JP7225690B2 - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、重荷重用空気入りタイヤに関する。
重荷重用空気入りタイヤのトレッドには、周方向に延びる周方向溝が刻まれる。これにより、トレッドには軸方向に並列した複数の陸部が構成される。これら陸部のうち、赤道の部分に位置する陸部がセンター陸部であり、トレッドの端の部分に位置する陸部がショルダー陸部である。
タイヤの断面において、トレッド面は通常、径方向外向きに凸な湾曲面で構成される。赤道から軸方向外側に向けて周長は徐々に減少していくため、ショルダー陸部は路面に対して滑りやすい状況にある。しかもショルダー陸部の接地圧は、その端部(特に、外端の部分)において、高まる傾向にある。このため、ショルダー陸部には、段差摩耗等の摩耗が発生しやすい。
タイヤの偏摩耗は、タイヤの外観はもちろんのこと、タイヤの接地圧分布に変化を招来するため、走行性能や耐久性を低下させる恐れがある。偏摩耗の発生を抑制するために様々な検討が行われている。
例えば、下記の特許文献1では、偏摩耗の発生を抑制するために、ショルダー側の周方向溝を赤道面側に配置させて、インフレート時にタイヤが丸くなろうとする作用を抑制することが試みられている。
特開2002-316514号公報
偏摩耗の発生を抑制するために、様々な検討が行われているが、偏摩耗の発生を十分に抑制できる技術の確立には至っていないのが実状である。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、偏摩耗の発生が抑制された、重荷重用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る重荷重用空気入りタイヤは、路面と接触するトレッドと、前記トレッドの径方向内側に位置するベルトと、を備える。前記トレッドの端部に周方向細溝が刻まれることにより、トレッド本体と、当該トレッド本体の軸方向外側に位置する細陸部とが構成される。前記トレッド本体に少なくとも4本の周方向溝が刻まれることにより、軸方向に並列した少なくとも5本の陸部が構成され、これら陸部のうち、赤道面上又は赤道面側に位置する陸部がセンター陸部であり、軸方向において最も外側に位置する陸部がショルダー陸部である。前記ベルトが径方向に積層された複数の層で構成され、これら層のうち、最も広い軸方向幅を有する層が第一基準層であり、当該第一基準層の外側に積層される層が第二基準層である。軸方向において、前記第二基準層の端は前記第一基準層の端よりも内側に位置する。前記トレッド本体の軸方向幅に対する前記第一基準層の軸方向幅の比は0.85以上1.00以下である。前記トレッド本体の軸方向幅に対する前記第二基準層の軸方向幅の比は0.80以上である。前記センター陸部の実幅に対する前記ショルダー陸部の実幅の比は1.15以上1.45以下である。
好ましくは、この重荷重用空気入りタイヤでは、前記第一基準層の端から前記第二基準層の端までの軸方向距離は3mm以上8mm以下である。
好ましくは、この重荷重用空気入りタイヤでは、 前記第二基準層の端において当該第二基準層から前記第一基準層までの距離は2.5mm以上4.0mm以下である。
本発明の重荷重用空気入りタイヤでは、センター陸部の実幅に対するショルダー陸部の実幅の比が適正化される。このタイヤでは、路面に接触してからこの路面から離れるまでのショルダー陸部の動きが抑えられるとともに、このショルダー陸部内での周長差が適切に維持される。
このタイヤではさらに、ベルトを構成する複数の層のうち、最も広い軸方向幅を有する第一基準層と、この第一基準層の外側に積層される第二基準層とについて、それぞれの軸方向幅のトレッド本体の軸方向幅に対する比が適正化される。このタイヤでは、ベルトがトレッド本体全体を十分に拘束するので、ショルダー陸部の外端部における特異な寸法成長が抑えられる。
そしてこのタイヤでは、ショルダー陸部の軸方向外側に細陸部が設けられる。タイヤが路面を踏みしめると、細陸部がショルダー陸部と当接し、この細陸部がショルダー陸部を支持する。このタイヤでは、ショルダー陸部の外端部における接地圧の過度の上昇が抑えられる。
このタイヤでは、路面に対するショルダー陸部の過剰な滑りと、このショルダー陸部の路面に対する特異な接触とが効果的に防止される。このタイヤのショルダー陸部では、段差摩耗等の摩耗は生じにくい。このタイヤでは、偏摩耗の発生が抑制される。本発明によれば、偏摩耗の発生が抑制された、重荷重用空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る重荷重用空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤのトレッド面が示された展開図である。 図3は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
本発明においては、タイヤを正規リムに組み込み、タイヤの内圧が正規内圧に調整され、このタイヤに荷重がかけられていない状態は、正規状態と称される。本発明では、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。
本明細書において正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
本明細書において正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
本明細書において正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
図1は、本発明の一実施形態に係る重荷重用空気入りタイヤ2(以下、単に「タイヤ2」と称することがある。)の一部を示す。このタイヤ2は、例えば、トラック、バス等の重荷重車両に装着される。
図1は、タイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面の一部を示す。この図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。この図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表す。この図1においてタイヤ2は、リムR(正規リム)に組み込まれている。
図1において、軸方向に延びる実線BBLはビードベースラインである。このビードベースラインは、リムRのリム径(JATMA等参照)を規定する線である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、一対のチェーファー10、カーカス12、ベルト14、一対のクッション層16、インナーライナー18及び一対のスチール補強層20を備える。
トレッド4は、その外面22において路面と接触する。図1において符号PCは、トレッド4の外面22と赤道面との交点である。この交点PCはタイヤ2の赤道である。
このトレッド4は、ベース部24と、このベース部24の径方向外側に位置するキャップ部26とを備える。ベース部24は、接着性が考慮された低発熱性の架橋ゴムからなる。キャップ部26は、耐摩耗性及びグリップ性能が考慮された架橋ゴムからなる。図1に示されるように、キャップ部26はベース部24全体を覆う。
このタイヤ2では、トレッドの端部に周方向細溝28が刻まれる。これにより、このトレッドには、トレッド本体30と細陸部32とが構成される。細陸部32は、トレッド本体30の外側に位置する。周方向細溝28は、周方向に連続して延びる。このタイヤ2では、トレッド4の外面22のうち、トレッド本体30の外面に対応する部分がトレッド面34である。
このタイヤ2では、少なくとも4本の周方向溝36がトレッド本体30に刻まれる。これにより、このトレッド本体30には少なくとも5本の陸部38が構成される。図1に示されたタイヤ2では、4本の周方向溝36がトレッド本体30に刻まれ、このトレッド本体30に5本の陸部38が構成されている。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端に連なる。サイドウォール6は、トレッド4の端から径方向内向きに延びる。サイドウォール6は、架橋ゴムからなる。
それぞれのビード8は、サイドウォール6よりも径方向内側に位置する。ビード8は、コア40と、エイペックス42とを備える。
コア40は、周方向に延びる。コア40は、巻き回されたスチール製のワイヤ44を含む。コア40は略六角形の断面形状を有する。このコア40の断面において、符号PAで示された角部がコア40の軸方向内端である。なお、このコア40の角部は、コア40の断面に含まれる、ワイヤ44の断面束の輪郭に基づいて特定される。
エイペックス42は、コア40の径方向外側に位置する。エイペックス42は、コア40から径方向外向きに延びる。エイペックス42は、内側エイペックス42uと外側エイペックス42sとを備える。内側エイペックス42u及び外側エイペックス42sは架橋ゴムからなる。外側エイペックス42sは内側エイペックス42uに比して軟質である。内側エイペックス42uの外端46は、径方向において、チェーファー10の外端48よりも内側に位置する。
それぞれのチェーファー10は、ビード8の軸方向外側に位置する。このチェーファー10は、サイドウォール6よりも径方向内側に位置する。チェーファー10は、リムRと接触する。チェーファー10は、架橋ゴムからなる。チェーファー10の外端48は、径方向において、外側エイペックス42sの外端50、言い換えれば、エイペックス42の外端50よりも内側に位置する。
カーカス12は、トレッド4、サイドウォール6及びチェーファー10の内側に位置する。カーカス12は、少なくとも1枚のカーカスプライ52を備える。このタイヤ2のカーカス12は、1枚のカーカスプライ52からなる。
図示されないが、カーカスプライ52は並列された多数のカーカスコードを含む。これらカーカスコードは、トッピングゴムで覆われる。それぞれのカーカスコードは、赤道面と交差する。このタイヤ2では、カーカスコードが赤道面に対してなす角度は70°以上90°以下である。このカーカス12は、ラジアル構造を有する。このタイヤ2では、カーカスコードの材質はスチールである。有機繊維からなるコードが、カーカスコードとして用いられてもよい。
このタイヤ2では、カーカスプライ52はそれぞれのコア40の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される。このタイヤ2では、折り返されたカーカスプライ52の端54は、径方向において、内側エイペックス42uの外端46よりも内側に位置する。
ベルト14は、トレッド4の径方向内側に位置する。このベルト14は、カーカス12の径方向外側に位置する。
ベルト14は、径方向に積層された複数の層56で構成される。このタイヤ2のベルト14は、4枚の層56で構成される。このタイヤ2では、ベルト14を構成する層56の数に特に制限はない。ベルト14の構成は、タイヤ2の仕様が考慮され適宜決められる。
図示されないが、それぞれの層56は並列された多数のベルトコードを含む。これらベルトコードはトッピングゴムで覆われる。ベルトコードの材質はスチールである。このタイヤ2のベルトコードはスチールコードである。
図示されないが、ベルトコードは赤道面に対して傾斜する。このタイヤ2では、一の層56のベルトコードは、この一の層56に積層される他の層56のベルトコードと交差するように、ベルト14は構成される。
このタイヤ2では、4枚の層56のうち、第一層56Aと第三層56Cとの間に位置する第二層56Bが最大の軸方向幅を有する。径方向において最も外側に位置する第四層56Dが、最小の軸方向幅を有する。
図1に示されるように、第二層56B及び第三層56Cの端部はそれぞれゴム層58で覆われる。ゴム層58で覆われたそれぞれの端部の間には、さらに2枚のゴム層58が配置される。このタイヤ2では、第二層56Bの端部と第三層56Cの端部との間に、計4枚のゴム層58からなるエッジ部材60が挟み込まれる。これにより、第三層56Cの端部は、径方向外向きに迫り上げられ、第二層56Bの端部から引き離して配置される。このエッジ部材60は架橋ゴムからなる。
それぞれのクッション層16は、ベルト14の端の部分、すなわち、ベルト14の端部において、このベルト14とカーカス12との間に位置する。クッション層16は、架橋ゴムからなる。
インナーライナー18は、カーカス12の内側に位置する。インナーライナー18は、タイヤ2の内面を構成する。このインナーライナー18は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー18は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのスチール補強層20は、ビード8の部分に位置する。スチール補強層20は、カーカスプライ52に沿って、コア40の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される。このタイヤ2では、スチール補強層20の少なくとも一部はカーカスプライ52と接する。
図示されないが、スチール補強層20は並列した多数のフィラーコードを含む。スチール補強層20においてフィラーコードはトッピングゴムで覆われる。フィラーコードの材質はスチールである。
図2は、トレッド4の外面22の展開図を示す。この図2において、左右方向はこのタイヤ2の軸方向であり、上下方向はこのタイヤ2の周方向である。この図2の紙面に対して垂直な方向は、このタイヤ2の径方向である。
図2において、符号PEはトレッド面34の端である。なお、タイヤ2において、外観上、トレッド面34の端PEの識別が不能な場合には、正規状態のタイヤ2に正規荷重を負荷して、キャンバー角を0゜としトレッド4を平面に接触させて得られる接地面の軸方向外側端がトレッド面34の端PEとして定められる。
前述したように、このタイヤ2では、4本の周方向溝36がトレッド本体30に刻まれる。これら周方向溝36は、軸方向に並列され、周方向に連続して延びる。
4本の周方向溝36のうち、軸方向において内側に位置する周方向溝36c、すなわち赤道PCに近い周方向溝36cがセンター周方向溝36cである。軸方向において最も外側に位置する周方向溝36s、すなわち、トレッド面34の端PEに近い周方向溝36sがショルダー周方向溝36sである。なお、トレッド本体30に刻まれた周方向溝36に、赤道PC上に位置する周方向溝が含まれる場合には、赤道PC上に位置する周方向溝がセンター周方向溝とされる。さらにセンター周方向溝36cとショルダー周方向溝36sとの間に周方向溝が存在する場合には、この周方向溝がミドル周方向溝とされる。
このタイヤ2のベルト14は、第一層56A、第二層56B、第三層56C及び第四層56Dで構成される。図1に示されるように、このベルト14を構成する、第一層56A、第二層56B、第三層56C及び第四層56Dの端は、軸方向において、ショルダー周方向溝36sの外側に位置する。
図2において、両矢印RTはトレッド本体30の実幅である。この実幅RTは、トレッド面34に沿って計測される、一方のトレッド面34の端PEから他方のトレッド面34の端PEまでの距離で表される。この図2において、両矢印GCはセンター周方向溝36cの実幅である。両矢印GSはショルダー周方向溝36sの実幅である。実幅GC及び実幅GSは、トレッド面34に周方向溝36がないと仮定して得られる仮想トレッド面に沿って計測される。図1において、両矢印DCはセンター周方向溝36cの深さである。両矢印DSは、ショルダー周方向溝36sの深さである。深さDC及び深さDSは、この仮想トレッド面から底までの距離により表される。
このタイヤ2では、排水性及びトラクション性能への貢献の観点から、センター周方向溝36cの実幅GCはトレッド本体30の実幅RTの2~10%程度が好ましい。センター周方向溝36cの深さDCは、13~25mmが好ましい。
このタイヤ2では、排水性及びトラクション性能への貢献の観点から、ショルダー周方向溝36sの実幅GSはトレッド本体30の実幅RTの1~7%程度が好ましい。ショルダー周方向溝36sの深さDSは、13~25mmが好ましい。
前述したように、このタイヤ2では、4本の周方向溝36がトレッド本体30に刻まれることにより、このトレッド本体30には5本の陸部38が構成される。これら陸部38は、軸方向に並列され、周方向に延びる。
5本の陸部38のうち、軸方向において内側に位置する陸部38c、すなわち赤道PC上に位置する陸部38cがセンター陸部38cである。軸方向において最も外側に位置する陸部38s、すなわち、トレッド面34の端PEを含む陸部38sがショルダー陸部38sである。さらにセンター陸部38cとショルダー陸部38sとの間に位置する陸部38mが、ミドル陸部38mである。なお、トレッド本体30に構成された陸部のうち、軸方向において内側に位置する陸部が赤道PC上でなく、赤道PCの近くに位置する場合には、この赤道PCの近くに位置する陸部、すなわち赤道PC側に位置する陸部がセンター陸部とされる。
図2において、両矢印RCはセンター陸部38cの実幅である。両矢印RSは、ショルダー陸部38sの実幅である。両矢印RMは、ミドル陸部38mの実幅である。実幅RC、実幅RS及び実幅RMは、トレッド面34に沿って計測される。
このタイヤ2では、操縦安定性及びウェット性能の観点から、センター陸部38cの実幅RCは、トレッド本体30の実幅RTの10~18%程度が好ましい。同様の観点から、ミドル陸部38mの実幅RMは、トレッド本体30の実幅RTの10~18%程度が好ましい。
図2に示されるように、このタイヤ2のセンター陸部38cには、このセンター陸部38cを横切るサイプ62cが複数刻まれる。センター陸部38cにおいて、これらサイプ62cは周方向に間隔をあけて配置される。センター陸部38cは、周方向に断続して延びる。ミドル陸部38mにも、このミドル陸部38mを横切るサイプ62mが複数刻まれる。これらサイプ62mは、周方向に間隔をあけて配置される。このミドル陸部38mも、センター陸部38cと同様、周方向に断続して延びる。
このタイヤ2では、センター陸部38cのサイプ62c及びミドル陸部38mのサイプ62mは、ウェット性能の向上に貢献する。これらサイプ62の幅は、0.5mm以上1.5mm以下の範囲で設定される。サイプ62の深さは、3mm以上12mm以下の範囲で設定される。
このタイヤ2では、ショルダー陸部38sには、センター陸部38c及びミドル陸部38mのように、このショルダー陸部38sを横切るサイプや細溝は刻まれない。このショルダー陸部38sは、周方向に途切れることなく連続して延びる。
このタイヤ2では、センター陸部38cの実幅RCに対するショルダー陸部38sの実幅RSの比は1.15以上1.45以下である。
センター陸部38cの実幅RCに対するショルダー陸部38sの実幅RSの比が1.15以上であるので、ショルダー陸部38sの剛性が十分に確保される。路面に接触してからこの路面から離れるまでのショルダー陸部38sの動きが抑えられるので、このタイヤ2では、ショルダー陸部38sに摩耗は生じにくい。このタイヤ2では、偏摩耗(例えば、ショルダー陸部38s全体が摩耗する片減り)の発生が抑制される。この観点から、この比は1.20以上がより好ましい。
センター陸部38cの実幅RCに対するショルダー陸部38sの実幅RSの比が1.45以下であるので、ショルダー陸部38s内での周長差が適切に維持される。ショルダー陸部38sの各部における路面に対する滑りに違いが生じにくいので、このタイヤ2では、このショルダー陸部38sに肩落ち摩耗が発生することが抑えられる。この場合においても、このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制される。この観点から、この比は1.40以下がより好ましい。
このタイヤ2では、センター陸部38cの実幅RCに対するミドル陸部38mの実幅RMの比は0.95以上が好ましく、1.05以下が好ましい。この比が0.95以上に設定されることにより、適切な実幅RSを有するショルダー陸部38sが構成されるので、ショルダー陸部38s内での周長差が適切に維持される。ショルダー陸部38sの各部における路面に対する滑りに違いが生じにくいので、このタイヤ2では、このショルダー陸部38sに肩落ち摩耗が発生することが抑えられる。この比が1.05以下に設定されることにより、ショルダー陸部38sの実幅RSが十分に確保されるので、このショルダー陸部38sは十分な剛性を有する。ショルダー陸部38sの動きが抑えられるので、このタイヤ2では、ショルダー陸部38sに摩耗は生じにくい。このタイヤ2では、ショルダー陸部38s全体が摩耗していく片減りの発生が効果的に抑制される。
図3は、図1に示された、このタイヤ2の断面の一部を示す。この図3において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。この図3の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。
本発明においては、ベルトを構成する複数の層のうち、最も広い軸方向幅を有する層が第一基準層であり、第一基準層の外側に積層される層が第二基準層である。前述したように、このタイヤ2では、ベルト14は径方向に積層された、第一層56A、第二層56B、第三層56C及び第四層56Dで構成される。このタイヤ2では、これら層56のうち、最も広い軸方向幅を有する第二層56Bが第一基準層64であり、径方向において、この第二層56Bの外側に積層される第三層56Cが第二基準層66である。
図3(a)において、矢印WTはトレッド本体30の軸方向幅である。この軸方向WTは、トレッド面34の一方の端PEから他方の端PEまでの軸方向距離で表される。矢印W1は、第一基準層64としての第二層56Bの軸方向幅である。この軸方向幅W1は、第二層56Bの一方の端から他方の端までの軸方向距離により表される。矢印W2は、第二基準層66としての第三層56Cの軸方向幅である。この軸方向幅W2は、第三層56Cの一方の端から他方の端までの軸方向距離により表される。
このタイヤ2では、トレッド本体30の軸方向幅WTに対する第一基準層64の軸方向幅W1の比は0.85以上1.00以下である。
トレッド本体30の軸方向幅WTに対する第一基準層64の軸方向幅W1の比が0.85以上であるので、ベルト14がトレッド本体30全体を十分に拘束する。このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの外端部、すなわち、トレッド面34の端PEの部分における特異な寸法成長が抑えられるので、このショルダー陸部38sに肩落ち摩耗が発生することが抑えられる。このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制される。この観点から、この比は0.90以上が好ましく、0.92以上がより好ましい。
トレッド本体30の軸方向幅WTに対する第一基準層64の軸方向幅W1の比が1.00以下であるので、ショルダー陸部38sに対するベルト14の拘束力が適切に維持される。タイヤの周長に関し、赤道部分の周長とトレッド本体30の端PEの部分の周長との周長差が適切に維持されるので、ショルダー陸部38sの路面に対する滑りが抑えられる。このタイヤ2では、段差摩耗のような偏摩耗の発生が抑えられる。この観点から、この比は0.97以下が好ましく、0.95以下がより好ましい。
このタイヤ2では、トレッド本体30の軸方向幅WTに対する第二基準層66の軸方向幅W2の比は0.80以上である。この第二基準層66はトレッド本体30の拘束に貢献する。このタイヤ2では、ベルト14がトレッド本体30全体を十分に拘束するので、ショルダー陸部38sの外端部における特異な寸法成長が抑えられる。このタイヤ2では、肩落ち摩耗のような偏摩耗の発生が抑制される。この観点から、この比は0.85以上が好ましく、0.90以上がより好ましい。
このタイヤ2では、軸方向において、第二基準層66の端は第一基準層64の端よりも内側に位置する。軸方向において、第二基準層66の端と第一基準層64の端とが一致しないので、ベルト14の端部に歪が集中することが防止される。このタイヤ2では、ベルト14の端部においてルースのような損傷が生じにくい。しかも、ショルダー陸部38sに対するベルト14の拘束力が適切に維持される上に、タイヤの周長に関し、赤道部分の周長とトレッド本体30の端PEの部分の周長との周長差が適切に維持される。ショルダー陸部38sの路面に対する滑りが抑えられるので、このタイヤ2では、段差摩耗のような偏摩耗の発生が抑えられる。
さらにこのタイヤ2では、ショルダー陸部38sの軸方向外側に周方向細溝28を挟んで細陸部32が設けられる。
図2において、両矢印RLは細陸部32の実幅である。この実幅RLは、トレッド4の外面22に沿って計測される、トレッド4の外面22の端TEから細陸部32の内端までの距離により表される。このタイヤ2では、この細陸部32の実幅RLは通常、3mm以上7mm以下の範囲で設定される。
図1において、両矢印DTは周方向細溝28の深さである。図2において、両矢印GTはこの周方向細溝28の実幅である。このタイヤ2では、周方向細溝28の実幅GTはショルダー周方向溝36sの実幅GSの30%以下に設定される。この周方向細溝28の深さDTは、ショルダー周方向溝36sの深さDSの0.6倍以上1.0倍以下の範囲に設定される。
タイヤ2が路面を踏みしめると、細陸部32がショルダー陸部38sと当接し、細陸部32がショルダー陸部38sを支持する。このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの外端部、すなわち、トレッド面34の端PEの部分における接地圧の過度の上昇が抑えられる。
以上説明したように、このタイヤ2では、センター陸部38cの実幅RCに対するショルダー陸部38sの実幅RSの比が適正化される。このタイヤ2では、路面に接触してからこの路面から離れるまでのショルダー陸部38sの動きが抑えられるとともに、このショルダー陸部38s内での周長差が適切に維持される。
このタイヤ2ではさらに、ベルト14を構成する複数の層56のうち、最も広い軸方向幅を有する第一基準層64と、この第一基準層64の外側に積層される第二基準層66とについて、それぞれの軸方向幅のトレッド本体30の軸方向幅に対する比が適正化される。このタイヤ2では、ベルト14がトレッド本体30全体を十分に拘束するので、ショルダー陸部38sの外端部における特異な寸法成長が抑えられる。
そしてこのタイヤ2では、ショルダー陸部38sの軸方向外側に周方向細溝28を挟んで細陸部32が設けられる。タイヤ2が路面を踏みしめると、細陸部32がショルダー陸部38sと当接し、この細陸部32がショルダー陸部38sを支持する。このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの外端部における接地圧の上昇が抑えられる。
このタイヤ2では、路面に対するショルダー陸部38sの過剰な滑りと、このショルダー陸部38sの路面に対する特異な接触とが効果的に防止される。このタイヤ2のショルダー陸部38sでは、段差摩耗等の摩耗は生じにくい。このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制される。
図3(a)において、両矢印Dは、第一基準層64としての第二層56Bの端から第二基準層66としての第三層56Cの端までの軸方向距離である。
このタイヤ2では、第一基準層64の端から第二基準層66の端までの軸方向距離Dは3mm以上が好ましく、8mm以下が好ましい。
距離Dが3mm以上に設定されることにより、軸方向において、第二基準層66の端と第一基準層64の端とが適度な間隔をあけて配置される。ベルト14の端部への歪の集中が抑えられるので、このタイヤ2では、ベルト14の端部においてルースのような損傷が発生することが防止される。この観点から、この距離Dは4mm以上がより好ましい。
距離Dが8mm以下に設定されることにより、ベルト14がトレッド本体30全体を十分に拘束する。ショルダー陸部38sの外端部における特異な寸法成長が抑えられるので、このタイヤ2では、このショルダー陸部38sに肩落ち摩耗が発生することが抑えられる。この観点から、この距離Dは7mm以下がより好ましい。
図3(a)において、両矢印Yは、第二基準層66としての第三層56Cの端におけるこの第三層56Cから、第一基準層64としての第二層56Bまでの距離である。この距離Yは、第二層56Bの外面の法線に沿って計測される。前述したように、第二層56Bの端部と第三層56Cの端部との間には、エッジ部材60が位置する。この距離Yはこのエッジ部材60の厚さでもある。
このタイヤ2では、第二基準層66の端においてこの第二基準層66から第一基準層64までの距離Y(又は、第二基準層66の端におけるエッジ部材60の厚さY)は、2.5mm以上が好ましく、4.0mm以下が好ましい。
距離Yが2.5mm以上に設定されることにより、第一基準層64の端部に対して第二基準層66の端部が十分な間隔をあけて配置される。このタイヤ2では、トレッド本体30に対するベルト14の拘束力を確保しつつ、ベルト14の端部への歪の集中が十分に抑えられる。このタイヤ2では、ベルト14の端部における損傷の発生を防止しながら、偏摩耗の発生が抑えられる。この観点から、この距離Yは3.0mm以上がより好ましい。
距離Yが4.0mm以下に設定されることにより、トレッド面34に対して第二基準層66の端部が適切な距離をあけて配置される。第二基準層66の端部がトレッド面34に近接することにより生じる接地圧の上昇が抑えられるので、このタイヤ2では、ショルダー陸部38sに段差摩耗のような摩耗が発生することが防止される。さらに、第二基準層66の端部の垂れ下がりが防止されるので、この第二基準層66の端部の動きが抑えられる。この端部の動きに伴う発熱が抑えられるので、ルースのような損傷の発生が防止される。この観点から、この距離Yは3.5mm以下がより好ましい。
前述したように、第一基準層64の端の部分と第二基準層66の端の部分との間には、エッジ部材60が位置し、このエッジ部材60は積層された4枚のゴム層58で構成される。このタイヤ2では、このエッジ部材60の厚さYのコントロールが容易であるとともに正確である。
図3(b)において、符号P1は第一基準層64としての第二層56Bの端を通り、径方向に延びる直線と、トレッド面34との交点である。この交点P1は、第一基準層64の端に対応するトレッド面34上の位置である。符号P2は、第二基準層66としての第三層56Cの端を通り、径方向に延びる直線と、トレッド面34との交点である。この交点P2は、第二基準層66の端に対応するトレッド面34上の位置である。
この図3(b)において、両矢印S1はショルダー陸部38sの内端から、第一基準層64の端に対応するトレッド面34上の位置P1までの、トレッド面34に沿って計測される長さである。本発明においては、この長さS1がショルダー陸部38s内での第一基準層64の実幅である。両矢印S2は、ショルダー陸部38sの内端から、第二基準層66の端に対応するトレッド面34上の位置P2までの、トレッド面34に沿って計測される長さである。本発明においては、この長さS2がショルダー陸部38s内での第二基準層66の実幅である。なお、この図3(b)における両矢印RSは、図2に示された、ショルダー陸部38sの実幅である。
このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの実幅RSに対する、このショルダー陸部38s内での第一基準層64の実幅S1の比は0.8以上が好ましい。これにより、このタイヤ2では、ベルト14がトレッド本体30全体を十分に拘束する。このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの外端部における特異な寸法成長が抑えられるので、このショルダー陸部38sに肩落ち摩耗が発生することが抑えられる。このタイヤ2では、偏摩耗の発生が抑制される。この観点から、この比は0.85以上がより好ましい。
このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの実幅RSに対する、このショルダー陸部38s内での第一基準層64の実幅S1の比は1.00以下が好ましい。これにより、このタイヤ2では、ショルダー陸部38sに対するベルト14の拘束力が適切に維持される。タイヤの周長に関し、赤道部分の周長とトレッド本体30の端PEの部分の周長との周長差が適切に維持されるので、ショルダー陸部38sの路面に対する滑りが抑えられる。このタイヤ2では、段差摩耗のような偏摩耗の発生が抑えられる。
このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの実幅RSに対する、このショルダー陸部38s内での第二基準層66の実幅S2の比は0.6以上が好ましい。これにより、このタイヤ2では、第二基準層66がトレッド本体30の拘束に貢献する。このタイヤ2では、ベルト14がトレッド本体30全体を十分に拘束するので、ショルダー陸部38sの外端部における特異な寸法成長が抑えられる。このタイヤ2では、肩落ち摩耗のような偏摩耗の発生が抑制される。この観点から、この比は0.70以上がより好ましい。
このタイヤ2では、ショルダー陸部38sの実幅RSに対する、このショルダー陸部38s内での第二基準層66の実幅S2の比は0.9以下が好ましい。これにより、このタイヤ2では、ショルダー陸部38sに対するベルト14の拘束力が適切に維持される。タイヤの周長に関し、赤道部分の周長とトレッド本体30の端PEの部分の周長との周長差が適切に維持されるので、ショルダー陸部38sの路面に対する滑りが抑えられる。このタイヤ2では、段差摩耗のような偏摩耗の発生が抑えられる。この観点から、この比は0.85以下がより好ましい。
図1において、符号PWはこのタイヤ2の軸方向外端である。この外端PWは、このタイヤ2の側面に模様や文字等の装飾がないと仮定して得られる、仮想側面に基づいて特定される。両矢印WAは、一方の外端PWから他方の外端PWまでの軸方向距離である。この距離WAは、このタイヤ2の最大幅、すなわちタイヤ2の断面幅(JATMA等参照)である。したがって、外端PWは、このタイヤ2が最大幅を示す位置(以下、タイヤ2の最大幅位置とも称される。)である。
図1において、符号PSは赤道面とカーカス12の内面との交点である。両矢印HCは、ビードベースラインからこの交点PCまでの径方向距離である。本発明においてこの距離HCは、カーカス高さとも称される。両矢印HAは、ビードベースラインからエイペックス42の外端50までの径方向距離である。本発明においてこの距離HAは、エイペックス高さとも称される。両矢印HWは、ビードベースラインから最大幅位置PWまでの径方向距離である。本発明においてこの距離HWは、最大幅位置高さとも称される。
このタイヤ2では、カーカス高さHCに対する最大幅位置高さHWの比は0.58以下が好ましい。これにより、タイヤ2のサイドウォール6の部分、すなわちサイド部における撓みが効果的に確保される。このタイヤ2では、トレッド面34の端PEの部分に作用する力が低減されるので、この部分の接地圧の上昇が抑えられる。この観点から、この比は0.56以下がより好ましい。サイド部の剛性確保の観点から、この比は0.50以上が好ましく、0.52以上がより好ましい。
このタイヤ2では、カーカス高さHCに対するエイペックス高さHAの比は0.40以下が好ましい。これにより、タイヤ2のサイドウォール6の部分、すなわちサイド部Sにおける撓みに貢献できる領域が効果的に確保される。このタイヤ2では、トレッド面34の端PEの部分に作用する力が低減されるので、この部分の接地圧の上昇が抑えられる。この観点から、この比は0.39以下がより好ましい。サイド部Sの剛性確保の観点から、この比は0.36以上が好ましい。
図3(a)において、両矢印W4はベルト14を構成する第四層56Dの軸方向幅である。この軸方向幅W4は、第四層56Dの一方の端から他方の端までの軸方向距離により表される。
このタイヤ2では、トレッド本体30の軸方向幅WTに対する第四層56Dの軸方向幅の比は0.67以上が好ましい。これにより、第四層56Dがトレッド本体30の拘束に貢献する。このタイヤ2では、ベルト14がトレッド本体30全体を十分に拘束するので、ショルダー陸部38sの外端部における特異な寸法成長が抑えられる。ショルダー陸部38sに対するベルト14の拘束力が適切に維持される上に、タイヤの周長に関し、赤道部分の周長とトレッド本体30の端PEの部分の周長との周長差が適切に維持される観点から、この比は0.75以下が好ましい。
図3(b)において、両矢印TTは、第二基準層66としての第三層56Cの端からトレッド面34までの距離である。両矢印TBは、この第三層56Cの端からベース部24とキャップ部26との境界までの距離である。このタイヤ2では、距離TT及び距離TBは第三層56Cの端を通るトレッド面34の法線に沿って計測される。
このタイヤ2では、距離TTに対する距離TBの比は0.30以上が好ましい。これにより、ベルト14の端部を覆うベース部24のボリュームが十分に確保される。ベルト14の端部の動きに伴う発熱が効果的に抑えられるので、このタイヤ2では、このベルト14の端部における損傷が生じにくい。この観点から、この比は0.33以上がより好ましい。トレッド4の剛性確保の観点から、この比は0.40以下が好ましい。
従来のタイヤにおいては、トレッド面の端は通常、軸方向において、コアの内端よりも外側に位置する。これに対して、このタイヤ2では、図1に示されるように、軸方向において、トレッド面34の端PEの位置は、コア40の内端PAの位置と一致するか、このトレッド面34の端PEはコア40の内端PAよりも内側に位置する。このタイヤ2では、トレッド本体30の軸方向幅WTが従来のタイヤに比べて狭いため、トレッド面34の端PEの部分において接地圧が高まり、偏摩耗の発生が促されることが懸念される。
しかしこのタイヤ2では、これまで説明してきたように、ショルダー陸部38sの軸方向外側に周方向細溝28を挟んで細陸部32が設けられるとともに、センター陸部38cの実幅RCに対するショルダー陸部38sの実幅RSの比、ベルト14を構成する複数の層56のうち、最も広い軸方向幅を有する第一基準層64の軸方向幅W1のトレッド本体30の軸方向幅WTに対する比、及び、この第一基準層64の外側に積層される第二基準層66の軸方向幅W2のトレッド本体30の軸方向幅WTに対する比の適正化が図られている。このタイヤ2では、路面に対するショルダー陸部38sの過剰な滑りと、このショルダー陸部38sの路面に対する特異な接触とが効果的に防止されるので、このショルダー陸部38sにおいて段差摩耗等の摩耗は生じにくい。このタイヤ2では、トレッド本体30の軸方向幅WTが狭く、偏摩耗の抑制の点において不利であるにも関わらず、偏摩耗の発生が効果的に抑制される。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、偏摩耗の発生が抑制された、重荷重用空気入りタイヤ2が得られる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく、この技術的範囲には特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた重荷重用空気入りタイヤ(タイヤサイズ=12R22.5)を得た。
この実施例1では、センター陸部の実幅RCに対するショルダー陸部の実幅RSの比(RS/RC)は1.40であった。センター陸部の実幅RCに対するミドル陸部の実幅RMの比(RM/RC)は1.00であった。なお、この実施例1では、センター陸部の実幅RCは29.5mmに設定された。
この実施例1では、センター周方向溝の実幅GCは9.6mmに設定され、ショルダー周方向溝の実幅GSは8.2mmに設定された。この実施例1には、細陸部が設けられているので、このことが表の「細陸部」の欄に「Y」で表されている。
この実施例1では、トレッド本体の軸方向幅WTに対する第一基準層(すなわち、第二層)の軸方向幅W1の比(W1/WT)は0.96であった。トレッド本体の軸方向幅WTに対する第二基準層(すなわち、第三層)の軸方向幅W2の比(W2/WT)は0.90であった。トレッド本体の軸方向幅WTは、103.45mmに設定された。
この実施例1では、ショルダー陸部の実幅RSに対するこのショルダー陸部内での第一基準層の実幅S1の比(S1/RS)は0.92であった。ショルダー陸部の実幅RSに対するこのショルダー陸部内での第二基準層の実幅S2の比(S2/RS)は0.72であった。第一基準層の端から第二基準層の端までの軸方向距離Dは5.0mmに設定された。第二基準層の端におけるこの第二基準層から第一基準層までの距離Y、すなわち、エッジ部材の厚さYは3mmに設定された。
[実施例2]
軸方向幅W1及びW2並びに実幅S1及びS2を変えて比(W1/WT)及び比(W2/WT)並びに比(S1/RS)及び比(S2/RS)を下記の表1に示された通りにするとともに、距離D及び厚さYをこの表1に示される通りにした他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。
[実施例3及び4]
軸方向幅W1及び実幅S1を変えて比(W1/WT)及び比(S1/RS)を下記の表1に示された通りにするとともに、距離D及び厚さYをこの表1に示される通りにした他は実施例1と同様にして、実施例3及び4のタイヤを得た。
[比較例1及び2]
実幅RCを31.6mmとし、実幅RS及びRM並びに実幅S1及びS2を変えて比(RS/RC)及び比(RM/RC)並びに比(S1/RS)及び比(S2/RS)を下記の表1に示された通りにし、軸方向幅WTを101.4mmとし、軸方向幅W1及びW2を変えて比(W1/WT)及び比(W2/WT)をこの表1に示された通りにし、そして、実幅GS、距離D及び厚さYをこの表1に示される通りにするとともに、細陸部を設けなかった他は実施例1と同様にして、比較例1及び2のタイヤを得た。なお、細陸部が設けられていないことが、表の「細陸部」の欄に「N」で表されている。
[比較例3及び4]
軸方向幅W1及びW2並びに実幅S1及びS2を変えて比(W1/WT)及び比(W2/WT)並びに比(S1/RS)及び比(S2/RS)を下記の表1に示された通りにするとともに、実幅GC、実幅GS、距離D及び厚さYをこの表1に示される通りにした他は実施例1と同様にして、比較例3及び4のタイヤを得た。
[耐久性]
耐久性として、耐ベルトエッジルース(BEL)性能を評価した。この評価においては、タイヤをリム(サイズ=8.25×22.5)に組み込み、タイヤの内部に空気を充填した。タイヤの内圧が850kPaに調整された。駆動ドラムを有する台上試験機にこのタイヤを装着した。30kNの縦荷重をタイヤに負荷し、このタイヤを60km/hで走行させた。走行距離が10000kmに到達した時点で、タイヤを取り外し、ベルトの端に発生したセパレーションの長さを計測した。この結果が、実施例1のタイヤを100とした指数として、下記の表1に示されている。数値が大きいほどBELが発生しにくく、耐久性に優れることを表す。
[偏摩耗]
試作タイヤをリム(サイズ=8.25×22.5)に組み込み空気を充填しタイヤの内圧を850kPaに調整した。このタイヤを、高速バスのフロント軸に装着し、タイヤのローテーションをすることなく、6か月間、この高速バスを走行させた。走行後、タイヤの外観を観察し、肩落ち摩耗のような偏摩耗の発生状況を確認した。この結果が以下の格付けで下記の表1に示されている。
A・・・偏摩耗の発生が抑えられていた場合
B・・・偏摩耗は発生したが走行性能に変化が認められなかった場合
C・・・偏摩耗が発生しており走行に支障のない程度の性能低下が認められた場合
D・・・偏摩耗が発生しており交換が必要であると判断された場合
Figure 0007225690000001
表1に示されるように、実施例では、偏摩耗の発生が抑制されていることが確認される。実施例は、比較例に比して評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された偏摩耗の発生を抑制するための技術は、種々のタイヤに適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
28・・・周方向細溝
30・・・トレッド本体
32・・・細陸部
34・・・トレッド面
36、36c、36s・・・周方向溝
38、38c、38m、38s・・・陸部
56、56A、56B、56C、56D・・・層
58・・・ゴム層
60・・・エッジ部材
64・・・第一基準層
66・・・第二基準層

Claims (4)

  1. 一対のビードと、一対のビードの間を架け渡すカーカスと、路面と接触するトレッドと、前記トレッドの径方向内側に位置するベルトと、
    を備え、
    前記トレッドの端部に周方向細溝が刻まれることにより、トレッド本体と、当該トレッド本体の軸方向外側に位置する細陸部とが構成され、
    前記トレッド本体に少なくとも4本の周方向溝が刻まれることにより、軸方向に並列した少なくとも5本の陸部が構成され、これら陸部のうち、赤道面上又は赤道面側に位置する陸部がセンター陸部であり、軸方向において最も外側に位置する陸部がショルダー陸部であり、
    前記ベルトが、並列した多数のベルトコードを含み、前記並列した多数のベルトコードが赤道面に対して傾斜し、
    前記ベルトが、前記トレッドの径方向内側において前記カーカスに直接積層され、
    前記ベルトが径方向に積層された複数の層で構成され、これら層のうち、最も広い軸方向幅を有する層が第一基準層であり、当該第一基準層の外側に積層される層が第二基準層であり、
    軸方向において、前記第二基準層の端が前記第一基準層の端よりも内側に位置し、
    前記トレッド本体の軸方向幅に対する前記第一基準層の軸方向幅の比が0.85以上1.00以下であり、
    前記トレッド本体の軸方向幅に対する前記第二基準層の軸方向幅の比が0.80以上であり、
    前記センター陸部の実幅に対する前記ショルダー陸部の実幅の比が1.15以上1.45以下であり、
    前記複数の層が、第一層と、前記第一層の径方向外側に位置する第二層と、前記第二層の径方向外側に位置する第三層と、前記第三層の径方向外側に位置する第四層とを含み、
    前記第一層が前記カーカスに直接積層され、前記第二層が前記第一基準層であり、前記第三層が前記第二基準層であり、前記第四層が最も径方向外側に位置し、最小の軸方向幅を有し、
    前記トレッド本体に刻まれる少なくとも4本の周方向溝のうち、軸方向において最も外側に位置する周方向溝がショルダー周方向溝であり、
    前記第一層、前記第二層、前記第三層及び前記第四層の端が、軸方向において、前記ショルダー周方向溝の外側に位置し、
    前記ビードが、コアと、前記コアの径方向外側に位置するエイペックスとを備え、
    前記トレッド本体の外面がトレッド面であり、
    軸方向において、前記トレッド面の端の位置が、前記コアの内端の位置と一致する、又は、前記トレッド面の端が前記コアの内端よりも内側に位置する、重荷重用空気入りタイヤ。
  2. 前記第一基準層の端から前記第二基準層の端までの軸方向距離が3mm以上8mm以下である、請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  3. 前記第二基準層の端において当該第二基準層から前記第一基準層までの距離が2.5mm以上4.0mm以下であり、
    前記距離が、前記第二基準層の端における前記第二基準層から前記第一基準層までの距離であり、前記距離が、前記第一基準層の外面の法線に沿って計測される、請求項1又は2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
  4. 前記トレッドがその外面において前記路面と接触し、
    前記トレッドの外面が、前記トレッド面と、前記細陸部の外面とを含む、請求項1から3のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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