JP7222296B2 - 焼成用治具 - Google Patents
焼成用治具 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7222296B2 JP7222296B2 JP2019075411A JP2019075411A JP7222296B2 JP 7222296 B2 JP7222296 B2 JP 7222296B2 JP 2019075411 A JP2019075411 A JP 2019075411A JP 2019075411 A JP2019075411 A JP 2019075411A JP 7222296 B2 JP7222296 B2 JP 7222296B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- intermediate layer
- thickness
- layer
- substrate
- fired
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Furnace Charging Or Discharging (AREA)
Description
被焼成体が含有する材料によっては、安定化ジルコニアを主成分とする表面層では、被焼成体と焼成用治具との反応を抑制しがたい。被焼成体が、たとえば、(Ca,Sr)ZrO3系又は(Sr,Ba)Nb2O6系の誘電体セラミック材料を含有している場合、安定化ジルコニアを主成分とする表面層は、被焼成体と反応する傾向がある。被焼成体と表面層とが反応する場合、焼成体が焼成用治具から剥がれがたくなるおそれがある。
BaZrO3を主成分とする表面層が、被焼成体と焼成用治具との反応を確実に抑制する。被焼成体が、たとえば、(Ca,Sr)ZrO3系又は(Sr,Ba)Nb2O6系の誘電体セラミック材料を含有している場合でも、BaZrO3を主成分とする表面層は、被焼成体と反応しがたい。
基材と表面層との間に位置している中間層の主成分は、BaとAlとを含む酸化物である。中間層は、基材を構成する元素の一つであるAlを含んでいる。したがって、中間層と基材との密着性が高く、中間層と基材とは、剥離しがたい。中間層は、表面層を構成する元素であるBaも含んでいる。したがって、中間層と表面層との密着性が高く、中間層と表面層とは、剥離しがたい。これらの結果、上記一つの態様は、表面層(中間層)の剥離を抑制する。
第一中間層の主成分は、BaとAlとを含む酸化物である。第一中間層は、基材を構成する元素であるAlを含んでいる。したがって、第一中間層と基材との密着性が高く、第一中間層と基材とは、剥離しがたい。第一中間層と表面層との間に位置している第二中間層の主成分は、ZrO2である。ZrO2は、第一中間層及び表面層を構成する元素の一つであるBaと強固な化合物を形成する傾向がある。したがって、第二中間層は、第一中間層及び表面層と密着性が高く、第二中間層と第一中間層及び表面層とは、剥離しがたい。これらの結果、上記一つの態様は、表面層(第一及び第二中間層)の剥離を抑制する。
バデライトが主成分である層は、安定化ジルコニアが主成分である層に比して、微細なクラックが生じる傾向がある。微細なクラックが第二中間層に生じる場合、第二中間層に生じる微細なクラックに起因して、表面層にも微細なクラックが生じる。微細なクラックが生じた表面層は、微細なクラックが生じていない表面層に比して、被焼成体との接触面積が小さい。したがって、本構成は、被焼成体との反応をより一層確実に抑制する。
まず、図1を参照して、第1実施形態に係る焼成用治具1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る焼成用治具の断面構成を示す図である。
焼成用治具1は、基材3と、中間層5と、表面層7と、を備えている。焼成用治具1は、いわゆるセッターである。焼成用治具1は、たとえば、積層セラミックコンデンサの製造過程に含まれる焼成過程で用いられる。この場合、被焼成体は、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの積層体を含む。誘電体材料は、たとえば、(Ca,Sr)ZrO3系又は(Sr,Ba)Nb2O6系の誘電体セラミック材料を含む。被焼成体は、誘電体材料を含むセラミック粉末のプレス成型体であってもよい。
中間層5の厚みは、10μm以上60μm以下であってもよい。
表面層7の厚みは、10μm以上であってもよい。
本発明者らは、上記関係を明らかにするために、以下の試験を行った。すなわち、本発明者らは、基材3の表面粗さ、中間層5の厚み、及び表面層7の厚みが異なる試料1~21を用意し、各試料1~21における、剥離耐性及び被焼成体との反応性とを確認した。試験の結果を図2に示す。図2は、各試料における剥離耐性及び被焼成体との反応性を示す図表である。
試料1では、表面層7の厚みが38μmであり、中間層5の厚みが59μmであり、基材3の表面粗さが9μmである。中間層5の主成分は、BaAl2O4である。
試料2では、表面層7の厚みが26μmであり、中間層5の厚みが44μmであり、基材3の表面粗さが9μmである。中間層5の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。
試料3では、表面層7の厚みが37μmであり、中間層5の厚みが45μmであり、基材3の表面粗さが7μmである。中間層5の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。
試料4では、表面層7の厚みが8μmであり、中間層5の厚みが47μmであり、基材3の表面粗さが9μmである。中間層5の主成分は、BaAl2O4である。
試料5では、表面層7の厚みが9μmであり、中間層5の厚みが41μmであり、基材3の表面粗さが5μmである。中間層5の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。
試料6では、表面層7の厚みが7μmであり、中間層5の厚みが41μmであり、基材3の表面粗さが8μmである。中間層5の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。
試料7では、表面層7の厚みが38μmであり、中間層5の厚みが67μmであり、基材3の表面粗さが5μmである。中間層5の主成分は、BaAl2O4である。
試料8では、表面層7の厚みが24μmであり、中間層5の厚みが68μmであり、基材3の表面粗さが7μmである。中間層5の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。
試料9では、表面層7の厚みが38μmであり、中間層5の厚みが66μmであり、基材3の表面粗さが5μmである。中間層5の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。
試料10では、表面層7の厚みが30μmであり、中間層5の厚みが6μmであり、基材3の表面粗さが6μmである。中間層5の主成分は、BaAl2O4である。
試料11では、表面層7の厚みが28μmであり、中間層5の厚みが9μmであり、基材3の表面粗さが8μmである。中間層5の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。
試料12では、表面層7の厚みが26μmであり、中間層5の厚みが8μmであり、基材3の表面粗さが5μmである。中間層5の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。
試料13では、表面層7の厚みが31μmであり、中間層5の厚みが48μmであり、基材3の表面粗さが27μmである。中間層5の主成分は、BaAl2O4である。
試料14では、表面層7の厚みが37μmであり、中間層5の厚みが49μmであり、基材3の表面粗さが25μmである。中間層5の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。
試料15では、表面層7の厚みが37μmであり、中間層5の厚みが41μmであり、基材3の表面粗さが14μmである。中間層5の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。
試料16では、表面層7の厚みが34μmであり、中間層5の厚みが12μmであり、基材3の表面粗さが12μmである。中間層5の主成分は、BaAl2O4である。
試料17では、表面層7の厚みが35μmであり、中間層5の厚みが15μmであり、基材3の表面粗さが29μmである。中間層5の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。
試料18では、表面層7の厚みが31μmであり、中間層5の厚みが11μmであり、基材3の表面粗さが24μmである。中間層5の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。
試料19では、表面層7の厚みが22μmであり、中間層5の厚みが35μmであり、基材3の表面粗さが22μmである。中間層5の主成分は、BaAl2O4である。
試料20では、表面層7の厚みが38μmであり、中間層5の厚みが28μmであり、基材3の表面粗さが15μmである。中間層5の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。
試料21では、表面層7の厚みが30μmであり、中間層5の厚みが31μmであり、基材3の表面粗さが26μmである。中間層5の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。
試料1~21ごとに、熱サイクル試験を実施した。熱サイクル試験では、焼成用治具1を、500℃から1300℃まで3時間かけて加熱し、その後、1300℃から500℃まで3時間かけて冷却する熱サイクルを100回繰り返した。熱サイクルを30回繰り返した後、熱サイクルを50回繰り返した後、及び熱サイクルを100回繰り返した後に、表面層7(中間層5)の剥離の有無を観察した。
熱サイクルを50回繰り返した後では、試料7~12において、表面層7(中間層5)に剥離が生じていた。試料1~6及び13~21では、表面層7(中間層5)の剥離は観察されなかった。
熱サイクルを100回繰り返した後では、試料4~12において、表面層7(中間層5)に剥離が生じていた。試料1~3及び13~21では、表面層7(中間層5)の剥離は観察されなかった。
被焼成体を各試料1~21(焼成用治具1)に載置して、被焼成体を所定の温度で焼成した。焼成後に、焼成により得られた焼成体の状態を観察した。
反応性“A”は、Mnが添加された(Ca,Sr)ZrO3を含むセラミック粉末のプレス成型体である被焼成体との反応性である。焼成温度は、1300℃である。
反応性“B”は、(Sr,Ba)Nb2O6を含むセラミック粉末のプレス成型体である被焼成体との反応性である。焼成温度は、1350℃である。
反応性“C”は、(Sr,Ba)Nb2O6を含むセラミック粉末のプレス成型体である被焼成体との反応性である。焼成温度は、1375℃である。
各被焼成体は、単板状である。本試験では、バインダー溶液が加えられたセラミック粉末を造粒した後、プレス成型により、単板状の成型体を得た。被焼成体(成型体)のサイズは、φ12mmである。プレス圧力は、12MPaである。
(Sr,Ba)Nb2O6を含むセラミック粉末のプレス成型体を1375℃で焼成した場合、試料13~21では、焼成体が焼成用治具1から剥がれた。焼成体に異常は観察されなかった。試料1~12では、焼成体が焼成用治具1と反応しており、焼成体が焼成用治具1から剥がれなかった。
(対比試験I)
まず、基材3と、基材3上に設けられており、イットリウム安定化ジルコニウムからなる表面層と、を備えている焼成用治具を作製した。この焼成用治具を用いて、試料1~21と同様に、表面層の剥離耐性、及び、被焼成体との反応性を確認した。基材3は、試料1~21と同じく、ムライトからなり、平面視で矩形状を呈している。基材3のサイズは、120mm×60mm×3mmである。表面層の厚みは、22μmであり、基材3の表面粗さは、9μmである。イットリウム安定化ジルコニウムでは、イットリウムが、酸化物に換算して、4wt%含有されている。対比試験Iに用いた焼成用治具は、上述した中間層5及び表面層7を備えていない。
熱サイクルを100回繰り返した後の状態でも、表面層の剥離は観察されなかった。
反応性“A”に関しては、焼成体の、焼成用治具(表面層)と接した面が白く変色していた。反応性“B”及び“C”に関しては、焼成体が焼成用治具と反応しており、焼成体が焼成用治具から剥がれなかった。
まず、基材3と、基材3上に設けられており、BaZrO3を主成分としている表面層と、を備えている焼成用治具を作製した。この焼成用治具を用いて、試料1~21と同様に、表面層の剥離耐性、及び、被焼成体との反応性を確認した。基材3は、試料1~21と同じく、ムライトからなり、平面視で矩形状を呈している。基材3のサイズは、120mm×60mm×3mmである。表面層の厚みは、34μmであり、基材3の表面粗さは、6μmである。対比試験IIに用いた焼成用治具は、上述した中間層5を備えていない。
熱サイクルを30回繰り返した後に、表面層が基材3から剥離した。
反応性“A”に関しては、焼成体に異常は観察されなかった。反応性“B”及び“C”に関しては、焼成体が焼成用治具と反応しており、焼成体が焼成用治具から剥がれなかった。
基材3と表面層7との間に位置している中間層5の主成分は、BaとAlとを含む酸化物である。中間層5は、基材3を構成する元素の一つであるAlを含んでいる。したがって、中間層5と基材3との密着性が高く、中間層5と基材3とは、剥離しがたい。中間層5は、表面層7を構成する元素であるBaも含んでいる。したがって、中間層5と表面層7との密着性が高く、中間層5と表面層7とは、剥離しがたい。これらの結果、焼成用治具1は、表面層7(中間層5)の剥離を抑制する。
表面層7の厚みが、10μm以上である場合、焼成用治具1は、被焼成体との反応をより一層確実に抑制する。
基材3の表面粗さが、10μm以上である場合、焼成用治具1は、被焼成体との反応をより一層確実に抑制する。
次に、図3を参照して、第2実施形態に係る焼成用治具11の構成を説明する。図3は、第2実施形態に係る焼成用治具の断面構成を示す図である。
焼成用治具11は、基材3と、第一中間層15と、第二中間層16と、表面層7と、を備えている。焼成用治具11は、いわゆるセッターである。焼成用治具11も、焼成用治具1と同じく、たとえば、積層セラミックコンデンサの製造過程に含まれる焼成過程で用いられる。この場合、被焼成体は、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの積層体を含む。誘電体材料は、たとえば、(Ca,Sr)ZrO3系又は(Sr,Ba)Nb2O6系の誘電体セラミック材料を含む。被焼成体は、誘電体材料を含むセラミック粉末のプレス成型体であってもよい。
第一中間層15の厚みは、10μm以上60μm以下であってもよい。
第二中間層16の厚みは、たとえば、20μm以上40μm以下であってもよい。
表面層7の厚みは、10μm以上であってもよい。
本発明者らは、上記関係を明らかにするために、以下の試験を行った。すなわち、本発明者らは、基材3の表面粗さ、第一中間層15の厚み、及び表面層7の厚みが異なる試料22~42を用意し、各試料22~42における、剥離耐性及び被焼成体との反応性とを確認した。試験の結果を図4に示す。図4は、各試料における剥離耐性及び被焼成体との反応性を示す図表である。
試料22では、表面層7の厚みが21μmであり、第一中間層15の厚みが59μmであり、基材3の表面粗さが23μmである。第一中間層15の主成分は、BaAl2O4である。第二中間層16の厚みは、30μmである。
試料23では、表面層7の厚みが31μmであり、第一中間層15の厚みが42μmであり、基材3の表面粗さが25μmである。第一中間層15の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。第二中間層16の厚みは、30μmである。
試料24では、表面層7の厚みが32μmであり、第一中間層15の厚みが48μmであり、基材3の表面粗さが22μmである。第一中間層15の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。第二中間層16の厚みは、21μmである。
試料25では、表面層7の厚みが23μmであり、第一中間層15の厚みが67μmであり、基材3の表面粗さが20μmである。第一中間層15の主成分は、BaAl2O4である。第二中間層16の厚みは、20μmである。
試料26では、表面層7の厚みが39μmであり、第一中間層15の厚みが79μmであり、基材3の表面粗さが22μmである。第一中間層15の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。第二中間層16の厚みは、37μmである。
試料27では、表面層7の厚みが27μmであり、第一中間層15の厚みが78μmであり、基材3の表面粗さが24μmである。第一中間層15の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。第二中間層16の厚みは、23μmである。
試料28では、表面層7の厚みが25μmであり、第一中間層15の厚みが8μmであり、基材3の表面粗さが21μmである。第一中間層15の主成分は、BaAl2O4である。第二中間層16の厚みは、37μmである。
試料29では、表面層7の厚みが31μmであり、第一中間層15の厚みが6μmであり、基材3の表面粗さが25μmである。第一中間層15の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。第二中間層16の厚みは、36μmである。
試料30では、表面層7の厚みが34μmであり、第一中間層15の厚みが4μmであり、基材3の表面粗さが21μmである。第一中間層15の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。第二中間層16の厚みは、24μmである。
試料31では、表面層7の厚みが5μmであり、第一中間層15の厚みが43μmであり、基材3の表面粗さが25μmである。第一中間層15の主成分は、BaAl2O4である。第二中間層16の厚みは、33μmである。
試料32では、表面層7の厚みが7μmであり、第一中間層15の厚みが44μmであり、基材3の表面粗さが20μmである。第一中間層15の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。第二中間層16の厚みは、32μmである。
試料33では、表面層7の厚みが9μmであり、第一中間層15の厚みが43μmであり、基材3の表面粗さが22μmである。第一中間層15の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。第二中間層16の厚みは、27μmである。
試料34では、表面層7の厚みが20μmであり、第一中間層15の厚みが53μmであり、基材3の表面粗さが7μmである。第一中間層15の主成分は、BaAl2O4である。第二中間層16の厚みは、31μmである。
試料35では、表面層7の厚みが24μmであり、第一中間層15の厚みが46μmであり、基材3の表面粗さが8μmである。第一中間層15の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。第二中間層16の厚みは、39μmである。
試料36では、表面層7の厚みが23μmであり、第一中間層15の厚みが40μmであり、基材3の表面粗さが8μmである。第一中間層15の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。第二中間層16の厚みは、39μmである。
試料37では、表面層7の厚みが23μmであり、第一中間層15の厚みが13μmであり、基材3の表面粗さが20μmである。第一中間層15の主成分は、BaAl2O4である。第二中間層16の厚みは、38μmである。
試料38では、表面層7の厚みが24μmであり、第一中間層15の厚みが14μmであり、基材3の表面粗さが25μmである。第一中間層15の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。第二中間層16の厚みは、20μmである。
試料39では、表面層7の厚みが24μmであり、第一中間層15の厚みが11μmであり、基材3の表面粗さが21μmである。第一中間層15の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。第二中間層16の厚みは、22μmである。
試料40では、表面層7の厚みが32μmであり、第一中間層15の厚みが26μmであり、基材3の表面粗さが21μmである。第一中間層15の主成分は、BaAl2O4である。第二中間層16の厚みは、26μmである。
試料41では、表面層7の厚みが21μmであり、第一中間層15の厚みが33μmであり、基材3の表面粗さが28μmである。第一中間層15の主成分は、0.82BaO・6Al2O3である。第二中間層16の厚みは、34μmである。
試料42では、表面層7の厚みが29μmであり、第一中間層15の厚みが31μmであり、基材3の表面粗さが20μmである。第一中間層15の主成分は、Ba(Al2Si2O8)である。第二中間層16の厚みは、20μmである。
試料22~42ごとに、熱サイクル試験を実施した。この熱サイクル試験でも、焼成用治具1を、500℃から1300℃まで3時間かけて加熱し、その後、1300℃から500℃まで3時間かけて冷却する熱サイクルを100回繰り返した。熱サイクルを30回繰り返した後、熱サイクルを50回繰り返した後、及び熱サイクルを100回繰り返した後に、表面層7(第一中間層15及び第二中間層16)の剥離の有無を観察した。
熱サイクルを100回繰り返した後では、試料25~30において、表面層7(第一中間層15及び第二中間層16)に剥離が生じていた。試料22~24及び31~42では、表面層7(第一中間層15及び第二中間層16)の剥離は観察されなかった。
被焼成体を各試料22~42(焼成用治具11)に載置して、被焼成体を所定の温度で焼成した。焼成後に、焼成により得られた焼成体の状態を観察した。
反応性“A”は、Mnが添加された(Ca,Sr)ZrO3を含むセラミック粉末のプレス成型体である被焼成体との反応性である。焼成温度は、1300℃である。
反応性“B”は、(Sr,Ba)Nb2O6を含むセラミック粉末のプレス成型体である被焼成体との反応性である。焼成温度は、1350℃である。
反応性“C”は、(Sr,Ba)Nb2O6を含むセラミック粉末のプレス成型体である被焼成体との反応性である。焼成温度は、1375℃である。
各被焼成体は、単板状である。本試験でも、バインダー溶液が加えられたセラミック粉末を造粒した後、プレス成型により、単板状の成型体を得た。被焼成体(成型体)のサイズは、φ12mmである。プレス圧力は、12MPaである。
(Sr,Ba)Nb2O6を含むセラミック粉末のプレス成型体を1375℃で焼成した場合、試料22~30及び37~42では、焼成体が焼成用治具11から剥がれた。焼成体に異常は観察されなかった。試料31~36では、被焼成体が焼成用治具11と反応しており、焼成体が焼成用治具11から剥がれなかった。
第一中間層15の主成分は、BaとAlとを含む酸化物である。第一中間層15は、基材3を構成する元素であるAlを含んでいる。したがって、第一中間層15と基材3との密着性が高く、第一中間層15と基材3とは、剥離しがたい。第一中間層15と表面層7との間に位置している第二中間層16の主成分は、ZrO2である。ZrO2は、第一中間層15及び表面層7を構成する元素の一つであるBaと強固な化合物を形成する傾向がある。したがって、第二中間層16は、第一中間層15及び表面層7と密着性が高く、第二中間層16と第一中間層15及び表面層7とは、剥離しがたい。これらの結果、焼成用治具11は、表面層7(第一中間層15及び第二中間層16)の剥離を抑制する。
表面層7の厚みが、10μm以上である場合、焼成用治具11は、被焼成体との反応をより一層確実に抑制する。
基材3の表面粗さが、10μm以上である場合、焼成用治具11は、被焼成体との反応をより一層確実に抑制する。
表面層7の厚みは、10μm未満であってもよい。表面層7の厚みが10μm以上である場合、上述したように、焼成用治具1,11は、被焼成体との反応をより一層確実に抑制する。
基材3の表面粗さは、10μm未満であってもよい。基材3の表面粗さが、10μm以上である場合、上述したように、焼成用治具1,11は、被焼成体との反応をより一層確実に抑制する。
焼成用治具1,11を用いて焼成する被焼成体は、(Ca,Sr)ZrO3系又は(Sr,Ba)Nb2O6系の誘電体セラミック材料以外の、セラミック材料を含んでいてもよい。被焼成体は、たとえば、BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミック材料を含んでいてもよい。
Claims (5)
- Alを含む酸化物からなる基材と、
前記基材上に設けられており、BaとAlとを含む酸化物を主成分とする第一中間層と、
前記第一中間層上に設けられており、ZrO2を主成分とする第二中間層と、
前記第二中間層上に設けられており、BaZrO3を主成分とする表面層と、を備えている、焼成用治具。 - 前記第二中間層の主成分であるZrO2が、バデライトである、請求項1に記載の焼成用治具。
- 前記第一中間層の厚みは、10μm以上60μm以下である、請求項1又は2に記載の焼成用治具。
- 前記表面層の厚みは、10μm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の焼成用治具。
- 前記基材の表面粗さは、10μm以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の焼成用治具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019075411A JP7222296B2 (ja) | 2019-04-11 | 2019-04-11 | 焼成用治具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019075411A JP7222296B2 (ja) | 2019-04-11 | 2019-04-11 | 焼成用治具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020173065A JP2020173065A (ja) | 2020-10-22 |
JP7222296B2 true JP7222296B2 (ja) | 2023-02-15 |
Family
ID=72831155
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019075411A Active JP7222296B2 (ja) | 2019-04-11 | 2019-04-11 | 焼成用治具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7222296B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002060287A (ja) | 2000-06-07 | 2002-02-26 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 焼成用容器 |
JP2003020292A (ja) | 2001-07-06 | 2003-01-24 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 焼成用道具材 |
JP2010037121A (ja) | 2008-08-04 | 2010-02-18 | Ngk Insulators Ltd | 焼成用セッター |
JP2010223468A (ja) | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Ngk Insulators Ltd | 焼成用治具 |
-
2019
- 2019-04-11 JP JP2019075411A patent/JP7222296B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002060287A (ja) | 2000-06-07 | 2002-02-26 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 焼成用容器 |
JP2003020292A (ja) | 2001-07-06 | 2003-01-24 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 焼成用道具材 |
JP2010037121A (ja) | 2008-08-04 | 2010-02-18 | Ngk Insulators Ltd | 焼成用セッター |
JP2010223468A (ja) | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Ngk Insulators Ltd | 焼成用治具 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020173065A (ja) | 2020-10-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101141372B1 (ko) | 적층 세라믹 전자부품, 및 적층 세라믹 전자부품의 제조방법 | |
JP5256804B2 (ja) | 圧電磁器及びそれを用いた圧電素子 | |
US8269402B2 (en) | BNT-BKT-BT piezoelectric composition, element and methods of manufacturing | |
US7982367B2 (en) | Piezoelectric/electrostrictive element having a multilayer external electrode structure and method for manufacturing thereof | |
TWI739988B (zh) | 電子零件包裝體、及電子零件之收納方法 | |
WO2014148133A1 (ja) | 積層セラミックコンデンサ | |
JP2018098327A (ja) | 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 | |
CN112979308B (zh) | 电介质组合物及电子部件 | |
US20110012051A1 (en) | Piezoelectric/electrostrictive ceramic composition | |
WO2006120883A1 (ja) | 薄膜キャパシタの製造方法 | |
KR20150125443A (ko) | 적층 세라믹 전자부품 및 그 제조방법 | |
JP2010269983A (ja) | 圧電磁器組成物及び圧電素子 | |
KR102407421B1 (ko) | 소성 지그 | |
JPH11292625A (ja) | 圧電セラミック素子の製造方法 | |
US8119023B2 (en) | Piezoelectric/electrostrictive ceramic composition manufacturing method | |
JP2010030818A (ja) | 圧電/電歪磁器組成物の製造方法 | |
JP2022145817A (ja) | セラミックコンデンサ | |
EP2017240B1 (en) | Jig for calcining electronic component | |
KR20190100857A (ko) | 적층 세라믹 콘덴서 및 그 제조 방법 | |
JP7222296B2 (ja) | 焼成用治具 | |
JP5044437B2 (ja) | 圧電/電歪磁器焼結体の製造方法 | |
EP2287128B1 (en) | Piezoelectric/electrostrictive ceramic composition | |
JP6457628B2 (ja) | 電子部品 | |
JP2017204562A (ja) | 積層セラミックコンデンサの製造方法 | |
JP4622887B2 (ja) | セラミック焼成体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221025 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221025 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221202 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230104 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230117 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7222296 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |