本開示の実施の形態の説明に先立ち、本開示の着想に至った経緯を簡単に説明する。特許文献1に記載された無人搬送車の牽引装置は、牽引対象である台車に対してリジッドに連結される。連結の際、無人搬送車は、一対のガイドを用いて台車を基台に向けて誘導する。しかしながら、ガイドに対して台車を十分に位置合わせしない状態でガイドの間に台車が進入すると、台車の端部がガイドと干渉して引っ掛かってしまう虞がある。その場合、台車をそれ以上基台に向けて進行させることができなくなる。
本開示は、搬送している台車がガイド等の構造物に干渉した場合であっても台車の搬送を継続させることができる無人搬送車の牽引装置およびこの牽引装置を有する無人搬送車を提供する。
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態について説明する。図1および図2はそれぞれ、本開示の実施の形態における牽引装置付き無人搬送車1を部品実装装置2とともに示す斜視図と側面図である。まず、部品実装装置2について説明する。
部品実装装置2は、上流工程から供給された基板KBに部品BHを装着して下流工程に搬出する。図2に示すように、部品実装装置2は、基台11、基台カバー12、基板搬送部13、フィーダ台車14、パーツフィーダ15、ヘッド移動機構16、装着ヘッド17、部品カメラ18等を有している。図1、図2を含む、本実施の形態で参照する図面において、基板KBはX軸に沿って流れる。Y軸は、水平に延びX軸と直交する。Z軸は、下から上へ延びX軸、Y軸と直交する。
図2に示すように、基板搬送部13はX軸に沿って延びた一対のコンベアを含む。基板搬送部13は、上流工程から供給される基板KBを受け取ってX軸に沿って搬送し、所定の作業位置に位置決めする。基台カバー12は基台11を覆っている。基台カバー12と基台11の上面との間には、作業空間11Sが設けられている。
図3、図4はそれぞれ、牽引装置付き無人搬送車1をフィーダ台車14とともに示す斜視図と平面図である。図1~図3に示すように、フィーダ台車14は、上部に平板状のフィーダベース21を有しており、下部には走行用の複数の自在車輪である台車車輪22が取り付けられている(図4も参照)。フィーダ台車14の両側部にはハンドル23が設けられており、作業者はハンドル23を操作することにより、フィーダ台車14を床面FL上で走行させることができる。
フィーダベース21には複数のパーツフィーダ15が装着されている。フィーダ台車14は、図2に示すように基台11に連結される。この状態で、フィーダベース21に装着されたパーツフィーダ15はそれぞれ、図2、図3に示す部品供給口15Kより作業空間11S内に部品BHを供給する。
図2に示すように、ヘッド移動機構16は固定ビーム16aと、移動ビーム16bと、移動プレート16cとを有している。固定ビーム16aは、基台11の上方でY軸に沿って延びている。移動ビーム16bは、X軸に沿って延びており、Y軸に平行な固定ビーム16aに沿って移動自在になっている。移動プレート16cは、X軸に平行な移動ビーム16bに沿って移動自在になっている。装着ヘッド17は移動プレート16cに取り付けられている。
装着ヘッド17は、固定ビーム16aに対する移動ビーム16bのY軸に沿った移動と、移動ビーム16bに対する移動プレート16cのX軸に沿った移動とによって、作業空間11S内でXY面内を移動する。装着ヘッド17は下方に延びた複数のノズル17aを有している。ノズル17aは、パーツフィーダ15が部品供給口15Kに供給する部品BHを吸着する。
部品カメラ18は、撮像光軸を上方に向けた状態で基台11上に取り付けられている。部品カメラ18は、ノズル17aが吸着した部品BHを下方から撮像する。
部品実装装置2が基板KBに部品BHを装着する部品実装作業を行う場合には、まず、基板搬送部13が上流工程の装置から送られてきた基板KBを受け取って、作業空間11S内の所定の作業位置に位置決めする。基板搬送部13が基板KBを作業位置に位置決めしたら、ヘッド移動機構16が装着ヘッド17をパーツフィーダ15、部品カメラ18、基板KBの順で移動させる装着ターンを繰り返し実行する。
ひとつの装着ターンにおいては、ピックアップ動作、部品認識動作、装着動作が行われる。ピックアップ動作では、パーツフィーダ15が供給する部品BHを装着ヘッド17が吸着してピックアップする。部品認識動作では、装着ヘッド17がピックアップした部品BHを部品カメラ18の上方に移動し、部品カメラ18が部品BHを撮影して認識する。装着動作では、部品カメラ18が認識した部品BHを装着ヘッド17が基板KB上の所定位置(部品装着位置)に装着する。装着ターンが繰り返し実行されることによって、基板KBに装着すべき部品BHを装着ヘッド17が全て装着したら、基板搬送部13は基板KBを下流工程の装置に搬出する。
このような構成の部品実装装置2に対して、作業者がハンドル23を操作し、床面FL上を走行させることによってフィーダ台車14を基台11に近づけて連結させ、また基台11からフィーダ台車14を引き離して分離させる。本実施の形態では、図1および図2に示す牽引装置付き無人搬送車1が、このように作業者が行う動作を行う。
図1、図2に示すように、基台11には、Y軸に平行に延びる一対の台車ガイド11Gが、X軸に沿って並んで設けられている。一対の台車ガイド11Gはフィーダ台車14の横幅よりも若干大きい間隔で配置されている。基台11に連結されるために基台11に近接してきたフィーダ台車14が基台11の所定の位置に連結されるように、台車ガイド11Gは、フィーダ台車14の両側面を案内する。フィーダ台車14は、台車ガイド11Gにガイドされた進路で基台11に向かって進行することにより、基台11に正常に連結される。
フィーダ台車14を基台11に連結させるときには、フィーダ台車14の前方が基台11に近接する方向に牽引装置付き無人搬送車1が床面FLを走行する。フィーダ台車14の前方とは、フィーダベース21に装着されたパーツフィーダ15の部品供給口15Kが並ぶ側を意味する。このとき、後述する図5A、図5Bに示すように、台車ガイド11Gの間にフィーダ台車14が入る。
次に、牽引装置付き無人搬送車1について説明する。図3、図4はそれぞれ、牽引装置付き無人搬送車1をフィーダ台車14とともに示す斜視図と平面図である。牽引装置付き無人搬送車1は、無人搬送車31と、無人搬送車31に取り付けられた牽引装置32とで構成されている。図2、図4に示すように、フィーダ台車14の後方(上述の前方の反対側)の下部には、後方に張り出した2つの支持部材24を介して2つの連結ピン25が設けられている。連結ピン25は牽引装置付き無人搬送車1に連結される(詳細は後述)。
図3、図4、図6に示すように、無人搬送車31は、車体41と、2つの駆動輪42と、2つの従動輪43とを有している。車体41は全体として箱型形状を有している。以下の説明では便宜上、フィーダ台車14を基台11に連結させた状態でX軸に平行な方向を車体41の横向き(左方、右方)と称する。また、基台11に向く側を車体41の前方、基台11とは反対の側を車体の41の後方と称する(図3参照)。
図4および図6に示すように、2つの駆動輪42は車体41の左右に並んで配置されており、2つの従動輪43は車体41の前後に並んで配置されている。駆動輪42はそれぞれ独立して回転方向と回転速度を調節することができる。
駆動輪42はそれぞれ操舵輪を兼ねている。図7Aに示すように、駆動輪42の回転面が車体41の前後(Y軸)と平行となる姿勢を操舵角φが0°の基準姿勢とする。図7Bに示すように、操舵角φは左右に少なくとも90°まで取ることができる。一方、従動輪43は鉛直軸まわりに360°自在に回転させることが可能な自在輪である。このため、2つの駆動輪42の操舵角、回転方向および回転速度を調整することで、車体41は、前後、左右への直進走行させることに加え、右左折走行、旋回走行等の各種走行をすることができる。
図2に示すように、車体41内には、動力源であるバッテリー44と、駆動輪42を駆動する駆動機構45と、制御装置46と、送受信機47とが内蔵されている。制御装置46は自身に記憶したプログラムと、送受信機47を通じてやり取りする外部の指令装置(図示せず)から送られてくる指令信号等とに基づき、駆動機構45の動作を制御して、駆動輪42を駆動させる。
図1、図6、図7A、図7Bに示すように、牽引装置32は、無人搬送車31の車体41の前面下部に、左右に延びて設けられている。牽引装置32は、車体41の前方下部に配置されたカバー部材48を有している。また牽引装置32は、2つのアタッチメント49を有する。アタッチメント49は、図6に示すように、カバー部材48の左右に設けられた2つの開口部48Kから車体41の前方に突出している。
図6、図7A、図7Bに示すように、アタッチメント49にはそれぞれ、チャックユニット50が取り付けられている。チャックユニット50は、ブラケット部51と、固定爪52と、チャック機構部53と、可動爪54とを有している。ブラケット部51は、アタッチメント49に取り付けられ、固定爪52は、ブラケット部51に固定されている。チャック機構部53は、ブラケット部51に設けられ、可動爪54は、チャック機構部53によって横に移動する。チャック機構部53は制御装置46から制御することができる。すなわち、制御装置46は、チャック機構部53によって可動爪54を固定爪52に対して近接(閉)または離間(開)させることで、チャックユニット50に開閉動作を行わせる。
図4に示すように、牽引装置32が有する2つのチャックユニット50のX軸における間隔は、フィーダ台車14が有する2つの連結ピン25の間隔と一致している。牽引装置付き無人搬送車1がフィーダ台車14に連結するときには、牽引装置付き無人搬送車1が床面FL上で走行し、フィーダ台車14の後側から近づく。フィーダ台車14の後側とは、基台11に連結される側とは反対の側である。そして、図8に示すように、牽引装置付き無人搬送車1は、チャックユニット50をそれぞれ、連結ピン25に対向させる。そして、牽引装置付き無人搬送車1が更にフィーダ台車14に近づくことによって、図9Aに示すように、チャックユニット50のそれぞれの固定爪52と可動爪54との間に連結ピン25が位置する。制御装置46は、このように牽引装置付き無人搬送車1の走行を制御する。この状態で、制御装置46が、可動爪54を固定爪52に近づけ、図9Bに示すように、固定爪52と可動爪54とによって連結ピン25をチャックする。この一連の動作により牽引装置付き無人搬送車1とフィーダ台車14とは、図4に示すように、互いに連結される。
牽引装置付き無人搬送車1とフィーダ台車14とが互いに連結された状態で、牽引装置付き無人搬送車1が床面FL上を走行すると、これに従ってフィーダ台車14も床面FL上で走行する。例えば、図10Aに矢印R1で示すように、牽引装置付き無人搬送車1が前後に走行すると、これに従ってフィーダ台車14も前後に走行する。図10Bに矢印R2で示すように、牽引装置付き無人搬送車1が左右に走行すると、これに従ってフィーダ台車14も左右に走行する。なお、牽引装置付き無人搬送車1は、前後に走行するときには2つの駆動輪42の操舵角φは0°とされ、左右に走行するときには2つの駆動輪42の操舵角φは90°とされる。
また、図11A、図11Bに示すように、牽引装置付き無人搬送車1は、フィーダ台車14の直下のある旋回中心ZRを中心にした旋回動作をすることにより、フィーダ台車14を旋回中心ZRまわりにピボットターンさせることができる。このとき、制御装置46が、駆動輪42を操舵して、それぞれの車軸の軸線が旋回中心ZRを向くように操舵すれば、駆動輪42はそれぞれ旋回中心ZRを中心とする円弧軌道上で走行する。図11Aは、フィーダ台車14のほぼ重心に相当する位置を旋回中心ZRとしてフィーダ台車14を旋回する場合を示し、図11Bは、フィーダ台車14のほぼ前端部に相当する位置を旋回中心ZRとしてフィーダ台車14を旋回する場合を示している。
このように牽引装置付き無人搬送車1では、2つのチャックユニット50が牽引装置32に設けられている。チャックユニット50は、無人搬送車31が有する2つの駆動輪42が並んでいるのと同じ方向に並んで設けられ、フィーダ台車14に連結される。すなわちチャックユニット50は、2つの操舵輪である駆動輪42のそれぞれの中心を通る軸に平行に並んでいる。そのため、2つの駆動輪42の操舵角を調節するだけで、容易に牽引装置付き無人搬送車1を定点(上述の旋回中心ZR)まわりに旋回動作させることができる。その結果、牽引装置付き無人搬送車1に連結されたフィーダ台車14をその定点まわりに回転させることができ、フィーダ台車14を極めて容易にピボットターンさせることができる。
図12~図14Bに示すように、牽引装置付き無人搬送車1が有する牽引装置32は、内部にフローティング機構部60を有している。一対のアタッチメント49は、フローティング機構部60に結合されている。フローティング機構部60は、ベース部61と、フローティング部62と、複数(ここでは4つ)のばね部材63と、複数(ここでは4つ)のボールプランジャ64と、一対の当接部材65とを有している。ベース部61が、無人搬送車31の車体41に装着され、フローティング部62は、ベース部61の前方に配置されている。
図14A、図15Aに示すように、板状のベース部61は、車体41の左右に延びており、上縁と下縁のそれぞれに前方に張り出したフランジ部61Fを有している。ベース部61の前面の中央部には、前方に張り出し、上下に配置された一対の水平壁71が設けられている。またベース部61における、水平壁71を左右から挟む位置には、前方に張り出し、左右に配置された一対の垂直壁72が設けられている。
図15A、図16に示すように、ベース部61に設けられた水平壁71のそれぞれには、上下に貫通して設けられた取付け孔71Hが形成されている。図14Aに示すように、垂直壁72のそれぞれの上下二箇所には、取付け部材73が左右に(X軸に沿って)延びた姿勢で固定されている。
図13B、図14A、図15Aに示すように、取付け部材73の基端部は垂直壁72に固定されており、先端部は、横外方に向いている。すなわち、取付け部材73は、向かい合う垂直壁72のそれぞれの外側からベース部61の左右の端部に向かう方向に延びている。取付け部材73にはそれぞれ、第2ワッシャ74が挿通されている。取付け部材73には、先端部から垂直壁72へ延びるネジ穴(Screw hole)が形成されている。このネジ穴には、後述するボルト75が取り付けられる。
図14B、図15B、図16に示すように、フローティング部62もベース部61と同様に車体41の左右に延びており、上縁と下縁のそれぞれに前方に張り出したフランジ62Fを有している。フローティング部62は、ベース部61よりもX軸に沿った寸法が小さく、ベース部61の前方に、ベース部61と平行に配置されている。フローティング部62の左右の両端部の上下それぞれには、横に延びた長孔62Hが形成されている。
図13B、図15B、図16に示すように、フローティング部62の後面の中央部には、上下に配置された一対の水平部81がそれぞれ後方に張り出して設けられている。また、フローティング部62における、水平部81を左右から挟む位置には、左右に配置された一対の垂直部82がそれぞれ後方に張り出して設けられている。水平部81のそれぞれには、横に延びた形状の長孔である収容孔81Hが設けられている。垂直部82のそれぞれには、後方に開口してY軸に沿って延び、上下に配置された一対の溝部82Mが設けられている。
図13B、図14Aに示すように、フローティング部62がベース部61の前に位置した状態では、フローティング部62が有する水平部81は、ベース部61が有する一対の水平壁71を上下から挟んでいる。またフローティング部62が有する垂直部82は、ベース部61が有する一対の垂直壁72を左右から挟んでいる。そして、図15Bに示す垂直部82に形成された溝部82Mはそれぞれ、図15Aに示す垂直壁72に設けられた取付け部材73の基端部と第2ワッシャ74との間の部分を受容した状態となっている。その結果、垂直部82はばね部材63に対し、図17A、図17Bに示す位置に配置される。
図14Aに示すように、フローティング部62がベース部61の前に位置した状態では、上側の水平部81に形成された収容孔81Hは、上側の水平壁71に形成された取付け孔71H(図15A参照)の上方に位置している。また、下側の水平部81に形成された収容孔81Hは、下側の水平壁71に形成された取付け孔71H(図15A参照)の下方に位置している。
図16~図17Bに示すように、上側の当接部材65は、下方に延びた軸部65Jを有する。軸部65Jは、上側の水平壁71の取付け孔71Hに取り付けられている。上側の当接部材65の頭部は、上側の水平部81に形成された収容孔81H内に位置している。一方、下側の当接部材65は、上方に延びた軸部65Jを有する。下側の当接部材65の軸部65Jは、下側の水平壁71の取付け孔71Hに取り付けられている。下側の当接部材65の頭部は、フローティング部62が有する下側の水平部81に形成された収容孔81H内に位置している。
図13B、図14A、図15Aに示すように、ばね部材63はそれぞれ、ベース部61に設けられた取付け部材73の各々に挿通されている。ばね部材63が挿通された取付け部材73のそれぞれの端部には、第1ワッシャ76を挿通したボルト75が取り付けられている。
図15Aに示すように、取付け部材73にボルト75が取り付けられた状態では、ばね部材63の第1端が第1ワッシャ76に当接し、図17Aに示すように、第2端が第2ワッシャ74を介して垂直部82に当接している。すなわちばね部材63はそれぞれ、第2ワッシャ74と第1ワッシャ76との間に位置している。言い換えれば、ばね部材63はそれぞれ、フローティング部62の垂直部82と第1ワッシャ76との間に位置している。
ばね部材63のそれぞれには初期縮みが与えられており、自身が伸びようとする左右のいずれかに向かって垂直部82を押圧する付勢力を発揮する。そのため、フローティング部62は、外力が作用しない状態では、4つのばね部材63の付勢力がバランスしたところでベース部61に対する一定の位置に位置する。以下、そのようなフローティング部62のベース部61に対する位置を中立位置と称する。
外力が作用していない状態でのフローティング部62のベース部61に対する位置は、4つのばね部材63の付勢力のバランスを変えることで所望に設定できる。一例として、本実施の形態では、フローティング部62の左右の中心位置が、ベース部61の左右の中心位置と前後で(Y軸に沿って)ほぼ一致するようなフローティング部62の位置が中立位置となっている。ベース部61に対してフローティング部62がこのような位置関係になるように、ばね部材63のそれぞれの初期縮みの量が調節されている。なお、ばね部材63の初期縮みの量は、それぞれのばね部材63に対応するボルト75の取付け部材73に対する捻じ込み量を調節することによって変更することができる。
フローティング部62は、中立位置を中心に、ベース部61の左右に移動(平行移動)することができる。フローティング部62の中立位置は、ベース部61に対するフローティング部62に許容される所定のストローク内の中間の位置に相当する。この所定のストロークは、4つのばね部材63のそれぞれの弾性範囲内で規定される。
中立位置に位置したフローティング部62は、外から大きな力が加わらない限り中立位置に位置した状態を維持する。一方、フローティング部62は、外から大きな外力を受けた場合には、その外力によって左右のいずれか一方に配置された2つのばね部材63を押し縮めながら、ベース部61の左右一定の範囲内で横に移動する。詳細には、フローティング部62は、フローティング部62の中央部が近づく2つのばね部材63を押し縮めながら、外力が作用する方向に移動する。また、フローティング部62は、外から力が加わって左右のいずれか一方に移動した場合であっても、その力が除去された後は、中立位置に復帰する。これは、押し縮められた2つのばね部材63が、残りの2つのばね部材63よりも大きな付勢力でフローティング部62を中立位置へ向けて押圧するからである。
このように、フローティング部62は、無人搬送車31に装着されるベース部61に対して、水平な第1方向と、その逆の第2方向とにおいて所定のストローク内で変位可能な状態で配置されている。そして、4つのばね部材63は、ベース部61に対してフローティング部62を、第1方向と第2方向とにおいて所定のストローク内の中間にアライメントする第1のアライメント部として機能する。
また、第1のアライメント部を構成する4つのばね部材63のうち、左側に位置する2つのばね部材63は、フローティング部62を左へ付勢する。一方、4つのばね部材63のうち、右側に位置する2つのばね部材63は、フローティング部62を右へ付勢する。すなわち、左右のいずれか一方に位置する2つのばね部材63は、フローティング部62を第1方向へ付勢する第1の弾性部材であり、左右の他方に位置する2つのばね部材63は、フローティング部62を第2方向へ付勢する第2の弾性部材である。このように、本実施の形態において、第1のアライメント部は、フローティング部62を水平な第1方向へ付勢する第1の弾性部材と、その逆の第2方向へ付勢する第2の弾性部材とを含む。
図14A、図14B、図15A、図16に示すように、4つのボールプランジャ64は、ベース部61の上下左右の4箇所に、ベース部61とフローティング部62との間に位置するように配置されている。ボールプランジャ64はそれぞれ、図15Aに示すように、ボール体64Bと、ボールキャスタ部64Cと、基部64Dと、ばね64Sとを有している。ボールキャスタ部64Cは、その前端部にボール体64Bを転動自在に保持している。基部64Dは、ベース部61の前面に取り付けられている。ばね64Sは、ボールキャスタ部64Cと基部64Dとの間に介在している。ボールキャスタ部64Cは基部64Dに対して、図15Aに矢印Lで示すように前後に一定範囲内で移動自在になっている。ボール体64Bが基部64Dへ向かって押されると、ボール体64Bはばね64Sの反発力(復元力)によって元の位置に戻ろうとする。これによりボール体64Bには前方への押圧力が生じる。
図14A、図14Bに示すように、ボールプランジャ64のそれぞれのボール体64Bの球面状の表面は、フローティング部62に設けられた長孔62Hのそれぞれの縁部に後方から当接している。フローティング部62は、その中央部で、上下の当接部材65を介してベース部61に連結されており、ボールプランジャ64によって前方に付勢されている。すなわちフローティング部62は、ボールプランジャ64それぞれが有するばね64Sの付勢力によって前方に付勢されている。
フローティング部62は、外力が作用しない状態では、ばね64Sの付勢力がバランスしたところでベース部61に対する一定の姿勢を維持する。すなわちフローティング部62は、平面視におけるベース部61に対する一定の傾き角度を維持する。以下、そのようなフローティング部62のベース部61に対する姿勢を中立姿勢と称する。
外力が作用していない状態でのフローティング部62のベース部61に対する姿勢は、ボールプランジャ64それぞれのばね64Sの付勢力を変えることで所望に設定できる。一例として、本実施の形態では、フローティング部62がベース部61に対してほぼ平行となる姿勢が中立姿勢となるように、ボールプランジャ64のそれぞれのばね64Sの付勢力が調節されている。
フローティング部62は、上記中立姿勢となる姿勢を中心に、上下の当接部材65を結ぶ上下軸まわりに揺動(水平回動)することができる。フローティング部62の中立姿勢は、4つのボールプランジャ64のそれぞれの弾性範囲内で規定されるベース部61に対するフローティング部62に許容される所定の角度内の中間の位置に相当する。
中立姿勢に位置したフローティング部62は、外から大きな力が加わらない限り中立姿勢に位置する状態を維持する。一方、フローティング部62は、外から大きな外力を受けた場合には、その外力によって左右のいずれか一方に配置された2つのボールプランジャ64のそれぞれのばね64Sを押し縮めながら、上下の当接部材65を結ぶ上下軸まわりに揺動する。詳細には、フローティング部62は、外力を受けた側の2つのボールプランジャ64のそれぞれのばね64Sを押し縮めながら、当接部材65を結ぶ上下軸まわりに水平回動する。また、フローティング部62は、外から大きな力が加わって上下軸まわりに揺動した場合であっても、その力が除去された後は、中立姿勢に復帰する。これは、ばね64Sが押し縮められた側の2つのボールプランジャ64が、反対側の2つのボールプランジャ64よりも大きな付勢力でフローティング部62を中立姿勢に戻す方向に押圧するからである。
このように、フローティング部62は、無人搬送車31に装着されるベース部61に対して、所定の角度内で水平回動可能な状態で配置されている。そして、4つのボールプランジャ64は、ベース部61に対してフローティング部62を所定の角度内の中間にアライメントする第2のアライメント部として機能する。
また、上記のように、ベース部61に設けられた水平壁71は、当接部材65を介して、フローティング部62の中央部が水平回動可能かつ水平な第1方向と第2方向とへ変位可能なように、フローティング部62を支持する支持部として機能する。また、フローティング部62の左側の端部がベース部61へ向かって押圧されると、フローティング部62は、当接部材65を結ぶ上下軸まわりに揺動し、水平回動する。この場合に、4つのボールプランジャ64のうち、左側の2つのボールプランジャ64は、その水平回動をキャンセルする方向の力を生ずる。フローティング部62の右側の端部がベース部61へ向かって押圧されても、フローティング部62は、当接部材65を結ぶ上下軸まわりに揺動し、水平回動する。この場合に、4つのボールプランジャ64のうちの右側の2つのボールプランジャ64は、その水平回動をキャンセルする方向の力を生じる。
このように、第2のアライメント部としての4つのボールプランジャ64は、ベース部61とフローティング部62との間に配置された第3の弾性部材と第4の弾性部材とを含む。第3の弾性部材は、フローティング部62の中央部から水平な第1方向に離れたフローティング部62の第1端部をベース部61から遠ざかる方向へ付勢する。第4の弾性部材は、フローティング部62の中央部から水平な第2方向に離れたフローティング部62の第2端部をベース部61から遠ざかる方向へ付勢する。4つのボールプランジャ64のうちの、左右いずれか一方の2つのボールプランジャ64が第3の弾性部材として機能し、反対側の2つのボールプランジャ64が第4の弾性部材として機能する。
図12、図13A、図13B、図14Bに示すように、フローティング部62の前面の左右両端のそれぞれには、取付け板62Aが設けられている。フローティング部62の左側に位置する取付け板62Aは、これに対応するフローティング部62の左側に形成された2つの長孔62Hを塞いでいる。同様に、フローティング部62の右側に位置する取付け板62Aは、これに対応するフローティング部62の右側に形成された2つの長孔62Hを塞いでいる。
図14Bに示すように、フローティング部62に取り付けられた取付け板62Aのそれぞれの前面には、前述のアタッチメント49が、複数のねじ49Sによって取り付けられている。したがって2つのアタッチメント49は、フローティング部62と一体に、ベース部61に対して相対移動自在となっている。図6等に示すチャックユニット50はアタッチメント49を介してフローティング部62に固定され、フィーダ台車14に連結される連結部として機能する。アタッチメント49は、チャックユニット50をフローティング部62に接続する連結部接続部材として機能する。
このような構成の牽引装置32において、4つのばね部材63はある程度の剛性を有する。詳細には、4つのばね部材63のばね定数は、フィーダ台車14が無人搬送車31と一体に移動し得る程度に大きく設定されている。ただし、牽引装置32に連結したフィーダ台車14に大きな外力が作用すると、ベース部61に対してフローティング部62が水平に相対変位を生じる場合がある。また、4つのボールプランジャ64のそれぞれが有するばね64Sのばね定数は、フィーダ台車14が無人搬送車31と一体に移動し得る程度に大きく設定されている。ただし、牽引装置32に連結させたフィーダ台車14に大きな外力が作用すると、ベース部61に対してフローティング部62が水平回動する方向の角度変化を生じる場合がある。
ベース部61に対するフローティング部62の相対位置が変化しない状態では、無人搬送車31に対するフィーダ台車14の相対位置は変わらない。そのため、無人搬送車31の位置および姿勢に基づいて、フィーダ台車14の位置及び姿勢を正確に把握することが可能である。すなわち、無人搬送車31の制御装置46は、無人搬送車31自身の位置を把握するとともに、フィーダ台車14の位置を把握することができる。具体的には制御装置46は、フィーダ台車14の重心の位置やフィーダ台車14の前端部の位置等を把握することができる。そのため、無人搬送車31は、前述したようなフィーダ台車14をピボットターンさせる動作等が可能となる。
図18は、牽引装置32にフィーダ台車14を連結させた状態で無人搬送車31を前進させた場合を矢印F1で示している。この場合、フィーダ台車14はフローティング部62を介して4つのボールプランジャ64によって前方へ押され、無人搬送車31の前進に従って前進する。このとき4つのボールプランジャ64は等分の力でフローティング部62を前方に押すので、フローティング部62はベース部61に対する平行姿勢を維持する。なお、無人搬送車31が前進する際、フィーダ台車14を押す力によっては4つのボールプランジャ64のばね64Sはそれぞれ縮むことになるが、その縮み量が一定量に達すると、当接部材65の頭部が、フローティング部62に設けられた水平部81の収容孔81Hの内壁に当接し、無人搬送車31は当接部材65を介して前方に押される。
図19は、牽引装置32にフィーダ台車14を連結させた状態で無人搬送車31を後退させた場合を矢印F2で示している。この場合、フィーダ台車14はフローティング部62を介して当接部材65によって後方に引かれ、無人搬送車31の後退に従って後退する。なお、無人搬送車31が後退する際、4つのボールプランジャ64は等分の力でフローティング部62を前方に押圧するので、フローティング部62はベース部61に対する平行姿勢を維持する。
図20は、矢印F3のように、牽引装置32にフィーダ台車14を連結させた無人搬送車31を極めて小さい旋回半径で後退走行させてフィーダ台車14をピボットターンさせている状況を示している。この際、フィーダ台車14が無人搬送車31に追従して走行するのに、ベース部61に対してフローティング部62が水平回動する場合がある。すなわち、一対の当接部材65を結ぶ上下軸まわりに、ベース部61に対してフローティング部62が傾く場合がある。極端な場合、ベース部61に対するフローティング部62の水平回動の角度が限界に達する。すなわち、フローティング部62によってベース部61に向けて押された側のボールプランジャ64のばね64Sの縮み量が限界に達する。図20の例では、左側(X軸マイナス位置)のボールプランジャ64のばね64Sの縮み量が限界に達する。その場合、無人搬送車31とフィーダ台車14とは、ばね64Sの縮み量が限界に達したボールプランジャ64と当接部材65とを介して一体となった状態で旋回する。
図21Aは、牽引装置32に連結されたフィーダ台車14の第1端に無人搬送車31に向いた外力Pが作用した状態を示している。図21Aの例では、フィーダ台車14の左側に外力Pが作用している。この状態では、フローティング部62は水平回動し、4つのボールプランジャ64のうち、外力Pが作用した左側の上下の2つのボールプランジャ64に、反対側の上下の2つのボールプランジャ64よりも大きな押圧力が作用する。すなわち、フローティング部62は当接部材65を結ぶ上下軸まわりに揺動し、図21Aの左側のボールプランジャ64に、右側のボールプランジャ64よりも大きな押圧力が作用する。そのためフローティング部62には上記回動(揺動)をキャンセルする方向の復元力CF1が作用する。そして、フローティング部62に作用した外力Pが除去された場合には復元力CF1によって、図21Bに示すように、フローティング部62は元の位置(中立姿勢)に復帰する。
図22Aは、フィーダ台車14の右側の側面に左向きの外力Dが作用した状態を模式的に示している。なお、図22Aでは、図21Bに示す連結ピン25、アタッチメント49、チャックユニット50の図示を省略している。フローティング部62は、連結ピン25、アタッチメント49、チャックユニット50を介してフィーダ台車14と一体化している。そのため、水平な外力Dがフィーダ台車14に作用すると、フローティング部62が外力Dを受ける。その結果、フローティング部62は、ベース部61に対し、左に相対的に平行移動する。この状態では、第1のアライメント部を構成する4つのばね部材63のうち、左側に位置する2つのばね部材63は中立位置の状態よりも押し縮められる量が増大して反発力が大きくなる。一方、右側に位置する2つのばね部材63は中立位置の状態よりも押し縮められる量が減少するため、反発力が小さくなる。このためフローティング部62は、左側に位置する2つのばね部材63から、上記平行移動をキャンセルする方向の復元力CF2を受ける。そして、フローティング部62に作用した外力Dが除去された場合には、図22Bに示すように、この復元力CF2によって、フローティング部62は元の位置(中立位置)に復帰する。このように、牽引装置32では、フローティング部62がベース部61に対してアライメントされる。
前述のように、牽引装置32を介してフィーダ台車14を無人搬送車31に連結させた状態で無人搬送車31を走行させると、フィーダ台車14は無人搬送車31と一体となって走行する。そのため、無人搬送車31の走行に従った走行軌道でフィーダ台車14を走行させることができる。このため無人搬送車31の位置および姿勢に基づいてフィーダ台車14の位置および姿勢を把握することが容易であり、フィーダ台車14の正確な走行コントロールが可能である。
その一方、フローティング部62は、ベース部61に対して一定の範囲内での相対移動が許容された状態で連結されている。すなわち、フローティング部62は、ベース部61に対して一定の範囲内での水平な相対移動および上下軸まわりの相対回動が許容された状態で、フローティング状態に連結されている。そのため、フィーダ台車14に大きな外力が作用する場合には、フィーダ台車14が受ける衝撃を軽減することができる。例えば、フィーダ台車14の側部に障害物に衝突したような場合がこれに相当する。そして、その障害物が、例えば、部品実装装置2が有する前述の台車ガイド11Gである場合には、フィーダ台車14を台車ガイド11Gに沿って移動させることが可能となる。
ここで、図23Aに示すように、部品実装装置2が有する一対の台車ガイド11Gに進入路R1でフィーダ台車14が進入する場合を想定する。この場合、進入路R1は、台車ガイド11Gに対する正規の進入路R0に対して若干傾いている。進入路R0は台車ガイド11Gの延びる方向に沿っている。進入路R1に沿ってフィーダ台車14が進入すると、フィーダ台車14の左端部が左の台車ガイド11Gに当接してしまう。この場合、フィーダ台車14には図21Aに示すように外力Pが作用し、フィーダ台車14に連結されたフローティング部62は、ベース部61に対して水平回動する。これによりフィーダ台車14における、台車ガイド11Gに当接した部分が台車ガイド11Gに引っ掛かることなく、フィーダ台車14は、図23Bに示すように、進入路R0に沿って進行する。このため、無人搬送車31が搬送しているフィーダ台車14が台車ガイド11Gなどの構造物に干渉した場合であっても、無人搬送車31は、フィーダ台車14の進行を継続させることができる。
次に、図24を参照しながら、本実施の形態の変形例について説明する。種々のサイズのフィーダ台車14を用い、牽引装置32に連結する場合、フィーダ台車14の種類によって2つの連結ピン25の間隔が異なる場合がある。このため牽引装置32は、フィーダ台車14が有する2つの連結ピン25の間隔に応じて2つのチャックユニット50の間隔を変えることができるように構成されている。具体的には、アタッチメント49とは異なる形状のアタッチメント49Aを予め用意しておく。そして、搬送しようとするフィーダ台車14のサイズに応じて、アタッチメント49、49Aから適切な方を選択して用いることができる。なお、図12、図14Bに示すように、牽引装置32からカバー部材48を取り外すことによってアタッチメントを容易に交換することができる。
以上説明したように、牽引装置付き無人搬送車1が有する牽引装置32は、ベース部61と、フローティング部62と、連結部としての2つのチャックユニット50と、第1のアライメント部としての4つのばね部材63と、第2のアライメント部である4つのボールプランジャ64とを有する。フローティング部62は、無人搬送車31に装着されるベース部61に対して所定の角度内で水平回動可能な状態でかつ水平な第1方向と、その逆の第2方向とにおいて所定のストローク内で変位可能な状態で配置されている。フィーダ台車14に連結されるチャックユニット50は、フローティング部62に、2つのアタッチメント49を介して固定されている。そして、ばね部材63が、フローティング部62をベース部61に対して所定のストローク内の中間にアライメントし、ボールプランジャ64が、フローティング部62をベース部61に対して所定の角度内の中間にアライメントする。
このため、牽引装置32を介して無人搬送車31に連結されたフィーダ台車14は、無人搬送車31に対して相対的に水平回動におけるある程度の遊びと水平移動におけるある程度の遊びとが許容された形で比較的剛に結合されている。そのため、無人搬送車31の動きに追従してフィーダ台車14の姿勢を変えることができるとともに、フィーダ台車14が障害物等に衝突したり引っ掛かったりした場合であってもその衝撃は水平回動における遊びと水平移動における遊びとによって吸収される。よって、牽引装置付き無人搬送車1は、フィーダ台車14を連結した状態で様々な運動が可能であり、牽引や押し等によってフィーダ台車14を通常走行させることができるほか、ピボットターンさせることも可能である。
また、第1のアライメント部である4つのばね部材63と第2のアライメント部である4つのボールプランジャ64とにより、ベース部61に対してフローティング部62がアライメントされている。第1のアライメント部と第2のアライメント部によるこの機能により、無人搬送車31とフィーダ台車14との位置関係は所定の範囲内に保たれる。そのため、無人搬送車31の位置制御によって、部品実装装置2の基台11以外に、種々の作業ステーションや装置にも、フィーダ台車14を容易にドッキングさせることができる。ドッキングの際、フィーダ台車14と基台11等との間の向きがずれていると引っ掛かってロックする場合がある。しかしながら、上記アライメント機能を介してフローティング部62がベース部61に対して変位するのでロックが解消され、フィーダ台車14は、基台11等に円滑にドッキングできる。よって牽引装置32および牽引装置付き無人搬送車1は、搬送しているフィーダ台車14が構造物に干渉した場合であっても、フィーダ台車14の搬送を継続させることができる。
また、前述したように、ベース部61は、フローティング部62が水平回動可能かつ水平な第1方向とその逆の第2方向へ変位可能なように、フローティング部62の中央部を支持する支持部としての当接部材65を有している。第1のアライメント部である4つのばね部材63は第3の弾性部材と第4の弾性部材とを含む。第3の弾性部材は、ベース部61とフローティング部62との間に配置され、フローティング部62の中央部から水平な第1方向に離れたフローティング部62の第1端部をベース部61から遠ざかる方向へ付勢する。第4の弾性部材は、ベース部61とフローティング部62との間に配置され、フローティング部62の中央部から水平な、第1方向と逆の第2方向に離れたフローティング部62の第2端部をベース部61から遠ざかる方向へ付勢する。第3の弾性部材は、左右のうちの一方の上下一対のボールプランジャ64であり、第4の弾性部材は、他方の上下一対のボールプランジャ64である。このためアライメントのための機構を簡単化でき、牽引装置32はコンパクトな構成を有する。
支持部としての当接部材65は、第3の弾性部材と第4の弾性部材との間に配置されている。これにより、フローティング部62はベース部61に対して中立位置から正方向にも負方向にも回動可能である。
また、無人搬送車31は2つの操舵輪としての駆動輪42と、駆動輪42のそれぞれの中心を通る軸に平行な側面である前面とを有する。ベース部61は無人搬送車31の前面に装着されている。
以上、本開示の実施の形態について説明してきたが、本開示は上述した構成に限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、第1のアライメント部は、ばね部材63で構成されている。しかしながら、第1のアライメント部は、ベース部61に対してフローティング部62を所定のストローク内の中間にアライメントする機能を有していればよく、ゴム等の代用品が利用できる場合は必ずしもばね部材でなくてもよい。また、第2のアライメント部はボールプランジャ64で構成されている。しかしながら、第2のアライメント部は、ベース部61に対してフローティング部62を所定の角度内の中間にアライメントする機能を有していればよく、ゴムやばね部材等の弾性部材で代用可能な場合は必ずしもボールプランジャ64でなくてもよい。
また、上述の実施の形態では、牽引装置32を介して無人搬送車31によって搬送する対象となる台車はフィーダ台車14である。しかしながら、これは一例に過ぎず、台車は必ずしもフィーダ台車14でなくてもよく、他の台車、例えばキャスター付きのカート等であってもよい。