JP7218243B2 - 水性着色液、インクジェット用インク、筆記具用インク - Google Patents

水性着色液、インクジェット用インク、筆記具用インク Download PDF

Info

Publication number
JP7218243B2
JP7218243B2 JP2019101824A JP2019101824A JP7218243B2 JP 7218243 B2 JP7218243 B2 JP 7218243B2 JP 2019101824 A JP2019101824 A JP 2019101824A JP 2019101824 A JP2019101824 A JP 2019101824A JP 7218243 B2 JP7218243 B2 JP 7218243B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
ink
alkyl group
water
cellulose nanofibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019101824A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019210472A (ja
Inventor
太一 新藤
衣 城田
愛 早川
剛 三東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Publication of JP2019210472A publication Critical patent/JP2019210472A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7218243B2 publication Critical patent/JP7218243B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Pens And Brushes (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

本発明は、水性着色液、インクジェット用インク、筆記具用インクに関する。
近年、植物繊維を化学的または機械的に解繊処理を行うことで得ることができるセルロースナノファイバーが着目されており、さまざまな分野で活用研究が盛んである。
また、筆記具(特にボールペン)においては、書き味、書き出し(初筆性能)、筆跡が安定するといった点に対するユーザー要求が、急激に高まりつつある。
そして、セルロースナノファイバーを筆記具用途として活用した例も報告されている(特許文献1~2)。
特開2017-105907号公報 特開2017-125135号公報
染料は、セルロースナノファイバーと相溶性が低いため、染料及びセルロースナノファイバーがそれぞれ凝集を起こし、セルロースナノファイバーが染料によって均一に染色されないという課題があった。また、そのような不均一な染色状態のセルロースナノファイバーを含有した水性着色液は、保存安定性に劣るという課題があった。
本発明は、一般式(1)で表される化合物で染色したセルロースナノファイバーを少なくとも含有することを特徴とする水性着色液に関する。
Figure 0007218243000001
[一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基を表し、Rは、アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアシル基を表す、あるいは、R及びRが結合して環を形成し、この場合、RおよびRはアルキレンを表す。]
一般式(1)で表される化合物とセルロースナノファイバーとは、高い相溶性を示すため、均一に近い状態で着色され、保存安定性に優れたセルロースナノファイバー含む水性着色液を提供することができる。更に、保存安定性に優れたインクジェット用インク、筆記具用インクを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
従来、セルロースナノファイバーと染料との相溶性が低かった。そのため、染料分子同士、またはセルロースナノファイバー同士が、強く凝集してしまっていた。
本発明において用いられる下記一般式(1)で表される化合物は、セルロースナノファイバーとの相溶性が高いため、分子内または分子間における化合物同士の相互作用が抑制され、凝集を制御することができる。その結果、均一に近い状態で着色されたセルロースナノファイバーを含む、保存安定性に優れた水性着色液となる。更に、保存安定性に優れたインクジェット用インク、筆記具用インクとなる。
まず、一般式(1)で表される化合物について説明する。
Figure 0007218243000002
[一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基を表し、Rは、アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアシル基を表す、あるいは、R及びRが結合して環を形成し、この場合、R及びRはアルキレンを表す。]
一般式(1)中、R及びRにおけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられる。置換基としては、アルコキシ基等が挙げられるが、無置換のアルキル基であることが好ましい。炭素数1~20の無置換のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、ドデシル基、ノナデシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、2-エチルプロピル基、2-エチルヘキシル基等の、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、セルロースナノファイバーとの相溶性が高いため、炭素数1~8の置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、2-エチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基がより好ましい。
一般式(1)中、Rにおけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1~8の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、2-メチルブチル基、2,3,3-トリメチルブチル基、オクチル基等が挙げられる。これらの中でも、セルロースナノファイバーとの相溶性が高いため、本発明の効果が得られやすい、メチル基、n-ブチル基、2-メチルブチル基、2,3,3-トリメチルブチル基が好ましく、特にメチル基の場合が好ましい。
一般式(1)中、R及びRにおけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられる。置換基としては、アルコキシ基等が挙げられるが、無置換のアルキル基であることが好ましい。炭素数1~20の無置換のアルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、オクチル基、ドデシル基、ノナデシル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、2-エチルプロピル基、2-エチルヘキシル基等の、直鎖状、分岐状もしくは環状の、炭素数1~20のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~4の無置換のアルキル基であることが好ましい。また、R及びRが結合して形成されるアルキレンとしては、例えば、ペンチレンが挙げられる。
一般式(1)中、R及びRにおけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、炭素数6~10の置換もしくは無置換のアリール基が挙げられる。置換基としては、アルキル基及びアルコキシ基等が挙げられる。なお、置換基を有する場合、上記炭素数は、該置換基の炭素数を含む。また、置換基は1つでも複数でもよい。炭素数6~10の置換もしくは無置換のアリール基としては、具体的に、フェニル基、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基等が挙げられる。
一般式(1)中、R及びRにおけるアシル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1~30の置換もしくは無置換のアシル基が挙げられる。置換基としては、アルコキシ基等が挙げられるが、無置換のアシル基であることが好ましい。具体的には、ホルミル基;アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基等の炭素数2~30の無置換のアルキルカルボニル基;ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数7~30の無置換のアリールカルボニル基;2-ピリジルカルボニル基、2-フリルカルボニル基等のヘテロ環カルボニル基等が挙げられる。これらの中でも、高濃度条件下における彩度及び分散性の向上の観点から、アセチル基、ピバロイル基またはベンゾイル基が好ましく、アセチル基またはベンゾイル基がより好ましい。R及びRの組み合わせは、セルロースナノファイバーとの相溶性が高いため、一方がアルキル基、もう一方がアシル基の組み合わせの場合が特に好ましく、この場合に顕著な効果が得られる。
一般式(1)で表される化合物は、WO2014/034094に記載されている公知の方法を参考にして合成することが可能である。
一般式(1)で表される化合物には、シス-トランス異性体が存在するが、いずれも本発明の範疇であり、一般式(1)で表される化合物は、それらの混合物であってもよい。
一般式(1)で表される化合物の例を以下に示すが、これらに限定されない。
Figure 0007218243000003
一般式(1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記化合物の中において、化合物(1)、(2)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(10)が特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の配合量は、水性着色液に含まれる水性媒体100質量部あたり、0.1~50質量部であることが好ましい。より好ましくは1~25質量部であり、さらに好ましくは、2~10質量部である。
また、水性着色液には、他の公知の着色剤を併用してもよい。
併用することができる着色剤(染料、顔料)は、各種用途における特性を阻害しない範囲において決められる。
併用できる染料としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸性染料、塩基性染料、金属錯体染料、造塩染料、アジン染料、縮合アゾ化合物、アゾ金属錯体、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。
具体例として、NIGROSIN BASE EX-BP、NUBIAN BLACK PA-2800、VALIFAST BLACK 1805、VALIFAST BLACK 1807、VALIFAST BLACK 1815、VALIFAST BLACK 1821、Oil Blue 613、VALIFAST RED 1308、VALIFAST RED 1320、VALIFAST RED 1355、VALIFAST RED 1360、VALIFAST BLUE 1601、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST BLUE 1621、VALIFAST YELLOW 1101、VALIFAST YELLOW 1151(以上、オリエント化学工業(株)社製)、Aizon Spilon Blue 2BNH、Aizon Spilon Red C-GH、Aizon Spilon Red C-BH、Aizon Spilon Yellow C-GHN new、Aizon Spilon Yellow GRLH special、Aizon S.P.T. Blue-121(以上、保土谷化学工業(株)社製)等を挙げることができる。
併用できる顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、二酸化チタン顔料、フタロシアニン、キナクリドン、ジケトピロール、アゾ、ジオキサン、キノフタロン、トリフェニルメタン、ペリレン、ペリノン、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等を挙げることができる。
具体例として例えば、FUJI FAST RED 8800(C.I.Pigment Red 254)、FUJI FAST RED 2200(C.I.Pigment Red 170)(以上、冨士色素(株)社製)等を挙げることができる。
顔料は、媒体に分散後の平均粒径が30nm~700nmとなるものが好ましい。
顔料の配合量は、水性着色液に含まれる水性媒体100質量部に対して、0.5~25質量部が好ましく、より好ましくは0.5~20質量部である。
[水性着色液]
本発明の水性着色液は、一般式(1)で表される化合物で染色したセルロースナノファイバーを含む。
本発明においては、一般的にセルロースナノファイバーとして知られているものであれば、特に限定されることなく用いることができる。例えば、植物繊維を化学的及び/または機械的に解繊処理を行うことによって得られるものであり、平均幅が数nm~20nm程度、平均長さが0.5μm~数μm程度の極細繊維である。
セルロース繊維を含有する材料としては、木、竹、ケナフ、麻、ジュート、ウッドパルプ、古紙、結晶セルロース、農作物残廃物、再生パルプ等の植物、ホヤ等の動物、藻類、微生物等が使用できる。
解繊処理を行う装置としては、回転せん断型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置、ボールミル、サンドミル、アトライター、高圧対向衝突式の分散機、グラインダー、コニカルリファイナーなどが挙げられる。
セルロースなのファイバーは、市販されており、それらを用いることもできる。市販品としては、例えば、レオクリスタ I-2AX、CNF 03、CNF 04(第一化学工業社製)、ELLEX-S(大王製紙社製)、na noforest-S(中越パルプ工業)が挙げられる。
これらのセルロースナノファイバーの大きさ(繊維径)は、セルロースナノファイバーの種類により異なる。また、各種用途における特性を阻害しない範囲において増粘作用、経時安定性、発色性などから好適な範囲となる繊維径を選択する。
セルロースナノファイバーの配合量は、水性着色液に含まれる水性媒体100質量部あたり、0.001~40質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.01~10質量部、さらに好ましくは0.05~5質量部であることが好ましい。
また、水性着色液において、一般式(1)で表される化合物を分散させる水性媒体としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合媒体を使用できる。
一般式(1)で表される化合物を用いてセルロースナノファイバーを染色する方法は特に限定されない。例えば、水性媒体中で、セルロースナノファイバーと一般式(1)で表される化合物とを接触させた後、必要に応じて加温や酸化処理を行い、その後、媒体を留去することで染色されたセルロースナノファイバーを得ることができる。接触させる際に、pH調整剤、顕色剤、分散剤等を添加しても良い。
水性着色液としては、セルロースナノファイバーを染色する際に用いた系そのままであってもよく、乾燥させて着色されたセルロースナノファイバーを取り出し、再度、水性媒体などに分散させたものであってもよい。
水性着色液は、インクジェット用インクや、印刷用インク、塗料又は筆記具用インクの材料として好適に用いることができる。
[インクジェット用インク]
次に、インクジェット用インクについて説明する。
インクジェット用インクとは、インクジェット方式の画像形成方法/装置に用いられるインクを意味する。インクジェット用インクは、水性媒体と、一般式(1)で表される化合物で染色したセルロースナノファイバーとを含有する。また、その他、各種用途における特性を阻害しない範囲において、添加剤を適宜添加してもよい。添加剤については、後述する。
インクジェット用インクとする場合、水性媒体としては、水と水溶性有機溶剤との混合物を用いることが好ましい。水性媒体に含有させる水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶剤、含硫黄極性溶剤等を用いることができる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを例示できる。これらの水溶性有機溶剤は、インクジェット用インクの保湿性維持や色材の溶解性向上、インクジェット用インクの記録紙への効果的な浸透等に寄与する。インクジェット用インク中の水性媒体において、水と水溶性有機溶剤との割合(質量基準)は、水/水溶性有機溶剤=9/1~1/9であることが好ましい。より好ましくは、8/2~2/8であり、さらに好ましくは、7/3~3/7である。このようにすれば、化合物(1)を含む着色材のインク中における分散性、或いは溶解性を良好なものとできる。特に、インクジェット記録用とした場合に安定したインク吐出のための粘度を有し、且つ、ノズル先端における目詰まりを生じさせないようにすることができる。
インクジェット用インクの構成成分としては、イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤のような化学合成された界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は、その種類に特に制限はなく、単独若しくは併用して用いることができる。インクジェット用インク中における界面活性剤の総含有量は、水性媒体100質量部あたり、0.5~20質量部であることが好ましい。
イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩;N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩;アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖又は分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩;N-メチル-N-アシルタウリン塩;アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、油脂硫酸エステル塩;アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩類、塩化、臭化又はヨウ化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化、臭化又はヨウ化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム、塩化アルキルピリジニウム等のカチオン性界面活性剤;アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキル又はジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
高分子界面活性剤としては、ポリアクリル酸塩、スチレン-アクリル酸共重合物塩、ビニルナフタレン-アクリル酸共重合物塩、スチレン-マレイン酸共重合物塩、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合物塩、ポリリン酸等の陰イオン性高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール等の非イオン性高分子等が挙げられる。
インクジェット用インクのpHは特に限定されないが、扱いやすさから、pH4.0~11.0の範囲内のものが好ましい。又、インクジェット用インクを作製する場合には、インクの保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等の保湿性固形分もインク成分として用いてもよい。尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン等、保湿性固形分のインク中の含有量は、一般には、インク全体の0.1~20.0質量%が好ましく、より好ましくは3.0~10.0質量%である。
更に、インクジェット用インクとする場合には、上記した成分以外にも、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明のインクジェット用インクは、熱エネルギーの作用により液滴を吐出させる方式のインクジェットプリンターにとりわけ好適に用いられる。
尚、インクジェット用インクにおける一般式(1)で表される化合物およびセルロースナノファイバーの量は、水性着色液における量と同様である。
[筆記具用インク]
次に、本発明に係る筆記具用インクについて説明する。
筆記具用インクは、水性媒体と、一般式(1)で表される化合物で染色したセルロースナノファイバーとを含有する。
筆記具用インクとする場合、水性媒体としては、水と水溶性有機溶剤との混合物を用いることが好ましい。水性媒体に含有させる水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶剤、含硫黄極性溶剤等を用いることができる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルがあげられる。これらの水溶性有機溶剤は、筆記具用インクの保湿性維持や色材の溶解性向上、筆記具用インクの記録紙への効果的な浸透等に寄与する。筆記具用インク中の水性媒体において、水と水溶性有機溶剤との割合(質量基準)は、水/水溶性有機溶剤=9/1~1/9であることが好ましい。より好ましくは、8/2~2/8であり、さらに好ましくは、7/3~3/7である。このようにすれば、化合物(1)を含む着色材のインク中における分散性、或いは溶解性を良好なものとできる。
また、筆記具用インクは、水性ボールペンやゲルインク水性ボールペン用インク等に好適に用いることができ、各種用途における特性を阻害しない範囲において、分散剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などの添加剤を適宜添加してもよい。添加剤については、後述する。
筆記具用インクは、公知の方法により製造することができる。
例えば、本発明の水性着色液、樹脂、及び必要に応じて、他の着色剤や添加剤を適度な温度範囲で配合し、ミキサー、ロール、ホモジナイザー、ディスパー等の撹拌混合することで得られる。また、回転せん断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、及び、高圧対向衝突式の分散機を用いることもできる。
筆記具用インクには、他の顔料や、水溶性溶剤などが含有されていても良い。
併用できる顔料としては、特に限定されるものではないが、従来水性ボールペンなどの筆記具用に使用されている無機系及び有機系顔料の中から選択することができる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラックや金属粉等を挙げることができる。
有機系顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料などが挙げられる。含有量は、水性媒体100質量部あたり、0.1~50質量部であり、好ましくは、0.5~30質量部の範囲で用いることができる。
顔料を併用した場合には、分散剤を使用することが好ましい。分散剤としては、用途における特性を阻害しない範囲において、イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤、高分子界面活性剤、水溶性樹脂等が用いられる。
潤滑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、尿素、モノエタノーアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンや、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。例えば、使用性、安全性、インク自身の安定性の観点からpH4~11に調整されることが好ましく、更に好ましくは、5~10とすることが好ましい。
防錆剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン、リン酸エステル系化合物等が挙げられる。
防腐剤もしくは防菌剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物、ナトリウムオマジンなどが挙げられる。
尚、筆記具用インクにおける一般式(1)で表される化合物およびセルロースナノファイバーの量は、水性着色液における量と同様である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、文中、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」を表す。
一般式(1)で表される化合物を、公知の方法によって合成し、同定は、H核磁気共鳴分光分析(H-NMR)装置(ECA-400、日本電子(株)製)、及び、LC/TOF MS装置(LC/MSD TOF、Agilent Technologies社製)を用いて行った。
<実施例1>
前記化合物(1)を5部、メタノール1部、セルロースナノファイバー(レオクリスタ I-2AX)0.5部を加えた後、イオン交換水99部を加えた。内温80℃に加温し、メタノールを除去しながら2時間撹拌した。室温まで放冷後、ホモジナイザーで5分間分散処理を行い、化合物(1)で染色されたセルロースナノファイバーを含む水性着色液(1)を作成した。
<実施例2~19、比較例1~12>
実施例1において、化合物及びセルロースナノファイバーを表1に示すものに変更した以外は同様の操作により、化合物(1)で染色されたセルロースナノファイバーを含む水性着色液(2)~(19)、及び比較例水性着色液(1)~(12)を作成した。
なお、比較化合物(1)及び(2)を下記に示す。また、比較化合物(3)はDaiwa IJ Red 311H(ダイワ化成社製)を用いた。
Figure 0007218243000004
Figure 0007218243000005
[染まりやすさ評価]
上記で得られた水性着色液(1)~(19)、及び比較用水性着色液(1)~(12)を、バーコート法(Bar No.3)により、インクジェット用厚口マットコート紙に塗布し、画像サンプルとした。得られた画像サンプルを用いて、染まりやすさを以下のように評価した。画像サンプルについて、位相差顕微鏡(BX53、OLYMPUS社製)を用いて凝集物の有無を観察した。凝集物が少ないほど、染まりやすいと判断した。
A:画像サンプルに凝集物がない。
B:画像サンプルに凝集物がわずかに発生。
C:画像サンプルに凝集物が発生。
[保存安定性評価]
50mLサンプル瓶に上記で得られた水性着色液を20mL加えて密閉し、低温(0℃)及び高温(60℃)条件下でそれぞれ1カ月放置した。放置後の水性着色液について、位相差顕微鏡(BX53、OLYMPUS社製)を用いて凝集物の有無を観察した。凝集物が少ないほど、保存安定性に優れていると判断した。
水性着色液の保存安定性評価基準
A:水性着色液に凝集物がない。
B:水性着色液に凝集物がわずかに発生。
C:水性着色液に凝集物が発生。
Figure 0007218243000006
表中、レオクリスタ I-2AX、CNF 03、CNF 04は、第一化学工業社から入手可能であり、ELLEX-Sは、大王製紙社から入手可能であり、na noforest-Sは、中越パルプ工業から入手可能である。
<実施例20>
実施例6で製造した水性着色液69.5部、アセチレノールEH(川研ファインケミカル(株)製)を1部、エチレングリコールを7.5部、グリセリンを7.5部、及び尿素7.5部を加えた後、イオン交換水14部を加えた。そして、これらの成分を十分に撹拌して溶解させ、インクジェット用インク(A)を作成した。
<比較例13>
実施例20において、実施例6で製造した水性着色液に代えて、比較例2で製造した水性着色液を用いる以外は、実施例20と同様な方法で比較用インクジェット用インク(B)を作成した。
[評価]
インクジェット用インク(A)、比較用インクジェット用インク(B)をそれぞれ、50mLサンプル瓶に20mL加えて密閉し、60℃条件下で1カ月放置した。放置後のインクジェット用インクについて、位相差顕微鏡(BX53、OLYMPUS社製)を用いて、凝集物の有無を観察した。インクジェット用インク(A)においては凝集物が確認されなかったのに対し、比較用インクジェット用インク(B)においては、凝集物が確認された。本発明のインクジェット用インクは凝集物の発生が抑えられており、保存安定性に優れたものであった。
<実施例21>
実施例6で製造した水性着色液46部、トリエタノールアミン1.4部、ベンゾトリアゾール0.2部、プロピレングリコール17部、リン酸エステル0.4部、イオン交換水35部を混合した。そして、これらの成分を十分に撹拌して溶解させ、筆記具用インク(C)を作成した。
<比較例14>
実施例21において、実施例6で製造した水性着色液を比較例2で製造した水性着色液に変更した以外は、実施例21と同様な方法で筆記具用インク(D)を作成した。
[評価]
筆記具用インク(C)、比較用筆記具用インク(D)をそれぞれ、50mLサンプル瓶に20mL加えて密閉し、低温(0℃)及び高温(60℃)条件下で1カ月放置した。放置後の筆記具用インクについて、位相差顕微鏡(BX53、OLYMPUS社製)を用いて、凝集物の有無を観察した。筆記具用インク(C)においては凝集物が確認されなかったのに対し、比較用筆記具用インク(D)においては、凝集物が確認された。本発明の筆記具用インクは凝集物の発生が抑制されており、保存安定性に優れたものであった。

Claims (3)

  1. 水性媒体と、一般式(1)で表される化合物で染色したセルロースナノファイバーとを、含有することを特徴とする水性着色液。
    Figure 0007218243000007

    [一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基を表し、Rは、アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアシル基を表す、あるいは、R及びRが結合して環を形成し、この場合、RおよびRはアルキレンを表す。]
  2. 水性媒体と、一般式(1)で表される化合物で染色したセルロースナノファイバーとを、含有することを特徴とするインクジェット用インク。
    Figure 0007218243000008

    [一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基を表し、Rは、アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアシル基を表す、あるいは、R及びRが結合して環を形成し、この場合、RおよびRはアルキレンを表す。]
  3. 水性媒体と、一般式(1)で表される化合物で染色したセルロースナノファイバーとを、含有することを特徴とする筆記具用インク。
    Figure 0007218243000009

    [一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基を表し、Rは、アルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基またはアシル基を表す、あるいは、R及びRが結合して環を形成し、この場合、RおよびRはアルキレンを表す。]
JP2019101824A 2018-05-31 2019-05-30 水性着色液、インクジェット用インク、筆記具用インク Active JP7218243B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018105102 2018-05-31
JP2018105102 2018-05-31

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019210472A JP2019210472A (ja) 2019-12-12
JP7218243B2 true JP7218243B2 (ja) 2023-02-06

Family

ID=68844814

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019101824A Active JP7218243B2 (ja) 2018-05-31 2019-05-30 水性着色液、インクジェット用インク、筆記具用インク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7218243B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013166818A (ja) 2012-02-14 2013-08-29 Kyoto City セルロースナノファイバー及び樹脂を含む分散液、並びに樹脂組成物
JP2014062241A (ja) 2012-08-29 2014-04-10 Canon Inc 色素化合物、インク、カラーフィルター用レジスト組成物、及び、感熱転写記録用シート
JP2016204651A (ja) 2015-04-17 2016-12-08 キヤノン株式会社 インクセット及び感熱転写記録用シート
JP2017125135A (ja) 2016-01-14 2017-07-20 三菱鉛筆株式会社 筆記具用水性インク組成物
JP2019026838A (ja) 2017-07-28 2019-02-21 キヤノン株式会社 油性ボールペン用インキ組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013166818A (ja) 2012-02-14 2013-08-29 Kyoto City セルロースナノファイバー及び樹脂を含む分散液、並びに樹脂組成物
JP2014062241A (ja) 2012-08-29 2014-04-10 Canon Inc 色素化合物、インク、カラーフィルター用レジスト組成物、及び、感熱転写記録用シート
JP2016204651A (ja) 2015-04-17 2016-12-08 キヤノン株式会社 インクセット及び感熱転写記録用シート
JP2017125135A (ja) 2016-01-14 2017-07-20 三菱鉛筆株式会社 筆記具用水性インク組成物
JP2019026838A (ja) 2017-07-28 2019-02-21 キヤノン株式会社 油性ボールペン用インキ組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019210472A (ja) 2019-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101477322B1 (ko) 알릴 및 비닐 에터에 기초한 비이온성 첨가제를 갖는 수성 안료 제제
JP5789075B2 (ja) インクジェットインク
JPH06128517A (ja) インキ及びインキ用着色剤
JP2013091730A (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP5825253B2 (ja) インクジェット用インク
JPH03157464A (ja) Ij用インキ組成物
JP3390153B2 (ja) インクジェット記録用インキ組成物およびその製造方法
JP7218243B2 (ja) 水性着色液、インクジェット用インク、筆記具用インク
JP7094818B2 (ja) 油性ボールペン用インキ組成物
JP4010522B2 (ja) インクジェット記録用インク
JP2018172479A (ja) 筆記具用インキ組成物、およびそれを用いた筆記具
JP7098406B2 (ja) 着色樹脂粒子分散体およびその製造方法、ならびにその着色樹脂粒子分散体を含んでなる筆記具用水性インキ組成物および筆記具
JP5037958B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物
JP2000265105A (ja) ボールペン用水性白色又はパステル調インキ組成物
KR102139367B1 (ko) 마젠타 안료 시너지스트, 분산 및 저장성이 우수한 마젠타 안료 잉크 조성물 및 이의 제조 방법
JP2001271020A (ja) 水性ボールペン用インキ組成物
JP4004696B2 (ja) ボールペン用水性インキ組成物
JP2008183878A (ja) 水性ボールペン
JP2001115070A (ja) 記録液、インクジェット用記録液及びインクジェット記録方法
JPS6072968A (ja) 水性顔料インキ
JP5885965B2 (ja) 水性ボールペン用インキ組成物およびそれを用いた水性ボールペン
JP2000290577A (ja) 筆記具用水性インキ組成物
JP4390340B2 (ja) 筆記具用インキ組成物
JP2007106810A (ja) 筆記具用水性インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具
JPH0848929A (ja) 水性ボールペン用インキ組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230125

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7218243

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151