JP7129349B2 - 筆記具用インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は、筆記具用インキ組成物、およびそれを用いた筆記具に関するものである。
筆記具は、暫くペン先が大気中に晒された状態にあると、筆記具本体内に収容されているインキ中の溶媒などがペン先より蒸発し、インキが乾燥固化して、筆跡がかすれたり、筆記ができなくなったりするなど、筆記具として満足に利用できなくなることがあった。このため、筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具において、ペン先におけるインキの乾燥を防ぎ、優れた耐ドライアップ性能を得ることは課題である。
そこで上記課題を解決するため、インキ中に、エチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコール溶剤や、尿素または尿素誘導体などの各種保湿剤を添加し、耐ドライアップ性能を向上させたインキ組成物が提案されている。(特許文献1、2など)
しかしながら、保湿剤の種類やその添加量によっては、良好な耐ドライアップ性能が得られるものの、インキ粘度が上昇してしまい、インキの吐出性が低下して、得られる筆跡にボテや線ワレが発生してしまったり、ペン先で保湿剤が析出するなどして筆跡カスレが発生してしまったりするなど、筆記性能に問題が生じてしまうことがあった。
また、近年、剪断減粘性の粘性特性を有するインキ(ゲルインキ)を使用したボールペンの開発が盛んに行われており、剪断減粘性付与剤として、キサンタンガム、サクシノグリカン等の多糖類、架橋型アクリル酸重合体、会合型ウレタン等の合成高分子が提案され、実用化されている。しかしながら、これらの剪断減粘性付与剤はいずれもペン先で溶媒が蒸発した際、強固な乾燥膜を形成し易く、耐ドライアップ性能を低下させる傾向にある。よって、このようなゲルインキおよびそれを用いたボールペンにおいては、優れた耐ドライアップ性能が発現できることが特に求められている。
特開平8-127746号公報 特開2004-217730号公報
本発明の目的は、上記のような課題を解決するもので、耐ドライアップ性能に優れ、かつ、筆記性能にも優れた筆記具用インキ組成物を提供することであり、さらに、それを用いた筆記具を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために、
「1. 動物性プロテオグリカンと、着色剤と、溶媒と、を含んでなることを特徴とする、筆記具用インキ組成物。
2.前記動物性プロテオグリカンがアグリカンである、第1項に記載の筆記具用インキ組成物。
3.前記動物性プロテオグリカンの含有率が、前記筆記具用インキ組成物の総質量を基準として0.001質量%~5質量%である、第1項または第2項に記載の筆記具用インキ組成物。
4.第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする、筆記具。」とする。
本発明によれば、ペン先が大気中に暫く晒された状態にあっても、カスレのない良好な筆跡を形成可能で、さらに、ペン先より安定してインキが吐出され、ボテや線ワレの発生が抑制された良好な筆跡を形成することができる、耐ドライアップ性能および筆記性能に優れた筆記具用インキ組成物および、それを用いた筆記具を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準であり、含有率とは、インキ組成物の質量を基準としたときの構成成分の質量%である。
<筆記具用インキ組成物>
本発明による筆記具用インキ組成物(以下、場合により、インキ組成物と表す)は、動物性プロテオグリカンと、着色剤と、溶媒と、を含んでなることを特徴とする。
以下、本発明のインキ組成物における構成成分について、詳細に説明する。
<動物性プロテオグリカン>
本発明のインキ組成物は、動物性プロテオグリカンを含んでなる。
動物性プロテオグリカンは、コアタンパク質にグリコサミノグリカンと呼ばれる糖鎖が共有結合した化合物であり、糖タンパク質の1種である。細胞該マトリックスの一つとして、皮膚や軟骨など、動物の体内に広く分布している。
前記動物性プロテオグリカンは、極めて高い保水力を有するもので、優れた保湿剤として効果的に働く。
このため、インキ組成物中に、動物性プロテオグリカンを添加すると、その優れた保水力により、ペン先からのインキ中の溶媒の蒸発を十分に抑えることができる。よって、本発明のインキ組成物およびそれを用いた筆記具は、ペン先が大気に晒された状態で暫く放置された場合でも、ペン先のインキは乾燥固化することなく、良好な筆跡を残すことができ、優れた耐ドライアップ性能を有するものとなる。
また、動物性プロテオグリカンは、極小量の添加でも、ペン先からインキ中の溶媒の蒸発を効果的に抑制できる。このため、インキ組成物の物性に大きな影響を与えることなく、優れた耐ドライアップ性能を付与できる。特に、動物性プロテオグリカンは、必要な保湿効果を得るために十分な量を添加しても、インキ組成物の過度の増粘を抑えることができる。このため、優れた耐ドライアップ性能を維持しながらも、良好なインキ吐出性を維持することが可能であり、その結果、ペン先の余剰インキの発生が抑えられ、得られる筆跡はボテの発生が抑制され、さらには、線ワレが抑制された良好な筆跡を形成することができ、優れた筆記性能を奏することができる。
これは、下記のように推測する。
動物性プロテオグリカンが有するグリコサミノグリカンは、糖鎖であり、強い親水性を示す。また、該グリコサミノグリカンは、分岐を持たない長い直鎖構造を持っており、さらに、多数の硫酸基とカルボキシル基を持つことから負に荷電しているため、グリコサミノグリカン鎖同士が電気的反発を起こして、溶液中で延びた構造をとる。このため、グリコサミノグリカン鎖間には多くの水分子を取り込み、保持することができる。よって、コアタンパク質に複数のグリコサミノグリカンが結合している、動物性プロテオグリカンは、インキ中で、巨大な分子容積を占め、その分子中に多量の水分子を効果的にかつ長期的に保持できる。このため、極少量の添加でも優れた保湿効果を十分発揮できるものと考える。
また、前記動物性プロテオグリカンを用いた本発明のインキ組成物は、優れたドライアップ性能と筆記性能を有しながら、滑らかな書き味ももたらすことができる。
特に、ボールペンに用いた場合、この効果が発現されやすい。よって、本発明のインキ組成物は、ボールペンに好適に用いることができる。これは、水分子を保持した動物性プロテオグリカン分子が、柔軟で弾力のある潤滑層となって、ボールとボール座の接触を緩和できるためと推測する。
本発明に用いる動物性プロテオグリカンとしては、コアタンパク質にグリコサミノグリカンが結合してなる化合物であれば特に限定されない。
動物性プロテオグリカンとしては、アグリカン(Aggrecan) 、バーシカン(Versican) 、ニューロカン(Neurocan)、ブレビカン(Brevican)、デコリン(Decorin)、ビグリカン(Biglycan)、テスティカン(Testican)、パールカン(Perlecan)、ディストログリカン(Dystroglycan) 、アグリン(Agrin)、クローストリン(Claustrin)等、或いは、これらの分解物などが挙げられる。
本発明においては、動物性プロテオグリカンはアグリカンであることが好ましい。これは、アグリカンは、コアタンパク質に多数のグリコサミノグリカンが結合した形を有しており、保水効果が極めて高く、極小量の添加でも耐ドライアップ性能を向上させやすく、また、インキ粘度の上昇も抑え、筆記性能も向上することができるためと推測する。
また、動物性プロテオグリカンが部分構造として有するグリコサミノグリカンは、特に限定されず、例えばコンドロイチン硫酸、コンドロイチン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸等が挙げられる。本発明においては、グリコサミノグリカンとして、コンドロイチン硫酸またはケラタン硫酸を含む、動物性プロテオグリカンを用いることが好ましい。
また、本発明に使用される動物性プロテオグリカンの分子量についても、特に制限されるものではないが、本発明においては、動物性プロテオグリカンの分子量は、10,000以上であることが好ましく、100,000以上であることがより好ましい。また、動物性プロテオグリカンの分子量は、100,000,000以下であることが好ましく、10,000,000以下であることがより好ましく、1,000,000以下であることがさらに好ましい。
動物性プロテオグリカンのインキ中の溶解安定性が良好で、耐ドライアップ性能と筆記性能をバランス良く向上させることを考慮すると、本発明においては、100,000~1,000,000の分子量を有する動物性プロテオグリカンを使用することが特に好ましい。なお、プロテオグリカンの分子量は、クロマトグラフィーを用いて分画し、プルランスタンダード等の分子量標品の保持時間と比較することにより、測定することができる。
また、本発明に使用される動物性プロテオグリカンの由来や製法についても、特に制限されることない。
例えば、動物性プロテオグリカンは、ヒト、ウシ、ブタ等の哺乳類、ニワトリ等の鳥類、サメ、サケ等の魚類、カニ、エビ等の甲殻類、さらにはクラゲ等の刺胞動物等のいずれの動物の由来であってもよい。これらの由来の中でも、入手の容易性、及び、インキ組成物に添加した際、優れた保湿剤として効果的に働き、耐ドライアップ性能と筆記性能を向上しやすいという観点からは、好ましくはブタ等の哺乳類及び鮭等の魚類由来の動物性プロテオグリカンであり、さらに好ましくは魚類由来の動物性プロテオグリカンであり、特に好ましくは鮭由来の動物性プロテオグリカンであり、最も好ましくは鮭鼻軟骨由来の動物性プロテオグリカンである。
また、本発明において、動物性プロテオグリカンは抽出物および精製物のいずれを用いてもよい。好ましくは純度5質量%以上、より好ましくは純度10質量%以上、さらに好ましくは純度15質量%以上のものを用いる。また、動物性プロテオグリカンは、試薬または市販品を用いても構わない。
動物性プロテオグリカンを含んでなる市販品の一例としては、(株)アンチエイジング・プロ[商品名:SCPコンプレックス-LS](鮭鼻軟骨由来の高分子プロテオグリカン30%含有物)、[商品名:プロテオグリカン-LS](鮭鼻軟骨由来の分子量120万ダルトンの非変性プロテオグリカン90%以上含有物)、メディエンス(株)[商品名:プロテオグリカンE](イカ頭部軟骨抽出物プロテオグリカン85%含有物)、一丸ファルコス(株) [商品名:プロテオグリカンF(鮭鼻軟骨由来のプロテオグリカン25%含有物)]、[プロテオグリカンIPC(鮭鼻軟骨由来のプロテオグリカン1%含有物)]、バイオマテックジャパン(株)[商品名:ナチュラルプロテオグリカン](鮭鼻軟骨由来プロテオグリカン80%含有物)、日本薬品(株) [商品名:プロテオグリカン複合体80](プロテオグリカン40%含有物)等が挙げられる。
本発明のインキ組成物における動物性プロテオグリカンの含有率は、インキ組成物の総質量を基準として、0.001~5質量%であることが好ましい。前記動物性プロテオグリカンの含有率が上記数値の範囲内であれば、動物性プロテオグリカンの保湿剤としての効果を十分に得ながらも、インキ組成物のインキ粘度の上昇を抑え、優れたインキ吐出性を維持して良好な筆跡を残すことができ、インキ組成物に優れた耐ドライアップ性能と、優れた筆記性能を付与できる。さらに、耐ドライアップ性能と筆記性能をバランス良く向上することを考慮すると、0.005~1質量%であることがより好ましく、0.01~0.1質量%であることが特に好ましい。
尚、動物性プロテオグリカンは、1種または、2種以上の混合物として使用することも可能である。
<着色剤>
本発明で用いる着色剤は、特に限定されないが、筆記具用インキ組成物に用いられる顔料、染料などを使用することができる。
顔料としては、溶媒に分散可能であれば特に制限されるものではない。例えば、無機顔料、有機顔料、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、アルミ顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。その他、染料などで樹脂粒子を着色したような着色樹脂粒子や、色材を媒体中に分散させてなる着色体を公知のマイクロカプセル化法などにより樹脂壁膜形成物質からなる殻体に内包または固溶化させたマイクロカプセル顔料を用いても良い。
尚、顔料は、予め顔料分散剤を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等を用いてもよい。該顔料分散剤としては、水溶性樹脂、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
染料としては、溶媒に溶解可能であれば特に制限されるものではない。例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料、および各種造塩タイプ染料等が採用可能である。
これらの顔料および染料は、1種または、2種以上の混合物として使用してもかまわない。
本発明においては、着色剤の中でも染料を用いることが好ましい。染料は顔料とは異なり、溶解状態で存在するため、動物性プロテオグリカン分子の保水力に影響を与え難く、優れた耐ドライアップ性能が得られやすいためと推測する。よって、長期間、さらには乾燥状態が強い環境下においてペン先が大気に晒された状態にあっても、良好な筆跡が得られやすい。また、染料を用いることで、安定したペン先からのインキ吐出性が得られやすく、よって得られる筆跡は、ボテや線ワレの発生が抑えられる。このため、優れた筆記性能が得られやすい。
本発明のインキ組成物における着色剤の含有率は、インキ組成物の総質量を基準として、0.1~30質量%であることが好ましい。
<溶媒>
本発明に用いる溶媒は、従来の筆記具用水性インキ組成物や筆記具用油性インキ組成物に用いられる溶媒を使用することができる。
具体的には水が挙げられ、水としては特に制限なく、例えば、水道水、イオン交換水、限外ろ過水または蒸溜水などが挙げられる。
また、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコール溶剤や、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル溶剤、さらには、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール溶剤なども挙げられる。
これらを1種または、2種以上の混合物として使用することが可能である。
中でも、本発明においては、水または、水に溶解可能な有機溶剤(水溶性有機溶剤)と水からなる混合溶媒を用いることが好ましく、動物性プロテオグリカンの溶解性が良好で、保湿剤としての効果を効率良く得やすいためである。よって、本発明のインキ組成物は、筆記具用水性インキ組成物として調整することが特に好ましい。
また、耐ドライアップ性能の更なる向上を考慮すると、前記水溶性有機溶剤の中でも、多価アルコール溶剤を用いることが好ましい。これは、多価アルコール溶剤を用いることで、多価アルコール溶剤の吸湿効果をインキ組成物に付与することができるためである。よって、本発明のインキ組成物において、動物性プロテオグリカンがもつ優れた保水力による溶媒蒸発抑制効果と、多価アルコール溶剤の吸湿効果により、相乗的に保湿効果が向上し、より優れた耐ドライアップ性能が得られ、長期間、さらには乾燥状態が強い環境においてペン先が大気に晒された状態にあっても、良好な筆跡を残すことができる。
本発明においては、前記多価アルコール溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンの中から1種以上を選択して用いることが好ましい。特には、ブチレングリコールを用いることが好ましい。動物性プロテオグリカンとブチレングリコールを併用することで、動物性プロテオグリカンの溶解性がより安定し、その保湿効果が効率良く得やすく、また、ブチレングリコール自体の保湿力との相乗効果により、耐ドライアップ性能を向上することができる。
また、ブチレングリコール以外の、他の多価アルコール溶剤をさらに併用して用いることが好ましく、優れた筆記性能を維持しながら、耐ドライアップ性能を向上することができる。このため、長期間、さらには乾燥状態が強い環境下においてペン先が大気に晒された状態にあっても、書き出しからスムーズにインキが吐出され、カスレのない均一な筆跡を残すことができ、また、得られる筆跡はボテや線ワレの発生も十分抑えられる。また、後述するような、剪断減粘性付与剤を用いたインキ(ゲルインキ)にも調整可能で、それを用いた筆記具、また、後述するような出没式筆記具のような、特に、耐ドライアップ性能の考慮を必要とする筆記具にも好適に用いることができる。
インキ組成物における溶媒の含有率は、インキ組成物の総質量を基準として、10~99質量%であることが好ましい。
尚、前記多価アルコール溶剤を用いる場合、動物性プロテオグリカンと多価アルコール溶剤の総含有率は、インキ組成物の総質量を基準として、耐ドライアップ性能と筆記性能をバランス良く向上させることを考慮すると、0.1~40質量%であることが好ましく、0.2~25質量%であることが好ましい。
また、本発明のインキ組成物は、デキストリンを更に含んでなることが好ましい。
デキストリンはペン先に柔らかい被膜を形成し、その被膜によりインキ中の溶媒の蒸発を防ぐことができる。このため、動物性プロテオグリカンとデキストリンを併用することで、動物性プロテオグリカンの優れた保水力による蒸発抑制と、デキストリンの被膜形成による蒸発抑制の二つにより、ペン先からのインキ中の溶媒の蒸発を効果的に抑制することができ、耐ドライアップ性能を向上させることができる。また、デキストリンは、形成される被膜によりペン先からのインキ漏れも抑制できる傾向にある。よって、本発明において、デキストリンを更に用いることは、耐ドライアップ性の向上とともに、インキ漏れ抑制を考慮する必要がある、出没式筆記具に効果的に用いることが可能である。
デキストリンを用いる場合、デキストリンの重量平均分子量は、5000~120000であることが好ましい。120000以上であると、ペン先に形成される被膜が硬く、ドライアップ時の書き出しにおいて、筆跡がかすれやすくなる傾向があり、一方、5000未満だとデキストリンの吸湿性が高くなり、ペン先に生ずる被膜が柔らかくなりやすく、ペン先で安定した被膜が維持しにくく、インキ中の溶媒の蒸発を抑制しにくい傾向となるためである。さらに、重量平均分子量が20000より小さいと、被膜は薄くなりやすい傾向にあるため、重量平均分子量が、20000~100000であることが最も好ましい。
デキストリンの含有率は、インキ組成物の総質量を基準として0.1~5質量%が好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、耐ドライアップ性能の向上効果が得難い傾向にあり、5質量%を越えると、溶解安定性が劣る傾向があるためである。さらに、インキ中の溶解安定性を考慮すれば、0.1~3質量%が好ましく、耐ドライアップ性能の向上を考慮すれば、1~3質量%が最も好ましい。
また、本発明においては、剪断減粘性付与剤を添加し、インキに適当な粘性を与えて実用に供することができる。用いられる剪断減粘性付与剤は従来公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン等の多糖類、ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸、会合性ウレタンなどの合成高分子非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、等が挙げられ、1種または、2種以上の混合物として使用することが可能である。
中でも、上述のような多糖類や合成高分子は、剪断減粘性付与剤として優れた効果を有するものであるが、ペン先で溶媒が蒸発した際、強固な乾燥膜を形成し易く、耐ドライアップ性を低下させる傾向にある。しかしながら、本発明に用いられる動物性プロテオグリカンは、保湿効果が極めて高く、剪断減粘性付与剤が強固な被膜を形成することを抑制できる。このため、剪断減粘性付与剤を用いた場合においても、動物性プロテオグリカンを用いることで、優れた耐ドライアップ性能を得ることができる。
中でも、動物性プロテオグリカンとの相性を考慮すると、本発明においては多糖類を用いることが好ましい。
また、動物性プロテオグリカンは、前述の通り、極小量の添加でも優れた耐ドライアップ性能をもたらすことができる。このため、剪断減粘性付与剤により付与された適正なインキの剪断減粘性に影響を与え難く、よって、インキは安定して吐出され、ボテや線ワレが抑制された良好な筆跡を残すことができる。以上より、剪断減粘性付与剤を用いたインキ(ゲルインキ)においても、動物性プロテオグリカンを用いることは可能であり、好適で効果的である。
また、本発明のインキ組成物は、インキ物性や機能を向上させる目的で、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基性無機化合物、酢酸ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの塩基性有機化合物、乳酸およびクエン酸などが挙げられ、インキ組成物の経時安定性を考慮すれば、塩基性有機化合物を用いることが好ましく、より考慮すれば、弱塩基性であるトリエタノールアミンを用いることが好ましい。これらのpH調整剤は1種または、2種以上の混合物として使用してもかまわない。
インキ組成物のpH値は9以下であることが好ましい。これは、pH値が9以下であれば、動物性プロテオグリカンの溶解安定性が得られ、動物性プロテオグリカンがもたらす効果を十分に得ることができる。インキ組成物の経時安定性の向上や、インキ組成物が接触する金属部材の腐食抑制などを考慮すると、pH値は6以上であることが好ましく、よって、インキ組成物のpH値は、6~9であることがより好ましく、7~9であることがさらに好ましい。なお、本発明において、pH値は、IM-40S型pHメーターを用いて、20℃にて測定した値を示すものである。
防錆剤としては、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、サポニン、またはジアルキルチオ尿素などが挙げられる。
防腐剤としては、フェノール、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩などが挙げられる。
本発明において、保湿剤は動物性プロテオグリカンや、多価アルコール、デキストリン以外の保湿剤を更に含んでいても良い。例えば、尿素、ソルビット、トリメチルグリシンなどのN,N,N-トリアルキルアミノ酸、ヒアルロン酸類などが挙げられ、好適に用いることができる。
さらに、樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂など含むエマルジョンを添加することができる。
さらには、ノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤や、アセチレン結合を構造中に有した界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤なども添加することができ、ジメチルポリシロキサンなどの消泡剤を添加することもできる。
また、本発明のインキ組成物をボールペンに用いる場合、潤滑剤を用いることが好ましい。
潤滑剤は、ボールペンが有するボールとボールペンチップのボール座との間の潤滑性を向上して、ボールの回転をスムーズにすることで、ボール座の摩耗を抑制し、書き味を向上するものであり、本発明においては、リン酸エステル系界面活性剤や脂肪酸を用いることが好ましい。
中でも、本発明においては、リン酸基を有するリン酸エステル系界面活性剤を用いることがより好ましい。これは、リン酸基が金属に吸着しやすい性質があることから、ボールとボール座の間の潤滑性を向上させやすく、ボールの回転性と、ボール座の摩耗抑制を向上し、滑らかな書き味をもたらしやすいためである。また、動物性プロテオグリカンの保湿効果を阻害することがない。
また、前述の通り、動物性プロテオグリカンを含んでなる本発明のインキ組成物は、動物性プロテオグリカンが弾力のある潤滑層となって、滑らかな書き味をもたらす傾向にある。よって、本発明において、リン酸エステル系界面活性剤を更に用いることは、これらの潤滑効果が相乗的に得られ、滑らかな書き味を得やすい。さらには、ボールの回転がスムーズになることから、優れたインキ吐出性を維持することが可能となり、良好な筆跡を残すことができる。よって、本発明において、リン酸エステル系界面活性剤を更に用いることは、優れた耐ドライアップ性能を維持しながら、筆記性能、さらには書き味を向上することができ、効果的である。
前記リン酸エステル系界面活性剤の種類としては、直鎖アルコール系、スチレン化フェノール系、ノニルフェノール系、オクチルフェノール系等が挙げられる。
リン酸エステル系界面活性剤の具体例としては、プライサーフシリーズ(第一工業製薬(株))の中から、プライサーフA212C、同A208B、同A213B、同A208F、同A215C、同A219B、同A208N等が挙げられる。
また、脂肪酸の具体例としては、OSソープ、NSソープ、FR-14、FR-25(花王(株))等が挙げられる。
これらのリン酸エステル系界面活性剤、脂肪酸は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
<インキ組成物の製造方法>
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、マグネットホットスターラー、プロペラ攪拌機、ホモジナイザー攪拌機、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
<筆記具>
本発明の筆記具用インキ組成物を充填する筆記具自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来から汎用のものが適用でき、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップをペン先としたマーキングペン(サインペン)や、ボールペンチップなどをペン先としたボールペン、さらに、金属製のペン先を用いた万年筆など、各種筆記具に用いることができる。
また、本発明のインキ組成物を用いることができる筆記具としては、インキ組成物を直に充填する構成のものであってもよく、インキ組成物を充填することのできる、インキ収容体またはインキ吸蔵体を備えるものであってもよい。また、前記インキ収容体またはインキ吸蔵体が、筆記具本体に着脱自在に交換可能な構造をもつインキカートリッジ式筆記具およびコンバーター式筆記具であってもよい。
また、本発明のインキ組成物を用いることができる筆記具は、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式筆記具や、ノック式、回転式およびスライド式などの軸筒内にペン先を収容可能な出没式筆記具が挙げられる。
動物性プロテオグリカンを含んでなる本発明のインキ組成物は、耐ドライアップ性能に優れることから、常にペン先が大気に晒されているような状況となる出没式筆記具に好適に用いることができる。
また、本発明のインキ組成物を用いることができる筆記具の供給機構についても特に限定されるものではなく、例えば、(機構1)繊維収束体などからなるインキ誘導部をインキ流量調節部材として備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、(機構2)くし溝状のインキ流量調節部材を備え、これを介在させ、インキ組成物をペン先に供給する機構、(機構3)弁機構によるインキ流量調節部材を備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、および(機構4)インキ流量調節部材なしに直接、インキ組成物をペン先に供給する機構などを挙げることができる。
本発明のインキ組成物は、前述の通り、剪断減粘性付与剤を用いた場合においても、優れた耐ドライアップ性能を奏しながらも、インキ吐出性を良好とし、優れた筆記性能を得ることができる。このため、前記(機構4)の供給機構を備える筆記具に好適に用いることができる。
また、動物性プロテオグリカンを含んでなる本発明のインキ組成物は、優れた耐ドライアップ性能を維持しながらも、インキ組成物のインキ粘度の上昇を抑えてインキ吐出性の低下を抑制でき、優れた筆記性能を発現できる。よって、剪断速度380sec-1において50mPa・s以下であるような低粘度インキ組成物、剪断速度380sec-1において2mPa・s以下であるような超低粘度インキ組成物にも調整することが可能であり、本発明のインキ組成物は、インキ供給機構の特性から、インキ粘度が前記低粘度インキ組成物から前記超低粘度インキ組成物の範囲内であるインキ組成物を主に充填して用いるような前記(機構1)、(機構2)、(機構3)の供給機構を備える筆記具にも好適に用いることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
下記の配合組成および方法により筆記具用インキ組成物を得た。
・着色剤 50.0質量%
(黒色染料水溶液(染料分15%))
・動物性プロテオグリカン 1.0質量%
(動物性プロテオグリカンの1.0%水溶液)
・潤滑剤 1.0質量%
(リン酸エステル系界面活性剤)
・pH調整剤 3.0質量%
(トリエタノールアミン)
・防錆剤 0.5質量%
(ベンゾトリアゾール)
・剪断減粘度付与剤 0.6質量%
(キサンタンガム)
・防腐剤 0.25質量%
(プロキセルXL-2(S))
・水 43.65質量%
動物性プロテオグリカン、着色剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、水をマグネットホットスターラーで加温撹拌などして、ベースインキを作製した。
その後、上記作製したベースインキを加温しながら、剪断減粘性付与剤を投入してホモジナイザー攪拌機を用いて均一な状態となるまで充分に混合撹拌した後、濾紙を用いて濾過を行い、実施例1の筆記具用インキ組成物を得た。
さらに、IM-40S型pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、20℃におけるインキ組成物のpH値を測定した結果、pH値は8.2であった。また、得られたインキ組成物の粘度をE型回転粘度計(機種:DV-II+Pro、ローター:CPE-42、ブルックフィールド社製)により、20℃環境下にて剪断速度1.92sec-1(回転数0.5rpm)の条件にてインキ粘度を測定したところ、1700mPa・sであった。
<実施例2~実施例6>
実施例2~実施例6は、インキ組成物に含まれる成分の種類や配合量を表1において表される組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法で筆記具用インキ組成物を得た。
<比較例1~比較例2>
比較例1~比較例2は、インキ組成物に含まれる成分の種類や配合量を表1において表される組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法で筆記具用インキ組成物を得た。
Figure 0007129349000001
上記実施例で使用した材料の詳細は以下の通りである。表中の材料の注番号に沿って説明する。
(1)オリヱント化学工業株式会社製、商品名:Water Black 191L、黒色染料水溶液(染料分15%)
(2)冨士色素株式会社製、商品名:FUJI SP BLACK 8041、黒色顔料分散液(顔料分20%)
(3)一丸ファルコス株式会社製、商品名:プロテオグリカンIPC、動物性プロテオグリカン(アグリカン型プロテオグリカン、サケ(鮭)鼻軟骨抽出物)の1.0%水溶液[組成:動物性プロテオグリカン;1.0%、水;69.3%、ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)29.7%]、動物性プロテオグリカンの分子量;45万(ピークトップ分子量、測定条件(HPLCシステム:LC-10AD、カラム:TSKgel G5000-PWXL φ7.8mm×300mm(東ソー社製)、溶出液:pH6.8 リン酸緩衝液、流速:0.5mL/min、カラム温度:40℃、検出器:示唆屈折率検出器(RID-10A 島津製作所社製)、導入量:50μL、分子量マーカー:Shodex STANDARD P-82(プルラン)))
(4)三和澱粉工業株式会社製、商品名:サンデック#70、重量平均分子量:30000
(5)第一工業製薬株式会社製、商品名:プライサーフA215C、直鎖アルコール系
(6)ロンザジャパン株式会社製、商品名:プロキセルXL-2
<試験および評価>
得られたインキ組成物を以下の方法で試験および評価を行った。得られた結果は、表1の通りである。
実施例1~実施例6及び、比較例1~比較例2の筆記具用インキ組成物(0.2g)を、ボール(ボール径:0.7mm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):1nm)が回転自在に抱持されたボールペンチップを先端に有するインキ収容体(ポリプロピレン製)の内部に充填し、このレフィルを、(株)パイロットコーポレーション製のゲルインキボールペン(商品名:G-2)に装着し、ボールペンを作製した。
作製したボールペンを試験用筆記具とし、以下の試験および評価を行った。
尚、耐ドライアップ性能試験、筆記性能試験は、試験用紙としてJIS P3201 筆記用紙Aを用いた。
<耐ドライアップ性能試験>
試験用筆記具のペン先を大気に晒した状態で、50℃、全乾の条件下で3ヶ月放置した後、試験用紙に手書きで丸を筆記し、一行に12個連続で筆記し、何個目からカスレのない正常な筆跡が得られるかを目視により観察した。下記評価基準に従って評価した。得られた評価結果を表1にまとめた。
◎:1個目より正常な筆跡が得られた。
○:2個目より正常な筆跡が得られた。
△:3個目~5個目で正常な筆跡が得られた。
×:5個目以内に正常な筆跡が得られなかった。
××:正常な筆跡が得られなかった。
<筆記性能試験>
耐ドライアップ性能試験で使用した試験用筆記具を用いて、正常な筆跡が得られた後、試験用紙に手書きで螺旋状の丸を連続筆記し、得られた筆跡のボテと線ワレの状態を目視により観察し、下記評価基準に従って評価した。得られた評価結果を表1にまとめた。
○:ボテや線ワレのない良好な筆跡が得られた。
△:僅かにボテや線ワレが確認されたが、実用上問題がないレベルであった。
×:ボテや線ワレが多数確認され、良好な筆跡が得られなかった。
表1に示した通り、実施例1~実施例6のインキ組成物は、耐ドライアップ性能、筆記性能ともに良好レベルのものであった。
一方、比較例1~比較例2のインキ組成物は、動物性プロテオグリカンを用いていないため、耐ドライアップ性能、筆記性能ともに満足できるインキ組成物ではなかった。
また、実施例1~実施例6のインキ組成物を充填させた試験用筆記具を用いて、室温にて、試験用紙(JIS P3201 筆記用紙A)に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を3行連続したところ、滑らかな書き味であった。また、実施例3と比較例1のインキ組成物を充填させた試験用筆記具を、室温にて画線機(筆記角度70°、荷重200g、筆記速度4m/min)を用いて筆記した際の筆記抵抗値を測定したところ、比較例1に比べて実施例3のインキ組成物を充填した試験用筆記具の筆記抵抗値の方が低い値を示した。
以上より、動物性プロテオグリカンと、着色剤と、溶媒と、を含んでなる筆記具用インキ組成物は、耐ドライアップ性能に優れており、ペン先が暫く大気に晒された状態においても良好な筆跡が得られ、さらに、ペン先からのインキ吐出性も良好であり、ボテや線ワレが抑制された良好な筆跡が得られるなど、筆記性能にも優れたもので、前記筆記具用インキ組成物を用いた筆記具は、筆記具として優れたものであることがわかった。
本発明のインキ組成物は、ボールペン、マーキングペン、万年筆、筆ペン、カリグラフィー用のペンなどの各種筆記具に用いることができ、該インキ組成物が収容されてなる筆記具は、耐ドライアップ性能に優れながらも、筆記性能にも優れ、良好な筆跡をもたらすことができるなど、筆記具として優れたものである。

















Claims (4)

  1. 動物性プロテオグリカンと、着色剤と、溶媒と、を含んでなることを特徴とする、筆記具用インキ組成物。
  2. 前記動物性プロテオグリカンがアグリカンである、請求項1に記載の筆記具用インキ組成物。
  3. 前記動物性プロテオグリカンの含有率が、前記筆記具用インキ組成物の総質量を基準として0.001質量%~5質量%である、請求項1または請求項2に記載の筆記具用インキ組成物。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とする、筆記具。




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