JP7228960B2 - 野菜汁/果汁含有飲料およびその原材料の製造方法 - Google Patents
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Description
〔2〕 プロテアーゼ処理した豆類の汁をさらにホモジナイズすることを特徴とする〔1〕に記載の野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法。
〔3〕 プロテアーゼ処理した豆類の汁をさらに加熱することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法。
〔4〕 前記豆類がグリーンピースであることを特徴とする〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法。
〔5〕 〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法で得られた原材料を含有させることを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の製造方法。
〔6〕 〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法で得られた原材料と、他の原材料とを混合した後、ホモジナイズすることを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の製造方法。
〔7〕 豆類の汁をプロテアーゼで処理することを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の原材料の性状安定化方法。
〔8〕 〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法で得られた原材料を含有させることを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の性状安定化方法。
〔9〕 グリーンピースピューレ含む野菜汁と、果汁とを含有する容器詰酸性飲料において、経時によって、飲料液に生じる沈殿層の表面上に形成される白色凝集物の生成抑制剤であって、プロテアーゼを有効成分とすることを特徴とする、剤。
〔10〕 グリーンピースピューレ含む野菜汁と、果汁とを含有する容器詰酸性飲料において、飲料液をプロテアーゼ処理することを特徴とする、経時によって、飲料液に生じる沈殿層の表面上に形成される白色凝集物の生成を抑制する方法。
1.野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法
本発明の一実施形態に係る野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法は、豆類の汁をプロテアーゼで処理するものである。
ここで、本明細書において「野菜汁/果汁含有飲料」とは、野菜汁および/または果汁を含有する飲料を意味する。
本実施形態で用いる豆類の種類としては、エンドウ(さやえんどう、グリーンピース等を含む)、アズキ、ダイズ(エダマメを含む)、インゲンマメ、ヒヨコマメ、リョクトウ、ソラマメ、レンズマメ、落花生等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、野菜汁/果汁含有飲料に濃度感やコク味を付与する効果に優れる観点から、グリーンピース、エダマメが好ましく、さらに他の野菜汁や果汁の風味を損ねない観点で、グリーンピースが特に好ましい。
一般に、沈殿や凝集の原因成分を分画や遠心分離などにより物理的に除去すると、野菜汁/果汁含有飲料中の固形分が減少してしまうため飲料の濃度感が低減してしまい、また、後述する実施例にて示すとおり、上記白色凝集物の原因成分を分画にて除去すると野菜汁/果汁含有飲料のコク味等が低下してしまう。しかし、本実施形態によれば、豆類の汁をプロテアーゼで処理することで、白色凝集物の発生を抑制することができ、さらに得られる原材料を野菜汁/果汁含有飲料に含有させることで、濃度感やコク味を低下させることなく、白色凝集物の発生を抑制することができる。さらに、プロテアーゼ処理した原材料を野菜汁/果汁含有飲料に含有させると、飲料におけるパルプ分等の沈殿の透明性が向上し、かつ再分散性が改善されるという効果も奏する。
本実施形態で用いるプロテアーゼは特に制限されない。処理条件に応じ、至適pHが酸性、中性、アルカリ性のいずれのプロテアーゼを用いてもよいが、酸性または中性のプロテアーゼが好ましい。プロテアーゼの起源は、麹菌、酵母、枯草菌、納豆菌などの微生物起源;パパイヤ、パイナップルなどの植物起源;ウシ、ヤギ等の動物起源;などが挙げられ、いずれを用いてもよいが、入手の容易性や処理効果の観点から、微生物起源のプロテアーゼを用いることが好ましい。
例えば、プロテアーゼの使用量は、0.05~200mg/Lとすることができ、さらには0.1~100mg/Lとすることができる。また、プロテアーゼ処理の温度は、例えば、25~70℃とすることができ、さらには35~60℃とすることができる。プロテアーゼ処理の時間は、例えば、30~200分とすることができ、さらには45~90分とすることができる。
本実施形態においては、プロテアーゼ処理した豆類の汁をさらに加熱することが好ましい。加熱することにより、上記処理に用いたプロテアーゼを失活させ、本実施形態で得られる原材料を野菜汁/果汁含有飲料に配合したときに、プロテアーゼ活性の持ち込みを防ぐことができるとともに、後述するホモジナイズの効果が強まる傾向にある。
なお、加熱はプロテアーゼ処理の後であればよく、後述するホモジナイズの前でも後でもよい。
加熱の温度や時間等の条件は特に制限されないが、プロテアーゼを失活させる観点と、豆類の汁に含まれる成分が過度な加熱により変性するのを抑制する観点から、例えば、加熱温度は80~150℃とすることができ、好ましくは85~110℃とすることができる。加熱時間は、例えば、10秒~120秒とすることができる。
本実施形態においては、プロテアーゼ処理の前または後に、豆類の汁をホモジナイズしてもよい。ホモジナイズを行うことにより、豆類の汁に含まれる微粒子が微細化・均質化され、成分の沈降をさらに抑制することができるとともに、沈殿の再分散性が改善する。また、かかるホモジナイズの効果は、前述したプロテアーゼ処理後の加熱により強まる傾向にある。
ホモジナイズは、プロテアーゼ処理の前であっても後であっても良いが、ホモジナイズの効果をより高める観点から、プロテアーゼ処理の後に行うことが好ましく、加熱のさらに後に行うことがより好ましい。
本実施形態においては、上述した処理の他、本実施形態による効果を損なわない範囲で、希釈、濃縮、pH調整、安定剤の添加等、任意のステップを採用し得る。
本実施形態に係る方法で製造された野菜汁/果汁含有飲料の原材料は、直ちに野菜汁/果汁含有飲料の製造に用いても良く、冷蔵、冷凍等で保管した後に野菜汁/果汁含有飲料の製造に用いても良い。
ここで、本実施形態により抑制される白色凝集物は、ヨウ素染色により呈色し、またブラッドフォード試薬により発色することから、少なくともデンプンとタンパク質との複合体であることが確認される。しかし、後述する実施例にて示すとおり、かかる白色凝集物は、プロテアーゼ処理により消失するが、アミラーゼ処理では消失しない。また、後述する実施例にて示すとおり、豆類の汁を分画することによっても、かかる白色凝集物の発生を抑制することができるが、白色凝集物の発生が抑制される画分を用いて野菜汁/果汁含有飲料を製造しても、濃度感・コク味に劣るものとなる。
本発明の一実施形態に係る野菜汁/果汁含有飲料の製造方法は、上述した実施形態に係る方法で得られた原材料(豆類プロテアーゼ処理物)を含有させるものである。
例えば、上記豆類プロテアーゼ処理物と、後述する野菜汁/果汁と、必要に応じて各種添加剤などを添加して攪拌し、さらに必要に応じてホモジナイズおよびpH調整を行い、飲料原液を調製する。得られた飲料原液を殺菌し、容器に充填することにより、本実施形態に係る野菜汁/果汁含有飲料を製造することができる。以下、各成分および工程についてやや詳しく説明する。
上述した実施形態にて得られた原材料(豆類プロテアーゼ処理物)の、野菜汁/果汁含有飲料における配合量は、ストレート換算で0.1~2.0質量%であることが好ましく、0.2~1.0質量%であることがさらに好ましく、0.4~0.8質量%であることが特に好ましい。豆類プロテアーゼ処理物の配合量が上記下限値以上であると、野菜汁/果汁含有飲料に適度な濃度感・コク味を付与することができる。一方、豆類プロテアーゼ処理物の配合量が上記上限値以下であると、豆類プロテアーゼ処理物による風味が強くなりすぎず、後述する他の野菜汁や果汁に由来する風味の好ましい飲料を得ることができる。
本実施形態において配合される野菜汁、果汁は、従来公知の方法により得ることができる。
野菜汁の原料となる野菜は、当業界で通常用いられているものを用いることができ、特に限定されない。その具体例としては、例えば、ニンジン、タマネギ、ブロッコリー、カブ大根、キャベツ、芽キャベツ、芽キャベツの葉、セロリ、ホウレンソウ、ピーマン、アスパラガス、大麦若葉、春菊、白菜、カラシ菜、サラダ菜、小松菜、チンゲン菜、明日葉、甘藷、馬鈴薯、トマト、モロヘイヤ、パプリカ、クレソン、パセリ、セロリ、三つ葉、レタス、ラディッシュ、ケール、メキャベツの葉、紫蘇、茄子、大根、カボチャ、牛蒡、ネギ、生姜、大蒜、ニラ、高菜、カリフラワー、トウモロコシ、オクラ、かぶ、きゅうり、コールラビ、ウリ、ズッキーニ、へちま、もやし、各種スプラウト類等が挙げられる。
なお、野菜汁は、上記野菜のいずれか1種を単独で用いたもの、或いは、2種以上を併用したもののいずれであってもよい。また、2種以上を併用する場合、各野菜(野菜汁)の割合は、必要に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
なお、果汁は、上記果実のいずれか1種を単独で用いたもの、或いは、2種以上を併用したもののいずれであってもよい。また、2種以上を併用する場合、各果実(果汁)の割合は、必要に応じて適宜調整することができ、特に限定されない。
公知の手法としては、例えば、必要に応じて洗浄、殺菌、剥皮、皮や種子等の除去、プランチング、破砕、裏ごし等の前処理を行った原料となる野菜および/または果実を、油圧プレス機、ローラー圧搾機やインライン搾汁機を用いて圧搾し搾汁する方法、パルパー・フィニッシャー等を用いて破砕し搾汁する方法、並びにクラッシャー等を用いて破砕した後、エクストラクター等を用いて搾汁する方法等が挙げられる。
さらに、これらの方法に従って圧搾(搾汁)されたものを、所望により、ペクチナーゼやセルラーゼといった酵素処理、ジューサーにかけたり、殺菌を行ってもよい。また、必要に応じて野菜汁・果汁を濃縮してもよく、この場合の濃縮方法としては、例えば、通常の加熱による濃縮、減圧濃縮、低温濃縮、真空濃縮、凍結濃縮、および逆浸透濃縮等が知られている。
上記の野菜汁および/または果汁の野菜汁/果汁含有飲料への配合量は、対象となる野菜汁/果汁含有飲料の種類や用いる野菜汁/果汁にもよるが、濃縮野菜汁/果汁を用いることによりストレート換算で100%以上の飲料を作成することも可能である。上記野菜汁および/または果汁の配合量は、例えば、ストレート換算で20~200質量%とすることができ、80~180質量%とすることができ、さらには100~150質量%とすることができる。
本実施形態にあっては、前述した原料の他、本実施形態の効果を損なわない範囲において、ビタミン類、ミネラル分、甘味付与剤、香料、酸味料、糊料、機能性成分等を含有してもよい。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンKおよびビタミンB群等が挙げられる。
ミネラル分としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、クロム、銅、フッ素、ヨウ素、鉄、マンガン、リン、セレン、ケイ素、モリブデン等が挙げられる。これらは、無機塩として配合されてもよく、他の原料(例えば、前述した緑系植物由来物)の含有成分として配合されてもよい。
甘味付与剤としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、還元麦芽糖等の糖類;砂糖、グラニュー糖、異性化糖、キシリトール、パラチノース、エリスリトール等の甘味料;アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料;ソルビトール等の糖アルコールなどが挙げられ、さらにシュガーレスバルク甘味料、バルク砂糖甘味料等を含んでいてもよいが、糖類が無添加であることがより好ましい。
香料としては、例えば、柑橘その他果実から抽出した香料、植物の種実、根茎、木皮、葉等またはこれらの抽出物、乳または乳製品から得られる香料、合成香料等が挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸等が挙げられる。
糊料としては、例えば、ペクチン、セルロース、ゼラチン、コラーゲン、寒天、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、ガラクトマンナン類、アラビアガム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等が挙げられる。
機能性成分としては、例えば、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、ヒアルロン酸、プラセンタ、牡蠣エキス、キトサン、プロポリス、ローヤルゼリー、トコフェロール、ポリフェノール、梅エキス、アロエ、霊芝、アガリクス等が挙げられる。
これらの添加物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態においては、上記原材料を混合した後、得られた飲料原液をホモジナイズすることが好ましい。ホモジナイズを行うことにより、野菜汁・果汁等の原材料に含まれる微粒子が微細化・均質化され、成分の沈降をさらに抑制することができるとともに、沈殿の再分散性が改善する。
ホモジナイズの方法・条件等は特に限定されず、例えば、前述した豆類の汁のホモジナイズにおいて例示した方法・条件を好適に採用することができる。
本実施形態で製造される野菜汁/果汁含有飲料は、酸性であることが好ましく、そのpHは、2~6であることが好ましく、2~4であることがさらに好ましい。野菜汁/果汁含有飲料のpHが上記範囲内にあると、ほどよい酸味が得られ、嗜好的に好ましい飲料となる。
本実施形態で製造される野菜汁/果汁含有飲料は、通常、容器に充填された状態で提供される。かかる容器としては、当業界で公知のものを適宜選択して用いることができ、特に限定されない。その具体例としては、例えば、紙容器、透明または半透明のビン、PETボトル等の透明または半透明のプラスチック容器、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶等が挙げられる。容器の形状や色彩も特に限定されず、流通形態や消費者ニーズに応じて適宜決定することができる。なお、本実施形態においては白色凝集物の発生が抑制されることから、透明容器を好適に用いることができる。
また、本実施形態で得られた野菜汁/果汁含有飲料において、豆類の汁による濃度感やコク味を損なうことなく、白色凝集物の発生が抑制されたものとなる。
経時保管により白色凝集物が生じる野菜汁・果汁混合飲料(製品)において、白色凝集物の原因となる原材料の特定を試みた。
具体的には、上記野菜汁・果汁混合飲料に配合される野菜汁(ホウレンソウ汁等)および果汁(りんご透明果汁,りんご混濁果汁等)の各原材料のうち、製品への配合濃度と等しくなるよう水で希釈したときに濁りが認められるのは、りんご混濁果汁、りんごピューレ、およびグリ-ンピースピューレの3種であった。この3種を中心に、表1に示す原材料を、製品への配合濃度と等しくなるよう配合し、pHを3.7に調整の上、ガラス瓶に30mLずつ封入して108℃・1分間オートクレーブで処理し、飲料サンプルを製造した。
なお、りんご混濁果汁については、蒸留水で2倍希釈し遠心処理(3500rpm,10分間)した上清についても、同様に飲料サンプルを製造した。
得られた各飲料サンプルについて、25℃で14日間保管した後、沈殿の性状を観察した。
他の原材料について検討したところ、グリーンピースピューレをりんご混濁果汁と併用した試料6では、試料3より白色凝集物が多くなり、りんご混濁果汁を遠心処理した試料7では、白色凝集物の生成が試料3と同程度であった。
グリ-ンピースピューレを希釈し(ストレート換算で17.9質量%)、pH=3程度となるようクエン酸を添加した。これらの試料に対し、酸性プロテアーゼ(新日本化学工業社製,スミチームLPL-G)、またはアミラーゼ(新日本化学工業社製,スミチームAS)をそれぞれ5mg/mLとなるよう添加し、40℃で3時間反応させた。その後遠心分離(3500rpm,5分)することにより沈殿層を形成し、その性状を観察した。結果を表1に示す。
この白色沈殿層は、アミラーゼ処理では変化が認められなかったのに対し、プロテアーゼ処理では消失した。
グリーンピースピューレ(ストレート換算で71.4質量%)に対し、中性プロテアーゼ(スミチームFP-G,スミチームFL-G,スミチームBNP;いずれも新日本化学工業社製)を0.5mg、5mg、および50mg添加し、全量が8mLとなるように蒸留水で希釈した。これを50℃で1時間振とうした後、クエン酸を終濃度が2400ppmとなるように加え、108℃・1分間加熱し、室温で静置して沈殿を観察した。
グリ-ンピースピューレ(ストレート換算で71.4質量%)8mLを水浴にて50℃10分予備加温したのち、プロテアーゼ(スミチームFP-G,新日本化学工業社製)を終濃度5mg/mLとなるよう添加し、50℃1時間反応させた。なお、コントロールについては、プロテアーゼを添加しない以外は同様に処理した。
反応終了後、水浴にて95℃120秒加熱し、その後流水にて冷却した後、蒸留水にて10倍希釈し、得られたサンプルをタービスキャン(英弘精機社製,TURBISCAN CLASSIC MA2000)にて、1分毎に30分間測定した(ホモジナイズ前)。
続けて、サンプルを卓上ホモジナイザー(KINEMATICA社製,PT10-35 (シャフトPT-DA 12/2EC-E157))にて5目盛に合わせ10分処理した。その後、再びタービスキャンにて、5分毎に600分間測定した(ホモジナイズ後)。
タービスキャンの測定結果を図1に示す。また、得られた測定結果より、サンプルの上清の幅を算出し、その時間変化をグラフにて表した。結果を図2に示す。
また、タービスキャンの分析に供したホモジナイズ後の試料を3日間静置し、その後転倒混和して観察したところ、酵素処理によって沈殿層の色が全体的に薄くなり、表層の微細粒子による沈殿層が消失していることが見て取れた。また、再分散時の白色凝集物の発生も抑制されていた。
これらのことから、酵素処理によってタンパク質を含む微細粒子が減少するとともに、比較的大きな粒子もタンパク質の分解によって密度が低下し、結果として沈殿層の嵩の増大と透明化および表層の白色塊の減少が引き起こされたことが示唆された。
(実施例1)
グリ-ンピースピューレ(ストレート換算で71.4質量%)128mLを水浴にて50℃10分予備加温したのち、51.2mg/mLプロテアーゼ(スミチームFP-G,新日本化学工業社製)水溶液を5mL添加し、50℃1時間反応させた。反応終了後、蒸留水で192mLにメスアップし、95℃120秒加熱した後、流水にて冷却し、グリ-ンピースのプロテアーゼ処理物を得た。
得られたプロテアーゼ処理物を、ストレート換算で0.46質量%となるよう配合するとともに、野菜汁(主原料:ホウレンソウ汁等)および果汁(主原料:りんご透明果汁,りんご混濁果汁等)を配合し、得られた飲料原液をホモジナイズするとともにpHを3.7に調整の上、95℃・達温にて殺菌し、野菜汁・果汁混合飲料を製造した。
プロテアーゼ処理物に替えて、実施例1で用いたグリ-ンピースピューレをそのままストレート換算で0.46質量%となるよう配合した以外は、実施例1と同様にして、野菜汁・果汁混合飲料を製造した。
実施例1で用いたグリ-ンピースピューレ38.4gを、卓上ホモジナイザー(KINEMATICA社製,PT10-35 (シャフトPT-DA 12/2EC-E157))にて5目盛りに合わせ10分処理した。得られたホモジナイズ処理物を、180μmメッシュにて濾別し、濾物を回収した。濾液を再び180μmメッシュにて濾別し、濾物を回収した。得られた濾物を合わせ、蒸留水にて38.4gにメスアップし、グリ-ンピースの分画処理物を得た。
得られた分画処理物は、試験例2と同様にクエン酸を添加し(pH=3程度となるよう調整)、遠心分離(3500rpm,5分)にて沈殿層を形成させたところ、白色凝集物の形成が認められないものであった。
得られた分画処理物を、実施例1のプロテアーゼ処理物に替えてストレート換算で0.46質量%となるよう配合した以外は、実施例1と同様にして、野菜汁・果汁混合飲料を製造した。
以上のようにして得られた実施例および比較例の野菜汁・果汁混合飲料について、25℃1カ月保管後の沈殿の性状を観察した。沈殿の評価は、比較例1を対照とし、これと比較して白色凝集物が増えているか、減っているかを評価した。
また、各野菜汁・果汁混合飲料の官能評価を行った。官能評価は、株式会社伊藤園の研究開発部門に所属する研究者等の中から選抜した、訓練された6人のパネラーに対し、5℃2週間保管後の各野菜汁・果汁混合飲料を試飲させ、香味が比較例1と比較してどのように変化しているか否かを評価させた。
結果を表3に示す。
比較例2の野菜汁・果汁混合飲料は、比較例1と比べ白色凝集物の発生が抑制されていたが、香味は比較例1より劣っていた。
Claims (7)
- 野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法であって、
グリーンピースの汁をプロテアーゼで処理し、プロテアーゼ処理したグリーンピースの汁をさらに加熱することを含み、
得られた原材料は、他の原材料と混合した後、加熱殺菌されることを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法。 - プロテアーゼ処理したグリーンピースの汁をさらにホモジナイズすることを特徴とする請求項1に記載の野菜汁/果汁含有飲料の原材料の製造方法。
- 野菜汁/果汁含有飲料の製造方法であって、
請求項1または2に記載の方法で得られた原材料と、他の原材料とを混合した後、加熱殺菌することを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の製造方法。 - 請求項1または2に記載の方法で得られた原材料と、他の原材料とを混合した後、ホモジナイズすることを特徴とする請求項3に記載の野菜汁/果汁含有飲料の製造方法。
- 野菜汁/果汁含有飲料の原材料の性状安定化方法であって、
グリーンピースの汁をプロテアーゼで処理し、プロテアーゼ処理したグリーンピースの汁をさらに加熱することを含み、
得られた原材料は、他の原材料と混合した後、加熱殺菌されることを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の原材料の性状安定化方法。 - 野菜汁/果汁含有飲料の性状安定化方法であって、
請求項1または2に記載の方法で得られた原材料と、他の原材料とを混合した後、加熱殺菌することを特徴とする野菜汁/果汁含有飲料の性状安定化方法。 - グリーンピースピューレを含む野菜汁と、果汁とを含有する容器詰酸性飲料において、経時によって、飲料液に生じる沈殿層の表面上に形成される白色凝集物の生成を抑制する方法であって、
前記グリーンピースピューレをプロテアーゼ処理し、プロテアーゼ処理したグリーンピースピューレをさらに加熱することを含み、
得られたグリーンピースピューレを、他の原材料と混合して加熱殺菌することを特徴とする、方法。
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