JP7219043B2 - チョコレートを含有するゲル状食品の製造方法及びゲル状食品 - Google Patents
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例えば、特許文献1では固形の状態でチョコレートをトッピングし、加熱溶融、冷却を経て表面に積層する方法が開示されている。この方法だと、多数の工程が必要になり、製造適性の面で課題があった。
特許文献2では液状のチョコレートに固形の油脂を混合する方法が開示されている。また、特許文献3では固形の素材を作製し、チョコレートと合わせる方法が記載されている。これら特許文献2、3の方法も、共に固形を取扱っているため、固形の混合時間が必要であり、また、チョコレートが冷え固まってから別の素材を加えるために長い時間が必要になる。
すなわち、固形チョコレートのような固形状態のものを使用して、固形チョコレート入りゲル状食品を製造すると、固形素材の作製及び充填等に専用の機器が必要となり、加えて、固形素材を各容器にバラつきなく一律に添加することは困難である。また、各容器内において、固形チョコレートが一か所に遍在する不具合が生じることもある。このような課題を背景として、風味及び外観が良好な固形チョコレート入りゲル状食品を工業製品として大量生産を前提とする場合に、より製造適性の向上した方法が求められていた。
<1>液状ミックスと液状チョコレートとを同時に充填し、容器内でランダム形状のチョコレートを生成させることを特徴とする、ランダム形状の固形状チョコレートを含む一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法、
<2>液状ミックスと液状チョコレートとを衝突させて充填することを特徴とする、<1>に記載の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法、
<3>チョコレートの衝突速度が0.2~5.0m/s以下である、<1>又は<2>に記載の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法、
<4>ランダム形状の固形状チョコレートの平均最長径が1cm以下である、<1>~<3>のいずれかに記載の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法、
<5>液状ミックス及び液状チョコレート充填後60分以内に、液状ミックスの中心温度を20℃以下まで低下させることを特徴とする、<1>~<4>のいずれかに記載の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法、並びに
<6>ゲル状食品の内部に、平均最長径が1cm以下のランダム形状の固形状チョコレートをチョコレートの充填量1g当たり10個以上内包する、一層ないしは多層のゲル状食品。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法において使用されるミックスは、充填時は液状であり、喫食時にはゲル状である。本明細書において「液状」とは、一定の流動性を有する液体の状態を意味する。本明細書において、ミックスが「液状」であるとは、例えば、ミックスの充填時の温度において、B型粘度計(型式BL、株式会社東京計器(現東機産業株式会社)製、No.2ローター)を用いて回転数12で測定した場合にミックスの粘度が2000cP以下であることをいう。本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法において、ミックス粘度の上限は、例えば、50cP、100cP、300cP、500cP、又は1000cPである。下限としては、例えば、1cP、10cP、20cP、50cP又は100cPである。具体的な範囲としては、1~1000cP、10~800cP、又は20~500cPであることができる。ミックスの比重としては、充填時の温度において、1.00~1.20、1.00~1.15、1.00~1.10、1.05~1.15、又は1.05~1.10であることができる。ミックスとしては、ゼリーミックス、プリンミックス、ヨーグルトミックス、ババロアミックス、カラメルミックス、チョコレートムースミックス、杏仁豆腐ミックス、レアチーズケーキミックス、及び羊羹ミックス等が例示できる。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法では、液状ミックスと液状チョコレートとを同時に充填する。本発明で用いるチョコレートとしては、チョコレート類の表示に関する公正競争規約に記載されるチョコレート類で、液化可能なものを全て包含するものとする。本明細書においてチョコレートが「液状」であるとは、例えば、チョコレートの充填時の温度において、B型粘度計(型式BL、株式会社東京計器(現東機産業株式会社)製、No.2ローター)を用いて回転数12で測定した場合にミックスの粘度が2000cP以下であることをいう。本発明において、充填時におけるチョコレートの粘度の上限は、例えば、50cP、100cP、200cP、500cP又は1000cPである。下限としては、例えば、1cP、10cP、又は60cPである。具体的な範囲としては、1~1000cP、10~800cP、20~500cP、又は60~200cPであることができる。チョコレートの比重としては、充填時の温度において、1.00~1.15、1.00~1.10、又は1.03~1.08であることができる。チョコレートの油分は、本発明の効果が得られる限りにおいて、ミックスの種類及び組成に応じて適宜決定することができるが、油分が多い方が好ましく、具体的には、油分が10重量%以上、好ましくは13重量%以上、より好ましくは15重量%以上、最も好ましくは20重量%以上である。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法では、液状ミックスと液状チョコレートとを同時に充填する。本発明の効果が得られる範囲内において、異なる物性及び/又は組成を有する2種以上の液状チョコレートを同時に充填してもよい。この場合、2種以上の液状チョコレートから成るランダム形状の固形状チョコレートが形成されてもよい。本明細書において、「同時」とは、同時刻に行われることを意味するが、液状ミックスを充填する時間帯と液状チョコレートを充填する時間帯が完全に重複しなくてもよい。すなわち、本発明の効果が得られる限りにおいて、一方の充填開始又は充填終了時刻が、他方の充填開始又は終了時刻よりも早い又は遅くともよい。また、本発明の効果が得られる限りにおいて、充填途中で中断時間が存在してもよい。本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法では、好ましくは、液状チョコレートを充填する時間帯の50%以上、好ましくは70%以上、液状ミックスが同時に充填される。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法では、液状ミックスと液状チョコレートとを衝突させて充填することが好ましい。本明細書において「衝突」とは、液状ミックスと液状チョコレートとを、容器の内壁に到達する前に空中で接触させることを意味する。衝突させるタイミングは、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されることはないが、液状チョコレートが一定の射出速度を保持している間に液状ミックスに衝突させることが好ましい。具体的には、液状チョコレートを射出から3秒以内、2秒以内、1秒以内、0.75秒以内、又は0.5秒以内に液状ミックスに衝突させることができる。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法では、液状チョコレートと液状ミックスとが衝突する際の速度は、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されることはないが、好ましくは、0.2-5.0m/s、より好ましくは0.4-3.5m/s、さらに好ましくは0.5-2.3m/sである。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法では、液状ミックスの充填速度は、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されることはないが、好ましくは0.1m/s以上、より好ましくは0.2m/s以上、さらに好ましくは0.4m/s以上である。液状ミックスの充填速度は、液状チョコレートの衝突速度に対して0.05~1、好ましくは0.1~0.8、より好ましくは0.1~0.6である。
液状ミックスの単位時間当たりの充填量は、本発明の効果が得られる限りにおいて限定されることはないが、液状チョコレートの単位時間当たりの充填量と比較して、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上、さらに好ましくは5倍以上、最も好ましくは8倍以上である。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法では、ランダム形状の固形状チョコレートを含む一層ないしは多層のゲル状食品を製造することができる。「ランダム形状の固形状チョコレート」とは、粒状、略球状、及び略円柱状等の種々の形状が含まれ、室温において特定の形状を保持しているチョコレートを意味する。本発明の目的の1つは、チョコレートの固形感を感じることができるゲル状食品を提供することであり、チョコレートの固形感を感じることができない0.1mm未満の粉末状のチョコレート等は「ランダム形状の固形状チョコレート」には含まれない。しかしながら、「ランダム形状の固形状チョコレート」に加えて、0.1mm未満の粉末状のチョコレートを含むゲル状食品を、本発明の範囲から除外するものではない。0.1mm未満の粉末状のものを除いたランダム形状の固形状チョコレートの平均最長径は、好ましくは1cm以下であり、より好ましくは8mm以下であり、さらに好ましくは5mm以下である。ランダム形状の固形状チョコレートの平均最長径の下限は、例えば0.2mm、又は0.5mmである。当業者であれば、液状ミックスの充填速度、及び液状チョコレートの衝突速度を調節することにより、固形状チョコレートの大きさを適宜調節することができる。平均最長径の計測は、平均最長径を計測するための公知の機器を使用して行うことができる。また、ランダム形状のチョコレートの中から任意で30個、又は100個を選択して、それらの最長径を、必要であれば実体顕微鏡等を用いて測定し、それらの平均を計算することで算出することもできる。ランダム形状の固形状チョコレートは様々な形状を有することから、喫食者は様々な食感を楽しむことができる。
本発明の製造方法により製造される一層ないしは多層のゲル状食品は、一層又は複数の層を含み、固形状チョコレートを含有するミックス層の上方及び/又は下方にミックス層をさらに含んでもよい。また、本発明の効果が得られる限りにおいて、クッキー等のチョコレート以外の固形物が含まれてもよい。なお、本明細書において「ゲル状」とは、見かけ上、室温において液体ではないが、流動性をもち、重力又は外部からの物理的刺激により容易にその形状を変えるものを意味する。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法において効果が得られる理由は、以下のように推論することができる。しかしながら、本発明は以下の説明によって限定されるものではない。
本発明の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法において効果が得られるメカニズムの1つとしては、液状ミックスの充填中に液状チョコレートを充填することで、液状チョコレートの液滴が細かくなり、液状ミックスに該液滴が取り込まれてランダム形状の固形チョコレートが形成される及び/又は液状ミックスの充填中に液状チョコレートを充填することで、液状チョコレートの液滴が細かくなり、該液滴が流動性を有するミックスと共に容器内で対流している間に取り込まれてランダム形状の固形チョコレートが形成される。さらに、流動性を有する液状ミックスが、取り込まれたランダム形状の固形チョコレートをミックス層全体に満遍なく運搬するからであると考えられる。
目視評価は、外観を観察して泡立ちの有無や容器表面へのチョコレートの付着度合いを評価した。官能評価は、パネル数6人で喫食して固形感が製品として耐えうるか、の観点から評価した。
4:固形感があり外観も含めて製品として優良
3:固形感があり外観も含めて製品として良好
2:固形感はやや劣るが外観も含めて製品として可能
1:固形感がなく外観も含めて製品として不可
液状のミックスを直径71mm、高さ100mmの容器に100g充填し、同時に液状のチョコレート12gを液状のミックスに衝突させて充填した。チョコレート充填時の、ミックスの比重は1.08、充填速度は0.8m/s、チョコレートの比重は1.03、衝突速度は2.2m/sであった。充填後、60分以内にミックスの中心温度が20℃以下になるように急冷してミックス及びチョコレートのゲル化/固化を実施した。ゲル化したミックス層にはランダム形状のチョコレートが形成され、満遍なくチョコレートが分散されていた。得られたサンプルの外観及び食感の評価を行い、良好な結果を得た(表1)。また、任意で集めた固形状チョコレート120個の平均最長径は5mm以下であった。
直径71mm、高さ100mmの容器に液状のミックス1を60g充填し、同時に液状のチョコレート7gを液状のミックス1に衝突させて充填した。チョコレート充填時の、ミックス1の比重は1.10、充填速度は0.6m/s、チョコレートの比重は1.07、衝突速度は1.7m/sであった。その後、液状のミックス2を多層となるように40g充填した。充填後、40分以内にミックス1の中心温度が20℃以下になるように急冷してミックス及びチョコレートのゲル化/固化を実施した。ゲル化したミックス1層内には、ランダム形状のチョコレートが形成され、満遍なくチョコレートが分散されていた。得られたサンプルの外観及び食感の評価を行い、良好な結果を得た(表2)。また、任意で集めた固形状チョコレート70個の平均最長径は5mm以下であった。
直径71mm、高さ100mmの容器に液状のミックス1を60g充填した。その後、液状のミックス2を40g充填し、同時に液状のチョコレート4gを液状のミックスに衝突させて充填した。チョコレート充填時の、ミックス2の比重は1.05、充填速度は0.4m/s、チョコレートの比重は1.07、衝突速度は0.55m/sであった。充填後、40分以内にミックス2の中心温度が20℃以下になるように急冷してミックス及びチョコレートのゲル化/固化を実施した。ゲル化したミックス2層内には、ランダム形状のチョコレートが形成され、満遍なくチョコレートが分散されていた。得られたサンプルの外観及び食感の評価を行い、良好な結果を得た(表3)。また、任意で集めた固形状チョコレート40個の平均最長径は5mm以下であった。
液状のミックスを直径71mm、高さ100mmの容器に100g充填した後、液状のチョコレート12gを充填した。ミックスの比重は1.08、チョコレートの比重は1.03、チョコレートの充填速度は2.2m/sであった。充填後、60分以内にミックスの中心温度が20℃以下になるように急冷してミックス及びチョコレートのゲル化/固化を実施した。ゲル化したミックス層にはランダム形状のチョコレートが一部生成していたものの表面に泡立ちが激しく発生し、外観上、製品として不可であった。(表4)
直径71mm、高さ100mmの容器に液状のチョコレート7gを充填した後、液状のミックス1を60g充填した。ミックス1の比重は1.10、チョコレートの比重は1.07、チョコレートの充填速度は1.7m/sであった。その後、液状のミックス2を多層となるように40g充填した。充填後、40分以内にミックス1の中心温度が20℃以下になるように急冷してミックス及びチョコレートのゲル化/固化を実施した。チョコレートが容器に付着してしまうため、ゲル化したミックス1層内には、ランダム形状のチョコレートはほとんど形成されていなかった。
直径71mm、高さ100mmの容器に液状のミックス1を60g充填した。その後、液状のミックス2を40g充填した後、液状のチョコレート4gを充填した。チョコレート充填時のミックス2の比重は1.05、チョコレートの比重は1.07、チョコレートの充填速度は0.55m/sであった。充填後、40分以内にミックス2の中心温度が20℃以下になるように急冷してミックス及びチョコレートのゲル化/固化を実施した。ゲル化したミックス2層内には、大きな塊状のチョコレートが形成されて偏在し、食感上、製品として不可であった。(表6)
Claims (4)
- 液状ミックスと液状チョコレートとを衝突させて容器内に同時に充填し、容器内でランダム形状のチョコレートを生成させることを特徴とする、ランダム形状の固形状チョコレートを含む一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法。
- チョコレートの衝突速度が0.2~5.0m/sである、請求項1に記載の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法。
- ランダム形状の固形状チョコレートの平均最長径が1cm以下である、請求項1~2のいずれか一項に記載の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法。
- 液状ミックス及び液状チョコレート充填後60分以内に、液状ミックスの中心温度を20℃以下まで低下させることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の一層ないしは多層のゲル状食品の製造方法。
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[ミニストップ]ついにでた☆無限チョコミントプリン,2018年07月10日,pp.1-12,retrieved on 2022.01.28, retrieved from the internet,https://ameblo.jp/wanta0322/entry-12389821060.html |
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