JP7207271B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、排気駆動式の過給器を備える内燃機関に適用される内燃機関の制御装置に関する。
排気駆動式の過給器としては、例えば特許文献1に開示されているように、タービンホイールを迂回して排気を流すバイパス通路と、バイパス通路の開口面積を調整するウェイストゲートバルブと、ウェイストゲートバルブの動力源であるアクチュエータとを備えるものが知られている。この過給器では、ウェイストゲートバルブの開度であるバルブ開度を変更することにより、バイパス通路の開口面積が調整される。このように開口面積が変更されると、過給器のタービンホイールに向かう排気量が変わるため、当該過給器を備える内燃機関では過給圧が変化するようになっている。
上記の内燃機関を制御対象とする制御装置では、バルブ開度の目標値である開度目標値に基づいてアクチュエータが制御される。なお、特許文献1によれば、機関回転速度とスロットルバルブの開度とに基づいたフィードフォワード制御によってベース開度が導出され、過給圧の目標である過給圧目標値と過給圧の検出値との偏差に基づいたフィードバック制御によって開度補正値が導出される。そして、ベース開度と開度補正値との和が開度目標値として導出される。なお、フィードバック制御としては、例えば、PID制御が実施される。
特開2006-274831号公報
過給器としては、バイパス通路よりも排気下流に配置されるとともに、タービンハウジングに対して回転可能な状態でウェイストゲートバルブが支持されているものがある。このような過給器にあっては、バイパス通路の排気下流側の開口を下流開口とした場合、当該下流開口にウェイストゲートバルブの弁体を接近させることによってバルブ開度を小さくすると、バイパス通路を通過する排気量が少なくなり、過給圧が増大される。一方、バルブ開度が増大されると、下流開口からウェイストゲートバルブの弁体が離れるため、バイパス通路を通過する排気量が多くなり、過給圧が減少される。このような過給器では、下流開口から弁体が大きく離れている状態でバルブ開度を変更しても、バイパス通路を通過する排気量があまり変化せず、過給圧をほとんど変化させることができないことがある。
このようにバルブ開度を変更しても過給圧があまり変化しない内燃機関の運転領域を第1領域とし、バルブ開度を変更すると過給圧が適度に変化する内燃機関の運転領域を第2領域とする。この場合、第1領域で機関運転が行われている状況下では、開度目標値に基づいてアクチュエータを駆動させても過給圧目標値と過給圧の検出値との乖離を解消できないことがある。その結果、第1領域での機関運転が継続されると、開度補正値のうちの積分項の大きさが過大となってしまう。このように積分項の大きさが過大になっているときに第2領域で機関運転が行われるようになると、積分項の大きさが過大であるため、開度補正値を適切な値に収束させるまでに要する時間が長くなるおそれがある。その結果、開度目標値を適切な値になかなか設定できず、過給圧目標値と過給圧の検出値との乖離の解消に要する時間が長くなる。すなわち、過給圧の制御性という点で改善の余地がある。
上記課題を解決するための内燃機関の制御装置は、排気駆動式の過給器を備える内燃機関に適用される内燃機関の制御装置である。前記過給器は、前記内燃機関の排気通路に設けられているタービンハウジングと、前記タービンハウジング内に設けられているタービンホイールと、前記タービンハウジング内において前記タービンホイールを迂回した排気が流れるウェイストゲートポートと、前記ウェイストゲートポートよりも排気下流に配置されるものであって、且つ前記ウェイストゲートポートに対する弁体の相対位置が変化するように回転軸線を中心に回転可能な状態で前記タービンハウジングに支持されているウェイストゲートバルブと、前記ウェイストゲートバルブを回転させることにより、前記ウェイストゲートポートに対する前記弁体の相対位置を変更するアクチュエータと、を有するとともに、前記アクチュエータの駆動力を大きくすることによって前記ウェイストゲートポートに前記弁体を接近させて過給圧を高くするものである。当該制御装置は、過給圧の目標である過給圧目標値に基づいたフィードフォワード制御によって前記駆動力の基礎値である駆動力基礎値を導出し、前記過給圧目標値と過給圧の検出値との偏差に基づいたフィードバック制御によって前記駆動力の補正値である駆動力補正値を導出し、前記駆動力基礎値と前記駆動力補正値とに基づいて前記駆動力の指示値である駆動力指示値を導出する指示値導出部と、前記駆動力指示値に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部と、を備える。前記フィードバック制御は、前記偏差に基づいて比例項と積分項とを導出する制御である。前記駆動力を調整することによって過給圧を制御できる当該駆動力の下限を制御駆動力下限値とし、前記ウェイストゲートポートを通過した排気から前記ウェイストゲートバルブが受ける力が大きいほど大きくなる力を離間力とし、前記離間力が前記制御駆動力下限値よりも大きいか否かの境界を規定する吸入空気量と過給圧との関係を、境界関係とする。この場合、前記過給器の前記境界関係は、吸入空気量が変極点空気量以下であるときには吸入空気量が多いほど過給圧が高くなり、吸入空気量が前記変極点空気量と等しいときの過給圧を変極点過給圧とした場合、吸入空気量が前記変極点空気量よりも多いときには過給圧が前記変極点過給圧よりも低くなる関係である。前記指示値導出部は、前記境界関係から定まる吸入空気量の検出値に応じた過給圧を過給圧判定値とした場合、前記過給圧目標値が当該過給圧判定値未満であるか否かを判定する判定処理を行い、当該判定処理で前記過給圧目標値が前記過給圧判定値未満であるとの判定をなしたときには、前記フィードバック制御を実施しないで前記駆動力指示値を導出する。
ウェイストゲートポートを基準とするウェイストゲートバルブの弁体の相対位置に関する値のうち、ウェイストゲートポートから弁体が離間するほど大きくなる値をバルブ開度とする。この場合、ウェイストゲートバルブを回転させることによってバルブ開度を変更することにより、ウェイストゲートポートに弁体を接近させたり、ウェイストゲートポートから弁体を離間させたりすることができる。こうしたバルブ開度は、ウェイストゲートバルブに対してウェイストゲートポートに弁体を接近させる方向に作用する力である接近力と、ウェイストゲートバルブに対してウェイストゲートポートから弁体を離間させる方向に作用する力である離間力とが釣り合う大きさとなる。上記の過給器にあっては、アクチュエータの駆動力を接近力と見なすことができる。また、排気通路におけるタービンハウジングよりも上流の部分を上流排気通路とした場合、離間力は上流排気通路の排気圧が高いほど大きくなる。そして、アクチュエータの駆動力が上記離間力よりも小さい場合、ウェイストゲートポートを通過する排気にウェイストゲートバルブが押され、バルブ開度を保持したり、バルブ開度を小さくしたりすることができない。すなわち、バルブ開度を適切に制御できない。このような場合、過給圧の検出値と過給圧目標値との乖離を解消できず、フィードバック制御によって導出される駆動力補正値のうちの積分項の大きさが過大になるおそれがある。
そこで、上記構成では、上記境界関係から定まる吸入空気量の検出値に応じた過給圧を過給圧判定値とした場合、過給圧目標値が過給圧判定値未満であるか否かを判定する判定処理が行われる。そして、当該判定処理によって過給圧目標値が過給圧判定値未満であるとの判定がなされたときには、フィードバック制御を実施しないで駆動力指示値が導出される。そのため、過給圧目標値が過給圧判定値未満であるとの判定がなされる状態が継続したとしても、フィードバック制御が実施されないため、駆動力補正値のうちの積分項の大きさが過大となることを抑制できる。これにより、その後に過給圧目標値が過給圧判定値未満であるとの判定がなされなくなった以降でフィードバック制御が実施されるようになったとき、駆動力補正値を適切な値に収束させるまでに要する時間が長くなることを抑制できる。すなわち、過給圧目標値と過給圧の検出値との乖離を解消させるのに要する時間が長くなることを抑制できる。したがって、上記構成によれば、過給圧の制御性を向上できる。
上記内燃機関の制御装置の一態様において、前記ウェイストゲートポートを基準とする前記弁体の相対位置に関する値のうち、前記ウェイストゲートポートから前記弁体が離間するほど大きくなる値をバルブ開度とした場合、前記制御部は、前記バルブ開度が上限開度を超えない範囲で前記アクチュエータを制御する。この制御装置は、前記バルブ開度が前記上限開度と等しいときにおける過給圧である過給圧下限値と、吸入空気量との関係である下限過給圧関係を記憶する関係記憶部と、下限側オフセット値を設定する下限側オフセット値設定部と、を備える。前記指示値導出部は、前記判定処理では、前記下限過給圧関係から定まる吸入空気量の検出値に応じた前記過給圧下限値と、前記下限側オフセット値との和を判定下限過給圧とした場合、過給圧の検出値が前記判定下限過給圧以下であるときに前記過給圧目標値が前記過給圧判定値未満であるとの判定をなす。前記下限側オフセット値設定部は、前記境界関係から定まる前記吸入空気量の検出値に応じた前記過給圧判定値が高いほど大きい値を前記下限側オフセット値として設定する。
下限側オフセット値が、吸入空気量によらず、所定値で固定されている場合を考える。この場合、下限側オフセット値の大きさによっては、実際には上記離間力が制御駆動力下限値よりも小さくても、過給圧目標値が過給圧判定値未満であるとの判定がなされ、フィードバック制御が実施されないことがある。この場合、駆動力補正値のうちの積分項の導出機会の減少が懸念される。反対に、下限側オフセット値が小さい場合、実際には上記離間力が制御駆動力下限値以上であっても、過給圧目標値が過給圧判定値未満であるとの判定がなされず、フィードバック制御が実施されてしまうことがある。この場合、駆動力補正値のうちの積分項の大きさが過大になる可能性がある。
上記構成では、境界関係から定まる前記吸入空気量の検出値に応じた過給圧である過給圧判定値に基づいて下限側オフセット値が設定される。そのため、吸入空気量の検出値が変わると、下限側オフセット値及び判定下限過給圧が変化するようになる。詳しくは、下限側オフセット値及び判定下限過給圧を、境界関係を反映した大きさにできる。その結果、判定処理で過給圧目標値が過給圧判定値未満であるか否かを精度良く判定できるようになる。これにより、積分項の大きさが過大になることを抑制しつつ、駆動力補正値のうちの積分項の更新機会を増大させることが可能となる。
上記内燃機関の制御装置の一態様において、前記指示値導出部は、前記判定処理で前記過給圧目標値が前記過給圧判定値未満であるとの判定をなしていなくても過給圧の検出値が判定上限過給圧よりも高いときには、前記フィードバック制御を実施することなく前記駆動力指示値を導出するものである。この制御装置において、前記判定上限過給圧として、吸入空気量が多いほど大きい値が設定される。
バルブ開度が小さい領域では、バルブ開度を少し変更するだけで過給圧が大幅に変わる。そのため、こうした領域で機関運転が行われるときにフィードバック制御を実施した場合、駆動力補正値のうちの積分項の適正化を図ることが困難である。そこで、上記構成では、吸入空気量に応じた値に設定されている判定上限過給圧よりも過給圧の検出値が高いときには、フィードバック制御が実施されないため、駆動力補正値が更新されない。このため、駆動力補正値のうちの積分項が適正な値から乖離することを抑制できる。
実施形態の内燃機関の制御装置の機能構成と、同制御装置によって制御される内燃機関の概略構成とを示す図。 バルブ開度と、バルブ開度の変更に対する過給圧の変化量との関係を示すグラフ。 吸入空気量と、過給圧と、アクチュエータの駆動力との関係を示すグラフ。 アクチュエータの駆動力を制御することによって過給圧を制御できる領域と、当該駆動力を制御しても過給圧を制御できない領域との関係を示すグラフ。 アクチュエータの駆動力指示値を導出する際に実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。 判定下限過給圧を導出する際に実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。 判定上限過給圧を導出する際に実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。
以下、排気駆動式の内燃機関に適用される内燃機関の制御装置の一実施形態を図1~図7に従って説明する。
図1には、本実施形態の制御装置50を備える内燃機関10が図示されている。内燃機関10の吸気通路11には、燃焼室13に導入する吸入空気量GAを調整するスロットルバルブ12が設けられている。燃焼室13では、吸気通路11から導入された吸入空気と、燃噴射弁から噴射された燃料とを含む混合気が燃焼される。当該燃焼に伴って燃焼室13内で生じた排気が排気通路14に排出される。
内燃機関10は、排気駆動式の過給器20を備えている。過給器20は、排気通路14に設けられているタービンハウジング21と、吸気通路11におけるスロットルバルブ12よりも吸気上流に配置されているコンプレッサハウジング23とを有している。タービンハウジング21内にはタービンホイール22が設けられている。コンプレッサハウジング23内には、タービンホイール22と同期回転するコンプレッサホイール24が設けられている。
過給器20は、タービンハウジング21内においてタービンホイール22を迂回した排気が流れるウェイストゲートポート25と、ウェイストゲートポート25よりも排気下流に配置されているウェイストゲートバルブ26とを有している。ウェイストゲートバルブ26は、タービンハウジング21に回転可能な状態で支持されているバルブ回転軸27と、バルブ回転軸27に接続されている弁体28とを有している。バルブ回転軸27が回転すると、弁体28がウェイストゲートポート25に接近したり、弁体28がウェイストゲートポート25から離間したりする。すなわち、ウェイストゲートバルブ26は、バルブ回転軸27の中心軸線27aを回転軸線とし、中心軸線27aを中心に回転可能な状態でタービンハウジング21に支持されている。なお、弁体28は、排気下流からウェイストゲートポート25を閉塞可能に構成されている。
過給器20は、ウェイストゲートバルブ26の動力源であるアクチュエータ29と、アクチュエータ29の駆動力Dactをウェイストゲートバルブ26に伝達するリンク機構30とを有している。そして、アクチュエータ29の駆動力Dactを大きくすることにより、弁体28をウェイストゲートポート25に接近させる方向にウェイストゲートバルブ26を回転させることができる。
アクチュエータ29としては、例えば、電気モータ及び負圧アクチュエータを挙げることができる。負圧アクチュエータとは、内部に発生する負圧を利用してウェイストゲートバルブ26を回転させる駆動力を発生するものである。
以降の記載において、ウェイストゲートポート25を基準とする弁体28の相対位置に関する値のうち、ウェイストゲートポート25から弁体28が離間するほど大きくなる値を、「バルブ開度Xwgv」という。弁体28がウェイストゲートポート25を閉塞しているときのバルブ開度Xwgvを「0%」とする。この場合、弁体28をウェイストゲートポート25から離間させるほどバルブ開度Xwgvが大きくなる。このようにバルブ開度Xwgvが大きくなると、タービンハウジング21内に流入した排気のうち、タービンホイール22に向かう排気量が少なくなる。その結果、タービンホイール22を回転させる力が小さくなり、過給圧Pcmpが低くなる。
排気通路14におけるタービンハウジング21よりも上流の部分を上流排気通路141とした場合、バルブ開度Xwgvは、上流排気通路141の排気圧と、アクチュエータ29の駆動力Dactとの関係に基づいて決まる。すなわち、ウェイストゲートバルブ26に対してバルブ開度Xwgvを小さくする方向に作用する力を接近力とし、ウェイストゲートバルブ26に対してバルブ開度Xwgvを大きくする方向に作用する力を離間力とする。この場合、接近力は、アクチュエータ29の駆動力Dactと見なすことができる。上流排気通路141の排気圧が高いほど、ウェイストゲートポート25を通過してウェイストゲートバルブ26の弁体28をウェイストゲートポート25から離間させる方向に押す力が大きくなる。このようにウェイストゲートポート25を通過した排気からウェイストゲートバルブ26が受ける力を「排気受容力」とした場合、排気受容力は上流排気通路141の排気圧が高いほど大きくなり、排気受容力が大きいほど離間力が大きくなる。すなわち、離間力は、上流排気通路141の排気圧が高いほど大きくなる。そして、バルブ開度Xwgvは、接近力と離間力とが釣り合う開度となる。つまり、アクチュエータ29の駆動力Dactが保持されていても上流排気通路141の排気圧が変わると、バルブ開度Xwgvもまた変わる。
次に、図2及び図3を参照し、過給器20の特性について説明する。
過給器20にあっては、ウェイストゲートバルブ26を回転させることによってバルブ開度Xwgvを調整している。そのため、図2に示すように、弁体28がウェイストゲートポート25の近くに位置していてバルブ開度Xwgvが小さいときには、バルブ開度Xwgvの変更に対する過給圧Pcmpの変化量である過給圧変化勾配DPcmpが大きい。そして、弁体28がウェイストゲートポート25から離れてバルブ開度Xwgvが大きくなるにつれ、過給圧変化勾配DPcmpが小さくなる。そして、最終的には過給圧変化勾配DPcmpがほぼ「0」となる。つまり、バルブ開度Xwgvが小さすぎる状態でバルブ開度Xwgvが変更されると、過給圧Pcmpが大幅に変化する。一方、バルブ開度Xwgvが大きすぎる状態でバルブ開度Xwgvが変更されても過給圧Pcmpがほとんど変化しない。
図3は、横軸を吸入空気量GAとし、縦軸を過給圧Pcmpとしたグラフである。そして、図3に示す各実線は、アクチュエータ29の駆動力Dactの等高線である。各等高線のうち、第1等高線L1はアクチュエータ29の駆動力Dactが第1駆動力Dact1であるときの等高線であり、第2等高線L2はアクチュエータ29の駆動力Dactが第1駆動力Dact1よりも大きい第2駆動力Dact2であるときの等高線である。第3等高線L3はアクチュエータ29の駆動力Dactが第2駆動力Dact2よりも大きい第3駆動力Dact3であるときの等高線であり、第4等高線L4はアクチュエータ29の駆動力Dactが第3駆動力Dact3よりも大きい第4駆動力Dact4であるときの等高線である。そして、第5等高線L5はアクチュエータ29の駆動力Dactが第4駆動力Dact4よりも大きい第5駆動力Dact5であるときの等高線である。
各駆動力Dact1~Dact5の中で最も小さい第1駆動力Dact1は、制御駆動力下限値である。制御駆動力下限値とは、アクチュエータ29の駆動力Dactを調整することによって過給圧Pcmpを制御できる駆動力Dactの下限である。アクチュエータ29の駆動力Dactが第1駆動力Dact1未満であるときには、バルブ開度Xwgvがかなり大きい状態であるといえる。そのため、第1駆動力Dact1以上とならない範囲で駆動力Dactを調整しても、上記離間力に対して駆動力Dactが小さく、過給圧Pcmpをその目標値に接近させる方向にバルブ開度Xwgvを変化させることができないおそれがある。すなわち、第1等高線L1は、上記離間力が制御駆動力下限値よりも大きいか否かの境界を規定する吸入空気量GAと過給圧Pcmpとの関係である境界関係を表している。
図3に示すように、過給器20の境界関係は、吸入空気量GAが変極点空気量GAa以下であるときには吸入空気量GAが多いほど過給圧Pcmpが高くなり、吸入空気量GAが変極点空気量GAaよりも多いときには過給圧Pcmpが変極点過給圧Pcmpaよりも低くなる関係である。変極点過給圧Pcmpaとは、吸入空気量GAが変極点空気量GAaと等しいときの過給圧Pcmpである。
次に、制御装置50について説明する。
図1に示すように、制御装置50には、各種のセンサからの検出信号が入力される。センサとしては、例えば、エアフローメータ101、過給圧センサ102及び開度センサ103を挙げることができる。エアフローメータ101は、吸入空気量GAを検出し、検出結果に応じた信号を検出信号として出力する。過給圧センサ102は、過給圧Pcmpを検出し、検出結果に応じた信号を検出信号として出力する。開度センサ103は、ウェイストゲートバルブ26のバルブ開度Xwgvを検出し、検出結果に応じた信号を検出信号として出力する。なお、エアフローメータ101によって検出された吸入空気量GAを吸入空気量の検出値GAsという。過給圧センサ102によって検出された過給圧Pcmpを過給圧の検出値Pcmpsという。
制御装置50は、各種のセンサからの検出信号を基に、スロットルバルブ12の開度であるスロットル開度SL及び燃料噴射弁の燃料噴射量を調整する。また、制御装置50は、アクチュエータ29を制御することによって過給圧Pcmpを調整する。
制御装置50は、過給圧Pcmpを調整するための機能部として、指示値導出部51、制御部52、関係記憶部53、下限側オフセット値設定部54及び判定値導出部55を有している。
指示値導出部51は、過給器20を作動させて過給圧Pcmpを調整する際に、アクチュエータ29の駆動力Dactの指示値である駆動力指示値DactTrを導出する。駆動力指示値DactTrの導出処理については後述する。なお、指示値導出部51は、当該導出処理の実行に際して導出される駆動力補正値ΔDactを記憶する補正値記憶部511を含んでいる。
制御部52は、指示値導出部51によって導出された駆動力指示値DactTrに基づいてアクチュエータ29を制御する。本実施形態では、制御部52は、バルブ開度Xwgvが上限開度XwgvLを超えない範囲でアクチュエータ29を制御する。すなわち、制御部52は、駆動力指示値DactTrに基づいてアクチュエータ29を制御した場合にはバルブ開度Xwgvが上限開度XwgvLを越えると判断したときには、バルブ開度Xwgvが上限開度XwgvL以下となるように駆動力指示値DactTrを調整し、調整後の駆動力指示値DactTrに基づいてアクチュエータ29を制御する。
関係記憶部53は、バルブ開度Xwgvが上限開度XwgvLと等しいときにおける過給圧Pcmpである過給圧下限値PcmpLLと吸入空気量GAとの関係である下限過給圧関係を記憶している。図4では、下限過給圧関係を示す線として下限過給圧関係線LPcmpLLが図示されている。図4に示すように、吸入空気量GAが多いほど過給圧下限値PcmpLLが高くなる。ただし、図4に示す範囲内では、過給圧下限値PcmpLLは、図3で示した境界関係から定まる吸入空気量GAに応じた過給圧判定値PcmpTh以下となる。
また、関係記憶部53は、ウェイストゲートバルブ26が閉弁しているときにおける過給圧Pcmpである過給圧上限値PcmpULと、吸入空気量GAとの関係である上限過給圧関係を記憶している。図4では、上限過給圧関係を示す線として上限過給圧関係線LPcmpULが図示されている。図4に示すように、吸入空気量GAが多いほど過給圧上限値PcmpULが高くなる。さらに、過給圧上限値PcmpULは、上記過給圧判定値PcmpTh及び過給圧下限値PcmpLLよりも高い。
下限側オフセット値設定部54は、正の値を下限側オフセット値ΔPcmp1として設定する。下限側オフセット値設定部54は、過給圧の検出値Pcmpsに基づいて下限側オフセット値ΔPcmp1を可変させる。具体的には、下限側オフセット値設定部54は、図3に示した境界関係から定まる吸入空気量の検出値GAsに応じた過給圧である過給圧判定値PcmpThが高いほど大きい値を下限側オフセット値ΔPcmp1として設定する。
判定値導出部55は、指示値導出部51による駆動力補正値ΔDactの導出処理の実行時に用いられる判定下限過給圧PcmpTh1及び判定上限過給圧PcmpTh2を導出する。判定下限過給圧PcmpTh1の導出処理及び判定上限過給圧PcmpTh2の導出処理については後述する。
次に、図5を参照し、過給器20が過給を行う際に指示値導出部51によって実行される駆動力指示値DactTrの導出処理を説明する処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、繰り返し実行される。
本処理ルーチンにおいて、ステップS11では、過給圧Pcmpの目標である過給圧目標値PcmpTrに基づいたフィードフォワード制御によって、アクチュエータ29の駆動力Dactの基礎値である駆動力基礎値DactBが導出される。この際、過給圧目標値PcmpTrが高いほど大きい値が駆動力基礎値DactBとして導出される。以降の記載において、フィードフォワード制御を「F/F制御」ともいう。
続いて、ステップS12において、判定値導出部55によって導出された判定下限過給圧PcmpTh1及び判定上限過給圧PcmpTh2が取得される。判定下限過給圧PcmpTh1及び判定上限過給圧PcmpTh2の導出処理については後述する。次のステップS13において、過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1よりも高いか否かの判定が行われる。過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1よりも高い場合(S13:YES)、処理が次のステップS14に移行される。ステップS14において、過給圧の検出値Pcmpsが判定上限過給圧PcmpTh2以下であるか否かの判定が行われる。過給圧の検出値Pcmpsが判定上限過給圧PcmpTh2以下である場合(S14:YES)、処理が次のステップS15に移行される。
ステップS15において、過給圧目標値PcmpTrと過給圧の検出値Pcmpsとの偏差αに基づいたフィードバック制御によって、アクチュエータ29の駆動力Dactの補正値である駆動力補正値ΔDactが導出される。本実施形態で実行されるフィードバック制御は、偏差αに基づいた比例項と積分項とを導出する制御である。以降の記載において、フィードバック制御のことを「F/B制御」という。F/B制御によって駆動力補正値ΔDactが導出されると、処理が次のステップS16に移行される。ステップS16において、指示値導出部51の補正値記憶部511に駆動力補正値ΔDactが記憶される。すなわち、ステップS13及びステップS14の双方の判定が「YES」である状態が継続する場合、補正値記憶部511に記憶される駆動力補正値ΔDactが更新され続ける。そして、処理が次のステップS17に移行される。
その一方で、ステップS13において、過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1以下である場合(NO)、処理が次のステップS17に移行される。同様に、ステップS14において、過給圧の検出値Pcmpsが判定上限過給圧PcmpTh2よりも高い場合(NO)、処理が次のステップS17に移行される。すなわち、ステップS13又はステップS14の判定が「NO」である場合、補正値記憶部511に記憶される駆動力補正値ΔDactが更新されない。
ステップS17において、駆動力指示値DactTrが導出される。すなわち、今回の本処理ルーチンの実行時にF/F制御によって導出された駆動力基礎値DactBと、補正値記憶部511に記憶されている駆動力補正値ΔDactとに基づいて駆動力指示値DactTrが導出される。この場合、駆動力基礎値DactBが大きいほど大きい値が駆動力指示値DactTrとして導出される。また、駆動力補正値ΔDactが大きいほど大きい値が駆動力指示値DactTrとして導出される。
本実施形態では、ステップS13及びステップS14の双方の判定が「YES」である場合、駆動力基礎値DactBの最新値と駆動力補正値ΔDactの最新値とに基づいて駆動力指示値DactTrが導出される。一方、ステップS13又はステップS14の判定が「NO」である場合、駆動力基礎値DactBの最新値と、当該判定が「NO」となる前の駆動力補正値ΔDactとに基づいて駆動力指示値DactTrが導出される。このように駆動力指示値DactTrが導出されると、本処理ルーチンが一旦終了される。
次に、図6を参照し、判定値導出部55によって実行される判定下限過給圧PcmpTh1の導出処理について説明する。本処理ルーチンは、繰り返し実行される。
本処理ルーチンにおいて、ステップS21では、吸入空気量の検出値GAsが導出される。続いて、ステップS22において、関係記憶部53に記憶されている下限過給圧関係と、吸入空気量の検出値GAsとを基に、過給圧下限値PcmpLLが導出される。すなわち、下限過給圧関係から定まる吸入空気量の検出値GAsに応じた過給圧が、過給圧下限値PcmpLLとして導出される。
次のステップS23において、下限側オフセット値設定部54によって導出された下限側オフセット値ΔPcmp1が取得される。そして、ステップS24において、過給圧下限値PcmpLLと下限側オフセット値ΔPcmp1との和が判定下限過給圧PcmpTh1として導出される。過給圧下限値PcmpLL及び下限側オフセット値ΔPcmp1は、吸入空気量の検出値GAsが変わると変更される。そのため、判定下限過給圧PcmpTh1は、吸入空気量の検出値GAsに応じて変わる。すなわち、図4に破線で示す判定線L11が、吸入空気量の検出値GAsに応じた判定下限過給圧PcmpTh1を表している。そして、判定下限過給圧PcmpTh1が導出されると、本処理ルーチンが一旦終了される。
次に、図7を参照し、判定値導出部55によって実行される判定上限過給圧PcmpTh2の導出処理について説明する。本処理ルーチンは、繰り返し実行される。
本処理ルーチンにおいて、ステップS31では、吸入空気量の検出値GAsが導出される。続いて、ステップS32において、関係記憶部53に記憶されている上限過給圧関係と、吸入空気量の検出値GAsとを基に、過給圧上限値PcmpULが導出される。すなわち、上限過給圧関係から定まる吸入空気量の検出値GAsに応じた過給圧が、過給圧上限値PcmpULとして導出される。次のステップS33において、過給圧上限値PcmpULから上限側オフセット値ΔPcmp2を引いた値が判定下限過給圧PcmpTh1として導出される。上限側オフセット値ΔPcmp2は、過給器20の諸元などから定まる所定値で固定されている。すなわち、図4に破線で示す判定線L12が、吸入空気量の検出値GAsに応じた判定上限過給圧PcmpTh2を表している。そして、判定上限過給圧PcmpTh2が導出されると、本処理ルーチンが一旦終了される。
本実施形態の作用及び効果について説明する。
駆動力補正値ΔDactを導出するF/B制御では、偏差αに基づいて比例項及び積分項が導出される。アクチュエータ29の駆動力Dactが上記離間力よりも小さい場合、バルブ開度Xwgvを適切に制御できないことがある。このようにバルブ開度Xwgvを適切に制御できないと、過給圧の検出値Pcmpsと過給圧目標値PcmpTrとの乖離を解消できず、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の大きさが過大になるおそれがある。
本実施形態では、過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるか否かを判定する判定処理が行われる。そして、過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるとの判定がなされたときには、F/B制御を実施しないで駆動力指示値DactTrが導出される。そのため、過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるとの判定がなされる状態が継続したとしても、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の大きさが過大となることを抑制できる。これにより、その後に過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるとの判定がなされなくなった以降でF/B制御が実施されるようになったとき、駆動力補正値ΔDactを適切な値に収束させるまでに要する時間が長くなることを抑制できる。すなわち、過給圧目標値PcmpTrと過給圧の検出値Pcmpsとの乖離を解消させるのに要する時間が長くなることを抑制できる。したがって、過給圧Pcmpの制御性を向上できる。
詳しくは、上記下限過給圧関係から定まる吸入空気量の検出値GAsに応じた過給圧下限値PcmpLLと、下限側オフセット値ΔPcmp1との和が判定下限過給圧PcmpTh1として導出される。そして、過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1以下であるか否かによって、過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるか否かが判定される。
下限側オフセット値ΔPcmp1が所定値で固定されている比較例と、本実施形態とを比較する。図4には、第1比較例の場合の判定下限過給圧PcmpTh1が一点鎖線で示されている。過給圧下限値PcmpLLと下限側オフセット値ΔPcmp1との和が判定下限過給圧PcmpTh1として導出される。
吸入空気量の検出値GAsが第1吸入空気量GA1であり、且つ過給圧の検出値Pcmpsが第1過給圧Pcmp1である場合、本実施形態では、過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1よりも高くなる。すると、F/B制御が実施されるため、駆動力補正値ΔDactの最新値を用いて駆動力指示値DactTrが導出される。
一方、第1比較例では、吸入空気量の検出値GAsが第1吸入空気量GA1であり、且つ過給圧の検出値Pcmpsが第1過給圧Pcmp1である場合、過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1以下となる。その結果、F/B制御を実施することなく駆動力指示値DactTrが導出される。この場合、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の大きさが過大になることは抑制できるものの、積分項の更新機会が減ってしまう。
ここで、吸入空気量の検出値GAsが第1吸入空気量GA1であり、且つ過給圧の検出値Pcmpsが第1過給圧Pcmp1である状態が長期にわたって継続される場合、第1比較例では、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項が更新されない。その結果、過給圧の検出値Pcmpsと過給圧目標値PcmpTrとが乖離したままとなるおそれがある。
また、図4には、第2比較例の場合の判定下限過給圧PcmpTh1が二点鎖線で示されている。第2比較例での判定下限過給圧PcmpTh1は、第1比較例での判定下限過給圧PcmpTh1よりも小さい。
吸入空気量の検出値GAsが第2吸入空気量GA2であり、且つ過給圧の検出値Pcmpsが第2過給圧Pcmp2である場合、本実施形態では、過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1以下になる。そのため、F/B制御を実施することなく駆動力指示値DactTrが導出される。
一方、第2比較例では、吸入空気量の検出値GAsが第2吸入空気量GA2であり、且つ過給圧の検出値Pcmpsが第2過給圧Pcmp2である場合、過給圧の検出値Pcmpsが判定下限過給圧PcmpTh1よりも高くなってしまう。その結果、F/B制御が実施され、駆動力補正値ΔDactの最新値を用いて駆動力指示値DactTrが導出される。このような場合、上記離間力に対してアクチュエータ29の駆動力Dactが小さいため、バルブ開度Xwgvを適切に制御できない。その結果、過給圧の検出値Pcmpsと過給圧目標値PcmpTrとの乖離を解消できないまま、F/B制御が繰り返し実施されることになる。その結果、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の大きさが過大になるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、上記境界関係を考慮し、そのときの吸入空気量の検出値GAsに応じた値が下限側オフセット値ΔPcmp1として設定される。当該下限側オフセット値ΔPcmp1と、そのときの吸入空気量の検出値GAsに応じた過給圧下限値PcmpLLとの和が、判定下限過給圧PcmpTh1として導出される。そして、こうした判定下限過給圧PcmpTh1と過給圧の検出値Pcmpsとの比較を基に、過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるか否かを判定する判定処理が行われる。その結果、過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるか否かの判定精度を高くできる。したがって、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の大きさが過大になることを抑制しつつも、駆動力補正値ΔDactの更新機会を増大させることができる。
ところで、図2に示したようにバルブ開度Xwgvが小さい場合、バルブ開度Xwgvを少し変更するだけで過給圧Pcmpが大幅に変わる。そのため、こうした領域で機関運転が行われるときにF/B制御を実施した場合、過給圧目標値PcmpTrを中心に過給圧の検出値Pcmpsがハンチングし、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の適正化を図ることが困難になる。そこで、本実施形態では、吸入空気量の検出値GAsに応じた値に設定されている判定上限過給圧PcmpTh2よりも過給圧の検出値Pcmpsが高いときには、F/B制御が実施されない。すなわち、駆動力補正値ΔDactが更新されない。このため、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項が適正な値から乖離することを抑制できる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・過給圧の検出値Pcmpsが判定上限過給圧PcmpTh2よりも高い場合であっても、F/B制御の実施を通じて駆動力補正値ΔDactを更新するようにしてもよい。ただし、この場合、F/B制御の際に用いられるゲインを、過給圧の検出値Pcmpsが判定上限過給圧PcmpTh2以下であるときよりも小さくすることが好ましい。これにより、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の適正な値からの乖離の抑制が可能となる。
・上記実施形態では、吸入空気量の検出値GAsに応じた過給圧下限値PcmpLLと、当該検出値GAsに応じた下限側オフセット値ΔPcmp1との和を、判定下限過給圧PcmpTh1として導出している。しかし、上記実施形態で説明した手法とは異なる手法で判定下限過給圧PcmpTh1を導出するようにしてもよい。
・過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるとの判定がなされている場合、F/B制御を実施せずに、バルブ開度Xwgvを所定開度で保持できるようにアクチュエータ29を駆動させるようにしてもよい。例えば、所定開度として、上限開度XwgvLを設定してもよい。この場合であっても、過給圧目標値PcmpTrが過給圧判定値PcmpTh未満であるとの判定がなされているときに、F/B制御が実施されないのであれば、駆動力補正値ΔDactのうちの積分項の大きさが過大になることを抑制できる。
・制御装置50は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
10…内燃機関
14…排気通路
20…過給器
21…タービンハウジング
22…タービンホイール
25…ウェイストゲートポート
26…ウェイストゲートバルブ
28…弁体
29…アクチュエータ
50…制御装置
51…指示値導出部
52…制御部
53…関係記憶部
54…下限側オフセット値設定部

Claims (3)

  1. 排気駆動式の過給器を備える内燃機関に適用される内燃機関の制御装置であって、
    前記過給器は、前記内燃機関の排気通路に設けられているタービンハウジングと、前記タービンハウジング内に設けられているタービンホイールと、前記タービンハウジング内において前記タービンホイールを迂回した排気が流れるウェイストゲートポートと、前記ウェイストゲートポートよりも排気下流に配置されているものであって、且つ前記ウェイストゲートポートに対する弁体の相対位置が変化するように回転軸線を中心に回転可能な状態で前記タービンハウジングに支持されているウェイストゲートバルブと、前記ウェイストゲートバルブを回転させることにより、前記ウェイストゲートポートに対する前記弁体の相対位置を変更するアクチュエータと、を有するとともに、前記アクチュエータの駆動力を大きくすることによって前記ウェイストゲートポートに前記弁体を接近させて過給圧を高くするものであり、
    過給圧の目標である過給圧目標値が高いほど前記駆動力の基礎値である駆動力基礎値が大きくなるようにフィードフォワード制御によって前記駆動力基礎値を導出し、前記過給圧目標値と過給圧の検出値との偏差に基づいたフィードバック制御によって前記駆動力の補正値である駆動力補正値を導出し、前記駆動力基礎値と前記駆動力補正値とに基づいて前記駆動力の指示値である駆動力指示値を導出する指示値導出部と、
    前記駆動力指示値に基づいて前記アクチュエータを制御する制御部と、を備え、
    前記フィードバック制御は、前記偏差に基づいて比例項と積分項とを導出する制御であり、
    前記駆動力を調整することによって過給圧を制御できる当該駆動力の下限を制御駆動力下限値とし、前記ウェイストゲートポートを通過した排気から前記ウェイストゲートバルブが受ける力が大きいほど大きくなる力を離間力とし、前記離間力が前記制御駆動力下限値よりも大きいか否かの境界を規定する吸入空気量と過給圧との関係を、境界関係とした場合、
    前記過給器の前記境界関係は、吸入空気量が変極点空気量以下であるときには吸入空気量が多いほど過給圧が高くなり、吸入空気量が前記変極点空気量と等しいときの過給圧を変極点過給圧とした場合、吸入空気量が前記変極点空気量よりも多いときには過給圧が前記変極点過給圧よりも低くなる関係であり、
    前記指示値導出部は、
    前記境界関係から定まる吸入空気量の検出値に応じた過給圧を過給圧判定値とした場合、前記過給圧目標値が当該過給圧判定値未満であるか否かを判定する判定処理を行い、
    当該判定処理で前記過給圧目標値が前記過給圧判定値未満であるとの判定をなしたときには、前記フィードバック制御を実施しないで前記駆動力指示値を導出する
    内燃機関の制御装置。
  2. 前記ウェイストゲートポートを基準とする前記弁体の相対位置に関する値のうち、前記ウェイストゲートポートから前記弁体が離間するほど大きくなる値をバルブ開度とした場合、前記制御部は、前記バルブ開度が上限開度を超えない範囲で前記アクチュエータを制御するようになっており、
    前記バルブ開度が前記上限開度と等しいときにおける過給圧である過給圧下限値と、吸入空気量との関係である下限過給圧関係を記憶する関係記憶部と、
    下限側オフセット値を設定する下限側オフセット値設定部と、を備え、
    前記指示値導出部は、前記判定処理では、前記下限過給圧関係から定まる吸入空気量の検出値に応じた前記過給圧下限値と、前記下限側オフセット値との和を判定下限過給圧とした場合、過給圧の検出値が前記判定下限過給圧以下であるときに前記過給圧目標値が前記過給圧判定値未満であるとの判定をなすようになっており、
    前記下限側オフセット値設定部は、前記境界関係から定まる前記吸入空気量の検出値に応じた前記過給圧判定値が高いほど大きい値を前記下限側オフセット値として設定する
    請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記指示値導出部は、前記判定処理で前記過給圧目標値が前記過給圧判定値未満であるとの判定をなしていなくても過給圧の検出値が判定上限過給圧よりも高いときには、前記フィードバック制御を実施することなく前記駆動力指示値を導出するものであり、
    前記判定上限過給圧として、吸入空気量が多いほど大きい値が設定される
    請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
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