JP2008049357A - ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ソリッドワイヤの高溶着性および低スラグ発生量とフラックス入りワイヤの安定した溶接作業性等とを備え、スパッタ発生量が極めて少なく溶接金属の機械的性能も優れたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供する。
【解決手段】 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、前記鋼製外皮および充填フラックスにC:0.02〜0.15%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.8〜2.5%、Ti:0.05〜0.35%を含有し、充填フラックスに希土類化合物の1種または2種以上を希土類元素換算値で0.1〜0.8%を含み、フラックス充填率が4〜10質量%であることを特徴とする。また、鋼製外皮および充填フラックスにMo:0.1〜0.5%、B:0.001〜0.01%を含むことも特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、建築、橋梁、造船等における各種鋼構造物の溶接に用いるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関し、アーク状態が良好でスパッタ発生量が極めて少なくスラグ剥離性が良好であるなど溶接作業性および機械的性能の優れたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。
ガスシールドアーク溶接用ワイヤにはソリッドワイヤおよびフラックス入りワイヤがあり用途に応じて使い分けされている。
ソリッドワイヤは使用目的に応じて成分調整がなされた各種のワイヤが開発され、JIS Z3312、他に規格化されて一般的に使用されている。また、フラックス入りワイヤはスラグ系と総称されているスラグ成分を主に充填したワイヤとメタル系と総称されている主に金属成分を充填したメタル系フラックス入りワイヤが多数開発されており、JIS Z3313、他に規格化されている。
しかしながら、ソリッドワイヤは、さらなる溶接作業性を改善するためにアーク安定剤を必要とする場合、そのアーク安定剤を含有させることができない。また、スラグ系のフラックス入りワイヤにおいては、充填フラックスの改良で溶接作業性の良好なワイヤが多数実用化されている。しかし、これらは溶接スラグ量およびヒューム発生量の過多などの問題がある。また、メタル系フラックス入りワイヤにおいては、アークの安定性および生産性に問題がある。
そこで、本出願人は先に提案したように、フラックスの充填率を低くしアーク安定剤を限定することによって、ソリッドワイヤの高溶着性および低スラグ発生量とフラックス入りワイヤの安定した溶接作業性を備えたフラックス入りワイヤを見出した(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかし、これらは全姿勢溶接における低電流から高電流条件での溶接や2電極による溶接など広範囲の溶接条件全てに適用できるものではなく、特に中電流(ワイヤ径1.2mmで250A程度)での溶接や2電極で溶接した場合は溶滴が大きくなりスパッタ発生量が多くなり満足できるものではなかった。
溶滴を小さくする手段として、シールドガスをArにCOを10〜20%混合したガスを用いることによって、溶滴が小さくスプレー移行となりスパッタ発生量を低減することが可能で、スラグ生成量の低減にも効果がある。
しかし、Arガスは高価であり溶接の高能率化によるコスト低減の効果がなくなる。また、ブローホールが生じやすいという問題もある。
また、炭酸ガスを用いてスパッタ発生量を低くする手段として、メタル系フラックス入りワイヤのC量の低減、アルカリ・アルカリ土類金属の添加およびフラックス充填率の増加により図る技術の提案がある(例えば、特許文献4参照)。
しかし、前述のように特許文献4に記載のメタル系フラックス入りワイヤでは、アークの安定性および生産性に問題がある。
一方、溶接施工の能率向上を図るため、大入熱および高パス間温度の溶接施工条件に対応する炭酸ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤが開発され、JIS Z3312 YGW18に規定されている。この炭酸ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤを使用すると490N/mm級高張力鋼に対して、最大入熱を40kJ/cmでは最高パス間温度を350℃の溶接施工条件が許容される。
大入熱・高パス間温度対応の炭酸ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤは、所定の機械的性質を有する溶着金属を得るために、相対的に多量の合金元素が添加されている。例えば、炭酸ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤは、Si、MnやTiの脱酸成分を従来の炭酸ガスシールドアーク溶接用ソリッドより多く含有し、またMo、B、Crなどを必要に応じて積極的に添加しているのが特徴である(例えば、特許文献5〜7参照)。
しかしながら、近年さらなる溶接施工の能率向上のため、2電極での大入熱および高パス間温度の溶接施工が検討されているが、前述の炭酸ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤではアークが不安定でスパッタ発生量が多く満足できるものではなかった。
特開2001−334390号公報 特開2001−334391号公報 特開2001−287087号公報 特開平7−116892号公報 特開平10−230387号公報 特開平11−90678号公報 特開2001−287086号公報
本発明は、小電流から高電流の溶接条件で溶接した場合や2電極の大入熱さらに高パス間温度の溶接施工条件で溶接した場合においても、ソリッドワイヤの高溶着性および低スラグ発生量とフラックス入りワイヤの安定した溶接作業性等とを備え、スパッタ発生量が極めて少なく溶接金属の機械的性能も優れたガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
(1) 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、前記鋼製外皮および充填フラックスにC:0.02〜0.15%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.8〜2.5%、Ti:0.05〜0.35%を含有し、充填フラックスに希土類化合物の1種または2種以上を希土類元素換算値で0.1〜0.8%を含み、フラックス充填率が4〜10質量%であることを特徴とする。
(2) 鋼製外皮および充填フラックスにMo:0.1〜0.5%、B:0.001〜0.01%を含むことを特徴とする(1)記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(3) 充填フラックスにアーク安定剤としてTiO源をTiO換算値で1.2%以下、NaO源をNaO換算値で0.3%以下およびKO源をKO換算値で0.1%以下の1種または2種以上を合計で0.03〜1.4%含有することを特徴とする(1)または(2)に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(4) 鋼製外皮および充填フラックスのSおよび充填フラックスのBiの1種または2種の合計で0.007〜0.030%を含むことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、小電流から高電流の溶接条件で溶接した場合や2電極の大入熱さらに高パス間温度の溶接施工条件で溶接した場合においても、ソリッドワイヤの高溶着性および低スラグ発生量とフラックス入りワイヤの安定した溶接作業性等とを備え、スパッタ発生量が極めて少なく溶接金属の機械的性能が良好であるので、全姿勢溶接および厚板の2電極多層盛溶接への適用が可能になる。
本発明者らは、前記課題を解決するためにフラックス入りワイヤの成分組成につき種々検討した。
その結果、C、Si、MnおよびTiの調整で溶接金属の機械的性能を確保し、希土類化合物を適量添加することによって小電流から大電流の溶接条件や2電極での溶接時においても溶滴が細粒化されてスプレー移行となりスパッタ発生量が極めて少なくなることを見出した。さらに、フラックス充填率を低くすることによってスラグ生成量が少なく、深い溶け込みが得られることも見出した。
また、MoおよびBの添加によって2電極による大入熱および高パス間温度の溶接施工条件で多層盛溶接した場合においても溶接金属の機械的性能が良好で、TiO,NaOおよびKOの1種または2種からなるアーク安定剤を添加することによってアークが極めて安定し、さらにSおよび/またはBiを添加することによって多層盛溶接においてもスラグ剥離性が極めて良好であることを見出した。
以下に本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの成分組成の限定理由を述べる。
Cは0.02〜0.15質量%(以下、%という。)とする。Cは固溶強化による溶接金属の強度を調整する。Cが0.02%未満であると、必要な強度が得られない。一方、Cが0.15%を超えると強度が高くなり靭性が低下する。また、アークが強くなりスパッタ発生量が多くなる。
Siは0.3〜1.2%とする。Siは脱酸剤として作用し溶接金属の酸素量を低減する。Siが0.3%未満であると、多層盛溶接でブローホールが発生する。一方、Siが1.2%を超えると溶接金属中にSiが歩留り過ぎて靭性が低下する。
Mnは0.8〜2.5%とする。Mnは、溶接金属の脱酸を促進するとともに溶接金属の流動性を高めビード形状を改善する。Mnが0.8%未満であると、ビード形状が凸状になりやすく、また多層盛溶接でスラグ巻き込み欠陥が発生する。一方、Mnが2.5%を超えると溶接金属中にMnが歩留り過ぎて強度が高くなり靭性が低下する。
Tiは0.05〜0.35%とする。Tiは溶接金属の組織を微細にして靭性を向上させる。Tiが0.05%未満であると、溶接金属の組織が微細化されず靭性が低下する。一方、Tiが0.35%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靭性が低下する。
なお、C、Si、MnおよびTiは、鋼製外皮および充填フラックスの合計をいう。
充填フラックス中の希土類化合物の1種または2種以上を希土類元素換算値で0.1〜0.8%とする。希土類化合物は充填フラックスに含有させることによって、溶接時の溶滴を微細化する作用があり、溶滴がスプレー移行となりスパッタ発生量を極めて少なくする。その効果は、中電流条件での溶接や2電極溶接において顕著となる。希土類化合物の1種または2種以上の希土類元素換算値が0.1%未満であると、溶滴が大きくなりスパッタ発生量が多くなる。一方、希土類化合物の1種または2種以上の希土類元素換算値が0.8%を超えると、アークが不安定となりビード外観が不良となる。
なお、本発明にいう希土類元素とは、Sc、Yおよび原子番号57(La)乃至71(Lu)をいう。また、希土類化合物とは、希土類元素の酸化物(Nd,La,Y,CeO,Sc等の単体の酸化物やこれらの複合酸化物およびモナザイト、バストネサイト、アラナイト、セライト、ゼノタイム、ガドリナイト等の希土類酸化物の鉱石を含む)、弗化物(CeF,LnF,PmF,SmF,GdF,TbF等)および合金(希土類元素−Fe、希土類元素−Fe−B,希土類元素−Fe−Co、希土類元素−Ca−Si等)をいう。
鋼製外皮に充填されるフラックス充填率は4〜10%とする。フラックス充填率が4%未満であるとフラックス入りワイヤ製造時の成形が困難となり、生産性が悪くなる。また、10%を超えるとスラグ生成量が多くなり、ソリッドワイヤと同等の溶け込みが得られず多層盛溶接においてスラグ巻き込み欠陥が生じる。また、ワイヤ製造時の伸線性が劣り、断線による生産性が低下する。
さらに、大入熱および高パス間温度の溶接施工条件での溶接金属の靭性を確保するために鋼製外皮および充填フラックスからのMoを0.1〜0.5%およびBを0.001〜0.01%とする。
Moは大入熱および高パス間温度の溶接施工条件での溶接金属の焼入れ性不足を補う。Moが0.1%未満であると大入熱および高パス間温度の溶接施工条件では溶接金属の必要な強度が得られない。一方、Moが0.5%を超えると溶接金属の強度が高くなりすぎて靭性が低下する。
Bは、大入熱および高パス間温度の溶接施工条件での溶接金属の靭性をTiとの相乗効果で組織を改善して靭性を向上させる。Bが0.001%未満であるとその効果は不十分である。一方、0.01%を超えると溶接割れ感受性が高くなる。
充填フラックス中のアーク安定剤は、TiO源をTiO換算値で1.2%以下、NaO源をNaO換算値で0.3%以下およびKO源をKO換算値で0.1%以下の1種または2種以上を合計で0.03〜1.4%とする。
アーク安定剤であるTiO、NaO、KOは、アークを安定させるとともに上記希土類元素の溶滴を微細にする効果との相乗効果でスパッタ発生量をさらに少なくする。
TiO換算値が1.2%を超えるとスラグ生成量が多くなり、多層盛溶接でのスラグ剥離性が不良となる。TiO源としてルチール、チタンスラグ、イルミナイト、チタン酸ソーダ、チタン酸カリおよびチタン酸珪酸ソーダ等を用いることができる。
NaO換算値が0.3%を超えるとアーク長が長くなり、スパッタ発生量が多くなる。NaO源として炭酸ソーダ、ソーダガラス、チタン酸ソーダおよびチタン酸珪酸ソーダ等を用いることができる。
O換算値が0.1%を超えるとアーク長が長くなり、スパッタ発生量が多くなる。KO源として炭酸カリ、カリガラスおよびチタン酸カリ等を用いることができる。
また、TiO換算値、NaO換算値およびKO換算値の1種または2種以上の合計が0.03%未満であるとアーク安定剤としての効果がない。
TiO換算値、NaO換算値およびKO換算値の1種または2種以上の合計が1.4%を超えるとアーク長が長くなり、スパッタ発生量が多くなる。
製外皮および充填フラックスのSおよび充填フラックスのBiの1種または2種の合計は0.007〜0.030%とする。SおよびBiは、多層盛溶接においてスラグを溶接金属からの剥離を促進してスラグ剥離性を良好にする。
SおよびBiの1種または2種の合計が0.007%未満であるとその効果が不十分である。しかし、0.030%を超えると溶接金属に割れが生じる場合があり、また靭性が低くなる。
本発明のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤの製造方法は、帯鋼を成型工程でU字型に成型してフラックスを充填後、O字型に成型し伸線して所定径(0.8〜2.0mm)の製品とする。または、鋼製パイプにフラッフスを振動充填した後、縮径、焼鈍して素線とする。また、帯鋼を成型工程でU字型に成型してフラックスを充填し、O字型に成型して溶接後、縮径、焼鈍して素線とし、更に必要に応じてめっきした後伸線して所定径の製品とする。
以下、本発明の効果を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
表1に示す外皮を用いて表2に示す各種成分組成およびフラックス充填率を変えたワイヤ径1.2mmのフラックス入りワイヤを試作した。
Figure 2008049357
Figure 2008049357
各試作ワイヤにつきスパッタ発生量、溶接作業性、溶接金属の溶接欠陥の有無および機械的性能を調査した。
スパッタ発生量は、銅製の捕集箱を用いて、ビードオンプレート溶接により表3に示す条件No.1および条件No.2の溶接条件で5回溶接(1回の溶接時間1.5min)して捕集したスパッタを1分間の発生量に換算した。スパッタ発生量は0.5g/min以下で良好とした。その結果を表4に示す。
Figure 2008049357
Figure 2008049357
溶接作業性、溶接金属の溶接欠陥の有無および機械的性能は、板厚20mmのSM490B鋼を開先角度45°、ギャップ12mmの裏当て付き開先とし、表3に示す条件No.2の溶接条件(溶接長350mm)でパス間温度150℃として多層盛溶接して調べた。
溶接作業性は、各パスのアーク状態、スラグ剥離性およびビード外観を調査した。溶接後X線透過試験で溶接欠陥の有無を調べた後、溶接金属の中央部から引張試験片(JIS Z2201 A1号)およびシャルピー衝撃試験片(JIS Z2202 4号)を採取して評価した。引張強さは490N/mm以上、シャルピー衝撃試験は試験温度0℃で吸収エネルギーの3本の平均値が100J以上を合格とした。それらの結果も表4にまとめて示す。
表2および表4中、ワイヤ記号W1〜W8が本発明例、ワイヤ記号W9〜W17は比較例である。
本発明例であるワイヤ記号W1〜W8は、C、Si、Mn、Tiおよび希土類元素が適量でフラックス充填率も適量であるので、スパッタ発生量が少なくビード外観が良好で、溶接金属に溶接欠陥がなく機械的性能も優れており極めて満足な結果であった。 また、SとBiの合計とアーク安定剤の合計量が適量であるワイヤ記号W1、W3、W4およびW6〜W8は、アークが安定しスラグ剥離性も極めて良好であった。
なお、ワイヤ記号W2は、SとBiの合計が少ないのでスラグ剥離性がやや不良であった。また、ワイヤ記号W5は、アーク安定剤を含んでいないのでアークがやや不安定であった。
比較例中ワイヤ記号W9は、Cが高いのでスパッタ発生量が多く、溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低くなった。また、SとBiの合計が少ないのでスラグ剥離性もやや不良であった。
ワイヤ記号W10は、Cが低いので溶接金属の引張強さが低くなった。また、アーク安定剤の合計量が少ないのでアークがやや不安定であった。
ワイヤ記号W11は、Siが高いので溶接金属の吸収エネルギーが低くなった。また、アーク安定剤のTiO換算値が高いのでスラグ量が多くなりスラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号W12は、Siが低いので溶接金属にブローホールが生じた。また、アーク安定剤のNaO換算値が高いのでスパッタ発生量が多くなった。
ワイヤ記号W13は、Mnが高いので溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低くなった。また、アーク安定剤のKO換算値が高いのでスパッタ発生量が多くなった。
ワイヤ記号W14は、Mnが低いので溶接ビードが凸状となり溶接金属にスラグ巻き込み欠陥が生じた。また、アーク安定剤の合計量が多いのでスパッタ発生量が多くなった。
ワイヤ記号W15は、Ti高いので溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低くなった。また、希土類元素換算値(Ce)が高いのでアークが不安定でビードの始端部が不揃いとなった。
ワイヤ記号W16は、Tiが低いので溶接金属の吸収エネルギーが低くなった。また、フラックス充填率が高いのでスラグ生成量が多くなり溶接金属にスラグ巻き込み欠陥が生じた。
ワイヤ記号W17は、希土類元素換算値(Nd)が低いので溶滴が大きくなりスパッタ発生量が多くなった。また、SとBiの合計量が多いので溶接金属の吸収エネルギーが低く高温割れも生じた。
(実施例2)
表1に示す外皮を用いて表5に示す各種成分組成を変えたワイヤ径1.4mmのフラックス入りワイヤを試作した。
Figure 2008049357
各試作ワイヤにつきスパッタ発生量、溶接作業性、溶接金属の溶接欠陥の有無および機械的性能を調査した。
スパッタ発生量は、銅製の捕集箱を用いて、ビードオンプレート溶接により表6に示す条件No.3の2電極の溶接条件で7回溶接(1回の溶接時間1min)して捕集したスパッタを1分間の発生量に換算した。スパッタ発生量は0.5g/min以下で良好とした。その結果を表7に示す。
Figure 2008049357
Figure 2008049357
溶接作業性、溶接金属の溶接欠陥の有無および機械的性能は、板厚25mmのSM490C鋼を開先角度35°、ギャップ7mmの裏当て付きレ型開先とし、表6に示す条件No.3の溶接条件(溶接長350mm)で2電極を用い40.5kJ/cmの大入熱でパス間温度最高350℃として多層盛溶接して調べた。
溶接作業性は、各パスのアーク状態、スラグ剥離性およびビード外観を調査した。溶接後X線透過試験で溶接欠陥の有無を調べた後、鋼板表面から10mmを中心に引張試験片(JIS Z2201 A1号)およびシャルピー衝撃試験片(JIS Z2202 4号)を採取して評価した。引張強さは490N/mm以上、シャルピー衝撃試験は試験温度0℃で吸収エネルギーの3本の平均値が100J以上を合格とした。それらの結果も表7にまとめて示す。
表5および表7中、ワイヤ記号W18〜W21が本発明例、ワイヤ記号W22〜W27は比較例である。
本発明例であるワイヤ記号W18〜W21は、C、Si、Mn、Ti、Mo、Bおよび希土類元素が適量でフラックス充填率も適量であるので、スパッタ発生量が少なくビード外観が良好で、溶接金属に溶接欠陥がなく機械的性能も優れており極めて満足な結果であった。また、SとBiの合計とアーク安定剤合計量も適量であるのでアークが安定しスラグ剥離性も極めて良好であった。
比較例中ワイヤ記号W22は、Ti高いので溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低くなった。また、希土類元素換算値(Y)が低いので溶滴が大きくなりスパッタ発生量が多くなった。
ワイヤ記号W23は、Tiが低いので溶接金属の吸収エネルギーが低くなった。また、SとBiの合計が少ないのでスラグ剥離性もやや不良であった。
ワイヤ記号W24は、Moが高いので溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低くなった。また、アーク安定剤の合計量が多いのでスパッタ発生量が多くなった。
ワイヤ記号W25は、Moが低いので溶接金属の引張強さが低くなった。また、SとBiの合計量が多いので溶接金属の吸収エネルギーが低く高温割れも生じた。
ワイヤ記号W26は、Bが高いので高温割れが生じた。また、アーク安定剤の合計量が少ないでアークがやや不安定であった。
ワイヤ記号W27は、Bが低いので溶接金属の吸収エネルギーが低くなった。また、希土類元素換算値(モナザイト中の希土類元素合計)が高いのでアークが不安定でビードの始端部が不揃いとなった。

Claims (4)

  1. 鋼製外皮にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全質量に対する質量%で、前記鋼製外皮および充填フラックスにC:0.02〜0.15%、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.8〜2.5%、Ti:0.05〜0.35%を含有し、充填フラックスに希土類化合物の1種または2種以上を希土類元素換算値で0.1〜0.8%を含み、フラックス充填率が4〜10質量%であることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 鋼製外皮および充填フラックスにMo:0.1〜0.5%、B:0.001〜0.01%を含むことを特徴とする請求項1記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 充填フラックスにアーク安定剤としてTiO源をTiO換算値で1.2%以下、NaO源をNaO換算値で0.3%以下およびKO源をKO換算値で0.1%以下の1種または2種以上を合計で0.03〜1.4%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. 鋼製外皮および充填フラックスのSおよび充填フラックスのBiの1種または2種の合計で0.007〜0.030%を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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