性樹脂21は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等とできる。非結晶性樹脂21として、三菱レイヨン(株)製のアクリル樹脂 ダイヤナール(登録商標) BR-84(軟化温度105℃、重量平均分子量Mw120000)を適用できる。
非結晶性樹脂21の軟化温度と結晶性樹脂22の融点との差は、10℃以内とできる。
結晶性樹脂22の重量平均分子量Mwは、非結晶性樹脂21の半分以下とできる。
剥離層20は、非結晶性樹脂21および結晶性樹脂22を含有するが、両者が混合された状態でも、上述の温度パラメータは一定の範囲まで特定できる。
図2は、剥離層20を室温から転写温度まで加熱した際の吸熱および発熱量を概念的に説明するグラフである。非結晶性樹脂21と結晶性樹脂22との混合物である剥離層20の温度を上げていくと、結晶性樹脂22のガラス移転点で、結晶性樹脂の状態変化に伴い発熱が生じる。さらに剥離層20の温度が非結晶性樹脂21の軟化温度あるいは結晶性樹脂22の融点に達すると、それぞれの樹脂の層変化に伴い吸熱が発生する。非結晶性樹脂21の軟化温度と結晶性樹脂22の融点との差が10℃以内であると、2つの吸熱の谷が重ね合わされたような形状となるが、差が10℃を超えるとそれぞれ別の谷として現れる。剥離層20においては、非結晶性樹脂が質量比で結晶性樹脂の4倍以上含まれているため、結晶性樹脂により生じる山谷は、非結晶性樹脂により生じる谷よりも小さい。したがって、谷が2つ現れた場合は、その大きさで、非結晶性樹脂21の軟化温度および結晶性樹脂22の融点のいずれであるかを特定できる。
結晶性樹脂22は、サブミクロンスケールの、平均径1μm未満となる粒子状で剥離層20に分散することができる。粒子状で分散させるには、予め結晶性樹脂を粒子状に粉砕してから混合する方法を適用できる。その他に、結晶性樹脂と非結晶性樹脂を有機溶媒に溶解後、これらを混合する方法が適用できる。結晶性樹脂と非結晶性樹脂とは分子構造が異なるため、溶解度パラメーター(SP値)が大きく異なる。例えば、結晶性樹脂であるポリオレフィン樹脂のSP値は8.0であり、非結晶性樹脂であるアクリル樹脂のSP値は9.5である。有機溶媒に溶解された混合溶液内では、結晶性樹脂と非結晶性樹脂は互いに相溶せず、混合割合の小さな結晶性樹脂は粒子状に分散された状態となる。
接着層30は、室温においては不活性状態にあるが、熱や圧力などの外的要因によって活性化して、対象物への接着性を発現する。接着層30の母材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、および、電子線硬化性樹脂などとできる。接着層30の母材は、変性アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、および、ウレタン樹脂などとできる。接着層30の軟化温度は、剥離層20に含まれる非結晶性樹脂21の軟化温度および結晶性樹脂22の融点のいずれよりも低くできる。
本実施形態のホットスタンピング箔1は、剥離層20が結晶性樹脂と非結晶性樹脂とを含有する点が特徴的である。
図3は、結晶性樹脂および非結晶性樹脂における温度と弾性率との関係を示す概念図である。図3の縦軸は弾性率、横軸は温度を表している。弾性率とは、変形のしにくさを表す物性値であり、弾性変形における応力とひずみの間の比例定数の総称である。非結晶性樹脂の場合、弾性率の値は温度上昇とともに穏やかに減少し、軟化点温度付近で大きく低下する。一方、結晶性樹脂の場合、弾性率の値は、ガラス転移点温度と融点温度付近で2段階の減少を示す。結晶性樹脂と非結晶性樹脂との比較においては、結晶性樹脂のガラス転移点より低温の領域では結晶性樹脂の弾性率が高く、それ以外の温度領域では、非結晶性樹脂の弾性率が高い。
転写前の状態において、接着層30の弾性率は、結晶性樹脂および非結晶性樹脂より小さい。接着層30の軟化温度は、非結晶性樹脂21の軟化温度および結晶性樹脂の融点のいずれよりも低いため、接着層30の弾性率値は、結晶性樹脂および非結晶性樹脂よりも早く低下し、転写温度に達した後早期に消失する。
剥離層20が上記の関係を有する結晶性樹脂および非結晶性樹脂を含有することにより、ホットスタンピング箔1の転写時における転写体2の輪郭精度が大幅に向上し、バリや欠けの発生が抑制される。「バリ」とは、キャリア10から剥離した剥離層20が熱や圧力をかけた領域の周縁に沿った形状とならず、不定形のはみ出しを生じる現象である。「欠け」とは、キャリア10から剥離した剥離層20が接着層30を完全に覆わない形状となる現象である。
輪郭精度向上の機序について説明する。
剥離層30は、主材料である非結晶性樹脂に対し、体積変化率の大きい結晶性樹脂を添加混合されているため、温度変化の際の体積膨張に起因した脆性を生じる。すなわち、室温時における剥離層30の脆性は小さいが、転写時にホットスタンプ等により高温が加えられると、剥離層30の脆性が大きくなるという特性を発現する。
図4は、ホットスタンピング箔1の転写時の一過程を示す図である。対象物110上に置かれたホットスタンピング箔1に対してホットスタンプ100が接触し、ホットスタンピング箔1のキャリア10側から転写体2に向けて熱と圧力が加えられる。このとき、熱および圧力は、ホットスタンピング箔1のうち、もっぱらホットスタンプ100の直下の領域1Sに加えられる。加えられた熱と圧力によって、領域1S内では剥離層20を構成する各材料の温度が上昇する。
結晶性樹脂22の温度がガラス転移点に達すると、結晶性樹脂22は弾性率を大きく下げて変形した状態22Aとなる。剥離層20において、変形した結晶性樹脂22Aを含む領域1Sは、領域1Sの周囲の領域10Tよりも相対的に弾性率が小さくなる。その結果、領域1Sと領域1Tとの境界において剥離層20が容易に破断する状態となる。
ほぼ同時に、領域1Sの接着層30は、ホットスタンプ100による熱と圧力で活性化し、対象物110に対する接着性を発現する。
ホットスタンプ100が退避してからホットスタンピング箔1に力を加えると、領域1Sと領域1Tとの境界に応力が集中し、境界に沿って界面破壊が生じる。その結果、図5に示すように、領域1S内の転写体2が、精度よく対象物に転写される。
以上のように、本実施形態のホットスタンピング箔1は、高い輪郭精度で対象物上に転写体2を転写できる。本実施形態の剥離層は、粒子状の結晶性粒子により、熱と圧力が加えられた領域のみ脆性が大きくなるため、周縁との脆性差により容易に界面破壊を生じ、結果として輪郭精度を向上できる。
本実施形態のホットスタンピング箔1においては、剥離層20、接着層30またはその両方が色を有してもよい。また、剥離層20と接着層30との間に透明性のある、あるいは不透明の印刷層を有してもよい。
本実施形態のホットスタンピング箔1は、転写体が2枚のラミネート材に挟まれた積層体を製造する際にも好適である。
積層体を製造する場合は、まず図6に示すように、ラミネート材151に転写体2を転写する(ステップA)。次に、図7に示すように、ラミネート材151にラミネート材152を重ねて転写体2を覆い、熱および圧力をかける(ステップB)。すると、図8に示すように、ラミネート材151とラミネート材152とが溶融して一体となり、積層体200が完成する(ステップC)。ステップCにより、転写体2は積層体200の内部に埋め込まれる。
図9に、積層体200の製造時における転写体2の温度変化を示す。上述した、ラミネート材151および152に熱および圧力をかける工程の持続時間P2および最高温度T2は、いずれも転写体2が転写される工程の持続時間P1および最高温度T1を上回っている。本実施形態の剥離層20は、結晶性樹脂と非結晶性樹脂を主成分としているため、ラミネート材151および152に熱および圧力をかける工程において、結晶性樹脂および非結晶性樹脂はいずれも溶融する。その結果、剥離層20と接触するラミネート材152と密着する。
ホットスタンピング箔の剥離層は、キャリアからスムーズにはがれるよう構成されるため、ラミネート材に埋め込まれた際も、剥離層とラミネート材とは通常は密着しにくい。本実施形態のホットスタンピング箔1における剥離層20は、上述の構成を有するため、転写時には容易にキャリア10から剥離した後、積層体200中にラミネートする際に、結晶性樹脂および非結晶性樹脂はいずれも溶融し、積層体200を構成するラミネート材152と良好に密着する。その結果、積層体200から転写体を取り出すことが困難となり、改ざんや偽造に対する積層体200の耐性を高めることができる。
本実施形態のラミネート材151、152は、プラスチックフィルムとできる。プラスチックフィルムの材料は、PET、PEN、PP、ポリ塩化ビニル(PVC)、グリコール変性PET(PET‐G)、および、ポリカーボネート(PC)などとできる。このうち、PVC、PET‐G、および、PCのいずれかから形成されるプラスチックフィルムは、通常、各種カードのラミネート材やパスポートのラミネート材として用いられる。これらのプラスチックフィルムは、熱や圧力によって一体化させる加工が容易である点で好ましい。
ラミネート材の厚さは、50μm以上500μm以下であることが好ましく、75μm以上400μm以下であることがより好ましい。ラミネート材の厚さが50μm以上であることによって、ラミネート材の物理的な強度が十分となり、取り扱いやすくなる。ラミネート材の厚さが500μm以下であることによって、ラミネート材の厚さばらつきや撓みが、積層体200を製造に影響しにくくなる。また、ラミネート材の融点は、結晶性樹脂の融点、および非結晶性樹脂の軟化温度のいずれよりも高く、例えば120℃以上250℃以下とできる。
本発明の第二実施形態について、図10を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図10は、本実施形態に係るホットスタンピング箔61の層構造を概念的に説明する図である。ホットスタンピング箔61は、剥離層20と接着層30との間に、レリーフ層40と、レリーフ層40を覆う堆積層50を備えている。剥離層20、レリーフ層40、堆積層50、および接着層30が、ホットスタンピング箔61の転写体62を構成する。
レリーフ層40は、堆積層50側の面にレリーフ構造41を有する。レリーフ構造41は、レリーフ層表面の微細な凹凸形状とできる。レリーフ構造41は、光学回折、アンチリフレクション、等方性散乱または異方性散乱、レンズ効果、偏光選択性反射などの光学機能を発揮する。光学機能により、目視や機械検知等によって、偽造や改ざんを検知したり、装飾性を高めたり、美観を高めたりできる。レリーフ構造41の光学機能は、1つでもよいし、複数でもよい。
レリーフ層40は、紫外線硬化樹脂で形成できる。レリーフ層40に適用する未硬化材料の紫外線硬化性樹脂は、エチレン性不飽和結合又はエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、ポリマー等とできる。モノマーは、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等とできる。オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等とできる。ポリマーは、ウレタン変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂等とできる。
レリーフ層40は、熱可塑性樹脂で形成できる。熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等とできる。
レリーフ層40は、熱硬化樹脂で形成できる。熱硬化樹脂は、ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂等とできる。
堆積層50は、単層または多層とできる。単層の堆積層50は金属または金属化合物とできる。または多層の堆積層50は金属の多層、金属化合物の多層、または、金属および金属化合物の多層とできる。金属、金属化合物の堆積層50は、レリーフ構造41が発揮する光学効果の視認を容易にする。金属はアルミニウム、銀、ニッケルとできる。金属化合物は、金属硫化物、金属酸化物とできる。金属硫化物は硫化亜鉛等とできる。金属酸化物は二酸化チタン等とできる。アルミニウムは、安価で高光沢の不透明膜が得られ、取り扱いが容易である。金属化合物は、可視光における屈折率が高く、加工が容易である。
堆積層50の膜厚は、10~500nmとできる。堆積層50は、物理堆積、化学堆積により形成できる。物理堆積は真空蒸着法、または、スパッタ法とできる。
堆積層50は、ホットスタンピング箔61の全面に設けてもよいし、転写体62の範囲や、レリーフ構造41が存在する部分のみなど、部分的に設けてもよい。つまり、堆積層50は、レリーフ層40の全面を覆ってもよいし、部分的に覆ってもよい。部分的に覆う領域は、転写体62の転写領域や、レリーフ構造41が存在する領域などとできる。堆積層50を部分的に設けると、意匠性が向上する。さらに、加工が複雑になる為、より高い偽造耐性が得られる。
堆積された層をエッチングにより部分的に除去することで、堆積層50を部分的に設けることができる。エッチングは、酸やアルカリによるエッチングとできる。また、レジストにより、堆積された層の一部をエッチング液から保護し、堆積された層の一部を選択的に除去することができる。他の公知の方法で堆積層50を部分的に設けることもできる。溶解性樹脂でレリーフ構造41を部分的に被覆し、レリーフ構造41と被覆部分とに堆積層を設けた後に溶解性樹脂を溶解液で溶解し、溶解性樹脂で覆われた部分の堆積層を除去することで、堆積層を部分的に設けることもできる。この溶解性樹脂は、印刷によりレリーフ構造41を部分的に被覆することができる。
本実施形態のホットスタンピング箔61は、第一実施形態のホットスタンピング箔1と同様の効果を奏し、上述した積層体200の製造にも好適に使用できる。
さらに、レリーフ層40および堆積層50を備えるため、優れた視覚効果を発揮し、偽造耐性がさらに高くなっている。
本発明のホットスタンピング箔および積層体について、実施例および比較例を用いてさらに説明する。以降の記載において、特に断らない限り、「部」は、質量部を意味し、「比」は、質量比を意味する。
(ホットスタンピング箔の作製)
支持体として25μm厚のPETフィルムを使用した。支持体上に、剥離層形成インキをグラビア印刷法で厚み2μmにコートし、有機溶剤を揮発除去させて剥離層を形成した。さらに、剥離層上にレリーフ層形成インキをグラビア印刷法で厚み2μmにコートし、有機溶剤を揮発除去させてレリーフ層を形成した。
レリーフ層上に、所定の高さおよびピッチの凹凸形状を有する金属円筒版を、圧力2Kgf/cm、温度220℃、スピードを10m/minの条件で押し当てて凹凸形状を転写した。これにより、レリーフ層上にレリーフ構造を形成した。
レリーフ構造上に、硫化硫黄を真空蒸着法にて積層し、厚さ60nmの反射層を形成した。
最後に、接着層形成インキをグラビア印刷法にて反射層上に厚み5μmにコートし、インキに含まれる有機溶剤を揮発除去させて接着層を形成した。
以上により、各サンプルのホットスタンピング箔を作製した。
剥離層形成インキ、レリーフ層形成インキ、および接着層形成インキの組成について、以下に示す。
(剥離層形成インキ)
非結晶性樹脂 アクリル樹脂 95部
重量平均分子量120000
軟化温度 105℃
結晶性樹脂 結晶性ポリエステル樹脂 5部
粒子径0.5μm
重量平均分子量25000
融点 110℃
有機溶剤 900部
(レリーフ層形成インキ)
アクリル樹脂 60部
セルロース樹脂 30部
有機溶剤 900部
(接着層形成インキ)
変性オレフィン樹脂 30部
ウレタン樹脂 60部
シリカ粒子(最長径10μm) 10部
有機溶剤 900部
(積層体の作製)
各実験例のホットスタンピング箔を、ホットスタンプ転写機を用いて、ポリカーボネート製の透明な第一ラミネート材(SABIC株式会社製、厚さ100μm)に転写し、支持体を取り除くことによって、転写体を第一ラミネート材上に設けた。
転写条件は、温度120℃、圧力200Kg/cm、1秒間とした。
次に、ポリカーボネート製の白色の第二ラミネート材(SABIC株式会社製、厚さ400μm)を、転写体を覆うように第一ラミネート材上に配置し、熱プレスによるラミネートを行うことによって、第一ラミネート材と第二ラミネート材を一体にし、各実験例の積層体を作製した。
ラミネート条件は、温度190℃、圧力80N/cm、15分間とした。
上記のホットスタンピング箔は、第一ラミネート材に転写した際の転写輪郭精度、および積層体における第二ラミネート材との密着強度のいずれも良好であった。
以上、本発明の各実施形態、および実施例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
1、61 ホットスタンピング箔
10 キャリア
20 剥離層
21 非結晶性樹脂
22 結晶性樹脂
30 接着層
40 レリーフ層
151 (第一の)ラミネート材
152 (第二の)ラミネート材
200 積層体

Claims (9)

  1. キャリアと、
    前記キャリア上に形成され、転写時に前記キャリアから剥離される剥離層と、
    前記剥離層上に形成された接着層と、
    を備え、
    前記剥離層は、
    連続相の熱可塑性の非結晶性樹脂の母材と、
    粒子状の分散相の熱可塑性の結晶性樹脂と、の複合体である、
    ホットスタンピング箔。
  2. 前記結晶性樹脂の平均径が1μm未満のサブミクロンスケールである、
    請求項1に記載のホットスタンピング箔。
  3. 前記剥離層の樹脂成分における前記結晶性樹脂の割合が20%以下である、
    請求項1に記載のホットスタンピング箔。
  4. 前記非結晶性樹脂の軟化温度と前記結晶性樹脂の融点との差が10℃以下である、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  5. 前記結晶性樹脂の重量平均分子量が前記非結晶性樹脂の重量平均分子量の2分の1以下である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  6. 前記剥離層と前記接着層との間に形成され、レリーフ構造を有するレリーフ層をさらに備える、
    請求項1に記載のホットスタンピング箔。
  7. 請求項1に記載のホットスタンピング箔を第一のラミネート材上に配置し、前記剥離層および前記接着層を前記第一のラミネート材に転写するステップAと、
    前記第一のラミネート材に第二のラミネート材を重ねて前記剥離層を覆うステップBと、
    前記第一のラミネート材および前記第二のラミネート材に熱および圧力を加えて、前記第一のラミネート材と前記第二のラミネート材とを一体にし、かつ前記剥離層及び前記接着層を前記第一のラミネート材と前記第二のラミネート材との間に埋め込むステップCと、
    を備える、
    積層体の製造方法。
  8. 前記第一のラミネート材および前記第二のラミネート材がポリカーボネートからなる、
    請求項7に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記ステップCにおいて、前記剥離層の温度が前記非結晶性樹脂の軟化温度および前記結晶性樹脂の融点のいずれよりも高くなる、
    請求項7に記載の積層体の製造方法。
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