以下、本発明を具体化した中空構造体10について、図1~図7に基づいて説明する。ここでは、図7(d)に示すように、中空構造体10を板状の被係止部材70に係止する場合について説明する。
図1に示すように、中空構造体10は、長方形板状の本体部50と、本体部50の周縁に一体に形成された4つの湾曲板状の係止部60を備えている。係止部60は、本体部50の長側辺50aの両端部の位置で、本体部50の主面に沿って外方へ延びるように形成されている。
図2(a)に示すように、本体部50は、内部に複数のセルSが並設された熱可塑性樹脂製のコア層20と、コア層20の両主面でコア層20全体を覆うように接合された熱可塑性樹脂製のスキン層30、40とで構成されている。以下の説明では、スキン層30が接合された側を中空構造体10の上側、スキン層40が接合された側を中空構造体10の下側というものとする。
図3(a)に示すように、コア層20は、所定形状に成形された1枚の熱可塑性樹脂製のシート材を折り畳んで形成されている。そして、コア層20は、上壁部21と、下壁部22と、上壁部21及び下壁部22の間に立設されてセルSを六角柱形状に区画する側壁部23とで構成されている。以下で説明するように、コア層の上壁部21及び下壁部22は、1層構造と2層構造とが混在した構造とされているが、図2、図3(a)、図6では、コア層20の上壁部21及び下壁部22を1層構造で示している。
図3(b)及び(c)に示すように、コア層20の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1及び第2セルS2が存在する。図3(b)に示すように、第1セルS1においては、側壁部23の上部に2層構造の上壁部21が設けられている。この2層構造の上壁部21の各層は互いに接合されている。また、2層構造の上壁部21には、コア層20成形時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。第1セルS1においては、側壁部23の下部に1層構造の下壁部22が設けられている。
一方、図3(c)に示すように、第2セルS2においては、側壁部23の上部に1層構造の上壁部21が設けられている。また、第2セルS2においては、側壁部23の下部に2層構造の下壁部22が設けられている。この2層構造の下壁部22の各層は互いに接合されている。2層構造の下壁部22には、コア層20成形時の熱可塑性樹脂の熱収縮により、図示しない開口部が形成されている。
また、図3(b)及び(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、それぞれ2層構造の側壁部23によって区画されている。この2層構造の側壁部23は、コア層20の厚み方向中央部に互いに熱溶着されていない部分を有する。したがって、コア層20の各セルSの内部空間は、2層構造の側壁部23の間を介して他のセルSの内部空間に連通している。なお、図3(b)及び(c)では、図示されている複数のセルSのうち、最も左側のセルSに代表して符号を付しているが、他のセルSについても同様である。
図3(a)に示すように、第1セルS1はX方向に沿って列を成すように並設されている。同様に、第2セルS2はX方向に沿って列を成すように並設されている。第1セルS1の列及び第2セルS2の列は、X方向に直交するY方向において交互に配列されている。そして、これら第1セルS1及び第2セルS2により、コア層20は、全体としてハニカム構造をなしている。
コア層20を構成する熱可塑性樹脂は、従来周知の熱可塑性樹脂であればよく、例えばポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。本実施形態のコア層20はポリプロピレン樹脂製とされている。
上面側のスキン層30は、図示しない熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)製の接着層を介してコア層20の上面に接合されている。また、スキン層40も同様に、図示しない熱可塑性樹脂製の接着層を介してコア層20の下面に接合されている。スキン層30、40の厚みは0.5mm~数mm程度である。スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂は、従来周知の熱可塑性樹脂であればよく、例えばポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。スキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂は、コア層20と同じ熱可塑性樹脂であることが好ましく、本実施形態のスキン層30、40は、ポリプロピレン樹脂製とされている。また、本実施形態では、スキン層30とスキン層40の厚みは同一とされている。
図2(a)及び(b)に示すように、本体部50のすべての端部のうち、係止部60が形成されていない部分の端面51では、コア層20が厚み方向に圧縮されて薄くなった圧縮部20aが形成されている。そして、上側のスキン層30は、圧縮されたコア層20の圧縮部20aに向かって下方に折り曲げられており、下側のスキン層40は、圧縮されたコア層20の圧縮部20aに向かって上方に折り曲げられている。スキン層30の端縁31とスキン層40の端縁41は、コア層20の圧縮部20aを間に挟んで突き合わされた状態とされている。ここで、コア層20が圧縮されるとは、後で説明する中空体成形工程において、プレス成形によってコア層20を構成する熱可塑性樹脂が全部溶融して一体化し、コア層20を形成するセルSにおいて側壁部23の形状を識別できない程度に変形している状態、或いは、コア層20の側壁部23に一部溶融していない部分が残っているものの、その形状が識別できない程度に変形している状態を言うものとする。
図2(b)に示すように、上側のスキン層30が折り曲げられた部分である湾曲部32はR形状とされており、スキン層30におけるR形状の湾曲部32より端縁31側の部分は、コア層20を側方から覆う端面33を形成している。また、下側のスキン層40が折り曲げられた部分である湾曲部42はR形状とされており、スキン層40におけるR形状の湾曲部42より端縁41側の部分は、コア層20を側方から覆う端面43を形成している。図2(a)に示すように、本体部50の端面51は、端面33、43、及び圧縮部20aによって形成されている。
本体部50の端面51におけるスキン層30の折り曲げ量は、スキン層40の折り曲げ量より少ない。そのため、端面51における端面33の割合は、端面43の割合より少なく、圧縮部20aはスキン層30寄りの位置である端面51における上方寄りの位置に形成されている。
図2(a)及び(b)に示すように、係止部60は、本体部50が厚み方向に圧縮された形状をなしており、コア層20が厚み方向に圧縮されて薄くなった形状の圧縮部20aと、圧縮部20aの両主面で圧縮部20a全体を覆うように接合されたスキン層30、40とで構成されている。係止部60は、コア層20における樹脂シート(後に説明する第1シート材100)の厚みにスキン層30、40の厚みを足した厚みより薄く形成されている。具体的には、コア層20を構成する樹脂シート、スキン層30、40の少なくともいずれかが圧縮されることにより、その厚みが薄くなっている。
図2(a)に示すように、係止部60は、係止部60の幅方向に延びる基端ヒンジ部62を有しており、基端ヒンジ部62を介して本体部50に接続されている。また、係止部60の先端と基端との間には、係止部60の幅方向に延びる中間ヒンジ部61が形成されている。基端ヒンジ部62及び中間ヒンジ部61は、本体部50の端面51に対して平行に延びるように形成されている。係止部60における中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62との間を、基端係止部64とし、係止部60の先端と中間ヒンジ部61との間を、先端係止部63とする。
係止部60には、コア層20の圧縮率が異なる部分が複数形成されている。本実施形態の係止部60では、コア層20の圧縮率が異なる部分が2箇所形成されている。具体的には、中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62では、コア層20の圧縮率が大きく、相対的に肉厚が薄くなっている。先端係止部63と基端係止部64では、中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62よりコア層20の圧縮率が小さく、相対的に肉厚が厚くなっている。また、中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62でのコア層20の圧縮率は同程度であり、先端係止部63と基端係止部64でのコア層20の圧縮率は同程度である。
図2(a)及び(b)に示すように、先端係止部63には、下方へ凹むように湾曲した先端湾曲部65が形成されている。また、基端係止部64には、下方へ凹むように湾曲した基端湾曲部66が形成されている。先端湾曲部65及び基端湾曲部66は、横断面が略半円弧状に形成されている。先端湾曲部65も含めた先端係止部63の全体は、コア層20の圧縮率が均等であり、基端湾曲部66も含めた基端係止部64の全体は、コア層20の圧縮率が均等である。したがって、先端係止部63の全体及び基端係止部64の全体は、同程度の厚みに形成されている。
次に、中空構造体10を製造する方法について、図4及び図5に基づいて説明する。
中空構造体10を製造する方法は、コア層20を形成するコア層成形工程、コア層20及びスキン層30、40を加熱する加熱工程、コア層20及びスキン層30、40を接合する接合工程、コア層20及びスキン層30、40を成形して中空体90を得る中空体成形工程、中空体90の端面の形状を整えて中空構造体10を得る後加工工程に分けることができる。本実施形態では、コア層20及びスキン層30、40を接合する接合工程と、コア層20及びスキン層30、40を成形して中空体90を得る中空体成形工程とを同時に行っている。
先ず、コア層20を形成するコア層成形工程について説明する。コア層20は、第1シート材100を折り畳むことによって形成される。
図4(a)に示すように、第1シート材100は、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に成形することにより形成されている。第1シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120が、第1シート材100の長手方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
なお、こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、第1シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
図4(a)及び(b)に示すように、上述のように構成された第1シート材100を、境界線P、Qに沿って折り畳むことでコア層20が形成される。具体的には、第1シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、図4(b)及び(c)に示すように、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより中空板状のコア層20が形成される。
上記のように第1シート材100を圧縮するとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層20の上壁部21が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層20の下壁部22が形成される。なお、図4(c)に示すように、上壁部21における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁部22における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる。
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱形状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱形状の領域が第1セルS1となる。本実施形態では、第2膨出部122の上面及び側面が第2セルS2の側壁部23を構成するとともに、第2膨出部122の側面と、膨出領域120における第2膨出部122間に位置する平面部分とが第1セルS1の側壁部23を構成する。そして、第2膨出部122の上面同士の当接部位、及び膨出領域120における上記平面部分同士の当接部位が2層構造をなす側壁部23となる。なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、第1シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましい。
次に、コア層20及びスキン層30、40を加熱する加熱工程について説明する。
図5(a)に示すように、まず、中空構造体10に使用するコア層20として、先に製造したコア層20を、中空構造体10より大きな形状に切断したものを準備する。例えば、中空構造体10の大きさより、長手方向及び短手方向のそれぞれで大きい長方形状に切断したものを準備する。なお、図5では、コア層20の中空構造を省略して示している。また、各部材の形状、大きさ等については実際のものとは異なり、必要な部分を誇張して示している。
中空構造体10に使用するスキン層30、40として、切断したコア層20と同様の大きさのものを準備する。スキン層30、40の一方の主面には、熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)製の接着層がコーティングされている。
加熱工程では、所定温度に設定された加熱炉内にコア層20及びスキン層30、40を入れて、所定時間保持する。コア層20及びスキン層30、40は、同じ加熱炉内で加熱しても、異なる加熱炉内で加熱してもよい。加熱炉内の温度は、コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂が溶融する程度に設定されている。
本実施形態では、加熱工程において、加熱炉内に保持されたコア層20の表面温度が、部位によって異なるように調整している。これは、コア層20の表面に、部分的に遮蔽材を設置することによって行う。遮蔽材には孔が形成されており、孔の大きさや数を調整することによって、遮蔽材を設置した部分の表面温度が、加熱炉内の温度より低くなるよう調整することができる。なお、表面温度の調整は、孔が形成された遮蔽材に限らず、孔が形成されていない遮蔽材を設置することによって行ってもよい。
具体的には、各工程を経て製造された中空構造体10の本体部50に対応する部分に遮蔽材を設置する一方で、係止部60に対応する部分には遮蔽材を設置しない。これにより、加熱炉内での加熱温度に対して、中空構造体10の本体部50に対応する部分の表面温度を相対的に低く調整し、中空構造体10の係止部60に対応する部分の表面温度を加熱炉内の加熱温度と同程度に調整することができる。
次に、コア層20及びスキン層30、40を接合する接合工程、及びコア層20及びスキン層30、40を成形して中空体90を得る中空体成形工程について説明する。
図5(b)に示すように、接合工程、中空体成形工程に使用する金型は、上型81及び下型82を備えている。図5(b)~(d)は、製造される中空構造体10を短辺側から見た図として示している。本実施形態の上型81及び下型82は、全体が加熱されることなく常温に保持されている。
下型82に形成された凹部82aは、上面視長方形状をなしている。凹部82aは、後に説明する中空体成形工程において、中空構造体10の本体部50を成形するための部分である。その長手方向の長さは、本体部50の長手方向の長さとほぼ同一とされ、その短手方向の長さは、本体部50の短手方向の長さとほぼ同一とされている。また、凹部82aの深さは、本体部50の厚みより少し浅くされている。なお、コア層20及びスキン層30、40の熱収縮を考慮して、凹部82aの大きさを設定することが好ましい。以下、同様である。
凹部82aの短手方向の両側には、それぞれ凹部82b、82cが形成されている。凹部82b、82cは、中空体成形工程において、中空構造体10の係止部60を成形するための部分であり、凹部82aの長手方向全体に亘って延びる湾曲面を有する形状に形成されている。また、凹部82bと凹部82cの間は、中空体成形工程において、中空構造体10の係止部60の中間ヒンジ部61を成形するための部分である。
上型81に形成された凹部81aは、上面視長方形状をなしている。凹部81aは、後に説明する中空体成形工程において、中空構造体10の本体部50を成形するための部分であり、下型82の凹部82aと同形状、同程度の大きさとされている。また、凹部81aの深さは、中空構造体10の厚みより少し浅く、下型82の凹部82aの深さより少し浅くされている。凹部81aの深さと凹部82aの深さの合計が、中空構造体10の本体部50の厚みとほぼ同じとなる。
凹部81aの短手方向の両側には、それぞれ凸部81b、81c、81dが形成されている。凸部81b、81cは、中空体成形工程において、中空構造体10の係止部60を成形するための部分であり、凹部81aの長手方向全体に亘って延びる湾曲面を有する形状に形成されている。また、凸部81dは、中空体成形工程において、中空構造体10の係止部60の基端ヒンジ部62を成形するための部分であり、凹部81aの長辺に沿って延びている。
凹部81aの長手方向の両側には、図示しない凹部が形成されている。この凹部は、中空体成形工程において、中空構造体10の本体部50の長手方向の両側に、係止部60と同様の厚みを有する圧縮部分を成形するための部分である。なお、この圧縮部分は、図5(e)で圧縮部分91bとして示した部分である。
上型81及び下型82の型締めによって形成されたキャビティは、上型81の凸部81b、81cと下型82の凹部82b、82cによって、中空構造体10の係止部60の形状となり、その高さは、凹部81aと凹部82aでの高さより小さい。また、下型82の凹部82bと凹部82cの間の部分、つまり、上型81の凸部81dの部分では、キャビティの高さは、上型81の凸部81b、81c、或いは、下型82の凹部82b、82cでのキャビティの高さよりさらに小さい。
図5(b)に示すように、まず、加熱されたコア層20及びスキン層30、40を、下から、スキン層40、コア層20、スキン層30の順に、下型82の凹部82a、82b、82cの上に載置する。このとき、スキン層30、40は、その一方の主面にコーティングされた接着層がコア層20側となるように載置する。コア層20及びスキン層30、40は、凹部82a、82b、82cの上に載置した状態では、その短手方向両端部が凹部82cから少し外方に突出した状態とされている。
先の加熱工程では、コア層20の表面温度を、部位に応じて異ならせていることから、コア層20及びスキン層30、40を載置する際には、コア層20の表面温度に応じて、下型82に対して位置決めする。具体的には、中空構造体10の本体部50に対応する部分として表面温度を調整した部分を、下型82の凹部82aの位置に合わせ、中空構造体10の係止部60に対応する部分として表面温度を調整した部分を、下型82の凹部82b、82cの位置に合わせる。つまり、コア層20及びスキン層30、40の位置決めは、上型81及び下型82を型締めしたときに形成されるキャビティでの高さに応じてなされ、キャビティでの高さが大きい凹部82aの部分には、先の加熱工程で相対的に低い表面温度に調整された部分を配置し、キャビティでの高さが小さい凹部82b、82cの部分には、先の加熱工程で相対的に高い表面温度とされた部分を配置する。裏返せば、加熱工程では、型締め時の上型81と下型82の間のキャビティの高さに応じて、コア層20の表面温度を調整することになる。なお、中空構造体10の係止部60の中間ヒンジ部61を成形するための凹部82bと凹部82cの間、基端ヒンジ部62を成形するための凸部81dでは、キャビティの高さが最も小さくなるが、この部分のコア層20は、凹部82b、82cの部分と同程度の表面温度に調整されている。
コア層20及びスキン層30、40を下型82の上に載置した状態では、スキン層30、40にコーティングされた接着層の熱可塑性樹脂が一部熱溶融された状態となっている。そのため、コア層20及びスキン層30、40は、下型82の上で仮接合された状態で位置決めされる。
続いて、上型81を下型82に向けて下降させて型締めして、コア層20及びスキン層30、40をプレス成形することにより接合工程と中空体成形工程を同時に行う。上型81及び下型82には図示しない吸引孔が複数形成されており、型締め時にはコア層20及びスキン層30、40を吸引することで、上型81及び下型82の内部に形成されたキャビティに、位置決め状態で密着させることができる。プレス時の圧力、プレス時間は、適宜設定すればよい。
図5(c)に示すように、上型81及び下型82の型締めによって、コア層20及びスキン層30、40は、上型81及び下型82の内面形状に成形されて中空体90となる。
中空体90のうち、上型81の凹部81a、下型82の凹部82aの部分では、型締め時の上型81と下型82の間のキャビティの高さが最も大きい部分となり、加熱工程において、表面温度が相対的に低くなるように調整された部分が配置されている。この部分では、型締めによって、コア層20はその厚み方向に圧縮されることなく、コア層20とスキン層30、40とが接合される。コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融せず、コア層20は上下方向に変形することなく、その高さ寸法を維持した形状となる。
このとき、コア層20の第1セルS1の2層構造の上壁部21、及び第2セルS2の2層構造の下壁部22には、コア層20の熱収縮によって開口部が形成される。また、コア層20の厚み方向中央部には、側壁部23が互いに熱溶着されていない部分が形成される。そのため、コア層20とスキン層30、40との間の空気が、コア層20の上壁部21、下壁部22の開口部や、コア層20内の隙間から抜け易くなって、内部の空気が分散する。これにより、空気溜まりの発生が抑制され、コア層20とスキン層30、40との接合強度が向上する。
図5(c)に示すように、上型81の凹部81a及び下型82の凹部82aの周縁部分、つまり、上型81の凹部81a及び下型82の凹部82aの長手方向両側及び短手方向両側には、型締め時の上型81と下型82の間のキャビティの高さが小さい部分が形成されている。そして、加熱工程において、コア層20の表面温度が高くなるように調整された部分が配置されている。この部分では、型締めによって、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融してコア層20が熱圧縮され、中空体90の圧縮部分91が形成される。圧縮部分91では、コア層20の上壁部21、下壁部22、及び側壁部23を構成する熱可塑性樹脂が溶融して一体化した状態となっている。
また、上型81の凹部81a及び下型82の凹部82aの周縁には、中空構造体10の係止部60を形成するための、上型81の凸部81b、81c、81dが形成された部分、下型82の凹部82b、82cが形成された部分が含まれている。この部分では、コア層20が熱圧縮されるとともに、コア層20及びスキン層30、40が、上型81及び下型82の形状に沿って成形される。図5(e)では、この部分を圧縮部分91のうち、圧縮部分91aとして示している。
上型81の凸部81dが形成された部分、及び、下型82の凹部82bと凹部82cとの間では、加熱工程で加熱されたコア層20は、下型82の凹部82b、82cが形成された部分と同程度の表面温度に調整されている。しかし、キャビティの高さは、下型82の凹部82b、82cが形成された部分より小さくなっていることから、コア層20の圧縮率が凹部82b、82cが形成された部分より大きくなっている。この部分では、コア層20の上壁部21、下壁部22、及び側壁部23を構成する熱可塑性樹脂が溶融して左右に流れて一体化し、その厚みが圧縮部分91の中で最も薄くなっている。
図5(c)に示すように、型締めによって、コア層20及びスキン層30、40が下型82の凹部82a内に押し込まれると、下方に位置するスキン層40が上方のスキン層30側に折り曲げられて、その折り曲げられた部分がR形状となる。また、コア層20及びスキン層30、40が上型81の凸部81dで押されると、上方に位置するスキン層30が下方のスキン層40側に折り曲げられて、その折り曲げられた部分がR形状となる。
コア層20及びスキン層30、40は、中空構造体10の本体部50に対応する部分が相対的に低い表面温度に調整されており、中空構造体10の係止部60に対応する部分が相対的に高い表面温度に調整されている。そのため、スキン層30、40が折り曲げられるとき、中空構造体10の本体部50に対応する部分と、中空構造体10の係止部60に対応する部分との温度差が大きくなって、熱可塑性樹脂の溶融状態に差ができ、スキン層30、40の折り曲げられた部分が、小さなR形状となる。この部分は、中空構造体10の湾曲部32、42に対応する部分となる。
また、本体部50に対応する部分と、係止部60に対応する部分との温度差が大きいことから、本体部50に対応する部分の端部では、コア層20の端部側1列目のセルS及び端部側2列目のセルSが厚み方向に圧縮されている一方、端部側3列目のセルSは圧縮されておらず、その側壁部23は立設状態を維持している。そのため、本体部50に対応する部分の端部でもコア層20のハニカム構造が維持されて、ハニカム構造体としての強度が保持されている。
図5(d)に示すように、下型82から上型81を離間させた後、中空体90を下型82から取り出す。接合工程、中空体成形工程を経て得られた中空体90は、コア層20の上下両面にスキン層30、40が接合され、中空構造体10の本体部50に相当する大きさ、形状を有する部分の端部全周に亘って圧縮部分91が形成された形状となる。圧縮部分91は、本体部50に相当する部分の短手方向両側では、係止部60に相当する湾曲形状が圧縮部分91aとして長手方向全体に形成され、本体部50に相当する部分の長手方向両側では、平板状の圧縮部分が圧縮部分91bとして短手方向全体に形成されている。
次に、中空体90の端部の不要部分を切り落とすとともに、端面の形状を整えて中空構造体10を得る後加工工程について説明する。
図5(e)に示すように、中空体90に形成された圧縮部分91bを、図示しない切断冶具で切断する。また、圧縮部分91aのうち、長手方向両端部のそれぞれを同じ幅となるように残して、他の部分を切断する。残された圧縮部分91aは係止部60となる。
図2(a)及び(b)に示すように、圧縮部分91が切断された部分のうち、係止部60以外の部分では、スキン層30の端縁31とスキン層40の端縁41との間にコア層20の圧縮部20aが介在しており、スキン層30の端面33、スキン層40の端面43、及びコア層20の圧縮部20aによって、中空構造体10の本体部50の端面51が形成される。その後、切断された部分を研磨、塗装等して、端面51の形状を整える。なお、圧縮部分91を切断する切断冶具としてトムソン刃やレーザー等を使用した場合には、研磨、塗装等を必ずしも行わなくてもよい。
以上の各工程を経て、中空構造体10が得られる。
次に、中空構造体10の作用について、図6、図7に基づいて説明する。
中空構造体10は、長方形板状の本体部50と、本体部50の周縁に一体に形成された4つの湾曲板状の係止部60を備えており、係止部60は、本体部50の長側辺50aの両端部の位置で、本体部50の主面に沿って外方へ延びるように形成されている。
係止部60は、本体部50の周縁で中空構造体10を構成するコア層20を圧縮することにより形成されている。そして、係止部60には、コア層20の圧縮率が相対的に小さい先端係止部63及び基端係止部64と、コア層20の圧縮率が相対的に大きい中間ヒンジ部61及び基端ヒンジ部62が形成されている。また、先端係止部63には、下方へ凹むように湾曲した先端湾曲部65が形成され、基端係止部64には、下方へ凹むように湾曲した基端湾曲部66が形成されている。
先端係止部63及び基端係止部64では、コア層20の上壁部21、下壁部22、及び側壁部23を構成する熱可塑性樹脂が溶融して一体化した状態の圧縮部20aが、スキン層30、40と接合している。コア層20が圧縮部20aとなっていることから、本体部50に比べてその厚みが薄くなって、樹脂密度が高くなっている。そのため、強度が向上している。
また、中間ヒンジ部61及び基端ヒンジ部62では、圧縮部20aの圧縮率が先端係止部63及び基端係止部64より大きく、先端係止部63及び基端係止部64よりその厚みが薄くなっている。そのため、曲げ強度が向上しているとともに、先端係止部63及び基端係止部64が、中間ヒンジ部61又は基端ヒンジ部62を回動軸として回動可能に構成されている。
図6(a)及び(b)に示すように、中間ヒンジ部61を回動軸として先端係止部63を約180゜回動させると、先端係止部63が基端係止部64と対向配置され、先端湾曲部65と基端湾曲部66との間に空間が形成される。
図6(b)及び(c)に示すように、基端ヒンジ部62を回動軸として基端係止部64を約90゜回動させると、先端係止部63及び基端係止部64が本体部50に対して直交する方向に延びるように配置される。
図7(d)に示すように、中空構造体10を取り付けるための被係止部材70は長方形板状に形成されている。そして、その4隅に取付孔71が貫設形成されている。
図7(a)に示すように、被係止部材70に形成された取付孔71の位置に、中空構造体10の係止部60の位置を合わせる。矢印で示すように、先端湾曲部65及び基端湾曲部66の外面側から幅方向に力を掛けて、その間に形成された空間を潰すように押圧する。先端係止部63及び基端係止部64は、圧縮部20aが形成されていることにより強度を備えているとともに、先端湾曲部65及び基端湾曲部66が形成されていることにより空間方向に弾性変形可能である。図7(b)に示すように、先端係止部63及び基端係止部64が空間を狭めるように弾性変形して、取付孔71内に挿入される。
図7(c)に示すように、取付孔71を通過した係止部60は、先端係止部63及び基端係止部64が、先端湾曲部65及び基端湾曲部66の弾性復元力により元の形状に戻り、取付孔71に係止される。このようにして、中空構造体10の4隅に形成された係止部60のそれぞれが、被係止部材70の4隅に形成された取付孔71に係止されて、中空構造体10は被係止部材70に固定される。
なお、図7(a)~(c)では、中空構造体10を模式図として示しており、本体部50及び係止部60の断面形状の図示を省略している。これは、図8~図11でも同様である。
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の中空構造体10は、厚み方向に延びる側壁部23によって区画された複数のセルSを有する中空板状のコア層20と、コア層20の主面に設けられたスキン層30、40を備えている。中空構造体10は、複数のセルSが並設された中空板状の本体部50と、本体部50を被係止部材70に係止するための係止部60とを備えている。そして、係止部60は、本体部50の周縁で、コア層20がその厚み方向に圧縮された状態で、本体部50と一体に形成されている。
そのため、本体部50と一体に形成された係止部60を被係止部材70に係止すれば、中空構造体10を容易に取り付けることができる。被係止部材70に係止するために別部材を準備する必要がなく、被係止部材70への取付作業がし易い。
(2)係止部60には、中空板状のコア層20がその厚み方向に圧縮された圧縮部20aが形成されている。
そのため、係止部60は、本体部50に比べて合成樹脂の密度が高くなっており、強度的にも優れている。
(3)係止部60は、コア層20の圧縮率が異なる複数の部分を有している。上記実施形態では、コア層20の圧縮率が相対的に大きい中間ヒンジ部61及び基端ヒンジ部62と、コア層20の圧縮率が相対的に小さい先端係止部63及び基端係止部64を有している。
そのため、中間ヒンジ部61及び基端ヒンジ部62では、圧縮により樹脂が左右に流れて厚みが薄くなっており、先端係止部63及び基端係止部64より曲げ強度に優れている。中間ヒンジ部61及び基端ヒンジ部62を回動軸として先端係止部63及び基端係止部64を回動した場合に必要な強度を担保することができる。また、先端係止部63及び基端係止部64では、中間ヒンジ部61及び基端ヒンジ部62より弾性に優れている。先端係止部63及び基端係止部64での弾性変形が可能であり、取付孔71への取付作業が容易である。
このように、コア層20の圧縮率が異なる複数の部分を有していることにより、必要に応じて係止部の強度を部分的に高めたり、弾性を付与したりすることができる。
(4)係止部60には、厚み方向に弾性変形可能な湾曲部としての先端湾曲部65及び基端湾曲部66が形成されている。
そのため、被係止部材70に貫設された取付孔71に中空構造体10の係止部60を取り付ける場合、先端湾曲部65及び基端湾曲部66が弾性変形することによって係止部60が取付孔71内に挿入されて取付孔71に取り付けられる。クリップ等の取付治具がなくても、中空構造体10を被係止部材70に容易に取り付けることができる。
(5)係止部60は、コア層20の圧縮率が大きい中間ヒンジ部61と、コア層20の圧縮率が中間ヒンジ部61より小さい先端係止部63及び基端係止部64を備えている。そして、基端係止部64は本体部50に接続され、先端係止部63は中間ヒンジ部61を介して基端係止部64に接続されて、中間ヒンジ部61を回動軸として先端係止部63を基端係止部64方向に回動可能である。また、先端係止部63には先端湾曲部65が形成され、基端係止部64には基端湾曲部66が形成され、先端係止部63を基端係止部64方向に回動させると、先端湾曲部65及び基端湾曲部66は、その内面同士が離間する方向に湾曲した形状に形成されている。
そのため、先端係止部63を基端係止部64方向に回動させると、先端湾曲部65及び基端湾曲部66の間には空間が形成される。先端湾曲部65及び基端湾曲部66をその空間側に弾性変形させることによって、係止部60が取付孔71内に容易に挿入される。クリップ等の取付治具がなくても、中空構造体10を被係止部材70に容易に取り付けることができる。
(6)基端係止部64は、コア層20の圧縮率が先端係止部63を基端係止部64より大きい基端ヒンジ部62を介して本体部50に接続されている。そして、係止部60は、先端係止部63が中間ヒンジ部61を回動軸として約180゜回動され、基端係止部64が基端ヒンジ部62を回動軸として約90゜回動される。
そのため、中間ヒンジ部61を回動軸として先端係止部63を回動させ、中間ヒンジ部61を回動軸として先端係止部63を基端係止部64を回動させれば、係止部60は、本体部50に対して略直交する方向に接続された状態となる。板状の被係止部材70の厚み方向に貫設された取付孔71に対し、中空構造体10の本体部50に対して直交する方向に延びる係止部60を取り付ければ、板状の被係止部材70と板状の中空構造体10が積層された状態で固定することができる。
(7)中空構造体10の本体部50の端面51は、コア層20の圧縮部20aが、上側のスキン層30と下側のスキン層40との間に介在している。コア層20の圧縮部20aは、コア層20を構成する熱可塑性樹脂が溶融して冷却固化することにより、上壁部21、下壁部22、及び側壁部23が一体化された塊状となっている。
そのため、端面51の剛性が向上し、端面51の位置で本体部50に接続された係止部60の剛性が向上するとともに、中空構造体10の取付状態が安定する。
(8)中空構造体10の本体部50の端部では、コア層20の端部側1列目のセルS及び端部側2列目のセルSが厚み方向に圧縮されている一方、端部側3列目のセルSは圧縮されておらず、その側壁部23は立設状態を維持している。
そのため、本体部50の端部でもコア層20のハニカム構造が維持されて、ハニカム構造体としての強度が保持されている。
(9)中空構造体10を製造する際には、まず、コア層20及びスキン層30、40は加熱工程であらかじめ加熱した後、下型82上に載置する。そして、スキン層30、40の一方の主面には、熱可塑性樹脂製の接着層がコーティングされている。
そのため、コア層20にスキン層30、40が仮接合された状態となり、精度よく位置決めすることができる。
(10)本実施形態では、上型81及び下型82でのプレス成形により、接合工程と中空体成形工程とを同時に行っている。
そのため、工程が簡略化され、作業性、コスト面において有利である。
(11)上型81及び下型82には、吸引孔が複数形成されている。
そのため、型締め時にはコア層20及びスキン層30、40を、上型81及び下型82内部に位置決め状態で密着させることができ、上型81及び下型82のキャビティの形状に沿うように成形することができる。
(12)本実施形態の加熱工程では、遮蔽材を設置することにより、コア層20の表面温度が部位によって異なるように調整している。
そのため、その後に続く接合工程、中空体成形工程において、上型81及び下型82を加熱することなく、一度のプレス成形により、本体部50、係止部60といった、厚みの異なる部分を同時に成形することができる。工程が簡略化され、作業性、コスト面において有利である。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、係止部60は、係止部60の幅方向に延びる基端ヒンジ部62を介して基端係止部64が本体部50に接続されており、係止部60の幅方向に延びる中間ヒンジ部61を介して先端係止部63が基端係止部64に係止されているが、係止部60の構成はこれに限定されない。例えば、図8(a)に示すように、係止部60には基端係止部64のみが形成されており、基端係止部64の本体部50側の部分が薄肉化されていなくてもよい。つまり、基端ヒンジ部62が形成されていなくてもよい。この場合、湾曲部は基端湾曲部66の1箇所のみとなり、基端係止部64は回動しない。係止部60がこうした形状であっても、基端湾曲部66が弾性変形することにより取付孔に挿入して取り付けることができる。また、中空構造体10の本体部50の主面の延びる方向に取付孔が形成されているような被係止部材に取り付けることができる。
・図8(a)に示すように、係止部60が基端係止部64のみである場合に、基端係止部64の基端側に基端ヒンジ部62が形成されていてもよい。この場合、中空構造体10の本体部50の主面の延びる方向と交差する方向に取付孔が形成されているような被係止部材に取り付けることができる。
・図8(b)に示すように、係止部60が、中間ヒンジ部61の両側に先端係止部63と基端係止部64が形成され、先端係止部63及び基端係止部64のいずれか一方のみに湾曲部が形成されていてもよい。この場合も、先端係止部63を基端係止部64側に回動させると、先端係止部63及び基端係止部64のいずれか一方に形成された湾曲部と他方との間に空間が形成され、先端係止部63及び基端係止部64を押し潰すようにすれば、空間を狭めるように弾性変形させることができる。
・図8(b)に示すような場合も、基端係止部64の基端側に基端ヒンジ部62が形成されていてもよい。
・図8(c)に示すように、係止部60に湾曲部、ヒンジ部が形成されていなくてもよい。この場合でも、係止部60ではコア層20が圧縮された圧縮部20aが形成されてその強度が向上していることから、例えば、書籍等を収納する収納棚の棚板として適用することができる。収納棚の側板内面に取付段部が形成されていれば、その取付段部に中空構造体10の係止部60を載置するようにすればよい。
・係止部60が中空構造体10の本体部50の主面の延びる方向と同じ方向に延びており、本体部50の主面の延びる方向に取付孔が形成されているような被係止部材に取り付ける場合、中空構造体10の上に重量物を載せたりすると、係止部60がその重みに耐えられずに撓んだりすることが考えられる。係止部60の撓みを抑制して、その強度を向上させるために、図8(d)に示すように、湾曲部の上端同士を繋ぐような補強リブ67を形成してもよい。この場合、上型81の内部形状を変更して補強リブ67が一体成形されるようにすればよい。
・図8(e)に示すように、係止部60の下面側であって、係止部60と本体部50との接続部分に補強リブ68を形成してもよい。こうすると、係止部60がその基端部で補強され、係止部60の撓みがより抑制される。この場合、下型82の内部形状を変更して補強リブ68が一体成形されるようにすればよい。
・図8(f)に示すように、係止部60が本体部50の長手方向全体に亘って形成されていてもよい。また、係止部60が本体部50の短手方向全体に亘って形成されていてもよい。
・被係止部材に形成されるのは、取付孔でなくてもよい。例えば、取付凹部や段差等であってもよい。
・係止部60は、本体部50の長側辺50aの両端部に形成されているが、両端部以外でもよい。また、短側辺に形成されていてもよい。
・係止部60は、本体部50の主面に沿って外方へ延びるように形成されているが、これに限定されない。長側辺50aや短側辺に沿う方向に延びるように形成されていてもよい。
・上記実施形態では、接合工程及び中空体成形工程で、先端係止部63及び基端係止部64を成形して、弾性変形可能な先端湾曲部65及び基端湾曲部66を形成した。先端湾曲部65及び基端湾曲部66を弾性変形させる構成はこれに限定されない。例えば、図9(a)に示すように、先端係止部63における先端湾曲部65、基端係止部64における基端湾曲部66のそれぞれに、係止部60の幅方向に延びる溝69を後加工によって形成してもよい。溝69は、例えば刃物で所定深さに切断することによって形成することができる。この場合、図9(b)~(d)に示すように、被係止部材70に貫設された取付孔71に当接させ、係止部60を幅方向に押圧して取付孔71に挿入すれば、挿入後の係止部60は、その弾性復元力によって元の形状に復元することができる。
・係止部60は、先端係止部63を中間ヒンジ部61を回動軸として約180゜回動させて、先端係止部63の先端が基端係止部64の基端に当接した状態で、先端係止部63の先端と基端係止部64の基端とが動かないように、接着剤で接合したり、樹脂溶接したりしてもよい。なお、接着剤で接合したり、樹脂溶接したりする場合、必ずしも先端係止部63の先端が基端係止部64の基端に当接していなくてもよい。
・図10(a)に示すように、本体部50における係止部60との接合部分の近傍に、係止部60の先端が係合するための係合溝52を形成してもよい。これにより、中間ヒンジ部61、基端ヒンジ部62を回動軸として回動された先端係止部63及び基端係止部64では、図10(b)に示すように、先端係止部63の先端が係合溝52に係合してその位置決めをすることができる。また、先端係止部63の先端が、係合溝52内で移動可能となり、先端湾曲部65及び基端湾曲部66での弾性変形がし易くなる。
・図11(a)に示すように、係止部60における基端係止部64の基端側に、回動された先端係止部63の先端が係合するための係合凹部53を形成するようにしてもよい。これにより、先端係止部63の先端が係合凹部53に係合して位置決めされる。
・図11(b)に示すように、基端係止部64の基端側に形成された係合凹部53に、先端係止部63の先端が安定して係合されるような突起53aを形成してもよい。係合凹部53の開口部の両側面、或いは、開口部の周囲に突起53aを形成すれば、先端係止部63の先端が係合凹部53から抜け難くすることができる。
・上記実施形態の係止部60は、先端湾曲部65と基端湾曲部66の2つの湾曲部が形成されているが、湾曲部は3つ以上であってもよい。この場合、先端側の2つの湾曲部がヒンジ部を介して回動可能に形成されていてもよく、3つ以上の湾曲部がヒンジ部を介して回動可能に形成されていてもよい。
・係止部60は、圧縮部20aの主面を覆うようにスキン層30、40が接合されているがこれに限定されない。例えば、係止部60の外周が湾曲形状となっていたり、押しつぶされて端面封止がなされたりしていてもよい。こうすると、スキン層30、40の繊維が引っ掛かり難くなる。
・先端係止部63の先端部での圧縮率を大きくして、その厚みを薄くしてもよい。こうすると、係止部60の先端部の破損を抑制することができる。
・上記実施形態の係止部60は、中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62では、コア層20の圧縮率が大きく、先端係止部63と基端係止部64では、中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62より圧縮率が小さい。また、中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62でのコア層20の圧縮率は同程度であり、先端係止部63と基端係止部64でのコア層20の圧縮率は同程度であるが、これに限定されない。例えば、中間ヒンジ部61と基端ヒンジ部62でのコア層20の圧縮率が異なっていてもよい。また、先端係止部63と基端係止部64でのコア層20の圧縮率が異なっていてもよい。さらに、先端係止部63の中でコア層20の圧縮率が異なる部分が存在していてもよく、基端係止部64の中でコア層20の圧縮率が異なる部分が存在していてもよい。
・中空構造体10は、板状の本体部50を係止部60で被係止部材に固定するためのものであれば、収納箱、車両用のラゲッジボード、工事用の作業足場等、様々なものに適用することができる。
・中空構造体10の本体部50は、平坦な板状でなくてもよく、例えば湾曲板状であってもよい。また、表面に凹凸形状が形成されていてもよい。
・係止部60の位置、数は特に限定されない。被係止部材70の取付孔71の位置、数に応じて適宜設定することができる。
・本実施形態の中空構造体10の端部では、スキン層30、40がともに折り曲げられているが、端部でのスキン層30、40の形状はこれに限定されない。上側のスキン層30が折り曲げられており、下側のスキン層40が、その端部において折り曲げられることなく水平方向に向かって延びていてもよく、下側のスキン層40が折り曲げられており、上側のスキン層30が、その端部において折り曲げられることなく水平方向に向かって延びていてもよい。この場合、上型81及び下型82の形状を適宜に変更して対応することができる。
・コア層20の少なくともいずれか一方の主面に鋼板を接合して、中空構造体10の強度を向上させてもよい。また、鋼板ではなく、炭素繊維やガラス繊維等の引張弾性率の高い素材を含有してなる繊維強化樹脂製の薄板を接合してもよい。
・上記実施形態のスキン層30、40は、熱可塑樹脂製のシート材で構成したが、少なくともいずれか一方を不織布とすることもできる。スキン層30、40を不織布とする場合、一方の面に熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)製の接着層をコーティングし、接着層を介してコア層20に接合することができる。スキン層30、40を構成する不織布は、例えばポリアミド繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、レーヨン繊維、ガラス繊維などの従来公知の各種繊維で成形することができる。スキン層30、40をいずれも不織布とする場合、スキン層30とスキン層40とは同一の構成であってもよく、異なる構成であってもよい。
・スキン層30、40は、樹脂フィルムに印刷されたものであってもよい。中空構造体10の意匠性を向上させることができる。
・スキン層30、40は接着層を介してコア層20に接合されているが、接着層を省略することもできる。この場合でも、コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂が一部溶融して互いに接合される。
・コア層20は、一枚の第1シート材100を折り畳み成形して構成するのに限らない。例えば、複数の帯状のシートを所定間隔毎に屈曲させて配置してセルの側壁を構成し、これら帯状のシートの上下両側にシート層を配置してセルの上壁及び下壁を構成するようにしてもよい。
・上記実施形態では、コア層20の内部に六角柱状のセルSが区画形成されているが、セルSの形状は、特に限定されるものでない。例えば、四角柱状、八角柱状等の多角形状や円柱状としてもよい。また、セルSの形状は、接頭円錐形状であってもよい。その際、異なる形状のセルが混在していてもよい。また、各セルは隣接していなくともよく、セルとセルとの間に隙間(空間)が存在していてもよい。
・コア層20は、柱形状のセルSが区画されたものに限らない。例えば、所定の凹凸形状を有するコア層の上下両面にシート層を接合したものであってもよい。このような構成のコア層としては、例えば特開2014-205341号公報に記載のものが挙げられる。また、断面がハーモニカ状のプラスチックダンボール等であってもよい。
・上記実施形態では、一枚の第1シート材100を折り畳み成形して、コア層20の内部に六角形状のセルSが区画形成されたハニカム構造体としてのコア層20を形成したが、成形方法はこれに限定されない。例えば、特許第4368399号に記載されるように、断面台形状の凸部が複数列設された三次元構造体を順次折り畳んでいくことにより、ハニカム構造体としてのコア層20を形成してもよい。
・スキン層30、40は一層構造としたが、多層構造であってもよい。
・コア層20及びスキン層30、40を構成する熱可塑性樹脂として、各種機能性樹脂を添加したものを使用してもよい。例えば、熱可塑性樹脂に難燃性の樹脂を添加することにより、難燃性を高めることが可能である。コア層20及びスキン層30、40のすべてに対して各種機能性樹脂を添加したものを使用することも可能であり、また、コア層20及びスキン層30、40の少なくともいずれかに対して使用することも可能である。
・加熱工程での加熱は、加熱炉内での加熱ではなく、開放された環境下での加熱であってもよい。例えば、バーナーで加熱してもよいし、IHヒータで加熱してもよいし、赤外線ヒータで加熱してもよい。
・加熱工程の際、コア層20の上下両面にあらかじめスキン層30、40を位置決めした状態で加熱してもよい。こうすることで、コア層20に対してスキン層30、40が仮接合されて位置決めされ、スキン層30、40のずれが抑制される。
・上記実施形態では、加熱工程において、コア層20の表面に遮蔽材を設置することにより、コア層20の表面温度を部位によって異なるように調整した。これに限らず、スキン層30、40についても、加熱工程において、その表面温度を部位によって異なるように調整してもよい。
・加熱工程において遮蔽材を設置しなくてもよい。
・上記実施形態では、加熱工程において、コア層20の表面温度が部位によって異なるように調整した。これに代えて、または、これに加えて、接合工程、中空体成形工程において、表面の加熱温度を部位によって異なるように調整してもよい。この場合、上型81及び下型82の適宜の部分に、パンチングメタル、金網、鋼板等の遮蔽材を設置して熱を遮るようにする。本実施形態の加熱工程と同様、遮蔽材に形成された孔の大きさや数等を変えることによって、上型81及び下型82の適宜の部分の表面温度を調整することができる。
・上記実施形態では、スキン層30、40を接合する接合工程と、コア層20及びスキン層30、40を成形して中空体90を得る中空体成形工程とを同時に行っているが、別々に行ってもよい。
・接合工程、中空体成形工程で使用する上型81及び下型82には、吸引孔が複数形成されているものを使用したが、吸引孔の形状は特に限定されない。スリット状の吸引溝であってもよい。また、吸引孔の位置は適宜調整すればよい。例えば、係止部60に対応する部分に多く形成するようにしてもよい。
・上型81及び下型82は全体が加熱されることなく常温に保持されるようにしたが、上型81及び下型82を加熱してもよい。