JP7215470B2 - 鋼管、鋼管構造体、鋼管構造体の構築方法 - Google Patents

鋼管、鋼管構造体、鋼管構造体の構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転させて地盤を掘り進めながら地盤内に埋設される鋼管、該鋼管によって構築される鋼管構造体、該鋼管構造体の構築方法に関する。
鋼管杭を回転圧入できる鋼管杭圧入装置を用いて、先端にビットを備えた切削用鋼管杭でコンクリート護岸を打ち抜いて圧入して鋼管杭列を構築する方法が、例えば特許文献1に開示されている。先端にビットを備えた切削用鋼管杭を用いることにより、切削能力が増し、コンクリートなどの既設構造物や障害物を破壊できるメリットがある。
また、特許文献2には、耐摩耗性と耐衝撃性に優れたビットの構造が開示されている。当該文献では、比較的硬度の高い硬チップと硬度の低い軟チップを焼結させたチップをビットに取付け、耐摩耗性と靱性を両立させている。
さらに、特許文献3には、鋼管を回転圧入させる際の補助装置として、鋼管内が土砂で閉塞することを防止するために流体を吐出する方法が開示されている。鋼管の内壁に沿って周方向に流体を吐出することで、鋼管の内壁と土砂との間に流体を介在させ、鋼管内での閉塞が発生するのを防止している。
特許第4105076号公報 特開2017-133328号公報 特許第4242251号
特許文献1では、先端にビットを備えた鋼管杭でコンクリートなどの既設構造物を打ち抜いたのち、所定の地中深度まで施工(回転圧入による)を継続する必要がある。
しかし、既設構造物を打ち抜くと、打ち抜きによってくり抜かれた構造物が鋼管内に残存して閉塞を引き起こすため、その後の回転圧入において掘削土砂が鋼管内に取り込まれず、圧入に必要な押し込み力と回転トルクが増大する。
また、地盤の土砂は掘削時に空隙が生じてかさ密度が減少し、みかけの体積が膨張するため、既設構造部が存在しない場合においても、一定以上の圧入長においては鋼管内が土砂の拘束圧が大きくなって閉塞した状態となり、圧入に必要な押し込み力と回転トルクが増大する。
また、特許文献2のような超硬合金製チップをビット(鋼材)先端に取り付けるには、一般的にロウ付けされることが多いが、掘削する際の摩擦熱によってロウ付けの接合強度が低下して、チップがビットから欠落するおそれがある。この摩擦熱は、鋼管の押し込み力や回転トルクが大きくなるほど大きくなるため、鋼管内が閉塞すると摩擦熱が増大して、チップの欠落リスクが大きくなる。
また、特許文献3のような装置で、鋼管の回転圧入中にウォータージェットを噴射することは、土砂による鋼管内の閉塞抑制機能や先端ビットの冷却機能としては有効である。しかし、回転圧入中にウォータージェットホースがねじれないように特殊な設備が必要であったり、鋼管の縦継ぎ時にウォータージェット配管も継ぐ必要があるため作業が煩雑になったりするため、コストが増大する。
また、ウォータージェットによって施工中にスラリー化した土砂が鋼管の周りに生じるため、水中での施工においては濁りが生じるリスクがある。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、回転させて地盤を掘り進めながら地盤内に埋設される鋼管であって、回転させた鋼管の圧入施工時における圧入抵抗を低減しつつ、ウォータージェットを使わずとも鋼管内の閉塞を抑制することができる鋼管を得ることを目的としている。
また、該鋼管によって構築された鋼管構造体、該鋼管構造体の構築方法を得ることを目的としている。
(1)本発明に係る鋼管は、回転させて地盤を掘り進めながら地盤内に埋設されるものであって、
鋼管本体部の先端に設けられると共に前記鋼管本体部の周方向に螺旋状に延出して地盤をほぐす地盤ほぐし部材を有し、
該地盤ほぐし部材は、鋼管本体部内側への張り出し幅が9.5mm以上600mm以下であり、かつ鋼管本体部外側への張り出し幅が鋼管本体部外径の0.05倍以下になるよう設けられていることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記地盤ほぐし部材は、水平に対して5°以上20°以下の角度で上方に傾斜し、下端面が、60°以上75°以下に傾斜する傾斜面となっていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記鋼管本体部の内面に、螺旋形状の連続的な凸条が設けられていることを特徴とするものである。
(4)本発明に係る鋼管構造体は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の鋼管が地中に単数又は複数埋設されて構築されたことを特徴とするものである。
(5)本発明に係る鋼管構造体の構築方法は、上記(4)に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の鋼管の上端を把持して地盤中に回転貫入させることを特徴とするものである。
(6)本発明に係る鋼管構造体の構築方法は、上記(4)に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の鋼管の地盤中への回転貫入中に、回転を維持したまま時折鋼管を引き抜く工程を挟み、貫入と引き抜きを繰返しながら徐々に地盤を掘り進めることを特徴とするものである。
(7)本発明に係る鋼管構造体の構築方法は、上記(4)に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の鋼管の地盤中への回転貫入中に、時折逆回転させながら鋼管を引き抜く工程を挟み、貫入と引き抜きを繰返しながら徐々に地盤を掘り進めることを特徴とするものである。
(8)本発明に係る鋼管構造体の構築方法は、上記(4)に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
先端にビットを備えた先行掘削用鋼管により、鉄筋コンクリート、無筋コンクリート又は石材の内、1種以上で構築された既存の構造物を打ち抜く工程と、
先行掘削用鋼管を引き上げる工程と、
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の鋼管の上端を把持して地盤中の所定の位置まで回転貫入する工程とを備えたことを特徴とするものである。
本発明においては、鋼管本体部の先端に設けた地盤ほぐし部材が、鋼管が回転する際に地盤を掘削して、鋼管本体部の内径よりも内径が小さいドーナツ状の地盤ほぐし部を形成することができ、ほぐされた土が回転圧入中に鋼管本体部内で閉塞するのを抑制でき、ウォータージェットを使わないで、コストを抑制した施工が可能となる。
本発明の実施の形態1に係る鋼管の先端部の説明図である(その1)。 本発明の実施の形態1に係る鋼管の先端部の説明図である(その2)。 本発明の実施の形態1に係る鋼管の作用効果の説明図である(その1)。 従来例の有する課題の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る鋼管の作用効果の説明図である(その2)。 本発明の実施の形態1に係る鋼管の他の態様の先端部の説明図である(その1)。 本発明の実施の形態1に係る鋼管の他の態様の先端部の説明図である(その2)。 本発明の実施の形態1に係る鋼管の他の態様の先端部の説明図である(その3)。 図8に示す鋼管の地盤ほぐし部材の作用の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る鋼管の他の態様の先端部の説明図である(その4)。 本発明の実施の形態2に係る鋼管の説明図である。 実施例の施工例1の説明図である。 実施例の施工例2の説明図である。 実施例の施工例3の説明図である。
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る鋼管1は、回転させて地盤を掘り進めながら地盤内に埋設されるものであって、図1に示すように、鋼管本体部3の先端に設けられると共に鋼管本体部3の周方向に螺旋状に延出して地盤をほぐす地盤ほぐし部材5を有している。
地盤ほぐし部材5は、鋼管本体部3内側への張り出し幅a(図2(b)参照)が9.5mm以上600mm以下であり、かつ鋼管本体部3外側への張り出し幅が鋼管本体部外径の0.05倍以下になるよう設けられている。
なお、図1に示す例は、鋼管本体部3外側への張り出し幅が0mmの例である。
張り出し幅aを9.5mm以上600mm以下に設定した理由は以下の通りである。
張り出し幅aが、鋼管1を埋設する地盤の土粒子径よりも狭いと、地盤ほぐし部材5でほぐしていない地盤部分と鋼管本体部3内面との間に土粒子が引っ掛かり、鋼管1内閉塞の原因となる可能性がある。
逆に、張り出し幅aが広すぎると、地盤ほぐし部材5の内側部分で閉塞が生じる可能性が高まる。
地盤内には大小様々な粒径の土粒子が存在するが、ここでは、鋼管1内閉塞に影響する土粒子の粒径はD95粒径であると考えた。ここで、D95粒径は、土の粒度試験方法(JIS A 1204:2009)に基づいて測定された、通過質量百分率の95%に相当する土粒子の粒径である。張り出し幅aがD95粒径の2倍よりも小さいと、D95以上の粒径同士がかみ合ったとき、地盤ほぐし部材5でほぐしていない地盤部分と鋼管本体部3内面との間に土粒子が引っ掛かり、地盤ほぐし部材5の張り出し部上を移動する土砂をせき止めることになり、鋼管内閉塞が生じる。
本発明の鋼管1を回転させて埋設する地盤のD95粒径の最大は300mmと想定し、張り出し幅aの最大はこの最大粒径の2倍である600mmとした。
地盤のD95粒径の最大を300mmと想定したのは、地盤材料の工学的分類方法(JGS 0051:2009)に記載の地盤材料の粒径区分にもとづき、D95粒径が巨石(300mmよりも大きい土粒子)に分類される地盤が存在する場合、鋼管1を埋設する前にアースオーガ等で石を破砕するなどの事前処理を行うことが多いためである。
一方、D95粒径が2mm未満の礫まじりのない地盤では、粒径が小さいので土粒子の引っ掛かりが問題となって鋼管内閉塞を発生させることは少ない。そのため、本発明の鋼管1を回転させて埋設する際に考慮する地盤のD95粒径の最小は、地盤材料の工学的分類方法(JGS 0051:2009)における細礫(粒径2mm以上4.75mm以下)と想定し、張り出し幅aの最小値は細礫を問題なく鋼管内に取り込める幅と考え、細礫の最大粒径の2倍である9.5mmとした。
なお、鋼管1を埋設する地盤の粒度は深さ方向でも異なるため、D95粒径の決め方は例えば次のような方法が想定される。
(1)ボーリング柱状図の1mごとに粒度分布を測定してD95粒径を調べ、それらのD95粒径の最大値を採用する方法。
(2)ボーリング柱状図の地層ごとに粒度分布を測定してD95粒径を調べ、それらのD95粒径の最大値を採用する方法。
(3)ボーリングサンプルから粒径の大きな層を目視で判断し、粒度分布を測定してD95粒径を調べる方法。
また、地盤ほぐし部材5の鋼管本体部3外側への張り出し幅を、鋼管本体部外径の0.05倍以下に設定した理由は以下の通りである。
地盤ほぐし部材5の外側への張り出し幅が鋼管本体部外径の0.05倍超になる、すなわち地盤ほぐし部材5の外径が鋼管本体部3の外径の1.1倍以上になると、回転圧入時および回転引抜き時の抵抗が大きくなるからである。
上記のように構成された鋼管1においては、鋼管1を回転させて打設する過程では、地盤ほぐし部材5が地盤を掘削して、図2(c)の破線で示すように、鋼管本体部3の内径よりも内径が小さいドーナツ状の地盤ほぐし部7が形成される。
さらに、地盤ほぐし部材5が鋼管本体部3の周方向に螺旋状に延出していることにより、土が鋼管本体部3内で閉塞するのを防止できる。
この点を、図3に基づいて詳細に説明する。
図3(a)は、鋼管本体部3の先端に内側に張り出す張出し部材6があるが、この張出し部材6が螺旋状になっておらず、張出し部材6の先端位置が同じ場合(図中「先端が傾斜していない場合」と表記)であり、図3(b)は本実施の形態の鋼管1であり、螺旋状になった地盤ほぐし部材5を有するもの(「先端が傾斜した場合」と表記)を示している。
図3(a)に示す例では、鋼管1を回転して押し込む過程で、張出し部材6で掘削された鋼管先端部の土が鋼管1の内外に移動する。
一方、鋼管1の内側の土は、鋼管内壁との摩擦によって鋼管1と共に下方に移動する。そのため、鋼管1の内側先端部では、掘削によって上方に移動する土と鋼管1と共に下方に移動する土が衝突することで土の締め固まりが発生し、当該部位で土による閉塞が生ずる。
土による閉塞が生ずると、押し込み抵抗が大きくなり、鋼管1の打設効率が低下する。
この点、図3(b)に示す本実施の形態の鋼管1の場合には、側面視で斜めの開口部9があるため、上方に移動する土と鋼管1と共に下方に移動する土が衝突したとしても、土の逃げ場があり(図中の黒矢印参照)締め固まりが生じたとしても閉塞に至ることはない。
そのため、土の閉塞による弊害を抑制することができる。
なお、鋼管1を回転させて埋設する際には、回転を維持したまま鋼管1を貫入するだけでなく、回転貫入と引き抜きを繰返しながら徐々に地盤を掘り進めることもできる。このように、回転貫入と引き抜きを繰り返すのは、鋼管1内での土砂の締め固まりを抑制する(除荷する)ためである。
この場合、先端にビット11を有する従来例の鋼管13の場合には、図4に示すように、鋼管13内部の先端部で土の締め固まりが生じ、引き抜きの際に締め固まった土が蓋のような状態になって鋼管13と共に引き上げられる現象が生じ、除荷することができなくなる。
一方、先端に地盤ほぐし部材5のある本実施の形態の鋼管1においては、鋼管1の内径よりも内側まで土が解れているため、回転貫入時には図5(a)に示すように、鋼管1の先端近傍で土の締め固まりが生ずるが閉塞には至らず、引き抜き時には図5(b)に示すように、締め固まった土の解きほぐし(応力開放)ができ、円滑な打設を実現できる。このように、本実施の形態の鋼管1であれば、貫入と引き抜きを繰返しながら徐々に貫入することで、管内閉塞の抑制効果をより大きくできる。
なお、引抜き時には、鋼管1の回転を維持したままでもよいし、鋼管1の回転を一度止めて、逆回転させてもよい。
以上のように、本実施の形態の鋼管1によれば、地盤ほぐし部材5によってほぐされた土が回転圧入中に鋼管1内で再び締め固まって閉塞するのを抑制でき、回転させながら鋼管1を圧入施工する際の圧入抵抗を低減でき、ウォータージェットを使わずとも鋼管1内の閉塞を抑制することができる。そのため、コストを抑制しつつ施工ができ、また水中施工の場合にも水中の濁りを防止して環境負荷の小さい施工が可能となる。
なお、図1に示した地盤ほぐし部材5は、螺旋状に切り欠かれた鋼管1先端に沿うように、略1周設けたものであったが、本発明の地盤ほぐし部材5はこれに限られるものではなく、図6に示すように、螺旋状の地盤ほぐし部材5を複数備えるものでもよい。
この場合、各地盤ほぐし部材5の下側先端は鉛直方向の高さが揃っているのが好ましい。これによって、掘削時に地盤ほぐし部材5の先端に作用する荷重が分散され、地盤ほぐし部材5に対する負荷が小さくなり、地盤ほぐし部材5の板厚等を薄くできるからである。
地盤ほぐし部材5が2本のときは、鋼管1の先端は二重螺旋形状に、地盤ほぐし部材5が3本のとき鋼管1の先端は三重螺旋形状に、地盤ほぐし部材5が4本のとき鋼管1の先端は四重螺旋形状になる。
なお、地盤ほぐし部材5が5本以上になると、1本あたりの螺旋の傾斜角度が小さくなって、回転圧入中に鋼管1内で土が締め固まるリスクが大きくなる。そのため、地盤ほぐし部材5は1~4本が望ましい。
また、本発明に係る地盤ほぐし部材5は、螺旋方向に必ずしも連続的である必要はなく、図7に示すように、複数の地盤ほぐし部材5が螺旋方向に所定の間隔を離して配置されるようなものでもよい。このように、地盤ほぐし部材5を螺旋方向に連続することなく設けた場合であっても、螺旋方向に連続するものと同様のほぐし効果を期待できる。
もっとも、地盤ほぐし部材5の累計長さが、鋼管1全周のうち少なくとも10%以上であることが望ましい。これは、10%を下回ると、地盤ほぐし部材5による効果が極端に小さくなるおそれがあるためである。
土の取込み時の推進力(回転によって地盤ほぐし部材5の張り出し部上を土が移動することで、鋼管に下向きの力がかかる)による圧入補助を期待するのであれば、地盤ほぐし部材5の累計長さは、鋼管1全周のうち少なくとも50%以上であることが望ましい。これは、50%を下回ると、地盤ほぐし部材5の張り出し部上に乗った土が、推進力を発揮する前に地盤ほぐし部材5から落ちてしまうためである。
また、地盤ほぐし部材5は、図8に示すように、水平に対して5°以上20°以下の角度で上方に傾斜し、下端面が、60°以上75°以下に傾斜する傾斜面となっていることが好ましい。
これは、地盤の掘削においては、傾斜角度γと削り角度βとすくい角度α(90°からβとγを引いた角度)(図9参照)のバランスが重要なためである。傾斜角度γが5°未満になると地盤ほぐし部材5の摩耗が生じやすくなり、削り角度βが60°未満になると地盤ほぐし部材5の先端が割れやすくなり、すくい角度αが10°より小さくなると局所的に破壊させてほぐした地盤が鋼管1内に入りづらくなる。これらの制約を満たす角度に設定することで、地盤の掘削効率を向上させることができる。
また、地盤ほぐし部材5は、図10に示すように、耐摩耗鋼によって形成されていることが好ましい。図10において、耐摩耗鋼によって形成された部分はグレーに色付けして示している。地盤ほぐし部材5に耐摩耗鋼を使用することで、回転させながら硬質地盤や地中障害物のある地盤に圧入する際に地盤ほぐし部材5の損傷を防止できる。
なお、使用する耐摩耗鋼の表面ブリネル硬さ(JIS Z 2243:2018試験による)が公称値で340(±30)以上のものを用いることが望ましい。
また、耐摩耗鋼の加工性、溶接性を考慮すると、表面ブリネル硬さ(JIS Z 2243:2018試験による)が公称値で600以下のものとするのがよい。
なお、図10に示したものは、地盤ほぐし部材5のみを耐摩耗鋼によって形成したものであったが、鋼管本体部3自体をその全長に亘って耐摩耗鋼によって形成してもよい。
また、地盤ほぐし部材5の全体を耐摩耗鋼で形成してもよいし、地盤ほぐし部材5の一部、例えば下端側の先端から所定の長さのように地盤との接触多い部分のみを耐摩耗鋼で形成するようにしてもよい。
[実施の形態2]
本実施の形態に係る鋼管15は、図11に示すように、実施の形態1の構成に加えて、鋼管本体部3の内面に、螺旋形状の連続的な凸条17が設けられていることを特徴とするものである。
凸条17の形成方法は、鋼管本体部3内面を螺旋形状に連続的に切削する方法でもよいし、鋼管本体部3内面に螺旋形状の棒鋼を溶接する方法でもよいし、予め凸条17が形成された鋼板を管形状に加工するようにしてもよい。
鋼管本体部3の内面に螺旋状の凸条17を設けることにより、鋼管15の回転圧入時に鋼管15内に入り込んだ土砂を上方に輸送する作用が得られ、鋼管15内の閉塞防止効果が更に高まる。
凸条17の幅b(内面側への突出幅)は、管内閉塞防止の観点から、地盤ほぐし部材5の鋼管本体部3内側への張り出し幅aよりも小さいことが望ましい。
また、螺旋の傾斜角度δは1~45°程度が望ましい。これは、傾斜角度が大きすぎると、凸条17のピッチCが広くなることで、鋼管15内の掘削土砂を上方に運ぶ効果が低減される可能性があるためである。
実施の形態1、2は、先端に地盤ほぐし部材5を有する鋼管1、15について説明したが、このような鋼管1、15の上端を把持して地盤に回転させて掘り進めながら地盤内に埋設することで、例えば鋼管杭のような鋼管構造体を構成することができる。
また、鋼管1、15を隣接させて複数地中に埋設してこれらを接続することで矢板壁のような鋼管構造体を構成することができる。
なお、地盤ほぐし部材5の取付態様として、実施の形態1、2では、鋼管1、15の先端面に、地盤ほぐし部材5の上面を当接させて取り付ける場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、鋼管1、15の最も先端の内周壁に地盤ほぐし部材5の側面を当接させるようにして取り付けても良い。この場合、実施の形態1、2の場合と比較すると、鋼管1、15の板厚分だけ地盤ほぐし部材5が内側に移動した状態となる。この場合でも、鋼管周方向に螺旋状に延出していること、鋼管本体部内側への張り出し幅が9.5mm以上600mm以下であること、かつ鋼管本体部外側への張り出し幅が鋼管本体部外径の0.05倍以下であることを満たせば、同じ効果を得ることができる。
本技術の施工事例を以下に示す。
・施工事例1(図12参照)
<目的>
N値が50以上の領域(硬質地盤)が支持層以外にも存在する地盤に対し、支持力を期待する鋼管杭を構築する。
手順1:先端部に地盤ほぐし部材5を有する鋼管1を鋼管杭圧入装置19によって回転させて地盤を掘り進めながら圧入する(図12(a)参照)。
手順2:直径の1倍以上の深さまで鋼管1を支持層に根入れする(図12(b)参照)。
・施工事例2(図13参照)
<目的>
直径50cm以上の石材が敷き詰められたマウンド上のコンクリート製のケーソンに隣接した鋼管杭列からなる連続壁を築造する。
手順1:先端部に地盤ほぐし部材5を有する鋼管1を回転させて石材を破砕しながら圧入する(図13(a)参照)。
手順2:鋼管1を地盤中の所定の深度まで回転圧入させて鋼管杭を構築する(図13(b)参照)。
手順3:この鋼管杭から反力を得ながら、上記鋼管杭に連続して後行の鋼管1を鋼管杭圧入装置19に取り付けて、鋼管1を地盤中の所定の深度まで圧入して連続壁を構築する。
・施工事例3(図14参照)
<目的>
先端にビット11を備えたビット付き先行掘削鋼管21と併用することで、鉄筋コンクリートで構築された既存の連続壁23を打ち抜いて支持層に根入れされた鋼管杭列の連続壁23を構築する。
手順1:ビット付き先行掘削鋼管21を回転圧入させ、既存の連続壁23を打ち抜く(図14(a)参照)。
手順2:一旦、回転圧入したビット付き先行掘削鋼管21を引き上げる(図14(b)参照)。
手順3:ビット付き先行掘削鋼管21を鋼管杭圧入装置19から取外し、先端部に地盤ほぐし部材5を有する後行の鋼管1を鋼管杭圧入装置19に取り付けて、回転圧入を再開する(図14(c)参照)。
手順4:鋼管1を地盤中の所定の支持層まで回転圧入し、連続壁23を構築する(図14(d)参照)。
なお、ビット付き先行掘削鋼管21による先行掘削の施工範囲は、コンクリートや石材で構築した部分の打ち抜きだけに留まらず、支持力地盤直前まで施工してもよい。
また、ビット付き先行掘削鋼管21の外径に対し、後行の鋼管外径を小さくするとともに、打設した後行の鋼管1の周囲にセメントミルク等を注入し地盤抵抗力を増大させてもよい。
1 鋼管(実施の形態1)
3 鋼管本体部
5 地盤ほぐし部材
6 張出し部材
7 地盤ほぐし部
9 開口部
11 ビット
13 鋼管(従来例)
15 鋼管(実施の形態2)
17 凸条
19 鋼管杭圧入装置
21 ビット付き先行掘削鋼管
23 連続壁

Claims (8)

  1. 回転させて地盤を掘り進めながら地盤内に埋設される鋼管であって、
    鋼管本体部の先端に設けられると共に前記鋼管本体部の周方向に螺旋状に延出して地盤をほぐす地盤ほぐし部材を有し、
    該地盤ほぐし部材は、鋼管本体部内側への張り出し幅が9.5mm以上600mm以下であり、かつ鋼管本体部外側への張り出し幅が鋼管本体部外径の0.05倍以下になるよう設けられていることを特徴とする鋼管。
  2. 前記地盤ほぐし部材は、水平に対して5°以上20°以下の角度で上方に傾斜し、下端面が、60°以上75°以下に傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする請求項1に記載の鋼管。
  3. 前記鋼管本体部の内面に、螺旋形状の連続的な凸条が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載に鋼管。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼管が地中に単数又は複数埋設されて構築されたことを特徴とする鋼管構造体。
  5. 請求項4に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鋼管の上端を把持して地盤中に回転貫入させることを特徴とする鋼管構造体の構築方法。
  6. 請求項4に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鋼管の地盤中への回転貫入中に、回転を維持したまま時折鋼管を引き抜く工程を挟み、貫入と引き抜きを繰返しながら徐々に地盤を掘り進めることを特徴とする鋼管構造体の構築方法。
  7. 請求項4に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鋼管の地盤中への回転貫入中に、時折逆回転させながら鋼管を引き抜く工程を挟み、貫入と引き抜きを繰返しながら徐々に地盤を掘り進めることを特徴とする鋼管構造体の構築方法。
  8. 請求項4に記載の鋼管構造体の構築方法であって、
    先端にビットを備えた先行掘削用鋼管により、鉄筋コンクリート、無筋コンクリート又は石材の内、1種以上で構築された、既存の構造物を打ち抜く工程と、
    先行掘削用鋼管を引き上げる工程と、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鋼管の上端を把持して地盤中の所定の位置まで回転貫入する工程とを備えたことを特徴とする鋼管構造体の構築方法。
JP2020145208A 2020-08-31 2020-08-31 鋼管、鋼管構造体、鋼管構造体の構築方法 Active JP7215470B2 (ja)

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