JP7222179B2 - 貴金属触媒の製造方法及び貴金属触媒 - Google Patents

貴金属触媒の製造方法及び貴金属触媒 Download PDF

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Description

本発明は、貴金属触媒の製造方法及び貴金属触媒に関する。より詳しくは、燃料電池の電極材料として好適な貴金属触媒の製造方法及び貴金属触媒に関する。
燃料電池は、水素やアルコール等の燃料を酸素と電気化学的に反応させて電力を発生させる装置であり、電解質や作動温度等によって、固体高分子形(PEFC)、リン酸形(PAFC)、溶融炭酸塩形(MCFC)、固体酸化物形(SOFC)等に分けられる。このうち、例えば固体高分子形燃料電池は、電解質としてイオン伝導性を有する高分子膜(イオン交換膜)を用いる燃料電池であるが、定置型電源や燃料電池車用途で使用されており、長期にわたって所望の発電性能を維持することが求められている。
このような燃料電池では、導電性(電気電導性とも称す)が高いカーボンを担体とし、これに微細な白金が担持された材料が高い電気化学特性を有するため、電極材料として一般に使用されている。
また、カーボン担体に白金等の触媒金属が担持された触媒材料については、触媒機能を向上させる方法も検討されており、クエン酸や水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いることで、カーボンに担持させるPt径をコントロールする技術が開示されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
特開2003-320249号公報 特開2013-085988号公報
上述のとおり電極材料としては、カーボン担体に白金を担持した材料(以後「Pt/C」とも称す)が一般に使用されている。電極材料は、一般的に高電位で使用するほうが電極の積層数が少なくなり有利である一方、高電位で使用した場合等にカーボン担体の酸化反応(C+2HO→CO+4H+4e)が進行することがある。例えば電極の電位が0.9Vを超える場合は、白金を担持したカーボン担体の酸化反応が進行しやすく、この場合、担持した白金の凝集や欠落が生じ、有効電極面積が低下するため、電池性能が著しく低下することになる。また、アノードが水素欠乏状態となり高電位で使用した場合には、Pt/Cにおけるカーボンの酸化反応のみならず、白金も溶出することが知られている。溶出した白金は、PEFC中へ拡散し電解質膜中など、本来の触媒機能を果たすことが出来ない場所で析出することも多く、発電性能が低下する要因となる。特に白金を微細に担持すると、数回高電位に曝されただけで全ての白金が溶出することとなり、耐久性の観点で大きな問題となる。
燃料電池が使用される用途の中でも自動車用途では、起動停止等に起因する大きな負荷変動が生じ、それに伴って電極材料に高電位がかかりやすい。このため自動車用途に使用される電極材料には、そのような負荷変動が生じる環境下での使用でも上記のような不具合の発生の少ない材料が求められるが、現状では電極が十分な負荷変動耐性を有しているとはいえず、電極の電位が0.9Vを下回るように制御装置を別途設置することで対応しているのが実情である。このように、燃料電池に使用されている触媒は耐久性の点で十分なものではなく、更なる耐久性の向上が求められる。
本発明は、上記現状に鑑み、燃料電池の触媒としての高い活性を有するとともに、触媒性能の耐久性にも優れた触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、燃料電池の触媒としての高い活性を有し、かつ触媒性能の耐久性にも優れた触媒について検討し、カーボンに代わる電極材料の担体として導電性酸化物に着目した。そして、貴金属の無機塩及び/又は有機酸塩、水、塩基成分、水と任意に混和する有機溶媒、及び、導電性酸化物を混合し、得られた混合液を加熱した後、更に還元雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で焼成することにより触媒を製造すると、触媒活性が高く、燃料電池の触媒として使用された場合に高い電気化学特性を発揮するとともに、高電位がかかる環境での触媒性能の耐久性にも優れた貴金属触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、水溶性貴金属化合物、水、塩基成分、水と任意に混和する有機溶媒、及び、導電性酸化物を混合して混合液を得る工程と、該混合液を加熱する工程と、該加熱工程の後、還元雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で焼成する工程とを含むことを特徴とする貴金属触媒の製造方法である。
上記混合工程は、水溶性貴金属化合物に水と塩基成分とを混合して貴金属水酸化物を含有する水溶液を得る工程と、水と任意に混和する有機溶媒と導電性酸化物とを混合して導電性酸化物分散液を得る工程と、該貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合して混合液を得る工程とを含むことが好ましい。
上記貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液との混合工程は、導電性酸化物分散液に含まれる有機溶媒の量が、貴金属水酸化物を含有する水溶液100体積部に対して、0.1~10000体積部となるように貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合して混合液を得る工程であることが好ましい。
本発明はまた、貴金属の単体及び/又は合金が導電性酸化物担体に担持された貴金属触媒であって、該貴金属触媒は、担体に担持された貴金属の単体及び/又は合金の電子顕微鏡観察による平均粒子径(TEM径)が6nm以上であり、かつ、下記式で定義される触媒の利用率が45%以上であることを特徴とする貴金属触媒でもある。
Figure 0007222179000001
上記貴金属が、白金であることが好ましい。
上記導電性酸化物が、亜酸化チタンであることが好ましい。
本発明はまた、本発明の貴金属触媒を用いた電極材料でもある。
本発明の貴金属触媒の製造方法は、高電位がかかる環境への耐性に優れるうえ、高い電気化学特性を有する貴金属触媒を製造することができる方法である。
また本発明の貴金属触媒は、高電位がかかる環境への耐性と電気化学特性に共に優れた触媒であって、燃料電池の電極材料として好適に用いることができる。
実施例1で調製した触媒(粉体1)の電子顕微鏡写真である。 実施例2で調製した触媒(粉体2)の電子顕微鏡写真である。 実施例3で調製した触媒(粉体3)の電子顕微鏡写真である。 実施例4で調製した触媒(粉体4)の電子顕微鏡写真である。 比較例1で調製した触媒(粉体5)の電子顕微鏡写真である。 比較例2で調製した触媒(粉体6)の電子顕微鏡写真である。 比較例3で調製した触媒(粉体7)の電子顕微鏡写真である。 比較例4で調製した触媒(粉体8)の電子顕微鏡写真である。 実施例1で調製した触媒(粉体1)、比較例4で調製した触媒(粉体8)及びエヌ・イーケムキャット社製50%白金担持ケッチェンブラックECの触媒耐久性試験を行った結果を示した図である。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1.貴金属触媒の製造方法
本発明の貴金属触媒の製造方法は、水溶性貴金属化合物、水、塩基成分、水と任意に混和する有機溶媒、及び、導電性酸化物を混合して混合液を得る工程、該混合液を加熱する工程、及び、加熱工程の後、還元雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含むことを特徴とする。
このような製造方法で製造することで、担体である導電性酸化物上に粒径の大きい貴金属種(触媒活性種)の粒子が担持した貴金属触媒が得られることになる理由は定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、担体である導電性酸化物に貴金属種を担持させる際の溶媒として水だけでなく有機溶媒を混和させることで、導電性酸化物表面の水酸基量を減らすことができる。これにより、貴金属種を担持するサイトが減ることになり、貴金属種は導電性酸化物表面の残りの担持サイトに集中する結果、粒径の大きい貴金属種が局在化されて担持した触媒が得られると考えられる。粒径の大きい貴金属種が担持した触媒は、燃料電池の電極材料として使用され、複数回高電位に曝されても貴金属種の少なくとも一部が溶出せずに残ることで触媒活性を維持することができる。
本発明の貴金属触媒の製造方法で得られる貴金属触媒は、カーボンに代えて導電性酸化物を担体として用いることで、上述したカーボン担体の酸化反応を原因とする貴金属種の凝集や欠落の問題がなく、また、担持している貴金属種の粒径が大きいことにより、高電位下でも貴金属種の全てが溶出せず、少なくとも一部が担体上に保持されるため、触媒性能の耐久性に優れる。なお、上述した特許文献1、2には、クエン酸や水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いることで、カーボンに担持させるPt径をコントロールする技術が開示されているが、この方法を導電性酸化物を担体とする触媒に使用した場合、貴金属の粒径は大きくできるものの、得られる貴金属触媒の活性が低くなることが確認されている。この方法は、液中で還元して大粒子化した貴金属を、静電引力のみで担持する方法であり、導電性酸化物から貴金属への電子導電性が低いため、貴金属の触媒性能が得られないことが考えられる。これに対し、本発明の貴金属触媒の製造方法では、最表面部が酸化された導電性酸化物に、貴金属種を化学結合によって担持させることができるため、触媒活性に優れるとともに、その耐久性にも優れた貴金属触媒が得られることになる。
<混合工程>
上記混合工程は、水溶性貴金属化合物、水、塩基成分、水と任意に混和する有機溶媒、及び、導電性酸化物を混合して混合液を得る工程であり、これらが混合されることになる限り、混合の順番は特に制限されず、1種類ずつ順番に混合してもよく、2種以上を同時に混合してもよい。また、これらのうちいくつかの成分の混合物と残りの成分の混合物とを調製した後、混合物同士を混合するようにしてもよい。
上記混合工程は、まず水溶性貴金属化合物、水、塩基成分を混合して貴金属水酸化物を含有する水溶液を調製し(貴金属水酸化物を含有する水溶液を得る工程)、また、水と任意に混和する有機溶媒と導電性酸化物とを混合して導電性酸化物分散液を調製(導電性酸化物分散液を得る工程)した後で、貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合する(貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合する工程)ことが好ましい。
予め水と任意に混和する有機溶媒と導電性酸化物とを混合することで、導電性酸化物表面の、貴金属種が担持するサイトを十分に減らすことができ、その後に貴金属水酸化物を含有する水溶液と混合することで、貴金属種の、残った特定の担持サイトへの集中がより進むため、より粒径の大きい貴金属種が担持した触媒を製造することができる。
なお、本発明において「貴金属水酸化物」とは、水溶性貴金属化合物と塩基成分との反応により得られる成分を意味し、貴金属と塩基成分とが錯体を形成しているものも含まれる。貴金属水酸化物を含有する水溶液は、未反応の水溶性貴金属化合物を含んでいても良い。
上記貴金属水酸化物を含有する水溶液は、水と任意に混和する有機溶媒を含んでいてもよく、導電性酸化物分散液は、水を含んでいてもよい。すなわち、水溶性の貴金属化合物と水と塩基成分とを混合して貴金属水酸化物を含有する水溶液を得る工程は、更に水と任意に混和する有機溶媒を混合する工程を含むものであってよく、水と任意に混和する有機溶媒と導電性酸化物とを混合して導電性酸化物分散液を得る工程は、更に水を混合する工程を含むものであってもよい。
上記混合工程や、貴金属水酸化物を含有する水溶液を得る工程、導電性酸化物分散液を得る工程、貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合する工程は、適宜撹拌して行うことができ、撹拌する時間は特に制限されないが、貴金属水酸化物を含有する水溶液を得る工程は、0.5~72時間撹拌して行うことが好ましい。このようにすることで貴金属水酸化物への反応が進行する。より好ましくは、24~72時間撹拌して行うことである。
また、導電性酸化物分散液を得る工程では、有機溶媒による導電性酸化物表面の担持サイトを十分に減らすため、導電性酸化物分散液を十分に撹拌するか、又は、超音波処理に供することが好ましい。撹拌又は超音波処理に供する時間は、10~120分が好ましい。
上記貴金属水酸化物を含有する水溶液における貴金属水酸化物の含有量は、貴金属原子の質量が0.01~100g/Lとなる量であることが好ましい。このような含有量であると、水溶性貴金属化合物から貴金属水酸化物への反応が進行しやすい。より好ましくは、貴金属原子の質量が0.01~20g/Lとなる量であり、更に好ましくは、0.01~5g/Lである。
上記貴金属水酸化物を含有する水溶液の調製に用いる塩基成分の量は、貴金属水酸化物を含有する水溶液が含む貴金属原子1モルに対して、2~10モルとなる量であることが好ましい。このような量の塩基成分を用いることで、貴金属水酸化物を調製するとともに、原料として用いる水溶性の貴金属化合物の酸を十分に中和することができる。
上記導電性酸化物分散液における導電性酸化物の含有量は、0.1~50g/Lであることが好ましい。このような含有量であると、導電性酸化物上に貴金属種が均一に担持されやすくなる。導電性酸化物の含有量は、より好ましくは、1~30g/Lであり、更に好ましくは、1~10g/Lである。
上記貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液との混合工程において、これらを混合する場合は、貴金属水酸化物を含有する水溶液の全量と導電性酸化物分散液の全量とを一度に混合してもよく、一方の全量に他方を少量ずつ添加してもよく、貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを共に少量ずつ混合してもよいが、導電性酸化物分散液に貴金属水酸化物を含有する水溶液を少量ずつ添加することが好ましい。このようにすることで、得られる貴金属触媒をより大きな粒径の貴金属種を有するものとすることができ、かつ貴金属種と導電性酸化物担体との結合を強固にすることができる。この場合、貴金属水酸化物を含有する水溶液の添加にかける時間は、貴金属水酸化物を含有する水溶液や導電性酸化物分散液の量によって適宜設定すればよいが、1~72時間とすることが好ましい。より好ましくは、2~48時間である。
上記貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液との混合工程は、導電性酸化物分散液に含まれる有機溶媒の量が、貴金属水酸化物を含有する水溶液100体積部に対して、0.1~10000体積部となるように貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合する工程であることが好ましい。このような割合で有機溶媒を用いることで、導電性酸化物の担持サイトをより十分に減らすことができ、得られる貴金属触媒をより大きな粒径の貴金属種を有するものとすることができる。
導電性酸化物分散液に含まれる有機溶媒の量は、より好ましくは、貴金属水酸化物を含有する水溶液100体積部に対して、10~1000体積部であり、更に好ましくは、100~400体積部である。
上記貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合する場合、貴金属水酸化物を含有する水溶液が含む貴金属原子1gに対して、導電性酸化物分散液に含まれる導電性酸化物が1~99gとなる割合で混合することが好ましい。このような割合で混合することで、得られる触媒が触媒性能に優れたものとなる傾向にある。より好ましくは、貴金属水酸化物を含有する水溶液が含む貴金属原子1gに対して、導電性酸化物分散液に含まれる導電性酸化物が2~29gとなる割合であり、更に好ましくは、4~19gとなる割合である。
<加熱工程>
本発明の貴金属触媒の製造方法は、水溶性貴金属化合物、水、塩基成分、水と任意に混和する有機溶媒、及び、導電性酸化物を混合して得られる混合液を加熱する工程を含む。加熱工程では、該混合液が加熱されることになる限り、加熱を開始する時期は特に制限されず、混合液を調製するための全ての原料の混合が終了した後に加熱を開始してもよく、全ての原料の混合が終了する前に加熱を開始することにより、混合液の調製と並行して加熱してもよい。
混合工程が、水溶性貴金属化合物と水と塩基成分とを混合して貴金属水酸化物を含有する水溶液を得る工程と、水と任意に混和する有機溶媒と導電性酸化物とを混合して導電性酸化物分散液を得る工程と、該貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合して混合液を得る工程とを含む場合には、貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合して混合液を得る工程において加熱されることが好ましい。この場合、これらの全量の混合が終了する前のいずれの時期に加熱を開始してもよい。
加熱は、還流しながら行っても良く、混合液を蒸留して水等の溶媒を留去しながら行ってもよい。
上記加熱工程における加熱温度は、50~180℃であることが好ましい。このような温度であると、最終的に得られる貴金属触媒の貴金属種担持量を高めることができる。加熱温度は、より好ましくは、70~150℃であり、更に好ましくは、80~130℃である。
また、加熱工程における加熱時間は、0.5~72時間であることが好ましい。このような加熱時間であると、最終的に得られる貴金属触媒の貴金属種担持量を高めることができる。加熱時間は、より好ましくは、1~48時間であり、更に好ましくは、3~36時間である。
なお、混合液の調製と並行して調製された混合液を加熱する場合、混合液の少なくとも一部は加熱の開始後に生成することになるため、加熱操作開始から終了まで時間と実際に混合液が加熱される時間とは必ずしも一致しないことになるが、ここでいう加熱時間とは、混合液が実際に加熱される時間を意味する。
<溶媒除去工程>
本発明の貴金属触媒の製造方法は、上記混合工程及び加熱工程を経て得られた混合液から溶媒を除去する工程を含むことが好ましい。溶媒を除去することで、焼成工程における雰囲気を安定に保つことが出来る。
溶媒除去工程は加熱して行ってもよいが、加熱する場合でも80℃以下にすることが好ましい。このような温度にすることで、導電性酸化物の導電性を損なうことなく溶媒を除去することが出来る。溶媒除去工程の温度は、より好ましくは、10~60℃であり、更に好ましくは、20~40℃である。低温であるために、溶媒を効率的に除去するためには、減圧下で乾燥することが好ましい。
溶媒除去工程の時間は、混合液から溶媒が除去される限り特に制限されないが、溶媒を十分に除去することと製造の効率とを考えると、8~24時間であることが好ましい。
<焼成工程>
本発明の貴金属触媒の製造方法は、上記混合工程、加熱工程、及び必要に応じて溶媒除去工程を行って得られた混合物を還元雰囲気又は不活性ガス雰囲気下で焼成する工程を含む。焼成工程における焼成温度は、300~1200℃であることが好ましい。このような温度で焼成することで、残存する水溶性貴金属化合物及び/又は貴金属水酸化物の還元をより十分に進行させることが出来る。また、3nm以下の小粒子で担持された貴金属種を、隣接したサイトに担持された貴金属種と結合させ、大粒子化することが出来る。焼成温度は、より好ましくは500~1100℃であり、更に好ましくは、500~1000℃である。
焼成する時間は、触媒を十分に焼成することと製造の効率とを考えると、0.5~24時間であることが好ましい。より好ましくは、1~6時間である。
焼成工程は、上記効果をより発揮させるために、還元雰囲気下で焼成する工程であることが好ましい。
上記焼成工程を行う還元雰囲気としては、水素雰囲気または、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガス中に水素等の還元性ガスを5~100vol%含む雰囲気を用いることができる。
また焼成工程を行う不活性ガス雰囲気としては、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気を用いることができる。
<その他の工程>
本発明の貴金属触媒の製造方法は、上述した混合工程、加熱工程、及び、焼成工程を含む限り、上述した溶媒除去工程やその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、熟成工程、精製工程、乾燥工程等が挙げられる。上記加熱工程において、混合工程の終了後にも加熱を継続して行う場合は、熟成工程を行っているということもできる。
本発明の貴金属触媒の製造方法は、混合工程、加熱工程(及び必要に応じて熟成工程)を経て得られた混合液から溶媒が除去される前に、混合液を精製する精製工程を含むことが好ましい。混合液には水溶性貴金属化合物と塩基成分との反応で生成する塩が含まれる。混合工程、加熱工程(及び必要に応じて熟成工程)を経て得られた混合液から溶媒が除去される前にこのような塩を除去することで、本発明の製造方法で得られる貴金属触媒を不純物含有量の少ないものとすることができる。塩を除去する方法は特に制限されないが、ろ過が好ましい。
また精製工程は、更に混合液を溶媒で洗浄する工程を含んでいてもよい。洗浄する工程に使用される溶媒は特に制限されないが、水系溶媒が好ましい。水系溶媒を用いることで混合液に含まれる水溶性の不純物を除去することができる。
上記水系溶媒としては、水、メタノール、エタノール等を用いることができるが、エタノール又はエタノールと水との混合溶媒を用いることが好ましい。これらを用いることで、有機溶媒による導電性酸化物の担持サイトを減らすことへの影響を抑えつつ、水溶性の不純物を効果的に除去することができる。
上記乾燥工程は、混合工程、加熱工程(及び必要に応じて熟成工程)を経て得られた混合液から溶媒を除去した後の固形分を焼成工程に供する前に乾燥する工程であり、得られる貴金属触媒の純度を高める点から、上記精製工程を経た後の固形分を乾燥することが好ましい。乾燥工程は、固形分が乾燥されることになればよく、加熱して行ってもよいが、担体の酸化防止の点から、加熱せずに行うことが好ましい。
<原料>
本発明の貴金属触媒の製造方法は、水溶性の貴金属化合物として貴金属の無機塩及び/又は有機酸塩を用いる。
貴金属としては、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウムが挙げられるが、これらの中でも白金が好ましい。
無機塩としては、特に制限されないが、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩等が挙げられる。
有機酸塩としては特に制限されないが、有機カルボン酸錯体等が挙げられる。
中でも反応性の観点から、塩化白金酸が最も好ましい。
本発明の貴金属触媒の製造方法に用いる塩基成分としては、上記貴金属の無機塩及び/又は有機酸塩と反応して貴金属の水酸化物を生成するものであれば限定されず、リチウム、ナトリウム、カリウム等の周期表第1族元素、又は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等の周期表第2族元素の水酸化物等が挙げられる。これらの中でも水酸化ナトリウムが好ましい。
本発明の貴金属触媒の製造方法に用いる、水と任意に混和する有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類等が挙げられる。
これらの中でも、ジメチルホルムアミド、エタノール、又はエチレングリコールが好ましい。より好ましくは、ジメチルホルムアミドである。
本発明の貴金属触媒の製造方法に用いる導電性酸化物としては、チタン、スズ、亜鉛、タングステン等の亜酸化物や、これらの元素とともにニオブ、タンタル等の他元素を導入し導電性を持たせた酸化物等が挙げられる。
これらの中でも、亜酸化チタンが好ましい。亜酸化チタンは、高い導電性を有するとともに酸に対する耐性が高く、亜酸化チタンを用いることで得られる貴金属触媒が耐強酸性にも優れたものとなり、電池の電極材料としてより好適なものとなる。より好ましくは、亜酸化チタンの中でもTiである。
上記導電性酸化物としては、比表面積が10m/g以上のものが好ましい。このような比表面積のものを用いると、得られる触媒が触媒活性により優れたものとなる。より好ましくは、比表面積が13m/g以上のものである。
また導電性酸化物としては、体積抵抗が5×10Ω・cm以下、1×10-6Ω・cm以上であるものが好ましい。このような体積抵抗のものを用いると、得られる触媒が電極材料として好適なものとなる。より好ましくは、体積抵抗が1×10Ω・cm以下であるものであり、更に好ましくは、体積抵抗が5×10Ω・cm以下であるものである。
本発明において、水溶性の貴金属化合物、塩基成分、水と任意に混和する有機溶媒、及び、導電性酸化物は、それぞれ1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
2.貴金属触媒
本発明はまた、貴金属の単体及び/又は合金が導電性酸化物担体に担持された貴金属触媒であって、該貴金属触媒は、担体に担持された貴金属の単体及び/又は合金の電子顕微鏡観察による平均粒子径(TEM径)が6nm以上であり、かつ、下記式で定義される触媒の利用率が45%以上であることを特徴とする貴金属触媒でもある。
Figure 0007222179000002
貴金属の単体及び/又は合金の幾何的比表面積とは、電子顕微鏡等で観察される貴金属の単体及び/又は合金の粒子の比表面積であり、電気化学的有効比表面積とは、貴金属触媒表面のうち、実際に触媒作用を発揮する面積を意味する。上記式で計算される利用率は、貴金属の単体及び/又は合金の粒子の比表面積のうち、触媒作用を発揮する面積の割合であり、利用率が高いほど触媒としての活性が高いことを意味する。
本発明の貴金属触媒は、利用率が45%以上である高活性の触媒であって、かつ、貴金属の単体及び/又は合金の電子顕微鏡観察による平均粒子径(TEM径)が6nm以上であることにより、電池の電極材料として用いられた際に、高電位に晒された場合にも貴金属の単体及び/又は合金の電解液へ触媒少なくとも一部が溶出することなく残存するため、耐久性に優れるものである。
貴金属の単体及び/又は合金の粒子の比表面積、及び、電気化学的有効比表面積は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の貴金属触媒は、上記利用率が45%以上のものであるが、利用率は好ましくは、80%以上であり、更に好ましくは、90%以上である。
本発明の貴金属触媒は、貴金属の単体及び/又は合金の電子顕微鏡観察による平均粒子径(TEM径)が6nm以上であるものであるが、貴金属の単体及び/又は合金の平均粒子径は8nm以上であることが好ましい。より好ましくは、10nm以上である。また平均粒子径は、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
本発明の貴金属触媒が有する貴金属としては、白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウムのいずれかが挙げられ、中でも白金が好ましい。
また貴金属の合金としては、白金ルテニウム合金等が挙げられる。
本発明の貴金属触媒は上述した特徴を有するものであり、このような特徴を有するものが得られる限り、その製造方法は特に制限されないが、本発明の貴金属触媒を効率的に製造する方法として上述した本発明の貴金属触媒の製造方法が好適である。
上記のとおり、本発明の貴金属触媒は、高活性であり、かつ、電池の電極材料として用いられた際に、高電位に晒された場合にも貴金属の単体及び/又は合金の全てが電解液へ溶出することがないことから、電池の電極材料として好適に用いることができる。このような貴金属触媒を用いた電極材料もまた、本発明の1つであり、本発明の電極材料を用いて構成される電極、及び、該電極を用いて構成される電池もまた、本発明の1つである。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」及び「wt%」とは「重量%(質量%)」を意味する。
製造例1
ルチル型酸化チタン(堺化学工業社製、商品名「STR-100N」、比表面積100m/g)2.0gと金属チタン(和光純薬工業社製、商品名「チタン,粉末」)0.3gを乾式混合した後、水素雰囲気下、700℃まで70分かけて昇温し、700℃で6時間保持した後、室温まで冷却して結晶相がTiで表される亜酸化チタン担体を得た。以下の方法により測定した亜酸化チタンの比表面積は16.5m/gであり、体積抵抗が5.0×10Ω・cmであった。
<亜酸化チタンの比表面積測定>
比表面積(BET-SSA)
JIS Z8830(2013年)の規定に準じ、試料を窒素雰囲気中、200℃で60分間熱処理した後、比表面積測定装置(マウンテック社製、商品名「Macsorb HM-1220」)を用いて、比表面積(BET-SSA)を測定した。
<亜酸化チタンの体積抵抗(体積固有抵抗とも称す)測定>
体積抵抗の測定には、株式会社三菱化学アナリテック製、粉体抵抗測定システム MCP-PD51型を用いた。
粉体抵抗測定システムは、油圧による粉体プレス部と四探針プローブ、高抵抗測定装置(同社製、ロレスターGX MCP-T700)から構成される。
以下の手順に従い、体積抵抗(Ω・cm)の値を求めた。
1)四探針プローブを底面に備えたプレス冶具(直径20mm)にサンプル粉末を投入し、粉体抵抗測定システムの加圧部にセットする。プローブと高抵抗測定装置とをケーブルで接続する。
2)ハンドプレスを用いて、20kNまで加圧する。粉体厚みをデジタルノギスで測定、抵抗値を高抵抗測定装置で測定する。
3)粉体の底面積、厚み、抵抗値から、下記式(i)に基づき体積固有抵抗(Ω・cm)を求める。
Figure 0007222179000003
実施例1
六塩化白金酸水溶液(白金原子の重量で15.343wt%濃度、田中貴金属工業株式会社製)を希釈し、白金2mM溶液を256ml調製した。これに1mol/L水酸化ナトリウム溶液を3.44ml(白金の4倍量に加えて、過剰の塩酸分を中和するための量)を添加し、室温で24時間攪拌して水酸化白金錯体含有水溶液を得た。
四つ口フラスコに製造例1で得られた亜酸化チタン(Ti)担体0.9gとジメチルホルムアミド(DMF)256mlを添加し、これを30分間超音波処理に供した。これをオイルバスに入れてマグネチックスターラーで攪拌しながら、還流させながら、水酸化白金含有水溶液をチューブポンプで2時間かけて滴下した。滴下終了後、24時間還流条件下で反応させた。還流時の温度は120℃であった。
反応終了後、常法に従い、濾過、エタノールにて洗浄、減圧下35℃で乾燥して、粉末1gを得た。得られた粉末0.5gを100%水素雰囲気下、550℃まで昇温し、550℃で1時間保持した後、室温まで冷却して粉体1を得た。
実施例2
四つ口フラスコに亜酸化チタン(Ti)担体0.9gと、ジメチルホルムアミド256mlを添加し、これを30分間超音波処理に供した。これをオイルバスに入れて還流させながら、実施例1と同様の方法で調製した水酸化白金含有水溶液をチューブポンプで48時間かけて滴下した。その他は実施例1と同様にして粉体2を得た。
実施例3
有機溶媒をジメチルホルムアミドからエタノールに代え、還流時の温度を81℃としたこと以外は実施例1同様にして粉体3を得た。
実施例4
担体を0.4gに減らし、有機溶媒をジメチルホルムアミドからエチレングリコールに代え、還流時の温度を125℃としたこと以外は実施例1同様にして粉体4を得た。
比較例1
有機溶媒をジメチルホルムアミドから酢酸ブチルに代え、還流時の温度を90℃としたこと以外は実施例1同様にして粉体5を得た。
比較例2
1Lの四つ口フラスコにクエン酸無水物を0.48gとイオン交換水500ml添加し、マグネチックスターラーで攪拌しながらオイルバスにつけて30分間還流させた。六塩化白金酸水溶液(白金原子の重量で15.343wt%濃度)を1.27g添加して更に1時間還流下で攪拌した。これを冷却し、冷却後の液に、製造例1で得られた亜酸化チタン(Ti4O7)担体を0.5g添加し、室温で1時間撹拌後、実施例1同様にろ過、水洗、乾燥、および焼成をして粉体6を得た。
比較例3
亜酸化チタン(Ti)0.668gを、水128ml中で撹拌後、希釈した六塩化白金酸(白金原子の重量で2.2wt%濃度)水溶液を6g添加し、そこに室温でpH7を維持するように1mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加しながら、pH7を2時間保った。水素化ホウ素ナトリウム水溶液の総添加量は4.5mlであった。その後、室温で1時間攪拌した後、実施例1と同様にろ過、水洗、乾燥、および焼成をして粉体7を得た。
比較例4
六塩化白金酸水溶液(白金原子の重量で15.343%濃度、田中貴金属工業株式会社製)0.57gをイオン交換水3.4gで希釈した後、塩化ヒドラジン(東京化成工業株式会社製、商品名「Hydrazine Dihydrochloride」)0.024gを添加し、撹拌混合したものを準備した(これを「混合水溶液」と称す)。
亜酸化チタン(Ti)0.668gを水128ml中で撹拌して調製した亜酸化チタン担体スラリーを攪拌しながら、別のビーカーにて準備した上記の混合水溶液4.0gを添加し、液温を70℃に加熱保持しながら撹拌混合した。更に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液3.2mlを添加し、撹拌混合しながら液温70℃に1時間加熱保持した後、実施例1と同様にろ過、水洗、乾燥、および焼成をして粉体8を得た。
<物性評価>
以下の手順により、実施例1~4、比較例1~4で得られた各粉体の物性等を評価した。耐久性試験以外の各種評価結果を表1に示し、耐久性試験の結果を図9に示す。また、実施例1~4、比較例1~4で得られた各粉体の電子顕微鏡写真を図1~8に示す。
1.電気化学的有効比表面積(ECSA:ElectroChemical Surface Area)
(1)作用極の作製
測定対象のサンプルに、5重量%パーフルオロスルホン酸樹脂溶液(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)、イソプロピルアルコール(和光純薬工業株式会社製)及びイオン交換水を加え、超音波により分散させてペーストを調製した。ペーストを回転グラッシーカーボンディスク電極に塗布し、充分に乾燥した。乾燥後の回転電極を作用極とした。
(2)サイクリックボルタンメトリー測定
Automatic Polarization System(北斗電工株式会社製、商品名「HZ-5000」)に、回転電極装置(北斗電工株式会社製、商品名「HR-301」)を接続し、作用極に、上記で得た測定サンプル付き電極を用い、対極と参照極には、それぞれ白金電極と可逆水素電極(RHE)電極を用いた。
測定サンプル付き電極のクリーニングのため、25℃で、電解液(0.1mol/lの過塩素酸水溶液)にアルゴンガスをバブリングしながら1.2Vから0.05Vまでサイクリックボルタンメトリーに供した。その後、25℃で、アルゴンガスを飽和させた電解液(0.1mol/l過塩素酸水溶液)で1.2Vから0.05Vまで掃引速度50mV/secで掃引しながら電流値の測定を行った。
その後、掃引時に得られる水素吸着波の面積(水素吸着時の電荷量:QH(μC))から、下記数式(ii)を用いて電気化学的有効比表面積(ECSA)を算出し、電気化学特性の指標とした。なお、式(ii)中、「210(μCcm)」は、白金(Pt)の単位活性面積あたりの吸着電荷量であり、Ptの重量の単位はgである。Ptの重量は下記数式(iii)を用いて算出した。
電気化学的有効比表面積(ECSA)
=(-QH/210)×10×(1/Ptの重量)・・・(ii)
作用極上のPt重量(g)
=(Pt担持量(%)/100)×6μl(作用極に供するペースト量)×5×10-6g/μl(インク中の触媒濃度)・・・(iii)
2.電子顕微鏡写真観察
電界放出形透過電子顕微鏡JEM-2100F(日本電子株式会社製)を用いて、観察を実施した。
3.白金担持量
蛍光X線分析装置ZSX PrimusII(株式会社リガク製)を用いて、試料中の白金含有量を測定し、白金担持量を算出した。
4.担持された白金の平均一次粒子径
まず、透過型電子顕微鏡写真(TEM像又はTEM写真とも称す)において、白金粒子の長径と短径を定規等で計測し、その長径と短径の平均値を撮影倍率で除することにより、一次粒子径を求めた。更に、TEM像中の白金粒子を80個無作為に抽出し、上記の方法により全ての粒子の一次粒子径を計測し、計測値中最大値を最大一次粒子径、計測値中最小値を最小一次粒子径とし、計測値を平均することにより、平均一次粒子径を求めた。なお、TEM像の撮影倍率は任意の倍率でよいが、好ましい範囲は20,000倍から500,000倍である。
5.白金の幾何的比表面積
下記式(iv)より、平均一次粒子径から白金の幾何的比表面積を算出した。なお、白金密度は21.45(g/cm)、円周率は3.14とし、白金は真球であるとして計算した。
白金の幾何的比表面積=(平均一次粒子径/2)×4×3.14/{(平均一次粒子径/2)×(4/3)×3.14×21.45}・・・式(iv)
6.有効な白金の割合(利用率)
上記式(i)より求めたPtの電気化学的有効比表面積(ECSA)と上記式(iv)で求めた白金の幾何的比表面積とを用いて下記式(v)により、有効な白金の割合(利用率)を求めた。
利用率(%)=電気化学的有効比表面積(ECSA)×100(%)/白金の幾何的比表面積・・・式(v)
7.耐久性試験
前述の電気化学的有効比表面積測定と同様にして、作用極を作製した。その後も前述のサイクリックボルタモグラム測定と同様にして、初期サイクリックボルタモグラムを測定し、ECSAを求めた。その後30秒間0.6Vにて保持した後、1.0Vを3秒間、0.6Vを3秒間の6秒間を1サイクルとして、1600サイクル実施し、同様にしてサイクリックボルタモグラムを測定した。この試験を繰り返し、17600サイクルまで実施した。
耐久性試験は、実施例1、比較例4で得られた触媒について行い、また比較対象としてエヌ・イーケムキャット株式会社製50%白金担持ケッチェンブラックEC(グラフ中Pt/Cと記載)についても同様の試験を行った。
Figure 0007222179000004
なお、表1中、ECSA-Pt径は、以下の式(vi)によって計算される、電気化学的有効比表面積(ECSA)から計算したPtの粒子径である。
ECSA-Pt径=3×2/(ECSA×0.001×21.45)・・・式(vi)
実施例1~4と比較例4とを対比すると、溶媒としてイオン交換水のみを用いて析出沈殿法を用いて調製した比較例4では、得られる触媒は、利用率は高いもののPtの平均粒子径は5nm程度であったのに対し、DMF、エタノール、エチレングリコールを使用した実施例1~4の方法で調製した触媒は、いずれもPtの平均粒子径が7nm以上と大きく、利用率も49%以上と高かった。
水溶性の低い酢酸ブチルを用いた比較例1では、白金は大きくなるものの、利用率は測定できないほど悪かったことから、得られる触媒は、担体と白金との結合性が悪いものと考えられる。
また溶媒としてイオン交換水のみを用いた比較例2、3の方法で調製した触媒は利用率が低く、塩基成分を使用した比較例3のほうが、塩基成分を使用しなかった比較例2に比べてPtの平均粒子径も小さいものであった。このことから、水と任意に混和する有機溶媒の使用と、塩基成分の使用との組み合わせに技術的意義があることが確認された。
更に耐久試験の結果から、カーボン上に白金を担持した触媒ではサイクル試験ごとにECSAが低下したが、酸化物担体に担持した白金触媒はECSA維持率が高く、特に実施例1の触媒は比較例4の微細白金担持品よりも高い耐久性を示した。
以上の結果から、本発明の製造方法で製造することで、燃料電池の触媒としての高い活性を有し、かつ触媒性能の耐久性にも優れた触媒を製造できることが確認された。
1:貴金属触媒
10:亜酸化チタン
20:白金

Claims (5)

  1. 水溶性貴金属化合物、水、塩基成分、水と任意に混和する有機溶媒、及び、導電性酸化物を混合して混合液を得る混合工程と、
    該混合液を加熱する工程と、
    該加熱工程の後、還元雰囲気又は不活性ガス雰囲気下、300~1200℃で焼成する工程とを含み、
    該混合工程は、水溶性貴金属化合物と水と塩基成分とを混合して貴金属水酸化物を含有する水溶液を得る工程と、
    水と任意に混和する有機溶媒と導電性酸化物とを混合して導電性酸化物分散液を得る工程と、
    該貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合して混合液を得る工程とを含む
    ことを特徴とする貴金属触媒の製造方法。
  2. 前記貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液との混合工程は、導電性酸化物分散液に含まれる有機溶媒の量が、貴金属水酸化物を含有する水溶液100体積部に対して、0.1~10000体積部となるように貴金属水酸化物を含有する水溶液と導電性酸化物分散液とを混合して混合液を得る工程であることを特徴とする請求項1に記載の貴金属触媒の製造方法。
  3. 貴金属の単体及び/又は合金が亜酸化チタン担体に担持された燃料電池用貴金属触媒であって、
    燃料電池用貴金属触媒は、担体に担持された貴金属の単体及び/又は合金の電子顕微鏡観察による平均粒子径(TEM径)が6nm以上、100nm以下であり、かつ、下記式で定義される触媒の利用率が45%以上であることを特徴とする燃料電池用貴金属触媒。
    Figure 0007222179000005
  4. 前記貴金属が、白金であることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用貴金属触媒。
  5. 請求項3又は4に記載の燃料電池用貴金属触媒を用いた電極材料。
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