JPH0647964Y2 - グラベル杭造成装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、軟弱地盤中にケーシングを回転させながら貫
入し、引き抜き時に、ケーシング内に供給されている砂
利、砕石、砂等のグラベルをケーシング下端より排出し
つつ、地盤中にパイル状のグラベル杭を造成するように
したグラベル杭造成装置に関するもので、特に、ケーシ
ングの回転中にグラベルが共廻りするのを防止するため
に、回転ケーシング内に、これとは別のケーシングであ
って上端部にグラベル供給用のホッパーを連設した固定
ケーシングを挿入配備したグラベル杭造成装置に関す
る。

（従来技術及びその問題点） この種のグラベル杭造成装置は、リーダに吊支される機
枠と、機枠の下部に回転自在に垂下されていて下端部に
底蓋が開閉自在に装着されている回転ケーシングと、機
枠に設けられて回転ケーシングを駆動する回転駆動手段
と、回転ケーシング内に挿入されていて上端部にグラベ
ル供給用のホッパーが連設されている固定ケーシング
と、からなるもので、回転ケーシングの下端部に装着し
てある底蓋は装置全体が地上に吊り下げられている状態
では自重により開放していて、回転ケーシングが地面に
接地することによって自動的に閉じ、そして閉じたまま
地盤中に貫入され、回転ケーシングの引き抜き時に開放
するようになっている。ところが、回転ケーシングの引
き抜きにあたってこれを逆転させる際にこの回転ケーシ
ング外周面のスパイラル羽根間の土砂が埋戻され、この
埋戻される土砂により底蓋が外側から押さえつけられ排
出口を狭めようとするために、固定ケーシング下端から
のグラベルの吐き出しが十分に行えないという問題があ
った。

また、従来装置では、固定ケーシング内のグラベルをケ
ーシング引き抜き時にグラベルの自重によってのみ固定
ケーシング下端から排出させるようにしているために、
地盤中に形成されるクラベル杭の密度が不均一となり易
い問題があった。

本考案は上記の問題点を解決することを目的としてなさ
れたものである。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、リーダに吊支さ
れる機枠１と、機枠１の下部に回転自在に垂下されてい
て下端部に底蓋４が開閉自在に装着されている回転ケー
シング２と、機枠１に設けられて回転ケーシング２を駆
動する回転駆動手段３と、回転ケーシング２内に挿入さ
れていて上端部にグラベル供給用のホッパー７が連設さ
れている固定ケーシング５と、からなるグラベル杭造成
装置において、固定ケーシング５が機枠１に設けられた
上下駆動手段６により所定ストローク上下動し、下動時
に該固定ケーシング下端部が回転ケーシング２より突出
するようになっており、この固定ケーシング５内には振
動棒９が挿入されていて、その上端部が固定ケーシング
５内の上端部に設けられた振動機10に連結されているこ
とを特徴としている。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面にもとづいて説明する。

第１図に示すグラベル杭造成装置において、１はクロー
ラクレーン等に立設されたリーダ（図示省略）に昇降自
在に吊支される機枠で、この機枠１の下部に円筒状の回
転ケーシング２が回転自在に垂下連設され、この回転ケ
ーシング２は機枠１内に配備された両側一対の回転駆動
装置3,3（回転駆動手段）によって回転されるようにな
っており、そしてこの回転ケーシング２の下端部には底
蓋４が開閉自在に装着されている。５は回転ケーシング
２内に挿入された固定ケーシングで、固定ケーシング本
体5aとこれの上端部に連結された上部管5bとからなる。
この固定ケーシング５は機枠１内に設置された両側一対
の油圧シリンダ6,6（上下駆動手段）によって所定スト
ローク上下動できるようになっている。すなわち、この
固定ケーシング５は、常時はその下端が回転ケーシング
２の下端よりも内方へ（上方へ）引っ込んだ位置（第１
図に一点鎖線で示す）に保持されていて、地盤中での回
転ケーシング２の引き上げ時に油圧シリンダ6,6の作動
により下動して下端部が回転ケーシング２の下端より突
出し、それによって底蓋４を強制的に押し開くようにな
っている。７は固定ケーシング５の上部管5bに設けてあ
る分岐管5cに連設された砂供給用のホッパーで、このホ
ッパー７より固定ケーシング５内に砂利、砕石、砂等の
グラベルが供給される。そして固定ケーシング５の上部
管5bの上端は固定蓋板5dによって閉塞され、また分岐管
5c内には固定ケーシング５内部を密閉するための開閉弁
８が設けてある。この開閉弁８は一端部が分岐管5aの内
壁に枢着されていて、常時はばね（図示省略）により一
点鎖線図示のような閉鎖位置に付勢されており、ホッパ
ー７より投入されるグラベルの重量により実線図示のよ
うに下向きに回動して開放するようになっている。尚、
この開閉弁８はエアーシリンダ等を開閉駆動手段として
開閉作動させるようにしてもよいし、また常時は自重に
より開放位置に保持させておいて閉鎖時に圧力エアーを
弁板に作用させて閉鎖するようにしてもよい。またこの
開閉弁８は分岐管5cではなく固定ケーシング５内の所要
箇所に適宜に設けることができる。

９は固定ケーシング５内に挿入されて該固定ケーシング
５の下端付近まで延びている振動棒で、これの上端部に
は該振動棒９に縦振動を与える振動機10が連結されてお
り、そしてこの振動棒９それ自体は、上部管5b内に設け
てある支持枠11に挿通されていると共に、この支持枠11
と振動棒９上端のフランジ12との間に介装されたコイル
ばね13によって弾性的に支持されている。14は先端部の
供給口14aより固定ケーシング５内部に圧縮空気を供給
する可撓性の空気供給管（空気供給手段）であり、また
15は固定ケーシング５の下端付近で先端ノズル部15aか
ら空気ジェットを下向きに噴射させるための空気ジェッ
トパイプで、固定ケーシング５の内側面に沿って配管さ
れ、その上端部は上記空気供給口14aの近傍から外方へ
延出している可撓性ホース21に連結されている。16は固
定ケーシング５の上部管5bに設けられた急速排気弁で、
固定ケーシング５内の加圧空気を必要時に急速排気でき
るものである。

前記回転ケーシング２の上端部は機枠１に回転自在に支
持された連結部材17に一体連結され、この連結部材17に
大ギヤ18が固装されていて、この大ギヤ18に各回転駆動
装置３の小ギヤ19が噛合している。また、固定ケーシン
グ５を上下駆動させる各油圧シリンダ６はそのシリンダ
本体6a側が機枠１に取付けられ、ピストンロッド6bの先
端部側が固定ケーシング５に連結されている。底蓋４
は、内部が空洞状の逆円錐体を縦に二分割して形成され
るような二つの半割体4a,4aからなるもので、各半割体4
aの上端部側が回転ケーシング２の下端に枢着されてい
て、装置全体が地上に宙吊りされているような状態では
自重によって第１図の実線で示すように開放しており、
そして回転ケーシング２が地盤中に貫入される際に地面
に接地することにより同図の一点鎖線で示すように逆円
錐状に自動閉止するようになっている。また、この回転
ケーシング２の外周面にはスクリュー2aが設けられてい
る。前記空気供給管14及び可撓性ホース21はそれぞれエ
アーコンプレッサに接続されている。尚、第１図中20は
固定ケーシング５をスライド可能に支持するためのケー
シングガイドで、このケーシング５の外周面を囲繞する
ように複数個（三個又は四個）設けてある。

次に、上述したような構成を有するグラベル杭造成装置
の操作を第２図（イ）〜（ヘ）に従って説明すると、先
ず機枠１をリーダ（図示省略）の頂部より適当高さに懸
吊支持し、そして回転駆動装置3,3を作動させて回転ケ
ーシング２を正転させながら、昇降操作用ワイヤー（図
示省略）を繰り出しつつ回転ケーシング２を固定ケーシ
ング５と共に地盤中に貫入してゆき、この貫入中に、グ
ラベルＧをホッパー７より固定ケーシング５内に投入す
る（第２図（イ），（ロ）参照）。回転ケーシング２が
所定深さに達したら、その回転を停止すると共に、昇降
操作ワイヤーの繰り出しを停止し、回転ケーシング２の
引き抜き操作に移る。この引き抜き操作にあたり、空気
供給管14により固定ケーシング５内部へ圧縮空気を供給
して内圧を高める（第２図（ハ）参照）。このとき開閉
弁８は閉まっている。そして、回転ケーシング２を逆転
させ前記昇降操作用ワイヤーを巻き取りながらこの回転
ケーシング２を引き抜くと同時に、油圧シリンダ6,6に
より固定ケーシング５を下動させて底蓋４を強制的に押
し開く（第２図（ニ）参照）。またこのとき振動機10を
作動して振動棒９に縦振動を与えると共に、空気ジェッ
トパイプ15の先端ノズル部15aより空気ジェットを噴射
させる。こうして回転ケーシング２を引き抜きながら、
固定ケーシング５下端よりグラベルＧを地盤中へ排出し
て、グラベル杭Ｐを造成する（第２図（ニ）〜（ヘ）参
照）。このような回転ケーシング２の引き抜きによるグ
ラベル杭Ｐの造成中において、回転ケーシング２の逆転
によって埋戻される土砂のために底蓋４が外側から押さ
えつけられて排出口を狭めようとするが、回転ケーシン
グ２の逆転引き抜きと同時に固定ケーシング５が回転ケ
ーシング２下端より突出するため、底蓋４は引き抜き開
始から終了まで開放状態を完全に維持できて、固定ケー
シング５下端からのグラベルＧの排出を確実に行わせる
ことができる。また、振動棒９によって、固定ケーシン
グ５内に充填されたグラベルＧが固定ケーシング５の下
端付近で縦振動されるため、このグラベルＧは密度が均
一化し密実なものとなって地盤中へ排出され、それによ
って均質で強固なグラベル杭Ｐとなる。そして、固定ケ
ーシング５内に供給される圧縮空気によって、引き抜き
時におけるグラベルＧの自重落下が促進されて固定ケー
シング５からの排出を容易にすると共に、固定ケーシン
グ５下端からの逆浸透水流を阻止することができる。更
に、固定ケーシング５の下端付近で空気ジェットが噴射
されることにより、上記圧縮空気の作用と相俟って固定
ケーシング５からのグラベルＧの排出が一層容易とな
る。

尚、造成の途中でグラベルＧが不足した場合には、一旦
造成作業を停止してグラベルＧを補給する（第２図
（ニ）参照）。

この実施例においては、固定ケーシングを上下動させる
駆動手段として油圧シリンダを使用したが、これに限る
ものではなく、エアーシリンダ、空気ばね装置、ラック
・ピニオン式駆動装置等を採用することができる。ま
た、振動棒は適当な保護管の中に挿通させた状態に設け
ることができる。

（考案の効果） 本考案によれば、固定ケーシングを上下駆動手段によっ
て上下動させることができるため、ケーシング引き抜き
時に固定ケーシングを下動させて回転ケーシング下端よ
り所要長さ突出させることにより、回転ケーシングの逆
転引き抜きによって埋戻される土砂のために外側から押
さえつけられて閉まろうとする底蓋を、引き抜き開始時
から終了まで開放状態に完全に維持できて、固定ケーシ
ングからのグラベルの排出を確実に行わせることができ
る。

また本考案にあっては、固定ケーシング内に振動棒を挿
入して、充填されるグラベルをケーシング下端付近で縦
振動させるようにしているため、地盤中へ排出されるグ
ラベルの密度が均一化し密実なものとなり、均質で強固
なグラベル杭を造成することができる。特に、この振動
棒に縦振動を与える振動機を固定ケーシング内の上端部
に設けているため、機械的なトラブルの発生が少なく、
そして固定ケーシングの上端を閉塞することにより振動
音を固定ケーシング内に封じ込めて、外部周辺への影響
をなくすることができる

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すグラベル杭造成装置の
縦断面図、第２図（イ）〜（ヘ）は同上の装置の使用に
よるグラベル杭の造成工程を示す説明図である。 １…機枠、２…回転ケーシング、３…回転駆動装置（回
転駆動手段）、４…底蓋、５…固定ケーシング、６…油
圧シリンダ（上下駆動手段）、７…グラベル供給用のホ
ッパー、８…開閉弁、９…振動棒、10…振動機、14…空
気供給管（空気供給手段）、15…空気ジェットパイプ。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リーダに吊支される機枠と、機枠の下部に
   回転自在に垂下されていて下端部に底蓋が開閉自在に装
   着されている回転ケーシングと、機枠に設けられて回転
   ケーシングを駆動する回転駆動手段と、回転ケーシング
   内に挿入されていて上端部にグラベル供給用のホッパー
   が連設されている固定ケーシングと、からなるグラベル
   杭造成装置において、固定ケーシングは機枠に設けられ
   た上下駆動手段により所定ストローク上下動し、下動時
   に該固定ケーシング下端部が回転ケーシングより突出す
   るようになっており、この固定ケーシング内には振動棒
   が挿入されていて、その上端部が固定ケーシング内の上
   端部に設けられた振動機に連結されていることを特徴と
   するグラベル杭造成装置。
2. 【請求項２】固定ケーシングには、該固定ケーシング内
   部に圧縮空気を供給する空気供給手段、及び固定ケーシ
   ング内部を密閉する開閉弁が設けられていることを特徴
   とする請求項１記載のグラベル杭造成装置。
3. 【請求項３】固定ケーシング内には、該固定ケーシング
   下端付近で空気ジェットを下向きに噴射させるための空
   気ジェットパイプが配管されていることを特徴とする請
   求項１記載のグラベル杭造成装置。