JP7226022B2 - プリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、ラベルプリンタなどのプリンタに関する。
従来、プリンタの一種として、長尺の印刷用紙をロール状に巻回したロール紙を使用し、印刷用紙上にその長手方向に並んで設けられたラベル(印刷領域)に画像を印刷するラベルプリンタが知られている。
ラベルプリンタにおいては、印刷ヘッドの後段に読取装置を設けて、読取装置で画像を読み取り、その読み取った画像データから印刷結果の良否を判定するものがある。印刷結果が不良と判定された場合には、印刷用紙が巻き戻されて、その印刷結果が不良である画像に特定の画像が重ねて印刷される(たとえば、特許文献1参照)。
特開2004-160981号公報
このようなラベルプリンタは、印刷結果の不良が稀にしか発生しないことを前提としており、印刷不良が判定される度にラベル単位で、印刷停止、印刷用紙の巻戻しおよび特定の画像の印刷が行われることになるため、経年劣化等で印刷不良の割合が増加すると、印刷効率が悪くなる。
それを避けるため、一定数の印刷不良(ラベル)が検出されるまで印刷を継続し、その後にまとめて特定の画像の印刷を行うことが考えられるが、インクジェット記録方式のラベルプリンタでは、印刷用紙の巻戻し量が多く、印刷用紙がロールの状態に巻き戻されたときに、印刷面と印刷用紙の裏面とが巻き戻しによって発生するテンションで圧接され、インクの定着(乾燥)が不十分であった場合、印刷用紙の裏面へのインクの転写、いわゆる裏移りが発生するおそれがある。印刷用紙の裏面にラベルの位置を示すブラックマークが存在するものでは、裏移りによりブラックマークが読み取れなくなる、あるいは、別の場所をブラックマークと誤認識すると、正常な印刷ができなくなる。
本発明の目的は、複数の印刷不良が判定された後に特定の画像がまとめて形成される場合でも、印刷用紙への裏移りの発生を抑制できる、プリンタを提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係るプリンタは、筐体と、筐体内のセット位置にセットされた印刷用紙を筐体内を延びる搬送路に沿って搬送するローラと、ローラを駆動する駆動源と、搬送路に臨んで配置される印刷ヘッドと、印刷ヘッドに対して印刷用紙が搬送路に沿ってセット位置から送り出される送出方向の下流側において、搬送路に臨んで配置される読取装置と、セット位置にセットされている印刷用紙の残量を検出する残量検出部と、記憶部と、制御部と、を備え、制御部は、印刷指令に基づく画像を印刷ヘッドで印刷用紙に印刷する第一印刷処理と、特定の画像を印刷ヘッドで印刷用紙に印刷する第二印刷処理と、駆動源に対して、印刷用紙が送出方向に搬送されるように第一方向の駆動を指示する第一駆動処理と、駆動源に対して、印刷用紙が送出方向と逆方向に搬送されるように第二方向の駆動を指示する第二駆動処理と、第一駆動処理によりローラが第一方向に駆動されている間に、読取装置に対して、第一印刷処理により印刷された画像の読み取りを指示する読取処理と、読取処理により読取装置に読み取られたデータから、印刷結果が正常か異常かを判定する第一判定処理と、第一判定処理での判定結果を判定の対象となった画像の位置を特定する位置情報と紐づけて記憶部に記憶させる記憶処理と、残量検出部による残量検出結果から、第一駆動処理による印刷用紙の搬送上限距離を算出する算出処理と、記憶部に記憶されている位置情報を元に、第一印刷処理による次の印刷が行われると第一駆動処理による印刷用紙の搬送距離が搬送上限距離を超えるか否かを判定する第二判定処理と、を実行し、第二判定処理により搬送距離が搬送上限距離を超えないと判定された場合は、第一印刷処理および第一駆動処理を継続し、第二判定処理により搬送距離が搬送上限距離を超えると判定された場合は、第一印刷処理および第一駆動処理を停止して、記憶部に記憶されている位置情報を元に、第一判定処理で印刷結果が異常と判定された画像が印刷ヘッドによる印刷が行われる位置に到達するまで、第二駆動処理を実行した後、第一駆動処理を実行しつつ、記憶部に記憶されている位置情報と第一判定処理での判定結果とに基づいて、第二印刷処理を実行する。
この構成によれば、印刷用紙の送出方向の搬送距離が搬送上限距離を超えない間は、印刷用紙の送出方向の搬送と印刷指令に基づく画像の印刷とが継続される。この間、読取装置により画像が読み取られて、その画像の印刷結果が正常であるか異常であるかが判定される。次の印刷の実行により印刷用紙の送出方向の搬送距離が搬送上限距離を超えることになるまで、印刷用紙の送出方向の搬送が継続されると、その搬送と印刷指令に基づく画像の印刷とが停止される。そして、印刷結果が異常と判定された画像が印刷ヘッドによる印刷位置まで戻された後、印刷用紙が送出方向に搬送されつつ、特定の画像が異常判定された画像に重なるように印刷される。
印刷用紙の送出方向の搬送距離が搬送上限距離を超える前に、印刷用紙が送出方向と逆方向に戻されることにより、そのため、印刷ヘッドによる印刷方式がインクジェット記録方式であり、印刷用紙の印刷面に印刷された画像が乾いていなかったとしても、印刷面に印刷された画像が印刷用紙の裏面に転写する裏移りの発生を抑制することができる。
よって、複数の印刷不良が判定された後に特定の画像がまとめて形成される場合でも、印刷用紙への裏移りの発生を抑制することができる。
本発明によれば、複数の印刷不良が判定された後に特定の画像がまとめて形成される場合でも、印刷用紙への裏移りの発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るラベルプリンタの内部構成を示す図解的な断面図である。 ラベルプリンタの電気的構成を示すブロック図である。 印刷ジョブ処理の流れを示すフローチャート(その1)である。 印刷ジョブ処理の流れを示すフローチャート(その2)である。 巻戻し量および巻戻し上限量の演算方法を説明するための図である。 印刷領域の送出方向の長さと印刷領域間の長さとを加えた距離を示す図である。 方向変更ローラによる用紙の方向変更位置と用紙ロールからの用紙の分離位置との間の距離の演算方法を説明するための図である。 印刷が停止された状態を示す図である。 用紙の搬送が停止された状態を示す図である。 用紙が用紙ロールに巻き戻された状態を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<ラベルプリンタ>
図1には、プリンタの一例であるラベルプリンタ1が示されている。ラベルプリンタ1は、その外殻をなす筐体11を備えている。
なお、以下の説明で使用するため、筐体11の一方側を「前側」とし、その反対側を「後側」と規定する。そして、ラベルプリンタ1を「前側」から見た状態を基準に左右を規定する。前後方向および左右方向の両方向と直交する方向が「上下方向」であり、「上側」および「下側」については、ラベルプリンタ1が水平面に設置された状態を基準とする。
筐体11の前側の側面には、用紙Pを排出する排出口12が形成されている。排出口12は、左右方向に延びる矩形状の開口であり、筐体11の内外を連通している。
筐体11内には、用紙ロールRを保持するロールホルダ13が設けられている。用紙ロールRは、長尺状の用紙Pをロール芯に巻回したものである。用紙Pは、その長手方向に並べて設定された多数の印刷領域を有するラベル紙(ダイカットラベル紙)であってもよいし、かかる印刷領域を有していない連続紙であってもよい。また、ラベル紙は、長尺状の普通紙の印刷面に印刷領域を区画する枠が予め印刷されたものであってもよいし、長尺状の剥離紙上に粘着紙が重ね合わされ、その粘着紙に型抜きされたラベルが長手方向に並べて形成されたものであってもよい。後者の場合、各ラベルの印刷面(粘着面と反対側の面)が印刷領域である。用紙Pがラベル紙である場合、用紙Pは、印刷面が外側に向くようにロール芯に巻回される。ロールホルダ13は、略円柱状をなし、用紙ロールRのロール芯がロールホルダ13に外嵌されることにより、用紙ロールRがロールホルダ13に保持される。
また、筐体11内には、ロールホルダ13の後上方に、方向変更ローラ14が設けられている。方向変更ローラ14の前側には、用紙Pが搬送される搬送路15が設けられている。搬送路15は、方向変更ローラ14の上側の位置から前側に向かって延び、その前端が排出口12に接続されている。用紙Pは、用紙ロールRから方向変更ローラ14の後側に向けて引き出され、方向変更ローラ14の周面に沿わせることにより前側に方向を変えられて、搬送路15を排出口12に向けて通される。
搬送路15上には、用紙Pを搬送する搬送ローラ16,17(ローラの一例)が設けられている。一方の搬送ローラ16は、方向変更ローラ14に対して前側に間隔を空けて配置されている。他方の搬送ローラ17は、排出口12の後側であって、搬送ローラ16に対して前側に間隔を空けて配置されている。搬送ローラ16,17のローラ間に用紙Pが通された状態で、モータM(図2参照)の正転駆動による動力が搬送ローラ16,17に伝達されて、搬送ローラ16,17が回転することにより、用紙Pが搬送路15に沿って排出口12に向かう送出方向に搬送される。また、モータMの逆転駆動による動力がロールホルダ13に伝達されて、用紙ロールRのロール芯が用紙Pの送出方向への搬送時と逆方向に回転されることにより、用紙Pが搬送方向と逆方向の巻戻し方向に搬送される。用紙Pが巻戻し方向に搬送されるときには、搬送ローラ16,17は自由回転状態とされる。
搬送ローラ16,17間には、印刷ヘッド21および読取装置22が送出方向にこの順に並んで設けられている。
印刷ヘッド21は、搬送路15に上側から臨んで配置されている。印刷ヘッド21は、たとえば、搬送路15を搬送される用紙Pの印刷面にインクジェット記録方式により画像を印刷する。印刷ヘッド21と上下方向に対向する位置が印刷ヘッド21による印刷が可能な印刷位置であり、印刷ヘッド21は、用紙Pの印刷面における印刷位置に位置する部分に画像を印刷する。
読取装置22は、印刷ヘッド21に対して送出方向の下流側において、搬送路15に上側から臨んで配置されている。読取装置22は、たとえば、搬送路15を搬送される用紙Pの印刷面をCIS(Contact Image Sensor)により読み取る。具体的には、読取装置22には、図示されていないが、光源、ロッドレンズアレイおよびリニアイメージセンサが内蔵されており、光源から用紙Pの印刷面にライン状の光が照射され、印刷面で反射された光がロッドレンズアレイを通してリニアイメージセンサに入射する。これにより、読取装置22の読取位置において、原稿が主走査方向に1ライン分読み取られる。
<電気的構成の要部>
ラベルプリンタ1は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32およびRAM(Random Access Memory)33を備えている。
ROM32は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリからなる。ROM32には、CPU31によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが記憶されている。CPU31は、プログラムを実行することにより、印刷ヘッド21および読取装置22を制御し、また、搬送ローラ16,17を駆動する駆動源の一例であるモータMを制御する。RAM33(記憶部の一例)は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリであり、CPU31がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
また、RAM33は、ステップ数カウンタを構成する。ステップ数カウンタは、モータMが1ステップ駆動される度にステップ数をインクリメント(+1)する。CPU31は、ステップ数カウンタによりカウントされるステップ数に基づいてモータMの駆動を制御することにより、用紙Pの位置を制御することができる。
ラベルプリンタ1は、PC(Personal Computer)などの外部端末との通信のための通信インタフェース34を備えている。通信インタフェース34は、外部端末とUSB(Universal Serial Bus)ケーブルまたはLAN(Local Area Network)ケーブルなどを介して有線通信する構成であってもよいし、電波などを介して無線通信する構成であってもよい。
また、ラベルプリンタ1は、用紙ロールRのロール径(半径)を検出するための距離センサ35(残量検出部の一例)を備えている。距離センサ35は、たとえば、反射型センサであり、用紙ロールRの表面(外周面)に光を照射し、その照射から用紙ロールRの表面で反射した光を受光するまでの時間に応じた検出信号を出力する。CPU31は、距離センサ35の検出信号から、距離センサ35と用紙ロールRの表面との間の距離を演算し、その距離から用紙ロールRのロール径(半径)を演算により求めることができる。
<印刷ジョブ処理>
ラベルプリンタ1でシッピングラベルなどの画像を用紙Pに印刷する印刷ジョブが実行される際には、たとえば、ラベルプリンタ1に通信可能に接続された外部端末において、1ページ単位でプリンタ制御コマンドが生成される。プリンタ制御コマンドは、画像の印刷のためにラベルプリンタ1を制御するコマンドであって、印刷対象の画像における文字の位置や文字種、図形の位置などの情報を含む印刷データをページ記述言語で記述したものである。印刷ジョブが複数ページにわたる画像を用紙Pに印刷する内容である場合、複数ページの各ページのプリンタ制御コマンドが生成される。外部端末でプリンタ制御コマンドが生成されると、外部端末にインストールされたプリンタドライバの機能により、印刷ジョブの実行の指令に続いて、1ページ目のプリンタ制御コマンドから順に、全ページのプリント制御コマンドがラベルプリンタ1に送信される。
ラベルプリンタ1のCPU31は、外部端末から印刷ジョブの実行の指令を通信インタフェース34を介して受信すると、図3Aおよび図3Bに示される印刷ジョブ処理を実行する。
印刷ジョブ処理では、CPU31は、モータMを正転駆動する(図3AのS11)。モータMの正転駆動により、搬送ローラ16,17が回転し、用紙Pが送出方向に搬送される。CPU31は、先頭の印刷領域が印刷ヘッド21の印刷位置に差し掛かるタイミングで、印刷ヘッド21を制御して、印刷ヘッド21に画像の印刷を開始させる(S12)。これにより、用紙Pの印刷面上の先頭の印刷領域に1ページ目の画像が印刷され始める。
その後、CPU31は、用紙Pに印刷された画像(印刷画像)の検査を開始する(S13)。具体的には、1ページ目の画像が形成された印刷領域が読取装置22の読取位置に差し掛かるタイミングで、印刷画像の検査を開始する。印刷画像の検査では、CPU31は、読取装置22を制御して、読取装置22に印刷画像を読み取らせる。そして、CPU31は、読取装置22に読み取られたデータ(読取データ)から、印刷画像が一定の品質を満たしている「検査OK」の画像であるか、印刷画像が一定の品質を満たしていない「検査NG」の画像であるかを判断する(S14)。たとえば、印刷画像にバーコードシンボルが含まれる場合、CPU31により、読取データから、バーコードシンボルの光学的特性(反射率、反射濃度、PCS(Print Contrast Signal)値など)がJIS規格(日本工業規格)を満たしているか否かが調べられる。そして、バーコードシンボルの光学的特性がJIS規格を満たしている場合、CPU31は、そのバーコードシンボルを含む印刷画像が「検査OK」の画像であると判断し、バーコードシンボルの光学的特性がJIS規格を満たしていない場合、そのバーコードシンボルを含む印刷画像が「検査NG」の画像であると判断する。
CPU31は、印刷画像が「検査OK」の画像であると判断した場合(S14:YES)、印刷ジョブに係る全ページの画像の印刷および印刷画像の検査が完了したか否かを判断する(S15)。CPU31は、全ページの画像の印刷および印刷画像の検査が完了していないと判断した場合(S15:NO)、印刷画像が「検査NG」の画像であると判断した数である合計NG数が0よりも大きいか否かを判断する(S16)。合計NG数が0である場合、CPU31は、合計数が0よりも大きくないと判断して(S16:NO)、画像の印刷および印刷画像の検査を継続する(S12,S13)。
一方、CPU31は、印刷画像が「検査NG」の画像であると判断した場合(S14:NO)、その「検査NG」の画像が印刷されたページ(NGページ)の印刷データおよびそのNGページの位置を示す位置情報をRAM33に記憶させる(S17)。そして、CPU31は、合計NG数が0よりも大きいか否かを判断する(S16)。
合計NG数が1以上になると、CPU31は、合計NG数が0よりも大きいと判断し(S16:YES)、合計NG数が1になってから印刷されたページ数を計数するNG後ページカウンタのカウンタ数Nをインクリメント(+1)する(図3BのS18)。
その後、CPU31は、巻戻し量(第一駆動処理による印刷用紙の搬送距離の一例)および巻戻し上限量(搬送上限距離の一例)をそれぞれ演算し、巻戻し量が巻戻し上限量を超えるか否かを判断する(S19)。
巻戻し量は、現在までに印刷されたページの次のページが印刷された場合を想定して、その想定下における「検査NG」の画像が印刷された印刷領域のうちの送出方向の最下流側の印刷領域の送出方向下流側の端と印刷ヘッド21による印刷位置との間の距離として求められる。すなわち、図4および図5に示されるように、印刷領域の送出方向の長さと印刷領域間の長さとを加えた距離を「p」とし、印刷ヘッド21の送出方向上流側の端と読取装置22の送出方向下流側の端との間の距離を「l」として、巻戻し量は、「p*(N+1)+l」の演算式に従って求められる。
巻戻し上限量は、用紙Pが巻戻し方向に巻戻し上限量だけ搬送された場合に、既に画像が印刷されている印刷領域が用紙Pの裏面に接触しない距離として求められる。すなわち、読取装置22の送出方向下流側の端と方向変更ローラ14による用紙Pの方向変更位置との間の距離を「L」とし、その方向変更位置と用紙ロールRからの用紙Pの分離位置との間の距離を「h(r)」とし、用紙ロールRの周長を「Φ(r)」として、巻戻し上限量は、「L+h(r)+Φ(r)」の演算式に従って求められる。
ここで、距離「h(r)」および周長「Φ(r)」は、どちらも用紙ロールRのロール径「r」の関数である。図6に示されるように、前後方向における用紙ロールRの中心位置と方向変更ローラ14の周面の後端の位置との距離を「A」とし、上下方向における用紙ロールRの中心位置と方向変更ローラ14の周面の後端の位置との距離を「B」として、距離「h(r)」は、近似的に「h(r)=√{(A-r)^2+B^2}」で表される。また、周長「Φ(r)」は、近似的に「Φ(r)=2πr」で表される。
CPU31は、巻戻し量が巻戻し上限量を超えないと判断した場合(S19:NO)、印刷ジョブに係る最後のページの画像の最初の検査が行われたか否かを判断する(S20)。最後のページの画像の最初の検査が行われていない場合(S20:NO)、CPU31は、画像の印刷および印刷画像の検査を継続する(S12,S13)。
一方、CPU31は、巻戻し量が巻戻し上限量を超えると判断した場合(S19:YES)、印刷ヘッド21に画像の印刷を停止させる(S21)。また、CPU31は、巻戻し量が巻戻し上限量を超えないと判断した場合であって(S19:NO)、最後のページの画像の最初検査が行われたと判断した場合にも(S20:NO)、印刷ヘッド21に画像の印刷を停止させる(S21)。
その後、CPU31は、モータMを停止させる(S22)。モータMは、印刷の停止から遅れて停止される。たとえば、図7Aに示されるように、「検査OK」の画像、「検査NG」の画像、「検査OK」の画像、「検査NG」の画像、「検査NG」の画像、「検査NG」の画像および「検査NG」の画像がこの順に印刷され、CPU31により巻戻し量が巻戻し上限量を超えると判断されて、印刷ヘッド21による印刷が停止された場合、図7Bに示されるように、最後に印刷された画像が読取装置22に読み取られるまで、モータMが停止されず、用紙Pの搬送が継続される。
モータMの停止後、CPU31は、モータMを逆転駆動する(S23)。モータMの逆転駆動により、用紙Pが用紙ロールRに巻き戻される方向にロールホルダ13が回転し、用紙Pが巻戻し方向に搬送される。このときの用紙Pの搬送速度、つまり用紙Pの巻戻し方向の搬送速度は、用紙Pの送出方向の搬送速度よりも大きい。そして、CPU31は、図7Cに示されるように、NGページの1ページ目の印刷領域の送出方向下流側の端が印刷ヘッド21の印刷位置に到達すると、モータMを停止させる(S24)。
その後、CPU31は、合計NG数およびNG後ページカウンタのカウント値を0にリセットするリセット処理を行う(S25)。また、CPU31は、モータMを正転駆動する(S26)。モータMの正転駆動により、搬送ローラ16,17が回転し、用紙Pが送出方向に再び搬送される。そして、CPU31は、印刷ヘッド21を制御して、VOID印刷を実行する(S27)。すなわち、CPU31は、RAM33に記憶されているNGページの位置を示す位置情報に基づいて、印刷ヘッド21を制御し、「検査NG」の印刷画像が印刷結果から排除されるべき画像であるとユーザに認識させることが可能なVOID画像を「検査NG」の印刷画像に重ねて印刷させる。
その後、CPU31は、すべての「検査NG」の印刷画像にVOID画像を印刷したと判断すると(S28:YES)、RAM33に記憶されているNGページの印刷データおよびそのNGページの位置を示す位置情報を消去する(S29)。続いて、印刷ヘッド21を制御して、RAM33に記憶されているNGページの印刷データに係る画像を新たな印刷領域に印刷させる(図3AのS12)。そして、CPU31は、新たに印刷されたNGページの印刷データに係る画像の検査を行う(S13)。
CPU31は、印刷ジョブに係る全ページの画像の印刷が完了し、かつ、すべての印刷画像が「検査OK」の画像であると判断すると、印刷ジョブに係る全ページの画像の印刷および印刷画像の検査が完了したと判断し(S15:YES)、印刷ジョブ処理を終了する。
<作用効果>
以上のように、巻戻し量が巻戻し上限量を超えない間は、用紙Pの送出方向の搬送と印刷ジョブに係る画像の印刷とが継続される。この間、読取装置22により画像が読み取られて、その画像の印刷結果が正常であるか異常であるか、つまり印刷画像が「検査OK」の画像であるか「検査NG」の画像であるかが判定される。巻戻し量が巻戻し上限量を超えるまで、用紙Pの送出方向の搬送が継続されると、その搬送と印刷ジョブに係る画像の印刷とが停止される。そして、「検査NG」の印刷画像が印刷ヘッド21の印刷位置まで戻された後、用紙Pが送出方向に搬送されつつ、VOID画像が「検査NG」の印刷画像に重なるように印刷される。
巻戻し量が巻戻し上限量を超える前に、用紙Pが送出方向と逆方向に戻されることにより、用紙Pの印刷面に印刷された画像が乾いていなかったとしても、印刷面に印刷された画像が用紙Pの裏面に転写する裏移りの発生を抑制することができる。
よって、複数の「検査NG」の画像が印刷された後にVOID画像がまとめて形成される場合でも、用紙Pへの裏移りの発生を抑制することができる。
また、用紙Pが巻戻し方向に搬送されるときの搬送速度は、用紙Pが送出方向に搬送されるときの搬送速度よりも大きい値に設定されている。これにより、用紙Pを高速で巻き戻すことができるので、印刷ジョブの実行に要する時間の短縮を図ることができる。
すべての「検査NG」の印刷画像へのVOID画像の印刷が完了すると、RAM33に記憶されているNGページの印刷データおよびそのNGページの位置を示す位置情報が消去される。これにより、RAM33の空き容量を増やすことができる。
さらに、巻戻し量が巻戻し上限量を超えると判断されて、印刷ヘッド21による印刷が停止された場合、最後に印刷された画像が読取装置22に読み取られるまで、モータMが停止されず、用紙Pの搬送が継続される。これにより、最後に印刷された画像の乾燥時間を確保することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、CPU31がラベルプリンタ1における各処理を実行する場合について説明した。しかしながら、ラベルプリンタ1に複数のCPUが設けられて、複数のCPUが協働して各処理を実行してもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1:ラベルプリンタ
11:筐体
15:搬送路
16,17:搬送ローラ
21:印刷ヘッド
22:読取装置
31:CPU
33:RAM
35:距離センサ
M:モータ

Claims (6)

  1. 筐体と、
    筐体内のセット位置にセットされた印刷用紙を前記筐体内を延びる搬送路に沿って搬送するローラと、
    前記ローラを駆動する駆動源と、
    前記搬送路に臨んで配置される印刷ヘッドと、
    前記印刷ヘッドに対して印刷用紙が前記搬送路に沿って前記セット位置から送り出される送出方向の下流側において、前記搬送路に臨んで配置される読取装置と、
    前記セット位置にセットされている印刷用紙の残量を検出する残量検出部と、
    記憶部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    印刷指令に基づく画像を前記印刷ヘッドで印刷用紙に印刷する第一印刷処理と、
    特定の画像を前記印刷ヘッドで印刷用紙に印刷する第二印刷処理と、
    前記駆動源に対して、印刷用紙が前記送出方向に搬送されるように第一方向の駆動を指示する第一駆動処理と、
    前記駆動源に対して、印刷用紙が前記送出方向と逆方向に搬送されるように第二方向の駆動を指示する第二駆動処理と、
    前記第一駆動処理により前記ローラが前記第一方向に駆動されている間に、前記読取装置に対して、前記第一印刷処理により印刷された画像の読み取りを指示する読取処理と、
    前記読取処理により前記読取装置に読み取られたデータから、印刷結果が正常か異常かを判定する第一判定処理と、
    前記第一判定処理での判定結果を判定の対象となった画像の位置を特定する位置情報と紐づけて前記記憶部に記憶させる記憶処理と、
    前記残量検出部による残量検出結果から、前記第一駆動処理による印刷用紙の搬送上限距離を算出する算出処理と、
    前記記憶部に記憶されている前記位置情報を元に、前記第一印刷処理による次の印刷が行われると前記第一駆動処理による印刷用紙の搬送距離が前記搬送上限距離を超えるか否かを判定する第二判定処理と、を実行し、
    前記第二判定処理により前記搬送距離が前記搬送上限距離を超えないと判定された場合は、前記第一印刷処理および前記第一駆動処理を継続し、
    前記第二判定処理により前記搬送距離が前記搬送上限距離を超えると判定された場合は、前記第一印刷処理および前記第一駆動処理を停止して、前記記憶部に記憶されている前記位置情報を元に、前記第一判定処理で印刷結果が異常と判定された画像が前記印刷ヘッドによる印刷が行われる位置に到達するまで、前記第二駆動処理を実行した後、前記第一駆動処理を実行しつつ、前記記憶部に記憶されている前記位置情報と前記第一判定処理での判定結果とに基づいて、前記第二印刷処理を実行する、プリンタ。
  2. 請求項1に記載のプリンタであって、
    前記第二駆動処理による印刷用紙の搬送速度は、前記第一駆動処理による印刷用紙の搬送速度よりも大きい、プリンタ。
  3. 請求項1または2に記載のプリンタであって、
    前記印刷用紙は、ロール状に巻回されたロール紙の状態で前記セット位置にセットされ、
    前記残量検出部は、印刷用紙のロール状に巻回された部分の径を検出し、前記径を用いて印刷用紙の残量を算出する、プリンタ。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のプリンタであって、
    前記制御部は、前記第二印刷処理の終了後、前記第一駆動処理を停止せずに、前記第一判定処理で印刷結果が異常と判定された画像が印刷用紙に印刷されるように、前記第一印刷処理を再び実行する、プリンタ。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のプリンタであって、
    前記制御部は、前記第二印刷処理の終了後、それまでに前記記憶部に記憶された前記位置情報を全消去する、プリンタ。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のプリンタであって、
    前記制御部は、前記第二判定処理により前記搬送距離が前記搬送上限距離を超えると判定された場合に、前記第一印刷処理を停止後も、前記第一印刷処理により印刷用紙に印刷された画像が前記読取装置に読み取られるまで、前記第一駆動処理を継続する、プリンタ。
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