JP2018172479A - 筆記具用インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 - Google Patents
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しかしながら、前記多価アルコール溶剤や、尿素または尿素誘導体は、耐ドライアップ性能の向上に効果はあるものの、良好な耐ドライアップ性能が得られる程度にインキ組成物中に添加すると、インキ粘度は上昇し、ボテや線割れ、トギレやカスレが発生したり、インキの追従性が悪化して書き味が悪くなったり、さらには、筆跡が長時間乾かず、筆跡がこすれて汚れてしまうなどの問題を抱えている。
そこで、更なる耐ドライアップ性能の向上を図るため、特許文献2では、H2C=CH−O−CO−NH−(CH2)n−CH3の一般式で表される化合物を含んでなるインキ組成物が開示されている。
しかしながら、耐ドライアップ性能の向上は見られるものの、前記インキ組成物を、マーキングペンや万年筆などに用いた場合には、インキの追従性が劣り、良好な筆跡を得ることは困難であった。
本発明による筆記具用インキ組成物(以下、場合により、インキ組成物と表す。)は、式(1)で示される化合物と、着色剤と、溶媒と、を含んでなることを第一の特徴とする。以下、本発明によるインキ組成物を構成する各成分について説明する。
本発明のインキ組成物は、式(1)で示される化合物を含んでなる。前記式(1)で示される化合物は、3〜6個のヒドロキシル基を有する化合物にアルキレンオキシド基が付加された構造を有する化合物である。
例えば、前記式(1)中のAが、3個のヒドロキシル基を有する化合物のヒドロキシル基を除いた残基を表す場合、nは3である。
尚、プロピレンオキシド基は、イソプロピレンオキシド基も示し、ブチレンオキシド基は、イソブチレンオキシド基、テトラメチレンオキシド基なども示す。
ブチレンオキシド基においては、末端にブロック状に付加されている。
例えば、前記式(1)中のAが、3個のヒドロキシル基を有する化合物のヒドロキシル基を除いた残基を表す場合、式(1)中において、{O-[(C2H4O)X/(C3H6O)y ]-(C4H8O) zH}は、{O-[(C2H4O)1(C3H6O)1 ]-(C4H8O) 1H}と、{O-[(C2H4O)1/(C3H6O)1]-(C4H8O) 1H}と、{O-[(C2H4O)1/(C3H6O)1]-(C4H8O) 1H}の3つの同一のアルキレンオキシド基を表すものでも良く、{O-[(C2H4O)1/(C3H6O)2 ]-(C4H8O) 1H}と、{O-[(C2H4O)2/(C3H6O)3]-(C4H8O) 2H}と、{O-[(C2H4O)3/(C3H6O)4 ]-(C4H8O) 3H}の3つの異なるアルキレンオキシド基を表すものでも良い。
よって、前記式(1)で示される化合物をインキ組成物に添加すると、その高い保湿効果により、ペン先からのインキ中の溶媒の蒸発を防ぐことができる。このため、ペン先が大気に暫く晒された状態においても、良好な筆跡を得ることが可能となり、優れた耐ドライアップ性能が得られる。
また、前記式(1)で示される化合物を、筆記具用インキ組成物として必要な保湿効果を得るために十分な量を添加しても、該インキ組成物のインキ粘度は上昇しにくい。このため、優れた耐ドライアップ性能を得ながらも、良好なインキ追従性を維持することができ、線割れやトギレやカスレが改善され、また、チップ先端の余剰インキを抑えることができ、ボテが改善され、良好な筆跡をもたらし、優れた筆記性能を得ることができる。
さらに、前記式(1)で示される化合物は、前述の通り、必要な保湿効果を得るために十分な量を添加してもインキ粘度は上昇しにくく、また、後で述べるように剪断減粘性付与剤を用いた場合には、経時的なインキ粘度の上昇をも抑えることも可能であることから、インキ組成物の紙面に対する浸透性の低下を防ぐことができ、さらにインキ組成物の表面張力をも調整しやすいため、優れた耐ドライアップ性能を維持しながらも、筆跡乾燥性を向上させる効果も併せもつ。
また、前述の通り、式(1)で示される化合物は、界面活性剤と類似した界面への配向性を有するものと推定されることから、表面張力を調整する効果も併せもつと考えられ、前記式(1)で示される化合物を含んでなる本発明のインキ組成物は、筆跡乾燥性をも向上させる傾向にあると考える。
より好ましくは、前記式(1)中のAは、グリセリンのヒドロキシル基を除いた残基であること、もしくは、メチルグリコシドのヒドロキシル基を除いた残基であることが好ましい。
これは、xおよびyが上記数値範囲であると、式(1)で示される化合物は、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基とブチレンオキシド基の3種のアルキレンオキシド基が付加されているものとなる。このため、疎水性と親水性のバランスが好適に保たれ、該化合物分子はインキの気液界面に安定的に配列されて、インキ表面に安定な分子膜を形成しやすくなるため、さらにインキ中の溶媒の蒸発を抑制しながらも、外気の水分を吸湿してインキ中に適切に取り込みやすい状態となって、高い保湿効果を与えることができると考える。
さらに、本発明においては、x+y=3〜12であることが好ましく、x:y=1:1〜5:1であることがより好ましく、x:y=3:2〜4:1であることがさらに好ましい。
また、z=1〜3であることが好ましく、z=1であることがより好ましい。
これは、x、y、zが、上記数値範囲であれば、前記式(1)で示される化合物の溶媒に対する溶解安定性を保持しながらも、疎水性と親水性のバランスがさらに好適に保たれ、耐ドライアップ性能をより向上させることができる。
前記式(1)で示される化合物の含有量が上記数値範囲内であれば、前記式(1)で示される化合物の保湿剤としての効果を十分に得ることができ、耐ドライアップ性能を十分に向上させることができる。さらに、インキ追従性、筆跡乾燥性の向上をも考慮すると、0.1〜20質量%であることがより好ましい。尚、前記式(1)で示される化合物は、1種類又は、2種類以上の混合物として使用することが可能である。
本発明で用いる着色剤は、特に限定されないが、筆記具用インキ組成物に用いられる顔料、染料などを使用することができる。
尚、顔料は、予め顔料分散剤を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等を用いてもよい。該顔料分散剤としては、水溶性樹脂、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
染料としては、溶媒に溶解可能であれば特に制限されるものではない。例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、及び各種造塩タイプ染料等が採用可能である。
これらの顔料および染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
また、顔料は染料とは異なり、インキ中で不溶状態で分散していることから、着色剤に顔料を用いた場合、一度、インキが乾燥固化して、インキ流路などが詰まってしまうと、後から追従されるインキにより、この詰まりを解消することは難しく、インキの残量はあるものの、再び筆記することができなくなる可能性が高い。よって、耐ドライアップ性の向上は、顔料を用いたインキにおいてはより大きな課題である。本発明に用いられる前記式(1)で示される化合物は、前述の通り、高い保湿効果をもつことから、顔料を用いた場合にも、優れた耐ドライアップ性能をもたらすことが可能であり、顔料と式(1)で示される化合物と併用することは、効果的である。
本発明に用いる溶媒は、従来の筆記具用水性インキ組成物や筆記具用油性インキ組成物に用いられる溶媒を使用することができる。
具体的には水が挙げられ、水としては特に制限なく、例えば、水道水、イオン交換水、限外ろ過水または蒸溜水などが挙げられる。
また、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール溶剤や、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル溶剤、さらには、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール溶剤なども挙げられる。
これらを1種または2種以上を用いることが可能である。
さらに、耐ドライアップ性能の向上を考慮すると、前記水溶性有機溶剤の中でも、多価アルコール溶剤(前記式(1)で示される化合物を除く)を選択して用いることが好ましい。これは、前記式(1)で示される化合物と、前記多価アルコール溶剤とを併用することで、相乗的に保湿効果が向上することができることから、優れた耐ドライアップ性能が得られ、長期間、または乾燥状態が強い環境においてペン先が大気に晒された状態にあっても、良好な筆跡を得ることができるためである。
エチレングリコールやジエチレングリコールを用いた場合には、インキ粘度の上昇をさらに抑えながら、優れた耐ドライアップ性能を得ることができることから、マーキングペンや万年筆などのようなインキ粘度の上昇抑制を特段に考慮する必要がある筆記具に好適に用いることができる。また、グリセリンを用いた場合には、グリセリンの高い吸湿性により、さらに優れた耐ドライアップ性を得ることができることから、着色剤に顔料を用いた場合や、出没式筆記具のような特段に耐ドライアップ性能を考慮する必要がある筆記具に充填して用いる場合に、好適に用いることができる。
尚、前記多価アルコール溶剤を用いる場合、前記式(1)で示される化合物と、前記多価アルコール溶剤の総含有量は、線割れやボテ、トギレやカスレが改善された良好な筆跡が得られることや、耐ドライアップ性能の向上および、筆跡乾燥性の向上を考慮すると、0.1〜30質量%であることが好ましい。
デキストリンを用いることにより、更に耐ドライアップ性能を向上することができる。これは、デキストリンが、ペン先に被膜を形成し、その被膜により、インキ中の溶媒の蒸発を防ぐことができるためである。
尚、デキストリンは、数個のα -グルコースが、グリコシド結合によって重合した物質の総称で、食物繊維の一種であり、デンプンの加水分解などにより得られる。
これは、前記式(1)で示される化合物が形成する分子膜と、デキストリンが形成する物理的な被膜の二つにより、インキ中の溶媒の蒸発を抑制する効果を特段に高められるためと考える。
本発明において、剪断減粘性付与剤と、式(1)で示される化合物を併用することは、式(1)で示される化合物が、剪断減粘性付与剤の膨潤状態を適正に調整し、経時的にインキ粘度が上昇することを抑え、インキ追従性の低下を防ぎ、筆記性能の向上やインキの経時安定性能を向上させることができるため、効果的である。
具体的には、n=1のトリメチルグリシン、トリエチルグリシン、トリプロピルグリシン、トリイソプロピルグリシン、n=2のトリメチル−β−アラニン、n=3のトリメチル−γ−アミノ酪酸等が挙げられる。
耐ドライアップ性能の向上やインキ組成物の保存安定性の向上などを考慮すると、トリメチルグリシンを選択して用いることが好ましい。
中でも、筆跡乾燥性の向上を考慮すると、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。
また、その中でも、エチレンオキシド基および/またはプロピレンオキシド基が付加されたアセチレン結合を構造中に有した界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を選択して用いることは、さらに筆跡乾燥性を向上させることができるため、好ましい。
潤滑剤は、ボールペンが有するボールとボールペンチップの間の潤滑性を向上して、ボールの回転をスムーズにすることで、ボール座の摩耗抑制し、書き味を向上するようなものであり、本発明においては、リン酸エステル系界面活性剤や脂肪酸を用いることが好ましい。
前記リン酸エステル系界面活性剤の種類としては、直鎖アルコール系、スチレン化フェノール系、ノニルフェノール系、オクチルフェノール系等が挙げられる。この中でも、フェニル骨格を有すると立体障害により潤滑性に影響が出やすいことから、フェニル骨格を有さないリン酸エステル系界面活性剤を用いることが、好ましい。これらは、単独または2種以上混合して使用してもよい。
本発明において、式(1)で示される化合物と、前記リン酸エステル系界面活性剤とを併用することは、耐ドライアップ性と、筆記性と、潤滑性を向上させることができるため、良好な書き味と、さらに良好な筆跡を得ることができるため、より効果的である。
前記リン酸エステル系界面活性剤の具体例としては、プライサーフシリーズ(第一工業製薬(株))の中から、プライサーフA212C、同A208B、同A213B、同A208F、同A215C、同A219B、同A208N等が挙げられる。
また、前記脂肪酸の具体例としては、OSソープ、NSソープ、FR−14、FR−25(花王(株))等が挙げられる。
これらのリン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
本発明の筆記具用インキ組成物を充填する筆記具自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来より汎用のものが適用でき、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップまたはボールペンチップなどをペン先としたマーキングペンやボールペン、金属製のペン先を用いた万年筆などの各種筆記具に用いることができる。
前記式(1)で示される化合物を含んでなる本発明のインキ組成物は、耐ドライアップ性能に優れることから、常にペン先が大気に晒されているような状況となるペン先を収容可能な出没式筆記具に、好適に用いることができる。
前記式(1)で示される化合物を含んでなる本発明のインキ組成物は、優れた耐ドライアップ性能を維持しながら、インキ粘度を、剪断速度380sec−1において50mPa・s以下であるような低粘度インキ組成物に調整することが可能なため、供給機構の特性から、インキ粘度が前記範囲内であるインキ組成物を主に充填して用いるような前記(機構1)、(機構2)、(機構3)の供給機構を備える筆記具に好適に用いることができる。また、本発明のインキ組成物は、耐ドライアップ性能に優れながらも、経時的なインキ粘度の上昇を抑えることができるため、剪断減粘性付与剤を含んでなる場合、前記(機構4)の供給機構を備える筆記具にも、好適に用いることができる。
下記の配合組成および方法により筆記具用インキ組成物を得た。
・式(1)で示される化合物 10.0質量%
(式(2)で示される化合物、式(1)中のAがグリセリンのヒドロキシル基を除いた残基、n×(x+y)=13、z=1、x:y=8:5)
・着色剤 35.0質量%
(着色樹脂粒子、固形分50%)
・剪断減粘度付与剤 0.3質量%
(サクシノグリカン)
・潤滑剤 1.0質量%
(リン酸エステル系界面活性剤(直鎖アルコール系))
・pH調整剤 2.0質量%
(トリエタノールアミン)
・キレート剤 0.5質量%
(エチレンジアミン四酢酸)
・防錆剤 0.5質量%
(ベンゾトリアゾール)
・水 残部
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合撹拌した後、濾紙を用いて濾過を行い、実施例1の筆記具用インキ組成物を得た。
実施例2〜実施例14は、インキ組成物に含まれる成分の種類や配合量を表1、表2において表される組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法で筆記具用インキ組成物を得た。
比較例1〜比較例4は、インキ組成物に含まれる成分の種類や配合量を表3において表される組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法で筆記具用インキ組成物を得た。
実施例1〜実施例14及び、比較例1〜比較例4の筆記具用インキ組成物を、インキ収容体の先端にボール(ボール径:0.7mm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):1nm)を回転自在に抱持したボールペンチップをチップホルダーに介して具備したインキ収容体内(ポリプロピレン製)に充填したレフィル(1.0g)を(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G−2)に装着し、ボールペンを得た。
得られたボールペンを試験用筆記具(ボールペン)とし、以下の試験および評価を行った。試験用筆記具(ボールペン)のボールペンチップのボールの縦軸方向への移動量(クリアランス)30μmである。
尚、耐ドライアップ性能試験、筆記性能試験は、試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用いた。
試験用筆記具(ボールペン)のペン先を大気に晒した状態で、50℃、全乾の条件下で1日放置した後、試験用紙に「永」という文字(文字の大きさは、縦横約8mm)を連続筆記し、筆跡が認識できる程度に復帰したまでの文字数を数え、下記評価基準に従って、評価した。得られた評価結果を表1、表2にまとめた。
◎◎:初めからカスレなく、良好な筆跡が得られた。
◎:初め僅かにカスレがあるが、1文字以内に復帰した。
○:復帰までの文字数が、2〜3文字で復帰した。
×:復帰までの文字数が、4〜5文字で復帰した。
××:復帰せず、筆跡が得られなかった。
<筆記性能試験>
耐ドライアップ性能試験で使用した試験用筆記具(ボールペン)を用いて、試験用紙に手書きで螺旋状の丸を連続筆記し、得られた筆跡のボテと線割れの状態を目視により観察し、下記基準に従って、評価した。得られた評価結果を表1、表2にまとめた。
(ボテ)
◎ボテのない良好な筆跡が得られた。
○僅かにボテが確認されたが、実用上問題がないレベルであった。
△ボテが確認され、実用上懸念があるレベルであった。
×ボテが多数確認され、良好な筆跡が得られなかった。
(線割れ)
◎線割れのない均一な良好な筆跡が得られた。
○一部、線割れが見られたが、実用上問題のないレベルであった。
△線割れが確認され、実用上懸念があるレベルであった。
×線割れが多数確認され、良好な筆跡が得られなかった。
下記の配合組成および方法により、筆記具用インキ組成物を得た。
・式(1)で示される化合物 10.0質量%
(式(2)で示される化合物、式(1)中のAがグリセリンのヒドロキシル基を除いた残基、n×(x+y)=13、z=1、x:y=8:5)
・着色剤 2.0質量%
(染料、C.I.アシッドレッド289)
・pH調整剤 2.0質量%
(トリエタノールアミン)
・防腐剤(ナトリウムオマジン) 0.05質量%
・防腐剤(2−(n−オクチル)−4−イソチアゾリン−3−オン)0.0005質量%
・防腐剤(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン) 0.008質量%
・防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン) 0.003質量%
・水 残部
下記の配合組成および方法により、筆記具用インキ組成物を得た。
・式(1)で示される化合物 10.0質量%
(式(2)で示される化合物、式(1)中のAがグリセリンのヒドロキシル基を除いた残基、n×(x+y)=13、z=1、x:y=8:5)
・着色剤 2.0質量%
(染料、C.I.アシッドレッド289)
・pH調整剤 2.0質量%
(トリエタノールアミン)
・N,N,N−トリアルキルアミノ酸 2.0質量%
(トリメチルグリシン)
・防腐剤(ナトリウムオマジン) 0.05質量%
・防腐剤(2−(n−オクチル)−4−イソチアゾリン−3−オン)0.0005質量%
・防腐剤(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン) 0.008質量%
・防腐剤(1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン) 0.003質量%
・水 残部
比較例5は、実施例15の配合組成のうち、式(1)で示される化合物をグリセリンに変更した以外は、実施例15と同じ方法で筆記具用インキ組成物を得た。
実施例15、実施例16、比較例5の筆記具用インキ組成物を、ポリエチレン製のインキカートリッジに注入し、くし溝状のインキ流量調節部材を備えた万年筆形態のペン先を有する出没式筆記具(株式会社パイロットコーポレーション製万年筆、FCN−1MR−M)に装着し、万年筆を得た。
その後、試験用筆記具(万年筆)を、筆記角度60°、筆記荷重0.49N、筆記速度10m/分の条件下で試験用紙(富士ゼロックス株式会社製のEエンジニアリング用紙(上質系普通紙:E[カット])に直線を連続筆記し、得られた筆跡を目視にて確認したところ、実施例15、実施例16の筆記具用インキ組成物を用いた試験用筆記具(万年筆)はインキ追従性に優れ、得られた筆跡は、トギレやカスレのない良好な筆跡であった。一方、比較例5の筆記具用インキ組成物を用いた試験用筆記具(万年筆)では、インキ追従性能に劣り、得られた筆跡は、トギレやカスレが確認され、良好な筆跡が得られなかった。よって、実施例15、実施例16の筆記具用インキ組成物は、インキ追従性に優れ、筆記性能に優れていることがわかった。
Claims (5)
- 請求項1に記載の前記式(1)で示される化合物の含有量が、前記筆記具用インキ組成物の総質量を基準として0.01質量%〜30質量%である、請求項1に記載の筆記具用インキ組成物。
- 前記溶媒が、水溶性有機溶剤を含んでなる、請求項1または2に記載の筆記具用インキ組成物。
- N,N,N−トリアルキルアミノ酸を更に含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の筆記具用インキ組成物。
- 請求項1〜4に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする、筆記具。
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