JP2017089581A - 排気再循環制御方法及び排気再循環制御装置 - Google Patents

排気再循環制御方法及び排気再循環制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】EGR制御を開始または停止する際に、EGR率の急峻な変化を抑制する。【解決手段】ターボ過給機4と、排気通路3と吸気通路2のターボ過給機4のコンプレッサ4Aより上流とを連通する排気再循環通路9と、排気再循環通路9に配置された排気再循環量制御弁10と、吸気通路2の新気ガスと排気ガスとの合流部よりも上流に配置された差圧生成弁12とを備える内燃機関1の排気再循環制御方法において、排気再循環率を変更する場合に、いずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させる。【選択図】図5

Description

本発明は、ターボ過給機と排気再循環システムとを備える内燃エンジンの排気再循環制御に関する。
ノッキング防止や、ポンピングロスの低減による燃費向上等の効果を得るために、排気ガスの一部を吸気通路に再循環させる排気再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)装置が知られている。そして、特許文献1には、ターボ過給機付き内燃機関に適用するEGR装置として、ターボ過給機のコンプレッサよりも上流側の吸気通路に排気ガスの一部(以下、EGRガスともいう)を再循環させる低圧ループEGR装置が開示されている。
この低圧ループEGR装置は、吸気量が少ない運転領域においても吸気通路と排気通路との差圧を確保するための差圧生成弁を備える。そして、吸気量が少ない運転領域では、差圧生成弁を閉じ側に制御した状態で、EGRガス量を調整するEGR弁を開閉する制御が行われる。つまり、差圧生成弁で差圧を生成し、EGRガス量はEGR弁によって調整している。また、上記文献では、EGR率を所定変化量以上に変化させる場合には、差圧生成弁及びEGR弁の作動開始順序を決めて制御している。
特開2012−7547号公報
ところで、EGR率が変化する場合には、点火タイミングもEGR率に応じて変更される。このとき点火タイミングは、EGR率が現在のEGR率から新たな目標EGR率まで一定の変化率で変化することを想定して、一定の変化率で変更されるのが一般的である。
しかしながら、上記文献のように差圧生成弁及びEGR弁を開閉させると、EGR率の急峻な変化を招く場合がある。例えば、EGR弁が開動作しているときに差圧生成弁が閉動作を開始する場合である。そして、点火タイミングの変化速度に比べてEGR率の変化速度が急峻になると、実際のEGR率に対して適正な点火タイミングとはならずに燃焼安定性が悪化し、ひいては運転性の悪化を招来することになる。
そこで本発明では、燃焼安定性を悪化させることなくEGR率を変化させることを目的とする。
本発明のある態様によれば、ターボ過給機と、排気通路と吸気通路の前記ターボ過給機のコンプレッサより上流とを連通する排気再循環通路と、排気再循環通路に配置された排気再循環量制御弁と、吸気通路の新気ガスと排気ガスとの合流部よりも上流に配置された差圧生成弁とを備える内燃機関の排気再循環制御方法が提供される。この排気再循環制御方法では、排気再循環を停止する場合または排気再循環を開始する場合、つまり排気再循環率を変更する場合に、排気再循環量制御弁または差圧生成弁のいずれか一方の弁を先に作動させ、いずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させることを特徴とする。
上記態様によれば、排気再循環量制御弁または差圧生成弁のいずれか一方の弁を先に作動させ、いずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させるので、両方の弁が同時に作動することがない。例えば、差圧生成弁の作動中に排気再循環量制御弁が作動開始することや、両方の弁が作動している状態から差圧生成弁だけが停止することがない。
したがって、現在のEGR率から目標とするEGR率になるまでの間に、EGR率が急峻に変化する期間が生じることがなくなる。その結果、燃焼安定性を悪化させることなくEGR率を変化させることができる。
図1は、内燃機関システムの概略構成図である。 図2は、運転領域毎のEGR率を示すEGRマップである。 図3は、EGR率の変化の履歴を説明する為の図である。 図4は、第1実施形態のEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。 図5は、第1実施形態のEGR制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。 図6は、第2実施形態のEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。 図7は、第2実施形態のEGR制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。 図8は、第3実施形態のEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。 図9は、第3実施形態のEGR制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。 図10は、第4実施形態のEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。 図11は、第4実施形態のEGR制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態を適用するシステムの概略構成図である。
内燃機関1の吸気通路2には、吸気流れの上流側から順に、差圧生成弁12と、ターボ過給機4のコンプレッサ4Aと、エンジン負荷を調整するためのスロットル弁5と、が配置されている。差圧生成弁12及びスロットル弁5は、電動モータにより開閉駆動される弁であり、後述するコントローラ100により制御される。図1は、差圧生成弁12及びスロットル弁5としてバタフライ弁を示しているが、他の方式の弁であっても構わない。
内燃機関1の排気通路3には、排気流れの上流側から順に、ターボ過給機4のタービン4Bと、排気浄化触媒6と、が配置されている。排気浄化触媒6は、例えば三元触媒とする。
内燃機関1は、排気通路3のタービン4Bより上流と下流とを連通するバイパス通路7を備える。バイパス通路7には、バイパス通路7を開閉するウェイストゲートバルブ8が配置されている。ウェイストゲートバルブ8は電動モータにより開閉駆動される弁であり、後述するコントローラ100により制御される。ウェイストゲートバルブ8が開弁すると、排気の一部がタービン4Bを迂回して流れる。したがって、ウェイストゲートバルブ8の開度を制御することにより、過給圧を調整することができる。つまり、過給圧が大気圧を超えてスロットル弁5では吸気量を制御できない運転領域では、ウェイストゲートバルブ8でエンジン負荷を制御することとなる。
なお、図1は、ウェイストゲートバルブ8としてスイングバルブを示しているが、他の方式の弁であってもかまわない。
また、当該システムは、排気ガスの一部を吸気通路2に再循環させるためのEGR装置を備える。以下、再循環させる排気ガスをEGRガスという。
EGR装置は、排気浄化触媒6より下流の排気通路3Aと、コンプレッサ4Aより上流の吸気通路2と、を連通するEGR通路9と、EGR通路9を開閉するEGR弁10と、EGR通路9を通過する排気ガスを冷却するEGRクーラ11と、を含んで構成される。すなわち、いわゆる低圧ループEGR装置である。EGR弁10は電動モータにより開閉駆動される弁であり、後述するコントローラ100により制御される。図1は、EGR弁10がバタフライ弁の場合を示しているが、他の方式の弁であっても構わない。EGRクーラ11は空冷式または液冷式のいずれであっても構わない。
内燃機関1は、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングを変更するための可変動弁機構13を備える。可変動弁機構13としては、公知の機構を適用すればよく、例えば、吸気カムシャフトのクランクシャフトに対する回転位相を変更する機構を用いる。
コントローラ100は、図示しないクランク角センサ、アクセル開度センサ、吸気圧センサ、エアフローメータ等の検出値に基づいて、燃料噴射量、燃料噴射タイミング、点火タイミング、EGR率等を設定する。そして、これらに基づいてコントローラ100は、差圧生成弁12、スロットル弁5、EGR弁10、ウェイストゲートバルブ8を開閉制御したり、可変動弁機構13をさせてバルブタイミングを制御したりする。
なお、コントローラ100は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ100を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
次に、排気再循環制御(以下、EGR制御ともいう)について説明する。
図2は、EGR制御を実行する運転領域及びEGR率を示すEGRマップである。図2の横軸はエンジン回転速度、縦軸はエンジン負荷である。EGR率とは、新気ガスに対するEGRガスの割合である。
図中のEGR領域がEGR制御を実行する領域である。EGR領域はEGR率に応じてE1、E2及びE3の3つの領域に分割されている。EGR率は、低回転速度低負荷になるほど高く設定されている。例えば、領域E1が10%、領域E2が15%、領域E3が20%とする。
領域E3の実線A1−A3は、差圧生成弁12の等開度線である。実線A1の開度をSA1、実線A2の開度をSA2、実線A3の開度をSA3とする。開度の大きさは、SA1>SA2>SA3である。低圧ループEGR装置では、吸気通路2のEGRガスを導入する部分がほぼ大気圧なので、EGR弁10の吸気側と排気側との差圧(以下、前後差圧ともいう)が、スロットル弁5より下流の負圧部分にEGRガスを導入する従来のEGR装置(高圧ループEGR装置)に比べて小さい。特に、低回転速度低負荷領域では排気流量が少ないために排気通路の圧力が高まらないので、EGR弁10の前後差圧が小さくなる。そこで、吸気量が少なくなるほど差圧生成弁12を閉方向に大きく制御することで、差圧生成弁12より下流の圧力を低下させて、EGR弁10の前後差圧を確保する。
なお、実線A3は、差圧生成弁12を閉じ側に制御しても影響を受けない上限の新気量の等新気量線と一致する。低回転速度低負荷領域のように吸気量が少ない領域では、差圧生成弁12を閉じ側に制御しても新気量には影響がないが、吸気量が多くなると差圧生成弁12においてポンピングロスが発生し、新気量が低減してしまう。そこで、差圧生成弁12を閉じ側に制御しても影響がない上限の新気量を超える領域E2、E1では差圧生成弁12を全開にする。つまり、差圧生成弁12は差圧を生成する機能のみを有し、差圧生成弁12の開閉によって負荷が変化することはない。
領域E1、E2では、差圧生成弁12は全開の状態に制御される。これは、排気通路の圧力が高まり、差圧生成弁12が全開であってもEGR弁10の前後差圧が十分に発達するからである。
コントローラ100は、運転状態としてのエンジン回転速度とエンジン負荷とを読み込み、図2のマップを参照することで目標EGR率及び差圧生成弁12の目標開度を設定する。そしてコントローラ100は、目標EGR率に基づいてEGR弁10の目標開口面積を設定し、その開口面積になるように開度を制御する。エンジン回転速度は図示しないクランク角センサの検出値から算出する。エンジン負荷は図示しないエアフローメータの検出値から算出してもよいし、図示しないアクセル開度センサの検出値から算出してもよい。
なお、後述するEGR率が変化する過渡状態を除き、EGR率はEGR弁10の開度によって制御される。差圧生成弁12は、EGR率がEGR弁10の開度に応じて変化する環境を作りだしているのであって、EGR率を直接的に制御するわけではない。
図3は、運転点が領域E3の実線A1上の点からEGR領域外へ移動する場合、つまり、EGR制御を停止する場合、のEGR率の変化の様子を説明するための図である。図3の横軸はEGR弁(EGR/V)10の開口面積、縦軸はEGR率を示している。また、図3の破線は、それぞれ差圧生成弁(ADM/V)12の開度を示している。
運転点が領域E3からEGR領域外に移動すると、EGR率はRegr3から0%へ変化し、EGR/V開口面積はSegr3から0へ変化し、差圧生成弁12の開度はSA1から全開に変化する。
このとき、差圧生成弁12とEGR弁10とを協調させることなくそれぞれの目標開度に向けて作動させると、EGR率が急峻に低下するおそれがある。図3の履歴L2は、差圧生成弁12が全開になるまでの時間が、EGR弁10が全閉になるまでの時間よりも短く、差圧生成弁12とEGR弁10とを同時に作動開始した場合のEGR率の履歴である。この場合には、差圧生成弁12とEGR弁10の両方が作動している間はEGR率が急峻に低下する。運転状態が変化した場合には点火タイミングも変更されるが、変化の過渡における点火タイミングは、一般的には図3中の点E3から0まで一定の変化率で変化すること(図3の履歴L1)を想定して設定される。したがって、履歴L2のようにEGR率が急峻に変化する部分が含まれる履歴で変化すると、燃焼安定性が悪化し、ひいては運転性の悪化を招来するおそれがある。例えば履歴L2では、実際のEGR率が想定しているEGR率より低い状況が生じる。この状況において、履歴L1に基づいて、つまり、より多くのEGRガスが導入されているという前提で設定された点火タイミングで点火すると、ノッキングが発生するおそれがある。
そこで本実施形態では、下記の制御によってEGR率を履歴L1のように変化させる。
図4は、運転点がEGR領域内からEGR領域外へと移動する場合にコントローラ100が実行するEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。この制御ルーチンは、例えば10ミリ秒程度の短い間隔で繰り返し実行される。
本制御ルーチンは、EGR率が上述した履歴L1で変化するように差圧生成弁12とEGR弁10とを制御するものである。以下、フローチャートのステップにしたがって説明する。
ステップS100で、コントローラ100はエンジン回転速度及びエンジン負荷を用いて図2に示すマップを検索することにより目標EGR率を算出する。なお、エンジン負荷は、吸入空気量またはアクセル開度等に基づいて取得する。
ステップS110で、コントローラ100は目標EGR率が0%か否かを判定する。目標EGR率が0%の場合はステップS120の処理を実行し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
なお、本制御ルーチンは運転点がEGR領域内からEGR領域外へと移動する場合に特化したものなので、目標EGR率が0%でない場合は他の制御ルーチンを実行することとなる。例えば、実EGR率の急峻な変化を抑制するようにEGR弁10と差圧生成弁12とを協調制御する。
ステップS120で、コントローラ100は目標EGR率に応じたEGR弁10の目標開度(目標EGR/V開度)を設定し、目標EGR/V開度に応じた開度指示(EGR/V開度)をEGR弁10に送ってEGR弁10を作動させる。
ステップS130で、コントローラ100は実際のEGR弁10の開度(実EGR/V開度)が目標EGR/V開度と一致するか否かを判定する。一致する場合はステップS140の処理を実行し、一致しない場合は今回のルーチンを終了する。
ステップS140で、コントローラ100は、移動後の運転点における差圧生成弁12の開度(目標ADM/V開度)を設定する。なお、本ルーチンでステップS140を実行するのは、目標EGR率が0%になる場合なので、目標ADM/V開度は全開になる。
ステップS150で、コントローラ100は差圧生成弁12に目標ADM/V開度に応じた作動速度の指示(ADM/V開度指示)を送って差圧生成弁12を作動させる。ここでは、既にEGR弁10が全閉になっており、差圧生成弁12の開度変化はEGR率に影響を及ぼさないので、差圧生成弁12の作動速度はどのような値であってもかまわない。
上述したように、本制御ルーチンでは、まずEGR弁10を作動させ、EGR弁10が全閉になったら差圧生成弁12を作動させて全開にする。
図5は、運転点が図2における領域E3からEGR領域外へ移動する場合に、図4の制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。図中の実線は本実施形態の制御ルーチンを実行した場合を示している。また、図中には、比較例として差圧生成弁12とEGR弁10とを互いに独立して同時に作動開始させた場合について破線で示している。
比較例の場合には、タイミングT1で差圧生成弁12とEGR弁10とが同時に作動開始し、差圧生成弁12はタイミングT2で全開になり、EGR弁10はタイミングT3で全閉になっている。その結果、タイミングT1からタイミングT2までは、タイミングT2からタイミングT3までに比べてEGR率の変化が急峻になっている。
これに対して本実施形態の制御ルーチンを実行した場合には、タイミングT1において、まずEGR弁10が閉動作を開始する。そして、タイミングT3でEGR弁10が全閉になってから、差圧生成弁12が開動作を開始して全開になる。差圧生成弁12の開度が一定のままEGR弁10を開動作させると、図3において開度SA1の破線に沿ってEGR率が変化することとなる。そして、EGR弁10が全閉になればEGR率は0%になるので、その後に差圧生成弁12を閉動作させてもEGR率は変化しない。その結果、EGR率は図5に示すように一定の変化速度で減少することとなり、EGR率の履歴は図3における履歴L1となる。
以上のように本実施形態では、EGR制御(排気再循環)を停止する場合に、EGR制御弁10または差圧生成弁12のいずれか一方の弁を先に作動させ、いずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させる。より具体的には、先にEGR弁10の閉動作を開始させ、EGR弁10の閉動作が完了してから差圧生成弁12の開動作を開始させる。これにより、差圧生成弁12の開動作はEGR率の低下に影響を及ぼさない。よって、EGR率の制御性が高まり、かつ、EGR率の急峻な低下を抑制できる。
[第2実施形態]
本実施形態は、運転点がEGR領域外からEGR領域内に移動する場合、つまりEGR制御を開始する場合、を対象とする点が第1実施形態と異なる。
第1実施形態とは反対に、運転点がEGR領域外(EGR率=0%)から、EGR領域内の領域E3へ移動する場合を考える。この場合、差圧生成弁12とEGR弁10とを協調させることなくそれぞれの目標開度に向けて作動させると、差圧生成弁12とEGR弁10の両方が作動している間はEGR率が急峻に上昇し、燃焼安定度が低下するおそれがある。そこで本実施形態では、次に説明する制御ルーチンを実行することによって、EGR率の急峻な変化を抑制する。
図6は、本実施形態においてコントローラ100が実行するEGR制御ルーチンを示すフローチャートである。この制御ルーチンは、例えば10ミリ秒程度の短い間隔で繰り返し実行される。
ステップS200で、コントローラ100は図4のステップS100と同様に目標EGR率を算出する。
ステップS210で、コントローラ100は本ルーチン開始時の実EGR率が0%か否かを判定し、0%の場合はステップS220の処理を実行し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
ステップS220で、コントローラ100は目標EGR率に応じた差圧生成弁12の開度(目標ADM/V開度)を算出し、差圧生成弁12に目標ADM/V開度に応じたADM/V開度指示を送って差圧生成弁12を作動させる。目標ADM/V開度は、例えば、目標EGR率との関係を予めマップ化しておき、これを検索する。
ステップS230で、コントローラ100は、実際の差圧生成弁12の開度(実ADM/V開度)が目標ADM/V開度と等しいか否かを判定し、等しい場合はステップS240の処理を実行し、等しくない場合は今回のルーチンを終了する。
ステップS240で、コントローラ100は目標EGR率に応じたEGR弁10の開度(目標EGR/V開度)を演算する。
ステップS250で、コントローラ100は目標EGR/V開度に応じた作動速度の指示(EGR/V開度指示)をEGR弁10に送ってEGR弁10を作動させる。ここでは、EGR率が一定速度で変化するようにEGR/V開度指示を設定する。
上述したように、本制御ルーチンでは、まず差圧生成弁12を閉動作させ、差圧生成弁12が目標開度になったらEGR弁10を開動作させる。
図7は、運転点が図2におけるEGR領域外から領域E3へ移動する場合に、図6の制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。図中の実線は本実施形態の制御ルーチンを実行した場合を示している。また、図中には、比較例として差圧生成弁12とEGR弁10とを互いに独立して同時に作動開始させた場合について破線で示している。
比較例の場合には、タイミングT1で差圧生成弁12とEGR弁10とが同時に作動開始し、差圧生成弁12はタイミングT2で開度SA1になり、EGR弁10はタイミングT3で開度B1になっている。その結果、タイミングT1からタイミングT2までは、タイミングT2からタイミングT3までに比べてEGR率の変化が急峻になっている。
これに対して本実施形態の制御ルーチンを実行した場合には、タイミングT1で目標とする運転点がEGR領域外からEGR領域E3に切り替わると、まず全開状態の差圧生成弁12が閉動作を開始する。そして、タイミングT2で差圧生成弁12が開度SA1になってから、EGR弁10が全閉から目標EGR/V開度(B1)まで作動する。この制御ルーチンについて図3を用いて説明すると、EGR弁10が全閉のまま差圧生成弁12を閉動作させることで、EGR弁10を作動させた場合のEGR率の変化の履歴が、全開時の破線から開度SA1の破線に切り替わる。その次に、EGR弁10を開動作させることでEGR率が開度SA1の破線に沿って増大する。その結果、EGR率は図7に示すように一定の変化速度で増大することとなる。
以上のように本実施形態では、EGR制御(排気再循環)を開始する場合に、EGR制御弁10または差圧生成弁12のいずれか一方の弁を先に作動させ、いずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させる。より具体的には、先に差圧生成弁12の閉動作を開始させ、差圧生成弁12の閉動作が完了してからEGR弁10の開動作を開始させる。これにより、差圧生成弁12の閉動作はEGR率の上昇に影響を及ぼさない。よって、EGR率の制御性が高まり、かつEGR率の急峻な上昇を抑制できる。
[第3実施形態]
本実施形態は、運転点がEGR領域内からEGR領域外に移動する点では第1実施形態と同じであるが、差圧生成弁12とEGR弁10とを作動させる順序が第1実施形態とは逆である。
図3において、点E3からEGR弁10を固定したまま差圧生成弁12を開度SA1から全開まで作動させると、EGR率は図中で垂直に低下する。そして、差圧生成弁12が全開になった後にEGR弁10を開度Segr3から全閉まで作動させると、EGR率は全開時の破線に沿って低下する。つまり、図3におけるEGR率の履歴は、差圧生成弁12の開動作にともなって急峻に低下してから、EGR弁10の閉動作にともなって徐々に低下することになる。しかし、後述するように差圧生成弁12及びEGR弁10の作動速度を適切に設定することで、時間軸で見た場合にEGR率が一定速度で変化するような履歴にすることができる。
図8は、本実施形態でコントローラ100が実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。ステップS300、S310は、図4のステップS100、S110と同様なので説明を省略する。
ステップS312で、コントローラ100はEGR率履歴を設定する。EGR率履歴は、例えば、EGR率が一定速度で低下するような履歴とする。この場合、差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度と、EGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度とが同じになる。
ステップS314で、コントローラ100は、EGR率履歴から定まる今回のルーチンにおける目標EGR率と、図中に示したような、EGR率と差圧生成弁12の開口面積(ADM/V開口面積)との関係を示すテーブルとから、ADM/V開口面積を算出する。
ステップS320で、コントローラ100は、ステップS314で算出したADM/V開口面積に応じたADM/V開度指示を差圧生成弁12に送り、差圧生成弁12を作動させる。
ステップS330でコントローラ100は、現在の差圧生成弁12の開度(実ADM/V開度)が、ステップS300で設定した目標EGR率に応じた差圧生成弁12の開度(目標ADM/V開度)になっているか否かを判定する。なっている場合はステップS340の処理を実行し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
ステップS340でコントローラ100は、EGR弁10にEGR/V開度指示を送ってEGR弁10を作動させる。ここでは、EGR率がステップS312で設定したEGR率履歴の通りに変化するようなEGR/V開度指示を送る。
上述したように、本制御ルーチンでは、まず差圧生成弁12を開動作させ、差圧生成弁12が全開になったらEGR弁10を閉動作させて全閉にする。そして、差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度と、EGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度とが同等になるよう制御される。
図9は、運転点が図2における領域E3からEGR領域外へ移動する場合に、図8の制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。図中の実線は本実施形態の制御ルーチンを実行した場合を示している。また、図中には、比較例として差圧生成弁12とEGR弁10とを互いに独立して同時に作動開始させた場合について破線で示している。
比較例については図5と同様なので説明を省略する。
本実施形態では、タイミングT1でまず差圧生成弁12が開動作を開始する。そして、タイミングT3で差圧生成弁12が全開になったら、EGR弁10が閉動作を開始し、EGR弁10がタイミングT4で全閉になる。差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度と、EGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度とが同等になるよう制御されるので、図示するように、EGR率はタイミングT1からT4まで一定の速度で低下する。
なお、本実施形態ではEGR率を一定速度で低下させるために、差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度と、EGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度とが同等になるよう制御しているが、これに限られるわけではない。上述した運転性の悪化が生じない範囲であれば、EGR率の低下速度が途中で変化しても構わない。つまり、差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度と、EGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度とに差があってもかまわない。どの程度の差まで許容されるかは内燃機関1の仕様や各配管の構成等により異なるので、適合により定めることとする。
また、EGR弁10の作動範囲がシャフトの回転角度で0°〜90°であるのに対し、差圧生成弁12の作動範囲は上述したように負荷に影響を与えない範囲であり、EGR弁10の作用範囲よりも小さい。このため、同じ速度で作動させた場合における現在の開度から目標開度までの到達時間は、差圧生成弁12の方がEGR弁10よりも短くなる。つまり、両弁の作動速度を同じにすると、差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度はEGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度よりも速くなる。したがって、本実施形態の制御は、差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度がEGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度を超えないように、差圧生成弁12の開動作の速度を制限している、と表現することもできる。
以上のように本実施形態では、EGR制御(排気再循環)を停止する場合に、EGR制御弁10または差圧生成弁12のいずれか一方の弁を先に作動させ、いずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させる。より具体的には、EGR制御を停止する場合に、先に差圧生成弁12の開動作を開始させ、差圧生成弁12の開動作が完了してからEGR弁10の閉動作を開始させるとともに、差圧生成弁12の開動作速度を、差圧生成弁12の開動作によるEGR率の低下速度がEGR弁10の閉動作によるEGR率の低下速度を超えないように制限する。上記のように差圧生成弁12の開動作速度を制限することにより、EGR率の急峻な低下を抑制できる。
[第4実施形態]
本実施形態は、運転点がEGR領域外からEGR領域内に移動する点では第2実施形態と同様であるが、差圧生成弁12とEGR弁10とを作動させる順序が第2実施形態とは逆である。
運転点がEGR領域外(EGR率=0%)から、EGR領域内の領域E3へ移動する場合に、EGR弁10が目標開度になってから差圧生成弁12を閉動作させると、図3においては差圧生成弁12の閉動作にともなってEGR率が図中で垂直に上昇する。つまり、図3におけるEGR率の履歴は、EGR弁10の閉動作にともなって上昇した後、EGR弁10の開動作にともなって急峻に上昇することになる。しかし、後述するように差圧生成弁12及びEGR弁10の作動速度を適切に設定することで、時間軸で見た場合にEGR率が一定速度で変化するような履歴にすることができる。
図10は、本実施形態でコントローラ100が実行する制御ルーチンを示すフローチャートである。ステップS400、S410は、図6のステップS200、S210と同様なので説明を省略する。
ステップS412で、コントローラ100はEGR率履歴を設定する。EGR率履歴は、例えば、EGR率が一定速度で上昇するような履歴とする。この場合、差圧生成弁12の閉動作によるEGR率の上昇速度と、EGR弁10の開動作によるEGR率の上昇速度とが同じになる。
ステップS414で、コントローラ100はEGR率履歴から定まる今回のルーチンにおける目標EGR率と、図中に示したような、EGR率とEGR弁10の開口面積(EGR/V開口面積)との関係を示すテーブルとから、EGR/V開口面積を算出する。
ステップS420で、コントローラ100は、ステップS414で算出したEGR/V開口面積に応じたEGR/V開度指示をEGR弁10に送り、EGR弁10を作動させる。
ステップS340でコントローラ100は、現在のEGR弁10の開度(実EGR/V開度)が、ステップS400で設定した目標EGR率に応じたEGR弁10の開度(目標EGR/V開度)になっているか否かを判定する。なっている場合はステップS440の処理を実行し、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
ステップS440でコントローラ100は、差圧生成弁12にADM/V開度指示を送って差圧生成弁12を作動させる。ここでは、EGR率がステップS412で設定したEGR率履歴の通りに変化するようなADM/V開度指示を送る。
上述したように、本制御ルーチンでは、まずEGR弁10を開動作させ、EGR弁10が目標EGR/V開度(B1)になったら差圧生成弁12を閉動作させる。そして、差圧生成弁12の閉動作によるEGR率の上昇速度と、EGR弁10の開動作によるEGR率の上昇速度とが同等になるよう制御される。
図11は、運転点が図2におけるEGR領域外から領域E3へ移動する場合に、図10の制御ルーチンを実行した場合のタイミングチャートである。図中の実線は本実施形態の制御ルーチンを実行した場合を示している。また、図中には、比較例として差圧生成弁12とEGR弁10とを互いに独立して同時に作動開始させた場合について破線で示している。
比較例については図7と同様なので説明を省略する。
本実施形態では、タイミングT1でまずEGR弁10が開動作を開始する。そして、タイミングT2でEGR弁10が目標EGR/V開度(B1)になったら、差圧生成弁12が閉動作を開始し、差圧生成弁12がタイミングT3で開度SA1になる。差圧生成弁12の閉動作によるEGR率の上昇速度と、EGR弁10の開動作によるEGR率の上昇速度とが同等になるよう制御されるので、図示するようにEGR率はタイミングT1からT3まで一定の速度で上昇する。
なお、EGR率の上昇速度は運転性の悪化を生じない範囲で変化しても構わない点については第3実施形態と同様である。また、本実施形態の制御は、差圧生成弁12の閉動作によるEGR率の上昇速度がEGR弁10の開動作によるEGR率の上昇速度を超えないように、差圧生成弁12の閉動作の速度を制限していると表現することもできる。
以上のように本実施形態では、EGR制御(排気再循環)を開始する場合に、EGR制御弁10または差圧生成弁12のいずれか一方の弁を先に作動させ、いずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させる。より具体的には、EGR制御を開始する場合に、先にEGR弁10の開動作を開始させ、EGR弁10の開動作が完了してから差圧生成弁12の閉動作を開始させるとともに、差圧生成弁12の閉動作速度を、差圧生成弁12の閉動作によるEGR率の上昇速度がEGR弁10の開動作によるEGR率の上昇速度を超えないように制限する。上記のように差圧生成弁12の閉動作速度を制限することにより、EGR率の急峻な上昇を抑制できる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 内燃機関
2 吸気通路
3 排気通路
4 ターボ過給機
5 スロットル弁
10 EGR弁(排気再循環量制御弁)
12 差圧生成弁
100 コントローラ

Claims (6)

  1. ターボ過給機と、
    排気通路と吸気通路の前記ターボ過給機のコンプレッサより上流とを連通する排気再循環通路と、
    前記排気再循環通路に配置された排気再循環量制御弁と、
    前記吸気通路の新気ガスと排気ガスとの合流部よりも上流に配置された差圧生成弁と、
    を備える内燃機関の排気再循環制御方法において、
    排気再循環率を変更する場合に、
    前記排気再循環量制御弁または前記差圧生成弁のいずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させることを特徴とする排気再循環制御方法。
  2. 請求項1に記載の排気再循環制御方法において、
    前記排気再循環を停止する場合に、先に前記排気再循環量制御弁の閉動作を開始させ、前記排気再循環量制御弁の閉動作が完了してから前記差圧生成弁の開動作を開始させる排気再循環制御方法。
  3. 請求項1に記載の排気再循環制御方法において、
    前記排気再循環を開始する場合に、先に前記差圧生成弁の閉動作を開始させ、前記差圧生成弁の閉動作が完了してから前記排気再循環量制御弁の開動作を開始させる排気再循環制御方法。
  4. 請求項1に記載の排気再循環制御方法において、
    前記排気再循環を停止する場合に、先に前記差圧生成弁の開動作を開始させ、前記差圧生成弁の開動作が完了してから前記排気再循環量制御弁の閉動作を開始させるとともに、
    前記差圧生成弁の開動作速度を、前記差圧生成弁の開動作による排気再循環率の低下速度が前記排気再循環量制御弁の閉動作による排気再循環率の低下速度を超えないように制限する排気再循環制御方法。
  5. 請求項1に記載の排気再循環制御方法において、
    前記排気再循環を開始する場合に、先に前記排気再循環量制御弁の開動作を開始させ、前記排気再循環量制御弁の開動作が完了してから前記差圧生成弁の閉動作を開始させるとともに、
    前記差圧生成弁の閉動作速度を、前記差圧生成弁の閉動作による排気再循環率の上昇速度が前記排気再循環量制御弁の開動作による排気再循環率の上昇速度を超えないように制限する排気再循環制御方法。
  6. ターボ過給機と、
    排気通路と吸気通路の前記ターボ過給機のコンプレッサより上流とを連通する排気再循環通路と、
    前記排気再循環通路に配置された排気再循環量制御弁と、
    前記吸気通路の新気ガスと排気ガスとの合流部よりも上流に配置された差圧生成弁と、
    を備える内燃機関の排気再循環制御装置において、
    排気再循環率を変更する場合に、前記排気再循環量制御弁または前記差圧生成弁のいずれか一方の弁の動作が完了してからいずれか他方を作動させる制御部を備えることを特徴とする排気再循環制御装置。
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