JP7221742B2 - パルスmag多層盛溶接方法 - Google Patents
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Description
Cは、固溶強化により溶接金属の強度を向上させるために必要な元素である。Cが0.03%未満であると、必要な溶接金属の強度が得られない。一方、Cが0.20%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、靭性が低下する。またCが0.20%を超えると、高温割れ感受性が高くなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でCは0.03~0.20%とする。なお、Cは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属粉及び合金粉等から添加できる。
Siは、溶接金属の脱酸及び溶接金属の強度確保のために添加する。Siが0.4%未満であると、溶接金属が脱酸不足となって溶接金属の靭性が低下するとともに、必要な溶接金属の強度が得られない。一方、Siが1.5%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、靭性が安定して得られない。また、Siが1.5%を超えると、溶接時に生成するスラグ量が増加してスラグ巻き込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でSiは0.4~1.5%とする。なお、Siは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Si、Fe-Si、Fe-Si-Mn等の合金粉から添加できる。
Mnは、溶接金属の靭性確保と強度向上のために添加する。Mnが1.5%未満であると、溶接金属の強度が低く、靭性が十分に確保できなくなる。一方、Mnが3.0%を超えると、溶接金属の靭性が安定して得られず、また生成スラグ量が増加してスラグ巻き込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でMnは1.5~3.0%とする。なお、Mnは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Mn、Fe-Mn、Fe-Si-Mn等の合金粉末から添加できる。
Cuは、析出強化作用を有し、変態温度を低下させて溶接金属の組織を微細化して靭性を安定させる。Cuが0.05%未満であると、安定した溶接金属の靭性が得られない。一方、Cuが0.5%を超えると、析出脆化が生じて溶接金属の靭性が低下するとともに、高温割れが発生しやすくなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でCuは0.05~0.5%とする。なお、Cuは、鋼製外皮に含まれる成分及びフラックス入りワイヤ表面に施したCuめっき分の他、フラックスからの金属Cu、Fe-Si-Cu等の合金粉から添加できる。
Tiは、脱酸剤として作用するとともに、溶接金属中にTiの微細酸化物を生成して溶接金属の靭性をより向上させる。Tiが0.1%未満であると、その効果が十分に得られず、溶接金属の靭性が低下する。一方、Tiが0.5%を超えると、溶接金属中の固溶Tiが多くなり、溶接金属の靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でTiは0.1~0.5%とする。なお、Tiは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Ti、Fe-Ti等の合金粉から添加できる。
Moは、大入熱及び高パス間温度の溶接施工条件で、溶接金属の強度を確保する上で重要な元素である。Moが0.15%未満であると、この効果が十分に得られず、大入熱及び高パス間温度での溶接施工条件で溶接金属の必要な強度が得られない。一方、Moが0.50%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、靭性が安定して得られない。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でMoは0.15~0.50%とする。なお、Moは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Mo粉から添加できる。
Bは、大入熱及び高パス間温度での溶接施工条件での溶接金属の組織を微細化して靭性を向上させる。Bが0.0015%未満であると、その効果が十分に得られず、大入熱及び高パス間温度での溶接施工条件で溶接金属の靭性が低下する。一方、Bが0.0100%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなるとともに、粒界が脆化して溶接金属の靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でBは0.0015~0.0100%とする。なお、Bは、鋼製外皮に含まれる成分の他、Fe-Si-B、Fe-Mn-B等の合金粉から添加できる。
Alは、0.01%を超えると、溶接金属中に酸化物となって残留し、溶接金属の靭性を低下させる。またAlは、0.01%を超えると、アークが不安定となり、スパッタ発生量が増加する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計で含有量は0.01%以下とする。なお、Alは必須の成分ではなく、含有率が0%でもよい。
Si酸化物は、溶融スラグの粘性を高め、スラグ被包性を向上させビード止端部をなじみやすくしてビード外観を良好にする。Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.01%未満であると、溶接ビードのビード止端部のなじみが悪くなり、ビード外観が不良となる。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.20%を超えると、溶接金属中の酸素量が増加して靭性が低下する。また、Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.20%を超えると、スラグ量自体が多くなってスラグ巻き込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、フラックス中のSi酸化物のSiO2換算値の合計は0.01~0.20%とする。なお、SiO2は、フラックスからの珪砂、珪酸ソーダ及び珪酸カリウムからなる水ガラスの固質成分等から添加できる。
金属弗化物は、アークを集中させて安定させる効果を有する。金属弗化物のF換算値の合計が0.01%未満では、この効果が十分に得られず、アークが不安定でスパッタ発生量が多くなる。一方、金属弗化物のF換算値の合計が0.10%を超えると、アークが荒く不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。従って、フラックス中の金属弗化物のF換算値の合計は0.01~0.10%とする。なお、金属弗化物は、フラックスからのCaF2、NaF、LiF、MgF2、K2SiF6、Na3AlF6、AlF3等から添加でき、F換算値はそれらに含有されるF量の合計である。
Na化合物及びK化合物は、アークをソフトにして安定にする。Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.02%未満であると、アークが不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。一方、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.15%を超えると、アークが強くなりすぎて不安定となってスパッタ発生量が多くなる。また、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.15%を超えると、ビード止端部のなじみが悪くなってビード外観が不良となるとともに、生成するスラグ量が多くなってスラグ巻き込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、フラックス中のNa化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計は0.02~0.15%とする。なお、Na化合物及びK化合物は、珪酸ソーダ及び珪酸カリウムからなる水ガラスの固質成分、K2SiO3、Na2SiO3、NaF、K2SiF6等の粉末から添加できる。
また、フラックス充填率は特に限定しないが、生産性の観点からワイヤ全質量に対して5~20%とするのが好ましい。
パルスピーク電流(Ip)は、パルス上部のピーク電流値であり、溶滴の離脱に影響するパラメータである。パルスピーク電流(Ip)が460A未満では、電磁ピンチ効果による溶滴の離脱がスムーズに行われなくなって1パルス1ドロップでの溶滴移行ができなくなり、アークが不安定となってスパッタ発生量が多くなるとともに、ビード外観が不良になる。一方、パルスピーク電流(Ip)が550Aを超えると、スパッタ発生量が多くなる。従って、パルスピーク電流(Ip)は460~550Aとする。
パルスベース電流(Ib)は、パルス下部のベース電流値であり、このベース期間でアークを保持できる電流値が必要となる。パルスベース電流(Ib)が40A未満では、アークが不安定となってスパッタ発生量が多くなる。一方、パルスベース電流(Ib)が80Aを超えると、溶滴の離脱が速やかに行われず、アークが不安定となってスパッタ発生量が多くなる。従って、パルスベース電流(Ib)は40~80Aとする。
パルスピーク幅(Tp)は、ピーク電流の保持時間であり、溶滴の離脱に影響するパラメータである。パルスピーク幅(Tp)が0.7msec未満では、電磁ピンチ効果による溶滴の離脱がスムーズに行われなくなって1パルス1ドロップでの溶滴移行ができなくなり、スパッタ発生量が多くなる。一方、パルスピーク幅(Tp)が2.0msecを超えると、溶滴の離脱を行うための電磁ピンチ力が過剰になり、ピーク電流領域内で溶滴が移行してしまうため、スパッタが大粒化してスパッタ発生量が多くなる。従ってパルスピーク幅(Tp)は0.7~2.0msecとする。
JIS G3141に規定されるSPCCを鋼製外皮(C:0.01~0.05%)として使用し、鋼製外皮を成形する工程でU字型に成形した後、鋼製外皮の合わせ目を溶接した継目が無いワイヤを造管して伸線し、表1に示す各種成分のフラックス入りワイヤを試作した。ワイヤ径は1.2mmとした。
Claims (1)
- パルスMAG多層盛溶接方法において、
ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、
C:0.03~0.20%、
Si:0.4~1.5%、
Mn:1.5~3.0%、
Cu:0.05~0.5%、
Ti:0.1~0.5%、
Mo:0.15~0.50%、
B:0.0015~0.0100%を含有し、
Al:0.01%以下であり、
さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に、
Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.01~0.20%、
金属弗化物のF換算値の合計:0.01~0.10%、
Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計:0.02~0.15%を含有し、残部が鋼製外皮のFe、鉄粉、鉄合金粉のFe分及び不可避不純物からなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを用いて、
パルスピーク電流(Ip):460~550A、
パルスベース電流(Ib):40~80Aとし、
パルスピーク幅(Tp):0.7~2.0msecのパルスを付加して多層盛溶接することを特徴とするパルスMAG多層盛溶接方法。
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