以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
(射出成形機)
図1は、一実施形態に係る射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態に係る射出成形機の型締時の状態を示す図である。本明細書において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向及びY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
図1~図2に示すように、射出成形機10は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700と、フレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置フレーム910と、射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910及び射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ930を介して床2に設置される。射出装置フレーム920の内部空間に、制御装置700が配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧及び型開を行う。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、及び型厚調整機構180を有する。
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、型締、脱圧、及び型開が行われる。
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられてよい。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器141が用いられるが、本発明はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1及び図2に示す構成に限定されない。例えば図1及び図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボール又はローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、型締工程、脱圧工程、及び型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、及びクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、及び可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。
型締工程では、型締モータ160を駆動して、クロスヘッド151の位置を型締位置に維持する。型締工程では、昇圧工程で発生させた型締力が維持される。型締工程では、可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間801(図2参照)が形成され、射出装置300がキャビティ空間801に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
キャビティ空間801の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間801の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間801の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型820から成形品を突き出す。
型閉工程、昇圧工程及び型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程及び昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、及び型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、及び型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
脱圧工程及び型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程及び型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、及び型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、及び型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角θ(以下、「リンク角度θ」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う。尚、型厚調整のタイミングは、例えば成形サイクル終了から次の成形サイクル開始までの間に行われる。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181及びねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転駆動力は、回転駆動力伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転駆動力伝達部185は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車及び駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させる。その結果、トグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lが調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、及び間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
エジェクタ装置200は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置200は、金型装置800から成形品を突き出すエジェクタロッド210と、エジェクタロッド210をX軸方向に移動させる駆動機構220とを有する。
エジェクタロッド210は、可動プラテン120の貫通穴に進退自在に配置される。エジェクタロッド210の前端部は、可動金型820の内部に進退自在に配置される可動部材830と接触する。エジェクタロッド210の前端部は、可動部材830と連結されていても、連結されていなくてもよい。
駆動機構220は、例えば、エジェクタモータと、エジェクタモータの回転運動をエジェクタロッド210の直線運動に変換する運動変換機構とを有する。運動変換機構は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボール又はローラが介在してよい。
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド210を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材830を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータを駆動してエジェクタロッド210を設定移動速度で後退させ、可動部材830を元の待機位置まで後退させる。
エジェクタロッド210の位置や移動速度は、例えばエジェクタモータエンコーダを用いて検出する。エジェクタモータエンコーダは、エジェクタモータの回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、エジェクタロッド210の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、及びエジェクタロッド210の移動速度を検出するエジェクタロッド移動速度検出器は、エジェクタモータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
(射出装置)
射出装置300の説明では、型締装置100の説明やエジェクタ装置200の説明とは異なり、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
射出装置300はスライドベース301に設置され、スライドベース301は射出装置フレーム920に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間801に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、圧力検出器360などを有する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば樹脂などを含む。成形材料は、例えばペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータなどの加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(例えばX軸方向)に複数のゾーンに区分される。複数のゾーンのそれぞれに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。複数のゾーンのそれぞれに設定温度が設定され、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置800に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内に回転自在に且つ進退自在に配置される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置800内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプのいずれでもよい。尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば油圧ポンプなどでもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構などが設けられる。運動変換機構は、例えばねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラなどが設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば油圧シリンダなどでもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される力を検出する。検出した力は、制御装置700で圧力に換算される。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程及び保圧工程などを行う。充填工程と保圧工程とをまとめて射出工程とも呼ぶ。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転速度で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転速度は、例えば計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。尚、スクリュ330の回転速度を検出するスクリュ回転速度検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
計量工程におけるスクリュ330の位置及び回転速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、計量開始位置、回転速度切換位置及び計量完了位置が設定される。これらの位置は、前側から後方に向けてこの順で並び、回転速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、回転速度が設定される。回転速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。回転速度切換位置は、設定されなくてもよい。また、区間毎に背圧が設定される。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定移動速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置800内のキャビティ空間801に充填させる。スクリュ330の位置や移動速度は、例えば射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切換(所謂、V/P切換)が行われる。V/P切換が行われる位置をV/P切換位置とも呼ぶ。スクリュ330の設定移動速度は、スクリュ330の位置や時間などに応じて変更されてもよい。
充填工程におけるスクリュ330の位置及び移動速度は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)、移動速度切換位置及びV/P切換位置が設定される。これらの位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、移動速度が設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。
スクリュ330の移動速度が設定される区間毎に、スクリュ330の圧力の上限値が設定される。スクリュ330の圧力は、圧力検出器360によって検出される。圧力検出器360の検出値が設定圧力以下である場合、スクリュ330は設定移動速度で前進される。一方、圧力検出器360の検出値が設定圧力を超える場合、金型保護を目的として、圧力検出器360の検出値が設定圧力以下となるように、スクリュ330は設定移動速度よりも遅い移動速度で前進される。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置がV/P切換位置に達した後、V/P切換位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切換が行われてもよい。V/P切換の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進又は微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、及びスクリュ330の移動速度を検出するスクリュ移動速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも呼ぶ。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置800に向けて押す。金型装置800内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間などに応じて変更されてもよい。保圧工程における保持圧力及び保持圧力を保持する保持時間は、それぞれ複数設定されてよく、一連の設定条件として、まとめて設定されてよい。
保圧工程では金型装置800内のキャビティ空間801の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間801の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間801からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間801内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮を目的として、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内には、スクリュが回転自在に且つ進退不能に配置され、又はスクリュが回転自在に且つ進退自在に配置される。一方、射出シリンダ内には、プランジャが進退自在に配置される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
(移動装置)
移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、充填時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸負方向)を前方とし、計量時のスクリュ330の移動方向(例えばX軸正方向)を後方として説明する。
移動装置400は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置800に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430などを含む。モータ420を駆動すると、液圧ポンプ410が液圧シリンダ430に液圧を供給し、液圧シリンダ430が液圧によって射出装置300を進退させる。
尚、本実施形態では移動装置400は液圧シリンダ430を含むが、本発明はこれに限定されない。例えば、液圧シリンダ430の代わりに、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
(制御装置)
制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、図1~図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)701と、メモリなどの記憶媒体702と、入力インターフェース703と、出力インターフェース704とを有する。制御装置700は、記憶媒体702に記憶されたプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、入力インターフェース703で外部からの信号を受信し、出力インターフェース704で外部に信号を送信する。
制御装置700は、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、及び突き出し工程などを繰り返し行うことにより、成形品を繰り返し製造する。成形品を得るための一連の動作、例えば計量工程の開始から次の計量工程の開始までの動作を「ショット」又は「成形サイクル」とも呼ぶ。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」又は「サイクル時間」とも呼ぶ。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、及び突き出し工程をこの順で有する。ここでの順番は、各工程の開始の順番である。充填工程、保圧工程、及び冷却工程は、型締工程の間に行われる。型締工程の開始は充填工程の開始と一致してもよい。脱圧工程の終了は型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮を目的として、同時に複数の工程を行ってもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、型締工程の間に行われてよい。この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われることとしてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。ノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないからである。
尚、一回の成形サイクルは、計量工程、型閉工程、昇圧工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、脱圧工程、型開工程、及び突き出し工程以外の工程を有してもよい。
例えば、保圧工程の完了後、計量工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された計量開始位置まで後退させる計量前サックバック工程が行われてもよい。計量工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、計量工程の開始時のスクリュ330の急激な後退を防止できる。
また、計量工程の完了後、充填工程の開始前に、スクリュ330を予め設定された充填開始位置(「射出開始位置」とも呼ぶ。)まで後退させる計量後サックバック工程が行われてもよい。充填工程の開始前にスクリュ330の前方に蓄積された成形材料の圧力を低減でき、充填工程の開始前のノズル320からの成形材料の漏出を防止できる。
制御装置700は、操作装置750や表示装置760と接続されている。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置700に出力する。表示装置760は、制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた表示画面を表示する。
表示画面は、射出成形機10の設定などに用いられる。表示画面は、複数用意され、切換えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760で表示される表示画面を見ながら、操作装置750を操作することにより射出成形機10の設定(設定値の入力を含む)などを行う。
操作装置750及び表示装置760は、例えばタッチパネルで構成され、一体化されてよい。尚、本実施形態の操作装置750及び表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。操作装置750及び表示装置760は、型締装置100(より詳細には固定プラテン110)のY軸方向負側に配置される。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
図3は、金型装置の周囲にスライド式安全カバーが取り付けられた状態を示す図である。図4は、図3に示す第2操作部に設けられる操作ボタンの一例を示す図である。
図3に示すように金型装置800は、スライド式安全カバー9の内側に収容される。スライド式安全カバー9の正面には開口部が形成されている。開口部には透明な被投射部11が設けられている。被投射部11は、アクリル、ポリカーボネート等の透明な合成樹脂製の板状部材、ガラス製の板状部材などである。
スライド式安全カバー9の内側には、被投射部11へ画像を投射する投射装置8が設けられる。投射装置8は、例えばスライド式安全カバー9の内側の天井面に固定されている。尚、投射装置8の設置場所は、被投射部11に画像を投射できる場所であればよく、スライド式安全カバー9の内側の天井面に限定されない。
図3に示すようにスライド式安全カバー9の右側には操作装置750が設けられている。操作装置750は、例えば、金型装置800から離れた位置で、フレーム900上に固定される。図3では、フレーム900上に操作装置750を固定するための固定部材の図示が省略される。
操作装置750は、タッチパネル式表示器が設けられる第1操作部751と、図4に示される複数の操作ボタン1-1~1-4が設けられる第2操作部752とを備える。第1操作部751には、例えば条件入力用の入力部が設けられている。条件入力用の入力部は、射出成形機10による型閉じ、射出、保圧、計量、型開き、突出しなどの各工程に対して設定される動作条件である設定条件を入力するためのタッチパネル式の入力部である。設定条件は、成形時に射出成形機を動作させるための条件であるため、成形条件とも呼ばれる。尚、条件入力用の入力部の配置場所は、第1操作部751に限定されず、第2操作部752でもよい。
第2操作部752は、第1操作部751と金型装置800を覆うスライド式安全カバー9との間に設けられている。尚、操作装置750の設置場所は、金型装置800の周囲であればよく、スライド式安全カバー9の右側に限定されない。
図4に示すように、第2操作部752には、例えば4つの操作ボタン1-1~1-4が設けられている。4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれは、機械式ボタンである。
操作ボタン1-1は、型締装置100が金型装置800の型開動作を実行するためのボタンである。
操作ボタン1-2は、型締装置100が金型装置800の型閉動作を実行するためのボタンである。
操作ボタン1-3は、移動装置400が射出装置300を金型装置800に接近させることによりノズル320を金型装置800にタッチさせる動作を実行するためのボタンである。
操作ボタン1-4は、移動装置400が射出装置300を金型装置800から離間させることによりノズル320を金型装置800から離間させる動作を実行するためのボタンである。
以下では、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれを区別しない場合、「操作ボタン1」と称する場合がある。尚、操作ボタン1-1~1-4の配置場所は、第2操作部752に限定されず、第1操作部751でもよい。また、操作ボタン1は、機械式ボタンに限定されず、タッチパネル式のボタンでもよい。
図5は、射出成形機の操作者が第2操作部に設けられる操作ボタンを押すときの状態を示す図である。図5には、例えば最初の成形条件出し、射出成形機10の位置合わせ等の作業(以下、成形条件出し等の作業)を行う場合に、オペレータが第2操作部752に設けられる操作ボタン1を押すときの様子が示される。
第2操作部752上の操作ボタン1は、金型装置800から離れた場所に設置されているため、成形条件出し等の作業を行う場合、オペレータは、金型装置800の動作状態を確認するため金型装置800に視線Aを向けながら、操作ボタン1を手探りして、所望の操作ボタン1を押す必要がある。
従って、成形条件出し等の作業に不慣れなオペレータは、所望の操作ボタン1以外のボタンを押してしまい、これにより金型装置800が、オペレータの意図する動作とは異なる動作を行い、破損する可能性がある。また、成形条件出し等の作業を行う場合、所望の操作ボタン1と、操作ボタン1を押した後の金型装置800の動作とを交互に確認しながら、成形条件出し等の作業を行う場合もある。
このようなことに鑑み、一実施形態に係る射出成形機10は、金型装置800の周囲に設けられる被投射部11に、少なくとも、オペレータが押そうとする操作ボタン1の画像が表示されるように構成されている。これにより、金型装置800に向かうオペレータの視線A上、又は視線Aの近くに、操作ボタン1の画像が表示されるため、第2操作部752上の操作ボタン1を目視しなくても、押そうとしているボタンが、所望の操作ボタン1であるのか、所望の操作ボタン1以外のボタンであるのかを認識できる。なお、被投射部11の位置は、金型装置800を見ているオペレータの視界に入る位置であればよい。
従って、所望の操作ボタン1以外のボタンが押されるリスクが軽減され、その結果、金型装置800がオペレータの意図する動作とは異なる動作を行うことを防止でき、金型装置800の破損を防止できる。また、第2操作部752上の操作ボタン1を目視しなくてもよいため、第2操作部752上の操作ボタン1と金型装置800の動作とを交互に確認する手間が省け、成形条件出し等の作業時間を大幅に短縮することができる。
尚、「押そうとする」とは、オペレータの手が操作ボタン1に触れる前の状態、又は、オペレータの手が操作ボタン1に触れているものの操作ボタン1が最後まで押し込まれていない状態を含む。操作ボタン1が最後まで押し込まれることによって、操作ボタン1の機能に対応した動作が射出成形機10で実行されるため、操作ボタン1が最後まで押し込まれるまでは当該動作は実行されない。
図6は、一実施形態にかかる射出成形機が備える制御装置の構成要素を機能ブロックで示す図である。図6に示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部又は一部を、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、図1、図2に示されるCPU701にて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
制御装置700には、センサ31、センサ32及び投射装置8が接続される。
センサ31は、例えば、オペレータの手との距離を計測する近接センサである。センサ31は、複数の操作ボタン1-1~1-4のそれぞれに設けられている。センサ31は、オペレータが押そうとする操作ボタンを特定するためのセンサである。押そうとするとは、オペレータの手が操作ボタン1に触れる前の状態、又は、オペレータの手が操作ボタン1に触れているものの操作ボタン1が最後まで押し込まれていない状態を含む。センサ31は、手との距離を計測し、計測した距離の値を示す距離データを、データ3aとしてセンサデータ入力部730に入力する。
センサ32は、例えば圧力センサである。センサ32は、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれに設けられている。センサ32は、操作ボタン1に作用する圧力を、圧力の大きさに応じて値が異なる電圧に変換し、変換した電圧の値を示す電圧データを、データ3bとしてセンサデータ入力部730に入力する。
制御装置700は、データ3a、3bを入力するセンサデータ入力部730と、特定情報提供部710とを備える。センサデータ入力部730及び特定情報提供部710は、CPU701が記憶媒体702に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。尚、これらの機能の全部又は一部は、ワイヤードロジックによるハードウェア上で実行しても良い。
センサデータ入力部730は、データ3a、3bを入力して、入力したデータ3aを手画像データパターン生成部712に送信し、入力したデータ3bを強調画像データパターン生成部713に送信する。
特定情報提供部710は、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1の画像、オペレータの手の画像など)をオペレータに提供するための機能として、第1画像データパターン出力部23、第2画像データパターン出力部22、第3画像データパターン出力部24、記憶媒体702、及び画像データパターン送信部714を備える。
第1画像データパターン出力部23は、手画像データパターン生成部712を備える。第2画像データパターン出力部22は、強調画像データパターン生成部713を備える。第3画像データパターン出力部24は、画像データパターン送信部714を備える。第2画像データパターン出力部22と第3画像データパターン出力部24は、操作ボタン1の特定情報として、操作ボタン1を示す画像データパターンを出力する。
記憶媒体702は、配列情報702a及びボタン画像データパターン702bを保持している。配列情報702aは、例えば、図4に示される4つの操作ボタン1-1~1-4の配列状態を表す情報である。ボタン画像データパターン702bは、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれの機能に対応する図柄を表すデータである。図柄は、例えば図4に示される操作ボタン1-1に表示される型開工程を表す模様、操作ボタン1-2に表示される型閉工程を表す模様などである。
手画像データパターン生成部712は、記憶媒体702が保持している配列情報702aを参照し、配列情報702aに含まれる座標位置に基づき、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれの位置を特定する。そして、手画像データパターン生成部712は、入力したデータ3a(距離データ)に基づき、特定した4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれの位置に対する、オペレータの手の相対位置を算出する。最後に、手画像データパターン生成部712は、算出した相対位置における手の画像を示す手画像データパターン712aを生成して、画像データパターン送信部714に入力する。
強調画像データパターン生成部713は、操作ボタン1が押された場合、押された操作ボタン1の画像を、押される前の操作ボタン1の画像と比べて強調して表示させる強調表示制御部を構成する。
強調画像データパターン生成部713は、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、センサ32で検出された電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態であるか、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態であるかを判断する。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態の場合、強調画像データパターン生成部713は、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態を示す強調画像を表示させるため、データ3bの送信元のセンサ32が設けられる操作ボタン1に対応するボタン画像データパターン702bを、記憶媒体702から読み出す。そして、強調画像データパターン生成部713は、読み出したボタン画像データパターン702bと、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態を示す図柄データとに基づき、強調画像データパターン713aを生成して、画像データパターン送信部714に入力する。当該図柄データは、強調画像データパターン生成部713又は記憶媒体702に予め格納されている。強調画像データパターン713aは、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態を示す画像データである。強調画像データパターン713aは、操作ボタン1の特定情報として、操作ボタン1を示す画像データパターンの一つである。
操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態の場合、強調画像データパターン生成部713は、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態を示す強調画像を表示させるため、データ3bの送信元のセンサ32が設けられる操作ボタン1に対応するボタン画像データパターン702bを、記憶媒体702から読み出す。そして、強調画像データパターン生成部713は、読み出したボタン画像データパターン702bと、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態を示す図柄データとに基づき、強調画像データパターン713bを生成して、画像データパターン送信部714に入力する。当該図柄データは、強調画像データパターン生成部713又は記憶媒体702に予め格納されている。強調画像データパターン713bは、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態を示す画像データである。強調画像データパターン713bは、操作ボタン1の特定情報として、操作ボタン1を示す画像データパターンの一つである。強調画像データパターン713bにより表示される画像は、最後まで押し込まれる前の操作ボタン1の図柄とは異なる色、異なる図柄などで表現することで実現される。
画像データパターン送信部714は、記憶媒体702が保持しているボタン画像データパターン702bを読み出して、投射装置8へ送信する。すなわち、画像データパターン送信部714は、特定情報として、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための操作ボタン1のボタン画像データパターン702bを、投射装置8に送信する。ボタン画像データパターン702bを投射装置8へ送信することにより、被投射部11に複数の操作ボタン1の画像を表示させることができる。
また画像データパターン送信部714は、手画像データパターン生成部712から入力された手画像データパターン712aを投射装置8へ送信する。手画像データパターン712aを投射装置8へ送信することにより、被投射部11にオペレータの手の画像を表示させることができる。
また、画像データパターン送信部714は、強調画像データパターン生成部713から入力された強調画像データパターン713a、713bを投射装置8へ送信する。強調画像データパターン713a、713bを投射装置8へ送信することにより、強調表示された操作ボタン1の画像を被投射部11に表示させることができる。
投射装置8は、画像データパターン送信部714からの各画像データパターンに基づき、操作ボタン1の画像、オペレータの手の画像、強調表示された操作ボタン1の画像などを、被投射部11に投射する。
次に、制御装置700による画像表示動作について説明する。
図7は、図6に示す制御装置による画像表示処理のフローチャートである。
ステップS1において、記憶媒体702から読み出されたボタン画像データパターン702bが、画像データパターン送信部714に入力され、投射装置8へ送信される。これにより、被投射部11に複数の操作ボタン1の画像が表示される。
ステップS2において、センサ3からのデータ3a、3bが入力される。
ステップS3において、入力したデータ3a(距離データ)に基づき、複数の操作ボタン1のそれぞれの位置に対する、オペレータの手の位置が特定される。
ステップS4において、特定された位置における手の手画像データパターン712aが、画像データパターン送信部714に入力され、投射装置8へ送信される。これにより、被投射部11に手の画像が表示される。
ステップS5において、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態であるか否かが判断される。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態の場合(ステップS5,Yes)、強調画像データパターン713aが画像データパターン送信部714へ入力され、投射装置8へ送信される。これにより、最後まで押し込まれる前の操作ボタン1の画像(第1強調画像)が被投射部11に表示される(ステップS6)。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態ではない場合、すなわち操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態の場合(ステップS5,No)、強調画像データパターン713bが画像データパターン送信部714に入力され、投射装置8へ送信される。これにより、最後まで押し込まれた操作ボタン1の画像(第2強調画像)が被投射部11に表示される(ステップS7)。
このように被投射部11に表示される画像の具体例を、図8~図10を用いて説明する。
図8は、操作ボタンの画像の第1表示例を説明するための図である。図9は、操作ボタンの画像の第2表示例を説明するための図である。図10は、操作ボタンの画像の第3表示例を説明するための図である。
図8(a)、図9(a)、図10(a)には、第2操作部752に設けられる操作ボタン1-1、1-2が示される。図8(b)、図9(b)、図10(b)には、被投射部11に表示される画像の一例が示される。
図8(a)に示すように、オペレータの手30が操作ボタン1-1を押そうとしている場合、図8(b)に示すように、被投射部11には、オペレータの手30の画像30Aと、操作ボタン1-1の画像1-1Aと、操作ボタン1-2の画像1-2Aとが表示される。
その後、図9(a)に示すように、操作ボタン1-1にオペレータの手30が触れた場合、図9(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aに太実線の枠が合成される。このようにして、第1強調画像(オペレータの手が触れているが最後まで押し込まれる前の操作ボタン1の画像)が被投射部11に表示される。
また、図10(a)に示すように、操作ボタン1-1が最後まで押し込まれた場合、図10(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aが、例えば白抜き表示から黒抜き表示に切り替わる。このようにして、第2強調画像(最後まで押し込まれた操作ボタン1の画像)が被投射部11に表示される。
以上に説明したように、射出成形機10の操作装置750は、複数の操作ボタン1を有し、射出成形機10の制御装置700は、操作者(オペレータ)が押そうとする前記操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1の画像、オペレータの手の画像など)を前記操作者に提供する特定情報提供部710を有する。
この構成により、操作ボタン1-1、1-2などの画像を被投射部11に表示すると共に、オペレータの手の画像を被投射部11に表示することができる。そのため、オペレータは、第2操作部752上の操作ボタン1を目視しなくても、被投射部11に表示される手の画像の位置と、操作ボタン1-1、1-2などの位置との関係により、押そうとしているボタンが、所望の操作ボタン1であるのか、所望の操作ボタン1以外のボタンであるのかを認識できる。従って、所望の操作ボタン1以外のボタンが押されるリスクが軽減され、その結果、金型装置800がオペレータの意図する動作とは異なる動作を行うことを防止でき、金型装置800の破損を防止できる。
また、制御装置700によれば、被投射部11に表示される画像によって、押そうとしている操作ボタン1を特定できるため、第2操作部752上の操作ボタン1と金型装置800の動作とを交互に確認する必要がなくなる。従って、所望の操作ボタン1の位置を素早く特定して押すことができるため、成形条件出し等の作業時間を大幅に短縮できる。
また、制御装置700によれば、図9(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aが強調表示されることにより、オペレータの手が触れた操作ボタン1-1が明確になる。従って、触れたボタンが所望の操作ボタン1であるのか否かを、操作ボタン1が押し込まれる前にオペレータに確認させることができる。その結果、所望の操作ボタン1以外のボタンが押されるリスクをより一層軽減でき、強調表示されない場合に比べて金型装置800の破損をより一層防止できる。
また、制御装置700によれば、図10(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aが強調表示されることにより、オペレータが押した操作ボタン1-1が明確になる。従って、オペレータは、押した操作ボタン1を目視しなくても、射出成形機10の動作がどの操作ボタン1に対応したものであるかを認識できる。その結果、操作ボタン1と金型装置800の動作とを交互に確認する手間が省け、成形条件出し等の作業時間を大幅に短縮することができる。
尚、被投射部11への画像の表示内容は、図8~図10の表示例に限定されるものではなく、例えばオペレータの手の画像が省かれ、操作ボタン1のみ表示される態様でもよい。このように操作ボタン1のみ表示される構成例について、図11を用いて説明する。
図11は、一実施形態にかかる射出成形機が備える制御装置の第1変形例に係る構成要素を機能ブロックで示す図である。図11に示される制御装置700Aは、図6の特定情報提供部710の代わりに、特定情報提供部710Aを備える。
制御装置700Aには、センサ31、センサ32及び投射装置8が接続される。
センサ31は、例えば、オペレータの手との距離を計測する近接センサである。センサ31は、複数の操作ボタン1-1~1-4のそれぞれに設けられている。センサ31は、オペレータが押そうとする操作ボタンを特定するためのセンサである。押そうとするとは、オペレータの手が操作ボタン1に触れる前の状態、又は、オペレータの手が操作ボタン1に触れているものの操作ボタン1が最後まで押し込まれていない状態を含む。センサ31は、手との距離を計測し、計測した距離の値を示す距離データを、データ3aとしてセンサデータ入力部730に入力する。
センサ32は、例えば圧力センサである。センサ32は、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれに設けられている。センサ32は、操作ボタン1に作用する圧力を、圧力の大きさに応じて値が異なる電圧に変換し、変換した電圧の値を示す電圧データを、データ3bとしてセンサデータ入力部730Aに入力する。
制御装置700Aは、センサデータ入力部730Aと、特定情報提供部710Aとを備える。センサデータ入力部730A及び特定情報提供部710Aは、CPU701が記憶媒体702に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。尚、これらの機能の全部又は一部は、ワイヤードロジックによるハードウェア上で実行しても良い。
センサデータ入力部730Aは、データ3a、3bを入力して、入力したデータ3aを位置特定部715に送信し、入力したデータ3bを強調画像データパターン生成部713Aに送信する。
特定情報提供部710Aは、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1の画像)をオペレータに提供するための機能として、第1画像データパターン出力部22A、第2画像データパターン出力部25、位置特定部715、ボタン画像選択部716、及び記憶媒体702を備える。
第1画像データパターン出力部22Aは、強調画像データパターン生成部713Aを備える。第2画像データパターン出力部25は、画像データパターン送信部714Aを備える。
位置特定部715は、記憶媒体702が保持している配列情報702aを参照し、参照した配列情報702aに含まれる座標位置に基づき、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれの位置を特定する。そして、位置特定部715は、入力したデータ3a(距離データ)に基づき、特定した4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれの位置に対する、オペレータの手の相対位置を算出する。最後に、位置特定部715は、算出した手の相対位置を表す相対位置情報715aを生成して、ボタン画像選択部716に入力する。
ボタン画像選択部716は、相対位置情報715aを入力すると、記憶媒体702に保持している配列情報702aを参照して、参照した配列情報702aに含まれる座標位置に、位置特定部715からの相対位置情報715aに含まれる手の相対位置を照合する。これにより、例えば、図4に示される4つの操作ボタン1-1~1-4の中から、オペレータの手の位置に最も近い操作ボタン1を選択する。そして、ボタン画像選択部716は、選択した操作ボタン1に対応するボタン画像データパターン702bを記憶媒体702から読み出して、読み出したボタン画像データパターン702bを、ボタン画像データパターン716aとして、強調画像データパターン生成部713A及び画像データパターン送信部714Aに入力する。
強調画像データパターン生成部713Aは、操作ボタン1が押された場合、押された操作ボタン1の画像を、押される前の操作ボタン1の画像と比べて強調して表示させる強調表示制御部を構成する。
強調画像データパターン生成部713Aは、まず、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、センサ32で検出された電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態であるか、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態であるかを判断する。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態の場合、強調画像データパターン生成部713Aは、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態を示す強調画像を表示させるため、ボタン画像選択部716からのボタン画像データパターン716aと、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態を示す図柄データとに基づき、強調画像データパターン713aを生成して、画像データパターン送信部714Aに入力する。当該図柄データは、強調画像データパターン生成部713A又は記憶媒体702に予め格納されている。強調画像データパターン713aは、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態を示す画像データである。
操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態の場合、強調画像データパターン生成部713Aは、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態を示す強調画像を表示させるため、ボタン画像選択部716からのボタン画像データパターン716aと、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態を示す図柄データとに基づき、強調画像データパターン713bを生成して、画像データパターン送信部714Aに入力する。当該図柄データは、強調画像データパターン生成部713A又は記憶媒体702に予め格納されている。強調画像データパターン713bは、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態を示す画像データである。強調画像データパターン713bにより表示される画像は、最後まで押し込まれる前の操作ボタン1の図柄とは異なる色、異なる図柄などで表現することで実現される。
画像データパターン送信部714Aは、ボタン画像選択部716から入力されたボタン画像データパターン716aを、投射装置8へ送信する。すなわち、画像データパターン送信部714Aは、特定情報として、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための操作ボタン1の画像データを、投射装置8に送信する。ボタン画像データパターン716aを投射装置8へ送信することにより、オペレータが操作しようとする操作ボタン1の画像を被投射部11に表示させることができる。
また、画像データパターン送信部714Aは、強調画像データパターン生成部713Aから入力された強調画像データパターン713a、713bを、投射装置8へ送信する。強調画像データパターン713a、713bを投射装置8へ送信することにより、強調表示された操作ボタン1の画像を被投射部11に表示させることができる。
投射装置8は、画像データパターン送信部714Aからの各画像データに基づき、オペレータが操作しようとする操作ボタン1の画像、強調表示された操作ボタン1の画像などを、被投射部11に投射する。
次に、制御装置700Aによる画像表示動作について説明する。
図12は、図11に示す制御装置による画像表示処理のフローチャートである。
ステップS11において、センサ3からのデータ3a、3bが入力される。
ステップS12において、入力したデータ3a(距離データ)に基づき、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれの位置に対する、オペレータの手の位置が特定される。
ステップS13において、配列情報702aに含まれる座標位置に、相対位置情報715aに含まれる手の相対位置を照合することによって、図4に示される4つの操作ボタン1-1~1-4の中から、オペレータの手の位置に最も近い操作ボタン1を選択される。そして、選択された操作ボタン1に対応するボタン画像データパターン702bが記憶媒体702から読み出され、読み出されたボタン画像データパターン702bが、ボタン画像データパターン716aとして、画像データパターン送信部714Aに入力される。画像データパターン送信部714Aに入力されたボタン画像データパターン716aが投射装置8に送信されることによって、被投射部11には、オペレータの手の位置に最も近い操作ボタン1の画像が表示される。
ステップS14において、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態であるか否かが判断される。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態の場合(ステップS14,Yes)、強調画像データパターン713aが画像データパターン送信部714Aへ入力され、投射装置8へ送信される。これにより、最後まで押し込まれる前の操作ボタン1の画像(第1強調画像)が被投射部11に表示される(ステップS15)。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態ではない場合、すなわち操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態の場合(ステップS14,No)、強調画像データパターン713bが画像データパターン送信部714Aに入力され、投射装置8へ送信される。これにより、最後まで押し込まれた操作ボタン1の画像(第2強調画像)が被投射部11に表示される(ステップS16)。
このように被投射部11に表示される画像の具体例を、図13~図15を用いて説明する。
図13は、操作ボタンの画像の第4表示例を説明するための図である。図14は、操作ボタンの画像の第5表示例を説明するための図である。図15は、操作ボタンの画像の第6表示例を説明するための図である。
図13(a)、図14(a)、図15(a)には、第2操作部752に設けられる操作ボタン1-1、1-2が示される。図13(b)、図14(b)、図15(b)には、被投射部11に表示される画像の一例が示される。
図13(a)に示すように、例えばオペレータの手30が操作ボタン1-1を押そうとしている場合、図13(b)に示すように、被投射部11には、操作ボタン1-1の画像1-1Aが表示される。
その後、図14(a)に示すように、例えば操作ボタン1-1にオペレータの手30が触れた場合、図14(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aに太実線の枠が合成される。このようにして、第1強調画像(最後まで押し込まれる前の操作ボタン1の画像)が被投射部11に表示される。
また、図15(a)に示すように、操作ボタン1-1が最後まで押し込まれた場合、図15(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aが、例えば白抜き表示から黒抜き表示に切り替わる。このようにして、第2強調画像(最後まで押し込まれた操作ボタン1の画像)が被投射部11に表示される。
以上に説明したように、射出成形機10の操作装置750は、複数の操作ボタン1を有し、射出成形機10の制御装置700は、操作者(オペレータ)が押そうとする前記操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1の画像)を前記操作者に提供する特定情報提供部710Aを有する。
この構成により、オペレータの手が押そうとしている操作ボタン1-1の画像1-1Aを被投射部11に表示することができる。そのため、オペレータは、第2操作部752上の操作ボタン1を目視しなくても、押そうとしているボタンが、操作ボタン1-1であることを認識できる。従って、所望の操作ボタン1以外のボタンが押されるリスクが軽減される。その結果、金型装置800が、オペレータの意図する動作とは異なる動作を行うことを防止でき、金型装置800の破損を防止できる。
また、制御装置700Aによれば、オペレータの手が押そうとしている操作ボタン1の画像のみ表示させることができるため、制御装置700Aの画像表示処理の負担が低減され、オペレータの手の動きに対して操作ボタン1の画像を遅延なく表示させうる。
また、制御装置700Aによれば、オペレータの手が押そうとしている操作ボタン1の画像のみ表示させることによって画像表示処理の負担が低減される分、画像表示処理が比較的低いプロセッサを制御装置700Aに利用できるため、制御装置700Aの製造コストを低減しうる。
また、制御装置700Aによれば、図14(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aが強調表示されることにより、オペレータの手が触れた操作ボタン1-1が明確になる。従って、触れたボタンが所望の操作ボタン1であるのか否かを、操作ボタン1が押し込まれる前にオペレータに確認させることができる。その結果、所望の操作ボタン1以外のボタンが押されるリスクをより一層軽減でき、強調表示されない場合に比べて金型装置800の破損をより一層防止できる。
また、制御装置700Aによれば、図15(b)に示すように、操作ボタン1-1の画像1-1Aが強調表示されることにより、オペレータが押した操作ボタン1-1が明確になる。従って、オペレータは、押した操作ボタン1を目視しなくても、射出成形機10の動作がどの操作ボタン1に対応したものであるかを認識できる。その結果、操作ボタン1と金型装置800の動作とを交互に確認する手間が省け、成形条件出し等の作業時間を大幅に短縮することができる。
ここまでは、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報として、操作ボタン1の画像などを表示させる場合の構成例について説明したが、特定情報は、操作ボタン1の画像以外にも、操作ボタン1の振動であってもよい。このような特定情報を提供する構成例について、図16を用いて説明する。
図16は、一実施形態にかかる射出成形機が備える制御装置の第2変形例に係る構成要素を機能ブロックで示す図である。図16に示される制御装置700Bは、図6の特定情報提供部710の代わりに、特定情報提供部710Bを備える。
制御装置700Bには、センサ32及び振動発生部12が接続される。
センサ32は、例えば圧力センサである。センサ32は、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれに設けられている。センサ32は、操作ボタン1に作用する圧力を、圧力の大きさに応じて値が異なる電圧に変換し、変換した電圧の値を示す電圧データを、データ3bとしてセンサデータ入力部730Bに入力する。
振動発生部12は、複数の操作ボタンのそれぞれに設けられている。振動発生部12は、オペレータが操作ボタン1に触れたとき、そのボタンの種類(例えば型開ボタンなのか型閉ボタンなのか)をオペレータが認識できるようにするため、複数の操作ボタン1のそれぞれを異なる周期で振動させる振動発生手段である。
また、振動発生部12は、操作ボタン1が最後まで押し込まれた場合には、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態であることをオペレータが認識できるようにするため、操作ボタン1の振動の種類を、最後まで押し込まれる前後で変える。
制御装置700Bは、センサデータ入力部730Bと、特定情報提供部710Bとを備える。センサデータ入力部730B及び特定情報提供部710Bは、CPU701が図1に示す記憶媒体702に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。尚、これらの機能の全部又は一部は、ワイヤードロジックによるハードウェア上で実行しても良い。
センサデータ入力部730Bは、データ3bを入力して、入力したデータ3bを、ボタン特定部717及び押込み検出部719に送信する。
特定情報提供部710Bは、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1の振動)をオペレータに提供するための機能として、第1振動データパターン出力部21、第2振動データパターン出力部27、及び振動データパターン送信部721を備える。
第1振動データパターン出力部21は、ボタン特定部717、及び第1振動データパターン生成部718を備える。第2振動データパターン出力部27は、押込み検出部719、及び第2振動データパターン生成部720を備える。
ボタン特定部717及び第1振動データパターン生成部718は、複数の操作ボタン1のそれぞれを異なる周期で振動させるボタン振動制御部を構成する。
ボタン特定部717は、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、オペレータの手が触れた操作ボタン1の種類を特定し、特定した操作ボタン1の種類を示す情報であるボタン特定情報717aを生成して、第1振動データパターン生成部718に入力する。例えば、ボタン特定部717には、操作ボタン1を特定するためのボタン特定テーブル情報が格納されている。
ボタン特定テーブル情報には、例えば、複数の操作ボタン1のそれぞれの識別番号と、複数の操作ボタン1のそれぞれに設けられるセンサ32の識別番号とが対応付けられている。
データ3bを入力したボタン特定部717は、ボタン特定テーブル情報を参照することよって、データ3bの送信元のセンサ32が設けられる操作ボタン1の識別番号を特定する。
操作ボタン1の識別番号を特定することによって、操作ボタン1の種類を特定することができる。そのため、ボタン特定部717は、特定した操作ボタン1の種類を示す情報であるボタン特定情報717aを第1振動データパターン生成部718に入力する。
第1振動データパターン生成部718は、オペレータが操作ボタン1に触れたとき、そのボタンの種類(例えば型開ボタンなのか型閉ボタンなのか)をオペレータが認識できるようにするため、ボタン特定情報717aに基づき、複数の操作ボタンのそれぞれを異なる周期で振動させるための第1振動データパターン718aを生成し、振動データパターン送信部721に入力する。
例えば、第1振動データパターン生成部718には、互いに異なる周期の振動信号を発生するための振動テーブル情報が格納されている。振動テーブル情報には、複数の操作ボタン1のそれぞれの識別番号と、互いに異なる振動パターンを表す振動情報とが対応付けられている。
ボタン特定情報717aを入力した第1振動データパターン生成部718は、振動テーブル情報を参照することによって、操作ボタン1の識別番号に対応する振動情報を読み出し、読み出した振動情報に基づき第1振動データパターン718aを生成して、振動データパターン送信部721に入力する。
例えば、図4に示される操作ボタン1-1が押された場合、第1振動データパターン生成部718は、操作ボタン1-1に対応する振動情報に基づき、第1間欠振動信号を第1振動データパターン718aとして生成する。第1間欠振動は、例えば、100Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠振動である。
また、図4に示される操作ボタン1-2が押された場合、第1振動データパターン生成部718は、操作ボタン1-2に対応する振動情報に基づき、第2間欠振動信号を第1振動データパターン718aとして生成する。第2間欠振動は、例えば、200Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠振動である。
押込み検出部719は、センサ32で検出された電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が、最後まで押し込まれる前の状態であるか、最後まで押し込まれた状態であるかを判断する。
そして、押込み検出部719は、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態と判断したとき、押込み検出信号719aを生成して、第2振動データパターン生成部720に入力する。
押込み検出信号719aは、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態であることをオペレータが認識できるようにするため、例えば、操作ボタン1を1kHzで連続振動させるための信号である。
押込み検出信号719aを入力した第2振動データパターン生成部720は、例えば、押し込まれた操作ボタン1を連続振動させるための第2振動データパターン720aを生成し、振動データパターン送信部721に入力する。
振動データパターン送信部721は、入力した第1振動データパターン718a及び第2振動データパターン720aを、振動発生部12に送信する。
例えば、図4に示される操作ボタン1-1が押された場合、第1振動データパターン生成部718で生成された第1間欠振動信号(第1振動データパターン718a)が、操作ボタン1-1に設けられる振動発生部12に送信される。これにより、操作ボタン1-1に第1間欠振動が与えられる。第1間欠振動は、例えば、100Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠振動である。
また、図4に示される操作ボタン1-2が押された場合、第1振動データパターン生成部718で生成された第2間欠振動信号(第1振動データパターン718a)が、操作ボタン1-2に設けられる振動発生部12に送信される。これにより、操作ボタン1-2に第2間欠振動が与えられる。第2間欠振動は、例えば、200Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠振動である。
また、図4に示される操作ボタン1-1が最後まで押し込まれた場合、操作ボタン1-1に設けられる振動発生部12は、例えば、操作ボタン1-1に1kHzの連続振動を与える。
次に、制御装置700Bによる動作について説明する。
図17は、図16に示す制御装置による振動処理のフローチャートである。
ステップS21において、センサ3からのデータ3bが入力される。
ステップS22において、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、オペレータの手が触れた操作ボタン1の種類が特定される。
ステップS23において、オペレータが触れた操作ボタン1の種類(例えば型開ボタンなのか型閉ボタンなのか)をオペレータが認識できるようにするため、ボタン特定情報717aに基づき、複数の操作ボタンのそれぞれを異なる周期で振動させるための第1振動データパターン718aが生成される。そして、第1振動データパターン718aが振動データパターン送信部721を介して、振動発生部12に送信されることによって、オペレータが触れた操作ボタン1が例えば間欠的に振動される。
ステップS24において、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態であるか否かが判断される。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態の場合(ステップS24,Yes)、第2振動データパターン720aが生成されないため、第1振動データパターン718aにより、間欠振動が継続される(ステップS25)。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態ではない場合、すなわち操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態の場合(ステップS24,No)、第2振動データパターン720aが振動データパターン送信部721を介して、振動発生部12に送信されることによって、押し込まれた操作ボタン1が例えば連続的に振動される(ステップS26)。
以上に説明したように、射出成形機10の操作装置750は、複数の操作ボタン1を有し、射出成形機10の制御装置700は、操作者(オペレータ)が押そうとする前記操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1の振動)を前記操作者に提供する特定情報提供部710Bを有する。そして、特定情報提供部710Bは、複数の操作ボタンのそれぞれを異なる周期で振動させるための第1振動データパターン718aを生成し、振動発生部12に入力するように構成されている。
この構成により、オペレータは、押している操作ボタン1の振動の違いにより、押しているボタンが、所望の操作ボタン1であるのか、所望の操作ボタン1以外のボタンであるのかを認識できる。
また、所望の操作ボタン1以外のボタンに触れた場合でも、即座に押し間違えに気づき、所望の操作ボタン1を押し直すことができる。その結果、金型装置800がオペレータの意図する動作とは異なる動作を行うことを防止でき、金型装置800の破損を防止できる。
また、制御装置700Bによれば、操作ボタン1-1が押し込まれたとき、押し込まれる前の振動とは異なる振動を発生させることにより、オペレータに対して、操作ボタン1が押し込まれた状態であることを知らせることができる。従って、オペレータは、押した操作ボタン1を目視しなくても、射出成形機10の動作がどの操作ボタン1に対応したものであるかを認識できる。その結果、操作ボタン1と金型装置800の動作とを交互に確認する手間が省け、成形条件出し等の作業時間を大幅に短縮することができる。
図16では、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報が操作ボタン1の振動である場合について説明したが、振動の代わりに、操作ボタン1の表面形状を変えることによっても、オペレータに対して、押そうとする操作ボタン1を特定させることができる。このような特定情報を提供する構成例について、図18を用いて説明する。
図18は、操作ボタンの特定情報提供部である正面に形成された意匠部の一例を示す図である。
図18(a)に示す操作ボタン1-1は、基部4bと、基部4bの正面4c(特定情報提供部)に形成される意匠部4aとを備える。すなわち、特定情報提供部は、操作ボタン1-1を示す意匠部4aを有し、意匠部4aは、操作ボタン1-1の特定情報として操作ボタン1-1に設けられる。基部4bの正面4cは、オペレータの手が触れる部分である。意匠部4aは、操作ボタン1-1の機能に対応する図柄(例えば型開工程を表す模様)である。意匠部4aは、操作ボタン1-1の基部4bの裏面4dから正面4cの向かう方向に突き出る。尚、意匠部4aは、操作ボタン1-1の種類を特定できる形に形成されたものであれよく、例えば、操作ボタン1-1の基部4bの正面4cから裏面4dの向かう方向に凹む形でもよい。
図18(b)に示す操作ボタン1-2は、基部5bと、基部5bの正面5c(特定情報提供部)に形成される意匠部5aとを備える。すなわち、特定情報提供部は、操作ボタン1-2を示す意匠部5aを有し、意匠部5aは、操作ボタン1-2の特定情報として操作ボタン1-2に設けられる。基部5bの正面5cは、オペレータの手が触れる部分である。
意匠部5aは、操作ボタン1-2の機能に対応する図柄(例えば型閉工程を表す模様)である。意匠部5aは、操作ボタン1-2の基部5bの裏面5dから正面5cの向かう方向に突き出る。尚、意匠部5aは、操作ボタン1-2の種類を特定できる形に形成されたものであれよく、例えば、操作ボタン1-2の基部5bの正面5cから裏面5dの向かう方向に凹む形でもよい。
以上に説明したように、オペレータの手が触れる特定情報提供部(基部4bの正面4c、基部5bの正面5c)に意匠部4a、5aを設けることによって、オペレータは、押している操作ボタン1の表面形状に違いにより、押しているボタンが、所望の操作ボタン1であるのか、所望の操作ボタン1以外のボタンであるのかを認識できる。
また、所望の操作ボタン1以外のボタンに触れた場合でも、即座に押し間違えに気づき、所望の操作ボタン1を押し直すことができる。その結果、金型装置800がオペレータの意図する動作とは異なる動作を行うことを防止でき、金型装置800の破損を防止できる。
ここまでは、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報として、操作ボタン1の画像、振動、形状などについて説明したが、特定情報は、操作ボタン1の画像、振動、又は形状以外にも、音であってもよい。このような特定情報を提供する構成例について、図19を用いて説明する。
図19は、一実施形態にかかる射出成形機が備える制御装置の第3変形例に係る構成要素を機能ブロックで示す図である。図19に示される制御装置700Cは、図6の特定情報提供部710の代わりに、特定情報提供部710Cを備える。制御装置700Cが備えるセンサデータ入力部730C及び特定情報提供部710Cは、CPU701が図1に示される記憶媒体702に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。尚、これらの機能の全部又は一部は、ワイヤードロジックによるハードウェア上で実行しても良い。
制御装置700Cには、センサ32及び音出力部(例えばスピーカ)13が接続される。
センサ32は、例えば圧力センサである。センサ32は、4つの操作ボタン1-1~1-4のそれぞれに設けられている。センサ32は、操作ボタン1に作用する圧力を、圧力の大きさに応じて値が異なる電圧に変換し、変換した電圧の値を示す電圧データを、データ3bとしてセンサデータ入力部730Cに入力する。
音出力部13は射出成形機10の金型装置800の近く、第2操作部752の近くなどに設けられている。音出力部13は、オペレータが操作ボタン1に触れたとき、そのボタンの種類(例えば型開ボタンなのか型閉ボタンなのか)をオペレータが認識できるようにするため、操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1を特定する音、操作ボタン1を特定する音声ガイダンスなど)をオペレータに提供する音出力手段である。
また、音出力部13は、操作ボタン1が最後まで押し込まれた場合には、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態であることをオペレータが認識できるようにするため、出力する音の種類を、最後まで押し込まれる前後で変える。
制御装置700Cは、センサデータ入力部730Cと、特定情報提供部710Cとを備える。
センサデータ入力部730Cは、データ3bを入力して、入力したデータ3bを、ボタン特定部717A及び押込み検出部719Aに送信する。
特定情報提供部710Cは、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1を特定する音、操作ボタン1を特定する音声ガイダンスなど)をオペレータに提供するための機能として、第1音データパターン出力部20、第2音データパターン出力部26、及び音データパターン送信部724を備える。
第1音データパターン出力部20は、ボタン特定部717A及び第1音データパターン生成部722を備える。第2音データパターン出力部26は、押込み検出部719A及び第2音データパターン生成部723を備える。
ボタン特定部717Aは、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、オペレータの手が触れた操作ボタン1の種類を特定し、特定した操作ボタン1の種類を示す情報であるボタン特定情報717aを生成して、第1音データパターン生成部722に入力する。
例えば、ボタン特定部717Aには、操作ボタン1を特定するためのボタン特定テーブル情報が格納されている。ボタン特定テーブル情報には、複数の操作ボタン1のそれぞれの識別番号と、複数の操作ボタン1のそれぞれに設けられるセンサ32の識別番号とが対応付けられている。
データ3bを入力したボタン特定部717Aは、ボタン特定テーブル情報を参照することよって、データ3bの送信元のセンサ32が設けられる操作ボタン1の種類を特定する。
操作ボタン1の識別番号を特定することによって、操作ボタン1の種類を特定することができる。そのため、ボタン特定部717Aは、特定した操作ボタン1の種類を示す情報であるボタン特定情報717aを第1音データパターン生成部722に入力する。
第1音データパターン生成部722は、オペレータが操作ボタン1に触れたとき、そのボタンの種類(例えば型開ボタンなのか型閉ボタンなのか)をオペレータが認識できるようにするため、ボタン特定情報717aに基づき、複数の操作ボタンのそれぞれの特定情報として、複数の操作ボタンのそれぞれの種類を示す音データパターン722aを生成し、音データパターン送信部724に入力する。
例えば、第1音データパターン生成部722には、互いに異なる周波数の音信号を発生するための音テーブル情報が格納されている。音信号は、複数の操作ボタンのそれぞれの種類が特定できる音を示す信号であり、例えば連続音、間欠音などの音を示す信号でもよいし、音声ガイダンスを示す信号でもよい。音テーブル情報には、複数の操作ボタン1のそれぞれの種類と、互いに異なる周波数の音パターンを表す音情報とが対応付けられている。ボタン特定情報717aを入力した第1音データパターン生成部722は、音テーブル情報を参照することによって、操作ボタン1の種類に対応する音情報を読み出し、読み出した音情報に基づき音データパターン722aを生成して、音データパターン送信部724に入力する。
例えば、図4に示される操作ボタン1-1が押された場合、第1音データパターン生成部722は、操作ボタン1-1に対応する音情報に基づき、第1間欠音信号を音データパターン722aとして生成する。第1間欠音は、例えば、100Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠音である。尚、このような第1間欠音の代わりに、操作ボタン1-1が押されたことが分かる音声ガイダンス(例えば「操作ボタン1-1が押されました」)が流れるように構成してもよいし、100Hzの信号が連続して発生する連続音でもよい。
また、図4に示される操作ボタン1-2が押された場合、第1音データパターン生成部722は、操作ボタン1-2に対応する音情報に基づき、第2間欠音信号を音データパターン722aとして生成する。第2間欠音は、例えば、200Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠音である。尚、このような第2間欠音の代わりに、操作ボタン1-2が押されたことが分かる音声ガイダンス(例えば「操作ボタン1-2が押されました」)が流れるように構成してもよいし、200Hzの信号が連続して発生する連続音でもよい。
尚、第1間欠音信号及び第2間欠音信号は、ボタンの種類をオペレータが認識できるものであればよく、これらに限定されない。第1間欠音信号の代わりに、例えば100Hzの連続音信号を採用してもよいし、第2間欠音信号の代わりに、例えば200Hzの連続音信号を採用してもよい。
押込み検出部719Aは、センサ32で検出された電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が、最後まで押し込まれる前の状態であるか、最後まで押し込まれた状態であるかを判断する。
そして、押込み検出部719Aは、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態と判断したとき、押込み検出信号719aを生成して、第2音データパターン生成部723に入力する。
押込み検出信号719aは、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態であることをオペレータが認識できるようにするため、例えば、周波数が1kHzの連続音を発生させる信号である。
押込み検出信号719aを入力した第2音データパターン生成部723は、例えば、連続音を発生するための第2音データパターン723aを生成し、音データパターン送信部724に入力する。
音データパターン送信部724は、入力した音データパターン722a及び第2音データパターン723aを、音出力部13に送信する。
例えば、図4に示される操作ボタン1-1が押された場合、第1音データパターン生成部722で生成された第1間欠音信号(音データパターン722a)が音出力部13に送信される。これにより、音出力部13は、第1間欠音を発する。第1間欠音は、例えば、100Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠音である。
また、図4に示される操作ボタン1-2が押された場合、第1音データパターン生成部722で生成された第2間欠音信号(音データパターン722a)が音出力部13に送信される。これにより、音出力部13は、第2間欠音を発する。第2間欠音は、例えば、200Hzの信号が発生する信号発生期間と信号休止期間とが交互に連続する間欠音である。
また、図4に示される操作ボタン1-1が最後まで押し込まれた場合、音出力部13は、周波数が1kHzの連続音を発する。
次に、制御装置700Cによる動作について説明する。
図20は、図19に示す制御装置による音処理のフローチャートである。
ステップS31において、センサ3からのデータ3bが入力される。
ステップS32において、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、オペレータの手が触れた操作ボタン1の種類が特定される。
ステップS33において、オペレータが触れた操作ボタン1の種類(例えば型開ボタンなのか型閉ボタンなのか)をオペレータが認識できるようにするため、ボタン特定情報717aに基づき、押された操作ボタン1の種類に対応する間欠音を発生するための音データパターン722aが生成される。そして、音データパターン722aが音データパターン送信部724を介して、音出力部13に送信されることによって、押された操作ボタン1の種類に対応する間欠音が発生する。
ステップS34において、入力したデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、電圧の値が所定の設定値以上であるか否かを判断することにより、操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態であるか否かが判断される。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態の場合(ステップS34,Yes)、第2音データパターン723aが生成されないため、音データパターン722aにより、間欠音が継続して発せられる(ステップS35)。
操作ボタン1が最後まで押し込まれる前の状態ではない場合、すなわち操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態の場合(ステップS34,No)、第2音データパターン723aが音データパターン送信部724を介して、音出力部13に送信されることによって、操作ボタン1が押し込まれたことを表す連続音が発生する(ステップS36)。
以上に説明したように、射出成形機10の操作装置750は、複数の操作ボタン1を有し、射出成形機10の制御装置700は、操作者(オペレータ)が押そうとする前記操作ボタン1を特定するための特定情報(操作ボタン1を特定する音、操作ボタン1を特定する音声ガイダンスなど)を前記操作者に提供する特定情報提供部710Cを有する。そして、特定情報提供部710Cは、複数の操作ボタンのそれぞれの種類を特定する音を発生させるための音データパターン722aを生成し、音出力部13に入力するように構成されている。
この構成により、オペレータは、押している操作ボタン1の音の違いにより、押しているボタンが、所望の操作ボタン1であるのか、所望の操作ボタン1以外のボタンであるのかを認識できる。
また、所望の操作ボタン1以外のボタンに触れた場合でも、即座に押し間違えに気づき、所望の操作ボタン1を押し直すことができる。その結果、金型装置800がオペレータの意図する動作とは異なる動作を行うことを防止でき、金型装置800の破損を防止できる。
また、制御装置700Cによれば、操作ボタン1-1が押し込まれたとき、押し込まれる前の音とは異なる音を発生させることにより、オペレータに対して、操作ボタン1が押し込まれた状態であることを知らせることができる。従って、オペレータは、押した操作ボタン1を目視しなくても、射出成形機10の動作がどの操作ボタン1に対応したものであるかを認識できる。その結果、操作ボタン1と金型装置800の動作とを交互に確認する手間が省け、成形条件出し等の作業時間を大幅に短縮することができる。
ここまでは、オペレータが押そうとする操作ボタン1を特定するための特定情報について説明したが、以下では、操作ボタン1が押し間違えられた場合でも、射出成形機10の動作を制限するインターロック機能について、図21を用いて説明する。
図21は、一実施形態にかかる射出成形機が備える制御装置の第4変形例に係る構成要素を機能ブロックで示す図である。図21に示される制御装置700Dは、図19の特定情報提供部710Cの代わりに、特定情報提供部710Dを備える。制御装置700Dが備えるセンサデータ入力部730C及び特定情報提供部710Dは、CPU701が図1に示される記憶媒体702に記憶されたプログラムを実行することにより実現される機能である。尚、これらの機能の全部又は一部は、ワイヤードロジックによるハードウェア上で実行しても良い。
制御装置700Dは、図19に示されるボタン特定部717A、第1音データパターン生成部722、押込み検出部719A、第2音データパターン生成部723及び音データパターン送信部724に加えて、オペレータからの所定の指示を確認するまでは押された操作ボタンに対応する動作を射出成形機に実行させない操作制限制御部725を備える。操作制限制御部725には、集音部14が接続される。
集音部14は、例えば射出成形機10の金型装置800の近く、第2操作部752の近くなどに設けられている。集音部14は、オペレータが発する音声を振動波形として検出し、検出した振動波形を示す信号を音声情報として、センサデータ入力部730を介して、特定情報提供部710Dの操作制限制御部725に入力する音声検出用マイクである。
操作制限制御部725は、押込み検出部719Aからの押込み検出信号719aに基づき、操作ボタン1が最後まで押し込まれた状態と判断すると、操作ボタン1が最後まで押し込まれたことを案内する音声ガイダンス情報725aを生成し、音データパターン送信部724に入力する。
この場合の音声ガイダンスは、例えば、図4に示される操作ボタン1-1が押された場合には「操作ボタン1-1が押されました。操作ボタン1-1による動作を実行しますか」という内容である。
また、音声ガイダンスは、例えば、図4に示される操作ボタン1-2が押された場合には「操作ボタン1-2が押されました。操作ボタン1-2による動作を実行しますか」という内容である。
このような音声ガイダンスに対して、オペレータから返答があると、その発話内容が集音部14で検出される。集音部14は、検出した発話内容を音声情報14aに変換して、操作制限制御部725に入力する。この場合の発話内容は、例えば、「はい」(肯定する回答)、「いいえ」(肯定しない回答)などである。尚、発話内容は、これらに限定されず、例えば「実行する」(肯定する回答)、「実行しない」(肯定しない回答)などでもよい。
操作制限制御部725は、音声情報14aに含まれる周波数成分を解析することにより、音声ガイダンスによる質問に対して、肯定する回答であるか否かを判定する。尚、音声情報14aから発話内容を解析する方法は、特開2015-211403号公報、特開2018-156523号公報などに開示されるように公知であるため、説明を省略する。
判定の結果、肯定する回答の場合、操作制限制御部725は、押し込まれたボタンが、オペレータの所望の操作ボタン1であると判断して、操作ボタン1の機能に対応した動作が射出成形機10で実行されるように、操作ボタン1の機能を有効にする。
判定の結果、肯定する回答ではない場合(肯定しない回答である場合)、操作制限制御部725は、押し込まれたボタンが、オペレータ所望の操作ボタン1以外のボタンであると判断して、操作ボタン1の機能に対応した動作が射出成形機10で実行されないように、操作ボタン1の機能を無効にする。
以上に説明したように、制御装置700Dによれば、所望の操作ボタン1以外のボタンが押された場合でも、操作制限制御部725が、射出成形機10の動作を制限するインターロック機能として働くため、操作ボタン1の押し間違えによる金型装置800の破損を確実に防止できる。
尚、操作制限制御部725は、図6に示される特定情報提供部710、図11に示される特定情報提供部710Aなどにも適用することができる。
尚、図5に示される被投射部11と投射装置8は、例えばサングラス、眼鏡などの、オペレータが装着するウェアラブル機器に設けてもよい。この場合、サングラス、眼鏡などのレンズ部分が被投射部11として機能し、投射装置8は、レンズ部分に向かって画像光を投射する。ウェアラブル機器は、図6などに示される制御装置700と、有線又は無線で通信可能に接続されることにより、操作ボタンの画像、オペレータの手の画像などを映し出すことができる。
このようにウェアラブル機器に、被投射部11と投射装置8が設けられることにより、射出成形機10に改良を加えることなく、オペレータはウェアラブル機器に表示される操作ボタンなどを確認することができる。従って、射出成形機10の構造が複雑になることを避けながら、操作ボタンを押し間違えることを防止できる。
また、図5に示される被投射部11と投射装置8は、操作ボタンなどを、ホログラフィック画像として表示させるホログラフィック表示機器に適用してもよい。この場合、被投射部11は、例えば図5に示されるスライド式安全カバー9の正面や、金型装置800の手前などに、ホログラフィック表示部として設置される。また投射装置8は、操作ボタンなどのホログラフィック画像を投射する投射系光学部として機能し、例えば、ホログラフィック表示部の近傍に設置される。
このようにホログラフィック表示させることにより、オペレータが押そうとしている操作ボタンの画像と、操作ボタンを押そうとしているオペレータの手の画像とを、立体的に表示させることができる。そのため、操作ボタンの正面からオペレータの手までの距離を直感的に把握しやすくなり、操作ボタンを特定しやすくなる。従って、操作ボタンを押し間違えることをより一層防止できる。
尚、本実施の形態に係る射出成形機10の特定情報提供部は、操作者が押そうとする操作ボタンを検出し、検出された操作ボタンに対応する特定情報を生成して出力するものであればよく、図11、図16などの構成例に限定されるものではない。すなわち、本実施の形態に係る射出成形機10の特定情報提供部は、操作者が押そうとする操作ボタンを検出するボタン検出部と、当該ボタン検出部で検出された操作ボタンに対応する特定情報を生成して出力する特定情報生成部とを備える構成とすることによって、当該ボタン検出部は、例えば、センサ31からのデータ3a(距離データ)又はセンサ32からのデータ3b(圧力の大きさに応じて値が異なる電圧)に基づき、操作者が押そうとする操作ボタンを検出し、特定情報生成部は、当該ボタン検出部で検出された操作ボタンに対応する特定情報を、例えば所定の記憶部から読み出す。
尚、図6に示される特定情報提供部710には投射装置8が含まれてもよい。また図11に示される特定情報提供部710Aには投射装置8が含まれてもよい。
以上、射出成形機の制御装置及び射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。