JP7223621B2 - エアバッグ - Google Patents

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Description

本発明は、乗員の頭部を保護するエアバッグに関する。
従来、ガスが導入されて膨張展開するエアバッグを備えたエアバッグ装置について、自転車などの二輪車の乗員の頭部を覆って保護する、あるいは自動車の座席に着座する乗員の頭部を覆って保護する、頭部保護エアバッグ装置が知られている。例えば、このようなエアバッグ装置に用いられるエアバッグ本体部は、長手状の気室を複数備え、これら気室が並んで配置されている。そして、このエアバッグ本体部は、気室同士の側部が連結されて乗員の頭部の丸みに沿った膨張形状となるように形成され、膨張状態で後頭部から頭部両側を含み前頭部に亘る部分を覆うようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
特表2013-540209号公報 (第6-12頁、図2)
しかしながら、上述のエアバッグでは、隣り合う気室同士の間に非膨張部が存在するため、非膨張部を補うための構造を別途設けたり、基布の構成をより複雑にしたりするなどの処置が必要となり、製造コストの低減が困難である。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、簡素な構成で適切な保護性能を得ることができるエアバッグを提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグは、導入されたガスにより膨張することで乗員の頭部を保護するエアバッグであって、袋状のエアバッグ本体部を備え、前記エアバッグ本体部は、ガスがそれぞれ導入される複数の気室が並んで配置されるとともに、一の前記気室と他の前記気室との少なくとも一部が重なり合った状態で、互いに隣り合う一の前記気室と他の前記気室との互いの先端側の非膨張部が予め固着されて連結されているものである。
求項記載のエアバッグは、請求項記載のエアバッグにおいて、エアバッグ本体部は、一の気室を挟んで位置する他の気室同士が前記一の気室に重ねられた状態で、前記一の気室及び両方の前記他の気室の先端側の非膨張部が固着されて連結されているものである。
請求項記載のエアバッグは、請求項記載のエアバッグにおいて、エアバッグ本体部は、両方の他の気室を接合する側縁接合部と、前記エアバッグ本体部の膨張に伴う一の気室から前記他の気室への荷重に対して前記側縁接合部を保護する補強部とを備えたものである。
請求項記載のエアバッグは、請求項記載のエアバッグにおいて、側縁接合部、及び補強部は、縫製糸により形成された縫製部であり、前記補強部は、前記側縁接合部に対し交差する方向に沿って延びているものである。
請求項1記載のエアバッグによれば、一の気室と他の気室との少なくとも一部が重なり合った状態で、互いに隣り合う一の気室と他の気室との互いの先端側の非膨張部が予め固着されて連結されているので、隣り合う気室間をこれら気室の重なりによって互いに覆って補い、かつ、基端側に対して先端側が窄まった状態となり、隣り合う気室同士が互いの膨張によって、互いに重なる位置で膨張する方向に荷重が付与されて押し合うことで、乗員の頭部の形状に合わせてエアバッグ本体部が湾曲し、簡素な構成で乗員の頭部の適切な保護性能を得ることができる。
求項記載のエアバッグによれば、請求項記載のエアバッグの効果に加えて、エアバッグ本体部の一の気室を挟んで位置する他の気室同士が一の気室に重ねられた状態で、一の気室及び両方の他の気室の先端側の非膨張部が固着されて連結されているので、張力が発生する周長を一体的に連続させて大きくすることができ、内圧を大きくすることなく反力を大きくして乗員の頭部の保護性能を向上できる。
請求項記載のエアバッグによれば、請求項記載のエアバッグの効果に加えて、エアバッグ本体部の膨張に伴う一の気室から他の気室への荷重に対して補強部により側縁接合部を保護することで、エアバッグ本体部の周長を維持しつつ、エアバッグ本体部の膨張時に側縁接合部が破損することを確実に防止し、適切な保護領域を得ることができる。
請求項記載のエアバッグによれば、請求項記載のエアバッグの効果に加えて、側縁接合部及び補強部を縫製糸により形成された縫製部として、補強部を側縁接合部に対し交差する方向に沿って形成することで、エアバッグ本体部の膨張に伴う一の気室から他の気室への荷重を補強部によって効果的に受け、この荷重に起因する縫製糸の破断による側縁接合部の破損を確実に防止できる。
本発明の第1の実施の形態のエアバッグを示す側面図である。 同上エアバッグの図1のI-I相当位置の膨張展開状態での断面図である。 同上エアバッグの基布の状態を示す平面図である。 (a)ないし(c)は同上エアバッグのエアバッグ本体部の製造工程を示す説明図、(d)は(c)のII-II相当位置の断面図である。 本発明の第2の実施の形態のエアバッグを示す側面図である。 同上エアバッグの図5のIII-III相当位置の膨張展開状態での断面図である。 (a)ないし(c)は同上エアバッグのエアバッグ本体部の製造工程を示す説明図、(d)は(c)のIV-IV相当位置の断面図である。 (a)は本発明の第3の実施の形態のエアバッグを示す膨張展開状態での側面図、(b)は(a)の一部を拡大して示す側面図である。
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2において、10はエアバッグを示す。このエアバッグ10を備えたエアバッグ装置は、移動体である自転車などの乗員の頭部Aを保護する頭部保護エアバッグ装置である。本実施の形態では、このエアバッグ装置は、例えば乗員の首周りに装着される二輪車用エアバッグ装置である。なお、以下、前後方向(矢印FR方向及び矢印RR方向)、左右両側方向(矢印L方向及び矢印R方向)、及び上下方向(矢印U方向及び矢印D方向)は、それぞれ乗員がエアバッグ装置を装着した状態を基準として説明する。
そして、このエアバッグ装置は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、袋状の外殻部であるエアバッグ本体部12を有する上記のエアバッグ10の他に、エアバッグ本体部12にガスを供給するインフレータ、インフレータの動作を制御する制御手段、及びこれらの電源となる電池(二次電池)などを備えている。そして、このエアバッグ装置は、所定の方法により折り畳まれた状態のエアバッグ10(エアバッグ本体部12)とともに、インフレータ、制御手段、及び電池などが例えば布製などのカバーの内部に収納され、乗員の首周りに巻き付けられて装着されるようになっている。
インフレータは、円盤状や円柱状などをなす本体部を備えている。本体部の内側には、点火器及び薬剤が収納され、接続されたコネクタを介して伝えられる制御手段からの電気信号により、点火器が薬剤を燃焼させ、本体部に形成されたガス噴射口から膨張用のガスをエアバッグ本体部12内に急速に供給するようになっている。
制御手段は、衝撃を検出するセンサや制御装置を備え、この制御装置が、インフレータに信号線を介して接続され、センサにより所定の衝撃を検出したときにインフレータを作動させるようになっている。
そして、エアバッグ本体部12は、単数、あるいは複数の基布を縫製、接着あるいは溶着などにより組み合わせて接合することで全体としては袋状に形成されている。すなわち、エアバッグ本体部12は、1枚の基布にていわゆるワンピースウーヴン(One Piece Woven、OPW)で袋織りされて形成されているものでもよいし、2枚以上の基布を縫製などにより接合して袋状に形成されているものでもよい。また、このエアバッグ本体部12は、インフレータからガスが導入されるガス導入部15と、このガス導入部15から導入されたガスにより膨張する膨張部16と、ガスが導入されない非膨張部17とを備えている。そして、このエアバッグ本体部12は、縫製などにより形成された接合部18によって接合されて、膨張展開状態では乗員の首周りから頭部を覆うヘルメット状の立体形状となるように形成されている。例えば、本実施の形態の接合部18は、縫製糸により形成された縫製部である。
ガス導入部15は、開口部として形成されている。このガス導入部15は、エアバッグ本体部12の展開基端側となる部分である。本実施の形態において、このガス導入部15は、乗員の首周りの後部に位置している。このガス導入部15には、例えばインフレータの本体部の一部が挿入されていてもよい。
膨張部16は、ガス導入部15からのガスの導入により膨張する気室(チャンバ)19を複数備えている。また、この膨張部16には、気室19へ導入されるガスの流れを制御するガスガイド部20が形成されている。
気室19には、左右方向に沿って延びる複数の第1の気室22と、放射状に延びる複数の第2の気室23とが設定されている。
各第1の気室22は、ガス導入部15からインフレータを介してガスが直接導入される気室である。各第1の気室22は、左右方向に長手状に形成され、ガス導入部15から左方向、及び、右方向にそれぞれ突出している。そして、各第1の気室22は、互いの先端側が乗員の首部の前部の位置で対向するように乗員の首周りに巻き付けられて位置し、膨張展開状態で乗員の首部を保護するようになっている。
各第2の気室23は、各第1の気室22に対して上側に位置し、互いに左右に並んで配置されている。各第2の気室23は、本実施の形態において、例えば左右対称に配置されている。本実施の形態において、第2の気室23は、左右両側部に3つずつ、中央部に1つ形成されており、これらを第2の気室23a~23c及び第2の気室23dとして説明するが、この数や形状に限定されるものではない。また、各第2の気室23は、例えば接合部18により接合される前の基布の状態(図3)で、基端側(下側)から先端側(上側)に向かって縁部の距離が徐々に大きくなるように、いわば手指状に開いて延出されている。また、本実施の形態において、第2の気室23は、接合部18により接合された状態で、一の第2の気室23と他の第2の気室23との少なくとも一部が重なり合った状態に連結されている。より具体的には、本実施の形態の第2の気室23は、互いに隣り合う一の第2の気室23と他の第2の気室23との互いの先端側が接合部18により固着されて連結されている。本実施の形態の場合、図2に示すように、左右に位置する第2の気室23a,23bの一側縁部(上縁部)に対して、第2の気室23b,23cの他側縁部(下縁部)が順次外側(上側)に位置するように重なり合い、第2の気室23dの両側上に第2の気室23cの他側縁部(下縁部)がそれぞれ重なり合っている。このため、各第2の気室23は、膨張展開状態で、乗員の頭部Aの後部から両側部、及び前部に亘る位置を保護するようになっている。
ガスガイド部20は、ガス導入部15から導入されたガスを気室19へと導くものである。ガスガイド部20は、エアバッグ本体部12に任意に配置することができる。
非膨張部17は、接合部18により接合する前の基布の状態で膨張部16の各気室19の外縁に沿ってフィン状に形成されている。本実施の形態の非膨張部17は、例えば基布における気室19の接合代(縫い代)として形成されている。そして、非膨張部17は、気室19の先端側及び側縁部に沿って位置している。すなわち、非膨張部17は、各第1の気室22及び各第2の気室23のそれぞれの先端側及び側縁部に沿って位置している。
接合部18は、例えば縫製などにより形成され、第2の気室23の先端側の非膨張部17の位置をまとめている。本実施の形態では、例えば図4(a)に示す基布の状態から、矢印及び図4(b)に示すように、隣り合って左右に並ぶ第2の気室23(第2の気室23a~23d)の一部を順次重ね合わせた状態で、図4(c)に示すように、複数の第2の気室23の先端側を縫製などにより接合して接合部18が形成される。このため、接合部18により、図4(d)に示すように、隣り合う第2の気室23の一部が左右方向及び上下方向に互いに重なって形成され、隣り合う第2の気室23の間の非膨張部17の位置がそれぞれ隣り合う第2の気室23の一部によって覆われる。より詳細には、隣り合う第2の気室23が、エアバッグ本体部12において、乗員の頭頂部から頭部両側部に亘り斜め方向に重なりつつ並び、エアバッグ本体部12が立体形状となるように配置される。すなわち、第2の気室23は、エアバッグ本体部12の展開先端側が窄まるように重なって配置される。
そして、エアバッグ装置は、概略として、二輪車の衝突などの際に、所定の衝撃をセンサにより検出すると、制御装置がインフレータを作動させ、このインフレータからガスを噴射させる。そして、インフレータから噴射されたガスがガス導入部15からエアバッグ本体部12の内部に流入し、ガスガイド部20によって第1の気室22及び第2の気室23へとそれぞれ導入され、エアバッグ本体部12が折り畳まれた状態から膨張展開することで、その展開圧力でカバーの一部を破断して突出し、乗員の頭部Aを後頭部から前頭部に掛けて覆う。
このとき、第2の気室23は、互いに隣り合うもの同士の少なくとも一部が重なって配置されているので、隣り合う第2の気室23間の非膨張部17をこれら第2の気室23の重なりによって互いに覆って補い、保護ストロークが小さくなる部分を抑制して、簡素な構成で乗員の頭部Aを効果的に保護可能な、適切な保護性能を得ることができる。
また、エアバッグ本体部12の互いに隣り合う第2の気室23は、先端側が接合部18により固着されて連結されているので、基端側に対して先端側が窄まった状態となっており、隣り合う第2の気室23が互いの膨張によって、互いに重なる位置で膨張する方向に荷重が付与されて押し合うことで、乗員の頭部Aの形状(丸み)に合わせてエアバッグ本体部12が湾曲する。そのため、乗員の頭部Aの保護性能を向上できるとともに、気室19(第2の気室23)の容量を抑制できるので、エアバッグ本体部12にガスを供給するインフレータとして出力が小さいものを用いることができ、小型化及び軽量化が可能になる。しかも、隣り合う第2の気室23間は、先端側が接合部18により固着されているのみであるため、膨張前の第2の気室23の基端側間に隙間が生じることがあるものの、膨張した状態では第2の気室23同士が膨張方向に与える荷重で押され合うことによりその隙間をなくすことができるので、基布の裁断時に気室19を分割し、簡易的な縫製などで接合部18を形成して隣り合う第2の気室23の先端側のみを固着するだけで、保護ストロークが小さくなる部分を容易に抑制でき、製造コストを抑制しつつ、乗員の保護性能を向上できる。
次に、第2の実施の形態を、図5ないし図7を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態のエアバッグ10は、エアバッグ本体部12の気室19の第2の気室23が、一の第2の気室23を挟んで位置する他の第2の気室23同士が一の第2の気室23に重ねられた状態で、一の第2の気室23及び両方の他の第2の気室23の先端側が固着されて連結されているものである。
本実施の形態では、エアバッグ本体部12が基本的に第1の実施の形態と同様の基布に形成され、第2の気室23bを挟む第2の気室23a,23cが第2の気室23bの両側に重ねられた状態で、これら第2の気室23a,23cの側縁部同士が、例えば縫製などの側縁接合部25によって非膨張部17の位置で固着され、かつ、第2の気室23a~23cの先端側が接合部18によって非膨張部17の位置で固着されて連結されている。例えば、本実施の形態の側縁接合部25は、縫製糸により形成された縫製部である。側縁接合部25は、接合部18に対し、交差する方向に沿って形成されている。
例えば図7(a)に示す基布の状態から、図7(b)に示すように、一の第2の気室23(第2の気室23b)を挟む他の第2の気室23(第2の気室23a,23c)の一部を一の第2の気室23(第2の気室23b)にそれぞれ重ね合わせて他の第2の気室23(第2の気室23a,23c)の互いに対向する側縁部を縫製などにより接合して側縁接合部25が形成され、図7(c)に示すように、一の第2の気室23(第2の気室23b)及び両方の他の第2の気室23(第2の気室23a,23c)の先端側を縫製などにより接合して接合部18が形成される。このため、接合部18及び側部接合部25により、図7(d)に示すように、複数の他の第2の気室23(第2の気室23a,23c)の一部がその間に位置する一の第2の気室23(第2の気室23b)に対して重なって形成され、他の第2の気室23(第2の気室23a,23c)間の非膨張部17の位置が一の第2の気室23(第2の気室23b)の一部によって覆われる。より詳細には、一の第2の気室23(第2の気室23b)が、乗員の頭部Aに近い、いわば内側に位置し、他の第2の気室23(第2の気室23a,23c)が一の第2の気室23(第2の気室23b)に対して頭部Aとは反対の外側に位置するように、頭部両側部に沿って斜め方向に重なりつつ並ぶように配置されて、エアバッグ本体部12が立体形状となる。すなわち、第2の気室23は、エアバッグ本体部12の展開先端側が窄まるように重なって配置される。
そして、エアバッグ装置は、概略として、二輪車の衝突などの際に、所定の衝撃をセンサにより検出すると、制御装置がインフレータを作動させ、このインフレータからガスを噴射させる。そして、インフレータから噴射されたガスがガス導入部15からエアバッグ本体部12の内部に流入し、ガスガイド部20によって第1の気室22及び第2の気室23へとそれぞれ導入され、エアバッグ本体部12が折り畳まれた状態から膨張展開することで、その展開圧力でカバーの一部を破断して突出し、乗員の頭部Aを後頭部から前頭部に掛けて覆う。
このとき、第2の気室23は、第2の気室23bを挟んで位置する第2の気室23a,23c同士が第2の気室23bに重ねられた状態で、第2の気室23b及び両方の第2の気室23a,23cの先端側が固着されて連結されているので、張力が発生するエアバッグ本体部12の外側の周長LNを一体的に連続させて大きくすることができるとともに、第2の気室23bに対して重ねられた外側の第2の気室23a,23cに対して、内側の第2の気室23bから膨張時に第2の気室23a,23cの間の位置に押す荷重が生じることで、第2の気室23a,23cが互いに対向する側縁部(側縁接合部25)の位置で外方に突出する方向に押される。そのため、エアバッグ本体部12において、外側の張力を増加させることができるので、気室19(膨張部16)の内圧を大きくしたり、気室19(膨張部16)を大きくしたりすることなく、すなわちインフレータの出力を大きくすることなく、単なる気室19の固着のみでエアバッグ本体部12の外側に接触する干渉物に対する反力を大きくでき、簡素な構成で乗員の頭部Aを効果的に保護可能な、適切な保護性能を得ることができる。
また、第2の気室23bに一部が重ねられる第2の気室23a,23c同士は、側縁接合部25によって互いの側縁部が固着されることによって、張力をより大きく発生させることができ、保護性能を向上できるとともに、製造時に第2の気室23a~23cの先端側を固着する際の作業性を向上できる。
次に、第3の実施の形態を、図8を参照して説明する。なお、上記の各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施の形態のエアバッグ10は、上記の第2の実施の形態において、側縁接合部25を、エアバッグ本体部12の膨張に伴う第2の気室23bから第2の気室23a,23cへの荷重に対して保護する補強部28を備える。
すなわち、図8(a)及び図8(b)に示すように、補強部28は、第2の気室23bを挟んでこの第2の気室23bに対し乗員の頭部Aとは反対側である外側に重なり合った複数の第2の気室23a,23cを接合する側縁接合部25を補強するものである。補強部28は、側縁接合部25と同様に、縫製糸により形成された縫製部である、本実施の形態の補強部28は、側縁接合部25を構成する縫製糸を延長して形成された延長縫製部である。つまり、補強部28と側縁接合部25とは、同一の縫製糸により形成されている。本実施の形態において、補強部28は、第2の気室23a,23cの側縁部に位置する非膨張部17に配置されている。補強部28は、例えば、側縁接合部25が形成されている非膨張部17の一部に延びて形成されている。補強部28は、側縁接合部25が位置する、互いに重ねられた非膨張部17の部分に形成されていてもよいし、重ねられていない非膨張部17の部分に延びていてもよい。補強部28は、側縁接合部25と連なって、側縁接合部25に対し交差する方向に沿って形成されている。補強部28は、側縁接合部25の端部から、上側に位置する第2の気室23cの非膨張部17に、上側に向かって、本実施の形態では後方上側に向かって延びている。
そして、インフレータから噴射されたガスがガス導入部15からエアバッグ本体部12の内部に流入し、ガスガイド部20によって第1の気室22及び第2の気室23へとそれぞれ導入されると、第2の気室23は、第2の気室23bに対して重ねられた外側の第2の気室23a,23cに対して、内側の第2の気室23bから膨張時に第2の気室23a,23cの間の位置に押す荷重が生じる。したがって、エアバッグ本体部12の膨張に伴う荷重は、第2の気室23bから、第2の気室23a,23cを互いに離そうとする方向(矢印F方向)、すなわち側縁接合部25に対して交差する方向、言い換えると側縁接合部25を構成する縫製糸をせん断する方向に向かって生じることとなる。つまり、エアバッグ本体部12の第2の気室23a,23bが側縁接合部25の規制に対し元の形状に戻ろうとする荷重と同じ方向に沿って荷重が生じることとなる。側縁接合部25に対し交差する方向に沿って補強部28が延びて形成されていることにより、上記の荷重を補強部28全体によって効果的に受け、側縁接合部25の後端部のみに荷重が集中することを防止する。このように、エアバッグ本体部12の膨張に伴う第2の気室23bから第2の気室23a,23cへの荷重に対して補強部28により側縁接合部25を保護することで、耐荷重を向上でき、エアバッグ本体部12の周長LNを維持しつつ、エアバッグ本体部12の膨張時に側縁接合部25が破損することを確実に防止できる。すなわち、側縁接合部25の縫製糸が荷重に起因して破断することを確実に防止できる。そのため、側縁接合部25によってエアバッグ本体部12の適切な保護領域を得ることができる。
また、補強部28は、側縁接合部25を構成する縫製糸によって側縁接合部25と連なって形成されるので、側縁接合部25を形成するときにその縫製部分を延長することで形成可能であり、製造が容易でコストが掛かりにくく、容易に耐荷重を向上することが可能になる。
なお、上記の第2及び第3の実施の形態では、一つの第2の気室23bを挟む第2の気室23a,23cの少なくとも一部を第2の気室23bに重ねるようにしたが、例えば隣り合う複数の第2の気室23に対して、これら第2の気室23を挟む複数の第2の気室23の少なくとも一部を重ねるようにしてもよいし、複数の第2の気室23を挟む第2の気室23も、一つずつではなく、複数ずつ重ねるようにしてもよい。すなわち、エアバッグ本体部12の膨張状態で内側に位置する第2の気室23と外側に位置する第2の気室23とは、それぞれ2つ以上であってもよい。
また、各実施の形態において、エアバッグ装置は、例えば自動車の座席に着座した乗員の頭部Aの後方に位置するヘッドレストなどに配置されるエアバッグ装置としても用いることができる。
本発明は、例えば二輪車用の頭部保護エアバッグ装置として好適に用いることができる。
10 エアバッグ
12 エアバッグ本体部
19 気室
25 側縁接合部
28 補強部
A 頭部

Claims (4)

  1. 導入されたガスにより膨張することで乗員の頭部を保護するエアバッグであって、
    袋状のエアバッグ本体部を備え、
    前記エアバッグ本体部は、ガスがそれぞれ導入される複数の気室が並んで配置されるとともに、一の前記気室と他の前記気室との少なくとも一部が重なり合った状態で、互いに隣り合う一の前記気室と他の前記気室との互いの先端側の非膨張部が予め固着されて連結されている
    ことを特徴とするエアバッグ
  2. エアバッグ本体部は、一の気室を挟んで位置する他の気室同士が前記一の気室に重ねられた状態で、前記一の気室及び両方の前記他の気室の先端側の非膨張部が固着されて連結されている
    ことを特徴とする請求項記載のエアバッグ。
  3. エアバッグ本体部は、
    両方の他の気室を接合する側縁接合部と、
    前記エアバッグ本体部の膨張に伴う一の気室から前記他の気室への荷重に対して前記側縁接合部を保護する補強部とを備えた
    ことを特徴とする請求項記載のエアバッグ。
  4. 側縁接合部、及び補強部は、縫製糸により形成された縫製部であり、
    前記補強部は、前記側縁接合部に対し交差する方向に沿って延びている
    ことを特徴とする請求項記載のエアバッグ。
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