JP7230376B2 - 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法 - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7230376B2
JP7230376B2 JP2018165629A JP2018165629A JP7230376B2 JP 7230376 B2 JP7230376 B2 JP 7230376B2 JP 2018165629 A JP2018165629 A JP 2018165629A JP 2018165629 A JP2018165629 A JP 2018165629A JP 7230376 B2 JP7230376 B2 JP 7230376B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
optionally substituted
substituted
groups
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018165629A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020038310A (ja
Inventor
俊行 藤田
正則 弓田
健 石田
麻理 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2018165629A priority Critical patent/JP7230376B2/ja
Publication of JP2020038310A publication Critical patent/JP2020038310A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7230376B2 publication Critical patent/JP7230376B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法に関する。
近年の画像形成方法は、長寿命化、高画質化が進展し、有機感光体はクリーニング部材等の接触部材との摩擦により、表面が摩耗しやすいという問題や、転写部での電荷注入などによる画像メモリーなどの様々な問題を有している。
感光体の耐摩耗特性を改善するために、感光体の表面層にアクリル系の重合性化合物と重合性官能基を有する電荷輸送性化合物および重合性官能基を有する表面処理剤で処理された無機粒子とを含む組成物から形成された架橋硬化樹脂の保護層を設けた感光体が提案されている(特許文献1)。ただし、耐摩耗性の改善は十分ではなく、残留電位や画像メモリーが発生しやすいなどの課題を有している。次に、感光体の耐摩耗性および画像メモリー耐性を改善するために、表面保護層に無機粒子と電子輸送性化合物とを添加したり、表面保護層に正孔輸送性化合物で表面処理した無機粒子を添加したりすることで、耐摩耗性、画像メモリー耐性などの改善を図る技術が開示されている(特許文献2~4)。
特開2010-169725号公報 特開2017-173684号公報 特開2017-161712号公報 特開2015-230437号公報
しかしながら、特許文献2~4に記載されている技術では、感光体の耐摩耗性、画像メモリー耐性およびクリーニング性の少なくとも一つの向上効果が未だ不十分であるという問題がある。
そこで、本発明は、電子写真感光体において、耐摩耗性、画像メモリー耐性およびクリーニング性を向上させる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を積み重ねた。その結果、最外層に、電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子を含む電子写真感光体により上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、導電性支持体上に、少なくとも感光層および最外層をこの順に積層してなる電子写真感光体であって、前記最外層が、電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子を含む、電子写真感光体である。
本発明によれば、電子写真感光体において、耐摩耗性、画像メモリー耐性およびクリーニング性を向上させる手段が提供される。
本発明の一実施形態による画像形成装置を示す概略構成図である。
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
<電子写真感光体>
本発明の一実施形態に係る電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層および最外層をこの順に積層してなり、前記最外層が、電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子を含む。かかる構成により、電子写真感光体において、耐摩耗性、画像メモリー耐性およびクリーニング性を向上させることができる。
特許文献2および3に記載の電子写真感光体は、最外層に微粒子と電子輸送性化合物とを含有することにより、画像メモリー耐性を向上することができる。しかし、バインダー樹脂中に存在する電子輸送性化合物が可塑剤として働くため、樹脂部分の強度が低下し、十分な耐摩耗性、耐傷性が得ることができない。また、特許文献4に記載の電子写真感光体は、無機粒子を正孔輸送性化合物で表面処理することで、画像メモリー耐性と耐摩耗性とを向上することができる。しかし、クリーニング性が十分でないため、長寿命化の観点からは、未だ不十分である。
一方、本発明者らは、電子写真感光体の最外層に、電子輸送性化合物を表面処理した無機粒子を含有させることで、耐摩耗性、画像メモリー耐性およびクリーニング性のすべてを向上させることができ、長期にわたり安定な画像を提供することができることを見出した。
本発明に係る電子写真感光体の最外層は、無機粒子を含むため、フィラー効果によって強度が発現し、耐摩耗性を向上できる。また、無機粒子を電子輸送性化合物で表面処理することにより、耐摩耗性を低下させることなく、画像メモリー耐性を大幅に改善することができる。これは、無機粒子の表面に存在する電子輸送性化合物の効果で、正孔が注入しにくくなったためであると考えられる。具体的には、電子輸送性化合物は、正孔を輸送しないため、転写プロセスにおいて、正電荷が感光体内部に注入されないためであると考えられる。
また、本発明に係る電子写真感光体は、クリーニング性が向上するため、長期間にわたり高画質を維持できる。クリーニング性の向上効果は、最外層とトナーとの付着力が小さくなったためであると考えられる。付着力には、物理的な付着力と静電的な付着力とがある。物理的な付着力については、本発明においては、電子輸送性化合物を無機粒子の表面に付着または結合することにより、最外層の強度および表面硬度が高いため、物理的な付着力が小さいと考えられる。表面硬度が高いと、表面が変形しにくいため、トナーとの接着面積が小さくなり、付着力が小さくなると考えられる。さらに、静電的な付着力については、無機粒子が電子輸送性化合物で表面処理されていることにより、最外層から感光層へと負電荷が移動し、トナーと電荷(静電潜像)との間に距離が生じるため、静電的な付着力が小さくなると考えられる。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
電子写真感光体とは、電子写真方式の画像形成方法において潜像または顕像をその表面に担持する物体である。電子写真感光体は、後述する最外層を有する以外は、従来の感光体と同様の構成を有することができ、また従来の感光体と同様に作製することが可能である。また、最外層においても、後述する特徴を含む以外は、従来の最外層と同様の構成を有し、従来の最外層と同様に作製することが可能である。最外層以外の部分は、たとえば、特開2012-078620号公報に記載の感光体における最外層以外の部分と同様の構成とすることができる。また、最外層も、材料が異なる以外は、特開2012-078620号公報に記載の構成と同様の構成とすることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る電子写真感光体について、詳細に説明する。
[導電支持体]
導電性支持体は、感光層を支持し、かつ導電性を有する部材である。導電性支持体の好ましい例としては、金属製のドラムまたはシート、ラミネートされた金属箔を有するプラスチックフィルム、蒸着された導電性物質の膜を有するプラスチックフィルム、導電性物質、または導電性物質とバインダー樹脂とからなる塗料を塗布してなる導電層を有する金属部材やプラスチックフィルム、紙等が挙げられる。上記金属の好ましい例としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレス鋼等が挙げられ、上記導電性物質の好ましい例としては、上記金属、酸化インジウムおよび酸化スズ等が挙げられる。
[感光層]
感光層は、後述する露光手段により、所期の画像の静電潜像を感光体の表面に形成するための層である。当該感光層は、単層でもよいし、積層された複数の層で構成されていてもよい。感光層の好ましい例としては、電荷輸送物質と、電荷発生物質とを含有する単層、および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層との積層物等が挙げられる。
[保護層]
保護層は、感光体表面の機械的強度を向上させ、耐傷性や耐摩耗性を向上させるための層である。当該保護層の好ましい例としては、重合性モノマーを含む組成物の重合硬化物を含む層が挙げられる。
[他の構成]
感光体は、上記の導電性支持体、感光層および保護層以外の他の構成をさらに含んでいてもよい。当該他の構成の好ましい例としては、中間層等が挙げられる。当該中間層は、例えば、上記導電性支持体と上記感光層との間に配置される、バリア機能と接着機能とを有する層である。
[最外層]
本明細書において、感光体の最外層とは、トナーと接触する側の最外部に配置される層を表す。最外層は、特に制限されないが、上記の保護層であることが好ましい。本発明に係る電子写真感光体において、最外層は、電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子を含む。
(電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子)
無機粒子は、電子輸送性化合物で表面処理されている。本明細書中、電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子を単に「本発明に係る無機粒子」とも称する。
無機粒子としては、特に制限されないが、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、スズがドープされた酸化インジウム、アンチモンがドープされた酸化スズおよび酸化ジルコニウム、銅アルミ複合酸化物(CuAlO)が含まれる。
無機粒子は、本発明の効果をより発揮するとの観点から、錫、亜鉛、チタン、銅およびケイ素の少なくとも一つを含む酸化物であることが好ましい。すなわち、無機粒子は、好ましくは錫、亜鉛、チタン、ケイ素および銅の少なくとも一つを含み、より好ましくは錫、亜鉛、チタンおよび銅の少なくとも一つを含み、特に好ましくは錫、亜鉛および銅の少なくとも一つを含む。
無機粒子(表面処理前)の数平均一次粒子径は、特に制限されないが、好ましくは5~200nmであり、より好ましくは10~100nmである。
なお、本明細書において、表面処理前および表面処理後の無機粒子の数平均一次粒子径は、以下の方法で測定される数平均一次粒子径と定義する。
走査型電子顕微鏡「JSM-7500F」(日本電子株式会社製)により10万倍の拡大写真を撮影し、当該写真をスキャナーにより取り込む。取り込んだ写真画像について、自動画像処理解析装置「LUZEX(登録商標) AP(ソフトウェアバージョン Ver.1.32)」(株式会社ニレコ製)を使用して2値化処理して、凝集粒子を除く100個の粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径を算出する。そして、当該粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径の平均値を算出して数平均一次粒子径とする。ここで、水平方向フェレ径とは、上記粒子像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
無機粒子は、電子輸送性化合物で表面処理されている。電子輸送性化合物は、特に制限されないが、本発明の効果をより発揮するとの観点から、好ましくはオキサジアゾール誘導体、キノン系誘導体、フルオレン系誘導体、テトラカルボン酸ジイミド誘導体およびシロール誘導体からなる群から選択される少なくとも一つであり、より好ましくは下記一般式(1)~(9)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つであり、さらに好ましくは下記一般式(1)、(3)、(4)および(6)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つである。
下記一般式(1)および(2)で表される化合物は、オキサジアゾール誘導体であり、下記一般式(3)および(4)で表される化合物は、キノン系誘導体であり、下記一般式(5)で表される化合物は、フルオレン系誘導体であり、下記一般式(6)で表される化合物は、テトラカルボン酸ジイミド誘導体であり、下記一般式(7)~(9)で表される化合物は、シロール誘導体である。
・一般式(1)および(2)で表される化合物
Figure 0007230376000001
一般式(1)および(2)中、
~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、置換されてもよいアシル基および置換されていてもよいアシルオキシ基からなる群から選択され、
k、l、mおよびnは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、
k、l、mおよびnが2以上の整数である場合、隣接するR同士、R同士、R同士およびR同士は、互いに連結して環構造を形成してもよく、
およびRの少なくとも一方ならびにRおよびRの少なくとも一方は、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基、置換されたアシル基および置換されたアシルオキシ基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
Arは、置換されてもよいアリーレン基である。
ハロゲン原子の例としては、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
非置換の炭素数3~12のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基等が挙げられる。
非置換の炭素数6~20のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基等が挙げられる。
非置換のアリーレン基の例としては、炭素数6~20のアリーレン基が挙げられ、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
非置換のアシル基の例としては、炭素数2~8のアシル基が挙げられ、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基などが挙げられる。
非置換のアシルオキシ基の例としては、炭素数2~8のアシルオキシ基が挙げられ、具体的には、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基などが挙げられる。
~RおよびArが有していてもよい置換基の例としては、例えば、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物は、例えば「Synthesis,1986,#5,p.411-413,Rekkas」や、「J.Org.Chem.,2009,74(16),pp6410-6413,Tomoya Mukaiら」などの文献に開示される方法によって合成することができる。
前記一般式(2)で表される化合物は、例えば「Tetrahedron Letters,2014,vol.55,#13,p.2065-2069,Yadav,Arvind K.ら」などの文献に開示される方法によって合成することができる。
一般式(1)および(2)で表される化合物としては、特に制限されないが、下記ETM101、ETM102およびETM201からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 0007230376000002
ETM101は、例えば以下の方法により合成することができる。
4-(3-Hydroxypropyl)benzonitrileを出発原料とする。ヒドロキシ基をベンジル基などで保護し、シアノ基をテトラゾール基に変換した後、これと3-シアノベンゾニトリルクロライドとをカップリングする。得られた物質のシアノ基を同様にテトラゾール基に変換した後、これと1-ナフトイルクロリドとをカップリングさせる。さらに、水添などの操作にてベンジル基などの保護基を脱保護することにより、ETM101を合成することができる。
ETM102は、例えば以下の方法により合成することができる。
ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸ジクロライド10質量部と4-(benzyloxy)benzohydrazide 13.9質量部とを無水ピリジン中で反応させる。反応混合物を純水に投入して沈澱を濾過し、この沈澱を希塩酸、純水で洗浄する。その後、メタノール/エタノール混合溶媒で再結晶化する。得られた針状結晶15質量部を、オキシ塩化リン812質量部中で還流反応させる。オキシ塩化リンを留去した後、反応生成物を水、メタノールでよく洗う。次いで、これをエタノール/トルエン混合溶媒で再結晶化する。得られた結晶を酢酸エチルやアルコール系の溶剤に溶解させ、水添などの操作にてベンジル基などの保護基を脱保護し、濃縮する。トルエン等の非極性溶媒に溶解させ、ethyl-5-chloro-5-oxopentanoateを滴下する。反応終了後、アルカリ性にして、加水分解することで、ETM102を合成することができる。
ETM201は、例えば以下の方法により合成することができる。
4-methoxybenzohydrazideと4-methyl-1-naphthaldehydeとをカップリングする。得られた物質のメトキシ基を、水添、またはアルカリなどの操作にてフェノール基に変換する。(4-クロロブチル)トリエトキシシランを当量滴下することにより、ETM201を合成することができる。
・一般式(3)および(4)で表される化合物
Figure 0007230376000003
一般式(3)および(4)中、
~R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基および置換されていてもよいアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、
~R16は、隣接する基と環構造を形成してもよく、
~Rの少なくとも一つおよびR~R16の少なくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたアシル基、置換されたアシルオキシ基および置換されたアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味する。
ハロゲン原子の例としては、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
非置換の炭素数3~12のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基等が挙げられる。
非置換の炭素数6~20のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基等が挙げられる。
非置換のアリーレン基の例としては、炭素数6~20のアリーレン基が挙げられ、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
非置換のアシル基の例としては、炭素数2~8のアシル基が挙げられ、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基などが挙げられる。
非置換のアシルオキシ基の例としては、炭素数2~8のアシルオキシ基が挙げられ、具体的には、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基などが挙げられる。
非置換のアルコキシカルボニルアルキル基の例としては、炭素数3~8のアルコキシカルボニルアルキル基が挙げられ、具体的には、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n-プロポキシカルボニルメチル基、n-プロポキシカルボニルエチル基、n-プロポキシカルボニルプロピル基、2-(イソプロポキシカルボニル)エチル基、1-(エトキシカルボニル)エチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
~R16が有していてもよい置換基の例としては、例えば、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
一般式(3)で表される化合物は、「Archiv der Pharmazie,1991,vol.324,#8,pp.491-495. Wurm et al.」に従って合成することができる。
一般式(4)で表される化合物は、「Tetrahedron Letters,1990,vol.31,#26,pp.3771~3774 Pandey et al.」に従って合成することができる。
一般式(3)および(4)で表される化合物としては、特に制限されないが、下記ETM301およびETM401の少なくとも一方であることが好ましい。
Figure 0007230376000004
上記ETM301およびETM401で表される化合物は、市販品または合成品に適宜-OH、-Si(OCHなどの置換基を導入することで得ることができる。
・一般式(5)で表される化合物
Figure 0007230376000005
一般式(5)中、
17およびR18は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基および置換されてもよい炭素数2~8のアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、
jは、0または1であり、
17およびR18の少なくとも一方は、シアノ基または置換されてもよい炭素数2~8のアルコキシカルボニル基であり、
19~R26は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよいアリール基、および置換されてもよい炭素数2~8のアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、
19~R26の少なくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換されたアリール基、および置換された炭素数2~8のアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
Zは、炭素原子または窒素原子であり、ただしZが窒素原子の場合、jは、0である。
非置換の炭素数2~8のアルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
非置換のアリール基の例としては、炭素数6~20のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基等が挙げられる。
17~R26が有していてもよい置換基の例としては、例えば、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
一般式(5)で表される化合物は、市販品および合成品に-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHを導入することで得ることができる。
一般式(5)で表される化合物としては、特に制限されないが、下記ETM501であることが好ましい。
Figure 0007230376000006
ETM501は、例えば以下の方法により合成することができる。
ニンヒドリン100質量部およびベンジルケトン118質量部をエタノールに添加し、還流するまで加熱する。還流している反応液に、水酸化カリウム9.5質量部を溶解させたメタノール溶液を1時間かけて滴下する。滴下後、還流撹拌を1時間行い、放冷して結晶を析出させて、析出した結晶を濾別する。ろ別した結晶をメタノールで洗浄した後、アセトニトリルで再結晶化する。得られた結晶130質量部およびアセチレンジカルボン酸ジメチル82.9質量部をフラスコに入れ、外温を160℃に設定して、反応液を加熱する。内温が130℃以上になってから2時間加熱撹拌した後、放冷し、析出した結晶を濾別する。得られた粗結晶にエタノールおよびトルエンを加えて再結晶化する。得られた結晶155質量部およびマロノニトリル45.7質量部をTHFに加え、外温-10℃で冷却する。冷却後、内温0℃±5℃で、四塩化炭素に溶解させた四塩化チタン328質量部を滴下し、そのままの温度で30分間撹拌する。ピリジン274質量部を添加し、室温までゆっくり戻し、さらに加熱して還流させる。還流状態で8時間反応後、室温に戻してから純水に反応液を添加し、さらにトルエンを加える。分液にてトルエン層を抽出し、トルエン層を希塩酸で洗浄する。さらに水層のpHが中性になるまで水洗を行った後、減圧蒸留にてトルエン層を濃縮し、トルエン-エタノール混合溶液を加えて再結晶化する。得られた結晶を濾別し、再度、再結晶化し結晶を得る。得られた結晶を、トルエンやTHF等の有機溶媒に溶解させ、アルカリ性にして加水分解する。反応終了後、純水を加える。分液にて有機層を抽出し、減圧蒸留にて有機層を濃縮し、トルエン等の非極性溶媒に溶解させて、Ethyl 4-chlorobutyrate 2.5当量を滴下する。反応終了後、アルカリ性にして加水分解することで、ETM501を合成することができる。
・一般式(6)で表される化合物
Figure 0007230376000007
一般式(6)中、
27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、およびニトロ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、
27およびR28の少なくとも一方は、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
Pは、上記(p1)~(p5)のいずれかで表される4価の基であり、ハロゲン原子、置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有してもよい。
ハロゲン原子の例としては、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
非置換の炭素数3~12のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基等が挙げられる。
非置換の炭素数6~20のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基等が挙げられる。
非置換のアルコキシカルボニルアルキル基の例としては、炭素数3~8のアルコキシカルボニルアルキル基が挙げられ、具体的には、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n-プロポキシカルボニルメチル基、n-プロポキシカルボニルエチル基、n-プロポキシカルボニルプロピル基、2-(イソプロポキシカルボニル)エチル基、1-(エトキシカルボニル)エチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
27、R28およびPが有していてもよい置換基の例としては、例えば、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
前記一般式(6)で表される化合物は、例えば「Monatshefte fuer Chemie,1914,vol.35」などの文献に開示される方法によって合成することができる。
一般的には、テトラカルボン酸二無水物とアニリン誘導体とを、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒中において加熱撹拌して反応させた後、再結晶化し、その後、カラムクロマトグラフィーなどで精製、乾燥することによって、合成することができる。また、例えば、前記一般式(6)で表される化合物における基Pがナフタレン環であるものは、特開2001-265031号公報や「J.Am.Chem.Soc.,120323(1)(1998)」、「Journal of Organic Chemistry,2007,vol.72、#19,p.7287~7293」などに開示される方法によって合成することができる。具体的には、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物誘導体と1,1-二置換ヒドラジン誘導体と、置換アミン誘導体とを溶媒の存在下、又は無溶媒下で、同時若しくは順次反応させることによって、合成することができる。
一般式(6)で表される化合物としては、特に制限されないが、下記ETM601~ETM605の少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 0007230376000008
ETM601は、例えば以下の方法により合成することができる。
ピロメリット酸二無水物300質量部と2-(トリフルオロメチル)アニリン 260質量部と、methyl 4-(4-aminophenyl)butanoate 300質量部とをジメチルホルムアミド中において3時間還流下で加熱する。冷却した後、反応混合物を濾過し、沈殿をジメチルホルムアミドで洗浄し、さらにエーテルで洗浄する。乾燥後、得られた生成物を精製する。さらに、加水分解を行い、(3-クロロプロピル)トリメトキシシランを当量滴下することにより、EMT601を合成することができる。
ETM602は、例えば以下の方法により合成することができる。
上記ETM601の合成工程において、ピロメリト酸二無水物の代わりに3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いるとともに、2-(トリフルオロメチル)アニリン260質量部の代わりに2,6-ジメチルアニリン180質量部とし、methyl 4-(4-aminophenyl)butanoate 300質量部の代わりに、4-(benzyloxy)-2,6-dimethylaniline 210質量部とし、(3-クロロプロピル)トリメトキシシランの代わりに、(4-クロロブチル)トリエトキシシランを用いたこと以外は同様の方法によって、ETM602を合成することができる。
ETM603は、例えば以下の方法により合成することができる。
上記ETM601の合成工程において、ピロメリト酸二無水物の代わりにナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物を用いるとともに、2-(トリフルオロメチル)アニリン260質量部の代わりに1,2-ジメチルプロピルアミン160質量部とし、methyl 4-(4-aminophenyl)butanoate 300質量部の代わりに、2-(4-aminocyclohexyl)ethanol 180質量部を用い、精製まで行ったこと以外は同様の方法によって、ETM603を合成することができる。なお、前記ETM601で表される化合物の合成工程において行った加水分解とシリル化剤の滴下は行わない。
ETM604は、例えば以下の方法により合成することができる。
上記ETM601の合成工程において、ピロメリト酸二無水物の代わりにナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物を用いるとともに、2-(トリフルオロメチル)アニリン260質量部の代わりに、2-イソプロピルアニリン150質量部とし、methyl 4-(4-aminophenyl)butanoate 300質量部の代わりに、4-(benzyloxy)-2,6-dimethylaniline 180質量部とし、(3-クロロプロピル)トリメトキシシランの代わりに、(4-クロロブチル)トリエトキシシランを用いたこと以外は同様の方法によって、ETM604を合成することができる。
ETM605は、例えば以下の方法により合成することができる。
上記ETM601の合成工程において、ピロメリト酸二無水物の代わりにペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物を用いるとともに、2-(トリフルオロメチル)アニリン260質量部の代わりに、2,5-di-tert-butylaniline 180質量部とし、methyl 4-(4-aminophenyl)butanoate 300質量部の代わりに200質量部としたこと以外は同様の方法によって、ETM605を合成することができる。
・一般式(7)~(9)で表される化合物
Figure 0007230376000009
一般式(7)中、
29およびR30は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、およびニトロ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基および置換されてもよい炭素数6~20のアリール基からなる群から選択され、R29およびR30は、互いに連結して環構造を形成してもよく、
31~R40は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、
31~R40のすくなくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
ArおよびArは、それぞれ独立して、上記式(7a)または(7b)で表される基であり、
41およびR42は、それぞれ独立して、水素原子およびハロゲン原子;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基および置換されてもよいアルコキシカルボニル基からなる群から選択される。
Figure 0007230376000010
一般式(8)中、
43およびR44は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、およびニトロ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基および置換されてもよい炭素数6~20のアリール基からなる群から選択され、R43およびR44は、互いに連結して環構造を形成してもよく、
45およびR46は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいヘテロアリール基からなる群から選択され、
45およびR46の少なくとも一方は、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたヘテロアリール基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
~Qは、それぞれ独立して、CHまたは窒素原子である。
Figure 0007230376000011
一般式(9)中、
47~R50は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいヘテロアリール基からなる群から選択され、
47~R50の少なくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたヘテロアリール基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
~Q12は、それぞれ独立して、CHまたは窒素原子である。
ハロゲン原子の例としては、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
非置換の炭素数3~12のシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。
非置換の炭素数1~8のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基等が挙げられる。
非置換の炭素数6~20のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、フェナンスリル基等が挙げられる。
非置換のアルコキシカルボニル基の例としては、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基が挙げられ、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
非置換のヘテロアリール基の例としては、炭素数2~24のヘテロアリール基が挙げられ、具体的には、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、アザカルバゾリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、アザジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾチエニル基、ベンゾイミダゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノキサリニル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾニル基、インドロカルバゾリル基、ヘキサアザトリフェニレニル基、ベンゾジフラニル基、ベンゾジチエニル基、ホスフォル基、シロリル基、ボリル基、ビピリジル基等が挙げられる。
29~R50が有していてもよい置換基の例としては、例えば、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
前記一般式(7)~(9)で表される化合物は、例えば(a)Science 1998,282,913頁-915頁、(b)J.Org.Chem.,2002,VOL.67,9392頁-9396頁、(c)J.Org.Chem.,2006,VOL.71,7826頁-7834頁、(d)J.Am.Chem.Soc.,VOL.124,No.1,2002,49頁-57頁、(e)WO2006/002731号公報、15頁、(f)J.C.S.,[Section]B,Pysical Organic 1996,733頁-735頁、(g)Chem. Lett.,1982,1195頁~1198頁などの文献に開示される方法によって合成することができる。
一般式(7)~(9)で表される化合物としては、特に制限されないが、下記ETM701、ETM801およびETM901からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 0007230376000012
ETM701は、例えば以下の方法により合成することができる。
前記ETM701は、「Chemistry-A European Journal,2000,vol.6,#9 p.1683-1692,Yamaguchi,Shigehiro et al.」に従って合成することができる。
ETM801は、例えば以下の方法により合成することができる。
特開2013-20996号公報に開示される方法に従って合成した3-(2-ブロモフェニル)ピリジン23.4質量部を酢酸に溶解する。30%過酸化水素113.4質量部を加え、95℃で5時間加熱撹拌し、反応液を減圧下で90%程度濃縮する。残渣に1%重曹水を加え、酢酸エチルで有機層を抽出する。飽和食塩水で有機層を3回洗浄し、有機層を減圧下で濃縮する。残渣にクロロホルムを加え、さらにオキシ臭化リン43.0質量部を加え、加熱還流を3時間行い、溶媒および過剰のオキシ臭化リンを減圧下で留去する。その後、残渣をトルエンにて再結晶化する。得られた結晶25.0質量部を脱水エーテルに溶解する。内温を-75℃に冷却し、次いで1.6Mのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液75.1質量部を内温-70℃以下に保ちながらゆっくりと添加する。2時間同温度下で撹拌した後、ジクロロジフェニルシラン21.2質量部を脱水エーテルに溶解した溶液を内温-65℃以下に保ちながらゆっくりと加える。同じ温度で3時間撹拌した後、成り行きで室温まで加温し、さらに2時間撹拌を行う。反応終了後、溶媒を減圧下で留去する。残渣をメチレンクロリドーエタノール混合溶媒で再結晶化する。得られた結晶20.0質量部を酢酸に溶解し、30%過酸化水素67.6質量部を加え、95℃で5時間加熱撹拌する。反応液を減圧下で90%程度濃縮し、残渣に1%重曹水を加える。酢酸エチルで有機層を抽出し、飽和食塩水で有機層を3回洗浄する。その後、有機層を減圧下で濃縮する。残渣にクロロホルムを加え、さらにオキシ臭化リン25.6質量部を加え、加熱還流を3時間行い、溶媒および過剰のオキシ臭化リンを減圧下で留去する。残渣をトルエンにて再結晶化する。得られた結晶23.0質量部をジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、アルコールでカルボキシ基を保護した、ethyl carbazole-3-carboxyloate 34.1質量部、ヨウ化銅23.3質量部、炭酸カリウム16.9質量部およびL-proline1.3質量部を加える。窒素気流下、内温150℃で6時間加熱撹拌を行い、反応終了後、溶媒を減圧下で留去する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒=ヘプタン:メチレンクロリド=9:1)にて精製する。さらに、トルエンやTHF等の有機溶媒に溶解させ、アルカリ性にして加水分解する。反応終了後、純水を加える。分液にて有機層を抽出し、減圧蒸留にて有機層を濃縮し、トルエン等の非極性溶媒に溶解させて、Ethyl 4-chlorobutyrate 1.5当量を滴下する。反応終了後、アルカリ性にして加水分解することで、ETM801を合成することができる。
ETM901は、特開2013-20996号公報において合成例7として開示される方法に従って合成することができる。
・電子輸送性化合物による表面処理方法
電子輸送性化合物による表面処理方法は、特に制限されず、無機粒子の表面上に電子輸送性化合物を付着(または結合)することができる方法であればよい。かような方法としては、一般的に、湿式処理方法と乾式処理方法との二通りに大別されるが、いずれを用いてもよい。
なお、後述する重合性基由来の基を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を、電子輸送性化合物によって表面処理する場合は、無機粒子の表面上または重合性基由来の基を有する表面処理剤上に、電子輸送性化合物が付着(または結合)する。
湿式処理方法とは、無機粒子と、電子輸送性化合物とを溶剤中で分散することによって、電子輸送性化合物を無機粒子の表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法としては、無機粒子と、電子輸送性化合物とを溶剤中で分散させ、得られた分散液を乾燥し溶剤を除去する方法が好ましく、その後さらに加熱処理を行い、電子輸送性化合物と無機粒子とを反応させることによって、電子輸送性化合物を無機粒子の表面上に付着(または結合)させる方法がより好ましい。また、電子輸送性化合物と無機粒子とを溶剤中で分散した後、得られた分散液を湿式粉砕することにより、無機粒子を微細化すると同時に表面処理を進行させてもよい。
無機粒子および電子輸送性化合物を溶剤中で分散させる手段としては、特に制限されず公知の手段を用いることができ、その例としては、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル等の一般的な分散手段を挙げることができる。
溶剤としては、特に制限されず公知の溶剤を用いることができ、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)、tert-ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、メタノール、2-ブタノール、トルエン、および2-ブタノールとトルエンとの混合溶剤がより好ましい。
分散時間は、特に制限されないが、たとえば、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上360分以下であることがより好ましく、30分以上120分以下であることがより好ましい。
溶剤の除去方法としては、特に制限されず公知の方法を用いることができ、その例としては、エバポレーター(減圧蒸留)を用いる方法、室温下で溶剤を揮発させる方法等が挙げられる。
加熱温度としては、特に制限されないが、50℃以上250℃以下であることが好ましく、70℃以上200℃以下であることがより好ましく、90℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、特に制限されないが、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上300分以下であることがより好ましく、30分以上150分以下であることがさらに好ましい。なお、加熱方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
乾式処理方法とは、溶剤を用いず、電子輸送性化合物と無機粒子とを混合し混練を行うことによって、電子輸送性化合物を無機の表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法としては、電子輸送性化合物と、無機粒子とを混合し混練した後、さらに加熱処理を行い、電子輸送性化合物と無機粒子とを反応させることによって、電子輸送性化合物を無機粒子の表面上に付着(または結合)させる方法であってもよい。また、無機粒子と、電子輸送性化合物とを混合し混練する際に、これらを乾式粉砕することにより、無機粒子を微細化すると同時に表面処理を進行させてもよい。
電子輸送性化合物の使用量は、処理前の無機粒子(後述する重合性基由来の基を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を、電子輸送性化合物によって表面処理する場合は、重合性基由来の基を有する表面処理剤による表面処理後の無機粒子)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、最外層の耐摩耗性がより向上する。
また、電子輸送性化合物の使用量は、処理前の無機粒子(後述する重合性基由来の基を有する表面処理剤で表面処理された無機粒子を、電子輸送性化合物によって表面処理する場合は、重合性基由来の基を有する表面処理剤による表面処理後の無機粒子)100質量部に対して、100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、未反応の電子輸送性化合物による最外層の膜強度の低下が抑制され、最外層の耐摩耗性が向上する。
無機粒子が電子輸送性化合物により表面処理されたことは、例えばX線光電子分光(XPS)法によって、原子(結合)を分析する方法、色を有する電子輸送性を使用する場合、電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子の溶解試験を行い、溶剤の着色の有無により判断する方法、Tg(加熱による重量減測定)により、電子輸送性化合物の重量変化を確認する方法などによって確認することができる。
・重合性基由来の基を有する表面処理剤による表面処理方法
本発明に係る無機粒子は、重合性基由来の基を有する表面処理剤でさらに表面処理されてなることが好ましい。重合性基由来の基を有する表面処理剤を用いることにより、無機粒子は、その表面に重合性基由来の基を有することができる。そして、最外層中で、表面処理された無機粒子は、重合性基を介して後述のラジカル重合性モノマーと重合することにより、膜強度がより高い最外層を形成して、最外層の耐摩耗性およびクリーニング性がさらに向上しうる。
重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基および(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、これらの中でもメタクリロイル基が好ましい。また、表面処理官能基とは、導電性金属酸化物粒子の表面に存在する水酸基などの極性基への反応性を有する基を表す。表面処理官能基の例としては、カルボン酸基、水酸基、-R’-COOH(R’は、二価の炭化水素基)、アルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらの中でもアルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基が好ましい。
反応性表面処理剤は、ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤が好ましく、その例としては、下記式S-1~S-32で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007230376000013
重合性基由来の基を有する表面処理剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。また、反応性表面処理剤は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。合成品の具体例としては、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。市販品の具体例としては、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103(以上、信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
電子輸送性化合物による表面処理に加えて、さらに重合性基由来の基を有する表面処理剤による表面処理を行う場合、両方の処理を同時に行うことが好ましい。
湿式処理方法により両方の処理を同時に行う場合、無機粒子と電子輸送性化合物と重合性基由来の基を有する表面処理剤とを溶剤中で分散させ、得られた分散液を乾燥し溶剤を除去する方法が好ましく、その後さらに加熱処理を行い、電子輸送性化合物および重合性基由来の基を有する表面処理剤と無機粒子とを反応させることによって、電子輸送性化合物および重合性基由来の基を有する表面処理剤を無機粒子の表面上に付着(または結合)させる方法がより好ましい。
乾式処理方法により両方の処理を同時に行う場合、電子輸送性化合物および重合性基由来の基を有する表面処理剤と、無機粒子とを混合し混練した後、さらに加熱処理を行い、電子輸送性化合物および重合性基由来の基を有する表面処理剤と無機粒子とを反応させることによって、電子輸送性化合物および重合性基由来の基を有する表面処理剤を無機粒子の表面上に付着(または結合)させる方法であってもよい。
電子輸送性化合物と、必要に応じて重合性基由来の基を有する表面処理剤とで表面処理された無機粒子の平均一次粒子径は、電子輸送性および分散性の観点から、好ましくは5~200nmであり、より好ましくは10~100nmである。
(バインダー樹脂)
最外層(保護層)は、バインダー樹脂を含んでもよい。最外層用のバインダー樹脂は、公知のバインダー樹脂を使用することができる。バインダー樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。バインダー樹脂は、1種単独で、または2種以上の樹脂を組み合わせて用いることができる。
バインダー樹脂は、感光体の耐久性の観点から、ラジカル重合性モノマーを含むラジカル重合性組成物の硬化物であることが好ましい。ラジカル重合性モノマーは、2個以上のラジカル重合性官能基を有する。ラジカル重合性官能基としては、特に制限されないが、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが例示できる。ラジカル重合性官能基は、好ましくは(メタ)アクリロイル基である。(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性モノマーの例としては、下記式M1~M15で表される化合物が挙げられる。下記式中、Rは、アクリロイル基(CH=CHCO-)を表し、R’は、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO-)を表す。
Figure 0007230376000014
Figure 0007230376000015
ラジカル重合性モノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ラジカル重合性モノマーは、合成品であってもよいし市販品であってもよい。
<電子写真感光体の製造方法>
本発明の一実施形態に係る電子写真感光体は、最外層において、上述の本発明に係る無機粒子を用いる以外は、特に制限されず公知の電子写真感光体の製造方法によって製造することができる。中でも、導電性支持体上に形成された感光層の表面に、本発明に係る無機粒子を含む最外層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布された最外層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、または塗布された最外層形成用塗布液を加熱して、最外層形成用組成物の硬化物を得る工程と、を含む方法によって製造することが好ましい。
最外層形成用塗布液は、本発明に係る無機粒子と、上記バインダー樹脂および/またはラジカル重合性モノマーとを含む。最外層形成用塗布液は、分散媒、重合開始剤等の成分をさらに含んでいてもよい。
最外層形成用塗布液に用いられる分散媒としては、本発明に係る無機粒子、上記バインダー樹脂および/またはラジカル重合性モノマー、必要に応じて添加される重合開始剤などの各種添加剤を溶解または分散させることができれば、いずれのものでも使用できる。分散媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール(sec-ブタノール)、tert-ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミン等が挙げられる。分散媒は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
最外層形成用塗布液に用いられる重合開始剤は、上記ラジカル重合性モノマーを重合反応することによって得られる硬化樹脂(バインダー樹脂)を製造する過程で使用されるものである。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよい。重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができる。重合開始剤は、単独でもまたは2種以上を混合して用いることができる。
重合開始剤としては、下記一般式(Int)で表される構造(フェニルフォスフィンオキサイド構造)を有する化合物などのリン元素を含む化合物、硫黄元素を含む化合物などが挙げられる。
重合開始剤としては、下記一般式(Int)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 0007230376000016
一般式(Int)中、R101およびR102は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~6のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、ヒドロキシ基およびアリールカルボニル基からなる群から選択され、R101およびR102は、同じでも異なっていてもよい。
前記一般式(Int)で表される構造を有する化合物としては、具体的には、下記に示す化合物A-1およびA-2が挙げられる。
Figure 0007230376000017
上記A-1およびA-2は、市販品であり、A-1は、IRGACURE(登録商標) TPO、A-2は、IRGACURE(登録商標) 819(いずれもBASFジャパン株式会社製)である。重合開始剤は、好ましくはIRGACURE(登録商標) 819である。
一般式(Int)で表される構造を有する化合物以外のリン元素を含む化合物としては、特表2017-522364号公報に記載されている式Iの光重合開始剤等を挙げることができる。
硫黄元素を含む化合物としては、下記一般式(B)で表される構造を有するO-アシルオキシムであることが好ましい。
Figure 0007230376000018
一般式(B)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~6のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基からなる群から選択され、
は、水素原子、置換されてもよい炭素数1~6のアルキル基、置換されてもよい炭素数1~6のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、置換されてもよいアリールオキシカルボニル基からなる群から選択される。
前記一般式(B)で表される構造を有する化合物としては、具体的には、下記に示す化合物B-1~B-40が挙げられる。
Figure 0007230376000019
Figure 0007230376000020
Figure 0007230376000021
Figure 0007230376000022
上記B-1およびB-40は市販品であり、B-1は、IRGACURE(登録商標) OXE01であり、B-40は、IRGACURE(登録商標) OXE2(いずれもBASFジャパン株式会社製)である。また、市販品としては、PBG-305、PBG-239(常州強力電子新材料有限公司製)などが挙げられる。
上記以外の重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)などが挙げられる。
最外層形成用塗布液は、本発明の効果を損なわない限り、上記以外の他の成分を含むことができる。このような他の成分としては、電子輸送性化合物、正孔輸送性化合物などが挙げられる。ここで、電子輸送性化合物は、本発明に係る無機粒子で使用した電子輸送性化合物とは別に、さらに最外層形成用塗布液に添加されるものを意味する。
電子輸送性化合物としては、特に制限されず、従来公知のものを使用でき、上述の電子輸送性化合物、下記ETM01で表される化合物などを使用できる。
Figure 0007230376000023
ETM01は、以下の方法により合成することができる。
四つ口フラスコに、ピロメリット酸二無水物300質量部、2-(トリフルオロメチル)アニリン560質量部、およびジメチルホルムアミドを添加し、3時間還流下で加熱する。冷却後、反応混合物を濾過し、沈殿をジメチルホルムアミドで洗浄し、更にエーテルで洗浄し、乾燥する。この生成物をシリカゲルカラムにより精製して、上記化学式の化合物(ETM01)を得ることができる。
正孔輸送性化合物としては、特に制限されず、従来公知のものを使用でき、下記CTM-01で表される化合物、下記CTM-02で表される化合物などを使用できる。
Figure 0007230376000024
CTM-01およびCTM-02は、公知の合成方法、例えば特開2006-143720号公報、特開2015-26061号公報などに記載の方法で合成することができる。
最外層形成用塗布液の総質量に対する分散媒の含有量は、特に制限されないが、好ましくは1~99質量%であり、より好ましくは40~90質量%であり、さらに好ましくは50~80質量%である。
最外層形成用塗布液がバインダー樹脂を含む場合、その含有量は、最外層形成用塗布液の総質量に対して、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは15~25質量%である。
最外層形成用塗布液がラジカル重合性モノマーを含む場合、その含有量は、最外層形成用塗布液の総質量に対して、好ましくは10~30質量%であり、より好ましくは15~25質量%である。
最外層形成用塗布液が重合開始剤を含む場合、その含有量は、最外層の耐摩耗性をより向上させるとの観点から、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは0.5~10質量部である。
最外層形成用塗布液が電子輸送性化合物、正孔輸送性化合物などの他の成分を含む場合、その含有量は、0質量%を超えて20質量%以下である。
最外層形成用塗布液の調製方法は、特に制限はなく、本発明に係る無機粒子、上記バインダー樹脂および/またはラジカル重合性モノマー、必要に応じて添加される重合開始剤などの各種添加剤を分散媒に加えて、溶解または分散するまで攪拌混合すればよい。
本発明に係る最外層は、上記方法で調製した最外層形成用塗布液を感光層の上に塗布した後、乾燥および硬化させることにより形成することができる。
最外層形成用塗布液の塗布方法は、特に制限されず、たとえば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー塗布法、円形スライドホッパー塗布法などの公知の方法を用いることができる。
ポリカーボネート樹脂などをバインダー樹脂として用いた場合、上記塗布液を塗布した後、熱乾燥を行うことで、最外層(保護層)を形成できる。
熱乾燥の条件は、使用する材料に合わせて、適宜選択できる。乾燥温度は、例えば60~120℃である。乾燥時間は、例えば60~180分である。
ラジカル重合性モノマーおよび重合開始剤として熱重合開始剤を用いた場合、上記塗布液を塗布した後、熱重合乾燥を行うことで、最外層(保護層)を形成できる。
熱重合乾燥の条件は、使用する材料に合わせて、適宜選択できる。乾燥温度は、例えば60~120℃である。乾燥時間は、例えば60~180分である。
ラジカル重合性モノマーおよび重合開始剤として光重合開始剤を用いた場合、上記塗布液を塗布した後は、自然乾燥または熱乾燥を行い、塗膜を形成した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させる。活性エネルギー線としては紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量(積算光量)は、好ましくは5~5000mJ/cmであり、より好ましくは10~2000mJ/cmである。また、紫外線の照度は、好ましくは5~500mW/cmであり、より好ましくは10~100mW/cmである。
必要な活性エネルギー線の照射量(積算光量)を得るための照射時間としては、0.1秒~10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒~5分がより好ましい。
保護層を形成する過程においては、活性エネルギー線を照射する前後や、活性エネルギー線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは20~180℃であり、より好ましくは80~140℃であり、乾燥時間は、好ましくは1~200分であり、より好ましくは5~100分である。
最外層の膜厚は、1~10μmであることが好ましく、1.5~5μmであることがより好ましい。
なお、最外層が上記組成物の硬化物を含むことは、熱分解GC-MS、核磁気共鳴(NMR)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、元素分析などの公知の分析方法によって確認することができる。
<画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法>
本発明の一実施形態は、上記電子写真感光体を具備する画像形成装置に関する。
本発明に係る画像形成装置は、(1)少なくとも本発明の保護層を有する電子写真感光体、(2)前述した電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、(3)帯電手段により帯電された電子写真感光体表面に像露光を行い潜像形成を行う露光手段、(4)露光手段により形成された潜像を顕像化してトナー画像を形成する現像手段、(5)現像手段により電子写真感光体表面に形成されたトナー画像を用紙等の転写媒体あるいは転写ベルト上に転写する転写手段、を有するものである。
なお、電子写真感光体を帯電させる帯電手段では非接触帯電装置を用いることが好ましい。非接触帯電装置としては、コロナ帯電装置、コロトロン帯電装置、スコロトロン帯電装置を挙げることができる。
図1は、本発明の実施形態の一つを示すカラー画像形成装置の一例を説明する断面構
成図である。
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット70と、給紙搬送手段21及び定着手段24とからなる。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkより構成されている。
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkに、それぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Y(以下、単にクリーニング手段6Y、あるいは、クリーニングブレード6Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォック(登録商標)レンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザー光学系などが用いられる。
本発明に係る画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。また、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
よって、本発明の一実施形態は、本発明に係る画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、前記プロセスカートリッジが、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、露光手段および現像手段の少なくとも一つとを一体として有しており、前記画像形成装置に出し入れ可能に構成されている、プロセスカートリッジに関する。
無端ベルト状中間転写体ユニット70は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体77を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体77上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体77は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
以上のようにして、転写材P上に画像を形成することができる。
よって、本発明の一実施形態は、上記の画像形成装置またはプロセスカートリッジを用いて電子写真画像を形成する、画像形成方法に関する。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体77に当接する。
また、装置本体Aから筐体80を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体80は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット70とから成る。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット70が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット70は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体77、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
<無機粒子の作製>
[無機粒子Aの作製]
無機粒子種としてSnO(数平均一次粒径:20nm) 200質量部、電子輸送性化合物として上記ETM101 10質量部、および2-ブタノール 1500質量部を撹拌混合した後、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP」(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz、600W)を用いて、循環流量40L/H、0.5時間、温度35℃で分散させた。次いで、1μmのフィルターを通した後、減圧蒸留により2-ブタノールを分離除去した。得られた乾燥物を120℃で2時間加熱することにより、電子輸送性化合物の焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、電子輸送性化合物で表面処理が施された無機粒子Aを得た。
[無機粒子Bの作製]
無機粒子種としてSnO(数平均一次粒径:20nm) 200質量部、電子輸送性化合物として上記ETM101 15質量部、表面処理剤としてKBM-503(3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業株式会社製) 5質量部、および2-ブタノール 1500質量部を撹拌混合した後、循環式超音波ホモジナイザー「RUS-600TCVP」(株式会社日本精機製作所製、19.5kHz、600W)を用いて、循環流量40L/H、0.5時間、温度35℃で分散させ、次いで、1μmのフィルターを通した後、減圧蒸留により2-ブタノールを分離除去した。得られた乾燥物を120℃で2時間加熱することにより、電子輸送性化合物の焼き付けを行った。その後、ピンミルにより粉砕し、電子輸送性化合物で表面処理が施された無機粒子Bを得た。
[無機粒子Cの作製]
無機粒子種としてSnOの代わりにCuAlO(数平均一次粒径:50nm)を使用したこと以外は、上記無機粒子Bの作製と同様にして、無機粒子Cを作製した。
[無機粒子Dの作製]
電子輸送性化合物としてETM101の代わりに上記ETM102を使用したこと以外は、上記無機粒子Cの作製と同様にして、無機粒子Dを作製した。
[無機粒子Eの作製]
電子輸送性化合物としてETM101の代わりに上記ETM601を使用したこと以外は、上記無機粒子Bの作製と同様にして、無機粒子Eを作製した。
[無機粒子Fの作製]
無機粒子種としてSnOの代わりにZnO(数平均一次粒径:20nm)を使用したこと以外は、上記無機粒子Bの作製と同様にして、無機粒子Fを作製した。
[無機粒子Gの作製]
無機粒子種としてSnOの代わりにTiO(数平均一次粒径:30nm)を使用したこと以外は、上記無機粒子Bの作製と同様にして、無機粒子Gを作製した。
[無機粒子Hの作製]
無機粒子種としてSnOの代わりにSiO(数平均一次粒径:20nm)、電子輸送性化合物としてETM101の代わりに上記ETM401、および表面処理剤としてKBM-503の代わりにKBM-5103(3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業株式会社製)を使用したこと以外は、上記無機粒子Bの作製と同様にして、無機粒子Hを作製した。
[無機粒子Iの作製]
電子輸送性化合物としてETM101の代わりに上記ETM301を使用したこと以外は、上記無機粒子Cの作製と同様にして、無機粒子Iを作製した。
[無機粒子Jの作製]
無機粒子種としてSnOの代わりにZnO(数平均一次粒径:30nm)、および表面処理剤としてKBM-503の代わりにMHPS(メチルハイドロジェンポリシロキサン)を使用したこと以外は、上記無機粒子Bの作製と同様にして、無機粒子Jを作製した。
[無機粒子Kの作製]
ETM101(電子輸送性化合物)の代わりに上記CTM-2(正孔輸送性化合物)を使用したこと以外は、上記無機粒子Bの作製と同様にして、無機粒子Kを作製した。
無機粒子A~Kの構成を、下記表1に示す。
Figure 0007230376000025
<感光体の作製>
[感光体1の作製]
(導電性支持体の用意)
直径60mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を用意した。
(中間層の形成)
下記組成の分散液をエタノール/n-プロパノール(PrOH)/テトラヒドロフラン(体積比60:20:20)の溶媒にて1.5倍に希釈し、一夜静置した。その後、日本ポール株式会社製リジメッシュ5μmフィルターを使用して濾過して、中間層形成用塗布液を調製した。
バインダー:ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 100質量部
金属酸化物粒子:酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製)
120質量部
金属酸化物粒子:酸化チタンSMT150MK(テイカ社製)
155質量部
溶媒:エタノール/n-PrOH/テトラヒドロフラン(体積比60:20:20)
1290質量部。
調製した中間層形成用塗布液に対し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で5時間の分散を行った。
分散後の中間層形成用塗布液を導電性支持体上に浸漬塗布法で塗布し、110℃で20分間乾燥して、層厚2μmの中間層を形成した。
(電荷発生層の形成)
下記成分を下記の量で混合し、サンドミルを用いて10時間分散することにより、電荷発生層形成用塗布液を調製した。
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)
20質量部
バインダー:ポリビニルブチラール樹脂#6000-C(デンカ株式会社製)
10質量部
溶媒:酢酸t-ブチル 700質量部
溶媒:4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン 300質量部。
調製した電荷発生層形成用塗布液を中間層上に浸漬塗布法で塗布し、風乾することにより、層厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
下記成分を下記の量で混合し溶解して、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
電荷輸送物質:4,4’-ジメチル-4’’-(β-フェニルスチリル)トリフェニルアミン
225質量部
電荷輸送層用バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂Z300(三菱ガス化学株式会社製)
300質量部
溶剤:テトラヒドロフラン 1600質量部
溶剤:トルエン 400質量部
酸化防止剤:ジブチルヒドロキシトルエン 6質量部
シリコーンオイルKF-96(信越化学工業株式会社製) 1質量部。
調整した電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、120℃で70分間乾燥して、層厚20μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、導電性支持体の外周面に、中間層、電荷発生層および電荷輸送層をこの順で積層した感光層を有する感光体前駆体を作製した。
(保護層(最外層)の作製)
下記成分を下記の量で混合撹拌することにより、十分に溶解、分散させて、保護層形成用塗布液を調製した。
ポリカーボネート(TS2050;帝人株式会社製) 100質量部
無機粒子A 68質量部
テトラヒドロフラン 200質量部
トルエン 40質量部。
調製した保護層形成用塗布液を上記感光体前駆体における電荷輸送層上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、120℃で70分間乾燥して、層厚3μmの保護層を形成した。これにより、感光体1を作製した。
[感光体2の作製]
保護層(最外層)を以下のように形成したこと以外は、感光体1と同様にして、感光体2を作製した。
(保護層(最外層)の作製)
下記成分を下記の量で混合撹拌することにより、十分に溶解、分散させて、保護層形成用塗布液を調製した。
重合性化合物M1 100質量部
無機粒子A 68質量部
重合開始剤A-2 10質量部
2-ブタノール 230質量部
テトラヒドロフラン 12質量部。
上記「重合性化合物M1」は、ラジカル重合性モノマーであり、当該モノマーとして例示した化合物群中の式M1で表される化合物を使用した。上記「重合開始剤A-2」は、前述したように「Irgacure(登録商標)819(BASFジャパン株式会社製)」を使用した。
調製した保護層形成用塗布液を上記感光体前駆体における電荷輸送層上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、キセノンランプを用いて紫外線を16mW/cmの照度で1分間照射した後、80℃で70分間乾燥することにより、膜厚3μmの保護層を作製した。これにより、感光体2を作製した。
[感光体3、5、6、8、11、13~15および18の作製]
無機粒子の種類を下記表2のように変更したこと以外は、感光体2と同様にして感光体3、5、6、8、11、13~15および18を作製した。
[感光体4の作製]
保護層(最外層)を以下のように形成したこと以外は、感光体2と同様にして、感光体4を作製した。
(保護層(最外層)の作製)
下記成分を下記の量で混合撹拌することにより、十分に溶解、分散させて、保護層形成用塗布液を調製した。
重合性化合物M5 100質量部
無機粒子B 68質量部
AIBN 10質量部
2-ブタノール 230質量部
テトラヒドロフラン 12質量部。
上記「重合性化合物M5」は、ラジカル重合性モノマーであり、当該モノマーとして例示した化合物群中の式M5で表される化合物を使用した。熱重合開始剤として、「AIBN(2,2-アゾビスイソブチロニトリル)」を使用した。
調製した保護層形成用塗布液を上記感光体前駆体における電荷輸送層上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、120℃で70分間硬化・乾燥して、層厚3μmの保護層を形成した。これにより、感光体4を作製した。
[感光体7および12の作製]
重合性化合物M1の代わりに重合性化合物M2を使用し、無機粒子の種類を下記表2のように変更したこと以外は、感光体2と同様にして感光体7および12を作製した。
上記「重合性化合物M2」は、ラジカル重合性モノマーであり、当該モノマーとして例示した化合物群中の式M2で表される化合物を使用した。
[感光体9の作製]
保護層(最外層)を以下のように形成したこと以外は、感光体2と同様にして、感光体9を作製した。
(保護層(最外層)の作製)
下記成分を下記の量で混合撹拌することにより、十分に溶解、分散させて、保護層形成用塗布液を調製した。
重合性化合物M1 100質量部
無機粒子A 68質量部
重合開始剤A-2 10質量部
CTM-01 20質量部
2-ブタノール 230質量部
テトラヒドロフラン 12質量部。
上記「CTM-01」は、前述した式CTM-01で表される正孔輸送性化合物を使用した。
調製した保護層形成用塗布液を上記感光体前駆体における電荷輸送層上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、キセノンランプを用いて紫外線を16mW/cmの照度で1分間照射した後、80℃で70分間乾燥することにより、膜厚3μmの保護層を作製した。これにより、感光体9を作製した。
[感光体10の作製]
CTM-01の代わりに上記ETM01を使用したこと以外は、感光体9と同様にして、感光体10を作製した。
[感光体16の作製]
無機粒子Aの代わりに酸化錫粒子(数平均一次粒径:20nm)を使用したこと以外は、感光体9と同様にして、感光体16を作製した。
[感光体17の作製]
無機粒子Aの代わりに酸化錫粒子(数平均一次粒径:20nm)を使用したこと以外は、感光体10と同様にして、感光体17を作製した。
<評価>
評価機としてコニカミノルタ社製「bizhub PRESS(登録商標) C1070」を使用した。該評価機に上記で得られた各感光体を搭載して、評価を行った。
23℃、50%RH環境で、画像面積比率6%の文字画像をA4横送りで各80万枚両面連続でプリントを行う耐久試験を実施した。
[耐摩耗性]
前記耐久試験前後における保護層(最外層)の厚さを測定し、膜厚減耗量を算出して、耐摩耗性を評価した。
保護層の厚さは、均一層厚部分(塗布の先端部および後端部の層厚変動部分を、層厚プロフィールを作製して除く)をランダムに10か所測定し、その平均値を保護層の厚さとした。
層厚測定は、渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GmbH CO社製)を用いて行った。耐久試験前後の保護層の厚さの差を、層厚減耗量とした。100krot(10万回転)あたりの減耗量をα値として算出した。評価基準は以下のとおりである。
◎:α値が0.2μm未満(良好)
○:α値が0.2μm以上0.3μm未満(実用上問題なし)
×:α値が0.3μm以上(実用上問題あり)。
[画像メモリー]
前記耐久試験後に、べた黒とべた白の混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷した。前記ハーフトーン画像中において、べた黒とべた白の履歴が現れている(メモリー発生)または現れていない(メモリー発生なし)を判定した。評価基準は以下のとおりである。
◎:メモリー発生なし(良好)
○:エッジ部のみメモリーが視認できる(実用上問題なし)
×:はっきりしたメモリーの発生(実用上問題あり)。
[クリーニング性]
耐久試験後に、保護層(最外層)の表面および出力画像を目視観察により評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:80万枚までトナーすり抜けがなし(良好)
○:80万枚までの時点で感光体上にトナーのすり抜けが一部見られるが、出力画像は良好である(実用上問題なし)
×:80万枚以前にトナーすり抜けにより、出力画像上にスジ状の明らかな画像不良の発生が認められる(実用上問題あり)。
感光体1~18の構成および評価結果を、下記表2に示す。
Figure 0007230376000026
上記表2から明らかなように、実施例の感光体は、優れた耐摩耗性、画像メモリー耐性およびクリーニング性を有することが分かる。一方、比較例の感光体では、耐摩耗性、画像メモリー耐性およびクリーニング性の少なくとも1つが、実用可能なレベルに達していないことが分かる。
1,1Y,1M,1C,1Bk 感光体
2Y,2M,2C,2Bk 帯電手段
3Y,3M,3C,3Bk 露光手段
4Y,4M,4C,4Bk 現像手段
5Y,5M,5C,5Bk 一次転写ローラ
5b 二次転写ローラ
6Y,6M,6C,6Bk,6b クリーニング手段
10Y,10M,10C,10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A,22B,22C,22D 中間ローラ
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラ
26 排紙トレイ
70 中間転写体ユニット
71,72,73,74 ローラ
77 中間転写体
80 筐体
82L,82R 支持レール
101 導電性支持体
102 中間層
103 電荷発生層
104 電荷輸送層
105 感光層
106 保護層
A 本体
SC 原稿画像読み取り装置
P 転写材。

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも感光層および最外層をこの順に積層してなる電子写真感光体の製造方法であって、
    無機粒子の表面上に電子輸送性化合物を付着または結合させて、前記電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子を作製する工程と、
    前記電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子と、バインダー樹脂および/またはラジカル重合性モノマーとを含む塗布液を前記感光層上に塗布して前記最外層を形成する工程と、を含む、製造方法。
  2. 前記無機粒子が、錫、亜鉛、チタン、ケイ素および銅の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法
  3. 前記電子輸送性化合物が、オキサジアゾール誘導体、キノン系誘導体、フルオレン系誘導体、テトラカルボン酸ジイミド誘導体およびシロール誘導体からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法
  4. 前記電子輸送性化合物が、下記一般式(1)~(9)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項3に記載の電子写真感光体の製造方法
    Figure 0007230376000027

    一般式(1)および(2)中、
    ~Rは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、置換されてもよいアシル基および置換されていてもよいアシルオキシ基からなる群から選択され、
    k、l、mおよびnは、それぞれ独立して、0~5の整数であり、
    k、l、mおよびnが2以上の整数である場合、隣接するR同士、R同士、R同士およびR同士は、互いに連結して環構造を形成してもよく、
    およびRの少なくとも一方ならびにRおよびRの少なくとも一方は、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基、置換されたアシル基および置換されたアシルオキシ基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
    Arは、置換されてもよいアリーレン基である;
    一般式(3)および(4)中、
    ~R16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、置換されてもよいアシル基、置換されていてもよいアシルオキシ基および置換されていてもよいアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、
    ~R16は、隣接する基と環構造を形成してもよく、
    ~Rの少なくとも一つおよびR~R16の少なくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたアシル基、置換されたアシルオキシ基および置換されたアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味する;
    一般式(5)中、
    17およびR18は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基および置換されてもよい炭素数2~8のアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、
    jは、0または1であり、
    17およびR18の少なくとも一方は、シアノ基または置換されてもよい炭素数2~8のアルコキシカルボニル基であり、
    19~R26は、それぞれ独立して、水素原子、置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよいアリール基、および置換されてもよい炭素数2~8のアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、
    19~R26の少なくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換されたアリール基、および置換された炭素数2~8のアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
    Zは、炭素原子または窒素原子であり、ただしZが窒素原子の場合、jは、0である;
    一般式(6)中、
    27およびR28は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、およびニトロ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、
    27およびR28の少なくとも一方は、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいアルコキシカルボニルアルキル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
    Pは、上記(p1)~(p5)のいずれかで表される4価の基であり、ハロゲン原子、置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも一つの置換基を有してもよい;
    一般式(7)中、
    29およびR30は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、およびニトロ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基および置換されてもよい炭素数6~20のアリール基からなる群から選択され、R29およびR30は、互いに連結して環構造を形成してもよく、
    31~R40は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、
    31~R40のすくなくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたアルコキシカルボニル基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
    ArおよびArは、それぞれ独立して、上記式(7a)または(7b)で表される基であり、
    41およびR42は、それぞれ独立して、水素原子およびハロゲン原子;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基および置換されてもよいアルコキシカルボニル基からなる群から選択される;
    一般式(8)中、
    43およびR44は、それぞれ独立して、水素原子、シアノ基、およびニトロ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基および置換されてもよい炭素数6~20のアリール基からなる群から選択され、R43およびR44は、互いに連結して環構造を形成してもよく、
    45およびR46は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいヘテロアリール基からなる群から選択され、
    45およびR46の少なくとも一方は、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたヘテロアリール基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
    ~Qは、それぞれ独立して、CHまたは窒素原子である;
    一般式(9)中、
    47~R50は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基およびヒドロキシ基;ならびに置換されてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換されてもよい炭素数3~12のシクロアルキル基、置換されてもよい炭素数1~8のアルコキシ基、置換されてもよい炭素数6~20のアリール基および置換されてもよいヘテロアリール基からなる群から選択され、
    47~R50の少なくとも一つは、置換された炭素数1~8のアルキル基、置換された炭素数3~12のシクロアルキル基、置換された炭素数1~8のアルコキシ基、置換された炭素数6~20のアリール基および置換されたヘテロアリール基からなる群から選択され、ここで置換とは、少なくとも-COOH、-Si(OCH、-Si(OCまたは-OHで置換されたことを意味し、
    ~Q12は、それぞれ独立して、炭素原子または窒素原子である。
  5. 前記電子輸送性化合物が、前記一般式(1)、(3)、(4)および(6)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項4に記載の電子写真感光体の製造方法
  6. 前記電子輸送性化合物で表面処理した無機粒子を作製する工程において、前記無機粒子の表面上に前記電子輸送性化合物および重合性基由来の基を有する表面処理剤を付着または結合させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法によって製造された電子写真感光体を用いて画像形成装置を製造することを含む、画像形成装置の製造方法
  8. 請求項7に記載の画像形成装置の製造方法により製造された画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの製造方法であって、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法によって製造された電子写真感光体を用いて前記プロセスカートリッジを製造することを含み、
    前記プロセスカートリッジが、前記製造された電子写真感光体と、帯電手段、露光手段および現像手段の少なくとも一つとを一体として有しており、前記画像形成装置に出し入れ可能に構成されている、プロセスカートリッジの製造方法
JP2018165629A 2018-09-05 2018-09-05 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法 Active JP7230376B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018165629A JP7230376B2 (ja) 2018-09-05 2018-09-05 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018165629A JP7230376B2 (ja) 2018-09-05 2018-09-05 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020038310A JP2020038310A (ja) 2020-03-12
JP7230376B2 true JP7230376B2 (ja) 2023-03-01

Family

ID=69737915

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018165629A Active JP7230376B2 (ja) 2018-09-05 2018-09-05 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7230376B2 (ja)

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006063341A (ja) 2004-08-09 2006-03-09 Xerox Corp 電荷輸送部分が表面にグラフト結合された表面グラフト結合体
JP2006259141A (ja) 2005-03-16 2006-09-28 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JP2010091910A (ja) 2008-10-10 2010-04-22 Konica Minolta Business Technologies Inc 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010127963A (ja) 2008-11-25 2010-06-10 Konica Minolta Business Technologies Inc 有機感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010180079A (ja) 2009-02-04 2010-08-19 Konica Minolta Business Technologies Inc 無機微粒子、有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2011037745A (ja) 2009-08-10 2011-02-24 Konica Minolta Business Technologies Inc 電荷輸送性化合物、無機微粒子、有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2013117572A (ja) 2011-12-01 2013-06-13 Ricoh Co Ltd 感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2015230437A (ja) 2014-06-06 2015-12-21 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体、電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2015230435A (ja) 2014-06-06 2015-12-21 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体
JP2016028268A (ja) 2014-07-09 2016-02-25 キヤノン株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2017151365A (ja) 2016-02-26 2017-08-31 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体および画像形成装置
JP2017161712A (ja) 2016-03-09 2017-09-14 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体、画像形成方法および画像形成装置

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006063341A (ja) 2004-08-09 2006-03-09 Xerox Corp 電荷輸送部分が表面にグラフト結合された表面グラフト結合体
JP2006259141A (ja) 2005-03-16 2006-09-28 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置
JP2010091910A (ja) 2008-10-10 2010-04-22 Konica Minolta Business Technologies Inc 有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010127963A (ja) 2008-11-25 2010-06-10 Konica Minolta Business Technologies Inc 有機感光体、画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2010180079A (ja) 2009-02-04 2010-08-19 Konica Minolta Business Technologies Inc 無機微粒子、有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2011037745A (ja) 2009-08-10 2011-02-24 Konica Minolta Business Technologies Inc 電荷輸送性化合物、無機微粒子、有機感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2013117572A (ja) 2011-12-01 2013-06-13 Ricoh Co Ltd 感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP2015230437A (ja) 2014-06-06 2015-12-21 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体、電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP2015230435A (ja) 2014-06-06 2015-12-21 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体
JP2016028268A (ja) 2014-07-09 2016-02-25 キヤノン株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2017151365A (ja) 2016-02-26 2017-08-31 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体および画像形成装置
JP2017161712A (ja) 2016-03-09 2017-09-14 コニカミノルタ株式会社 電子写真感光体、画像形成方法および画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020038310A (ja) 2020-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6065872B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ
WO2006129879A1 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JPH1138656A (ja) 電子写真感光体
JP6398926B2 (ja) 電子写真感光体ならびにこれを用いた画像形成装置および画像形成方法
JP5915396B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置
JP6642134B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法および画像形成装置
JP6354352B2 (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP6627605B2 (ja) 電子写真感光体ならびにこれを用いた画像形成装置および画像形成方法
WO2006057373A1 (ja) 電子写真用感光体
JPH11316466A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP7230376B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法
JP2007164185A (ja) 光導電性部材
JP5598013B2 (ja) 画像形成装置用像保持体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP3834002B2 (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
US9188886B2 (en) Image holding member for image forming apparatus, process cartridge, and image forming apparatus
JP7155864B2 (ja) 電子写真感光体
JP7287105B2 (ja) 電子写真感光体
JP3878064B2 (ja) 電子写真感光体及びその製造方法
JP2018025707A (ja) 電子写真感光体、電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP5540962B2 (ja) 画像形成装置用像保持体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2019184775A (ja) 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電子写真画像形成装置、電子写真画像形成方法及びプロセスカートリッジ
JP5728860B2 (ja) N−フェニル−ジフェニルイソインドール誘導体およびそれらの製造方法
JP7110844B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法、および画像形成装置
JP4178724B2 (ja) ペリレン混成顔料、及び画像形成装置、プロセスカートリッジ
JP2021165804A (ja) 電子写真感光体及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210715

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220427

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220715

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221208

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20221208

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20221216

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20221220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7230376

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150