JP7206664B2 - 包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、内容物を収納した状態で電子レンジで加熱することのできる包装袋において、過加熱によるピンホールの発生の少ない包装袋に関する。
従来、軟包装袋に食品を収納した後、レトルト殺菌処理を施して長期保存を可能としたレトルト食品が広く普及している。層構成中にアルミニウム箔を用いた軟包装袋は、袋のまま電子レンジで加熱することができないため、袋ごと湯煎するか、あるいは一旦開封して内容物を他の容器に移してから電子レンジで加熱する必要があった。
しかし近年アルミニウム箔を用いないで、長期保存性を担保出来る包装袋が実用化されたため、包装袋のまま電子レンジで加熱する調理方法が一般的になりつつある。
合成樹脂フィルム等を用いた軟包装材料を用いて作成された包装袋に内容物を収納し、開封することなく、そのまま電子レンジで加熱調理することのできる包装体が提案されている。特許文献1に記載された自動調圧機能を有する包装用袋は、電子レンジ等による加熱に際し袋内が所定の内圧に達したときに、袋の特定の部位から袋内の圧力を確実に自動的に逃がすことができ、かつ製造工程的にも有利な自動調圧機能を有する包装用袋である。
特許文献1に記載された包装用袋は、基材フィルム(1a)/シーラント層(1b)の層構成を有する第1フィルムと基材フィルム(2a)/シーラント層(2b)/シーラント層(2c)の層構成を有する第2フィルムとが、シーラント層1b、2cが対向するように配置された状態でヒートシールされた構造の袋であり、第2フィルムには、基材フィルム(2a)/シーラント層(2b)の層構成の部分のみを貫通して厚み方向に打抜きまたは切り込みによる小開口が設けられていることを特徴とする包装袋である。
特許文献1に記載された包装袋は、理想的な加熱条件下においては、その機能を十分に発揮するものであるが、加熱時間設定ミスや、部分的な加熱むらによって過加熱が生じた場合に、包装袋の一部が溶融してピンホールが発生する危険性を孕んでいた。
この過加熱によるピンホールを防ぐ手段としては、包装袋を2重にして中間に空気層を設けることにより、空気層の断熱効果によって包装袋の溶融が防止できることは、以前から知られていた。しかし包装袋を2重にすることは、材料コストや製造コストの上昇が避けられず、好ましい手段とは言えないものである。
特許第3942709号公報 特開2017-159912号公報
本発明の解決しようとする課題は、そのまま電子レンジで加熱した場合に、発生した水蒸気を自動的に逃がす通蒸機能を有する包装袋において、過加熱によるピンホールが発生し難い包装袋を提案するものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体と裏面積層体のシーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして収納部を形成してなる包装袋であって、前記収納部を形成する表面積層体には、加熱によって発生した水蒸気によって包装袋の内圧が高まった時に自動的に水蒸気を開放するための通蒸機構を有し、該通蒸機構は、サイドシール部から張り出した突起状のシール部を形成し、該突起状シール部内の表面積層体に全貫通孔または半貫通孔の蒸気抜き孔を設けたものであり、前記表面積層体および裏面積層体の、周縁シール部および前記突起状シール部を除く部分の、前記基材層とシーラント層の間に、電子レンジ加熱によって発泡する発泡インキ層を設けた包装袋であり、
前記表面積層体および裏面積層体の、周縁シール部および前記突起状シール部を除く部分の、基材層と前記発泡インキ層の間、またはシーラント層と発泡インキ層の間に、マイクロ波によって発熱するマイクロ波発熱インキ層を設けたことを特徴とする包装袋である
本発明に係る包装袋は、基材層とシーラント層の間に部分的に発泡インキ層を設けたことにより、電子レンジで加熱された際、この発泡インキ層が発泡して発泡層を生じる。このため、過加熱が生じた場合であっても、この発泡層が断熱効果を発揮して、積層体の溶融によるピンホールの発生を未然に防止する。
また、請求項2に記載の発明は、表面積層体および裏面積層体を構成する基材層が、水蒸気および酸素の透過を抑制するガスバリア層を含むことを特徴とする請求項1に記載の包装袋である。
本発明に係る包装袋は、電子レンジで加熱した際に発生する水蒸気を逃がすための通蒸機構を収納部に備えているため、包装袋のまま電子レンジで加熱調理することができる。
周縁シール部および前記突起状シール部および包装袋の開封位置を除く部分の、前記基材層とシーラント層の間に、電子レンジ加熱によって発泡する発泡インキ層を設けたことにより、電子レンジで加熱した際に、発泡インキが発泡して発泡層を形成し、この発泡層が断熱性を発揮するため、過加熱時においても、ピンホールの発生を未然に防止する。
さらに請求項2に記載の発明のように、周縁シール部および前記突起状シール部および包装袋の開封位置を除く部分の、基材層と発泡インキ層の間、またはシーラント層と発泡インキ層の間に、マイクロ波によって発熱するマイクロ波発熱インキ層を設けた場合には、電子レンジで加熱された際、このマイクロ波発熱インキ層が発熱するため、発泡インキ層の発泡を促進すると共に、マイクロ波発熱インキ自体も蒸発して空隙を生じる。このため、過加熱が生じた場合であっても、発泡層に加えてこの空隙が断熱効果を発揮して、積層体の溶融によるピンホールの発生を未然に防止する効果がさらに高まる。
請求項3に記載の発明のように、表面積層体および裏面積層体を構成する基材層が、水蒸気および酸素の透過を抑制するガスバリア層を含む場合には、包装体の長期保存が可能となり、さまざまな用途に展開出来る。
図1は、本発明に係る包装袋の一実施態様を模式的に示した平面説明図である。 図2は、図1のA-A´断面を模式的に示した断面説明図である。 図3は、本発明に係る包装袋を構成する表面積層体及び裏面積層体の基本的な実施態様における層構成を模式的に示した断面説明図である。 図4は、本発明に係る包装袋を構成する表面積層体及び裏面積層体の他の実施態様における層構成を模式的に示した断面説明図である。 図5は、本発明に係る包装袋を構成する表面積層体及び裏面積層体の他の実施態様における層構成を模式的に示した断面説明図である。
以下図面を参照しながら、本発明に係る包装袋について詳細に説明する。図1は、本発明に係る包装袋1の一実施態様を模式的に示した平面説明図である。また、図2は、図1のA-A´断面を模式的に示した断面説明図である。また、図3は、本発明に係る包装袋を構成する表面積層体2及び裏面積層体3の基本的な実施態様における層構成を模式的に示した断面説明図である。
本発明に係る包装袋1は、基材層15と、シーラント層18を少なくとも有する表面積層体2と裏面積層体3のシーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして収納部8を形成してなる包装袋である。収納部8を形成する表面積層体2には、加熱によって発生した水蒸気によって包装袋の内圧が高まった時に自動的に水蒸気を開放するための通蒸機構11を有し、該通蒸機構は、サイドシール部4、5から張り出した突起状のシール部12を形成し、該突起状シール部12内の表面積層体2に全貫通孔または半貫通孔の蒸気抜き孔13を設けたものである。
表面積層体2および裏面積層体3の、周縁シール部4~7および突起状シール部12および包装袋の開封位置を除く部分の、基材層15とシーラント層18の間に、電子レンジ加熱によって発泡する発泡インキ層16を設けたことを特徴とする。
包装袋1を電子レンジで加熱すると、熱により発泡インキが発泡し、発泡層が形成される。発泡層は、断熱効果を有するので、電子レンジで過剰に加熱した場合に、積層体が溶融してピンホールが発生するのを抑制する効果を発揮する。
このような発泡インキとしては、通常の包装材料用グラビアインキに、発泡剤を添加したものが使用できる。インキのバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂等から選択される。
発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、p、p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等の化学発泡剤の他、マイクロカプセル中に低沸点の炭化水素等を封入したマイクロカプセル発泡剤を使用することができる。
本発明の第2実施形態として、図4に示したように、基材層15と発泡インキ層16の間、またはシーラント層18と発泡インキ層16の間に、マイクロ波によって発熱するマイクロ波発熱インキ層17を設けることができる。
マイクロ波発熱インキ層17は、包装体を電子レンジで加熱した場合、電子レンジの発するマイクロ波によって直接加熱される。発生した熱は隣接する発泡インキ層16に伝わ
るので、発泡インキ層の発泡が促進されることに加えて、マイクロ波発熱インキ層自体も分解してガスを発生するので、基材層15とシーラント層18の間に空隙が生じ、この空隙が断熱性を向上させる。
このようなマイクロ波発熱インキ層17は、特許文献2に記載されたような、導電性有機化合物と樹脂を含むインキ組成物を塗布することによって得られる。導電性有機化合物としては、ポリアニリン類、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリイソチアナフテン類、ポリチエニレンビニレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリアセン類、ポリチアジル類、ポリエチレンビニレン類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリペリナフタレン類、ポリアクリロニトリル類、ポリオキサジアゾール類、ポリインドール類、ポリアズレン類、ポリフラン類、フタロシアニン類およびその誘導体、ポリシラン類、ポリゲルマン類、ポルフィリン類およびその誘導体、グラフェン類またはその誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類、キノン類よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
これら導電性有機化合物に加えて、ハロゲン類、ルイス酸、プロトン酸、有機カルボン酸、遷移金属ハロゲン化物、電解質アニオン、有機シアノ化合物、キノン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミノ酸、核酸、界面活性剤、色素、アルキルアンモニウムイオン、四級ホスホニウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種をドーパントとして含むこともできる。
発泡インキ層16およびマイクロ波発熱インキ層17は、表面積層体2および裏面積層体3の、周縁シール部4、5、6、7および前記突起状シール部12および包装袋の開封位置を除く部分にのみ存在するので、各シール部におけるシール強度の低下や、剥離の問題は生じない。また開封位置にも存在しないので、開封時に積層体の剥離が生じて開封しづらいといった問題も生じない。
収納部8を形成する表面積層体2には、加熱によって発生した水蒸気によって包装袋の内圧が高まった時に自動的に水蒸気を開放するための通蒸機構11を有する。本発明に係る包装袋の通蒸機構11としては、一例として図1に示したような、サイドシール部から張り出した突起状のシール部12を形成し、突起状シール部12内の表面積層体2に全貫通孔または半貫通孔である蒸気抜き孔13を設けたものである。
包装袋に収納された内容物が電子レンジで加熱されて水蒸気が発生すると、収納部8の内圧が高まり、突起状シール部12に応力が集中する。その結果、突起状シール部12のシールが後退して剥離し、蒸気抜き孔13から水蒸気が放出される。
なお、図1に示したような通蒸機構の場合には、表面積層体2に予め蒸気抜き孔13を形成した後に、周縁のシール部や突起状シール部12を形成する。
本発明に係る包装袋1を構成する積層体に用いる基材層15としては、耐熱性や引張強度に優れた各種合成樹脂フィルムが用いられる。具体的には、延伸ポリプロピレン樹脂(OPP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)等の合成樹脂フィルムである。
基材層15には、図5に示したように、水蒸気および酸素の透過を抑制するガスバリア
層19を含むことができる。ガスバリア層19としては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルムや、PETフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層などを用いることができる。特にPETフィルムに蒸着層を設けたガスバリア性フィルムは、そのまま基材層として用いることができる。
シーラント層18としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。
各層の貼り合わせには、接着剤を用いたドライラミネート法や、押出機を用いた押出しラミネート法を用いることができる。以下実施例に基いて、本発明に係る包装袋についてさらに具体的に説明する。
<実施例1>
基材層として、厚さ15μmのナイロンフィルムを使用し、裏面に発泡インキを用いて発泡インキ層を部分的に形成した。シーラント層として厚さ60μmの無延伸PP樹脂フィルム(CPP)を用いた。両者をドライラミネートして積層体とした。表面積層体となるべき積層体には、予め所定の場所に蒸気抜き孔を設けておいた。
<実施例2>
基材層として、厚さ15μmのナイロンフィルムを使用し、裏面にマイクロ波発熱インキを用いてマイクロ波発熱インキ層を部分的に形成し、さらにこれに重ねて発泡インキを用いて発泡インキ層を形成した。シーラント層として厚さ60μmの無延伸PP樹脂フィルム(CPP)を用いた。両者をドライラミネートして積層体とした。表面積層体となるべき積層体には、予め所定の場所に蒸気抜き孔を設けておいた。
これらの積層体を用いて図1に示したような包装袋を作成した。包装袋の寸法は、幅130mm、高さ135mmとした。この包装袋に市販の冷凍ハンバーグとデミグラソース(計170g)を充填し、密封シールした後、電子レンジで加熱して、ピンホールの発生の有無を確認した。加熱条件は、600W3分、4分、5分の3段階で、それぞれn=5として実験した。
<比較例1>
比較例として、実施例1と同様の材料を用いて、発泡インキ層を含まない積層体を作成し、同様に包装袋を作成し、同様に評価した。その結果を表1にまとめた。
Figure 0007206664000001
表1の結果から、本発明の包装袋は、過加熱時のピンホール発生確率が低いことが確認できた。
1・・・包装袋
2・・・表面積層体
3・・・裏面積層体
4、5・・・サイドシール部
6・・・ボトムシール部
7・・・トップシール部
8・・・収納部
9・・・開封ノッチ
11・・・通蒸機構
12・・・突起状シール部
13・・・蒸気抜き孔
15・・・基材層
16・・・発泡インキ層
17・・・マイクロ波発熱インキ層
18・・・シーラント層
19・・・ガスバリア層

Claims (2)

  1. それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体と裏面積層体のシーラント層同士を対向させ、周縁を熱シールして収納部を形成してなる包装袋であって、前記収納部を形成する表面積層体には、加熱によって発生した水蒸気によって包装袋の内圧が高まった時に自動的に水蒸気を開放するための通蒸機構を有し、該通蒸機構は、サイドシール部から張り出した突起状のシール部を形成し、該突起状シール部内の表面積層体に全貫通孔または半貫通孔の蒸気抜き孔を設けたものであり、前記表面積層体および裏面積層体の、周縁シール部および前記突起状シール部を除く部分の、前記基材層とシーラント層の間に、電子レンジ加熱によって発泡する発泡インキ層を設けた包装袋であり、
    前記表面積層体および裏面積層体の、周縁シール部および前記突起状シール部を除く部分の、基材層と前記発泡インキ層の間、またはシーラント層と発泡インキ層の間に、マイクロ波によって発熱するマイクロ波発熱インキ層を設けたことを特徴とする包装袋。
  2. 表面積層体および裏面積層体を構成する基材層が、水蒸気および酸素の透過を抑制するガスバリア層を含むことを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
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