JP4785757B2 - 貴金属担持電極触媒の製造方法および該製造方法により得られる貴金属担持電極触媒 - Google Patents
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Description
本発明の貴金属担持電極触媒の製造方法においては、導電性材料がカーボンからなることが好ましい。
本発明における貴金属粒子は2種以上の貴金属を含む。ここで貴金属とは、白金族元素、金(Au)、銀(Ag)から選択される少なくともいずれかの元素からなる金属を意味する。ここで白金族元素とは、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)から選択される少なくともいずれかを意味する。貴金属粒子としては、最も典型的には白金含有合金を用いることができる。
本発明においては、担持工程において用いられる上記の混合液中に、水、非イオン性分散剤およびグリコールを含有させ、かつ混合液中の水の含有量を5〜95体積%の範囲内とする。混合液がグリコール、すなわち2価のアルコールを含むことにより、該グリコールが還元剤として作用し、貴金属イオンの還元析出を進行させることができる。
導電性材料としては、たとえば燃料電池のような強酸環境に耐え得る耐酸性を有する材料が好ましい。耐酸性の点で、カーボンは好ましく使用できるが、他に、導電処理を施した酸化物微粒子や、耐酸処理を施した金属微粒子等も使用できる。導電性材料は、たとえば、顆粒状、棒状、繊維状、板状から選択される少なくとも1種の形状を有することができる。
分散液調製工程では、導電性材料を溶媒に分散させてなる分散液を調製する。本発明においては、導電性材料を溶媒に分散させてなる分散液と、貴金属イオンを含有する貴金属溶液との混合液が、水、非イオン性分散剤およびグリコールを含有すれば良い。しかし、該分散液が非イオン性分散剤を含有する場合、分散液中での導電性材料の分散状態を向上させ、貴金属粒子がより均一に担持された、より高活性の貴金属担持電極触媒を得られるため好ましい。
貴金属溶液調製工程では、貴金属イオンを含有する貴金属溶液を調製する。貴金属溶液として、典型的には、導電性材料に担持させる貴金属粒子を構成する貴金属元素の陽イオン、特に錯イオンを含む溶液を調製する。
担持工程では、上記の分散液調製工程において調製した分散液と上記の貴金属溶液調製工程で調製した貴金属溶液とを混合してなる混合液において貴金属イオンを還元析出させ、貴金属粒子を導電性材料に担持させる。還元析出の方法として、典型的にはアルコール還元法を用いることができる。アルコール還元法は、アルコールを還元剤として存在させた状態で上記混合液を加熱して貴金属イオンを還元することによって実施できる。本発明においては、混合液中に含有させたグリコールが還元剤として作用する。
なお本発明においては、担持工程の後に、非イオン性分散剤を除去する分散剤除去工程を設けることがより好ましい。この場合、貴金属担持電極触媒の触媒活性がより良好になる。非イオン性分散剤の除去は、たとえば純水または溶剤による洗浄、酸化雰囲気中での焼結等により実施できる。
本発明の製造方法により得られる貴金属担持電極触媒においては、貴金属粒子の平均粒子径が、1.0〜3.5nmの範囲内であることが好ましい。貴金属粒子の平均粒子径が1.0nm以上である場合、貴金属粒子の形成が容易であり、3.5nm以下である場合、貴金属粒子の表面積が大きく触媒活性が良好である。貴金属粒子の平均粒子径は、2.0nm以上であることがより好ましく、また、3.0nm以下であることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(貴金属担持電極触媒の平均粒子径)
X線回折装置(リガク社製)を用いて回折ピークを測定し、シェラー式により平均粒子径を算出した。
熱重量分析装置(リガク社製)を用いて貴金属担持電極触媒中の炭素を燃焼させ、燃焼前後の質量から、下記の式、
(貴金属粒子の担持量)(単位:質量%)=(燃焼後の質量)/(燃焼前の質量)×100
に従って算出した。
蛍光X線分析装置(リガク社製)を用い、担持された貴金属粒子の原子数比を測定した。
後述する実施例1,2および比較例1で作製したMEA(膜電極接合体)の各々を、市販の標準セル(エレクトロケム社製)にセットし、負極に3mol/Lメタノール水溶液を300μL/分、正極に空気を500mL/分でそれぞれ供給し、セル温度40℃にて、電子負荷装置により、各々の電流−電圧曲線を測定した。
(分散液調製工程)
溶媒としてのエチレングリコール50mLに、導電性材料として、1次粒子径30〜40nmのケッチェンブラック(ケッチェンブラック・インターナショナル社製)220mgを分散させ、さらに、非イオン性分散剤としてポリビニルアルコール(信越化学工業社製)55mgを加えて、分散液を調製した。該分散液を、破砕機を用いて24000回転/分で10分間攪拌することにより破砕処理を行なった。
3.8質量%塩化白金酸エチレングリコール溶液、および、2.2質量%塩化ルテニウムエチレングリコール溶液を調製した。
上記で得た分散液の50mLに、上記の3.8質量%塩化白金酸エチレングリコール溶液25mL、上記の2.2質量%塩化ルテニウムエチレングリコール溶液25mL、および純水300mLを加え、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、120℃で1時間加熱して還元反応を進行させた。その後、室温に冷却し、さらに吸引濾過、60℃×4時間の乾燥を行ない、本発明の貴金属担持電極触媒として、貴金属担持電極触媒中の白金担持量が約13質量%、ルテニウム担持量が約7質量%である、白金ルテニウム担持カーボン触媒を作製した。なお白金およびルテニウムの担持量は、前述の方法で測定した貴金属粒子の担持量および貴金属粒子の原子数比の値から算出した。
市販の白金担持カーボン触媒(田中貴金属社製)を正極用触媒とし、上記で得た白金ルテニウム担持カーボン触媒を負極用触媒として用いた。これらの触媒を、20%固体高分子電解質膜分散液(アルドリッチ社製ナフィオン(登録商標)溶液)にそれぞれ浸漬し、さらに2−プロパノールを添加して懸濁液とし、ジルコニアからなる遊星ボールミルで約30分間攪拌した。これにより、正極用触媒から正極触媒ペーストを、負極用触媒から負極触媒ペーストを得た。
<実施例2>
ポリビニルアルコールに代えてポリビニルピロリドンを用いた他は実施例1と同様の方法で、白金ルテニウム担持カーボン触媒を作製した。得られた白金ルテニウム担持カーボン触媒中の白金担持量は約13質量%、ルテニウム担持量は約7質量%であった。また該白金ルテニウム担持カーボン触媒の平均粒子径は、X線回折装置を用いた測定の結果より、3.0nmであった。
水を添加しない他は実施例2と同様の方法で、白金ルテニウム担持カーボン触媒を作製した。得られた白金ルテニウム担持カーボン触媒中の白金担持量は約13質量%、ルテニウム担持量は約5質量%であった。また該白金ルテニウム担持カーボン触媒の平均粒子径は、X線回折装置を用いた測定の結果より、3.6nmであった。
エチレングリコールに代えてエタノールを用いた他は実施例1と同様の方法で、白金ルテニウム担持カーボン触媒を作製した。得られた白金ルテニウム担持カーボン触媒中の白金担持量は13質量%程度であり、ルテニウムはほとんど担持されていなかった。また該白金ルテニウム担持カーボン触媒の平均粒子径は、X線回折装置を用いた測定の結果より、3.5nmであった。
ポリビニルアルコールに代えてカチオン性水溶性ポリマーであるポリエチレンイミンを用いた他は実施例1と同様の方法で、白金ルテニウム担持カーボン触媒を作製したが、白金もルテニウムもほとんど担持されていなかった。比較例3では、カチオン性水溶性ポリマーが分散剤としての役割を果たさず、かつ電子受容体となったために、白金イオンおよびルテニウムイオンの還元が十分進行せず、白金およびルテニウムがほとんど担持されなかったものと考えられる。
Claims (10)
- 貴金属粒子と前記貴金属粒子を担持する導電性材料とを含む貴金属担持電極触媒の製造方法であって、
導電性材料を溶媒に分散させてなる分散液を調製する分散液調製工程と、
貴金属イオンを含む貴金属溶液を調製する貴金属溶液調製工程と、
前記分散液と前記貴金属溶液とを混合してなる混合液においてアルコール還元法により前記貴金属イオンを還元析出させ、貴金属粒子を前記導電性材料に担持させる担持工程と、
を含み、
前記貴金属粒子は2種以上の貴金属を含み、
前記混合液は、水、非イオン性分散剤およびグリコールを含み、
前記混合液中の前記水の含有量が50〜80体積%の範囲内である、貴金属担持電極触媒の製造方法。 - 前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールから選択される少なくとも1種からなる、請求項1に記載の貴金属担持電極触媒の製造方法。
- 前記非イオン性分散剤が窒素含有化合物からなる、請求項1または2に記載の貴金属担持電極触媒の製造方法。
- 前記窒素含有化合物が、ポリビニルピロリドン、ラウリン酸ジエタノールアミド、モノ(ジエチルアミノ)アルキルエーテルから選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の貴金属担持電極触媒の製造方法。
- 前記非イオン性分散剤が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種からなる、請求項1または2に記載の貴金属担持電極触媒の製造方法。
- 前記貴金属粒子が白金ルテニウム粒子からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の貴金
属担持電極触媒の製造方法。 - 前記導電性材料がカーボンからなる、請求項1〜6のいずれかに記載の貴金属担持電極触媒の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られる貴金属担持電極触媒。
- 導電性材料が、顆粒状、棒状、繊維状、板状から選択される少なくとも1種の形状を有する、請求項8に記載の貴金属担持電極触媒。
- 前記貴金属粒子の平均粒子径が、1.0〜3.5nmの範囲内である、請求項8または9に記載の貴金属担持電極触媒。
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