本実施形態のプレス成形品について、図1~図3を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のプレス成形品10は、左右対称で左右方向に長い略長方形板状に形成されており、プレス成形品10の長手方向中間部分には下方に凹んだ凹部11が前後方向に延びるように形成されている。プレス成形品10における凹部11以外の部分は平坦面として形成されている。ここでは、便宜上、プレス成形品10の上下方向、左右方向、前後方向を図1に示す方向で言うものとする。また、図1においてプレス成形品10の上方に位置する面を上面10a、下方に位置する面を下面10bと言うものとする。
図2に示すように、プレス成形品10は、内部に複数のセルSが並設された熱可塑性樹脂製のコア層20と、その上下両面に接合されたスキン層30、40を備えている。スキン層30は、コア層20におけるプレス成形品10の上面10a側でコア層20全体を覆うように接合された熱可塑性樹脂製のシート層である。スキン層30は接着層31を介してコア層20に接合されている。スキン層40は、コア層20におけるプレス成形品10の下面10b側でコア層20全体を覆うように接合された熱可塑性樹脂製のシート層である。スキン層40は接着層41を介してコア層20に接合されている。なお、図1では、接着層31、41の図示を略している。
スキン層30、40の表面(上面10a及び下面10b)には、シボ加工が施されて図示しない微細な凹凸模様が形成されている。本実施形態の微細な凹凸模様は、エッジ形状や湾曲形状が、均一又は不均一に形成されている。これは、後に説明するプレス工程におけるプレス成形用金型(上型71、下型72)の表面の微細な凹凸模様が転写されて形成されたものである。例えば、スキン層30、40の表面に微細な凹凸模様としての湾曲形状が形成されていると、プレス成形品10の表面に対する手触りが良好であり、布などが引っ掛かりにくいといった効果が得られる。なお、本実施形態の微細な凹凸模様は、スキン層30、40の肉厚内で形成されており、コア層20にまでは達していない。
図2及び図3(a)に示すように、コア層20は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。そして、コア層20は、上壁部21と、下壁部22と、上壁部21及び下壁部22の間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側壁部23とで構成されている。以下で説明するように、コア層の上壁部21及び下壁部22は、1層構造と2層構造とが混在した構造とされているが、図1、図2、及び図3(a)では、コア層20の上壁部21及び下壁部22を1層構造で示している。また、図1では、セルSを区画する側壁部23がすべて上下方向に延びるように示されているが、実際には、特に凹部11が形成された部分(斜面状の部分)では、側壁部23が上下方向に対して傾斜する方向に延びたり、やや座屈したりしているものが含まれる。
図3(b)及び図3(c)に示すように、コア層20の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。図3(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部23の上部に2層構造の上壁部21が設けられている。この2層構造の上壁部21の各層は互いに接合されている。また、2層構造の上壁部21には、スキン層30、40接合時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。第1セルS1においては、側壁部23の下部に1層構造の下壁部22が設けられている。
一方、図3(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部23の上部に1層構造の上壁部21が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部23の下部に2層構造の下壁部22が設けられている。この2層構造の下壁部22の各層は互いに接合されている。2層構造の下壁部22には、スキン層30、40接合時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。
また、図3(b)及び図3(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部23によって区画されている。この2層構造の側壁部23は、コア層20の厚み方向中央部に互いに熱溶着されていない部分を有する。したがって、コア層20の各セルSの内部空間は、2層構造の側壁部23の間を介して他のセルSの内部空間に連通している。なお、図3(b)及び図3(c)では、図示されている複数のセルSのうち、最も左側のセルSに代表して符号を付しているが、他のセルSについても同様である。
図3(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されている。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されている。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層20は、全体としてハニカム構造をなしている。
コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂は、従来周知の熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体、アクリル、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。中でもポリプロピレン製であると、後に説明するプレス工程前の加熱工程での加熱温度を比較的低温に設定することができるため、製造効率、製造コストの観点から好ましい。また、ポリプロピレンの場合、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであってもよい。本実施形態のコア層20は、ポリプロピレン製のブロックコポリマーとホモポリマーとを適宜の割合で混合したものを使用している。また、本実施形態のスキン層30、40は、ポリプロピレン製のブロックコポリマーであるエチレン‐プロピレン共重合体を使用している。
また、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂は、後に説明するプレス工程でのドローダウンを抑制する観点から、メルトマスフローレイト(MFR)が所定範囲とされている。スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトは、0.2~3.0g/10minであることが好ましく、0.5~2.0g/10minであることがより好ましく、0.5~1.0g/10minであることがさらに好ましい。スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトがこの範囲であると、後に説明するプレス工程において、コア層20にスキン層30、40が接合されてなる中空板材80が熱溶融してドローダウンしにくい。そのため、プレス工程において、上型71を下型72に接近させて型締めする際に、中空板材80はその形状を維持しながら上型71に押圧され、上型71からの押圧力によって下型72の表面に沿う形状に変形しやすい。
一方、コア層20を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトは特に限定されない。スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトが所定範囲であることにより、中空板材80のドローダウンは好適に抑制される。コア層20を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトは、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトより大きいことが好ましい。
スキン層30、40の厚みは、約0.3mm~1.0mm程度であることが好ましい。また、スキン層30、40に積層された接着層31、41は、本実施形態ではポリプロピレン樹脂と相溶性のある樹脂で構成されている。
図2に示すように、プレス成形品10のすべての端部では、後に説明するプレス工程においてコア層20が変形して圧縮部分20aが形成されており、スキン層30、40はコア層20の圧縮部分20aに向かって曲げられている。そして、スキン層30の端縁32とスキン層40の端縁42は、コア層20の圧縮部分20aを間に挟んで突き合わされた状態とされている。そのため、コア層20の端部では、スキン層30とスキン層40とでコア層20が封止されている。
また、プレス成形品10のすべての端部では、コア層20の端部側1列目のセルS及び端部側2列目のセルSが変形して側壁部23が折り重なったり、溶融して冷却固化された熱可塑性樹脂が塊状となったりしている。一方、端部側3列目のセルSは変形しておらず、その側壁部23は立設状態を維持している。そのため、プレス成形品10の端部では、端面近傍までコア層20のハニカム構造が維持されているとともに、セルSが変形した部分では熱可塑性樹脂の密度が高くなっており、その強度が保持されている。
次に、プレス成形品10を製造する方法を、図4~図6に従って、その作用とともに説明する。プレス成形品10を製造する方法は、熱可塑性樹脂製の第1シート材100を折り畳んでコア層20を形成するコア層形成工程、コア層20及びスキン層30、40を接合して中空板材80を得る接合工程、中空板材80を加熱する加熱工程、中空板材80をプレス成形して中空構造体90を得るプレス工程、中空構造体90の端面の形状を整えてプレス成形品10を得る後加工工程に分けることができる。本実施形態では、コア層形成工程と接合工程を、図5に示す装置Tによって一連の流れで行う。また、中空構造体90の端面の形状を整える後加工工程を省略することが可能であり、この場合、プレス工程で得られた中空構造体90がプレス成形品10となる。
まず、図5に示す装置について説明する。図5は装置Tを模式図として示しており、左側が上流側、右側が下流側である。装置Tには、上流側から順に、熱可塑性樹脂製のシートが巻回されたシートロール61、第1シート材100を成形するための真空成形用ドラム62、コア層20を形成するための搬送ロール63及び第1のコンベヤ64、コア層20を加熱するための第2のコンベヤ65、スキン層30、40となるシートが巻回されたシートロール66、67、及びスキン層30、40を接合するための第3のコンベヤ68が配置されている。
図5に示すように、コア層形成工程では、シートロール61に巻回された熱可塑性樹脂製のシートが真空成形用ドラム62に供給されて、シートに所定の凹凸形状が形成された第1シート材100が成形されるとともに、第1シート材100が搬送ロール63及び第1のコンベヤ64に供給されて折り畳まれてコア層20が形成される。
図4(a)に示すように、真空成形用ドラム62で成形された第1シート材100は、所定の凹凸形状を有する。第1シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、第1シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。
図5に示すように、第1シート材100は、搬送ロール63及び第1のコンベヤ64に向かって移動する。第1のコンベヤ64の搬送速度は、搬送ロール63の回転速度よりも遅くなるように設定されている。これにより、図4(a)~図4(c)に示すように、第1シート材100は、境界線P、Qに沿って順次折り畳まれてコア層20が形成される。具体的には、第1シート材100は、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りされるとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りされてX方向に折り畳まれる。そして、図4(b)及び図4(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層20が形成される。
上記のように第1シート材100が折り畳まれるとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層20の上壁部21が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層20の下壁部22が形成される。なお、図4(c)に示すように、上壁部21における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部22における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側壁部23を構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部23を構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側壁部23となる。
続いて、第1シート材100が折り畳まれてなるコア層20は、第2のコンベヤ65に向かって移動する。第2のコンベヤ65による搬送速度は、第1のコンベヤ64による搬送速度と等しくなるように設定されている。また、第2のコンベヤ65内には、加熱装置65aが設けられている。加熱装置65aの加熱温度は、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融する程度に設定されている。このとき、第2のコンベヤ65を通過したコア層20では、加熱装置65aによる加熱によりコア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融するとともに熱収縮し、第1セルS1の2層構造の上壁部21、及び第2セルS2の2層構造の下壁部22に開口部が形成される。
第2のコンベヤ65により加熱されたコア層20は、第3のコンベヤ68に向かって移動する。第3のコンベヤ68による搬送速度は第2のコンベヤ65による搬送速度と等しくなるように設定されている。また、第3のコンベヤ68の搬入口近傍には、スキン層30、40となる熱可塑性樹脂製のシートが巻回されたシートロール66、67がそれぞれ配置されている。シートロール66、67に巻回されたシートには接着層が積層されている。
第3のコンベヤ68の間を通過することにより、コア層20の上面及び下面には、シートロール66、67に巻回されたシートが順次供給される。この状態では、シートロール66、67からのシートに積層された接着層は溶融状態とされている。一方、第3のコンベヤ68には加熱装置が設けられていないため、コア層20の上面及び下面に供給されたシートは、積層された接着層が冷却固化されて接合される。これにより、コア層20の上面に接着層31を介してスキン層30が接合され、下面に接着層41を介してスキン層40が接合された中空板材80が得られる。
また、コア層20の2層構造の側壁部23の上端縁及び下端縁では、熱可塑性樹脂が溶融して熱溶着される一方、コア層20の厚み方向中央部では、側壁部23が互いに熱溶着されていない部分が形成される。そのため、コア層20とスキン層30、40との間の空気が、コア層20の上壁部21、下壁部22の開口部や、コア層20内の隙間から抜けやすくなる。これにより、中空板材80の内部での空気溜まりの発生が抑制され、コア層20とスキン層30、40との接合強度が向上する。
次に、中空板材80を加熱する加熱工程について説明する。
図6(a)に示すように、まず、プレス成形品10を成形するための中空板材80として、装置Tによる一連の流れによって製造した中空板材80を、プレス成形品10より少し大きな略長方形板状に切断したものを準備する。例えば、プレス成形品10の大きさより、長手方向及び短手方向にそれぞれ20mm程度大きな長方形板状に切断したものを準備する。なお、図6では、中空板材80におけるコア層20の中空構造を省略して示している。また、図6は模式図であり、中空板材80の形状、厚み等は実際のものとは異なっている。
図6(a)に示すように、長方形板状に切断した中空板材80を、図示しない冶具でクランプした状態で加熱炉51に入れて所定時間加熱する。加熱炉51内の温度は、コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂(ポリプロピレン)が溶融する程度に設定されている。具体的には、加熱炉51内は約165℃程度となるように設定されている。
次に、中空板材80をプレス成形して中空構造体90を得るプレス工程について説明する。
図6(b)に示すように、プレス工程に使用するプレス成形用金型は、上型71及び下型72を備えている。上型71には、中空構造体90の形状に沿う形状の凸部71aと凹部71b、71cが形成されており、下型72には、中空構造体90の形状に沿う形状の凹部72a、72bが形成されている。本実施形態の上型71及び下型72は、全体が加熱されることなく常温に保持されている。
上型71の凸部71a及び凹部71b、71cと下型72の凹部72a、72bには、図示しない吸引孔が複数形成されており、上型71及び下型72の型締め時にはコア層20及びスキン層30、40を吸引することができるように構成されている。そのため、上型71及び下型72は、真空ポンプ等による吸引孔からの空気の吸引によってスキン層30、40をその表面に密着させる真空成形、或いは真空圧空成形のいずれにも対応可能に構成されている。また、上型71の凸部71a及び凹部71b、71cと下型72の凹部72a、72bには、ブラスト加工が施されて表面に微細な凹凸模様が形成されている。ブラスト加工とは、研削材を加工面に高速で噴射し、その衝撃力で適切な粗さの粗面(凹凸模様)を生み出す加工をいうものとする。
上型71の凸部71a及び凹部71b、71cと下型72の凹部72a、72bは、上型71及び下型72を型締めすることにより、中空構造体90をプレス成形するためのキャビティを形成する。上型71の凸部71a及び凹部71bと下型72の凹部72a、72bは、中空構造体90の本体部92を形成する部分であり、プレス成形品10に対応する部分である。上型71の凸部71aと下型72の凹部72bは、プレス成形品10の凹部11に対応する部分である。また、上型71において凸部71a及び凹部71bの周囲に形成された凹部71cは、中空構造体90の圧縮部分91を形成する部分である。
図6(b)に示すように、加熱工程で加熱された中空板材80を、冶具でクランプした状態のまま加熱炉51内から取り出し、下型72の上に移動させて凹部72a、72bの上に載置する。中空板材80は、プレス成形品10より大きな長方形状に切断されていることから、凹部72a、72bの上に載置した状態では、長手方向両端部及び短手方向両端部が凹部72a、72bから外方に突出した状態となる。
スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂は、メルトマスフローレイトが所定範囲とされている。そのため、中空板材80は、加熱炉51から移動させる際や、下型72の上に載置する際に、下側に位置するスキン層40がドローダウンしにくく、その形状を保持することができる。また、スキン層40のドローダウンが抑制されることにより、中空板材80のドローダウンが抑制される。
続いて、中空板材80をクランプしている冶具を外し、上型71を下型72に向けて下降させて型締めして、中空板材80をプレスすることによりプレス工程を行う。このとき、中空板材80は、上型71の凸部71aによって押圧され、キャビティの形状に沿うように変形していく。
上型71及び下型72に形成された図示しない吸引孔によって中空板材80が吸引されることで、中空板材80は、上型71及び下型72の表面に沿って位置決め状態で密着される。また、上型71の凸部71a及び凹部71b、71cと下型72の凹部72a、72bには、ブラスト加工が施されて表面に微細な凹凸模様が形成されているため、微細な凹凸模様に沿って空気の通り道が形成され、中空板材80の表面と上型71及び下型72の表面との間に存在する空気が微細な凹凸模様に沿って流れやすくなる。これにより、中空板材80の表面と上型71及び下型72の表面との間に空気が滞留することが抑制され、滞留した空気が加熱時に膨張することにより中空構造体90の表面に予期しない変形が生じるといった事態が抑制される。
また、上型71及び下型72の表面に微細な凹凸模様が形成されていると、中空板材80の表面が、上型71及び下型72の表面に形成された複数の吸引孔の周辺だけで真空引きされるといった事態が抑制される。微細な凹凸模様に沿って空気が流れやすくなることで、中空板材80の表面全体が均等に真空引きされることになる。そのため、本実施形態のように、コア層20及びスキン層30、40が比較的柔らかい樹脂であるポリプロピレン製であるような場合でも、吸引孔に中空板材80が引き込まれることが抑制され、中空板材80の表面と上型71及び下型72の表面が密着しにくかったり、中空板材80の表面と上型71及び下型72の表面との間に空気が滞留したりすることが抑制される。
スキン層40のドローダウンが抑制されるとともに、中空板材80全体のドローダウンが抑制されることから、中空板材80は、上型71の下降によって凸部71aに押圧され、徐々に変形しながら上型71及び下型72の表面に密着していく。なお、プレス時の圧力、プレス時間は、適宜設定すればよい。
図6(c)に示すように、プレス工程を経た中空板材80は、キャビティに沿う形状に成形されて中空構造体90となる。中空構造体90は、プレス成形品10の形状である本体部92の周囲に圧縮部分91が形成された形状とされている。本体部92では、プレス工程によってコア層20を構成する熱可塑性樹脂がほぼ溶融せず、コア層20が左右方向に変形することが抑制されて、その高さ寸法を維持した形状となっている。また、圧縮部分91では、プレス工程によってコア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融して樹脂溜まりが形成されている。そして、本体部92と圧縮部分91との境界部分では、上側のスキン層30と下側のスキン層40が上型71及び下型72に押されて曲げられて、その曲げられたスキン層30、40によってコア層20の端面が封止される。
また、中空構造体90の表面には、上型71及び下型72の内表面に形成された微細な凹凸模様(ブラスト加工による凹凸模様)が転写されて、微細な凹凸模様であるシボ加工が施される。
図6(d)に示すように、下型72から上型71を離間させて中空構造体90を冷却した後、中空構造体90を下型72から取り出す。プレス工程を経て得られた中空構造体90は、コア層20の上面にスキン層30が接合され、コア層20の下面にスキン層40が接合され、プレス成形品10に相当する大きさ、形状を有する本体部92の端部全周に亘って圧縮部分91が形成された形状となる。圧縮部分91では、水平方向に延びたスキン層30、40の間に、コア層20の圧縮部分20aが介在している。圧縮部分20aでは、プレス工程によってコア層20が熱溶融したことにより形成された樹脂溜まりが冷却されて、コア層20の上壁部21、下壁部22、及び側壁部23を構成する熱可塑性樹脂が一体化した状態となっている。
次に、中空構造体90の形状を整えてプレス成形品10を得る後加工工程について説明する。
図6(e)に示すように、中空構造体90に形成された圧縮部分91を、図示しない切断冶具で切断してプレス成形品10を得る。図2に示すように、切断された部分では、スキン層30の端縁32とスキン層40の端縁42との間にコア層20の圧縮部分20aが介在しており、曲げられた状態のスキン層30、40及びコア層20の圧縮部分20aによって、プレス成形品10の端面が形成されている。その後、切断された部分を研磨、塗装等してその形状を整える。なお、圧縮部分91を切断する切断冶具としてトムソン刃やレーザー等を使用して、研磨、塗装等を行わないようにしてもよい。
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のプレス成形品10は、中空板材80がプレス用成形金型(上型71及び下型72)によりプレス成形されて得られる。コア層20にスキン層30、40が仮接合された中空板材80では、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂(ポリプロピレン樹脂)のメルトマスフローレイトが0.2~3.0g/10minである。
そのため、プレス成形の際に加熱された中空板材80では、スキン層30、40が過度に軟化することが抑制される。プレス成形用金型の下型72上に中空板材80を載置した場合に、下側のスキン層40がドローダウンしにくく、その結果、中空板材80がドローダウンしにくい。これにより、上型71を下降移動させて型締めする際、上型71の凸部71aで押圧された中空板材80は、上型71及び下型72の表面形状に沿いやすくなる。強度に優れたプレス成形品10が得られる。
(2)本実施形態の中空板材80のコア層20及びスキン層30、40はポリプロピレン製とされている。ポリプロピレンは、従来周知の熱可塑性の中でも比較的低融点のものであるため、中空板材80の加熱温度を比較的低温に設定することができる。製造効率がよく、製造コストを抑えることができる。
(3)本実施形態のプレス成形品10の表面にはシボ加工が施されている。シボ加工は、プレス加工において、上型71及び下型72の内表面に形成された微細な凹凸模様が転写されてなるものである。シボ加工によりプレス成形品10の表面はつや消し状態となり、プレス成形品10に所望の意匠性を付与することができる。
(4)本実施形態のプレス成形品10の製造方法では、コア層20に接合するスキン層30、40として、メルトマスフローレイトが0.2~3.0g/10minである熱可塑性樹脂製のシートを使用している。そのため、加熱工程での加熱により中空板材80のスキン層30、40が過度に軟化することが抑制される。加熱された中空板材80をプレス成型用金型としての下型72上に載置した状態で、下側に位置するスキン層40がドローンダウンすることが抑制される。また、中空板材80全体がドローンダウンすることが抑制される。これにより、プレス工程での上型71による押圧により、中空板材80が上型71及び下型72の表面形状に沿いながら変形していく。その結果、強度に優れたプレス成形品10を製造することができる。
(5)本実施形態では、コア層形成工程、接合工程を装置Tによる一連の流れで行っている。そのため、製造工程が簡略化され、作業性、コスト面において有利である。
(6)上型71及び下型72には、吸引孔が複数形成されている。そのため、型締め時には中空板材80を、上型71及び下型72の内表面に精度よく密着させることができ、上型71及び下型72の内表面の形状(キャビティの形状)に沿うように成形することができる。
(7)上型71及び下型72の内表面はブラスト加工されて微細な凹凸模様が形成されている。そのため、プレス成形時に真空引きする際、中空板材80の表面と上型71及び下型72の表面との間に存在する空気が微細な凹凸模様に沿って流れやすくなる。これにより、中空板材80の表面と上型71及び下型72の表面との間に空気が滞留することが抑制され、中空構造体90の表面に予期しない変形が生じるといった事態が抑制される。
(8)本実施形態のプレス成形品10は、その端面が、スキン層30曲げられた部分、コア層20の圧縮部分20a、及びスキン層40が曲げられた部分で形成され、コア層20は、曲げられたスキン層30、40で封止されている。そのため、コア層20内に並設されたセルS内にゴミや埃等が入ることが抑制される。
(9)本実施形態のプレス成形品10の端面は、スキン層30の端縁32とスキン層40の端縁42とが、コア層20の圧縮部分20aを挟んで突き合わされている。コア層20の圧縮部分20aは、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融して冷却固化することにより、上壁部21、下壁部22、及び側壁部23が一体化された塊状となっている。そのため、プレス成形品10の端面での剛性が向上する。
(10)プレス成形品10の端部では、コア層20の端部側1列目のセルS及び端部側2列目のセルSが厚み方向に変形して側壁部23が折り重なったり、溶融して冷却固化された熱可塑性樹脂が塊状となったりしている。一方、端部側3列目のセルSは変形しておらず、その側壁部23は立設状態を維持している。そのため、プレス成形品10の端部では、端面近傍までコア層20のハニカム構造が維持されているとともに、セルSが変形した部分では熱可塑性樹脂の密度が高くなっている。これにより、プレス成形品10の端部での強度が保持されている。
上記実施形態は、次のように変更することができる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・上記実施形態のプレス成形品10は、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトが0.2~3.0g/10minであるが、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂のうちの一方のみのメルトマスフローレイトが0.2~3.0g/10minであってもよい。この場合、プレス工程において、中空板材80を下型72上に載置する際に下型72側に位置するスキン層30、40(上記実施形態ではスキン層40)を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトを0.2~3.0g/10minの範囲とする。
・プレス成形品10のコア層20に接合されたスキン層30、40のいずれか一方を省略することができる。この場合であっても、スキン層30、40が接合されていない側のコア層20の主面は、コア層20の上壁部21或いは下壁部22によって閉塞されている。接合されたスキン層30或いはスキン層40を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトが0.2~3.0g/10minであり、プレス工程では、スキン層30、40が接合された側を下型72側に向けて下型72上に載置する。
・スキン層30とスキン層40との厚みを異ならせてもよい。例えば、プレス工程において下型72側に載置するスキン層40の厚みをスキン層30の厚みより厚くしてもよい。これにより、スキン層40のドローダウンをより抑制することができる。
・上記実施形態のプレス成形品10では、長手方向の中間部分に下方に凹んだ凹部11が前後方向に延びるように1箇所形成されているが、凹部11の形状、個数はこれに限定されない。凹部11が複数個所に形成されていてもよく、凹部11にさらに別の凹部が形成されていてもよい。
・上記実施形態のプレス成形品10は左右対称で左右方向に長い略長方形板状に形成されているが、その形状は特に限定されない。左右非対称であってもよく、略長方形板状でなくてもよい。
・プレス成形品10のスキン層30、40の形態は特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂製の不織布、織物、編物や、合成樹脂を延伸してなる平滑な延伸シート等から適宜選択することができる。スキン層30とスキン層40が同じ形態であってもよく、異なる形態であってもよい。スキン層30、40の形態を適宜選択することにより、プレス成形品10の上面10a及び下面10bの一方を意匠面としたり両方を意匠面としたりすることができる。これにより、プレス成形品の外観形状を向上させることができる。
・プレス成形品10の厚みは、すべて同じとしてもよく部位によって適宜変更してもよい。例えば、凹部11の傾斜した部分について、他の部分と同等の厚みとしてもよく2/3程度の厚みとしてもよい。
・本実施形態のプレス成形品10は、上面10a及び下面10bに形成された微細な凹凸模様がスキン層30、40の肉厚内で形成されていてコア層20にまで達していないが、これに限定されない。コア層20にまで達するような深さに形成されていてもよい。微細な凹凸模様の深さとしては、0.02~2.0mmであることが好ましく、0.03~0.1mmまたは0.5~1.5mmであることがより好ましい。
・上記実施形態のプレス成形品10の一部に、補強部としての鋼板が接合されていたり、金属棒材等が圧入されていたりしてもよい。鋼板は、例えばプレス成形品10の凹部11においてコア層20とスキン層40との間に接合されていてもよい。また、金属棒材は、例えばプレス成形品10の凹部11においてコア層20内部で前後方向に所定間隔をあけて複数本圧入されていてもよい。
・コア層20に並設されたセルS内にウレタン等の樹脂材を注入して補強してもよい。この場合、例えば、コア層20成形時の熱可塑性樹脂の熱収縮により形成された上壁部21の開口部に、ウレタン等の樹脂材を注入すればよい。
・プレス成形品10の端面は、曲げられたスキン層30、40で封止されるのではなく、スキン層30、40とは異なる別部材で封止されていてもよい。また、曲げられたスキン層30、40で封止された上で、さらに別部材で覆われていてもよい。
・コア層20は、一枚の第1シート材100を折り畳み成形して構成するのに限らない。例えば、複数の帯状のシートを所定間隔毎に屈曲させて配置してセルの側壁を構成し、これら帯状のシートの上下両側にシート層を配置してセルの上壁及び下壁を構成するようにしてもよい。
・上記実施形態では、コア層20の内部に六角柱状のセルSが区画形成されているが、セルSの形状は、特に限定されるものでない。例えば、四角柱状、八角柱状等の多角形状や円柱状としてもよい。また、セルSの形状は、接頭円錐形状であってもよい。その際、異なる形状のセルが混在していてもよい。また、各セルは隣接していなくともよく、セルとセルとの間に隙間(空間)が存在していてもよい。
・コア層20は、柱形状のセルSが区画されたものに限らない。例えば、所定の凹凸形状を有するコア層の上下両面にシート層を接合したものであってもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開2014-205341号公報に記載のものが挙げられる。また、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。
・上記実施形態では、一枚の第1シート材100を折り畳み成形して、コア層20の内部に六角形状のセルSが区画形成されたハニカム構造体としてのコア層20を形成したが、成形方法はこれに限定されない。例えば、特許第4368399号に記載されるように、断面台形状の凸部が複数列設された三次元構造体を順次折り畳んでいくことにより、ハニカム構造体としてのコア層20を形成してもよい。
・スキン層30、40は1層構造としたが、積層数は特に限定されない、いずれか一方が2層構造以上の多層構造であってもよく、いずれも2層構造以上の多層構造であってもよい。
・コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂として、各種機能性樹脂を添加したものを使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に難燃性の樹脂を添加することにより、難燃性を高めることが可能である。コア層20及びスキン層30、40のすべてに対して各種機能性樹脂を添加したものを使用することも可能であり、また、コア層20及びスキン層30、40の少なくともいずれかに対して使用することも可能である。
・上記実施形態のプレス成形品10の製造方法では、コア層形成工程及び接合工程を装置Tによる一連の流れで行い、接合工程で得られた中空板材80を加熱工程、プレス工程、後加工工程に供してプレス成形品10を得ているが、各工程の順序はこれに限定されない。例えば、コア層20及びスキン層30、40を接合する接合工程の前に、それぞれを加熱する加熱工程を行ってもよい。この場合、コア層形成工程及び接合工程を装置Tによる一連の流れで行うことなく、別個に行う。そして、コア層形成工程により得られたコア層20と、スキン層30,40とを別個の加熱炉内で加熱した後、接合工程を行えばよい。こうすると、コア層20とスキン層30、40とをそれぞれ適宜の温度で管理することができる。加熱工程の後、加熱炉内で加熱されたコア層20及びスキン層30、40を下型72上に載置すると、加熱炉内での加熱によって溶融された接着層31、41により、コア層20及びスキン層30、40が仮接合された状態となる。そのため、この状態でコア層20及びスキン層30、40が位置決めされ、それぞれが下型72上で位置ずれすることが抑制される。その後、下型72に向かって上型71を下降移動させることにより、コア層20及びスキン層30、40が接合されるとともに、中空構造体90が形成される。したがって、この場合には、接合工程とプレス工程が同時に行われることになる。なお、ここでは、仮接合された状態のコア層20及びスキン層30、40を中空板材80というものとする。中空板材80では、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレイトが所定範囲であるため、接合工程及びプレス工程で中空板材80を下型72上に載置する際、スキン層40のドローダウンが抑制され、中空板材80のドローダウンが抑制される。
・各工程の順序を変更するだけでなく、例えば、加熱工程での加熱方法を変更することもできる。上記実施形態では、加熱炉51内で中空板材80を加熱しているが、加熱方法はこれに限定されない。加熱炉51内での加熱ではなく、加熱冶具を使用しての加熱であってもよい。また、加熱冶具での加熱を、上型71及び下型72の位置で行ってもよい。この場合、プレス工程で使用する上型71及び下型72として、加熱装置としての加熱冶具が併設されたものを使用する。加熱冶具としては、中空板材80を加熱可能な大きさの一対の加熱板が、上型71の下方及び下型72の上方に水平移動可能に設置されたものを使用する。接合工程で得られた中空板材80を所定形状に切断した後、中空板材80を冶具でクランプし、上型71及び下型72の間に移動させる。続いて、加熱冶具としての一対の加熱板のそれぞれを上型71と中空板材80の間、下型72と中空板材80の間に水平移動させ、中空板材80の両面から所定時間加熱する。加熱処理後、一対の加熱板を水平移動させて上型71及び下型72間から退避させる。その後、下型72に向かって上型71を下降移動させることによりプレス工程を行う。
このように、プレス成形品10を製造する各工程の順序、各工程での態様は適宜変更することができる。コア層20及びスキン層30、40が接合された中空板材80が、金型内に加熱状態でセットされてプレス成形されるプレス工程を備えていれば他の工程の順序、態様は特に限定されない。
・加熱工程における加熱温度は、適宜設定することができる。コア層20を構成する熱可塑性樹脂の材質、スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂の材質、及び、スキン層30、40に積層された接着層31、41を構成する熱可塑性樹脂の材質等により適宜設定することができる。
・加熱工程での加熱は、加熱炉51内での加熱ではなく、開放された環境下での加熱であってもよい。例えば、一対の加熱板で加熱してもよく、バーナーで加熱してもよく、IHヒータや赤外線ヒータ等で加熱してもよい。
・スキン層30は接着層31を介してコア層20に接合され、スキン層40は接着層41を介してコア層20に接合されているが、接合するものは接着層に限定されない。粘着層を介して接合されていてもよい。
・スキン層30には接着層31があらかじめ積層されており、スキン層40には接着層41があらかじめ積層されている。これに限定されず、接合する際に、接着剤を塗布するようにしてもよい。
・接着層31、41を省略してもよい。この場合、コア層20及びスキン層30、40を加熱することにより、コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂が一部溶融して接合される。
・接合工程及びプレス工程で使用する上型71及び下型72には、吸引孔が複数形成されているものを使用したが、吸引孔の個数、形状は特に限定されない。スリット状の吸引溝であってもよい。また、吸引孔が形成されていないものを使用してもよい。吸引孔が形成されていなくてもプレス加工のみでプレス成形品10を成形することができる。
・接合工程及びプレス工程は、上型71及び下型72を加熱して行ってもよい。
・上型71の凸部71a及び凹部71b、71cと下型72の凹部72a、72bには、ブラスト加工が施されて表面に微細な凹凸模様が形成されているが、ブラスト加工以外の方法で微細な凹凸模様が形成されていてもよい。微細な凹凸模様は、各種溶剤によって上型71及び下型72の表面を溶かす化学処理や、各種研磨処理等の物理処理で形成することができる。
・上型71或いは下型72として、その表面に微細な凹凸模様が形成されていないものを使用してもよい。
・上型71及び下型72の表面に、不織布・繊維シート等が貼着されていてもよい。この場合、例えば、不織布シートの間に形成された微細な隙間が空気の通り道となり、中空板材80の表面と上型71及び下型72の表面との間に存在する空気が、微細な隙間に沿って流れやすくなる。これにより、微細な凹凸模様と同様の効果が得られる。
・上記実施形態のプレス成形品10の製造方法では、プレス用成形金型として上型71及び下型72を使用したが、一つの大きい金型ではなく多数の小さい金型(分割金型)を連結したものを使用してもよい。この場合、分割金型の合わせ面に生じた隙間が吸引孔の役割をする。また、分割金型間に生じた隙間によって、スキン層30、40の表面に微細な凹凸模様が形成される。なお、上型71及び下型72のいずれか一方のみを分割金型としてもよく、両方を分割金型としてもよい。