JP6951285B2 - パルスmag多層盛溶接方法 - Google Patents
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Description
Cは、固溶強化により溶接金属の強度を向上させるために必要な元素である。Cが0.05%未満であると溶接金属の強度が得られない。一方、Cが0.18%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、靭性が低下する。またCが0.18%を超えると、高温割れ感受性が高くなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でCは0.05〜0.18%とする。なお、Cは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属粉及び合金粉等から添加できる。
Siは、溶接金属の脱酸及び溶接金属の強度確保のために添加する。Siが0.4%未満であると、溶接金属が脱酸不足となり、溶接金属の強度及び靭性が低下する。一方、Siが1.5%を超えると、溶接金属の強度が過剰に高くなり、靭性が安定して得られない。またSiが1.5%を超えると、溶接時に生成するスラグ量が増加してスラグ巻込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でSiは0.4〜1.5%とする。なお、Siは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Si、Fe−Si、Fe−Si−Mn等の合金粉から添加できる。
Mnは、溶接金属の靭性確保と強度向上のために添加する。Mnが1.5%未満であると、溶接金属の強度が低く、靭性が十分に確保できなくなる。一方、Mnが2.5%を超えると、溶接金属の靭性が安定して得られず、また生成スラグ量が増加してスラグ巻込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でMnは1.5〜2.5%とする。なお、Mnは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Mn、Fe−Mn、Fe−Si−Mn等の合金粉末から添加できる。
Cuは、析出強化作用を有し、変態温度を低下させ溶接金属の組織を微細化して靭性を安定させる。Cuが0.05%未満であると、安定した溶接金属の靭性が得られない。一方、Cuが0.5%を超えると、析出脆化が生じて溶接金属の靭性が低下し、また高温割れが発生しやすくなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でCuは0.05〜0.5%とする。なお、Cuは、鋼製外皮に含まれる成分及び鋼製外皮表面に施したCuめっき分の他、フラックスからの金属Cu、Fe−Si−Cu等の合金粉から添加できる。
Tiは、脱酸剤として作用するとともに、溶接金属中にTiの微細酸化物を生成し溶接金属の靭性をより向上させる。Tiが0.1%未満であると、溶接金属の靭性が低下する。一方、Tiが0.4%を超えると、溶接金属中の固溶Tiが多くなり、靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でTiは0.1〜0.4%とする。なお、Tiは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Ti、Fe−Ti等の合金粉から添加できる。
Alは、0.01%を超えると、溶接金属中に酸化物となって残留し、溶接金属の靭性を低下させる。またAlは、0.01%を超えると、アークが不安定となり、スパッタ発生量が増加する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計で含有量は0.01%以下とする。なお、Alは必須の成分ではなく、含有率が0%でもよい。
弗素化合物は、アークを集中させて安定させる効果がある。弗素化合物のF換算値の合計が0.01%未満では、この効果が得られず、アークが不安定でスパッタ発生量が多くなる。一方、弗素化合物のF換算値の合計が0.1%を超えると、アークが荒く不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。従って、フラックス中に含有する弗素化合物のF換算値の合計は0.01〜0.1%とする。なお、弗素化合物は、フラックスからのCaF2、NaF、LiF、MgF2、K2SiF6、Na3AlF6、AlF3等から添加でき、F換算値はそれらに含有されるF量の合計である。
フラックス中の珪砂やジルコンサンド、珪酸ソーダ等のSi酸化物は、溶融スラグの粘性を高めてスラグ被包性を向上させてビード止端部のなじみを良好にし、ビード外観を良好にする。SiO2が0.01%未満であると、溶接ビードのビード止端部のなじみが悪くなり、ビード外観が悪くなる。一方、SiO2が0.2%を超えると、溶接金属中の酸素量が増加して靭性が低下する。またSiO2が0.2%を超えると、スラグ量が多くなり、スラグ巻込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、フラックス中に含有するSiO2は0.01〜0.2%とする。なお、SiO2は、フラックスからの珪砂、珪酸ソーダ及び珪酸カリウムからなる水ガラスの固質成分等から添加できる。
Na化合物及びK化合物は、アークをソフトにして安定にする。Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.02%未満であると、アークが不安定になり、スパッタ発生量が多くなる。一方、Na化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.15%を超えると、アークが強くなりすぎて不安定でスパッタ発生量が多くなる。またNa化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計が0.15%を超えると、ビード止端部のなじみが悪くなり、ビード外観が不良となり、さらに、生成スラグ量が多くなり、スラグ巻込み等の溶接欠陥が発生しやすくなる。従って、フラックス中に含有するNa化合物及びK化合物のNa2O換算値とK2O換算値の合計は0.02〜0.15%とする。なお、Na化合物やK化合物は、珪酸ソーダ及び珪酸カリウムからなる水ガラスの固質成分、K2SiO3、Na2SiO3、NaF、K2SiF6等の粉末から添加できる。
パルスピーク電流(Ip)が460A未満では、電磁ピンチ効果による溶滴の離脱がスムーズに行われなくなり、不均一なビードとなる。またパルスピーク電流(Ip)が460A未満では、アークが不安定でスパッタ発生量が多くなる。一方、パルスピーク電流(Ip)が550Aを超えると、アーク力によりスパッタ発生量が多くなる。従って、パルスピーク電流(Ip)は460〜550Aとする。
パルスベース電流(Ib)は、ベース期間でアークを保持できる電流値が必要となる。パルスベース電流(Ib)が40A未満では、アークが不安定となりスパッタ発生量が多くなる。一方、パルスベース電流(Ib)が80Aを超えると、溶滴の離脱が速やかに行われず、アークが不安定でスパッタ発生量が多くなる。従って、パルスベース電流(Ib)は40〜80Aとする。
パルスピーク幅(Tp)が0.5msec未満では、電磁ピンチ効果による溶滴の離脱がスムーズに行われなくなり、スパッタ発生量が多くなる。一方、パルスピーク幅(Tp)が2.0msecを超えると、溶滴の離脱を行うための電磁ピンチ力が過剰になるため、ピーク電流領域で溶滴が移行してしまうので、大粒のスパッタが増加する。従ってパルスピーク幅(Tp)は0.5〜2.0msecとする。
Claims (1)
- パルスMAG多層盛溶接方法において、
ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、
C:0.05〜0.18%、
Si:0.4〜1.5%、
Mn:1.5〜2.5%、
Cu:0.05〜0.5%、
Ti:0.1〜0.4%を含有し、
Al:0.01%以下であり、
さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に、
SiO2:0.01〜0.2%、
金属弗化物のF換算値の合計:0.01〜0.1%、
Na化合物及びK化合物のNa2O換算値及びK2O換算値の合計:0.02〜0.15%を含有し、残部が鋼製外皮のFe、鉄粉、鉄合金粉のFe分及び不可避不純物からなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを用いて、
パルスピーク電流(Ip):460〜550A、
パルスベース電流(Ib):40〜80A、
パルスピーク幅(Tp):0.5〜2.0msecのパルスを付加して多層盛溶接することを特徴とするパルスMAG多層盛溶接方法。
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