JP7224351B2 - 触媒及びそれを用いた化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高活性であり、高収率で目的物を得られる新規触媒に関するものであり、特に不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、又は共役ジエンを酸化的に製造する際に、触媒活性が高い領域においても安定して高収率な製造を可能とする触媒に関する。
プロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等を原料にして対応する不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸を製造する方法や、ブテン類から1,3-ブタジエンを製造する気相接触酸化方法は工業的に広く実施されている。
特に、プロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等を原料にして対応する不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸を製造する方法に関しては、その収率を向上する手段として多くの報告がなされている(例えば特許文献1、2等)。
上記のような手段をもって改良をはかっても、プロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等の部分酸化反応により対応する不飽和アルデヒド及び/又は不飽和カルボン酸の製造において、さらなる収率の改善が求められている。例えば、目的生成物の収率は、製造に要するプロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等の使用量を左右し製造コストに多大な影響を与える。また、低い収率で運転を継続することによって副生成物を大量に生成するため精製工程に大きな負荷を与え、精製工程にかかる時間および運転コストが上がる問題が生じる。さらには副生成物の種類によっては、それらは触媒表面や触媒付近のガス流路に堆積する場合もある。これらは触媒表面の必要な反応活性点を被覆してしまうことで触媒の活性を低下させるため、強制的に活性を上げる必要が生じ反応浴温度を上げざるを得ない。すると、触媒が熱的ストレスを受けることとなり、寿命の低下やさらなる選択率の低下を引き起こし、収率の低下を招くことにもなる。また、系内に堆積した副生成物により系内圧力の上昇を引き起こすことでも選択率が低下し、収率低下につながることも考えられ、最悪の場合は内部圧力の急上昇によって温度異常をきたし反応が暴走することも考えられる。そうなると長期にわたり運転を停止し、系内清掃や触媒交換が必要になることも想定される。
また、特にイソブチレンやt-ブチルアルコ-ルを原料として気相接触酸化反応する場合に関しては、主生成物のメタクロレインのほかに、マレイン酸やテレフタル酸等の比較的高沸点の化合物が副生し、同時に重合物やタール状物質が反応生成ガス中に含まれてくるという特有の課題を内包している。このような物質を含む反応生成ガスをそのまま後段反応に供すると、これらの物質は配管内や後段触媒充填層での閉塞を引き起し、圧力損失の増大や、触媒活性の低下、メタクリル酸への選択率の低下などの原因となる。また、閉塞を除去するために工業生産を停止しなければならなくなり、多大な生産低下を引き起こしてしまう。このようなトラブルは、メタクリル酸の生産性を高めるためにイソブチレンおよび/またはt-ブチルアルコールの供給量を増やしたり、イソブチレンおよび/またはt-ブチルアルコール濃度を上げたりすると多く発生する。
このようなトラブルを防止するため一般に採用される方法としては、定期的に反応を停止して、後段触媒のガス入口側に触媒層での閉塞や触媒の活性低下を防止するために充填した不活性物質を抜き出して入れ替えたり、あるいは前段反応生成ガスからメタクロレインをいったん分離し、あらためてこの分離メタクロレインを後段反応に供給することで酸化反応の最適化プロセスを採用したり、さらには原料ガス濃度を必要以上に希釈して、副生成物濃度を下げて反応を行う方法が提案されている。特許文献3には前段および後段の反応の中間部での配管などの閉塞防止のために、その部分を無水マレイン酸の沸点以上の温度に保温する方法、ガス線速度を極めて大きくとるように工夫する方法、特許文献4には、後段反応に用いられる触媒の形状を特定して触媒間の空隙率を上げて前段反応器からの固形物の閉塞を押える方法等が提案されている。しかしながら、これらの方法もまた、工業的方法としては充分満足できるものではなく、更なる収率の向上を実現できる触媒の開発が望まれている。
イソブチレンやt-ブチルアルコ-ルを原料とした二段階の気相接触酸化反応によりメタクロレイン、メタクリル酸を順に製造し、さらにメタクリル酸からエステル化反応によりメタクリル酸メチルを製造するプロセスは直酸法と呼ばれており、他のメタクリル酸メチル製造プロセスと比較して安全かつ環境負荷が少なく、反応熱を有効に活用でき触媒価格も抑えられることから、競争力の高いプロセスであると期待される。この直酸法の一段目反応、すなわちイソブチレンやt-ブチルアルコ-ルからメタクロレインを製造する反応においては、後段の二段目反応においてイソブチレンが被毒物質となるため、触媒活性を挙げてなるべく残イソブチレンを少なくする必要がある。触媒活性を上げるには反応浴温度を上昇させイソブチレン転化率を上昇させるが、非特許文献1に挙げられるように一般に高いイソブチレン転化率領域では急激にメタクロレインおよび/またはメタクリル酸収率または選択率が低下することが分かっている。すなわち、触媒活性の高い領域においてもメタクロレインおよび/またはメタクリル酸の収率が高い触媒の開発が望まれている。
国際公開2016/136882号 日本国特開2017-024009号公報 日本国特開昭50-126605号公報 日本国特開昭61-221149号公報
Journal of Catalysis 236号 282-291 (2005)
本発明は、プロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等を原料にして対応する不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸を製造する方法や、ブテン類から1,3-ブタジエンを製造する気相接触酸化方法に使用される触媒であって、特に触媒活性が高い領域においても選択性および目的生成物の収率が高い触媒を提案するものである。そして、本発明の触媒を使用することで、安全に、安定して、低コストで気相接触酸化方法の長期運転が可能となるものである。
本発明者らは、触媒を構成する各元素と触媒上の活性点であるモリブデンのイオン化エネルギーの差に注目した特性aが特定の範囲に属する触媒が大きく収率向上に役立ち、更には、触媒を構成する各元素の酸化物の標準生成エンタルピーに注目した特性bも特定の範囲に属する場合には、より顕著に当該効果を奏することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、特性aではイオン化エネルギー差から、触媒組成の酸量に影響を与え、触媒の高性能化に寄与し、また特性bでは、酸化物の標準生成エンタルピーから、触媒組成の酸化力に影響を与え、特性a同様に触媒の高性能化に寄与することを見出したものである。
即ち、本発明は、
(1)
モリブデン(Mo)を必須元素とし、その他の触媒活性成分中の構成元素が下記式(cI)で表される関係を満たす触媒、

0.44 ≦ Σ{(MoIE - XIE)×XC} ≦ 1.53 (cI)

[式(cI)において、XIEはモリブデン以外の各元素の第1イオン化エネルギー(eV)、MoIEはモリブデンの第1イオン化エネルギー(eV)、XCはモリブデンを12とした場合の当該元素の原子比率を表し、(MoIE - XIE)が0より小さい場合には0として計算に用いる。]
(2)
更に、触媒活性成分中の構成元素が下記式(cII)で表される関係を満たす上記(1)に記載の触媒、

0.1 ≦ Σ(-XΔH ÷ XS×XC)×10-3 ≦3.6 (cII)

[式(cII)において、XΔHはモリブデン以外の各元素の酸化物の標準生成エンタルピー(kJ・mol-1)、XSは酸化物中に含まれる各元素の量論数、XCはモリブデンを12とした場合の当該元素の原子比率を表す。]
(3)
ビスマス(Bi)、鉄(Fe)及びコバルト(Co)を含有する上記(1)又は(2)に記載の触媒、
(4)
更にニッケル(Ni)及びセシウム(Cs)を含有する上記(1)~(3)のいずれか一項に記載の触媒、
(5)
下記一般式(III)で表される触媒活性成分を含む、(1)~(4)のいずれか一項に記載の触媒、
Moa1Bib1Fec1Cod1’d1e1f1g1h1x1 (III)
(ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはニッケル、Bはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびタリウムから選ばれる少なくとも一種の元素、Cはホウ素、リン、クロム、マンガン、亜鉛、ヒ素、ニオブ、スズ、アンチモン、テルル、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、タングステン、亜鉛、および鉛から選ばれる少なくとも一種の元素、Dはシリコン、アルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の元素、Eはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一種の元素、そしてOは酸素であり、a1、b1、c1、d1’、d1、e1、f1、g1、h1およびx1はそれぞれMo、Bi、Fe、Co、A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a1=12の時、0.1≦b1≦10、0.1≦c1≦20、0.1≦d1’≦20、0.1≦d1≦20、0.05≦e1≦1.0、0≦f1≦10、0≦g1≦30、0≦h1≦5であり、x1はそれぞれの元素の酸化状態によって定まる数値である。)、
(6)
不飽和アルデヒド化合物、不飽和カルボン酸化合物及び共役ジエン化合物の少なくとも一種の製造用である上記(1)~(5)のいずれか一項に記載の触媒、
(7)
上記(1)~(6)のいずれか一項に記載の触媒を用いた不飽和アルデヒド化合物、不飽和カルボン酸化合物及び共役ジエン化合物の少なくとも一種の製造方法、
(8)
上記(7)において原料転化率が99.0%以上である、不飽和アルデヒド化合物、不飽和カルボン酸化合物及び共役ジエン化合物の少なくとも一種の製造方法、
(9)
上記(7)又は(8)において不飽和アルデヒド化合物がメタクロレインであり、不飽和カルボン酸化合物がメタクリル酸およびメタクリル酸メチルの少なくとも一方である製造方法、
(10)
触媒組成中の各元素を含有するスラリーを乾燥して得られる乾燥粉体を200℃以上600℃以下の温度で焼成して得られた予備焼成粉体を成形し、再度200℃以上600℃以下の温度で焼成した上記(1)~(6)のいずれか一項に記載の触媒の製造方法、
に関する。
本発明の触媒は、気相接触酸化反応における収率向上、特に触媒活性が高い領域における収率向上に非常に有効であり、プロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等を原料にして対応する不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸を製造する場合や、炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを製造する場合の酸化触媒、酸化脱水素触媒として特に有用である。
特にプロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等を原料にして対応する不飽和アルデヒドを製造する場合に有効に用いられる。また、本発明の触媒は、触媒活性が高くない領域においても収率向上に有効なほか、たとえばΔT(ホットスポット温度と反応浴温度の差)低減のような発熱を伴う部分酸化反応のプロセス安定性にも向上効果を奏する。
[イオン化エネルギーを用いた特性aについて]
a=Σ{(MoIE - XIE)×XC} (I)
本発明の触媒は、その活性成分の各構成元素について、上記式(I)で表される特性aが0.44以上1.53以下を満たすことを特徴とする。
式(I)において、XIEはモリブデンを除く各元素の第1イオン化エネルギー(単位:eV)を表す。第1イオン化エネルギーは中性原子から一つの電子を取り去る為に要するエネルギーである。例えば、ビスマス(Bi)は7.286eV、鉄(Fe)は7.902eV、コバルト(Co)は7.881eV、ニッケル(Ni)は7.640eV、亜鉛(Zn)は9.394eV、ナトリウム(Na)は5.139eV、セシウム(Cs)は3.894eV、カルシウム(Ca)は6.113eV、マグネシウム(Mg)は7.647eV、アルミニウム(Al)は5.986eV、珪素(Si)は8.152eV、リン(P)は10.486eV、硫黄(S)は10.360eV、銅(Cu)は7.726eV等である(NIST Chemistry Webbook(https://webbook.nist.gov/chemistry/) 参照)。
また、MoIEはモリブデンの第1イオン化エネルギー(単位:eV)を表し、具体的には、7.092eVである。
式(I)における(MoIE - XIE)は、0以上である場合には計算値を用いるが、0より小さい場合には0として計算に用いる。
XCはモリブデンを12とした場合の当該元素の原子比率を表す。
式(I)におけるΣは、上記各元素における計算値の全ての和を表す。
特性aはすなわち、触媒活性成分の各構成元素がモリブデンに対して何らかの形で電子供与しイオン化した総強度であり、モリブデンに対する一種の総塩基性度を表す。特性aが高すぎると酸量は低くなるため原料のプロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等は吸着しにくくなり、結果として低活性となり、特性aが低すぎると酸量は高くなるため原料は強吸着状態となり、高活性であるものの選択性は著しく低下する。すなわち、特性aは高すぎても低すぎても収率は低下することが分かっており、適正な範囲があることが本発明者らによって明らかにされた。
式(I)において、触媒活性成分の構成元素中の全ての元素計算値の和であるΣ{(MoIE - XIE)×XC}としては、0.44以上1.53以下である。この範囲に入る場合、気相接触酸化反応の収率が大きく向上する。
また、Σ{(MoIE - XIE)×XC}の値の上限は1.53であるが、好ましくは1.40、より好ましくは1.35、更に好ましくは1.30、特に好ましくは1.20、最も好ましくは1.10である。下限は0.44であるが、好ましくは0.50、より好ましくは0.70、更に好ましくは0.80、特に好ましくは0.85、最も好ましくは0.90である。
[酸化物の標準生成エンタルピーを用いた特性bについて]
b=Σ(-XΔH ÷ XS×XC)×10-3 (II)
本発明の触媒は、その構成元素について、上記式(II)で表される特性bが0.1以上3.6以下を満たす場合が好ましい。
式(II)において、XΔHは活性成分のモリブデン以外の各構成元素の酸化物の標準生成エンタルピー(単位:kJ・mol-1)を表す。酸化物の標準生成エンタルピーは標準状態(標準温度:298.15K、標準圧力:100000Pa)下で、最も安定な酸化物を生成する反応熱を意味する。例えば、ビスマス(Bi)の場合、Biを生成する-573.9kJ・mol-1となる。同様に鉄(Fe)の場合、Feを生成する-824.2kJ・mol-1となる。同様にして計算すると、コバルト(Co)は-237.9kJ・mol-1、ニッケル(Ni)は-489.5kJ・mol-1、亜鉛(Zn)は-350.5kJ・mol-1、ナトリウム(Na)は-414.2kJ・mol-1、セシウム(Cs)は-345.8kJ・mol-1、カルシウム(Ca)は-634.9kJ・mol-1、マグネシウム(Mg)は-601.6kJ・mol-1、アルミニウム(Al)は、-1675.7kJ・mol-1、珪素(Si)は-910.7kJ・mol-1、銅(Cu)は-157.3kJ・mol-1である(STANDARD THERMODYNAMIC PROPERTIES OF CHEMICAL SUBSTANCES(https://www.update.uu.se/~jolkkonen/pdf/CRC_TD.pdf) 参照)。各元素の酸化物は、原則最安定な酸化状態を取るものとし、鉄のような複数の価数をとる遷移金属元素に関しては触媒調合時の原料の価数に準じて考慮することとする。
式(II)において、XSは酸化物中に含まれる各元素の量論数であり、例えばビスマス(Bi)の場合Biなので「2」となる。従って、上記(-XΔH÷XS)については、ビスマス(Bi)の場合573.9kJ・mol-1÷2=286.95kJ・mol-1となる。同様に計算すると、鉄(Fe)では412.1kJ・mol-1、コバルト(Co)は237.9kJ・mol-1、ニッケル(Ni)は244.75kJ・mol-1、亜鉛(Zn)は350.5kJ・mol-1、ナトリウム(Na)は207.1kJ・mol-1、セシウム(Cs)は172.9kJ・mol-1、カルシウム(Ca)は634.9kJ・mol-1、マグネシウム(Mg)は601.6kJ・mol-1、アルミニウム(Al)は、837.9kJ・mol-1、珪素(Si)は910.7kJ・mol-1、銅(Cu)は157.3kJ・mol-1である。
XCは、式(I)における場合と同様に、モリブデンを12とした場合の当該元素の原子比率を表す。
式(II)におけるΣは式(I)における場合と同様に、上記各元素における計算値の全ての和を表す。
特性bはすなわち、触媒活性成分の各構成元素と酸素原子の結合の度合いの総和であり、原料を部分酸化する際の酸化力の程度を表す。特性bが高すぎると酸化力は高くなるため原料のプロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等は過剰に酸素を供給され、分解燃焼するために選択性は著しく低下し、特性bが低すぎると酸化力は低くなるため原料は十分に部分酸化されず、活性が低下する。すなわち、特性bは高すぎても低すぎても収率は低下することが分かっており、適正な範囲があることが本発明者らによって明らかにされた。
式(II)において、触媒活性成分の構成元素の全ての元素計算値の和であるΣ(-XΔH ÷ XS×XC)×10-3としては、0.1以上3.6以下である。この範囲に入る場合、気相接触酸化反応の収率が大きく向上する。
また、Σ(-XΔH ÷ XS×XC)×10-3の値の上限は3.6であるが、好ましくは3.50、より好ましくは3.45、更に好ましくは3.40、特に好ましくは3.35、最も好ましくは3.30である。下限は0.10であるが、好ましくは0.50、より好ましくは1.0、更に好ましくは1.5、特に好ましくは2.0、最も好ましくは2.5である。
本発明の触媒は、上記式(I)が本発明の範囲を満たす限り、組成に関して特に制限されるものではないが、ビスマス(Bi)、鉄(Fe)及びコバルト(Co)を含有する場合がより好ましい。
また、さらにニッケル(Ni)及びセシウム(Cs)を含有する場合がより好ましい態様の1つである。
本願発明の触媒の触媒活性成分として、好ましい組成は、下記一般式(III)で表される。
Moa1Bib1Fec1Cod1’d1e1f1g1h1x1 (III)
(ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはニッケル、Bはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびタリウムから選ばれる少なくとも一種の元素、Cはホウ素、リン、クロム、マンガン、亜鉛、ヒ素、ニオブ、スズ、アンチモン、テルル、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、タングステン、亜鉛、および鉛から選ばれる少なくとも一種の元素、Dはシリコン、アルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の元素、Eはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一種の元素、そしてOは酸素であり、a1、b1、c1、d1’、d1、e1、f1、g1、h1およびx1はそれぞれMo、Bi、Fe、Co、A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a1=12の時、0.1≦b1≦10、0.1≦c1≦20、0.1≦d1’≦20、0.1≦d1≦20、0.05≦e1≦1.0、0≦f1≦10、0≦g1≦30、0≦h1≦5であり、x1はそれぞれの元素の酸化状態によって定まる数値である。)
上記式(III)の組成におけるb1の下限としては、0.3が好ましく、0.5がより好ましく、0.7が特に好ましい。またb1の上限としては、8が好ましく、5がより好ましく、2が特に好ましい。上記式(III)の組成におけるc1の下限としては、0.4が好ましく、0.8がより好ましく、1.4が特に好ましい。またc1の上限としては、10が好ましく、6がより好ましく、3が特に好ましい。上記式(III)の組成におけるd1’の下限としては、1が好ましく、3がより好ましく、5が特に好ましい。またd1’の上限としては、15が好ましく、10がより好ましく、8が特に好ましい。上記式(III)の組成におけるd1の下限としては、0.15が好ましく、0.2がより好ましく、0.4がより好ましく、0.6が特に好ましい。またd1の上限としては、10が好ましく、6がより好ましく、3が特に好ましい。上記式(III)の組成におけるe1の下限としては、0.1が好ましく、0.2がより好ましく、0.3が一層好ましく、0.32が更に一層好ましく、0.34が特に好ましい。またe1の上限としては、0.8が好ましく、0.6がより好ましく、0.5が特に好ましい。上記式(III)の組成におけるf1の上限としては、6が好ましく、3がより好ましい。上記式(III)の組成におけるg1の上限としては、20が好ましく、10がより好ましい。上記式(III)の組成におけるh1の上限としては、4が好ましく、3がより好ましい。
本発明の触媒を構成する各元素の出発原料としては特に制限されるものではないが、例えばモリブデン成分の原料としては三酸化モリブデンのようなモリブデン酸化物、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウム、メタモリブデン酸アンモニウムのようなモリブデン酸またはその塩、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸のようなモリブデンを含むヘテロポリ酸またはその塩などを用いることができる。
ビスマス成分の原料としては硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、硫酸ビスマス、酢酸ビスマスのようなビスマス塩、三酸化ビスマス、金属ビスマスなどを用いることができる。これらの原料は固体のままあるいは水溶液や硝酸溶液、それらの水溶液から生じるビスマス化合物のスラリーとして用いることができるが、硝酸塩、あるいはその溶液、またはその溶液から生じるスラリーを用いることが好ましい。
上記一般式(III)で表されるB成分であるアルカリ金属の原料としては、これらに限定されないが、成分元素(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)の水酸化物、塩化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物又は酢酸塩等が挙げられる。好ましくは、セシウムを含有する化合物であり、例えば、水酸化セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、硫酸セシウム、酸化セシウム等が挙げられるが、特に硝酸セシウムを用いることが好ましい。
上記一般式(III)で表されるB成分であるアルカリ金属の原料は原子比が低すぎると、アンモニア昇温脱離法による触媒の酸量(H)が高くなり、高沸点化合物の副生が多くなるため、好ましくない。また、B成分原料の原子比が高い場合、高沸点化合物の副生は少なくなり、長期間な工業生産は可能となるが、原料転化率が低くなってしまうため、結果として満足のいく収率の向上が期待できない。
その他の成分元素の出発原料としては、一般にこの種の触媒に使用される金属元素のアンモニウム塩、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、次炭酸塩、酢酸塩、塩化物、無機酸、無機酸の塩、ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸の塩、硫酸塩、水酸化物、有機酸塩、酸化物またはこれらの混合物を組み合わせて用いればよいが、アンモニウム塩および硝酸塩が好適に用いられる。
これら活性成分を含む化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。スラリー液は、各活性成分含有化合物と水とを均一に混合して得ることができる。スラリー液における水の使用量は、用いる化合物の全量を完全に溶解できるか、または均一に混合できる量であれば特に制限はない。乾燥方法や乾燥条件を勘案して、水の使用量を適宜決定すれば良い。通常、水の使用量は、スラリー調製用化合物の合計質量100質量部に対して、200質量部以上2000質量部以下である。水の量は多くてもよいが、多過ぎると乾燥工程のエネルギーコストが高くなり、又完全に乾燥できない場合も生ずるなどデメリットが多い。さらに、最終的に乾燥を行う直前のスラリー液における硝酸イオン濃度として、8.0質量%以上50質量%以下、好ましくは9.0質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以上40質量%以下、最も好ましくは11.0質量%以上30質量%以下となり、同様に乾燥を行う直前のスラリー液におけるアンモニウムイオン濃度としては、1.0質量%以上10質量%以下、好ましくは1.2質量%以上8質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上6質量%以下、最も好ましくは1.7質量%以上4質量%以下となる。
上記各成分元素の供給源化合物のスラリー液は上記の各供給源化合物を、(イ)一括して混合する方法、(ロ)一括して混合後、熟成処理する方法、(ハ)段階的に混合する方法、(ニ)段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、および(イ)~(ニ)を組み合わせた方法により調製することが好ましい。ここで、上記熟成とは、「工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度などの特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行などをはかる操作」のことをいう。なお、本発明において、上記の一定時間とは、5分以上24時間以下の範囲をいい、上記の一定温度とは室温以上水溶液ないし水分散液の沸点以下の範囲をいう。このうち最終的に得られる触媒の活性及び収率の面で好ましいのは(ハ)段階的に混合する方法であり、更に好ましいのは段階的に母液に混合する各原料は全溶した溶液とする方法であり、最も好ましいのはモリブデン原料を調合液またはスラリーとした母液に、アルカリ金属溶液、硝酸塩の各種混合液を混合する方法である。
本発明において、必須活性成分を混合する際に用いられる攪拌機の攪拌翼の形状は特に制約はなく、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼、傾斜パドル翼、スクリュー翼、アンカー翼、リボン翼、大型格子翼などの任意の攪拌翼を1段あるいは上下方向に同一翼または異種翼を2段以上で使用することができる。また、反応槽内には必要に応じてバッフル(邪魔板)を設置しても良い。
次いで、このようにして得られたスラリー液を乾燥する。乾燥方法は、スラリー液が完全に乾燥できる方法であれば特に制約はないが、例えばドラム乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾固などが挙げられる。これらのうち本発明においては、スラリー液を短時間に粉末又は顆粒に乾燥することができる噴霧乾燥が特に好ましい。噴霧乾燥の乾燥温度はスラリー液の濃度、送液速度等によって異なるが、概ね乾燥機の出口における温度が70℃以上150℃以下である。また、この際得られるスラリー液乾燥体の平均粒径が10μm以上700μm以下となるように乾燥するのが好ましい。
上記のようにして得られた触媒前駆体は予備焼成され、成形され、本焼成されることで、成形形状を制御、保持することが可能となり、工業用途として特に機械的強度が優れた触媒が得られ、安定した触媒性能を発現できる。
成形は、シリカ等の担体に担持する担持成形と、担体を使用しない非担持成形のいずれの成形方法も採用できる。具体的な成形方法としては、例えば、打錠成形、プレス成形、押出成形、造粒成形等が挙げられる。成形品の形状としては、例えば、円柱状、リング状、球状等が運転条件を考慮して適宜選択可能であるが、球状担体、特にシリカやアルミナ等の不活性担体に触媒活性成分を担持した、平均粒径3.0mm以上10.0mm以下、好ましくは平均粒径3.0mm以上8.0mm以下の担持触媒を使用する。なお、成形に際しては、公知の添加剤、例えば、グラファイト、タルク等を少量添加してもよい。なお、成形において添加される成形助剤、細孔形成剤、担体はいずれも、原料を何らかの別の生成物に転換する意味での活性の有無にかかわらず、本発明における活性成分の構成元素として考慮しないものとする。また、特に予備焼成された触媒前駆体とシリカ等の不活性な担体を特定の配分、重量比等により成形する場合、最終的に得られる成形触媒中の触媒前駆体の割合は触媒の活性を決定するうえで重要なパラメーターであるが、成形触媒の活性が低いあるいは高い場合に、活性を調整する目的で上記触媒前駆体の割合を適宜調節することは当業者にとって公知であり、本発明の範疇に入るものとする。上記成形触媒中の触媒前駆体の割合は、各原料の仕込み質量により、下記式より担持率として算出される。
担持率(質量%)=(成形に使用した予備焼成粉体の質量)/{(成形に使用した予備焼成粉体の質量)+(成形に使用した担体の質量)}×100
予備焼成方法や予備焼成条件または本焼成方法や本焼成条件は特に限定されず、公知の処理方法および条件を適用することができる。予備焼成や本焼成の最適条件は、用いる触媒原料、触媒組成、調製法等によって異なるが、通常、空気等の酸素含有ガス流通下または不活性ガス流通下で、200℃以上600℃以下、好ましくは300℃以上550℃以下で、0.5時間以上、好ましくは1時間以上40時間以下で行う。ここで、不活性ガスとは、触媒の反応活性を低下させない気体のことをいい、具体的には、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。特に本焼成は本発明において触媒の活性を決定するうえで重要な工程であるが、触媒の活性が低いあるいは高い場合に、本焼成工程の工程パラメーターすなわち雰囲気中の酸素含有率、最高到達温度や焼成時間等の変更により活性を調整して、当該組成の持つ最も高い収率を引き出すことは当業者にとって公知であり、本発明の範疇に入るものとする。また、本焼成工程は前述の予備焼成工程よりも後に実施されるものとし、本焼成工程における最高到達温度(本焼温度)は、前述の予備焼成工程における最高到達温度(予備焼成温度)よりも高いものとする。
本発明の触媒は、不飽和アルデヒド化合物、不飽和カルボン酸化合物を製造する為の触媒として使用される場合が好ましく、第一段目すなわち、不飽和アルデヒド化合物を製造する為の触媒として用いることが更に好ましく、イソブチレンからメタクロレインを製造する為の触媒として用いることが特に好ましい。
本発明の触媒を不飽和アルデヒド化合物を製造する為の触媒として用いた場合、第二段目の酸化反応を行い、不飽和カルボン酸化合物を得ることができる。
この場合、第二段目の触媒としては、本願発明の触媒を用いることもできるが、好ましくは下記式(IV)で表される触媒である。
Mo10a2b2Cuc2Csd2(NHe2f2g2 (IV)
(式中Moはモリブデン、Vはバナジウム、Pはリン、Cuは銅、Csはセシウム、(NH)はアンモニウム基を、XはSb、As、Ag、Mg、Zn、Al、B、Ge、Sn、Pb、Ti、Zr、Cr、Re、Bi、W、Fe、Co、Ni、Ce、Th、K及びRbからなる群から選ばれた1種以上の元素をそれぞれ表し、a2~g2は、それぞれの元素の原子比を表し、a2は0.1≦a2≦6.0の正数、b2は0.5≦b2≦6.0の正数、c2は0≦c2≦3.0の正数、d2は0≦d2≦3.0の正数、e2は0≦e2≦3.0の正数、f2は0≦f2≦3.0の正数をそれぞれ表す。g2は各元素の価数によって定まる値である。)
本発明の触媒や上記式(IV)で表される触媒の製造にあたっては、この種の触媒、例えば酸化物触媒、ヘテロポリ酸又はその塩構造を有する触媒を調製する方法として一般に知られている方法が採用できる。触媒を製造する際に使用できる原料は特に限定されず、種々のものが使用できる。例えば、モリブデン化合物としては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、酸化モリブデン等が使用でき、バナジウム化合物としては、メタバナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム等が使用でき、リン化合物としては、リン酸もしくはその塩、重合リン酸もしくはその塩が使用でき、銅化合物としては、酸化銅、リン酸銅、硫酸銅、硝酸銅、モリブデン酸銅、銅金属等が使用でき、アンチモン、砒素、銀、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム、錫、鉛、チタン、ジルコニウム、クロム、レニウム、ビスマス、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、トリウム、カリウム及びルビジウム化合物としては、それぞれの硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、酸化物、金属等が使用できる。
これら活性成分を含む化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
次いで前記で得られたスラリー液を乾燥し、触媒活性成分固体とする。乾燥方法は、スラリー液が完全に乾燥できる方法であれば特に制約はないが、例えばドラム乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発乾固などが挙げられる。中でも、スラリー液を短時間に粉末又は顆粒に乾燥することができる噴霧乾燥が好ましい。噴霧乾燥の乾燥温度はスラリー液の濃度、送液速度等によって異なるが、概ね乾燥機の出口における温度が70~150℃である。また、この際得られるスラリー液乾燥体の平均粒径が10~700μmとなるように乾燥するのが好ましい。
本発明の第二段目の触媒活性成分固体のうち特に好ましいものは、ヘテロポリ酸構造を有する触媒である。このヘテロポリ酸構造を有する触媒は、リンバナドモリブデン酸を基本骨格とし、他の構成元素はこのヘテロポリ酸構造の中に組み込まれ、触媒活性及び選択性の向上に寄与すると共に、構造の熱的安定性の向上にも寄与していると考えられる。このヘテロポリ酸構造を有する触媒は、特に寿命の長い触媒である。ヘテロポリ酸構造を有する触媒は通常のヘテロポリ酸の一般的な調製法によって容易に調製できる。
前記のようにして得られた第二段目の触媒活性成分固体は、そのまま被覆用混合物に供することができるし、焼成することで成形性が向上する場合もある。その際の焼成方法や焼成条件は特に限定されず、公知の処理方法および条件を適用することができる。焼成の最適条件は、使用する触媒原料、触媒組成、調製法等によって異なるが、焼成温度は通常100~350℃、好ましくは150~300℃、焼成時間は1~20時間である。なお、焼成は、通常空気雰囲気下に行われるが、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下での焼成後に必要に応じて更に空気雰囲気下で焼成を行ってもよい。
また、本発明において、前記第二段目のスラリーを調製する際の活性成分を含有する化合物は、必ずしも全ての活性成分を含んでいる必要はなく、一部の成分を下記被覆工程前に使用してもよい。
本発明の第二段目の触媒の形状は特に制約はなく、酸化反応において反応ガスの圧力損失を小さくするために、柱状物、錠剤、リング状、球状等に成形し使用する。このうち選択性の向上や反応熱の除去が期待できることから、不活性担体に触媒活性成分固体を被覆し、被覆触媒とするのが特に好ましい。この被覆工程は以下に述べる転動造粒法が好ましい。この方法は、例えば固定容器内の底部に、平らなあるいは凹凸のある円盤を有する装置中で、円盤を高速で回転することにより、容器内の担体を自転運動と公転運動の繰返しにより激しく攪拌させ、ここにバインダーと触媒活性成分固体並びに、必要により、これらに他の添加剤例えば成形助剤、強度向上剤を添加した被覆用混合物を担体に被覆する方法である。バインダーの添加方法は、1)前記被覆用混合物に予め混合しておく、2)被覆用混合物を固定容器内に添加するのと同時に添加、3)被覆用混合物を固定容器内に添加した後に添加、4)被覆用混合物を固定容器内に添加する前に添加、5)被覆用混合物とバインダーをそれぞれ分割し、2)~4)を適宜組み合わせて全量添加する等の方法が任意に採用しうる。このうち5)においては、例えば被覆用混合物の固定容器壁への付着、被覆用混合物同士の凝集がなく担体上に所定量が担持されるようオートフィーダー等を用いて添加速度を調節して行うのが好ましい。バインダーは水及び1気圧以下での沸点が150℃以下の有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であれば特に制約はない。水以外のバインダーの具体例としてはメタノール、エタノール、プロパノール類、ブタノール類等のアルコール、好ましくは炭素数1~4のアルコール、エチルエーテル、ブチルエーテル又はジオキサン等のエーテル、酢酸エチル又は酢酸ブチル等のエステル、アセトン又はメチルエチルケトン等のケトン等並びにそれらの水溶液が挙げられ、特にエタノールが好ましい。バインダーとしてエタノールを使用する場合、エタノール/水=10/0~0/10(質量比)、好ましくは水と混合し9/1~1/9(質量比)とすることが好ましい。これらバインダーの使用量は、被覆用混合物100質量部に対して通常2~60質量部、好ましくは10~50質量部である。
上記被覆における担体の具体例としては、炭化珪素、アルミナ、シリカアルミナ、ムライト、アランダム等の直径1~15mm、好ましくは2.5~10mmの球形担体等が挙げられる。これら担体は通常は10~70%の空孔率を有するものが用いられる。担体と被覆用混合物の割合は通常、被覆用混合物/(被覆用混合物+担体)=10~75質量%、好ましくは15~60質量%となる量を使用する。被覆用混合物の割合が大きい場合、被覆触媒の反応活性は大きくなるが、機械的強度が小さくなる傾向にある。逆に、被覆用混合物の割合が小さい場合、機械的強度は大きいが、反応活性は小さくなる傾向がある。なお、前記において、必要により使用する成形助剤としては、シリカゲル、珪藻土、アルミナ粉末等が挙げられる。成形助剤の使用量は、触媒活性成分固体100質量部に対して通常1~60質量部である。また、更に必要により触媒活性成分固体及び反応ガスに対して不活性な無機繊維(例えば、セラミックス繊維又はウィスカー等)を強度向上剤として用いることは、触媒の機械的強度の向上に有用であり、ガラス繊維が好ましい。これら繊維の使用量は、触媒活性成分固体100質量部に対して通常1~30質量部である。なお、第一段目の触媒の成形においては、添加される成形助剤、細孔形成剤、担体はいずれも、原料を何らかの別の生成物に転換する意味での活性の有無にかかわらず、本発明における活性成分の構成元素として考慮しないものとする。
前記のようにして得られた被覆触媒はそのまま触媒として気相接触酸化反応に供することができるが、焼成すると触媒活性が向上する場合があり好ましい。焼成方法や焼成条件は特に限定されず、公知の処理方法および条件を適用することができる。焼成の最適条件は、使用する触媒原料、触媒組成、調製法等によって異なるが、焼成温度は通常100~450℃、好ましくは270~420℃、焼成時間は1~20時間である。なお、焼成は、通常空気雰囲気下に行われるが、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下での焼成後に必要に応じて更に空気雰囲気下で焼成を行ってもよい。本発明に用いられる触媒は担体に担持させることによって、耐熱性、寿命の向上、反応収率の増大等好ましい効果が期待できる。担体の材質としてはアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカアルミナ、炭化ケイ素、炭化物、およびこれらの混合物など公知の物を使用でき、さらにその粒径、吸水率、機械的強度、各結晶相の結晶化度や混合割合なども特に制限はなく、最終的な触媒の性能、成形性や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。
本発明の触媒を、プロピレン、イソブチレン、t-ブチルアルコール等を原料にして対応する不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸を製造する反応、特にイソブチレン、t-ブチルアルコールを分子状酸素又は分子状酸素含有ガスにより気相接触酸化してメタクロレイン、メタアクリル酸を製造する反応において、芳香族化合物(特にテレフタル酸)の副生を有効に抑制し、またホットスポットの温度を抑制し触媒活性が高い領域において高収率に目的物を製造することができ、これらの結果として公知の方法と比較して、触媒活性が高い領域において高収率を実現し、製品の価格競争力の向上が期待できる。また、本発明の触媒は触媒活性が高くない領域においても収率向上に有効なほか、たとえばΔT(ホットスポット温度と反応浴温度との差)低減のような発熱を伴う部分酸化反応のプロセス安定性にも向上効果を奏する。更に、本発明の触媒は、環境や最終製品のメタクリル酸メチルの品質に悪影響の生じる副生成物、たとえば一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO)、アセトアルデヒドや酢酸、アクロレイン、ホルムアルデヒドの低減にも有効である。
こうして得られた本発明の触媒は、例えばイソブチレンおよびt-ブチルアルコ-ルから選ばれる少なくとも1種の原料を、酸化触媒組成物の存在下に、分子状酸素含有ガスを用いて気相接触酸化して、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸を製造する際に使用できる。本発明の製造方法において原料ガスの流通方法は、通常の単流通法でもあるいはリサイクル法でもよく、一般に用いられている条件下で実施することができ特に限定されない。たとえば出発原料物質としてのイソブチレンが常温で1~10容量%、好ましくは4~9容量%、さらに好ましくは4~7.5容量%、最も好ましくは4~6容量%、分子状酸素が3~20容量%、好ましくは4~18容量%、水蒸気が0~60容量%、好ましくは4~50容量%、二酸化炭素、窒素等の不活性ガスが20~80容量%、好ましくは30~60容量%からなる混合ガスを反応管中に充填した本発明の触媒上に250~450℃で、常圧~10気圧の圧力下で、空間速度300~5000hr-1で導入し反応を行う。本発明のように触媒活性が高い領域で反応させる場合、一般に原料ガス中のイソブチレン濃度は低く、酸素濃度は高く、水蒸気濃度は高く、空間速度は低く、反応浴温度は高く、さらに反応管出口圧力は高く制御することが好ましいが、これらは工業触媒としての生産性および/または触媒性能ともトレードオフの関係であることが多く、最適な範囲で供されるべきである。
本発明において触媒活性が高い領域とは、特に断りがない限り原料転化率が高い反応浴温度領域を指し、高い原料転化率領域と同義である。より具体的には、触媒活性が高い領域とは、原料転化率が99.0%以上の領域を指す。反応浴温度を上昇させることで原料転化率は上昇するが、例えば直酸法の第一段目の反応においては、急激にメタクロレインおよび/またはメタクリル酸収率または選択率が低下することが分かっていた。
本発明において収率が高いとは、特に断りがない限り、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸収率の合計収率が、触媒活性が高い領域において高いことを指す。
本発明において触媒活性成分の構成元素とは、特に断りがない限り、上記触媒製造工程において乾燥工程以前にモリブデンを主成分とする触媒原料溶液および触媒原料スラリー液に含まれるすべての元素を指す。ただし、200℃以下にて消失、昇華、揮発、燃焼する原料およびその構成元素は、触媒の活性成分の構成元素に含めないものとする。たとえば、原料スラリー液の調合時に添加するヒュームドシリカ等のケイ素原料は触媒活性成分の構成元素として含まれ、式(I)および式(II)の計算に考慮されるが、成形工程における成形助剤や担体に含まれるケイ素およびその他の無機材料を構成する元素は、触媒の活性成分の構成元素として含まれず、式(I)および式(II)の計算に考慮されないものとする。
本発明においてΔTとは、触媒ホットスポット温度(PT)から反応浴温度(BT)を引いた数値であり、発熱を伴う部分酸化型触媒反応において最も発熱している箇所の発熱量の目安を示す。PTとは、多管式反応管内の長軸方向に熱電対を設置し、測定される触媒充填層内の温度分布の最高温度であり、BTとは反応管の発熱を冷却する目的で使用される熱媒の設定温度である。上記温度分布の測定の点数には特に制限はないが、例えば触媒充填長を均等に10から1000に分割する。
本発明において不飽和アルデヒドおよび不飽和アルデヒド化合物とは、分子内に少なくとも一つの二重結合と少なくとも一つのアルデヒドを有する有機化合物であり、たとえばアクロレイン、メタクロレインである。本発明において不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸化合物とは、分子内に少なくとも一つの二重結合と少なくとも一つのカルボキシ基、またはそのエステル基を有する有機化合物であり、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチルである。本発明において共役ジエン化合物とは、分子内に少なくとも二つの二重結合を有する有機化合物であり、例えば1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンである。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例において、原料転化率、有効収率、選択率、担持率は以下の式に従って算出した。
原料転化率(%)=(反応したt-ブチルアルコールまたはイソブチレンのモル数)/(供給したt-ブチルアルコールまたはイソブチレンのモル数)×100
有効収率(%)=(生成したメタクロレインおよびメタクリル酸の合算モル数)/(供給したt-ブチルアルコールまたはイソブチレンのモル数)×100
CO選択率(%)=(生成したCOのモル数)/(反応したt-ブチルアルコールまたはイソブチレンのモル数)×100
担持率(質量%)=(成形に使用した予備焼成粉体の質量)/{(成形に使用した予備焼成粉体の質量)+(成形に使用した担体の質量)}×100
また以下本文、及び表1中、実施例9は、参考例6と読み替えるものとする。
[実施例1](触媒1の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム3.7質量部を純水42mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄34質量部、硝酸コバルト103質量部及び硝酸ニッケル10質量部を60℃に加温した純水78mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス17質量部を60℃に加温した純水18mlに硝酸(60質量%)4.4質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.75:1.8:7.5:0.7:0.4)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒1を得た。
[実施例2](触媒2の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム3.7質量部を純水42mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄37質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水78mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス21質量部を60℃に加温した純水23mlに硝酸(60質量%)5.4質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.93:1.95:7.2:0.8:0.4)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒2を得た。
[実施例3](触媒3の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム3.7質量部を純水42mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄37質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水78mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス17質量部を60℃に加温した純水18mlに硝酸(60質量%)4.4質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.75:1.95:7.2:0.8:0.4)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒3を得た。
[実施例4](触媒4の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム3.7質量部を純水42mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄37質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水78mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス21質量部を60℃に加温した純水23mlに硝酸(60質量%)5.4質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.93:1.95:7.2:0.8:0.4)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒4を得た。
[実施例5](触媒5の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム3.9質量部を純水44mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄29質量部、硝酸コバルト95質量部及び硝酸ニッケル2.2質量部を60℃に加温した純水67mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス28質量部を60℃に加温した純水29mlに硝酸(60質量%)7.1質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:1.21:1.53:6.9:0.16:0.42)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒5を得た。
[実施例6](触媒6の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム0.7質量部を純水8mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄29質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水73mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス23質量部を60℃に加温した純水24mlに硝酸(60質量%)5.8質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。さらに続いて、硝酸カルシウム4.4質量部、硝酸マグネシウム4.7質量部を純水10質量部に加えて溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Ca:Mg=12:1.0:1.5:7.2:0.8:0.075:0.4:0.4)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒6を得た。
[実施例7](触媒7の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム0.6質量部を純水7.0mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄29質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水73mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス23質量部を60℃に加温した純水24mlに硝酸(60質量%)5.8質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。さらに続いて、硝酸カルシウム5.5質量部、硝酸マグネシウム5.9質量部を純水13質量部に加えて溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Ca:Mg=12:1.0:1.5:7.2:0.8:0.065:0.5:0.5)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒7を得た。
[実施例8](触媒8の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム1.4質量部を純水16mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄33質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水76mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス38質量部を60℃に加温した純水41mlに硝酸(60質量%)9.7質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。さらに続いて、硝酸マグネシウム0.3質量部を純水0.3質量部に加えて溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Mg=12:1.67:1.75:7.2:0.8:0.15:0.025)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒8を得た。
[実施例9](触媒9の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム3.7質量部を純水42mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄37質量部、硝酸コバルト90質量部及び硝酸ニッケル33質量部を60℃に加温した純水85mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス21質量部を60℃に加温した純水23mlに硝酸(60質量%)5.4質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.93:1.95:6.53:2.4:0.4)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒9を得た。
[実施例10](触媒10の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.5質量部を純水28mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄35質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水77mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス30質量部を60℃に加温した純水32mlに硝酸(60質量%)7.6質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:1.3:1.85:7.2:0.8:0.275)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒10を得た。
[実施例11](触媒11の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム1.4質量部を純水16mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄33質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水76mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス38質量部を60℃に加温した純水41mlに硝酸(60質量%)9.7質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。さらに続いて、硝酸マグネシウム0.6質量部を純水0.7質量部に加えて溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Mg=12:1.67:1.75:7.2:0.8:0.15:0.05)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒11を得た。
[実施例12](触媒12の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム0.7質量部を純水8mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄29質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水73mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス23質量部を60℃に加温した純水24mlに硝酸(60質量%)5.8質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。さらに続いて、硝酸カルシウム11質量部、硝酸マグネシウム12質量部を純水26質量部に加えて溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Ca:Mg=12:1.0:1.5:7.2:0.8:0.075:1.0:1.0)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、本発明の触媒12を得た。
[比較例1](触媒13の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム3.7質量部を純水42mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄37質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水78mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス21質量部を60℃に加温した純水23mlに硝酸(60質量%)5.4質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。さらに続いて、硝酸カルシウム4.4質量部、硝酸マグネシウム4.7質量部を純水10質量部に加えて溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Ca:Mg=12:0.93:1.95:7.2:0.8:0.4:0.4:0.4)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、比較用の触媒13を得た。
[比較例2](触媒14の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム0.7質量部を純水8mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄29質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水73mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス23質量部を60℃に加温した純水24mlに硝酸(60質量%)5.8質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:1.0:1.5:7.2:0.8:0.075)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、比較用の触媒14を得た。
[比較例3](触媒15の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム0.7質量部を純水8mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄29質量部、硝酸コバルト99質量部及び硝酸ニッケル11質量部を60℃に加温した純水73mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス23質量部を60℃に加温した純水24mlに硝酸(60質量%)5.8質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。さらに続いて、硝酸カルシウム11質量部および硝酸ストロンチウム12質量部を純水24質量部に加えて溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Ca:Sr=12:1.0:1.5:7.2:0.8:0.075:1.0:1.0)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、比較用の触媒15を得た。
[比較例4](触媒16の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム0.4質量部を純水4mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄34質量部、硝酸コバルト110質量部及び硝酸ニッケル16質量部を60℃に加温した純水85mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス30質量部を60℃に加温した純水32mlに硝酸(60質量%)7.6質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:1.3:1.8:7.97:1.16:0.039)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、比較用の触媒16を得た。
[比較例5](触媒17の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム100質量部を80℃に加温した純水380質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム0.4質量部を純水4mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄37質量部、硝酸コバルト90質量部及び硝酸ニッケル30質量部および硝酸銅2質量部を60℃に加温した純水90mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて、硝酸ビスマス21質量部を60℃に加温した純水23mlに硝酸(60質量%)5.4質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:Cu=12:0.93:1.95:6.53:2.2:0.04:0.2)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に担持率が40質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、比較用の触媒17を得た。
上記実施例および比較例で得られた触媒を、以下の方法により反応評価した。各触媒34mlをステンレス鋼反応管に充填し、ガス体積比率がイソブチレン:酸素:窒素:水蒸気=1:2.2:12.5:1.0の混合ガスを用い、出口圧力50kPaG下、GHSV1200hr-1の条件で、反応浴温度350℃にてTOS20時間以上のエージング反応後、反応管出口で、コンデンサーにより凝縮液成分とガス成分を分離し、ガスおよび凝縮液中の各成分を各々水素炎イオン化検出器と熱伝導検出器が装着されたガスクロマトグラフで定量分析した。ガスクロマトグラフにより得られた各データはファクター補正し原料転化率、有効収率を算出した。
表1に実施例、比較例、および対応する試験例と比較試験例による原料転化率99.0%以上における反応浴温度、有効収率等の結果を示す。表1より明らかなように、本発明により触媒活性が高い領域においても有効収率をロスすることなく、特に直酸法において競争力の高い触媒を得ることができることが分かる。さらに、本発明の触媒によりΔTおよびCO選択率が低減されており、プロセス安定性の向上及び副生成物の低減に有効であることが分かる。
Figure 0007224351000001
実施例1~12、比較例1~5の結果より本発明の触媒は、特に触媒活性が高い領域においても従来の触媒より高収率で目的化合物であるメタクロレイン及びメタクリル酸を得ることができる。
表2に参考例として実施例、比較例の触媒による原料転化率98.0%(内挿値)における反応浴温度、有効収率の結果を示す。表2より明らかなように、本発明の触媒は、触媒活性が高くない領域においても有効収率が高い触媒である。
Figure 0007224351000002
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本願は、2018年7月9日付で出願された日本国特許出願(特願2018-129602)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明の触媒を使用することにより、不飽和アルデヒド化合物、不飽和カルボン酸化合物、又は共役ジエン化合物を酸化的に製造する場合に、触媒活性が高い領域において高収率で目的物を得ることが可能である。

Claims (7)

  1. モリブデン(Mo)を必須元素とし、その他の触媒活性成分中の構成元素が下記式(cI)で表される関係を満たし、
    下記一般式(III)で表される触媒活性成分を含む、不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、又は1,3-ブタジエン製造用触媒。

    0.44 ≦ Σ{(MoIE - XIE)×XC} ≦ 1.53 (cI)

    [式(cI)において、XIEはモリブデン以外の各元素の第1イオン化エネルギー(eV)、MoIEはモリブデンの第1イオン化エネルギー(eV)、XCはモリブデンを12とした場合の当該元素の原子比率を表し、(MoIE - XIE)が0より小さい場合には0として計算に用いる。]

    Mo a1 Bi b1 Fe c1 Co d1’ d1 e1 f1 g1 h1 x1 (III)
    (ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはニッケル、Bはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、およびタリウムから選ばれる少なくとも一種の元素、Cはホウ素、リン、クロム、マンガン、亜鉛、ヒ素、ニオブ、スズ、アンチモン、テルル、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、タングステン、亜鉛、および鉛から選ばれる少なくとも一種の元素、Dはシリコン、アルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも一種の元素、Eはアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも一種の元素、そしてOは酸素であり、a1、b1、c1、d1’、d1、e1、f1、g1、h1およびx1はそれぞれMo、Bi、Fe、Co、A、B、C、D、EおよびOの原子比を表し、a1=12の時、0.1≦b1≦10、0.1≦c1≦20、0.1≦d1’≦20、0.1≦d1≦0.8、0.05≦e1≦1.0、0≦f1≦10、0≦g1≦30、0≦h1≦5であり、x1はそれぞれの元素の酸化状態によって定まる数値である。)
  2. 更に、触媒活性成分中の構成元素が下記式(cII)で表される関係を満たす請求項1に記載の不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、又は1,3-ブタジエン製造用触媒。

    0.1 ≦ Σ(-XΔH ÷ XS×XC)×10-3 ≦3.6 (cII)

    [式(cII)において、XΔHはモリブデン以外の各元素の酸化物の標準生成エンタルピー(kJ・mol-1)、XSは酸化物中に含まれる各元素の量論数、XCはモリブデンを12とした場合の当該元素の原子比率を表す。]
  3. 更にセシウム(Cs)を含有する請求項1又は2に記載の不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、又は1,3-ブタジエン製造用触媒。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、又は1,3-ブタジエン製造用触媒を用いた不飽和アルデヒド化合物、不飽和カルボン酸化合物及び共役ジエン化合物の少なくとも一種の製造方法。
  5. 請求項において原料転化率が99.0%以上である、不飽和アルデヒド化合物、不飽和カルボン酸化合物及び共役ジエン化合物の少なくとも一種の製造方法。
  6. 請求項又はにおいて不飽和アルデヒド化合物がメタクロレインであり、不飽和カルボン酸化合物がメタクリル酸およびメタクリル酸メチルの少なくとも一方である製造方法。
  7. 触媒組成中の各元素を含有するスラリーを乾燥して得られる乾燥粉体を200℃以上600℃以下の温度で焼成して得られた予備焼成粉体を成形し、再度200℃以上600℃以下の温度で焼成した請求項1~のいずれか一項に記載の不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、又は1,3-ブタジエン製造用触媒の製造方法。
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