JP7221888B2 - 地盤改良装置 - Google Patents

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本発明は、ケーシングパイプの回転圧入によって、無振動にて砂杭を造成する地盤改良装置に関する。
この種の地盤改良装置に用いられるケーシングパイプとして、図10及び図11に示すものがある。このケーシングパイプ1には、図10に示すように、内周面1aに沿って長手方向(軸方向)Hに2本の砂抜け補助用のエア配管2,2’が設けられている。
図10及び図11に示すように、一方のエア配管2は、ケーシングパイプ1の中途まで延びていて、その先端には補助装置3を介して内ノズル4が設けられている。この内ノズル4からケーシングパイプ1内に圧縮された高圧エアAが噴射されるようになっている。また、他方のエア配管2’は、ケーシングパイプ1の先端側まで延びていて、その先端には補助装置5を介して外ノズル6が設けられている。この外ノズル6からケーシングパイプ1の外側に圧縮された高圧エアAが噴射されるようになっている。さらに、ケーシングパイプ1の先端には、掘削用のビット7が取り付けられている。さらに、2本のエア配管2,2’は、ケーシングパイプ1の内周面1aに溶接により固定されている(この溶接部分を図10中符号8で示す)。
そして、ケーシングパイプ1は、地盤改良装置の強制昇降装置と回転駆動装置とにより地盤中に回転しながら貫入され、このケーシングパイプ1を引き抜く際の砂の排出と打ち戻しが繰り返されることで無振動にて砂杭が造成される。この際、ケーシングパイプ1の内外に圧縮された高圧エアAが噴射されて砂抜けされる。
特開平6-33445号公報
しかしながら、前記従来の地盤改良装置に用いられるケーシングパイプ1では、その内周面1aに2本のエア配管2,2’を固定する溶接部分8が突出しているため、この突出した溶接部分8によって砂をスムーズに抜くことが難しかった。また、補助装置3,5の角で砂が引っ掛かって、砂が抜けが悪かった。さらに、砂の締め固め時の圧縮力による各エア配管2,2’の摩耗等の変形により各エア配管2,2’に小孔(ピンホール)が開く場合があり、その場所を特定することが困難であり、エア抜けが発生した。
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、ケーシングパイプ内から砂をスムーズに抜くことができる地盤改良装置を提供することを目的とする。
本発明は、地盤中にケーシングパイプを回転させながら貫入し、引き抜く際の砂の排出と打ち戻しを繰り返すことで無振動にて砂杭を造成する地盤改良装置であって、前記ケーシングパイプの肉厚部の中央から外周にかけて長手方向に延びるエア通路を少なくとも2箇所形成し、前記2箇所のエア通路のうちの一方のエア通路は、前記ケーシングパイプの中途まで延びていて、該中途の部位に内ノズルが前記ケーシングパイプの内側に向けて設けられ、前記2箇所のエア通路のうちの他方のエア通路は、前記ケーシングパイプの端部側まで延びていて、該端部側に外ノズルが前記ケーシングパイプの外側に向けて設けられているたことを特徴とする。
本発明によれば、ケーシングパイプの肉厚部の中央から外周にかけて長手方向に延びるエア通路を形成したことで、ケーシングパイプの内外にエア通路が出ることがないため、砂抜けが良くなって、ケーシングパイプ内から砂をスムーズに抜くことができる。
本発明の第1実施形態のケーシングパイプを用いる地盤改良装置の斜視図である。 上記ケーシングパイプの断面図である。 図2中X-X線に沿う断面図である。 上記ケーシングパイプの要部を断面で示す斜視図である。 上記ケーシングパイプの内側に設けられた内ノズルよりエアが噴射する状態を示す要部の断面図である。 図5中Y部分の拡大断面図である。 上記ケーシングパイプの底面図である。 上記ケーシングパイプの継ぎ目部分の断面図である。 (a)は本発明の第2実施形態のケーシングパイプに角パイプを組み付ける前の部分断面図、(b)は同角パイプを組み付けた後の部分断面図である。 従来の地盤改良装置に用いられるケーシングパイプの断面図である。 上記従来のケーシングパイプの底面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態のケーシングパイプを用いる地盤改良装置の斜視図、図2はケーシングパイプの断面図、図3は図2中X-X線に沿う断面図、図4はケーシングパイプの要部を断面で示す斜視図、図5はケーシングパイプの内側に設けられた内ノズルよりエアが噴射する状態を示す要部の断面図、図6は図5中Y部分の拡大断面図、図7はケーシングパイプの底面図、図8はケーシングパイプの継ぎ目部分の断面図である。
図1に示すように、地盤改良装置10は、前部にリーダ12を立設した施工機本体11と、ワイヤ13の巻き回しによりリーダ12に沿って昇降動して杭材料としての砂Sを搬送する昇降バケット14と、強制昇降装置15によりリーダ12に沿って昇降動すると共に、回転駆動装置16により回転自在に支持された肉厚で円筒状のケーシングパイプ(中空管)20と、強制昇降装置15と回転駆動装置16とに連結される連結管17と、強制昇降装置15に取り付けられ、ケーシングパイプ20に砂Sを供給するホッパー18と、このホッパー18の排出口側と連結管17との間に設けられ、ホッパー18内に供給された砂Sをケーシングパイプ20側へ自然落下により供給する供給用配管30と、を備えている。
図1に示すように、ホッパー18は四角枠状に形成されていて、強制昇降装置15に取り付けられている。そして、ホッパー18の供給口18aに昇降バケット14の排出口14bより砂Sが供給されるようになっている。
図2~図4に示すように、ケーシングパイプ20は、金属製で一重の円筒状に形成されていて、その肉厚部20aの中央から外周面20bにかけて長手方向(軸方向)Hに延びるエア通路21,21’が2箇所形成されている。この一対のエア通路21,21’は、相対向する180°隔てた位置に形成されていて、ケーシングパイプ20の外周面20bに長手方向Hに沿って延びるように形成された凹状の各長溝22aと、この各長溝22aの開口部22bを塞ぐ金属板状の蓋体23と、で構成されている。
図2及び図4に示すように、一対のエア通路21,21’のうちの一方のエア通路21は、ケーシングパイプ20の中途まで延びていて、その部位には、円形のノズル取付孔24が形成されている。この円形のノズル取付孔24には、内ノズル25が内側に向けて設けられている。また、他方のエア通路21’は、ケーシングパイプ20の先端(下端)の端部20c側まで延びていて、その端部20c側には、ノズル取付孔26が形成されている。このノズル取付孔26には、外ノズル27が外側に向けて設けられている。
図5及び図6に示すように、内ノズル25は、一方のエア通路21に連通する底有で円筒状のノズル本体25aと、このノズル本体25aの開口側に嵌め込まれ、ノズルチップ25bを斜めに保持するチップ保持体25cと、を有している。そして、このチップ保持体25cの噴出口25dからケーシングパイプ20の内部に圧縮された高圧エアAが噴射されるようになっている。
図2及び図7に示すように、外ノズル27は、他方のエア通路21’に連通するL字状の通路27bを形成したノズル本体27aを有している。そして、このノズル本体27aの噴出口27cからケーシングパイプ20の外側に圧縮された高圧エアAが噴射されるようになっている。
図8に示すように、ケーシングパイプ20の端部20cと別のケーシングパイプ20の相対向する端部20cとの継ぎ目部分Rには、円筒状のスリーブ28を介して溶接等の溶着により接合されている。これにより、継ぎ目部分Rの各エア通路21,21’に該継ぎ目部分Rから高圧エアAが漏れることなくスムーズに流れるようになっている。
尚、図1中符号14aは昇降バケット14の供給口を示す。また、図2及び図7に示すように、ケーシングパイプ20の先端には、一対の掘削用ビット29,29がそれぞれ取り付けられている。さらに、図1に示すように、供給用配管30は、連結管17に斜めに貫通するように取り付けられていて、ホッパー18から供給された砂Sを連結管17内に自然落下により供給するものである。
以上第1実施形態のケーシングパイプ20を用いた地盤改良装置10によれば、地盤T中に強制昇降装置15と回転駆動装置16を介してケーシングパイプ20を回転しながら貫入し、ケーシングパイプ20を引き抜く際に砂Sを排出し、ケーシングパイプ20の打ち戻しと砂Sの排出とを繰り返すことで、無振動・無騒音にて砂杭Kを造成することができる。
この際、ケーシングパイプ20の肉厚部20aの中央から外周面20bにかけて長手方向Hに延びる一対のエア通路21,21’を形成したことにより、ケーシングパイプ20の内外に各エア通路21,21’が飛び出ることがないため、砂抜けが良くなって、ケーシングパイプ20内から砂Sをスムーズに抜くことができる。
即ち、ケーシングパイプ20の内部に、従来のようなエア配管2,2’の障害物がないため、高圧エアAによりケーシングパイプ20内の砂Sをスムーズに抜くことができる。また、エア配管2,2’がないので、摩耗等の変形により発生し易いピンホールによるエア抜けを防ぐことができる。
さらに、ケーシングパイプ20の肉厚部20aの中央から外周面20bにかけて形成された各長溝22aの開口部22bを、外側からの蓋体23の溶接作業で塞ぐことによって各エア通路21,21’が形成されるため、組付作業が容易である。また、ケーシングパイプ20の肉厚部20aの中央から外周面20bにかけて長溝22aを形成し、この長溝22aの開口部22bを蓋体23の溶接作業で塞ぐことで、2本のエア通路21,21’をケーシングパイプ20の内周面から突出させることなく簡単に形成できるため、エア通路21,21’を2本以上に簡単かつ確実に増やすことができる。
図9(a)は本発明の第2実施形態のケーシングパイプに角パイプを組み付ける前の部分断面図、図9(b)は同角パイプを組み付けた後の部分断面図である。
この第2実施形態のケーシングパイプ20は、一対のエア通路21,21’を角パイプ23Aでそれぞれ構成した点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
この第2実施形態のケーシングパイプ20では、図9(a),(b)に示すように、一対のエア通路21,21’を、ケーシングパイプ20の外周面20bに長手方向に沿って延びるように形成された凹状の各長溝22a内に嵌め込んで、千鳥の溶接により溶着した角パイプ23Aで構成してある。これにより、ケーシングパイプ20の外周面20bより殆ど飛び出ることなく一対のエア通路21,21’が形成される。
この第2実施形態のケーシングパイプ20によれば、一対のエア通路21,21’を、ケーシングパイプ20の外周面20bに形成された凹状の各長溝22a内に嵌め込まれて溶着された角パイプ23Aで構成したことにより、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。特に、この第2実施形態のケーシングパイプ20では、角パイプ23Aが交換可能であるため、経時的にエア漏れのない各エア通路21,21’を提供することができる。
尚、前記各実施形態によれば、杭材料として砂を用いたが、スラグや再生コンクリート或いは産業廃棄物の盛り上がり土等を杭材料として用いても良い。
また、前記各実施形態によれば、内ノズル用と外ノズル用のエア通路を1箇所づつ設けたが、内ノズル用と外ノズル用のエア通路を2箇所以上設けても良い。
10 地盤改良装置
20 ケーシングパイプ
20a 肉厚部
20c 端部
21 一方のエア通路
21’ 他方のエア通路
22a 凹状の長溝
22b 開口部
23 蓋体
23A 角パイプ
25 内ノズル
27 外ノズル
28 円筒状のスリーブ
T 地盤
S 砂
K 砂杭
H 長手方向
R 継ぎ目部分

Claims (4)

  1. 地盤中にケーシングパイプを回転させながら貫入し、引き抜く際の砂の排出と打ち戻しを繰り返すことで無振動にて砂杭を造成する地盤改良装置であって、
    前記ケーシングパイプの肉厚部の中央から外周にかけて長手方向に延びるエア通路を少なくとも2箇所形成し
    前記2箇所のエア通路のうちの一方のエア通路は、前記ケーシングパイプの中途まで延びていて、該中途の部位に内ノズルが前記ケーシングパイプの内側に向けて設けられ、
    前記2箇所のエア通路のうちの他方のエア通路は、前記ケーシングパイプの端部側まで延びていて、該端部側に外ノズルが前記ケーシングパイプの外側に向けて設けられていることを特徴とする地盤改良装置。
  2. 請求項記載の地盤改良装置であって、
    前記各エア通路を、前記ケーシングパイプの外周に長手方向に沿って延びるように形成された凹状の長溝と、前記長溝の開口部を塞ぐ蓋体と、で構成したことを特徴とする地盤改良装置。
  3. 請求項記載の地盤改良装置であって、
    前記各エア通路を、前記ケーシングパイプの外周に長手方向に沿って延びるように形成された凹状の長溝内に嵌め込まれる角パイプで構成したことを特徴とする地盤改良装置。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の地盤改良装置であって、
    前記ケーシングパイプの端部と別のケーシングパイプの端部との継ぎ目部分を円筒状のスリーブを介して溶着により接合したことを特徴とする地盤改良装置。
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