JP7222513B2 - 硬質表面洗浄剤組成物、微生物又は菌叢凝塊の除菌方法、洗浄機における菌叢凝塊の発生防止方法、洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法及び除菌剤 - Google Patents

硬質表面洗浄剤組成物、微生物又は菌叢凝塊の除菌方法、洗浄機における菌叢凝塊の発生防止方法、洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法及び除菌剤 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 (1)平成30年7月4日 ウェブサイトhttp://meeting-jsme2018.com/abstracts/2018_JSME_10th_ASME_Program_Abstracts.pdfにて、日本微生物生態学会第32回大会講演要旨集の498頁(P2-145)にて発表 (2)平成30年7月12日 日本微生物生態学会第32回大会にて発表
本発明は、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機に用いられ、該物品を洗浄し、かつ、洗浄機内の菌叢凝塊の発生を防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊を除菌する硬質表面洗浄剤組成物に関する。本発明はまた、微生物又は菌叢凝塊の除菌方法、洗浄機における該菌叢凝塊の発生防止方法、及び、洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法に関する。本発明はさらに、除菌剤に関する。
近年、人手不足、衛生管理等の観点から、ホテル又はレストラン等においては、自動食器洗浄機が用いられている。このような自動食器洗浄機において使用される洗浄剤組成物には、アルカリ剤、キレート剤等の洗浄成分の他に、塩素剤が含まれる場合がある。塩素剤には、食器などに蓄積されて強固な汚れになるタンパク質、デンプン、茶渋、コーヒーなどの色素汚れを除去する効果があり、このような効果が期待され、洗浄剤組成物に配合されている。塩素剤を用いた自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として、例えば、特許文献1では、水溶性アミノポリカルボキシレートを5~70重量%及び塩素系漂白剤0.5~3.0重量%を含有する漂白洗浄剤組成物が開示されている。
特開平9-176690号公報
洗浄機、特に自動食器洗浄機は水分と温度と栄養素が潤沢に存在することから菌叢が発生することが多い。菌叢凝塊は、単一又は複数の微生物の塊であり、微生物そのものと、食品等に由来する汚れと、微生物が産生した有機物から構成されている。菌叢凝塊は、微生物の集まりの一つであるスライムと同義語である。効率的に菌叢凝塊の発生を防止又は発生した菌叢凝塊を除菌するためには、これに含まれる微生物に対して除菌力(除菌作用)を有する除菌剤や洗浄剤組成物を使用することが有効である。しかしながら、菌叢凝塊に含まれる微生物はこれまで特定されておらず、その除菌に有効な化合物も検討されていなかった。
本発明は、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機に用いられ、該物品を洗浄し、かつ、洗浄機内の菌叢凝塊の発生を防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊を除菌する硬質表面洗浄剤組成物、特に、メイオサーマス属の微生物及びテピジモナス属の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は該菌叢凝塊の除菌に有効な硬質表面洗浄剤組成物を提供することを目的とする。また、本発明はメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌方法、洗浄機におけるメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止方法を提供することを目的とする。また、本発明は、メイオサーマス属の微生物及びテピジモナス属の微生物に対して除菌力を有する除菌剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、洗浄機内に形成された菌叢凝塊のほとんどにメイオサーマス属の微生物やテピジモナス属の微生物が含まれることを見出し、これらの微生物の除菌に塩素剤が有効であることを見出した。塩素剤がこれらの微生物に対して除菌力を有することは、これまで報告されていない。本発明者らは、上記知見に基づきさらに研究を重ねて、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の硬質表面洗浄剤組成物、除菌剤等に関する。
本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含み、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機に用いられ、上記物品を洗浄し、かつ、洗浄機内の菌叢凝塊の発生を防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊を除菌することを特徴とする。
本明細書中、硬質表面洗浄剤組成物を、単に洗浄剤組成物ともいう。
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機に用いられる。本発明の洗浄剤組成物は、洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄、及び、洗浄機内の菌叢凝塊の発生防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊を除菌するために有用である。
微生物又は菌叢凝塊の除菌には、該微生物又は菌叢凝塊を低減させること、除去することが含まれる。
本発明においては、上記菌叢凝塊が赤色系統又は橙色系統の菌叢凝塊であってよい。本発明の洗浄剤組成物は、赤色系統又は橙色系統の菌叢凝塊の発生防止又は除菌に有用である。
本発明においては、上記菌叢凝塊がメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含んでいてもよい。
塩素剤(A)は、メイオサーマス属及びテピジモナス属の微生物に対して除菌力を有する。一方、自動食器洗浄機等の洗浄機内に菌叢凝塊が形成されると、微生物は汚れや有機物に保護されて、塩素剤による除菌効果が低減される。菌叢凝塊の除菌には、有機物等を除去して菌叢凝塊内部の微生物を露出させて除菌剤と接触しやすくさせて、その除菌効果を発揮させることが重要であり、このためには洗浄剤組成物が除菌力に加えて洗浄力が良好である必要がある。本発明の洗浄剤組成物は、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含むことにより、上記微生物に対する除菌力に加えて洗浄力が良好である。従って、本発明の洗浄剤組成物は、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は除菌に有用である。例えば本発明の洗浄剤組成物を、上記微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機に使用して、該菌叢凝塊に作用させることにより、該菌叢凝塊の除菌が可能となる。また、洗浄剤組成物を洗浄機内の上記微生物に作用させることにより、該微生物を除菌することができる。本発明の洗浄剤組成物は、上記の微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機用の洗浄剤組成物として好適である。
上記菌叢凝塊は、さらにバシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含んでいてもよい。
塩素剤(A)は、これらの微生物に対して除菌力を有することから、本発明の洗浄剤組成物は、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種に加えて、上記の少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は除菌に有用である。本発明の洗浄剤組成物は、上記の微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機用の洗浄剤組成物として好適である。
一態様において、本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、上記菌叢凝塊が存在する洗浄機において、上記物品を洗浄しながら上記菌叢凝塊を除菌するために好適に使用される。
本発明の洗浄剤組成物は洗浄力及び微生物に対する除菌力を有することから、菌叢凝塊が存在する洗浄機に好適に用いられ、硬質表面を有する物品を洗浄しながら、菌叢凝塊を除菌することが可能となる。
本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであることが好ましい。
1.3≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦175.6 (1)
本明細書中、洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液の有効塩素濃度、次亜塩素酸の存在比率、次亜塩素酸イオンの存在比率及びpHは、25℃の当該水溶液の有効塩素濃度、次亜塩素酸の存在比率、次亜塩素酸イオンの存在比率及びpHである。
塩素剤及びアルカリ剤を含有し、その0.1重量%水溶液の有効塩素濃度、次亜塩素酸の存在比率、次亜塩素酸イオンの存在比率及びpHが上記式(1)を満たす洗浄剤組成物は、高い洗浄力及び微生物(例えば、上記のメイオサーマス属及びテピジモナス属等の微生物)に対する除菌力を発揮することができる。このため菌叢凝塊の除菌作用が向上する。また、0.1重量%水溶液の有効塩素濃度等が上記式(1)を満たす洗浄剤組成物は、除菌力が高く、例えば、バシラス・セレウス種等の芽胞菌に対しても高い除菌力を有する。
本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液のpHが8以上であることが好ましい。
0.1重量%水溶液のpHが8以上であると、洗浄剤組成物の洗浄力が向上する。また、塩素ガス発生の危険性が低減するため安全性の観点からも好ましい。
本発明は、以下の微生物又は菌叢凝塊の除菌方法、菌叢凝塊の発生防止方法、洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法も包含する。
硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機内で、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物又はこれを含む菌叢凝塊に作用させることを特徴とする、上記微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌方法。
硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機において、上記物品の洗浄に塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を使用することを特徴とする、上記洗浄機におけるメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止方法。
硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機により上記物品を洗浄する方法であって、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機において、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液により、硬質表面を有する物品を洗浄することを特徴とする洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法。
上記のように、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液は、洗浄力及び上記微生物に対する除菌力を有することから、該溶液を上記微生物又はこれを含む菌叢凝塊に作用させると、上記微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌が可能となる。また、洗浄機において、硬質表面を有する物品の洗浄に塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を使用することにより、該物品を洗浄しながら上記微生物を含む菌叢凝塊の発生を防止することができる。さらに、上記微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機において、硬質表面を有する物品の洗浄に塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を使用することにより、該物品を洗浄しながら上記微生物又はこれを含む菌叢凝塊を除菌することができる。
本発明の微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌方法、洗浄機における菌叢凝塊の発生防止方法、及び、洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法においては、上記塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液が、上記の本発明の硬質表面洗浄剤組成物又はその水溶液であることが好ましい。
本発明の除菌剤は、塩素剤(A)を含み、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌に用いられることを特徴とする。
塩素剤(A)は、メイオサーマス属及びテピジモナス属の微生物に対して除菌力を有する。本発明の除菌剤は、塩素剤(A)を含み、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌剤として使用される。
本発明の一実施態様において、除菌剤は、さらに、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌に用いられる。
本発明の除菌剤は、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属の微生物に対して除菌力を有し、これらの微生物の除菌にも有用である。
本発明によれば、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機に用いられ、該物品を洗浄し、かつ、洗浄機内の菌叢凝塊の発生を防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊を除菌する硬質表面洗浄剤組成物、特に、メイオサーマス属の微生物及びテピジモナス属の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は該菌叢凝塊の除菌に有効な硬質表面洗浄剤組成物を提供することができる。また、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌方法、洗浄機におけるメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止方法を提供することができる。また、本発明によれば、メイオサーマス属の微生物及びテピジモナス属の微生物に対して除菌力を有する除菌剤を提供することができる。
本発明の除菌剤は、塩素剤(A)を含み、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌に用いられるものである。
塩素剤(A)は、メイオサーマス属の微生物及びテピジモナス属の微生物に対して、除菌力を有する。本発明の除菌剤は、好ましくは塩素剤(A)を有効成分として含む。
メイオサーマス属の微生物として、メイオサーマス・ルーバー、メイオサーマス・タイワネンシス、メイオサーマス・シルバヌス、メイオサーマス・チラロフィルス、メイオサーマス・セルベレウス、メイオサーマス・グラナチシウス、メイオサーマス・ロザセウス、メイオサーマス・ルフス、メイオサーマス・チミドゥス等が挙げられる。テピジモナス属の微生物として、テピジモナス・タイワネンシス、テピジモナス・フォンティカルディ、テピジモナス・アクアティカ、テピジモナス・イグナヴァ、テピジモナス・サーマルム等が挙げられる。メイオサーマス属の微生物及びテピジモナス属の微生物は、それぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。本発明の一態様において、メイオサーマス属の微生物は、メイオサーマス・ルーバー、メイオサーマス・タイワネンシス、メイオサーマス・シルバヌスであってよく、テピジモナス属の微生物は、テピジモナス・タイワネンシス、テピジモナス・フォンティカルディであってよい。一態様において、本発明の除菌剤は、メイオサーマス・ルーバー、メイオサーマス・タイワネンシス、メイオサーマス・シルバヌス、テピジモナス・タイワネンシス及びテピジモナス・フォンティカルディからなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌に好適である。
塩素剤(A)は、バシラス・セレウス種(バシラス・セレウス)、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属の微生物の除菌にも有用である。本発明の除菌剤は、さらに、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌に使用され得る。
バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属の微生物は、それぞれ1種であってもよく、2種以上であってもよい。
テピジフィルス属の微生物として、テピジフィルス・サクシナチマンデンス、テピジフィルス・サーモフィルス等が挙げられる。リシニバシラス属の微生物として、リシニバシラス・フシフォルミス、リシニバシラス・ボロニトエランス、リシニバシラス・グレソリヴォランス、リシニバシラス・マクロイデス、リシニバシラス・マシリエンシス、リシニバシラス・オディッセイ、リシニバシラス・パルビボロニカピエンス、リシニバシラス・シンデュリエンシス、リシニバシラス・スフェリクス、リシニバシラス・シラニリティクス等が挙げられる。ディフェリソマ属の微生物として、ディフェリソマ・キャミニ、ディフェリソマ・パレオコリエンス等が挙げられる。
本明細書中、塩素剤(A)は、水溶液中で次亜塩素酸を発生する塩素剤であればよく、塩素系漂白剤として使用されているものを使用することができる。例えば、ジクロロイソシアヌル酸(塩素化イソシアヌル酸)塩(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(塩素化イソシアヌル酸ナトリウム)、ジクロロイソシアヌル酸カリウム(塩素化イソシアヌル酸カリウム)等)、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸塩(次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム等)等の塩素剤が挙げられる。これらの塩素剤は、水和物であってもよい。中でも、塩素剤として、ジクロロイソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸塩が好ましい。ジクロロイソシアヌル酸塩として、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムが好ましい。次亜塩素酸塩として、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。塩素剤(A)は、1種の塩素剤であってもよく、2種以上の塩素剤の組合せであってもよい。
除菌剤に使用される塩素剤(A)には、上記の塩素剤をそのまま使用することができるが、後述する被覆剤で被覆された又はカプセルに封入された塩素剤、打錠された又は造粒された塩素剤を使用することもできる。
本発明の除菌剤は、本発明の効果を奏する限り、任意の成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、後記する溶剤、安定化剤、界面活性剤、キレート剤、ビルダー、腐食防止剤、酵素等が挙げられる。除菌剤中の塩素剤の含有量は特に限定されず、例えば、0.1~99重量%とすることができる。
本発明の除菌剤の形態は特に限定されず、固体、液体のいずれの形態であってもよく、有効成分として使用される塩素剤(A)の形態により適宜選択することができる。
本発明の除菌剤により上記微生物を除菌する方法は特に限定されず、除菌剤を上記微生物に作用させればよい。除菌剤を微生物に作用させる方法としては、除菌剤又はその溶液を微生物に接触させればよい。除菌剤又はその溶液をミスト状にして、該ミスト状の除菌剤又はその溶液を微生物に接触させてもよい。
本発明の除菌剤は、そのまま上記微生物の除菌に使用することができる他、洗浄剤組成物等に上記微生物の除菌剤として配合して使用することもできる。
本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む。本発明の硬質表面洗浄剤組成物は、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機に用いられ、上記物品を洗浄し、かつ、洗浄機内の菌叢凝塊の発生を防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊を除菌する洗浄剤組成物である。
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄力及び微生物に対する除菌力を有するため、上記物品の洗浄及び洗浄機内の菌叢凝塊の発生防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊の除菌のために使用され得る。
塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を使用してもよい。本発明の洗浄剤組成物に、上述した本発明の除菌剤を配合することもできる。
上記菌叢凝塊は、赤色系統又は橙色系統の菌叢凝塊であってよい。本発明の洗浄剤組成物は、赤色系統又は橙色系統の菌叢凝塊の発生防止又は除菌に有用である。
菌叢凝塊の一例として、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊が挙げられる。メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊は、赤色系統又は橙色系統のものが多い傾向がある。本発明の洗浄剤組成物は、メイオサーマス属及びテピジモナス属の微生物に対して除菌力を有し、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は除菌に好適に使用される。
一態様において、本発明の洗浄剤組成物は、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機に使用され、高い洗浄力及び該菌叢凝塊に対する除菌力を発揮する。
上記菌叢凝塊は、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含むものであってよい。本発明の洗浄剤組成物は、これらの微生物にも除菌力を有する。
本発明の洗浄剤組成物は、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種、並びに、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は除菌に好適に使用される。
メイオサーマス属、テピジモナス属、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属、ディフェリソマ属の微生物として、上述した微生物が挙げられる。
菌叢凝塊に上記微生物が存在することは、例えば、菌叢凝塊を形成する微生物群の16SrDNAのDNA配列解析により確認することができる。16SrDNAのDNA配列解析は、実施例に記載の方法で行うことができる。
塩素剤(A)には、上記の除菌剤における塩素剤(A)と同じものを使用することができる。一態様において、洗浄剤組成物が固体洗浄剤組成物の場合は、塩素剤として、固体の塩素剤を使用することが好ましく、ジクロロイソシアヌル酸塩及びトリクロロイソシアヌル酸からなる群より選択される1種以上を使用することが好ましく、ジクロロイソシアヌル酸塩がより好ましく、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムがさらに好ましい。洗浄剤組成物が液体洗浄剤組成物の場合は、塩素剤として次亜塩素酸塩を使用することが好ましく、次亜塩素酸ナトリウムがより好ましい。
塩素剤(A)の含有量は、洗浄剤組成物中に0.1~10重量%が好ましい。塩素剤(A)の含有量が上記範囲であると、洗浄力及び除菌力が向上する。また、塩素ガス発生の危険性を抑えられる。洗浄力及び除菌力並びに安全性向上の観点から、塩素剤(A)の含有量は、洗浄剤組成物中に1~10重量%がより好ましく、2~9重量%がさらに好ましい。塩素剤が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各塩素剤の含有量の合計として定める。
本明細書中、洗浄剤組成物の各成分の含量(重量%)は、特に断らない場合には洗浄剤組成物中の純分の含量である。除菌剤についても同様である。
上記アルカリ剤(B)としては、水溶性のアルカリ剤であればよく、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を用いることができる。アルカリ金属塩としては、ケイ酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩及びアルカリ金属のリン酸塩からなる群より選択される1以上の化合物が好ましく、例えば、ケイ酸ナトリウム(メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ1号、ケイ酸ソーダ2号、ケイ酸ソーダ3号、ケイ酸ソーダ4号)、ケイ酸カリウム(メタケイ酸カリウム、セスキケイ酸カリウム、オルソケイ酸カリウム)等のケイ酸のアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;リン酸三ナトリウム等のアルカリ金属のリン酸塩が好ましい。これらのアルカリ剤は、水和物となっていてもよい。中でも、洗浄力及び除菌力向上の観点から、ケイ酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩がより好ましく、ケイ酸のアルカリ金属塩、アルカリ金属の水酸化物がさらに好ましく、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。なお、後記するキレート剤として例示される化合物は、本発明におけるアルカリ剤(B)には含まれない。
アルカリ剤(B)の含有量は、洗浄剤組成物中に1~60重量%であることが好ましい。アルカリ剤(B)の含有量が1重量%未満であると、洗浄力が不充分となる場合があり、60重量%を超えると、被洗物である硬質表面を有する物品を劣化させやすい場合がある。洗浄力向上等の観点から、アルカリ剤(B)の含有量は、洗浄剤組成物中に3~55重量%であることがより好ましく、さらに好ましくは10~50重量である。アルカリ剤が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各アルカリ剤の含有量の合計として定める。
本発明の洗浄剤組成物は、その0.1重量%水溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであることが好ましい。
1.3≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦175.6 (1)
上記式(1)中の有効塩素濃度の単位はppmである。
本明細書中、上記式(1)中の{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}を、除菌力指数ともいう。本明細書中、ppmは、重量ppmである。
0.1重量%水溶液の有効塩素濃度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液の次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンの存在比率は、25℃における該水溶液中の次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンの存在比率(モル濃度比率)である。また、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンの存在比率は、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンの合計に対する、次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンの存在比率である。次亜塩素酸(HClO)は、水溶液中で次亜塩素酸イオン(ClO)とプロトン(H)に解離する。洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液中の次亜塩素酸(HClO)及び次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率(%)は、該水溶液のプロトン濃度[H]、及び、次亜塩素酸の酸解離定数(pKa)から求められる上記反応の平衡定数(Ka)から、下記式(2)及び(3)により求められる。
(次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの存在比率(25℃))
次亜塩素酸(HClO)の存在比率(%)=100×1/(1+Ka/[H]) (2)
次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率(%)=100(%)-HClOの存在比率(%) (3)
なお上記式中、[H]=10-pH、Ka=10-pKa(25℃ではpKa=7.53)である。pHは、25℃におけるpHである。
上記より、上記式(2)は、以下のように表わすこともできる。
次亜塩素酸(HClO)の存在比率(%)=100×1/(1+10-7.53/10-pH
次亜塩素酸(HClO)は、次亜塩素酸イオン(ClO)と比較して、除菌力が高い。従って次亜塩素酸の存在比率が高いと、除菌力が高くなる。本発明のアルカリ剤を使用した洗浄剤組成物の水溶液のpHが高いと、洗浄力は高くなる傾向があるが、次亜塩素酸の存在比率が低くなる傾向があり、その結果除菌力が低下する傾向がある。本発明者らは、洗浄剤組成物がアルカリ剤を含有し、かつ、洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液の有効塩素濃度、次亜塩素酸の存在比率、次亜塩素酸イオンの存在比率及びpHが、上記式(1)を満たすものであると、洗浄剤組成物の洗浄力及び除菌力(例えば、メイオサーマス属、テピジモナス属、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属の微生物に対する除菌力)が共に特に良好であること見出した。例えば、バシラス・セレウス種の微生物のような芽胞菌の除菌には、通常の微生物よりも高い除菌力が必要である。その0.1重量%水溶液の有効塩素濃度等が上記式(1)を満たすものであると、洗浄剤組成物の除菌力が向上することから、例えば、バシラス・セレウス種の微生物のような芽胞菌に対しても高い除菌力を発揮することができる。
本発明の洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液の有効塩素濃度、次亜塩素酸の存在比率、次亜塩素酸イオンの存在比率及びpHが、上記式(1)を満たす、すなわち、0.1重量%水溶液の除菌力指数/pHが1.3~175.6であることが好ましい。0.1重量%水溶液の除菌力指数/pHが1.3以上であると、洗浄剤組成物の除菌力が向上する。0.1重量%水溶液の除菌力指数/pHが175.6以下であると、高い洗浄力を発揮することができる。洗浄力及び除菌力がより向上することから、洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液の除菌力指数/pHが、1.5~5.8であることがより好ましく、2.0~4.0であることがさらに好ましい。本発明においては、洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液の除菌力指数/pHが上記範囲となるように、洗浄剤組成物の成分及びその含有量を調整することが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は、除菌力向上の観点から、0.1重量%水溶液の有効塩素濃度が、8ppm以上であることが好ましく、10ppm以上がより好ましく、12ppm以上がさらに好ましく、15ppm以上が特に好ましい。また、洗浄機や被洗物の劣化抑制や、作業者の安全性の観点から、洗浄剤組成物は、その0.1重量%水溶液の有効塩素濃度が、100ppm以下が好ましく、60ppm以下がより好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液の有効塩素濃度が、8~100ppmが好ましく、10~60ppmがより好ましく、12~60ppmがさらに好ましく、15~60ppmが特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液のpHが8以上であることが好ましい。洗浄剤組成物の0.1重量%水溶液のpHが8以上であると、洗浄力が向上する。また、塩素ガス発生の危険性が低減する。洗浄力向上の観点から、洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液のpHが9以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、10.5以上が特に好ましい。除菌力向上の観点から、0.1重量%水溶液のpHは12以下が好ましく、11.6以下がより好ましい。上記pHであると、水溶液中の次亜塩素酸の存在比率が高く、除菌力の観点から好ましい。一態様において、洗浄力及び除菌力向上の観点から、本発明の洗浄剤組成物は、0.1重量%水溶液のpHが8~12が好ましく、9~12がより好ましく、10~11.6がさらに好ましく、10.5~11.6が特に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、キレート剤を含有することが好ましい。洗浄剤組成物がキレート剤を含有すると、洗浄力が向上する。キレート剤の種類は特に限定されないが、アミノカルボン酸系、ホスホン酸系、リン酸系、エーテルカルボン酸塩系等のキレート剤が挙げられ、これらを併用してもよい。なお、後記する酸剤として例示される化合物、ビルダーとして例示される化合物は、本発明におけるキレート剤には含まれない。
アミノカルボン酸系のキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3-プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA-OH)、アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)又はこれらの塩等が挙げられる。
ホスホン酸系のキレート剤としては、ヒドロキシエチリデンホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)又はこれらの塩等が挙げられる。リン酸系のキレート剤としては、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸やこれらの塩等が挙げられる。
上記キレート剤における塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
また、キレート剤とキレート剤の塩が洗浄剤組成物の中で混在していてもよく、キレート剤が洗浄剤組成物に含まれている場合にその後にナトリウムイオン等が加えられることによって塩となっていてもよい。
キレート剤として、洗浄力向上の観点から、アミノカルボン酸系のキレート剤、ホスホン酸系のキレート剤が好ましく、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、メチルグリシン二酢酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、これらの塩の1種以上がより好ましい。
洗浄剤組成物がキレート剤を含む場合、キレート剤の含有量は、洗浄剤組成物中に5~60重量であることが好ましい。キレート剤が5重量%未満であると、キレート剤を配合することによる洗浄力向上効果が不充分となる。キレート剤が60重量%を超えると、金属が溶出しやすくなる。このため例えば洗浄機や被洗物を劣化させやすくなるおそれがある。洗浄力向上等の観点から、キレート剤の含有量は、10~50重量%が好ましく、15~45重量%がより好ましい。キレート剤が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各キレート剤の含有量の合計として定める。
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上記の成分以外の成分を含んでもよい。例えば、本発明の洗浄剤組成物は、界面活性剤、酸剤、ビルダー、腐食防止剤、酵素、スクラブ剤、香料、消臭剤等の1種又は2種以上を含んでいてもよい。これらはそれぞれ1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の洗浄剤組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。洗浄剤組成物が界面活性剤を含むと、洗浄力が向上する。界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等が挙げられ、好ましくは非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤として、例えば、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバーステトロニック型ブロックポリマー、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンメチルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン等が挙げられる。
洗浄剤組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、洗浄力向上の観点から、洗浄剤組成物中に0.01~10重量%が好ましく、2~8重量%がより好ましい。界面活性剤が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各界面活性剤の含有量の合計として定める。
洗浄剤組成物が酸剤を含むと、除菌力が向上するため好ましい。酸剤としては、クエン酸、コハク酸、乳酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、マロン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、グリコール酸、サリチル酸、酒石酸、リンゴ酸、塩酸、硫酸、硝酸、スルファミン酸等が挙げられる。洗浄剤組成物が酸剤を含む場合、酸剤の含有量は、洗浄剤組成物中に0.01~10重量%であることが好ましく、2~8重量%がより好ましい。酸剤が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各酸剤の含有量の合計として定める。
ビルダーとして、例えば、高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤を含むと、洗浄力が向上するため好ましい。高分子分散剤として、例えば、重量平均分子量3000~300000の高分子分散剤が好ましい。
上記高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアコニット酸、ポリイタコン酸、ポリシトラコン酸、ポリフマル酸、ポリマレイン酸、ポリメタコン酸、ポリ-α-ヒドロキシアクリル酸、ポリビニルホスホン酸、スルホン化ポリマレイン酸、マレイン酸-オレフィン共重合体、無水マレイン酸ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸スチレン共重合体、無水マレイン酸メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸エチレン共重合体、無水マレイン酸エチレンクロスリンク共重合体、無水マレイン酸アクリル酸共重合体、無水マレイン酸酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸アクリル酸エステル共重合体、無水マレイン酸ブタジエン共重合体、無水マレイン酸イソプレン共重合体、無水マレイン酸と一酸化炭素から誘導されるポリ-β-ケトカルボン酸、イタコン酸、エチレン共重合体、イタコン酸アコニット酸共重合体、イタコン酸マレイン酸共重合体、イタコン酸アクリル酸共重合体、マロン酸メチレン共重合体、イタコン酸フマル酸共重合体、エチレングリコールエチレンテレフタレート共重合体、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、これらの金属塩等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましい。
本発明における高分子分散剤としては、ポリアクリル酸塩、マレイン酸-オレフィン共重合体又はその塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸-オレフィン共重合体又はそのナトリウム塩がより好ましい。
上記重量平均分子量は、リン酸緩衝溶液とアセトニトリルを展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリアクリル酸を標準物質として求められる。
洗浄剤組成物がビルダーを含む場合、その含有量は、洗浄剤組成物中に2~20重量%であることが好ましく、3~20重量%がより好ましい。ビルダーが2種以上含まれる場合、上記含有量は、それらの合計として定める。
洗浄剤組成物が腐食防止剤を含有すると、洗浄剤組成物の腐食防止作用(防食作用)が向上する。腐食防止剤として、例えば、トリアゾール又はその誘導体、ベンゾイミダゾール又はその誘導体及びベンゾチアゾール又はその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
トリアゾール又はその誘導体として、例えば、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-ドデシルベンゾトリアゾール、5-オクチルベンゾトリアゾール、5-ヘキシルベンゾトリアゾール、5-ブチルベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール(4-カルボキシベンゾトリアゾール、5-カルボキシベンゾトリアゾール)、カルボキシベンゾトリアゾールメチルエステル、カルボキシベンゾトリアゾールブチルエステル、カルボキシベンゾトリアゾールヘキシルエステル、ベンゾトリアゾールオクチルエステル、ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール等が挙げられる。ベンゾイミダゾール又はその誘導体として、例えば、ベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、1-イソプロペニルベンゾイミダゾール-2-オン、1-(2-プロペニル)ベンゾイミダゾール-2-オン、2-メチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、チアゾリルベンゾイミダゾール、チアベンダゾール等が挙げられる。ベンゾチアゾール又はその誘導体として、例えば、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。
洗浄剤組成物が腐食防止剤を含有する場合、腐食防止剤の含有量は、腐食防止作用の観点から、洗浄剤組成物中に0.001重量%以上が好ましく、腐食防止剤特有の臭いの影響が強くなる観点から、5重量%以下が好ましい。上記腐食防止剤の含有量は、洗浄剤組成物中に好ましくは0.001~5重量%であり、より好ましくは0.1~2重量%である。腐食防止剤が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各腐食防止剤の含有量の合計として定める。
洗浄剤組成物が酵素を含むと、洗浄力が向上する。酵素として、例えば、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ及びペクチナーゼ等が挙げられる。これらの酵素が含まれていると、酵素の機能により洗浄力が向上する。中でも、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼが好ましい。
洗浄剤組成物が酵素を含む場合、酵素の含有量は、洗浄剤組成物中に、酵素タンパク重量として0.1~15重量%が好ましく、0.5~10重量%がより好ましい。酵素が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各酵素の含有量の合計として定める。
本発明の洗浄剤組成物は、必要に応じて溶媒、増量剤(嵩増剤)、消泡剤等の洗浄剤組成物に配合される他の成分を含有してもよい。これらは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶媒としては、水、有機溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、1~3価のアルコールを好適に用いることができ、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、ポリエチレングリコール等の2価又は3価の多価アルコール類等が挙げられる。
上記増量剤としては、硫酸ナトリウム(芒硝)等が挙げられる。
上記消泡剤としては、末端キャップ非イオン性界面活性剤、シリコーンオイル、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
本発明の洗浄剤組成物の剤形は、固体(粉末、顆粒(粒状)、錠剤、タブレット、フレーク又はブロック等)、液体のいずれでもよい。好ましくは、固体である。また、本発明の洗浄剤組成物は、カートリッジ洗浄剤等にも好適に使用される。
洗浄剤組成物が固体洗浄剤組成物の場合、塩素剤(A)として被覆剤で被覆された又はカプセルに封入された塩素剤、打錠された又は造粒された塩素剤を使用することが好ましい。塩素剤が被覆剤で被覆又はカプセルに封入されていると、洗浄剤組成物中でアルカリ剤等の成分と塩素剤との接触を防ぐことができる。また、塩素剤を打錠又は造粒すると、例えば粉末状の場合と比較して塩素剤の表面積が減少するため、洗浄剤組成物中でアルカリ剤等の成分と塩素剤との接触面積を低減することができる。従って被覆若しくはカプセルに封入された、又は、打錠若しくは造粒された塩素剤を使用すると、保管中等の塩素剤や洗浄剤の一部の分解を防止することができる。
被覆剤やカプセルは、塩素剤、好ましくは固体の塩素剤に対して不活性であり、通常の保管温度(例えば、0~40℃)で固体である物質であれば特に限定されないが、例えば、芳香族カルボン酸塩等が挙げられる。芳香族カルボン酸塩として、例えば、安息香酸、サリチル酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、ケイ皮酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、o-フタル酸、m-フタル酸、p-フタル酸、フェニル酢酸、2-フェニルプロピオン酸、フェノキシ酢酸、フェニルピルビン酸、o-t-ブチル安息香酸、m-t-ブチル安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、3,5-ジ-t-ブチル安息香酸、3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸、o-ベンゾイル安息香酸、メタ-ベンゾイル安息香酸、p-ベンゾイル安息香酸、アントラニル酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、1,2-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシフェニル酢酸、3-ヒドロキシフェニル酢酸、4-ヒドロキシフェニル酢酸、D-マンデル酸、L-マンデル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2-メトキシフェニル酢酸、3-メトキシフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸等の芳香族カルボン酸の塩が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。塩は、金属塩が好ましく、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩がより好ましい。中でも、安全性、塩素剤との非反応性、被覆層又はカプセルの形成のしやすさ等から、安息香酸、o-フタル酸、m-フタル酸、p-フタル酸、トリメリット酸及びp-t-ブチル安息香酸からなる群より選択される1種以上の芳香族カルボン酸の塩が好ましく、安息香酸塩がより好ましい。安息香酸塩は、塩素剤に対する安定性が良好であるため、安息香酸塩を含む被覆剤で被覆された又は安息香酸塩を含むカプセルに封入された塩素剤を使用すると、洗浄剤組成物を保管中等に上記塩素剤等の分解を効果的に防止することができ、有効塩素量の低下や、洗浄力や除菌力の低下を抑制することができる。また、安息香酸塩は速溶性に優れることから、洗浄剤組成物を使用して洗浄する際に、良好な洗浄力及び除菌力を発揮することができる。さらに、安息香酸塩は、泡立ちが少なく、例えば自動洗浄機で使用する際に洗浄効率を低下させにくい。
安息香酸塩として、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム等が挙げられ、溶解性の観点から、好ましくは安息香酸ナトリウムである。
被覆剤又はカプセルと塩素剤との重量比は、例えば、塩素剤/(被覆剤又はカプセル)の重量比が、1~9が好ましく、1.5~4がより好ましい。塩素剤を被覆する方法、カプセルに封入する方法は特に限定されない。例えば、固体の塩素剤に、安息香酸塩を水、メタノール、エタノール、エーテル等の溶媒に溶解又は懸濁させた液を噴霧し、乾燥させて被覆する方法;固体の塩素剤に安息香酸塩微粉末を混ぜ水等の結合剤を噴霧し被覆する方法等が挙げられる。塩素剤を打錠する方法、造粒する方法は特に限定されない。例えば、塩素剤に結合剤等を加えて、打錠又は造粒することができる。
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は特に限定されず、剤形に応じて適宜選択すればよい。例えば、洗浄剤組成物に配合される成分を混合又は撹拌等することにより製造することができる。各成分を混合する順番、混合又は撹拌の方法等は特に限定されない。
本発明の洗浄剤組成物は、陶磁器、ガラス、金属(例えば、アルミ、ステンレス、銀)、メラミン、トライタン、プラスチック、漆器等の硬質な素材の表面洗浄用に好適に使用される。硬質表面を有する物品として、食器、カトラリー、調理器具、金具、治具、コンテナ、トレー等が挙げられる。中でも、食品が触れる可能性がある硬質表面を有する物品が好ましく、例えば、食器、カトラリー、調理器具、コンテナ、トレーなどの硬質表面を有する物品がより好ましい。本発明の洗浄剤組成物は、このような物品の洗浄に使用される洗浄機用の洗浄剤組成物として好適である。
本発明の洗浄剤組成物が使用される硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機は特に限定されないが、該物品の洗浄に使用される自動洗浄機が好ましく、例えば、スプレー式自動洗浄機等が挙げられる。スプレー式自動洗浄機として、例えば、自動食器洗浄機、コンテナ洗浄機等が挙げられる。中でも、本発明の洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として好適に使用される。また、本発明の洗浄剤組成物は、業務用又は家庭用の自動洗浄機用として好適に使用されるが、業務用自動洗浄機用としてより好適であり、業務用の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として特に好適である。一態様において、本発明の洗浄剤組成物は、上記の微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機に好適に使用される。
一態様において、本発明の洗浄剤組成物は、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は除菌のために使用され得る。一態様においては、本発明の洗浄剤組成物は、上記微生物を含む菌叢凝塊除菌用の自動洗浄機用硬質表面洗浄剤組成物として、自動洗浄機等の内部に形成された菌叢凝塊の除菌のために好適に使用される。また本発明の洗浄剤組成物は、自動洗浄機内の上記微生物の除菌のために好適に使用される。本発明の洗浄剤組成物は、漂白用の洗浄剤組成物としても好適に使用される。本発明の洗浄剤組成物は、蓄積汚れ除去用の洗浄剤組成物としても好適に使用される。蓄積汚れは、被洗物である硬質表面を有する物品に蓄積した汚れであり、一例として、油脂、タンパク質、デンプンなどの成分が混合した複合汚れなどが挙げられる。
本発明の一態様において、本発明の洗浄剤組成物は、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種に加えて、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は除菌のために使用され得る。一態様において、上記微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機に好適に使用され、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種、並びに、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物除菌用、又は、上記微生物を含む菌叢凝塊除菌用の洗浄剤組成物として使用され得る。
一態様において、本発明の洗浄剤組成物は、上記の微生物に加えて、エシェリヒア属の種の細菌等の微生物の除菌にも有用である。
本発明の洗浄剤組成物を用いて洗浄機により食器等の硬質表面を有する物品(被洗物ともいう)を洗浄する場合には、洗浄機中で、上記洗浄剤組成物を水で希釈した又は水に溶解させた洗浄剤水溶液と被洗物とを接触させればよい。洗浄剤水溶液と被洗物とを接触させることにより、被洗物において上記微生物の除菌を行うこともできる。また、本発明の洗浄剤組成物を用いて洗浄機内の菌叢凝塊を除菌する場合には、洗浄剤組成物をそのまま、又は、洗浄剤組成物を水で希釈した又は水に溶解させた洗浄剤水溶液を、菌叢凝塊に作用させればよい。また、上記微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機において、上記微生物の除菌を行う場合は、例えば、洗浄機内で上記洗浄剤水溶液を循環させればよい。通常、洗浄機において上記洗浄剤水溶液で被洗物を洗浄することにより、洗浄機内の微生物や菌叢凝塊に洗浄剤水溶液を作用させることができ、被洗物を洗浄しながら上記微生物又は上記菌叢凝塊を除菌することができる。本発明の洗浄剤組成物は、被洗物を洗浄しながら上記微生物又は上記菌叢凝塊を除菌するために好適に使用される。また、洗浄機において上記洗浄剤水溶液で被洗物を洗浄することにより、洗浄機内の菌叢凝塊の発生を防止することができる。洗浄力及び除菌力の観点から、該洗浄剤水溶液中の洗浄剤組成物の濃度は0.01~0.7重量%が好ましく、0.03~0.5重量%がより好ましい。
続いて、本発明の微生物又は菌叢凝塊の除菌方法及び本発明の洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法について説明する。
本発明の微生物又は菌叢凝塊の除菌方法は、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌方法である。本発明の微生物又は菌叢凝塊の除菌方法は、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機内で、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物又はこれを含む菌叢凝塊に作用させることを特徴とする。
本発明の洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法は、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機により、上記物品を洗浄する方法であって、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機において、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液により、硬質表面を有する物品を洗浄することを特徴とする。
本発明の微生物又は菌叢凝塊の除菌方法及び本発明の洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法を、以下ではまとめて本発明の方法ともいう。本発明の方法は、上記微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機に好適に適用される。硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機及びその好ましい態様は、上記と同じである。本発明の微生物又は菌叢凝塊の除菌方法は、自動洗浄機内の微生物又は菌叢凝塊の除菌方法として好適である。本発明の洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法は、自動洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法として好適である。
上記菌叢凝塊に含まれるメイオサーマス属微生物、テピジモナス属微生物は上記と同様である。菌叢凝塊は、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含んでいてよい。
塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)並びにこれらの好ましい態様は、上述した洗浄剤組成物と同様である。塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を、除菌洗浄液ともいう。
本発明の方法で使用される塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液(除菌洗浄液)として、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含有する洗浄剤組成物又はこれを水で希釈した若しくは水に溶解させた洗浄剤水溶液;アルカリ剤(B)を含み、塩素剤(A)を含まない洗浄剤組成物と、別途供給される塩素剤(A)とを水で希釈又は水に溶解させた洗浄剤水溶液を使用することができる。塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含有する洗浄剤組成物として、上述した本発明の洗浄剤組成物が好ましく、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液として、本発明の洗浄剤組成物又はその水溶液が好ましい。
塩素剤(A)を含まない洗浄剤組成物としては、上述した本発明の洗浄剤組成物において、塩素剤(A)を配合せずに製造した洗浄剤組成物が挙げられる。別途供給される塩素剤(A)には、上述した除菌剤や洗浄剤組成物に使用される塩素剤(A)を使用することができる。
洗浄剤組成物及び場合により使用される塩素剤(A)の供給方法等は特に限定されず、例えば、自動供給装置を利用してもよく、手動により投入してもよい。また、塩素剤(A)を含まない洗浄剤組成物と、別途供給される塩素剤(A)とを使用する場合には、当該洗浄剤組成物と塩素剤(A)とを分離された状態で含むカートリッジ洗浄剤も好適に使用される。
除菌洗浄液中の有効塩素濃度は、上述した効果をより充分に発揮できる観点から、8ppm以上であることが好ましく、10ppm以上がより好ましく、12ppm以上がさらに好ましく、15ppm以上が特に好ましい。また、洗浄機や被洗物である硬質表面を有する物品の劣化抑制や、作業者の安全性の観点から、除菌洗浄液の有効塩素濃度が、100ppm以下が好ましく、60ppm以下がより好ましい。除菌洗浄液の有効塩素濃度は、8~100ppmが好ましく、10~60ppmがより好ましく、12~60ppmがさらに好ましく、15~60ppmが特に好ましい。洗浄力向上の観点から、除菌洗浄液のpHは、8以上であることが好ましく、9以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、10.5以上が特に好ましい。除菌力向上の観点から、除菌洗浄液のpHは12以下が好ましく、11.6以下がより好ましい。上記pHであると、除菌洗浄液中の次亜塩素酸の存在比率が高く、除菌力の観点から好ましい。一態様において、洗浄力及び除菌力向上の観点から、除菌洗浄液のpHは、8~12が好ましく、9~12がより好ましく、10~11.6がさらに好ましく、10.5~11.6が特に好ましい。
本発明の方法で使用される塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液(除菌洗浄液)は、その有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであることが好ましい。
1.3≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効
塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦175.6 (1)
上記除菌洗浄液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHは、25℃におけるものである。
上記式(1)及びその好ましい態様は、上述した洗浄剤組成物の場合と同じである。
上記式(1)を満たす除菌洗浄液は、洗浄力及び除菌力が良好である。上記除菌洗浄液を、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物、又は、これを含む菌叢凝塊に作用させることにより、該微生物又は該菌叢凝塊を効果的に除菌することができる。上記式(1)を満たす除菌洗浄液は、例えば、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌や、該微生物を含む菌叢凝塊の発生防止又は除菌にも好適に使用され得る。また、除菌洗浄液により、洗浄機内の硬質表面を有する物品(被洗物)を洗浄することにより、該物品の汚れの除去や上記微生物又は菌叢凝塊の除菌が可能となる。本発明の洗浄機による洗浄方法によれば、硬質表面を有する物品の蓄積汚れを除去することも可能となる。硬質表面を有する物品として、上述したものが挙げられる。除菌洗浄液は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した洗浄剤組成物に配合される成分を含んでいてもよい。
本発明の方法においては、除菌洗浄液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、上記式(1)を満たすものとなるように、使用する塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)の量等を適宜設定することが好ましい。
除菌洗浄液を上記微生物、又は、これを含む菌叢凝塊に作用させる方法は特に限定されず、除菌洗浄液を、該微生物又はこれを含む菌叢凝塊に接触させる方法、除菌洗浄液をミスト状にして該ミスト状の除菌洗浄液を、該微生物又はこれを含む菌叢凝塊に接触させる方法などが挙げられる。除菌洗浄液により、洗浄機内の硬質表面を有する物品を洗浄する場合は、洗浄機内の該物品に、除菌洗浄液を接触させればよい。
例えば、除菌洗浄液として上述した本発明の洗浄剤組成物を水で希釈した又は水に溶解させた洗浄剤水溶液を使用する場合、上記微生物の除菌効果及び洗浄効果の観点から、洗浄剤水溶液中の洗浄剤組成物の濃度は、0.01~0.7重量%が好ましく、0.03~0.5重量%がより好ましい。
本発明の菌叢凝塊の発生防止方法は、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機におけるメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止方法である。本発明の菌叢凝塊の発生防止方法では、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機において、上記物品の洗浄に塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を使用することを特徴とする。
塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液及びその好ましい態様は、上述した除菌洗浄液と同じである。上記洗浄機において、上記物品の洗浄に上記除菌洗浄液を使用することより、該洗浄機において上記微生物を含む菌叢凝塊の発生を防止することができる。
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例において、特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
<試験例1>
外食店の自動洗浄機内から菌叢凝塊を採取した。採取した菌叢凝塊を構成する微生物(菌叢凝塊構成菌)を、以下の方法で特定した。
外食店に設置された3つの食洗機内から菌叢凝塊を採取し、FastDNA SPIN Kit for Soil(MP biomedicals社製)を用いて菌叢凝塊からゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAを鋳型として、27f及び1492r(いずれもプライマー名)のプライマーセットを用いたPCRにより、菌叢凝塊を構成する細菌群の16S rDNAを増幅した。増幅した16S rDNAはpMD20-T Vector(タカラバイオ社製)に組み込み、Escherichia coli DH5αに形質導入してクローンライブラリーを構築した。ライブラリーは、44~52クローンから構成され、16S rDNAの部分配列(上流側約500bp)を解析することによって同定した。
上記の食洗機から採取した菌叢凝塊には、メイオサーマス・ルーバー及びテピジモナス・タイワネンシスが含まれることが判明した。また、菌叢凝塊には、さらに下記の微生物の1種以上が含まれることが判明した。
メイオサーマス・シルバヌス、メイオサーマス・タイワネンシス、テピジモナス・フォンティカルディ、テピジフィルス・サクシナチマンデンス、バシラス・セレウス、ディフェリソマ・キャミニ、リシニバシラス・フシフォルミス
上記の微生物は菌叢凝塊に含まれる主な微生物であるが、上記以外に、大腸菌(エシェリシア・コリ)、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、乳酸菌、カビ等の微生物も含まれた。
<実施例1~22>
表1~2に示す成分を、表に示す割合となるように配合し、混合又は加温溶解することにより実施例1~22の各組成物を製造した。
<比較例1~6>
表3に示す成分を、表に示す割合となるように配合し、加温溶解することにより比較例1~6の各組成物を製造した。
表1~3中の各成分の重量%は、次亜塩素酸ナトリウム以外は、組成物に対する各成分の純分の割合(重量%)である。次亜塩素酸ナトリウムは、12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液の配合割合(重量%)である。
表1~3中、非イオン界面活性剤は、株式会社アデカ製のアデカプルロニックTR-702である。ポリアクリル酸ナトリウムは、BASF社製ソカランPACL25、マレイン酸/オレフィン共重合体は、ダウ・ケミカル社製アキュゾール460NDである。
実施例で製造した各組成物の0.1%水溶液について、以下の方法でpH及び有効塩素濃度を測定した。
<pHの測定>
各組成物の0.1%水溶液を調製し、pHメーターを用いてpH(25℃)を測定した。各組成物の0.1%水溶液のpHを、表1~2に示した。
<有効塩素濃度>
各組成物の0.1%水溶液の有効塩素濃度(25℃)を、下記に示すヨウ素滴定法で測定した。表1~2に結果を示した。
(1)純水で0.1%水溶液に希釈した試料(実施例の組成物)の水溶液100gを秤量し、ヨウ化カリウムを5g加え、充分に撹拌した。
(2)上記水溶液に氷酢酸を10mL添加した。
(3)均一に混合した後、N/100チオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定した。
(4)溶液の色が淡黄色から無色になった点を終点とした。
(5)終点のチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量から、下記式(4)により有効塩素濃度を計算した。
有効塩素濃度(ppm)=N/100チオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量(mL)×3.546 (4)
25℃の溶液における次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率(モル濃度比率)は、該溶液のpH(25℃)及び次亜塩素酸のpKaから求められるKaから、下記式により算出した。
HClOの存在比率(%)=100×1/(1+Ka/[H])
ClOの存在比率(%)=100-HClOの存在比率(%)
上記式中、[H]=10-pH(pH=-log10[H])、Ka=10-pKa(pKa=7.53(25℃))である。
<組成物の0.1%水溶液の除菌力指数/pH>
各組成物について、0.1%組成物水溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸の存在比率及び次亜塩素酸イオンの存在比率から、除菌力指数を下記式により計算した。
除菌力指数={(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}
各組成物について、上記で求めた除菌力指数を、組成物の0.1%水溶液のpHで除した値(除菌力指数/pH(0.1%水溶液、25℃))を表1~2に示す。
下記の方法で、実施例で製造した各組成物の洗浄力及び除菌力の評価を行った。比較例で製造した各組成物について、下記方法で除菌力の評価を行った。
<洗浄力試験>
90gの精製水に小麦粉を10g、卵黄を70g、ラードを3g及び牛脂を35g加えてよく撹拌して溶解させた。得られた混合物を複合汚れとして試験に供した。この複合汚れ1gを、グラスの内側に塗り広げ、室温で乾燥させたものを洗浄試験用試料とした。使用したグラスは、強化ソーダガラス製のものである。
(洗浄条件)
洗浄力の試験は、洗浄工程において、自動食器洗浄機内の水量に対して各組成物の濃度が0.1%となるように、組成物を投入して洗浄液とし、自動食器洗浄機を用いて洗浄試験用試料を洗浄してその外観を目視で評価することにより行った。
自動食器洗浄機として、ホシザキ製ドアタイプの洗浄機(型番JW-650UF)を用い、洗浄条件は洗浄時間60秒、洗浄温度60℃、すすぎ時間8秒、すすぎ温度80℃とした。洗浄水には、水道水を用いた。
(洗浄力の評価基準)
組成物の洗浄力を次のように評価した。
◎:全く汚れの付着が見られない。
○:ほとんど汚れの付着は見られない。
△:薄い曇り状の汚れが見られる。
×:明らかな汚れの残留が見られる。
<除菌力試験>
被検菌を60℃で栄研化学株式会社製普通ブイヨン培地で24時間培養したものを菌液とした。各試料(上記で製造した組成物)をイオン交換水で0.1%に希釈し60℃に加温したものを菌液と99対1の比率(体積比)で混合して、試料添加菌液とした。15秒反応後、滅菌済みチオ硫酸Naを含むpH7の緩衝液で試料添加菌液を中和し、中和後の試料添加菌液を生理食塩水で段階希釈した。この希釈液1000μLと日本製薬株式会社製標準寒天培地30mLを、プレートに加えた。プレートを60℃で48時間インキュベートした後、コロニー形成単位(CFU)をカウントした。対照と試料のlog10CFUの差(対照のlog10CFU-試料のlog10CFU)から、組成物の被検菌に対する除菌力を次のように評価した。対照には60℃のイオン交換水を用いた。対照と試料のlog10CFUの差(対照のlog10CFU-試料のlog10CFU)を、Δlog10CFUと記載する。
(除菌力の評価基準)
◎:Δlog10CFUが5以上の除菌効果
○:Δlog10CFUが3以上、5未満の除菌効果
△:Δlog10CFUが1以上、3未満の除菌効果
×:Δlog10CFUが1未満の除菌効果
被検菌には、下記の各微生物を使用した。
(1)菌叢凝塊構成菌(試験例1の外食店の自動洗浄機内の菌叢凝塊から採取したもの)
(2)大腸菌(NBRC3972)
(3)バシラス・セレウス(ATCC14579)
(4)テピジフィルス・サクシナチマンデンス(4BON株)
(5)テピジモナス・タイワネンシス(NBRC104868)
(6)メイオサーマス・ルーバー(NBRC106122)
(7)メイオサーマス・タイワネンシス(RP株)
(8)テピジモナス・フォンティカルディ(PL17株)
(9)リシニバシラス・フシフォルミス(CL11株)
(10)ディフェリソマ・キャミニ(S3R1株)
Figure 0007222513000001
Figure 0007222513000002
Figure 0007222513000003
表1~3及び後記する表4において、除菌力(1)~(10)は、以下の微生物に対する除菌力の評価結果である。
除菌力(1):菌叢凝塊構成菌(試験例1の外食店の自動洗浄機内の菌叢凝塊から採取したもの)
除菌力(2):大腸菌(NBRC3972)
除菌力(3):バシラス・セレウス(ATCC14579)
除菌力(4):テピジフィルス・サクシナチマンデンス(4BON株)
除菌力(5):テピジモナス・タイワネンシス(NBRC104868)
除菌力(6):メイオサーマス・ルーバー(NBRC106122)
除菌力(7):メイオサーマス・タイワネンシス(RP株)
除菌力(8):テピジモナス・フォンティカルディ(PL17株))
除菌力(9):リシニバシラス・フシフォルミス(CL11株)
除菌力(10):ディフェリソマ・キャミニ(S3R1株)
表1及び2より、実施例の組成物は、洗浄力及び上記の微生物に対する除菌力を有するものであった。0.1%水溶液の除菌力指数/pHが1.3以上であると、除菌力が向上し、0.1%水溶液の除菌力指数/pHが1.3~175.6である組成物は、洗浄力及び除菌力が共に良好であった。また、例えば実施例6と比較例1との比較から、塩素剤が上記の微生物に対して除菌力を有することが分かる。
<実施例23~25>
表4に示す成分を、表に示す割合となるように配合し、混合することにより実施例23~25の各組成物を製造した。
各組成物を製造後すぐに、組成物の0.1%水溶液を調製し、上記の方法でpH及び有効塩素濃度を測定した。また、上記と同じ方法で洗浄力及び除菌力の評価を行った。結果を表4に示す。さらに、組成物を製造後に、45℃で7日間保管した。この保管後の組成物について、組成物の0.1%水溶液を調製し、上記の方法で有効塩素濃度を測定した。その結果を表4に示す。実施例23~25の組成物では、上記の条件で保管しても塩素剤の分解が抑制されていた。
Figure 0007222513000004
実施例23~25で使用した塩素剤は、以下の通りである。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム造粒品(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム配合量50%):ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(顆粒状)及びバインダーとしてケイ酸ソーダを使用して、縦型ミキサーにより製造した粒径1000~6000μmの造粒品
被覆されたジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム配合量60%):ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(顆粒状)及び被覆剤として安息香酸ナトリウムを使用し、縦型ミキサーにより製造した被覆されたジクロロイソシアヌル酸ナトリウム
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム打錠成形品(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム配合量70%):ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(顆粒状)及び結合剤としてPEG6000を使用し、ロータリー式打錠機により、製造した直径15mm、厚さ10mmの錠剤
表4中、非イオン界面活性剤は、株式会社アデカ製のアデカプルロニックTR-702、マレイン酸/オレフィン共重合体は、ダウ・ケミカル社製アキュゾール460NDである。表4中の各成分の重量%は、塩素剤以外は、組成物に対する各成分の純分の割合である。塩素剤は、各塩素剤の重量割合で示した。

Claims (11)

  1. 塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含み、硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機に用いられ、前記物品を洗浄し、かつ、洗浄機内の菌叢凝塊の発生を防止又は洗浄機内に存在する菌叢凝塊を除菌する硬質表面洗浄剤組成物であって、
    硬質表面洗浄剤組成物中、水の含有量は、38.6重量%以下であり、
    0.1重量%水溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであり、0.1重量%水溶液のpHが9以上、11.6以下であることを特徴とする硬質表面洗浄剤組成物。
    2.2≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦4.0 (1)
  2. 前記菌叢凝塊が赤色系統又は橙色系統の菌叢凝塊である請求項1に記載の硬質表面洗浄剤組成物。
  3. 前記菌叢凝塊がメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む請求項1又は2に記載の硬質表面洗浄剤組成物。
  4. 前記菌叢凝塊は、さらにバシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む請求項3に記載の硬質表面洗浄剤組成物。
  5. 前記菌叢凝塊が存在する洗浄機において、前記物品を洗浄しながら前記菌叢凝塊を除菌するために使用される請求項1~4のいずれか一項に記載の硬質表面洗浄剤組成物。
  6. 硬質表面洗浄剤組成物中、塩素剤(A)の含有量は、2.4~10重量%である請求項1~のいずれか一項に記載の硬質表面洗浄剤組成物。
  7. 硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機内で、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物又はこれを含む菌叢凝塊に作用させる前記微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌方法であって、
    前記溶液が、請求項1~のいずれか一項に記載の硬質表面洗浄剤組成物又はその水溶液であり、
    前記溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであり、該溶液のpHが9以上、11.6以下であることを特徴とする、前記微生物又はこれを含む菌叢凝塊の除菌方法。
    2.2≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦4.0 (1)
  8. 硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機において、前記物品の洗浄に塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液を使用する前記洗浄機におけるメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止方法であって、
    前記溶液が、請求項1~のいずれか一項に記載の硬質表面洗浄剤組成物又はその水溶液であり、
    前記溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであり、該溶液のpHが9以上、11.6以下であることを特徴とする、前記洗浄機におけるメイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊の発生防止方法。
    2.2≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦4.0 (1)
  9. 硬質表面を有する物品を洗浄する洗浄機により前記物品を洗浄する方法であって、
    メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物を含む菌叢凝塊が存在する洗浄機において、塩素剤(A)及びアルカリ剤(B)を含む溶液により、硬質表面を有する物品を洗浄し、
    前記溶液が、請求項1~のいずれか一項に記載の硬質表面洗浄剤組成物又はその水溶液であり、
    前記溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであり、該溶液のpHが9以上、11.6以下であることを特徴とする洗浄機による硬質表面を有する物品の洗浄方法。
    2.2≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦4.0 (1)
  10. 塩素剤(A)を含み、メイオサーマス属及びテピジモナス属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌に用いられる除菌剤であって、
    除菌剤中、水の含有量は、38.6重量%以下であり、
    0.1重量%水溶液の有効塩素濃度(ppm)、次亜塩素酸(HClO)の存在比率、次亜塩素酸イオン(ClO)の存在比率及びpHが、下記式(1)を満たすものであり、0.1重量%水溶液のpHが9以上、11.6以下であることを特徴とする、除菌剤。
    2.2≦{(50×有効塩素濃度×HClOの存在比率(%)/100(%))+(有効塩素濃度×ClOの存在比率(%)/100(%))}/pH≦4.0 (1)
  11. さらに、バシラス・セレウス種、テピジフィルス属、リシニバシラス属及びディフェリソマ属からなる群より選択される少なくとも1種の微生物の除菌に用いられる請求項10に記載の除菌剤。
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