JP7219638B2 - シートスライド装置 - Google Patents

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Description

本明細書が開示する技術は、自動車のシートを移動させるシートスライド装置に関する。
シートスライド装置は、車両に取り付け可能なロアレールと、シートに取り付け可能であり、ロアレールに対して移動可能に係合しているアッパレールを備えている。ロアレールに対してアッパレールが移動し易いように、アッパレールにはローラあるいは摺動部材が取り付けられており、アッパレールはローラあるいは摺動部材を介してロアレールに接している。特許文献1には、アッパレールに摺動部材が取り付けられているシートスライド装置が開示されている。摺動部材は平坦な底面を有しており、その底面がロアレールの底板に面接触する。
特開2018-065546号公報
摺動部材の底面とロアレールの底板が常に面接触していると、底板の変形などにより、摺動部材の底面とロアレールの底板の間に塵埃などが挟まるおそれがある。塵埃が挟まると、摺動抵抗が増大したり、あるいは、摺動時に異音が発生する場合がある。本明細書は、アッパレールが摺動部材を備えているシートスライド装置に関し、摺動部材の底面とロアレールの底板の間に塵埃などが挟まり難い構造を提供する。
本明細書が開示するシートスライド装置は、車両に取り付け可能なロアレールと、シートに取り付け可能であるとともにロアレールに対して移動可能に係合しているアッパレールと、アッパレールに取り付けられている摺動部材を備えている。摺動部材は、ロアレールの底面に接している。摺動部材は、前縁と後縁が、前縁と後縁の間の中間底面よりも下方に突出しているとともに、ロアレールの底板に接している。
摺動部材は、シートとアッパレールの自重によって前縁と後縁が弾性変形して前縁と後縁とともに中間底面が底板に接触するように構成されていてもよい。あるいは、摺動部材は、シートにユーザが着座していない状態では、中間底面と底板の間に隙間が確保され、シートにユーザが着座するとユーザの重量によって前縁と後縁が弾性変形して当該前縁と後縁とともに中間底面がロアレールの底板に接触するように構成されていてもよい。いずれの構成であっても、摺動部材の前縁と後縁が常にロアレールの底板に接触する。前縁と後縁が弾性変形して中間底面が底板に接している場合でも、前縁と後縁はその復元力により、ロアレールの底板が波打つように変形していても、底板との接触状態を保持できる。シート(アッパレール)を前後に移動させても塵埃は摺動部材の前縁あるいは後縁にはじかれ、摺動部材と底板の間に入り込むことが防止される。乗員が着座していない場合でも着座している場合でも、前縁と後縁は常にロアレールの底板に接しているので、いずれの場合であっても、シート(アッパレール)を前後に移動させるときに摺動部材と底板の間に入り込むことが防止される。
ロアレールに対する摺動部材(アッパレール)の摺動抵抗は、動摩擦係数に垂直抗力(摺動部材に対して底板に生じる垂直抗力)の積で表される。シートにユーザが着座すると、摺動部材に対して底板に生じる垂直抗力が増すので摺動抵抗が増す。シートにユーザが着座していないときには垂直抗力が小さいので摺動抵抗が小さく、小さい力でシート(アッパレール)を動かすことができるようになる。
シートにユーザが着座していない状態では中間底面と底板の間に隙間が確保される態様の場合、ユーザが着座して中間底面が底板に接触する。ユーザが着座しているときと着座していないときで摺動部材の底板との接触部位が異なるので動摩擦係数も相違する。ユーザが着座していない状態では中間底面と底板の間に隙間が確保される態様の場合、中間底面がロアレールの底板と接触しないので、摺動抵抗は小さくなる。
本明細書が開示するシートスライド装置の一態様は次の構造を有していてよい。すなわち、摺動部材の前縁と後縁は、摺動部材の中間底面の法線方向からみて、ロアレールの短手方向の中心に近づくにつれて摺動部材の前後方向の中心に近づくように傾斜している。前縁と後縁が傾斜していることで、アッパレール移動中に前縁(後縁)に当たった塵埃はロアレールの中心側へと押し出され、摺動部材の動線から除去される。
本明細書が開示するシートスライド装置の別の一態様は、次の構造を有していてもよい。摺動部材の中間底面の前縁との境界、及び、中間底面の後縁との境界の少なくとも一方の境界に、ロアレールの短手方向に延びる溝が設けられている。溝は、仮に塵埃が前縁(あるいは後縁)を通過してしまった場合に塵埃を捉える受け場所になる。それゆえ、摺動部材の中間底面とロアレールの底板の間に塵埃が挟まれることが回避される。
また、溝は、ユーザの非着座時に中間底面よりも下方へ突出している前縁及び後縁の弾性を低くする効果がある。それゆえ、体重の軽い子供が着座した場合でも前縁と後縁がよく変形し、中間底面がロアレールの底板に面接触することができる。
なお、溝は、上記した前縁と後縁と同様に、中間底面の法線方向からみてロアレールの短手方向の中心に近づくにつれて摺動部材の前後方向の中心に近づくように傾斜していてもよい。溝が傾斜していることによって、溝に捉えられた塵埃はアッパレールの移動とともに溝からロアレール中心側へと押し出され、摺動部材の動線から除去される。溝には、グリスが充填されていてもよい。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
第1実施例のシートスライド装置の側面図である。 シートスライド装置の斜視図である(アッパレールをロアレールから分離した状態)。 摺動部材付近の拡大側面図である(乗員未着座時)。 摺動部材付近の拡大側面図である(乗員着座時)。 第2実施例のシートスライド装置の摺動部材付近の拡大側面図である。 第3実施例のシートスライド装置の摺動部材付近の拡大側面図である。 図7(A)は、変形例の摺動部材の側面図である(乗員未着座時)。図7(B)は、変形例の摺動部材の側面図である(乗員着座時)。
(第1実施例)図面を参照して第1実施例のシートスライド装置2を説明する。図1に、自動車に取り付けられたシートスライド装置2の側面図を示す。シートスライド装置2は、ロアレール10とアッパレール20で構成されている。アッパレール20は、ロアレール10に対して摺動可能(スライド可能)に取り付けられている。ロアレール10は車両のフロアパネル90に固定される。アッパレール20は、シート80のシートクッション81の下部に取り付けられる。シートスライド装置2は、シートクッション81の下部の左右に夫々取り付けられる。図中の座標系のX方向がロアレール10とアッパレール20のレール長手方向に相当する。Y方向がレール短手方向に相当する。図中の座標系の+Z方向が上方を示す。説明の便宜上、+X方向を「前方」と称し、-X方向を「後方」と称する。座標系の各軸の意味は以下の図でも同じである。シートクッション81の下部の左右に取り付けられる1対のシートスライド装置は同じ構造を有しているので、以下では一方のシートスライド装置2を説明する。
図2に、シートスライド装置2の斜視図を示す。図2は、アッパレール20をロアレール10から分離した斜視図である。
図2を参照して、まず、ロアレール10の形状を説明する。ロアレール10は、車体に取り付けられる底板3と、一対の外側板4と、一対の上板5と、一対の内側板6を備えている。底板3は、レール長手方向(図中のX方向)からみて中央が端部よりもやや窪んでいる。レール長手方向からみて底板3の中央よりもやや高い端部は平坦であり、その上を、後述するアッパレール20のローラ23と摺動部材30が移動する。
一対の外側板4は、レール短手方向(図中のY方向)で底板3の両端の夫々から上方に向かって延びている。一対の上板5は、夫々の外側板4の上端からレール短手方向の中央へ向けて横方向に延びている。一対の内側板6は、夫々の上板5の内側端から下方へ延びている。一対の内側板6は、互いに対向している。それぞれの内側板6には、レール長手方向に沿って複数のロック孔7が設けられている。一対の内側板6の間で、ロアレール10は上方に向けて開口している。ロアレール10は、上面がレール長手方向に沿って細長く開口している。
アッパレール20について説明する。アッパレール20は、一部(本体下部22)がロアレール10の内部に位置しており、ロアレール10の開口を通じて残部(本体上部21)がロアレール10よりも上方へ突き出ている。図2は、アッパレール20をロアレール10から分離した図であるので、本体下部22もロアレール10から離脱していることに留意されたい。
アッパレール20の本体下部22は、レール長手方向からみてU字形状に湾曲している1対の側板24で構成されており、側板24が、ロアレール10の外側板4と内側板6の間の空間に位置する。アッパレール20の1対の側板24の夫々に、ローラ23と摺動部材30が支持されており、ローラ23と摺動部材30も、ロアレール10の外側板4と内側板6の間の空間に位置する。ローラ23と摺動部材30は、ロアレール10の底板3に当接する。アッパレール20の移動に伴って、ローラ23は回転し、摺動部材30は底板3に対して摺動する。
アッパレール20の本体下部22のレール長手方向の中央にはロックツメ25がレール短手方向に突出している。詳しい説明は省略するが、ロックツメ25は、不図示のレバーを操作することによって、本体下部22の内側へ後退する。ロックツメ25がロアレール10のロック孔7に係合することで、アッパレール20がロアレール10に対して固定される。上記したレバーをユーザが操作すると、ロックツメ25が本体下部22の内側へ後退し、ロック孔7との係合が解除される。ロックツメ25の係合が解除されると、アッパレール20がロアレール10に対して移動可能となる。
摺動部材30について説明する。図3(A)に、摺動部材30の付近の拡大側面図を示す。図3(A)は、ロアレール10を底板3と外側板4(図2参照)との境界でカットした断面を示している。図3(A)では、底板3に、断面を示すハッチングを施してある。図3(B)は、摺動部材30の底面図である。図3(B)には、ロアレール10の底板3を仮想線で描いてある。先に述べたように、説明の便宜上、図中の座標系の+X方向を前と定義し、-X方向を「後ろ」と定義する。
図3は、シート80(図1参照)に乗員が着座していないときの摺動部材30の状態を示している。シート80に乗員が着座しているときの摺動部材30の状態を図4に示す。図4(A)は、乗員着座時の摺動部材30の付近の拡大断面図を示し、図4(B)は、乗員着座時の摺動部材30の底面図を示す。図4(B)にも、ロアレール10の底板3を仮想線で描いてある。図3(B)と図4(B)の一点鎖線は、ロアレール10のレール短手方向(Y方向)の中心線CLである。すなわち、図3(B)と図4(B)では、ロアレール10のレール短手方向の半分のみが仮想線で示されている。図4(A)に示す矢印Fは、乗員が着座したことによって摺動部材30に加わる荷重を模式的に表している。
摺動部材30は、その前縁31と後縁32がそれらの間の底面(中間底面33)よりも下方へ突出している。なお、前縁31と中間底面33との間、及び、後縁32と中間底面33との間には、溝35が設けられている。乗員が着座していないときには、前縁31と後縁32のみがロアレール10の底板3と接触し、摺動部材30の中間底面33とロアレール10の底板3との間には間隔dHの隙間が確保される(図3(A)参照)。図3(B)では、摺動部材30のうち、ロアレール10の底板3と接触している範囲(すなわち前縁31の底面と後縁32の底面)をグレーで塗りつぶしてある。
摺動部材30は硬質の樹脂で作られているが、乗員着座時の荷重Fにより、前縁31と後縁32は弾性変形し、中間底面33がロアレール10の底板3と接触する(図4(A)参照)。図4(B)では、乗員着座時にロアレール10の底板3と接触している範囲(すなわち前縁31の底面と後縁32の底面と中間底面33)をグレーで塗りつぶしてある。乗員が立ち上がり、荷重Fが除かれると、弾性変形していた前縁31と後縁32が元の形状に戻り、図3に示すように、中間底面33と底板3の間に再び間隔dHが確保される。
摺動部材30の利点について説明する。乗員未着座時、摺動部材30は、その前縁31と後縁32でロアレール10の底板3に接する。従って底板3の上面が波打つように変形していても、前縁31及び後縁32の底板3との接触状態が保持される。それゆえ、摺動部材30の移動時(アッパレール20の移動時)、底板3と摺動部材30の間に塵埃が入り込み難い。摺動部材30の移動時、底板3の上にある塵埃は、底板3と接触している前縁31あるいは後縁32にはじかれる。
また、乗員着座時は、摺動部材30の中間底面33がロアレール10の底板3と接触するが、前縁31と後縁32は、自身の復元力により底板3に押し付けられる。それゆえ、底板3の上面が波打つように変形していても、前縁31及び後縁32の底板3との接触状態が保持される。乗員着座時も、摺動部材30の移動時(アッパレール20の移動時)、底板3と摺動部材30の間に塵埃が入り込み難い。なお、乗員着座による荷重Fは、摺動部材30の中間底面33が底板3に当接することで、摺動部材30がしっかりと支えることができるとともに、摺動部材30とロアレール10との摺動抵抗が大きくなる。なお、中間底面33が底板3に接触する前と接触した後では、摺動部材30とロアレール10との間の動摩擦係数も相違することになる。中間底面33が底板3に接触していないときの動摩擦係数は、接触しているときの動摩擦係数よりも小さいとよい。
先に述べたように、前縁31と中間底面33との間、及び、後縁32と中間底面33の間には、溝35が設けられている。溝35は、レール短手方向(図中の座標系のY方向)で、摺動部材30を貫通している。溝35を設けることによって、前縁31と後縁32が弾性変形し易くなる。また、仮に、塵埃が前縁31あるいは後縁32を越えて摺動部材30と底板3との間に侵入しても、塵埃は溝35に捉えられ、中間底面33と底板3との間に挟まれ続けることが防止される。
(第2実施例)図5に、第2実施例のシートスライド装置2aを示す。図5(A)は、摺動部材30aの付近の側面図であり、図5(B)は、摺動部材30aの底面図である。図5は、乗員未着座時の状態を示している。第2実施例のシートスライド装置2aでも、摺動部材30aは、乗員未着座時には、前縁31aと後縁32aが中間底面33aよりも下方に突出しており、前縁31aと後縁32aの底面だけがロアレール10の底板3に接触する。図5(B)では、摺動部材30aの底板3との接触箇所(すなわち、前縁31aと後縁32aの底面)をグレーで塗りつぶしてある。
図5(B)は、別言すれば、摺動部材30aを、中間底面33aの法線方向(図中の座標系のZ方向)からみた図である。図5(B)に示されているように、前縁31aと後縁32aは傾斜している。図中の一点鎖線は、ロアレール10のレール短手方向の中心線CLである。摺動部材30aの前縁31aと後縁32aは、中間底面33aの法線方向からみて、ロアレール10のレール短手方向の中心(中心線CL)に近づくにつれて摺動部材30aの前後方向の中心に近づくように傾斜している。なお、摺動部材30aの前後方向とは、レール長手方向(図中の座標系のX方向)である。
前縁31aと後縁32aが傾斜していることで、摺動部材30aの移動時、前縁31aあるいは後縁32aにぶつかった塵埃は、傾斜に沿って移動し、ロアレール10の短手方向の中央へと(すなわち、中心線CLに近づく方向へ)掃き出される。図5(B)の太矢印線は、摺動部材30aが前方へ移動する際に前方から近づく塵埃の移動方向を示している。図5(B)の太矢印破線は、摺動部材30aが後方へ移動する際に後方から近づく塵埃の移動方向を示している。前方あるいは後方から近づく塵埃は、傾斜している前縁31aあるいは後縁32aに接触した後、傾斜に沿って移動し、ロアレール10のレール短手方向の中央へと掃き出される。中間底面33aの法線方向からみて傾斜している前縁31aと後縁32aは、摺動部材30aの動線上の塵埃を動線から排除することができる。
また、第2実施例のシートスライド装置2aでは、前縁31aと中間底面33aとの間の溝35a、および、後縁32aと中間底面33aとの間の溝35aも傾斜している。溝35aは、中間底面33aの法線方向からみて、ロアレール10のレール短手方向の中心(中心線CL)に近づくにつれて摺動部材30aの前後方向の中心に近づくように傾斜している。溝35aが上記のように傾斜していることで、溝35aに捉えられた塵埃は、摺動部材30a(アッパレール20)の移動時に、ロアレール10の短手方向の中心側(すなわち中心線CLの側)へと押し出される。この場合も、塵埃を摺動部材30aの動線上から排除することができる。
(第3実施例)図6に、第3実施例のシートスライド装置2bを示す。図6は、摺動部材30の付近の拡大側面図である。第3実施例のシートスライド装置2bの摺動部材30は、第1実施例のシートスライド装置2の摺動部材30と同じである。第3実施例のシートスライド装置2bの構造は、第1実施例のシートスライド装置2の構造と同じである。ただし、シートスライド装置2bは、摺動部材30とロアレール10の底板3との間にグリスGが充填されている。グリスGは、溝35にも充填されている。図6ではグリスGをグレーで表している。
グリスGは、摺動部材30とロアレール10の底板3との間の摺動抵抗を小さくする。乗員が着座すると、摺動部材30の中間底面33がロアレール10の底板3とグリスGを介して接する。乗員がシート80(図1参照)から立ち上がると、中間底面33と底板3との間に間隔dHが復元するが、溝35に退避していたグリスGが復元した間隔dHに充填される。乗員が着座/離席するたびに間隔dHが消滅と復元を繰り返す。間隔dHが消滅する際には、グリスGは溝35への退避し、間隔dHが復元したときには溝35から間隔dHへグリスGが戻る。従って、長期間にわたり、摺動部材30と底板3の間にグリスGを保持することができる。
(摺動部材の変形例)図7に、摺動部材の変形例(摺動部材30b)を示す。図7(A)は、乗員未着座時の摺動部材30bの側面図であり、図7(B)は、乗員着座時の摺動部材30の側面図である。摺動部材30bは、前縁31bの2箇所が中間底面33bよりも下方に突出しており、後縁32bの2箇所も中間底面33bよりも下方に突出している。2箇所の突起は、摺動部材30bの移動方向に並んでいる。また、いずれの突起も、中間底面33bの幅(図中の座標系のY方向の長さ)以上の幅を有している。図7に示すように、摺動部材の前縁と後縁の一方あるいは両方に複数の突起を備えていてもよい。
(第4実施例)第1-第3実施例のシートスライド装置では、摺動部材30(30a、30b)の中間底面33(33a、33b)は、乗員未着座時に底板3から離間している。すなわち、乗員未着座時は、中間底面33(33a、33b)と底板3との間には隙間が確保される。第4実施例のシートスライド装置では、摺動部材30(30a、30b)の前縁31(31a、31b)と後縁32(32a、32b)の突起の剛性を下げ、アッパレール20とシート80の自重で弾性変形し、中間底面33(33a、33b)が常に底板3と接触する。すなわち、乗員未着座時でも、図4、図7(B)の状態が維持される。底板3が波打つように変形していても、前縁31(31a、31b)と後縁32(32a、32b)はその復元力により常に底板3との接触が維持される。従って中間底面33(33a、33b)と底板3との間に塵埃が挟まり難い。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。図1に示すように、アッパレール20には、摺動部材30とローラ23が支持されている。アッパレールは、ローラを備えず、レール長手方向の前後のそれぞれで摺動部材を支持していてもよい。
中間底面よりも下方に突出している前縁と後縁は、アッパレールが移動するときに発生する中間底面と底板の間の打音(摺動音)を低減する効果もある。
シートスライド装置は、レール長手方向が車両の車幅方向に沿うように車体に取り付けられてもよい。図5に示したシートスライド装置2aでは、摺動部材30aの前縁31aと後縁32aは、中間底面33aの法線方向(Z方向)からみて、ロアレール10の短手方向の中心(中心線CL)に近づくにつれて摺動部材30aの前後方向の中心に近づくように傾斜している。ここで、摺動部材30aの前後方向とは、ロアレール10の長手方向を意味する。また、摺動部材30aの前後方向とは、摺動部材30aの移動方向も意味する。前縁あるいは後縁の一方だけが上記のように傾斜していてもよい。また、前縁と中間底面との境界の溝、あるいは、後縁と中間底面との境界の溝の一方のみが上記のように傾斜していてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2、2a、2b:シートスライド装置
3:底板
4:外側板
5:上板
6:内側板
7:ロック孔
10:ロアレール
20:アッパレール
21:本体上部
22:本体下部
23:ローラ
24:側板
25:ロックツメ
30、30a、30b:摺動部材
31、31a、31b:前縁
32、32a、32b:後縁
33、33a、33b:中間底面
35、35a:溝
80:シート
81:シートクッション
90:フロアパネルG:グリス

Claims (10)

  1. 車両に取り付け可能なロアレールと、
    シートに取り付け可能であり、前記ロアレールに移動可能に係合しているアッパレールと、
    前記アッパレールに取り付けられており、前記ロアレールの底板に接している摺動部材と、を備えており、
    前記摺動部材の前縁と後縁が、前記前縁と前記後縁の間の中間底面よりも下方に突出しているとともに前記底板に接触しており、
    前記摺動部材は、前記シートにユーザが着座していない状態では、前記中間底面と前記底板の間に隙間が確保されており、前記シートにユーザが着座するとユーザの重量によって前記前縁と前記後縁が弾性変形して前記中間底面と前記底板が接触する、シートスライド装置。
  2. 前記前縁と前記後縁は、前記中間底面の法線方向からみて、前記ロアレールの短手方向の中心に近づくにつれて前記摺動部材の前後方向の中心に近づくように傾斜している、請求項に記載のシートスライド装置。
  3. 車両に取り付け可能なロアレールと、
    シートに取り付け可能であり、前記ロアレールに移動可能に係合しているアッパレールと、
    前記アッパレールに取り付けられており、前記ロアレールの底板に接している摺動部材と、を備えており、
    前記摺動部材の前縁と後縁が、前記前縁と前記後縁の間の中間底面よりも下方に突出しているとともに前記底板に接触しており、
    前記前縁と前記後縁は、前記中間底面の法線方向からみて、前記ロアレールの短手方向の中心に近づくにつれて前記摺動部材の前後方向の中心に近づくように傾斜している、シートスライド装置。
  4. 前記中間底面の前記前縁との境界、及び、前記中間底面の前記後縁との境界の少なくとも一方に、前記ロアレールの短手方向に延びる溝が設けられている、請求項1からのいずれか1項に記載のシートスライド装置。
  5. 前記溝は、前記中間底面の法線方向からみて、前記ロアレールの短手方向の中心に近づくにつれて前記摺動部材の前後方向の中心に近づくように傾斜している、請求項に記載のシートスライド装置。
  6. 前記溝にグリスが充填されている、請求項4又は5に記載のシートスライド装置。
  7. 下方に突出している前記前縁と前記後縁は、前記アッパレールが移動するときに発生する前記摺動部材と前記底板の打音を低減する、請求項1からのいずれか1項に記載のシートスライド装置。
  8. 車両に取り付け可能なロアレールと、
    シートに取り付け可能であり、前記ロアレールに移動可能に係合しているアッパレールと、
    前記アッパレールに取り付けられており、前記ロアレールの底板に接している摺動部材と、を備えており、
    前記摺動部材の前縁と後縁が、前記前縁と前記後縁の間の中間底面よりも下方に突出しているとともに前記底板に接触しており、
    前記中間底面の前記前縁との境界、及び、前記中間底面の前記後縁との境界の少なくとも一方に、前記ロアレールの短手方向に延びる溝が設けられており、
    前記溝は、前記中間底面の法線方向からみて、前記ロアレールの短手方向の中心に近づくにつれて前記摺動部材の前後方向の中心に近づくように傾斜している、シートスライド装置。
  9. 車両に取り付け可能なロアレールと、
    シートに取り付け可能であり、前記ロアレールに移動可能に係合しているアッパレールと、
    前記アッパレールに取り付けられており、前記ロアレールの底板に接している摺動部材と、を備えており、
    前記摺動部材の前縁と後縁が、前記前縁と前記後縁の間の中間底面よりも下方に突出しているとともに前記底板に接触しており、
    前記中間底面の前記前縁との境界、及び、前記中間底面の前記後縁との境界の少なくとも一方に、前記ロアレールの短手方向に延びる溝が設けられており、
    前記溝にグリスが充填されている、シートスライド装置。
  10. 車両に取り付け可能なロアレールと、
    シートに取り付け可能であり、前記ロアレールに移動可能に係合しているアッパレールと、
    前記アッパレールに取り付けられており、前記ロアレールの底板に接している摺動部材と、を備えており、
    前記摺動部材の前縁と後縁が、前記前縁と前記後縁の間の中間底面よりも下方に突出しているとともに前記底板に接触しており、
    下方に突出している前記前縁と前記後縁は、前記アッパレールが移動するときに発生する前記摺動部材と前記底板の打音を低減する、シートスライド装置。
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