JP2020171219A - 容器入り多層デザート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器からスムーズに取り出すことができる剥離可能な含気タイプの焼菓子(スポンジケーキ、スフレ、パウンドケーキ等)とゲル状食品を組み合わせた多層デザートを提供する。【解決手段】ゲル層と含気タイプの焼菓子層が一体化した多層デザートを容器に収容した容器入り多層デザートであって、容器内においてゲル層の上に焼菓子層が積層され、前記焼菓子層は前記ゲル層よりも密度が低く、前記焼菓子層の付着性は1〜100 J/m3であり、前記ゲル層のかたさは270〜8020 N/m2であり、前記ゲル層の付着性は12〜531 J/m3であり、ゲル層の質量は焼菓子層の質量の1.0〜5.0倍である、容器入り多層デザート。【選択図】なし

Description

本発明は、容器入り多層デザート及びその製造方法に関する。
容器にプリンなどのゲル状食品を下層とし、ケーキなどの焼菓子を上層として容器に充填した多層デザートが多数提案されている。例えば、特許文献1では、プリン上にスフレフロマージュを積層し、特許文献2,3では、プリン上にスポンジケーキなどのスポンジ状焼菓子を積層し、スポンジケーキの表面に焼皮/焦げ目を形成している。特許文献4は、ゼリー上にスポンジケーキを積層し、容器に充填している。特許文献5、6は、電子レンジで加熱するための容器入り多層デザートを開示している。
特許文献7〜9はプリン、ゼリーなどを取り出すことができる容器を提案している。容器内が、ゼリー、プリンのみであれば、容器内に空気を導入することなどにより容器から取り出すことができるが、プリン等のゲルとケーキ等を積層した複層デザートの場合、ケーキ等が容器に付着すると考えられるため、これらの先行技術は、容器内の食品をそのまま喫食することを前提としている。
特許文献10は、成形型に耐熱性フィルムを内装し、ゼリー、スポンジケーキが型に付着することを抑制している。このような耐熱性フィルムは、容器に多層デザートを充填した製品には適用できないものであった。
特開平10−327757号公報 特開昭62−6636号公報 特許第3265009号 特開平10−327757号公報 特開昭63−248680号公報 特表2015−536646号公報 特許第4183736号 特開2006−248574号公報 特開昭53−23779号公報 特公平7−34704号公報
本発明は、容器からスムーズに取り出すことができる剥離可能であり、喫食がスムーズに行われ、ゲルと焼菓子を別々に喫食するよりも優れた多層デザートを提供することを目的とする。
本発明は、以下の容器入り多層デザート及びその製造方法を提供するものである。
項1. ゲル層と含気タイプの焼菓子層が一体化した多層デザートを容器に収容した容器入り多層デザートであって、容器内においてゲル層の上に焼菓子層が積層され、前記焼菓子層は前記ゲル層よりも密度が低く、前記焼菓子層の付着性は1〜100 J/m3であり、前記ゲル層のかたさは270〜8020 N/m2であり、前記ゲル層の付着性は12〜531 J/m3であり、ゲル層の質量は焼菓子層の質量の1.0〜5.0倍である、容器入り多層デザート。
項2. 前記容器が、多層デザートを容器から取り出す取出機構を備える、項1に記載の容器入り多層デザート。
項3. ゲル層がプリン類から構成される層である、項1に記載の容器入り多層デザート。
項4. 含気タイプの焼菓子がケーキである、項1に記載の容器入り多層デザート。
項5. ゲル層の下にソース層をさらに含む、項1〜4のいずれか1項に記載の容器入り多層デザート。
項6. 容器にゲルベース、次いで焼菓子生地を充填し、加熱することによりゲル層と含気タイプの焼菓子層が一体化した多層デザートを容器内で形成することを特徴とする、項1に記載の容器入り多層デザートの製造方法。
項7. 前記容器が、多層デザートを容器から取り出す取出機構を備える、項6に記載の製造方法。
本発明の多層デザートは、容器をひっくり返し、ゲル層を上層、焼菓子層を下層にした状態で容器から取り出す。多層デザートはゲル層が容器から剥がれ、そのゲル層の重みによって焼菓子層が剥がれることで容器から取り出されるため、容器中ではゲル層が下層、焼き菓子層が上層であり、かつ、ゲル層の質量が焼菓子層の質量の1.0〜5.0倍であることが必要になる。
また、多層デザートは、ゲル層の重みが推進力になり取り出されるため、ゲル層と容器の隙間に空気が入りやすく、ゲル層が容器から剥がれやすいことが必要である。このため、ゲル層のかたさ、付着性を規定した。
さらに、焼菓子層は容器から剥がれたゲル層の重みで容器からはがれる必要があるので、焼菓子層の付着性を規定した。
本発明の多層デザートは、(i)ゲル層と焼菓子層の質量比、(ii)ゲル層のかたさと付着性、(iii)焼菓子層の付着性の全ての条件を満たした場合にのみ、容器から取り出すことができる。
本発明によれば、簡便な方法によって、ゲル状食品に焼菓子を組み合わせたデザートを容器からスムーズに取り出して喫食するという新たなスタイルを提供することができる。また、ゲル状食品の固化剤の種類は限定されることがないため、多様なゲルの食感と焼菓子の食感のコントラストを楽しむことも可能である。多様なゲルの食感としては、ぷるんとしたソフトなかたさ、なめらかでとろけるような良好な口どけなどが挙げられる。
本発明の多層デザートは、容器中ではゲル層の上に焼菓子層が積層されているが、容器から取り出した時点ではゲル層が焼菓子層の上に積層されている。多層デザートを喫食する場合、ゲル層はスプーン刺さりがよく、上からスプーンですくうと、ゲル層を潰さず、焼菓子層と一体となって喫食することができる。一方、容器内の多層デザートをそのまま喫食した場合、下層のゲル層が見えないので上層の焼菓子層を先に喫食し、その後にゲル層ばかりが残る結果となり、ゲル層と焼菓子層を別々に喫食しているのに似た結果となる。さらに、上層である焼菓子層にスプーンを入れると焼菓子層をすくう圧力で下層のゲル層がつぶれてしまい、見た目に劣るだけでなく、滑らかなゲルの食感を感じることができない。さらに、多層デザートを食べ進めて容器に空隙が広がると、潰れたゲル層の逃げ場が大きくなり、ゲル層がさらに潰れるだけでなく、焼菓子層も潰れ、見た目が非常に悪くなる。
また、本発明の容器入り多層デザートは、焼菓子層の下にゲル層が一体化されることでこれら2層の界面に中間層が形成される。
ゲルと焼菓子の界面に水分を含んだ中間層が存在することで、ゲルのなめらかさ、中間層のしっとり、含気タイプの焼菓子のふわふわ感が相まったおいしさを感じることができる。ゲルと焼菓子を別々に調製した場合、中間層がないので別々に食べているのと同じであり、しっとり感がないので口の中がぱさつくことになる。
容器内においてゲル層が上層で焼菓子層が下層の場合、ゲル層の水分が焼菓子層に移行し、保存期間が長いほど焼菓子層の食感が損なわれることになる。
本発明の多層デザートは、容器、前記容器内に収容された多層デザートから構成され、前記多層デザートは、ゲル層と含気タイプの焼菓子層で構成される焼菓子層を含み、これらが一体化されている。また、前記容器には取出機構が備えられ、前記取出機構を活用することで、容器内の多層デザートを容易に取り出すことができる。容器内では、ゲル層が下層であり、焼菓子層が上層である。ゲル層と焼菓子層は境界面で一体化されているので、多層デザートを容器から取り出した場合にもゲル層と焼菓子層がずれることはない。
ゲルとして、プリン類、ゼリー類、ムース類、ババロアなどが挙げられ、具体的には、カスタードプリン、ミルクプリン、カボチャプリン、マンゴープリン、抹茶プリン、チョコプリン、ヨーグルトプリン、イチゴプリン、キャラメルプリン、黒糖プリン、紅茶プリン、コーヒープリン、バナナプリン、マロンプリン、胡麻プリン、豆乳プリン、アーモンドプリンなどのプリン類、フルーツゼリー(ミックスフルーツゼリー、ピーチゼリー、マンゴーゼリー、イチゴゼリー、ブルーベリーゼリー、メロンゼリーなど)、野菜ゼリー(トマトゼリーなど)、コーヒーゼリー、ワインゼリー、紅茶ゼリー、ヨーグルトゼリー、コンニャクゼリー、抹茶ゼリー、水ようかん、ういろうなどのゼリー類、チョコムース、フルーツムース(イチゴムース、マンゴームース、ラズベリームースなど)、ヨーグルトムース、チーズムースなどのムース類などが挙げられる。好ましいゲルは、カスタードプリン、ミルクプリン、カボチャプリン、マンゴープリン、抹茶プリン、チョコプリン、ヨーグルトプリン、イチゴプリン、キャラメルプリン、黒糖プリン、紅茶プリン、コーヒープリン、バナナプリン、マロンプリン、胡麻プリン、豆乳プリン、アーモンドプリンなどのプリン類である。
ゲル層の密度は好ましくは0.8〜1.3 g/ml、より好ましくは1.0〜1.2 g/mlである。
焼菓子層の密度は好ましくは0.18〜0.75g/ml、より好ましくは0.28〜0.51g/mlである。ゲル層の密度が焼菓子層の密度よりも大きいことで、容器内における多層デザートが安定する。また、焼菓子層の密度が上記の範囲内にあれば、流動性がよく、加熱後の食感が良好であり、経時的に縮むことはない。ゲル層の密度Aと焼菓子層の密度Bの比(B/A)は、好ましくは0.14〜0.90、より好ましくは0.24〜0.51である。ゲル層の密度Aと焼菓子層の密度Bの比(B/A)がこのような範囲内にあれば、容器から多層デザートを取り出した際に、多層デザートの形状を保持することができる。
なお、ゲル層と焼菓子層の密度は、20℃で測定した値である。
ゲル層には固化剤が含まれる、固化剤としては、ゼラチン、キサンタンガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、寒天、(λ、κ、ι)カラギナン、ファーセレラン、ジェランガム、ネイティブジェランガム、フェヌグリーク、グアガム、ペクチン、タラガム、CMC−Na、メチルセルロース、卵類(全卵、卵黄、卵白)、カードランなどを使用することができ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。固化剤の配合量は、ゲル層全体に対し好ましくは0.1〜30.0質量%、より好ましくは0.1〜20.0質量%である。特に固化剤がゲル化剤、CMC−Na、メチルセルロース、カードランの場合0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.1〜1.0質量%であり、固化剤が卵類の場合8.0〜30.0質量%、より好ましくは9.6〜20.0質量%である。
ゲル層には、固化剤の他に風味原料、ビタミン、糖類、香料、乳化剤、着色料、酸味料(クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸など)、乳酸菌、ビフィズス菌、水などを配合することができる。水は、生乳、卵類などの水を含む原料として配合してもよく、純粋な水として配合してもよい。
ゲル層、焼菓子層に配合される風味原料としては、果汁又は果肉(リンゴ、オレンジ、グレープフルーツ、ミカン、レモン、モモ、メロン、イチゴ、ブドウ、マスカット、巨峰、マンゴー、柿など)、抹茶、コーヒーエキス、紅茶エキス、ココア、ビール、ワイン等の嗜好飲料、乳製品(乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、クリーム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳酸菌飲料(殺菌)等)、大豆製品(豆乳、豆乳クリーム、きなこ)、ピーナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、カシューナッツ、栗等の種などが挙げられる。風味原料は、ゲル層全体に対し好ましくは0.01〜90.0質量%、より好ましくは0.1〜30.0質量%配合することができる。風味原料は、焼菓子層全体に対し好ましくは0.01〜30.0質量%、より好ましくは0.1〜22.0質量%配合することができる。
糖類としては、砂糖、異性化糖、ぶどう糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、マルチトール、パラチニット;水飴、デキストリン等の澱粉分解物が挙げられる。糖類の配合量はゲル層全体に対し0.1〜30.0質量%が好ましい。ビタミンとしては、ビタミンA,ビタミンB(B1,B2、B6,B12など),ビタミンC,ビタミンD、ビタミンEなどが挙げられる。
含気タイプの焼菓子としては、例えばスポンジケーキ、パウンドケーキ、スフレ、チョコレートケーキ、ガトーショコラ、シフォンケーキ、マドレーヌ、ブラウニー、バターケーキ、カステラ、チーズケーキなどが挙げられる。
焼菓子の成分としては、穀粉及び/又は澱粉及び/又は加工澱粉、油脂、糖類、風味原料、乳化剤、調味料などが挙げられ、さらに卵、気泡剤などが挙げられる。
穀粉としては小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉)、米粉、大麦粉、大豆粉、ライ麦粉、そば粉などが挙げられ、澱粉としては、馬鈴薯澱粉、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーン澱粉、米澱粉、もち米澱粉、甘藷澱粉などが挙げられ、加工澱粉としては、α化澱粉、酸化澱粉、リン酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉などが挙げられる。焼菓子層全体に対し穀粉及び/又は澱粉及び/又は加工澱粉は、好ましくは0.5〜25.0質量%使用する。
油脂としては、当該分野で市販される任意の油脂が使用され、特に限定されないが、例えば、生乳、バター、クリーム、チーズなどの乳脂肪、ショートニング、マーガリン、加工油脂、シア脂、オリーブ油、大豆油、サラダ油、サフラワー油、コーン油、ゴマ油、ベニバナ油、ひまわり油、菜種油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、パーム分別油などの植物性油脂、カカオマス、ココアバター、ラード、魚油などの動物性油脂が挙げられる。油脂は焼菓子層の生地に伸展性を付与し、成型性を向上するのに役立つ。油脂の形態は固形脂、液脂どちらでも選択できる。油脂の配合量は、焼菓子層全体に対し0.5〜25.0質量%が好ましい。
糖類としては、砂糖、異性化糖、ぶどう糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、マルチトール、パラチニット;水飴、デキストリン等の澱粉分解物が挙げられる。糖類の配合量は焼菓子層全体に対し5〜30質量%が好ましい。
乳化剤としては、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステルなどが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルの例としては、パルミチン酸またはステアリン酸を脂肪酸として含むショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。レシチンとしては、大豆レシチンまたは卵黄レシチンなどが挙げられる。レシチンは、酵素分解レシチンであってもよい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンと脂肪酸のエステルであり、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、テトラグリセリン脂肪酸エステル、ペンタグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサグリセリン脂肪酸エステル、ヘプタグリセリン脂肪酸エステル、オクタグリセリン脂肪酸エステル、ノナグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。乳化剤は、任意の親水性−疎水性バランス(HLB)を有し得る。乳化剤の配合量は焼菓子層全体に対し0.3〜3.0質量%が好ましい。乳化剤がこのような範囲内にあれば、焼菓子生地の含気工程において、よりしっかりと起泡し、容器内における多層デザートが安定する。
調味料としては、食塩、化学調味料、蛋白加水分解物、核酸、酸味料、コンソメ、出汁および醤油などが挙げられる。調味料の配合量は、焼菓子全体に対し1〜10質量%が好ましい。
焼菓子層の付着性は、好ましくは1〜100 J/m3、より好ましくは2〜55 J/m3、さらにより好ましくは2.5〜42 J/m3である。
ゲル層の付着性は、好ましくは12〜531 J/m3、より好ましくは87〜320J/m3である。
焼菓子層とゲル層の付着性が上記の範囲内であれば、ゲル層と焼菓子層が容器にほとんど或いは全く付着することなく多層デザートを容器外に取り出すことができる。
ゲル層のかたさは、好ましくは270〜8020 N/m2、より好ましくは350〜4600 N/m2、さらにより好ましくは1200〜3000 N/m2である。ゲル層のかたさが上記の範囲内であれば、容器から取り出したときにゲル層が崩れず、食感が良好である。
ゲル層の質量は焼菓子層の質量の好ましくは1.0〜5.0倍、より好ましくは1.2〜3.9倍である。ゲル層の質量が焼菓子層の質量の5倍を超えると焼菓子層の食感を感じられにくく、ゲル層とのコントラストを楽しむことができない。一方、ゲル層の質量が焼菓子層の質量の1倍未満になると、多層デザートを容器から取り出すことが難しくなる。なお、ゲル層の質量と焼菓子層の質量は、ゲル層から焼菓子層への水分移行により徐々に変化する可能性がある。したがって、製造時及び保存期間中(例えば2日間から2週間程度)において、常に1.0〜5.0倍の範囲内になるようにゲル層と焼菓子層の充填量を調整することが好ましい。
本発明の多層デザートの1つの好ましい実施形態は、容器の底部にゲル層があり、その上に焼菓子層が一体化されている2層構成の多層デザートであり、他の1つの好ましい実施形態は、容器の底部にソース層があり、ソース層の上にゲル層があり、その上に焼菓子層が一体化されている3層構成の多層デザートである。ソースとしてはカラメルソース、フルーツソース(ローズチェリーソース、ラズベリーソース、オレンジソース、ストロベリーソースなど)、チョコレートソース、抹茶ソース、黒糖ソースなどが例示される。
ソース層は、ソースを容器に最初に充填してもよく、密度がゲル層よりも大きい場合には、ゲル層を充填後にソース部を充填した場合でもソース層が容器の底に形成され、その上にゲル層が形成される。ソースは、常法に準じて調製することができる。ソース層は、多層デザートを容器から取り出した場合、ゲル層の上になる。
本発明の容器入り多層デザートは、取出機構により喫食前に容器内部に空気を入れ、多層デザートを容器から取り出すことができる。取出機構としては、例えば底壁に設置された空気孔形成用のピン、ピックなどが挙げられ、前記ピンを開放したり、前記ピック等で容器底部に孔をあけたりすることで容易に多層デザートを容器から取り出すことができる。或いは、容器底面を外側から叩いて押し込むことによって、多層デザートを取り出してもよい。
本発明の容器入り多層デザートは、ゲル層の原料であるゾル溶液を容器に充填してゾル層を形成するゾル充填工程と、焼菓子生地を前記ゾル層上に充填する焼菓子生地充填工程と、これらを充填後に加熱して焼菓子生地から焼菓子層を形成し、次に冷却することでゾル層をゲル層に変換するものである。
焼菓子生地は、容器への充填前に泡立てる含気工程を含むことが好ましい。焼菓子生地の密度はゲル層の原料であるゾルの密度より小さく、焼菓子生地がゾル層上にとどまることが好ましい。焼菓子生地から焼菓子層を形成するときの加熱温度は、90〜200℃程度である。なお、ゾルが卵類を含みそれにより固まる場合には、加熱によりゾルからゲルへの変換と焼菓子生地から焼菓子への変換を同時に行うことができる。
本発明の容器入り多層デザートを製品化する場合、蓋を設けることが好ましい。容器の蓋は、容器を密封するためのものであり、焼菓子生地の焼成及びゲルベースのゲル化後にヒートシール機などにより設けることが望ましい。
ゲル層の密度と容器に充填するゾルの密度は、ほぼ同様である。
ゾル溶液中及びゲルの固化剤の濃度は、0.1〜5.0質量%程度が好ましい。
ゾル中の多糖類が溶解していない場合、焼菓子層の形成のための加熱工程で多糖類(ゲル化剤又は増粘剤)が溶解し、その後の冷却によりゲルを形成できるが、ゾル溶液は多糖類が完全に溶解したものを使用し、容器に充填後の冷却工程でゲル化するものが好ましい。ゾル溶液が卵類を含む場合、加熱により固化するので、ゾル溶液の製造までは加熱せず、その後の焼菓子層の製造のための加熱工程で固化させればよい。焼菓子層の製造のための加熱工程をレトルト条件で行えば、焼菓子層の形成とレトルト殺菌を同時に行うことができる。
容器としては、硬質の樹脂性容器が好ましい。
焼菓子生地は、気泡を含ませるために、卵類(全卵、卵黄、卵白など)、乳化剤、大豆タンパク質、乳タンパク質、ゼラチンを含むことが好ましい。
本明細書において、ゲル層のかたさと付着性は、以下の測定方法により測定することができる。
<ゲル層のかたさと付着性の測定方法>
本発明においてゲルの「かたさ(N/m2)」は、レオメーター(サン科学社CE-3000EX)を使用して測定することができる。具体的には、「えん下困難者用食品の基準の測定方法」に準拠して,測定試料を直径40mm、高さ20mmの容器に充填し、直径20mm、高さ8mm樹脂製プランジャーを用いて、圧縮速度600mm/min、クリアランス5mmで2回圧縮し、1 回目圧縮時の応力を測定する。ゲル層の「付着性(J/m3)」については、1 回目の圧縮を終え,サンプルとプランジャーが付着している状態を引き離すのに要するエネルギーを測定し、付着性とする。
<焼菓子層の付着性>
本発明において焼菓子層の「付着性(J/m3)」は、レオメーター(サン科学社CE-3000EX)を使用して測定することができる。具体的には、測定試料を焼菓子中央部より20×20×15cm角に切り出し、直径10mm円柱状の樹脂製プランジャーを用いて、圧縮速度100mm/minで試料厚みの50%での圧縮を2回繰り返し、1 回目の圧縮を終え,サンプルとプランジャーが付着している状態を引き離すのに要するエネルギーを測定し、焼菓子層の付着性とする。
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
●使用原料
<ゲル層>
・ゼラチン(ゼラチン GBL−250微粉:新田ゼラチン株式会社)
・寒天(伊那寒天S−7:伊那食品工業株式会社)
・カラギナン (カラギナンG:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)
・ローカストビーンガム(ビストップD−2050:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)
・ジェランガム(ゲルアップKS−F:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)
・メチルセルロース(メトローズMCE−4000:信越化学工業株式会社)
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、「HPMC」という。)(メトローズSFE−4000:信越化学工業株式会社)
・20%加糖卵黄(三州食品株式会社)
・全卵(殺菌液全卵:三州食品株式会社)
・卵黄(殺菌液卵黄:三州食品株式会社)
・砂糖(グラニュー糖)
<焼菓子層>
・乳化剤(オイルホップ−P:三菱ケミカルフーズ株式会社)
・加工澱粉1(アルファ化澱粉:マツノリンM-22:松谷化学株式会社)
・加工澱粉2(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉:ケミスター200:グリコ栄養食品株式会社)
・全卵(生卵)
・小麦粉(薄力粉)
・砂糖(上白糖)
・バター(無塩バター)
実施例1〜23及び比較例1〜18
使用原料:表1〜9に示す各原料の配合量を使用して、以下の1.〜5.の手順に従い製造した。
1. 各原料を計量
2. ゲルベース及び焼菓子生地の調製
ゲルベースは、90℃10分加温して溶解した後、固化しない温度(60℃程度)まで冷却して調製した。
熱固化する原料(卵など)を用いた場合は、熱固化原料を除き配合したものを、90℃10分間加温して溶解した後、熱固化原料を添加し冷却してゲルベースを調製した。冷却温度は問わないが、充填前までに一定時間保持する場合は、固化しない温度以下に冷却、例えば卵を用いた場合は20℃以下に冷却した。
卵と砂糖原料をミキサーボウルに投入し、これをたて型ミキサーにセットし、ワイヤーホイッパーを使用して、高速3〜5分に加え、低速1分混合ホイップした。ホイップ後、小麦粉やでんぷん原料を添加し、低速1分混合した後、油脂原料を添加して、低速15秒混合した後、中速10秒混合し、本発明の含気タイプの焼菓子生地を得た。
3. 容器に順に、規定質量のゲルベースと焼菓子生地を充填した。ソースを追加する場合は、ゲルベースを加えた後に、ソース、焼菓子生地の順に充填した。ソースはゲルベースよりも密度が重いため、上から焼菓子生地、ゲルベース、ソースの順に積層された。
4. お湯を張った天板の上にカップを載せる等で蒸気を充満させたオーブンで加熱焼成(庫内温度140〜180℃、30〜60分)し、焼菓子層、ゲル層を調製した。加熱焼成条件は、表1〜9に示す。
5.焼成品を冷却した。
ソースは、以下の(i)又は(ii)の方法により調製した。調整したソース部の密度は、1.16 g/cm3であった。
(i)水46.65質量%に、砂糖2.5質量%、果糖ブドウ糖液糖 50.0質量%、粉末カラメル0.50質量%、ローカストビーンガム0.35質量%を配合して溶解・分散しソースを調製した。このソースを90℃で10分間加熱殺菌した後、60℃に保持し、ゲルベースを充填した後に容器に充填した。焼成冷却後のソースは、ゲルベースと混ざることなく底部に沈んでおり、容器との剥離性も良好であった。その物性は、とろりとした粘性がある食感であった。
(ii)水45.45質量%に、砂糖2.5質量%、果糖ブドウ糖液糖 50.0質量%、粉末カラメル0.50 質量%、ローカストビーンガム0.35質量%、ゼラチン1.20質量%を配合して溶解・分散しソースを調製した。このソースを90℃で10分間加熱殺菌した後、60℃に保持し、ゲルベースを充填した後に容器に充填した。焼成冷却後のソース層は、ゲル層と混ざることなく底部に沈んでおり、容器との剥離性も良好であった。その物性はゲル化が強すぎず、粘りやべたつきが少なく口どけが良好な食感であった。
[試験結果]
本発明では、下層がゲルであり、上層がスポンジケーキに代表される含気タイプの焼菓子であって、焼菓子層の付着性を1.0〜100 J/m3、ゲル層のかたさを270〜8,020 N/m2(好ましくは350〜8,020 N/m2)かつ、ゲル層の付着性が12〜531 J/m3の範囲内であり、焼菓子層に対するゲル層の質量比率が1.0〜5.0倍であれば、喫食前に容器底部に空気を侵入させることで内容物をスムーズに取り出すことができた。
なお、実施例9、13〜23のゲル層の密度は1.06 g/cm3であった。他の実施例のゲル層の密度は、1.03〜1.10 g/cm3の範囲内であった。また、実施例の多層デザートの焼菓子層の焼成後の密度は、焼成により、膨化するとともに、水分が蒸発するため密度は低下する傾向になり、生地密度の60〜85%程度の数値であり、全ての実施例で0.18〜0.51 g/cm3の範囲内であった。全ての実施例において、ゲル層の密度Aと焼菓子層の密度Bの比(B/A)は、0.14〜0.51の範囲内であった。全ての実施例において、焼菓子層はゲル層よりも密度が低かった。
表1〜9における評価基準を以下に示す。
"評価基準"
〔外観(取り出す前)〕
◎:層が明瞭に分かれ、混ざりや傾きがなく、層状に重なった美しい外観を有している
〇:焼菓子の傾きや層の間の空洞はなく、層が混ざることなく分かれている
△:層の一部が混ざっていたり、ゲルの凝集、ゲルの崩れ、焼菓子の傾きや変形、ゲル層への焼菓子層の混入がある
×:層に一体化が起こっている、ゲル層への焼菓子生地の著しい混入がある
〔外観・保形性(取り出した後)〕
◎:層が明瞭に分かれ、層状に重なった美しい外観を有している
〇:焼菓子の傾き、層の間の空洞はなく、層が混ざることなく分かれている
△:層の一部に混ざっていたり、部分的にゲルの凝集、ゲルの崩れ、焼菓子の傾き、ゲル層への焼菓子生地の混入があったり、層状の保形性を保つことができない
×:ゲルが液状であったり、ゲルや焼菓子に崩れが生じたり、層に一体化が起こっている
〔剥離性〕 ※容器底面に空気を入れたときの剥離性
◎:空気を混入することで、速やかに容器から出すことができ、中身が残らない
〇:空気を混入することで、容器から出すことができ、中身が残らない
△:空気を混入することで、容器から出すことはできるが、中身が一部残ってしまう
×:空気を混入しても、容器から出すことができない。
〔食感(ゲル)〕
◎:ぷるんとしたソフトなかたさがあり、なめらかでとろけるような良好な口どけである
〇:ぷるんとしたソフトなかたさがあり、ざらつきや粘りのない口どけである
△:ややかたさが強く、やや崩れ難い食感となったり、ざらつきや粘りを感じ、やや口どけが悪い
×:かたさが強く、崩れ難い食感となったり、ザラツキや粘りを強く感じ、口どけが悪い
〔食感(焼菓子)〕
◎:ふんわりとしたソフトで軽い食感があり、しっとりしており、キメの細かい舌ざわりである
〇:ふんわりとしたソフトで軽い食感があり 、ざらつきがない舌ざわりである
△:ソフトで軽い食感に欠けたり、舌ざわりにややザラツキがあったり、少しべっとりした食感を有する
×:硬い食感であったり、舌さわりにザラツキがあったり、水分が混じったべっとりした食感を有する
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Claims (7)

  1. ゲル層と含気タイプの焼菓子層が一体化した多層デザートを容器に収容した容器入り多層デザートであって、容器内においてゲル層の上に焼菓子層が積層され、前記焼菓子層は前記ゲル層よりも密度が低く、前記焼菓子層の付着性は1〜100 J/m3であり、前記ゲル層のかたさは270〜8020 N/m2であり、前記ゲル層の付着性は12〜531 J/m3であり、ゲル層の質量は焼菓子層の質量の1.0〜5.0倍である、容器入り多層デザート。
  2. 前記容器が、多層デザートを容器から取り出す取出機構を備える、請求項1に記載の容器入り多層デザート。
  3. ゲル層がプリン類から構成される、請求項1に記載の容器入り多層デザート。
  4. 含気タイプの焼菓子がケーキである、請求項1に記載の容器入り多層デザート。
  5. ゲル層の下にソース層をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器入り多層デザート。
  6. 容器にゲルベース、次いで焼菓子生地を充填し、加熱することによりゲル層と含気タイプの焼菓子層が一体化した多層デザートを容器内で形成することを特徴とする、請求項1に記載の容器入り多層デザートの製造方法。
  7. 前記容器が、多層デザートを容器から取り出す取出機構を備える、請求項6に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022038807A1 (ja) * 2020-08-17 2022-02-24 田口食品株式会社 パッケージ容器に頭から製造され、収納されるショートケーキの製造方法

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