(第1の実施形態)
本実施形態に係る安全装置をプレスブレーキに適用して説明する。まず、図1を用いて、プレスブレーキの概略的な構成を説明する。プレスブレーキ1は、一対の金型により板状のワーク(板金)Wに対して曲げ加工を行う加工機である。プレスブレーキ1は、上部テーブル10と、下部テーブル20と、プレスブレーキ制御装置30を備えている。
上部テーブル10は、上部金型であるパンチ14を保持する。具体的には、上部テーブル10には、図示されていない上部金型ホルダが取り付けられ、上部金型ホルダには、パンチ14が装着されている。
上部テーブル10は、左右に設けた油圧シリンダ11L、11Rの昇降によって上下動するように構成されている。個々の油圧シリンダ11L、11Rは、ポンプ及びモータを主体に構成されるアクチュエータ12L、12Rを駆動させることにより昇降される。上部テーブル10の上下方向の位置は、図示されていないリニアエンコーダなどの位置検知部によって検知される。位置検知部によって検知された位置情報は、プレスブレーキ制御装置30に供給される。
下部テーブル20は、上部テーブル10の下方に設けられている。下部テーブル20は、下部金型であるダイ24を保持する。具体的には、下部テーブル20には、図示されていない下部金型ホルダが取り付けられ、下部金型ホルダには、ダイ24が装着されている。例えばワークWは、ダイ24上に配置されている。上部テーブル10を下降させると、ワークWはパンチ14とダイ24とによって挟まれて折り曲げられる。
プレスブレーキ制御装置30は、NC装置によって構成することができる。プレスブレーキ制御装置30が、アクチュエータ12L、12Rを制御して、油圧シリンダ11L、11Rを上昇又は下降させる。プレスブレーキ制御装置30は、位置検知部によって検知される位置情報に基づいて、上部テーブル10の上下方向の位置を制御する。また、プレスブレーキ制御装置30は、安全制御装置100から安全信号がオフされると、上部テーブル10の下降を停止させ、プレスブレーキによる材料の曲げ加工を中断させる。
プレスブレーキ1は、パンチ14とダイ24との間(防護範囲)へのワークW以外の異物(侵入物)が侵入することを監視するための安全装置50をさらに備えている。安全装置50は、投光器60と、受光ユニット70と、安全制御装置100とを主体に構成されている。
投光器60は、例えば上部テーブル10の右側に、アーム15Rを介して装着されている。投光器60は、パンチ14とダイ24との間を通過するように検知光(合成検知光Ld)を射出する。
受光ユニット70は、例えば上部テーブル10の左側に、アーム15Lを介して装着されている。受光ユニット70は、投光器60と対向する位置に配置される。受光ユニット70は、パンチ14とダイ24との間を通過した検知光を受光する。
安全制御装置100は、安全装置50を制御する制御装置である。安全制御装置100は、投光器60及び受光ユニット70を制御する。また、安全制御装置100は、受光ユニット70から取得した情報に基づいて、侵入物の侵入がないことを判定すれば、プレスブレーキ制御装置30に安全信号オンを供給する。一方、安全制御装置100は、侵入物の侵入があることを判定すれば、プレスブレーキ制御装置30に動作停止信号を出力する。
以下、図2を用いて、安全装置50の具体的な構成を説明する。この図2では、合成検知光Ldが図中左側から右側に向かって描かれており、この合成検知光Ldを基準に、投光器60が図中左側に、受光ユニット70が図中の右側に描かれている(後述する図13及び図14についても同様)。投光器60は、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とが合成された合成検知光Ldを射出する。投光器60は、第1光源61aと、第2光源61bと、光合成部材62とを備えている。
第1光源61aは、第1検知光Ld1を射出する。第1検知光Ld1は、例えばレーザ光であり、第1光源61aは、レーザ光源と、レーザ光源が射出したビーム光を平行状態に調整するコリメートレンズとで構成されている。
第2光源61bは、第2検知光Ld2を射出する。第2検知光Ld2は、例えばレーザ光であり、第2光源61bは、レーザ光源と、レーザ光源が射出したビーム光を平行状態に調整するコリメートレンズとで構成されている。
本実施形態において、第1光源61aは、第1波長λ1からなる光を射出する。また、第2光源61bは、第1波長λ1よりも長い第2波長λ2からなる光を射出する。このため、図3に示すように、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とは、光の波長が互いに異なる関係となっている。
光合成部材62は、第1光源61aから射出された第1検知光Ld1と、第2光源61bから射出された第2検知光Ld2とを合成し、合成した光を合成検知光Ldとして射出する。
光合成部材62は、例えばハーフミラー62aである。ハーフミラー62aは、第1検知光Ld1の光路上、かつ、第2検知光Ld2の光路上に配置され、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2は、ハーフミラー62aに入射される。ハーフミラー62aに入射した第1検知光Ld1は、ハーフミラー62aを透過する一方、ハーフミラー62aに入射した第2検知光Ld2は、ハーフミラー62aで反射される。ハーフミラー62aに対する第1光源61a及び第2光源61bの配置関係により、ハーフミラー62aで反射された第2検知光Ld2と、ハーフミラー62aを透過した第1検知光Ld1とは同一光軸上に重畳(合成)される。
なお、図2に示す例では、投光器60は、第1光源61a及び第2光源61bが、第1検知光Ld1をハーフミラー62aで透過させ、第2検知光Ld2をハーフミラー62aで反射させるように配置されている。投光器60は、第1光源61a及び第2光源61bが、第1検知光Ld1をハーフミラー62aで反射させ、第2検知光Ld2をハーフミラー62aで透過させるように、配置されていてもよい。
受光ユニット70は、受光器80と、判定部90とで構成されている。
受光器80は、合成検知光Ldを受光し、合成検知光Ldを光の波長に応じて分解して第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とをそれぞれ検知する。受光器80は、分光部材81と、第1波長フィルタ82aと、第2波長フィルタ82bと、第1検知器83aと、第2検知器83bとを備えている。
分光部材81は、投光器60から入射される合成検知光Ldを2つの合成検知光Ldに分光する。分光部材81は、例えばハーフミラー81aである。ハーフミラー81aは、合成検知光Ldの光路上に配置され、合成検知光Ldは、ハーフミラー81aに入射される。ハーフミラー81aは、合成検知光Ldの一部を透過させるとともに、その一部を反射させる。
第1波長フィルタ82aは、ハーフミラー81aで分光された一方の合成検知光Ld、例えばハーフミラー81aを透過した合成検知光Ldの光路上に配置されている。第1波長フィルタ82aは、第1波長λ1を含む波長帯域の光を通過させる光学フィルタである。したがって、合成検知光Ldに含まれる光のうち、第1検知光Ld1が第1波長フィルタ82aを選択的に通過することができる。すなわち、第1波長フィルタ82aは、合成検知光Ldから第1検知光Ld1を抽出する光学部材である。
第2波長フィルタ82bは、ハーフミラー81aで分光された他方の合成検知光Ld、例えばハーフミラー81aで反射された合成検知光Ldの光路上に配置されている。第2波長フィルタ82bは、第2波長λ2を含む波長帯域(第1波長λ1を除く)の光を通過させる光学フィルタである。したがって、合成検知光Ldに含まれる光のうち、第2検知光Ld2が第2波長フィルタ82bを選択的に通過することができる。すなわち、第2波長フィルタ82bは、合成検知光Ldから第2検知光Ld2を抽出する光学部材である。
第1検知器83aは、第1波長フィルタ82aを通過した第1検知光Ld1を検知し、光の強度に応じた検知信号(電気信号)Sd1を出力する。第1検知器83aから出力された検知信号Sd1は、判定部90へ出力される。第1検知器83aは、フォトダイオード又は2次元撮像素子で構成することができる。2次元撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)である。
第2検知器83bは、第2波長フィルタ82bを通過した第2検知光Ld2を検知し、光の強度に応じた検知信号(電気信号)Sd2を出力する。第2検知器83bから出力された検知信号Sd2は、判定部90へ出力される。第2検知器83bは、第1検知器83aと同様、フォトダイオード又は2次元撮像素子で構成することができる。
この受光器80において、分光部材81、第1波長フィルタ82a及び第2波長フィルタ82bは、投光器60から射出された合成検知光Ldを、第1波長λ1を含む波長帯域の光と、第2波長λ2を含む波長帯域の光とに分割する光分割部材に相当する。なお、光分割部材は、複数の光学部材を組み合わせて構成する以外にも、分割機能を備える一つの光学部材から構成してもよい。例えば、ダイクロイックミラーなどがこれに該当する。
また、図2に示す例では、ハーフミラー62aを透過した合成検知光Ldの光路上に、第1波長フィルタ82a及び第1検知器83aを配置し、ハーフミラー62aで反射した合成検知光Ldの光路上に、第2波長フィルタ82b及び第2検知器83bを配置している。ハーフミラー62aを透過した合成検知光Ldの光路上に、第2波長フィルタ82b及び第2検知器83bを配置し、ハーフミラー62aで反射した合成検知光Ldの光路上に、第1波長フィルタ82a及び第1検知器83aを配置してもよい。
判定部90は、受光器80の検知結果に基づいて、受光器80が合成検知光Ldを受光する受光状態であるか、それとも受光器80が合成検知光Ldを受光しない遮光状態であるかを判定する。判定部90は、判定結果を示す判定信号を安全制御装置100に出力する。
本実施形態では、受光ユニット70として受光器80と判定部90とが集約されている。しかしながら、判定部90は、受光ユニット70の外部に設けてもよい。例えば、判定部90は、安全制御装置100の一部として構成してもよい。
安全制御装置100は、安全装置50の動作を制御する制御装置である。安全制御装置100は、CPU、ROM、RAM、及びI/Oインターフェースを主体として構成されている。安全制御装置100は、CPUがROMなどから処理内容に応じた各種プログラムを読み出し、RAMに展開し、展開した各種プログラムを実行することにより、安全装置50の動作を制御する。
安全制御装置100は、これを機能的に捉えた場合、投光制御部101と、安全制御部102とを有している。
投光制御部101は、投光器60を制御して、投光器60から射出される合成検知光Ldを制御する。投光制御部101は、第1光源61a及び第2光源61bをそれぞれ独立して制御することができる。投光制御部101は、第1光源61aに指令信号Scom1を出力するとともに、第2光源61bに指令信号Scom2を出力する。一方の指令信号Scom1は、合成検知光Ldのうち第1検知光Ld1を生成するための指令信号であり、他方の指令信号Scom2は、合成検知光Ldのうち第2検知光Ld2を生成するための指令信号である。第1光源61a及び第2光源61bは、投光制御部101からの指令信号Scom1、Scom2に応じてオンオフする。
安全制御部102は、判定部90から出力される判定信号と、プレスブレーキ1の動作状態とに基づいて、プレスブレーキ1に対する安全状態を確認する。安全制御部102は、確認した安全状態に基づいて、プレスブレーキ制御装置30に安全信号を供給する。
本実施形態では、安全制御装置100をCPUなどで構成し、ソフトウェア処理によって安全装置50の制御を行っている。しかしながら、安全制御装置100をハードウェアによる回路によって構成し、ハードウェアによる回路により安全装置50の制御を行ってもよい。
以下、本実施形態に係る安全装置50の動作を説明する。
まず、投光制御部101は、所望の指令信号Scom1を第1光源61aに出力する。第1光源61aは、投光制御部101からの指令信号Scom1に応じて動作し、第1検知光Ld1を射出する。図4に示すように、第1検知光Ld1は、光が射出される投光期間と、光が射出されない非投光期間とが交互に切り替わるように構成されている。また、第1検知光Ld1は、投光期間において所定のパルス周波数でオンオフするパルス光として構成されている。図4に示す例では、タイミングT1~T2、タイミングT3~T4、タイミングT5~T6がそれぞれ投光期間に相当し、タイミングT2~T3、タイミングT4~T5がそれぞれ非投光期間に相当する。
同様に、投光制御部101は、所望の指令信号Scom2を第2光源61bに出力する。第2光源61bは、投光制御部101から指令信号Scom2に応じて動作し、第2検知光Ld2を射出する。図4に示すように、第2検知光Ld2は、第1検知光Ld1と同様、光が射出される投光期間と、光が射出されない非投光期間とが交互に切り替わるように構成されている。また、第2検知光Ld2は、投光期間において所定のパルス周波数でオンオフするパルス光として構成されている。図4に示す例では、タイミングT2~T3、タイミングT4~T5、タイミングT6~がそれぞれ投光期間に相当し、タイミングT1~T2、タイミングT3~T4、タイミングT5~T6がそれぞれ非投光期間に相当する。
このように、投光制御部101は、第1検知光Ld1のパルス周波数に対応する周波数(第1信号周波数)の指令信号Scom1を出力する。この指令信号Scom1は、第1検知光Ld1の投光期間と非投光期間とに対応して、断続的に出力される。また、投光制御部101は、第2検知光Ld2のパルス周波数に対応する周波数(第2信号周波数)の指令信号Scom2を出力する。この指令信号Scom2は、第2検知光Ld2の投光期間と非投光期間とに対応して、断続的に出力される。
この場合において、第1検知光Ld1の投光期間は、第2検知光Ld2の非投光期間と同期し、第1検知光Ld1の非投光期間は、第2検知光Ld2の投光期間と同期している。換言すれば、第1検知光Ld1と、第2検知光Ld2とは、投光期間及び非投光期間が逆位相となる関係に設定されている。また、第1検知光Ld1の投光期間におけるパルス周波数は、第2検知光Ld2の投光期間におけるパルス周波数と同じであるが、両者のパルス周波数が異なるものでもよい。
第1光源61aから射出された第1検知光Ld1、及び第2光源61bから射出された第2検知光Ld2は、ハーフミラー62aに入射される。第1検知光Ld1は、ハーフミラー62aを透過し、一方で、第2検知光Ld2は、ハーフミラー62aで反射される。ハーフミラー62aを透過した第1検知光Ld1と、ハーフミラー62aで反射された第2検知光Ld2とは、同一の光軸上に重畳される。これにより、ハーフミラー62aから第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とが合成された合成検知光Ldが出力される。この合成検知光Ldは、図5に示すように、第1波長λ1と、第2波長λ2とを含んでいる。
また、第1検知光Ld1と、第2検知光Ld2とは、投光期間及び非投光期間が逆位相となる関係に設定されている。このため、図6に示すように、合成検知光Ldを経時的に捉えると、第1検知光Ld1の投光期間と、第2検知光Ld2の投光期間とが交互にかつ連続的に到来する。したがって、合成検知光Ldは、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とが交互にかつ連続的に繰り返される光となる。
ハーフミラー62a(投光器60)から射出された合成検知光Ldは、パンチ14とダイ24との間を通過し、受光器80に入射する。受光器80に入射した合成検知光Ldは、ハーフミラー81aで2つの合成検知光Ldへと分光される。
分光された一方の合成検知光Ldは、第1波長フィルタ82aへと入射する。図7(上段)に示すように、第1波長フィルタ82aの波長選択作用により、第2波長λ2の光は遮光され、第1波長λ1の光は透過する。したがって、合成検知光Ldのうち、第1波長λ1を有する第1検知光Ld1が第1波長フィルタ82aを通過する。
また、分光された他方の合成検知光Ldは、第2波長フィルタ82bへと入射する。図7(下段)に示すように、第2波長フィルタ82bの波長選択作用により、第1波長λ1の光は遮光され、第2波長λ2の光は透過する。したがって、合成検知光Ldのうち、第2波長λ2を有する第2検知光Ld2が第2波長フィルタ82bを通過する。
第1波長フィルタ82aを通過した第1検知光Ld1は、第1検知器83aへと入射する。第1検知器83aは、入射した第1検知光Ld1の強度に応じた検知信号Sd1を出力する。同様に、第2波長フィルタ82bを通過した第2検知光Ld2は、第2検知器83bへと入射する。第2検知器83bは、入射した第2検知光の強度に応じた検知信号Sd2を出力する。
図8に示すように、判定部90には、第1検知光Ld1の投光期間に対応して、第1検知器83aから検知信号Sd1(検知結果)が入力される。判定部90には、フィルタ回路を用いて変換された信号が、検知信号Sd1として入力される。
第1検知光Ld1が遮られていない状態では、検知信号Sd1は、以下の応答を示す。第1検知光Ld1の投光期間が開始すると、第1検知光Ld1を受光することで、検知信号Sd1が立ち上がる(タイミングTa)。この際、検知信号Sd1は、立ち上がり応答の遅れ分だけ遅延したタイミングTbで閾値電圧Vthに到達する。その後、検知信号Sd1は、所定のピーク電圧へと到達し、このピーク電圧を推移する。
第1検知光Ld1の投光期間が終了すると、検知信号Sd1が立ち下がる(タイミングTc)。この際、検知信号Sd1は、立ち下がり応答の遅れ分だけ遅延したタイミングTdで閾値電圧Vthまで到達する。その後、検知信号Sd1は、ゼロ電圧へと到達する。したがって、判定部90は、タイミングTbからタイミングTdまでの間に、検知信号Sd1の電圧が閾値電圧Vth以上であることを条件に、第1検知器83aが第1検知光Ld1を受光する受光状態であることを判定することができる。
一方、図9に示すように、第1検知光Ld1の投光期間の途中のあるタイミングTeにおいて、人の手などの侵入物により、第1検知光Ld1が遮られたと仮定する。タイミングTeにおいて検知信号Sd1は立ち下がり、検知信号Sd1はタイミングTfにおいて閾値電圧Vthまで到達する。したがって、判定部90は、タイミングTb以降タイミングTdへと至る前に、検知信号Sd1の電圧が閾値電圧Vthより低下したことを条件に、第1検知器83aが第1検知光Ld1を受光しない遮光状態であることを判定することができる。
判定部90には、安全制御装置100から第1検知光Ld1の投光期間を示すタイミング信号が入力されている。判定部90は、第1検知光Ld1の投光期間に基づいて、検知信号Sd1の電圧と所定閾値電Vthとを比較する。そして、判定部90は、第1検知器83aが第1検知光Ld1を受光する受光状態であるか、それとも第1検知器83aが第1検知光Ld1を受光しない遮光状態であるかを判定する。
具体的には、判定部90は、第1検知器83aが第1検知光Ld1を受光して、第1検知器83aから閾値電圧Vth以上の検知信号Sd1が出力される場合には、受光状態であると判定する。そして、判定部90は、判定信号として、合成検知光Ldが遮られていないことを示す“1”を出力する。一方、第1検知器83aが第1検知光Ld1を受光せず、第1検知器83aから閾値電圧Vth以上の検知信号Sd1が出力されない場合には、遮光状態であると判定する。そして、判定部90は、判定信号として、合成検知光Ldが遮られたことを示す“0”を出力する。
同様に、判定部90には、第2検知光Ld2の投光期間に対応して、第2検知器83bから検知信号Sd2(検知結果)が入力される。また、判定部90には、安全制御装置100から第2検知光Ld2の投光期間を示すタイミング信号が入力されている。判定部90は、第1検知光Ld1と同様に、第2検知光Ld2の投光期間に基づいて、検知信号Sd2の電圧と所定閾値電Vthとを比較する。そして、判定部90は、第2検知器83bが第2検知光Ld2を受光する受光状態であるか、それとも第2検知器83bが第2検知光Ld2を受光しない遮光状態であるかを判定する。
このように、判定部90は、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2の両方に対して、受光状態又は遮光状態の判定を行っている。これより、判定部90は、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2を含む合成検知光Ldの全体についても、受光状態であるのか遮光状態であるのかを判定することができる。
安全制御部102は、判定部90から出力される判定信号と、プレスブレーキ1の動作状態とに基づいて、プレスブレーキ1に対する安全状態を確認する。安全制御部102は、安全状態に基づいて、上部テーブル10の下降を停止させるか否かを決定する安全信号を生成して出力する。安全信号は、値が“1”であれば上部テーブル10の下降を停止させず下降を継続させる動作許可を示し、値が“0”であれば上部テーブル10の下降を停止させる動作不許可を示す。
手などの侵入物によって合成検知光Ldが遮られていなければ、判定部90からの判定信号は“1”となる。そこで、安全制御装置100は安全信号として値“1”(オン)を出力する。一方、手などの侵入物によって合成検知光Ldが遮られれば、判定部90からの判定信号は“0”となる。そこで、安全制御装置100は安全信号として値“0”(オフ)を出力する。安全制御部102が安全信号として“0”を出力すると、プレスブレーキ制御装置30は上部テーブル10の下降を停止させ、プレスブレーキによる材料の曲げ加工を中断させる。
また、安全制御部102は、検知信号Sd1の投光期間及びその非投光期間における検知信号Sd1を監視し、検知信号Sd1がオン側又はオフ側に張り付いたままとなっていないかを判定する。同様に、安全制御部102は、検知信号Sd2の投光期間及びその非投光期間における検知信号Sd2を監視し、検知信号Sd2がオン側又はオフ側に張り付いたままとなっていないかを判定する。安全制御部102は、このような判定を通じて、安全装置50の故障検知を行うことができる。
このように本実施形態において、安全装置50は、投光器60と、受光器80と、判定部90とを有している。ここで、投光器60は、光の波長が互いに異なる第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とが合成された合成検知光Ldを射出する。受光器80は、合成検知光Ldを受光し、合成検知光Ldを光の特徴に応じて分解して第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2を検知する。判定部90は、受光器80の検知結果に基づいて、受光状態であるか遮光状態であるかを判定する。この場合において、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2のそれぞれは、光が射出される投光期間と光が射出されない非投光期間とが交互に切り替わる。そして、第2検知光Ld2の投光期間は、第1検知光Ld1の非投光期間の少なくとも一部と重複している。
図10に示すように、第1検知光Ld1のみで状態判定を行う構成にあっては、第1検知光Ld1の非投光期間中に遮光状態が発生した場合でも、次回の投光期間が到来するまで、遮光状態を判定することができない(その時間ΔT1)。しかしながら、本実施形態の構成によれば、図10に示すように、第1検知光Ld1の非投光期間中に、第2検知光Ld2の投光期間が出現する。そのため、第1検知光Ld1の非投光期間に検知光を遮光する状況が発生したとしても、判定部90は、第1検知光が投光期間へと切り替わるよりも前に、第2検知光に基づいて状態判定を行うことができる(その時間ΔT2)。その結果、安全装置50は、第1検知光Ld1を単独で用いる場合と比較して、遮光状態を判定するまでに生じる遅延を抑制することができる。
また、第1検知光Ld1と、第2検知光Ld2とでは、光の波長が相違している。そのため、受光器80側で、光の波長を利用して、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを区別することができる。このため、第1検知光Ld1の非投光期間に射出される光を、第2検知光Ld2であると識別することができる。その結果、検知信号Sd1又は検知信号Sd2がオン側又はオフ側に張り付いたままとなっていないかを適切に判定することができる。その結果、安全装置50は、受光器80の故障又は投光器60の故障を信頼性よく検知することができる。
また、本実施形態において、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2のそれぞれは、投光期間において所定のパルス周波数でオンオフするパルス光である。
この構成によれば、安全装置50は、室内の蛍光灯の点灯などの外乱光と、第1検知光Ld1又は第2検知光Ld2との識別を行うことができる。これにより、外乱に対して耐性のある安全装置50を提供することができる。
なお、本実施形態では、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2のそれぞれに、パルス光を利用した。しかしながら、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2のそれぞれは、パルス光に限らず、正弦波状の光であってもよい。また、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2のそれぞれは、オンオフが完全に切り替わる必要はなく、明るい状態と、これよりも暗い状態とが切り替わる光であればよい。すなわち、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2のそれぞれは、投光期間において所定の明滅周波数で明滅する明滅光であればよい。
また、本実施形態において、第1検知光Ld1の投光期間は、第2検知光Ld2の非投光期間と同期し、第1検知光Ld1の非投光期間は、第2検知光Ld2の投光期間と同期している。
この構成によれば、第2検知光Ld2の投光期間が、第1検知光Ld1の非投光期間を完全に充足する格好になる。そのため、判定部90は、第1検知光Ld1の非投光期間の全てにおいて、第2検知光Ld2に基づいて状態判定を行うことができる。その結果、安全装置50は、遮光状態を判定するまでに生じる遅延を抑制することができる。
もっとも、第1検知光Ld1の非投光期間が、第2検知光Ld2の投光期間と完全に一致している必要はなく、第2検知光Ld2の投光期間は、第1検知光Ld1の非投光期間の少なくとも一部と重複していればよい(図11参照)。この構成であっても、第1検知光Ld1の非投光期間中に、第2検知光Ld2の投光期間が出現する。そのため、第1検知光Ld1の非投光期間に検知光を遮光する状況が発生したとしても、判定部90は、第1検知光が投光期間へと切り替わるよりも前に、第2検知光に基づいて状態判定を行うことができる。
また、第2検知光Ld2の投光期間は、第1検知光Ld1の非投光期間と重複していればよく、第2検知光Ld2の投光期間が、第1検知光Ld1の投光期間に重複してもよい(図12参照)。この構成によれば、第2検知光Ld2の投光期間が、第1検知光Ld1の非投光期間を完全に充足する格好になる。そのため、判定部90は、第1検知光Ld1の非投光期間中であっても、第2検知光Ld2に基づいて状態判定を行うことができる。その結果、安全装置50は、遮光状態を判定するまでに生じる遅延を抑制することができる。
また、本実施形態において、投光器60は、第1波長λ1の光を射出する第1光源61aと、第1波長λ1とは異なる第2波長λ2の光を射出する第2光源61bとを有している。また、投光器60は、第1光源61a及び第2光源61bからそれぞれ射出される光(第1検知光Ld1、第2検知光Ld2)を合成し、合成した光を合成検知光Ldとして射出する光合成部材62を有している。加えて、受光器80は、投光器60から射出された合成検知光Ldを、第1波長λ1を含む波長帯域の光と、第2波長λ2を含む波長帯域の光とに分割する光分割部材を有している。また、受光器80は、光分割部材によって分割された光(第1検知光Ld1、第2検知光Ld2)をそれぞれ検知し、光の強度に応じた検知信号をそれぞれ出力する第1検知器83a及び第2検知器83bを有している。
この構成によれば、安全装置50は、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを合成して合成検知光の射出を行うことができるとともに、これを光学的に分割することで、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを峻別することができる。これにより、安全装置50は、遮光状態を判定するまでに生じる遅延を抑制することができる。
(第2の実施形態)
以下、図13を参照し、第2の実施形態に係る安全装置50の構成を説明する。第2の実施形態に係る安全装置50が、第1の実施形態のそれと相違する点は、投光器60及び受光器80の構成である。なお、第1実施形態と重複する構成についての説明は省略することとし、相違点を中心に説明を行う。
投光器60は、信号合成部63と、光源64とを備えている。
信号合成部63は、投光制御部101から出力される指令信号Scom1、Scom2を合成し、合成した指令信号Scom3を出力する。信号合成部63は、例えば論理回路(OR回路)などで構成されている。
光源64は、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを合成した合成検知光Ld出力する。合成検知光Ldは、例えばレーザ光であり、光源64は、レーザ光源と、レーザ光源が射出したビーム光を平行状態に調整するコリメートレンズとで構成されている。
受光器80は、検知器84と、第1フィルタ85aと、第2フィルタ85bとで構成されている。
検知器84は、投光器60から射出された合成検知光Ldを検知し、光の強度に応じた検知信号(電気信号)Sdを出力する。検知器84から出力された検知信号Sdは、第1フィルタ85a及び第2フィルタ85bへそれぞれ出力される。
第1フィルタ85aは、検知器84から出力された検知信号Sdのうち、後述する第1信号周波数を含む周波数帯域の検知信号Sd1を抽出する。第1フィルタ85aは、例えばバンドパスフィルタにより構成されている。第1フィルタ85aによって抽出された検知信号Sd1は、判定部90へと出力される。
第2フィルタ85bは、検知器84から出力された検知信号Sdのうち、後述する第2信号周波数を含む周波数帯域(第1信号周波数を除く)の検知信号Sd2を抽出する。第2フィルタ85bは、例えばバンドパスフィルタにより構成されている。第2フィルタ85bによって抽出された検知信号Sd2は、判定部90へと出力される。
以下、本実施形態に係る安全装置50の動作を説明する。
まず、合成検知光Ldは、第1の実施形態と同様、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを合成して構成される。第1検知光Ld1は、投光期間において第1パルス周波数でオンオフするパルス光であり、投光期間と非投光期間とが交互に切り替わるように構成されている。同様に、第2検知光Ld2は、投光期間において第2パルス周波数でオンオフするパルス光であり、投光期間と非投光期間とが交互に切り替わるように構成されている。
この合成検知光Ldにおいて、第1検知光Ld1と、第2検知光Ld2とは、投光期間及び非投光期間が逆位相となる関係に設定されている。また、第1検知光Ld1の第1パルス周波数は、第2検知光Ld2の第2パルス周波数と相違するように構成されている。
投光制御部101は、第1検知光Ld1の第1パルス周波数に対応する周波数(第1信号周波数)の指令信号Scom1を出力する。この指令信号Scom1は、第1検知光Ld1の投光期間と非投光期間とに対応して、断続的に出力される。
同様に、投光制御部101は、第2検知光Ld2の第2パルス周波数に対応する周波数(第2信号周波数)の指令信号Scom2を出力する。この指令信号Scom2は、第2検知光Ld2の投光期間と非投光期間とに対応して、断続的に出力される。
投光制御部101から出力された2組の指令信号Scom1、Scom2は、信号合成部63において合成される。信号合成部63は、合成した指令信号Scom3を光源64に出力する。光源64は、信号合成部63からの指令信号Scom3に応じて動作し、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とが合成された合成検知光Ldを射出する。
投光器60から射出された合成検知光Ldは、パンチ14とダイ24との間を通過し、受光器80によって受光される。受光器80に受光された合成検知光Ldは、検知器84へと入射する。検知器84は、入射した合成検知光Ldの強度に応じた検知信号Sdを出力する。検知器84から出力された検知信号Sdは、第1フィルタ85aと第2フィルタ85bとにそれぞれ出力される。
第1フィルタ85aの信号通過作用により、検知器84から出力された検知信号Sdのうち、第1信号周波数(第1パルス周波数)を含む周波数帯域の検知信号Sd1が第1フィルタ85aを通過する。この第1フィルタ85aにより、検知信号Sdの中から、第1検知光Ld1に対応する検知信号Sd1が抽出される。
また、第2フィルタ85bの信号通過作用により、検知器84から出力された検知信号Sdのうち、第2信号周波数(第2パルス周波数)を含む周波数帯域の検知信号Sd2が第2フィルタ85bを通過する。この第2フィルタ85bにより、検知信号Sdの中から、第2検知光Ld2に対応する検知信号Sd2が抽出される。
そして、判定部90は、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2の両方に対して、受光状態又は遮光状態の判定を行う。判定部90の処理の詳細は、第1の実施形態と同様である。
このように本実施形態において、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とは、パルス周波数が互いに異なっている。
この構成によれば、受光器80は、パルス周波数に応じて、第1検知光と第2検知光とを区別することができる。
また、本実施形態において、投光制御部101は、第1検知光Ld1のパルス周波数と対応する第1信号周波数の指令信号Scom1と、第2検知光Ld2のパルス周波数と対応する第2信号周波数の指令信号Scom2とを出力する。また、投光器60は、第1信号周波数の指令信号と、第2信号周波数の指令信号とが合成された指令信号に応じてオンオフするパルス光を射出する光源64を有している。
加えて、受光器80は、光の強度に応じた検知信号Sdを出力する検知器84を有している。また、受光器80は、検知器84から出力された検知信号Sdから、第1信号周波数を含む周波数帯域の検知信号Sd1を抽出する第1フィルタ85aを有している。さらに、受光器80は、検知器84から出力された検知信号Sdから、第2信号周波数を含む周波数帯域の検知信号Sd2を抽出する第2フィルタ85bと、を有している。
この構成によれば、安全装置50は、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを合成して合成検知光を行うことができるとともに、これを電気的に分割することで、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを峻別することができる。これにより、安全装置50は、遮光状態を判定するまでに生じる遅延を抑制することができる。
(第3の実施形態)
以下、図14を参照し、第3の実施形態に係る安全装置50の構成を説明する。第3の実施形態に係る安全装置50が、第1の実施形態のそれと相違する点は、受光器80の構成である。なお、第1実施形態と重複する構成については説明を省略することとし、相違点を中心に説明を行う。
投光器60は、第1光源61aと、第2光源61bと、光合成部材62とを備えている。第1光源61a、第2光源61b及び光合成部材62の各構成は、第1の実施形態と同様である。なお、本実施形態では、第1光源61aの波長と、第2光源61bの波長とは、同一であることを想定しているが、両者の波長は互いに異なるものであってもよい。
受光器80は、分光部材81と、第1検知器83aと、第2検知器83bと、第1フィルタ85aと、第2フィルタ85bとを備えている。分光部材81、第1検知器83a、及び第2検知器83bの構成は、第1の実施形態に示すものと同様である。
第1フィルタ85aは、第1検知器83aから出力された検知信号Sd0のうち、第1信号周波数を含む周波数帯域の検知信号Sd1を抽出する。第1フィルタ85aは、例えばバンドパスフィルタにより構成されている。第1フィルタ85aによって抽出された検知信号Sd1は、判定部90へと出力される。
第2フィルタ85bは、第2検知器83bから出力された検知信号Sd0のうち、第2信号周波数を含む周波数帯域(第1信号周波数を除く)の検知信号Sd2を抽出する。第2フィルタ85bは、例えばバンドパスフィルタにより構成されている。第2フィルタ85bによって抽出された検知信号Sd2は、判定部90へと出力される。
以下、本実施形態に係る安全装置50の動作を説明する。
まず、合成検知光Ldは、第1の実施形態と同様、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを合成して構成される。第1検知光Ld1は、投光期間において第1パルス周波数でオンオフするパルス光であり、投光期間と非投光期間とが交互に切り替わるように構成されている。同様に、第2検知光Ld2は、投光期間において第2パルス周波数でオンオフするパルス光であり、投光期間と非投光期間とが交互に切り替わるように構成されている。
この合成検知光Ldにおいて、第1検知光Ld1と、第2検知光Ld2とは、投光期間及び非投光期間が逆位相となる関係に設定されている。また、第1検知光Ld1の第1パルス周波数は、第2検知光Ld2の第2パルス周波数と相違するように構成されている。
投光制御部101は、第1検知光Ld1の第1パルス周波数に対応する周波数(第1信号周波数)の指令信号Scom1を出力する。この指令信号Scom1は、第1検知光Ld1の投光期間と非投光期間とに対応して、断続的に出力される。
同様に、投光制御部101は、第2検知光Ld2の第2パルス周波数に対応する周波数(第2信号周波数)の指令信号Scom2を出力する。この指令信号Scom2は、第2検知光Ld2の投光期間と非投光期間とに対応して、断続的に出力される。
投光制御部101から出力された指令信号Scom1は、第1光源61aに入力される。第1光源61aは、投光制御部101からの指令信号Scom1に応じて動作し、第1検知光Ld1を射出する。
また、投光制御部101から出力された指令信号Scom2は、第2光源61bに入力される。第2光源61bは、投光制御部101からの指令信号Scom2に応じて動作し、第2検知光Ld2を射出する。
第1光源61aから射出された第1検知光Ld1、及び第2光源61bから射出された第2検知光Ld2は、ハーフミラー62aによって合成され、合成検知光Ldとして出力される。
合成検知光Ldは、パンチ14とダイ24との間を通過し、受光器80によって受光される。受光器80に受光された合成検知光Ldは、ハーフミラー81aで2つの合成検知光Ldへと分光され、第1検知器83a及び第2検知器83bでそれぞれ検知される。そして、第1検知器83a及び第2検知器83bは、入射した合成検知光Ldの強度に応じた検知信号Sd0をそれぞれ出力する。
第1フィルタ85aの信号通過作用により、第1検知器83aから出力された検知信号Sd0のうち、第1信号周波数(第1パルス周波数)を含む周波数帯域の検知信号Sd1が第1フィルタ85aを通過する。この第1フィルタ85aにより、検知信号Sd0の中から、第1検知光Ld1に対応する検知信号Sd1が抽出される。
また、第2フィルタ85bの信号通過作用により、第2検知器83bから出力された検知信号Sd0のうち、第2信号周波数(第2パルス周波数)を含む周波数帯域の検知信号Sd2が第2フィルタ85bを通過する。この第2フィルタ85bにより、検知信号Sd0の中から、第2検知光Ld2に対応する検知信号Sd2が抽出される。
そして、判定部90は、第1検知光Ld1及び第2検知光Ld2の両方に対して、受光状態又は遮光状態の判定を行う。判定部90の処理の詳細は、第1の実施形態と同様である。
このように本実施形態において、投光制御部101は、第1検知光Ld1のパルス周波数と対応する第1信号周波数の指令信号Scom1と、第2検知光Ld2のパルス周波数と対応する第2信号周波数の指令信号Scom2とを投光器60へそれぞれ出力する。投光器60は、第1信号周波数の指令信号に応じてオンオフするパルス光を射出する第1光源61aと、第2信号周波数の指令信号に応じてオンオフするパルス光を射出する第2光源61bとを有している。また、投光器60は、第1光源61a及び第2光源61bからそれぞれ射出される光(第1検知光Ld1、第2検知光Ld2)を合成し、合成した光を合成検知光Ldとして射出する光合成部材62を有している。
加えて、受光器80は、投光器60から射出された合成検知光Ldを2つの光に分光する分光部材81を有している。受光器80は、分光部材81によって分光された光を検知し、光の強度に応じた検知信号Sd0を出力する第1検知器83a及び第2検知器83bを有している。さらに、受光器80は、第1検知器83aから出力される検知信号Sd0から、第1信号周波数を含む周波数帯域の検知信号Sd1を抽出する第1フィルタ85aを有している。受光器80は、第2検知器83bから出力される検知信号Sd0から、第2信号周波数を含む周波数帯域の検知信号を抽出する第2フィルタ85bを有している。
この構成によれば、安全装置50は、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを合成して合成検知光を行うことができるとともに、これを光学的に分割することで、第1検知光Ld1と第2検知光Ld2とを峻別することができる。これにより、安全装置50は、遮光状態を判定するまでに生じる遅延を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1光源61a又は第2光源61bに不具合が生じた場合、若しくは、第1検知器83a又は第2検知器83bに不具合が生じた場合であっても、残りの第1光源61a又は第2光源61b若しくは残りの第1検知器83a又は第2検知器83bを利用して状態判定を継続することができる。これにより、装置の一部に不具合が生じた場合でも、その機能を縮小しつつも動作を継続することができるので、フォールトトレラントな安全装置50を実現することができる。
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、第1検知光と第2検知光とは、合成した光を分解することができるように、光の特徴が異なっていればよい。このような特徴としては、波長、周波数以外にも、光の強度などを用いることができる。
また、本実施形態では、第1検知光に第2検知光を重畳し、第1検知光の非投光期間に第2検知光の投光期間を補っているが、第3検知光といったさらなる検知光を用いてもよい。例えば、第1検知光の非投光期間を前半と後半との二つの期間に分けて、その前半に第2検知光の投光期間を設定し、その後半に第3検知光の投光期間を設定するといった如くである。この場合、第1検知光に対して第2検知光及び第3検知光の特徴が異なっていればよい。