JPH0633445A - 地中圧密杭の造成方法及び造成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ケーシング打ち込み時の排土をスムーズに効
率良く行わせて、砂杭造成作業能率の向上を図ることで
きるようにすること。 【構成】 外ケーシング部７と内ケーシング部８との間
にそれらの下端より掘削土を導入するための空間部９を
形成し、外ケーシング部７に掘削土排出孔１０を設け、
この排出孔１０より圧力エアを噴出させるエア噴出手段
１１を掘削土導入用空間部９内に設け、内ケーシング部
８の底部にケーシング打ち込み時に土圧で閉じ引き抜き
時に開く内ケーシング部開閉用蓋１３を備えて成るケー
シング５によって、エア噴出手段１１からの圧力エアを
掘削土排出孔１０から外に噴出させつつ地中所要深さま
で掘孔した後、内ケーシング部８の下端より砂を排出さ
せながら、ケーシング５を所定ストローク上昇させ、そ
の後このケーシング５を所定ストロークで下降させ、こ
の昇降ストロークの繰り返しにより前記ケーシング５を
引き上げて、地中に圧密杭を造成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】本発明は、軟弱地盤を改良するために地中
に砂、礫、砂利等（以下、単に砂と称する）からなる圧
密杭を造成するための地中圧密杭の造成方法及びその装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】従来この種の造成方法で
は、下端に開閉蓋を備えたケーシングを上下振動あるい
は回転させながら地中に打ち込んで掘孔し、所要深さ掘
進した後、ケーシングを引き上げつつ、このケーシング
内に供給した砂等をその下端から排出して、地中に砂杭
を造成するようにしているが、ケーシング打ち込み掘進
時には、ケーシングの下端開口部が閉蓋されるため、掘
削土はケーシングの下端外周から当該ケーシングと掘孔
との狭い間隙から排土されることになる。このため排土
がスムーズに行われ難く、従ってケーシングの打ち込み
速度が遅くなり、造成作業能率が非常に悪かった。

【０００３】本発明は、上記の課題に鑑み、ケーシング
打ち込み時の掘削土の排土をスムーズに効率良く行わせ
て、ケーシングの打ち込み速度を速めることができ、そ
れにより造成作業能率の向上を図ることできる地中圧密
杭の造成方法及びその装置を提供することを目的とす
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明による地中圧密杭
造成方法は、外ケーシング部７と砂投入用の内ケーシン
グ部８との間に両ケーシング部７，８の下端より掘削土
を導入するための空間部９を形成し、前記外ケーシング
部７に掘削土排出孔１０を設けると共に、この排出孔１
０より圧力エアを噴出させるエア噴出手段１１を前記掘
削土導入用空間部９内に設け、前記内ケーシング部８の
底部にはケーシング打ち込み時に土圧で閉じ引き上げ時
に開く内ケーシング部開閉用蓋１３を備えて成るケーシ
ング５によって、前記エア噴出手段１１からの圧力エア
を前記掘削土排出孔１０よりケーシング５外に噴出させ
つつ地中所要深さまで掘孔した後、前記内ケーシング部
８の下端より杭造成用の砂を排出させながら、前記ケー
シング５を所定ストローク上昇させ、その後このケーシ
ング５を所定ストロークで下降させ、この昇降ストロー
クの繰り返しにより前記ケーシング５を引き上げて、地
中に圧密杭を造成することを特徴とする。

【０００５】また、本発明による地中圧密杭造成装置
は、リーダ１に昇降可能に吊支されるケーシング５を、
外ケーシング部７とこの中に同心状に固定された内ケー
シング部８とで構成し、これら内外両ケーシング部７，
８間にその下端より掘削土を導入するための掘削土導入
用空間部９を形成し、前記外ケーシング部７に掘削土排
出孔１０を設けると共に、この掘削土排出孔１０より圧
力エアを噴出させるためのエア噴出手段１１を前記掘削
土導入用空間部９内に設け、前記内ケーシング部８の底
部には、ケーシング５の打ち込み時に土圧で閉じ引き上
げ時に開く内ケーシング部開閉用蓋１３を設けて成るこ
とを特徴とする。

【０００６】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図１は地中圧密杭造成装置の全体を概略的に示したもの
で、１は移動基台２に立設支持されたリーダ、３はこの
リーダ１の側面でガイドされた状態でその頂部より昇降
用ワイヤー４を介して吊支された装置機枠で、この機枠
３にケーシング５が着脱可能に垂下連設されており、ま
たこの機枠３にはケーシング５を上下振動させるための
起振機６が装備されている。

【０００７】前記ケーシング５の詳細構造について図２
〜図５により説明すれば、このケーシング５は、外ケー
シング部７と、この中に同心状に挿入固定された内ケー
シング部８とから構成されていて、両ケーシング７，８
間にはその下端より掘削土を導入するための掘削土導入
用空間部９を形成している。内ケーシング部８の上端部
は、外ケーシング部の内径と同程度の外径を有する径大
部８ａを有し、この上端径大部８ａが外ケーシング部７
の上端より所要長さ下方位置でこの外ケーシング部７内
に嵌合固着されている。

【０００８】前記外ケーシング部７には前記掘削土導入
用空間部９に導入された掘削土をケーシング外に排出す
るための掘削土排出孔１０が多数設けられ、そして掘削
土導入用空間部９内には、前記各掘削土排出孔１０より
圧力エアを噴出させるエア噴出手段としてのエアノズル
１１が各掘削土排出孔１０と対応する位置に配設され、
各エアノズル１１は内ケーシング部８の外側面に沿って
縦方向に配管されたエア供給パイプ１２の所定箇所に突
設されている。

【０００９】前記エア供給パイプ１２は、図４及び図５
に示すように、内ケーシング部８の外側面に沿ってその
周方向に例えば４５度の間隔おきに縦に４本配管されて
おり、そしてこのエア供給パイプ１２の上端は、掘削土
導入用空間部９内から内ケーシング部８の上端径大部８
ａ外側面を通って外ケーシング部７の内側面沿いに延
び、この外ケーシング部７の上端から外に突出して、圧
力エア源（図示せず）に連結されており、またこのエア
供給パイプ１２の下端は内ケーシング部８の下端よりも
若干下方まで延びている。尚、前記内ケーシング部８の
上端径大部８ａ外側面にはエア供給パイプ１２を嵌挿さ
せる嵌挿用溝８ｂが形成されている（図４参照）。

【００１０】前記内ケーシング部８の下端には、一対の
半月形板１３ａ，１３ａをヒンジ１３ｂで枢着して成る
内ケーシング部開閉用蓋１３が取付られ、この蓋１３
は、常時はその自重によって図３の実線図示のような逆
Ｖ字形を成す開放位置にあり、ケーシング５の打ち込み
時には土圧によって同図の仮想線図示のように内ケーシ
ング部８の下端を閉塞すべく閉じるように構成されてい
る。

【００１１】次に、上述したような構成を有する装置の
使用による地中圧密杭の造成方法について説明すると、
先ず図１に示す状態から昇降用ワイヤー４を繰り出しな
がらケーシング５を下降し、起振機６を作動させてその
上下振動作用によりこのケーシング５を地中に打ち込ん
でゆく。このケーシング５の打ち込み開始と共に、各エ
ア供給パイプ１２にエアを供給して各エアノズル１１か
ら圧力エアを噴出させる。また、内ケーシング部開閉用
蓋１３はケーシング５の打ち込みに伴い土圧により閉じ
ている。

【００１２】しかして、ケーシング５の打ち込みによ
り、図６に示すように、外ケーシング部７で地盤を掘孔
してゆくと、その掘削土はケーシング５下端より掘削土
導入用空間部９内に導入され、この導入された掘削土は
各エアノズル１１から噴出するジェットエアにより外ケ
ーシング部７の各掘削土排出孔１０からケーシング外部
に強制排出されて、掘孔１４の壁面に付着せしめられ
る。この場合、掘削土排出孔１０は外ケーシング部７の
下部から上部に亘って多数配設してあるため、下部側の
掘削土排出孔１１で排出されえなかった掘削土は、順次
上方側の掘削土排出孔１１から排出され、したがって掘
削土導入用空間部９内に滞留したり、詰まったりするこ
とはない。尚、内ケーシング部８内には予め砂を充填し
ておき、そして後述するケーシング５の引き上げに従っ
て逐次砂を供給してゆく。

【００１３】上記のようにして、ケーシング５により地
中所要深さまで掘孔したならば（図８参照）、各エア供
給パイプ１２へのエアの供給を停止し、各エアノズル１
１からの圧力エアの噴出を止める。また起振機６も一旦
作動を停止させる。そして、昇降用ワイヤー４を上昇操
作して、ケーシング５を図９に示すように所定ストロー
ク２Ｌ、例えば１メートル上昇させる。このケーシング
５の上昇に伴い、図７及び図９に示すように、内ケーシ
ング部開閉用蓋１３が開き、内ケーシング部８内の砂が
下端から排出され、それによって砂杭Ｐが形成されてゆ
く。

【００１４】前記ケーシング５が所定ストローク上昇し
たならば、昇降用ワイヤー４の上昇操作を停止して繰り
出し操作に移り、前記起振機６を再び作動させてケーシ
ング５を上下振動させながら、前記昇降ストロークより
も短いストロークＬ、例えば０．５メートルだけ下降さ
せる。このケーシング下降時には内ケーシング部開閉用
蓋１３は閉じる。

【００１５】上記のように、ケーシング５を所定ストロ
ーク２Ｌだけ一旦上昇させた後、このケーシング５を所
定ストロークＬ下降させることにより、当初形成された
砂杭Ｐが圧縮されると同時に掘孔１４が押し広げられ
て、図１０に示すように、圧密された径大の圧密杭２Ｐ
が形成される。この場合、例えば、内ケーシング部８の
外径を７０センチメートル、外ケーシング部７の外径を
９０センチメートルとすれば、当初形成される砂杭Ｐの
外径ｄは９５センチメートル程度であるが、圧密された
杭２Ｐの外径は１２０センチメートル程度まで拡大す
る。

【００１６】このようにして圧密杭２Ｐを一定長さ
（Ｌ）だけ形成したならば、起振機６の作動を停止さ
せ、昇降用ワイヤー４を再び上昇操作して、前記同様
に、ケーシング５を前記昇降ストローク２Ｌ分だけ昇降
させ、その後ケーシング５を前記下降ストロークＬだけ
下降させて、前記圧密杭２Ｐに連続する圧密杭を形成し
てゆく。以降も、前述と同様の工程を繰り返し、最終的
にケーシング５を地上に引き上げたときには砂杭全体が
圧密杭となる。

【００１７】この実施例では、ケーシング５の引き上げ
過程における当該ケーシング５の下降ストロークを上昇
ストロークの２倍としたが、上昇及び下降ストロークは
それぞれ任意に設定することができる。また実施例で
は、ケーシング５を起振機６で上下振動させることによ
り打ち込みを行うようにしているが、このケーシング５
は、ドロップハンマや気動ハンマ等により、あるいは回
転駆動手段にてケーシング５を回転させながら、打ち込
みを行わせることもできる。

【００１８】

【発明の作用及び効果】本発明によれば、ケーシングに
よって地盤を掘孔してゆくと、その掘削土はケーシング
下端より掘削土導入用空間部内に導入され、この導入さ
れた掘削土は掘削土導入用空間部内のエア噴出手段によ
り外ケーシング部の各掘削土排出孔からケーシング外部
に強制排出されて、掘孔の壁面に付着される。こうして
ケーシングにより地中所要深さまで掘孔したならば、こ
のケーシングを所定ストローク上昇させながら、内ケー
シング部内に供給した砂をその下端より掘孔内に排出し
して、砂杭を形成してゆく。そしてケーシングを所定ス
トローク上昇させた後、このケーシングを所定ストロー
クだけ下降させることにより、当初形成された前記砂杭
が圧縮されると同時に掘孔が押し広げられて、前記砂杭
は圧密された径大の圧密杭となる。以降、ケーシングを
上記昇降ストロークの繰り返しにより引き上げてゆくこ
とによって、地中に圧密杭を造成する。

【００１９】このように本発明によれば、ケーシングに
よる掘孔中に掘削土を掘削土導入用空間部内に強制導入
させて掘削土排出孔から排出させるため、ケーシングの
打ち込み速度が速めることができ、それによって造成作
業能率の向上を図ることできる。この場合、掘削土排出
孔から排出した掘削土は掘孔壁面に付着されるので、掘
孔壁面の崩壊を防止できる。また、ケーシングの引き上
げ時にケーシングを所定ストロークで昇降させることに
より、砂杭が十分に突き固められると共に、掘孔の径が
拡大され、それによって圧密された径大の強固な圧密杭
を造成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す圧密杭造成装置の全体概
略側面図である。

【図２】ケーシングの側面図である。

【図３】ケーシングの縦断面図である。

【図４】図２のＸ−Ｘ線拡大断面図である。

【図５】図２のＹ−Ｙ線拡大断面図である。

【図６】ケーシングの打ち込み時の態様を示す断面図で
ある。

【図７】ケーシングの引き上げ時の態様を示す断面図で
ある。

【図８】ケーシングの打ち込みによる掘孔の終了時の状
態を示す断面図である。

【図９】ケーシングの引き上げ過程における上昇工程を
示す断面図である。

【図１０】ケーシングの引き上げ過程における下降工程
を示す断面図である。

【符号の説明】

１ リーダ ４ 昇降用ワイヤー ５ ケーシング ６ 起振機 ７ 外ケーシング部 ８ 内ケーシング部 ９ 掘削土導入用空間部 １０ 掘削土排出孔 １１ エアノズル（エア噴出手段） １３ 内ケーシング部開閉用蓋 １４ 掘孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外ケーシング部と砂投入用の内ケーシン
   グ部との間に両ケーシング部の下端より掘削土を導入す
   るための空間部を形成し、前記外ケーシング部に掘削土
   排出孔を設けると共に、この排出孔より圧力エアを噴出
   させるエア噴出手段を前記掘削土導入用空間部内に設
   け、前記内ケーシング部の底部にはケーシング打ち込み
   時に土圧で閉じ引き上げ時に開く内ケーシング部開閉用
   蓋を備えて成るケーシングによって、前記エア噴出手段
   からの圧力エアを前記掘削土排出孔よりケーシング外に
   噴出させつつ地中所要深さまで掘孔した後、前記内ケー
   シング部下端より杭造成用の砂を排出させながら、前記
   ケーシングを所定ストローク上昇させ、その後このケー
   シングを所定ストロークで下降させ、この昇降ストロー
   クの繰り返しにより前記ケーシングを引き上げて、地中
   に圧密杭を造成することを特徴とする地中圧密杭の造成
   方法。
2. 【請求項２】 リーダに昇降可能に吊支されるケーシン
   グを、外ケーシング部とこの中に同心状に固定された内
   ケーシング部とで構成し、これら内外両ケーシング部間
   にその下端より掘削土を導入するための掘削土導入用空
   間部を形成し、前記外ケーシング部に掘削土排出孔を設
   けると共に、この掘削土排出孔より圧力エアを噴出させ
   るためのエア噴出手段を前記掘削土導入用空間部内に設
   け、前記内ケーシング部の底部には、ケーシングの打ち
   込み時に土圧で閉じ引き上げ時に開く内ケーシング部開
   閉用蓋を設けて成ることを特徴とする地中圧密杭の造成
   装置。