JP7203621B2 - 引き戸装置 - Google Patents
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Description
このような引き戸装置においては、例えば前記吊りローラを、騒音防止等の配慮のため樹脂材を原材料として用いて形成することが一般的である。また例えば吊りローラの回転を円滑にするため潤滑剤(グリース)が用いられる場合があるが、これら樹脂材や潤滑剤等は何れも有機化合物であるため可燃性があり、これら可燃性のある部材、つまり可燃性部材(可燃性物質)が、火災発生の際に燃焼して火炎が発生する惧れがある。
さらには引き戸装置のなかには、戸体の開閉を、電動式の開閉装置(自動開閉装置)を備えた自動開閉方式(オートドア方式)のものがあり、また開放した戸体を自動的に閉鎖するための自閉装置を備えることで自閉方式にしたものがあるが、これら開閉装置や自閉装置等を構成するために必要な各種の部材装置には、前記樹脂材や油脂材等の可燃性部材が何らかの状態で用いられているのが一般的であり、火災発生時に、前述した場合と同様、これら可燃性部材が燃焼して火炎が発生する惧れがある。
一方で、このような引き戸装置において、戸体は、出入りをしない通常状態(平常状態、一般状態)では閉鎖(閉戸、閉扉)姿勢になっていることことが多いが、この戸体が閉鎖姿勢になった状態では、前記ケース体の戸袋側半部は、戸体がないため戸体の移動スペースが間隙部(空間部、空隙部)となって開口(開放)したままの状態になっている。
このため前記のような各種の部材装置をケース体内に配設するにあたり、その配設位置を戸袋側半部とした場合、火災時に燃焼した可燃性部材の火炎が前記ケース体の戸袋部側間隙部から直接吹き出たりすることになって延焼(類焼)を助長する等の問題がある。
そこで、前記部材装置のケース体内での配設位置を、戸体を閉鎖状態において該戸体がない戸袋部側ではなく戸体がある出入り口部側の半部にし、これによって火災時に発生した火炎が直接戸袋部側の間隙部から吹き出てしまうことがないよう配慮することになるが、このように配慮したとしても、火災発生時に、前記出入り口部側半部に配される可燃性部材が燃焼した際に発生した火炎が、ケース部内において出入り口部側から戸袋部側に至ったものが、さらに該戸袋部側の間隙部から外部に吹き出てしまう、ということが想定される。
そこで前記のような可燃性部材を有した部材装置を防火性(耐火性)があるカバー材で被覆するようにし、これによって火災発生時に可燃性部材の燃焼を回避(遅延)できるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
請求項2の発明は、戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、戸体の上端面部には、ケース体に内装の吊りレールを転動する複数の吊りローラが設けられ、これら吊りローラのうち最も戸尻側に位置する戸尻端側吊りローラは、ケース体内の出入り口部側部位に配される可燃性部材のうち、燃焼したときの火炎が戸袋部側に至る状態で燃焼可能な最も戸袋部側に位置する可燃性部材であり、遮炎体には、前記戸尻端側吊りローラ部位の上方を覆う上側覆い部が設けられていることを特徴とする引き戸装置である。
請求項3の発明は、遮炎体には、戸尻端側吊りローラ部位の正面側、背面側の少なくとも一方を覆う側面側覆い部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の引き戸装置である。
請求項4の発明は、遮炎体は、戸体側に取付けられていて戸体と一体に移動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の引き戸装置である。
請求項5の発明は、遮炎体には、戸尻端側吊りローラの戸尻側部位を覆う戸尻側覆い部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の引き戸装置である。
請求項6の発明は、戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、遮炎体は、ケース体側に取付けられた第一遮炎体と、戸体側に取付けられていて戸体と一体に移動する第二遮炎体とを備えて構成されることを特徴とする引き戸装置である。
請求項7の発明は、第一、第二遮炎体は、戸体が閉鎖姿勢の状態で面一状になって遮炎をする板面部同士を備えることを特徴とする請求項6記載の引き戸装置である。
請求項8の発明は、戸体の上端面部には、ケース体に内装の吊りレールを転動する複数の吊りローラが設けられ、これら吊りローラのうち最も戸尻側に位置する戸尻端側吊りローラは、ケース体内の出入り口部側部位に配される可燃性部材のうち、燃焼したときの火炎が戸袋部側に至る状態で燃焼可能な最も戸袋部側に位置する可燃性部材であり、第二遮炎体には、戸尻端側吊りローラの戸尻側部位を覆う戸尻側覆い部が設けられていることを特徴とする請求項6または7記載の引き戸装置である。
請求項9の発明は、戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、遮炎体は、ケース体側に取付けられていることを特徴とする引き戸装置である。
請求項10の発明は、戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、ケース体には、戸体の自動開閉を行うため電動式の開閉機と、該開閉機の駆動に伴い移動する伝動体が内装され、遮炎体には、伝動体が貫通するための間隙が設けられていることを特徴とする引き戸装置である。
請求項2の発明とすることにより、ケース体の出入り口部側内で発生した火炎が戸袋部側に至ることを遮炎体によって防止できることになって、防災機能が向上するが、この場合に、遮炎体は、ケース体内の出入り口部側部位に配される可燃性部材のうち最も戸袋部側の可燃性部材である戸尻端側吊りローラ部位の上方を上側覆い部で覆って遮炎することができて、遮炎効果の向上が図れることになる。
請求項3の発明とすることにより、遮炎体は、戸尻端側吊りローラ部位の正面側、背面側の少なくとも一方を側面側覆い部で覆って遮炎することができ、さらなる遮炎効果の向上が図れることになる。
請求項4の発明とすることにより、遮炎体自体が戸体と一体移動するため、移動する戸体に対応させた遮炎体とすることができると共に、遮炎体が戸体側だけの取付けで良いことになる。
請求項5の発明とすることにより、戸尻端側吊りローラの戸尻側部位を覆う戸尻側覆い部を設けることができることになって、優れた遮炎効果を発揮するものとなる。
請求項6の発明とすることにより、遮炎体が、ケース体側に設けられる第一遮炎体と、戸体側に設けられる第二遮炎体とにより分割されたものとして構成されるため、これら第一、第二遮炎体を、遮炎体をケース体内に組込む際にケース体内に配設される部材装置に邪魔されないよう拡開した形状にできることになって、さらなる遮炎効果の向上が図れることになる。
請求項7の発明とすることにより、遮炎体が、前記第一、第二の遮炎体で形成されながら、戸体が閉鎖した状態では第一、第二遮炎体の板面部同士が面一状になる結果、遮炎性能が損なわれることを有効に回避できることになる。
請求項8の発明とすることにより、戸尻端側吊りローラの戸尻側部位を覆う戸尻側覆い部を設けることができることになって、優れた遮炎効果を発揮するものとなる。
請求項9の発明とすることにより、遮炎体は、ケース体に設けられた不動のものとしても構成することができ、遮炎体を多様なものとして提供できることになる。
請求項10の発明とすることにより、戸体が電動式のものであった場合に必要となる伝動体を回避した状態の遮炎体を提供できることになって、電動式の引き戸装置においても効果的な遮炎が図れることになる。
尚、前後方向の定義づけについて、便宜上、「正面」側を後述するケース体2の「正面板2b」側、「背面」側をケース体2の「背面板2c」側として説明するが、例えば前後方向一方側、前後方向他方側として記載(表現)することができるものであって、前記記載に限定されるものではないことは言うまでもない。
尚、2fは前記正面板2bと下面板2dの正面側半部とを着脱自在に支持するためのビスである。また、戸体1の上端面部1aには、上ケース下面板2dの間隙部S側端縁に形成した起立片部2gに対して相决り状態となって防火機能を付与するための垂下片部1cが下方に延出する状態で設けられている。
尚、前記縦板状の防火板5bの下端縁部には、後述する吊りレール4におけるレール部4cの下側に位置するよう折曲形成された下側の防火板5dが設けられていて、更なる防火機能の向上を図ることができるようになっている。
尚、吊りレール4のレール部4cの下面部には、吊りローラ3が吊りレール4から外れるのを防止するための外れ防止材4eがさらに設けられている。
因みに、前記吊りローラ3は、前述したように戸尻側、戸先側において、左右一対のものがそれぞれブラケット3aを介して戸体上端面部1aに取付けられることになるが、戸尻側のブラケット3aに支持される左右一対の吊りローラ3のうちの戸尻側の吊りローラ3、つまり本実施の形態において4個ある吊りローラ3のうち、最も戸尻側の吊りローラ3については、以降、これを特定(限定)して説明する必要がある場合、「戸尻端側吊りローラ3b」と記載するものとする。
そして本実施の形態では、この戸尻端側吊りローラ3bが、ケース体2内の出入り口部D側半部(部位)において、燃焼したときに発生する火炎が戸袋部T側に至る可能性(惧れ)のある可燃性部材として設定されている。
尚、自閉装置本体9の戸先側には電源ボックス7aが設けられている。
因みに本実施の形態の自閉装置としては、引き戸装置が自動開閉式であるため、可動体9aが常時戸尻側端縁部に位置したものとし、そして火災等の異常が発生した場合に、これを受けて可動体9aを戸体1が閉鎖する戸先側に強制移動させるように構成して、開放姿勢の戸体1を閉鎖させるようにこうしたものを採用しているが、これに限定されないものであることは言うまでもない。
そして例えば、戸体1が手動開閉方式の引き戸装置のものである場合、戸体1が閉鎖している通常状態においては、連結ワイヤ9bが自閉装置本体9に引き込まれた状態になって可動体9aが作動金具1dに対して戸尻側から当接する状態になっており、この状態から戸体1が開放作動をすると、該戸体1と一体移動する作動金具1dが可動体9aに当接する状態となって該可動体9aが連結ワイヤ9bを引き出しながら戸尻側に移動する。そして例えば開放作動している戸体1が全開位置あるいは中途開位置で停止してから所定のタイマ時間(例えば5秒間や10秒間等)経過したことを受けて自閉装置本体9による連結ワイヤ9bの巻取り作動がなされ、これによって開放している戸体1の自閉作動を行うように構成したものを採用することができる。
つまり前記遮炎部11bは、戸体1の戸尻側端縁1bと前記戸尻端側吊りローラ3bとのあいだに配設される四角板形状をしたものであって、戸尻端側吊りローラ3bの戸袋部T側部位を中心部位(基準部位)とする状態で、該戸尻端側吊りローラ3b部位からケース体2の上面板2a側、並びに背面板2c側に向くよう拡開した板面部を有するものであり、さらに具体的には、上端縁11dが伝動チエン8の上半部よりも上側にあって前記ブラケット9cの下端面に近接し(下端面の近傍に位置し)、正面側縦端縁11eが戸尻端側吊りローラ3bよりも正面側にあって伝動チエン8に近接し(伝動チエン8の近傍)、背面側縦端縁11fが吊りレール4の基部4aに近接または当接する状態で補助枠材5a(躯体側)に設けた縦板状の防火板5bに近接し(防火板5bの近傍)、下端縁11gが吊りレール4のレール部4cに近接した(レール部4cの近傍)位置にそれぞれあり、そして左右移動する吊りローラ3の邪魔にならないよう正面側縦端縁11eと下端縁11gとのあいだのコーナー部位が逆L字形に切欠かれた切欠き部を構成する切欠き上端縁11h、切欠き縦端縁11iが形成されたものになっており、これによって、第一遮炎体11よりも戸先側で発生した火炎が該第一遮炎体11部位を越えて戸袋部T側に至るように吹き出た場合に、戸尻端側吊りローラ3bの上側及び背面側の火炎は、該第一遮炎体11により遮炎されることになって戸袋部T側への吹出しを防止する構成になっている。尚、基部11aにはボルト11cを貫通するための貫通孔11jが形成されている。
さらに具体的には、正面板2bに近接する側に至って近接状態で対向する正面側縦端縁12dと、伝動チエン8よりも背面側に位置する状態で該伝動チエン8の上半部位置と略同高さか該上半部位置よりも高位であって前記第一遮炎体11の上端縁11dと略同高さの正面側上端縁12eと、第一遮炎体11の下端縁11gよりも低位であって戸体1の上端面部1aに近接対向する下端縁12fと、伝動チエン8に対して正面側から近接対向する背面側上半縦端縁12gと、伝動チエン8の下半部に対して下側から近接対向する中間側上端縁12hと、該中間側上端縁12hに対して段差状に高くなり、戸尻端側吊りローラ3bよりも上側に位置する状態で第一遮炎体11の切欠き上端縁11hに近接対向する背面側上端縁12uと、戸尻端側吊りローラ3bよりも背面板2c側に位置していて第一遮炎体11の切欠き部11hの縦端縁に近接対向する背面側中間縦端縁12iと、該背面側下半縦端縁12iと下端縁12fとのあいだのコーナー部においてレール部4cが内嵌するよう凹溝状に切欠かれた切欠き部12jと、該切欠き部12jの下端縁から続く状態で、前記下側の防火板5dに近接対向する背面側下縦端縁12tとを備えたものとして形成されている。
尚、本実施の形態では、背面側下半縦端縁12iの切欠き部12jより下側縁は、吊りレール4の基部4aとレール部4cとのコーナー部形状に対応すべく背面板2c側への突出量が短いものになっている。
そしてこのように構成することで、第一遮炎体11の正面側縦端縁11eと、第一遮炎部12aの背面側上半縦端縁12gと、中間側上端縁12hとにより、上側が開口した状態で伝動チエン8が貫通するための間隙Vが形成されている。
因みにこのものでは、吊りレール4のレール部4cに、前記切欠き部12jの上端縁12vと対向するよう突片部4fが上方に向けて延出されたものとなっていることで、該突片部4fは、戸尻端側吊りローラ3bが燃焼した場合に発生する火炎が背面板2c側に至るのを遮炎する機能を有しているが、該突片部4fは、第一遮炎体11の下端縁11g側に設けられたものであってもよい。
一方、縦片部12mは、前記ボルト12cを介して戸尻側のブラケット3aに取付けるための貫通孔12qが形成されているが、該縦片部12mの戸先側端縁12oが戸尻端側吊りローラ3bの戸先側端部位に位置し、下端縁12pが吊りレール4におけるレール部4cのレール面4d側半部よりも下側に位置していて戸体上端面部1aに近接対向していることで、戸尻端側吊りローラ3bの正面側部位を覆うようになっていて、該戸尻端側吊りローラ3bの正面側覆い部を構成しているが、縦片部12mの下端縁12pは、さらに下方に延出していて、戸体1の上端面部1aに近接または当接していてもよい。
そして第二遮炎部12bをこの様に構成することにより、戸尻端側吊りローラ3bの上面側および正面側を覆うように構成し、これによって戸尻端側吊りローラ3bが燃焼したときの火炎の該方向からの吹出しを防止する構造になっている。
尚、第二遮炎部12bには、該第二遮炎部12bを第一遮炎部12aに溶着するための熔着片12r、12sが形成されている。そのうちの一方の熔着片12rが垂下する上片部12kの戸尻側端縁12wは、前記第一遮炎部12aの背面側上端縁12uに対して上側からオーバーラップする状態となって設けられていることで、該背面側上端縁12uと一体化した(同じ位置に位置する)状態になっているが、前記戸尻側覆い部Wは、この戸尻側端縁12w(背面側上端縁12u)から垂下する状態で設けられている。
しかもこの場合に遮炎体10は、仮に火炎が戸袋部側に至る状態で燃焼する惧れがある可燃性部材が複数あったとして、このような可燃性部材のうち、最も戸尻側に位置する可燃性部材である戸尻端側吊りローラ3bの戸尻側に配されているため、個々の可燃性部材に対応して遮炎体を設けなくても効果的な遮炎をすることができる。
しかもこのものでは、第二遮炎体12には、戸尻端側吊りローラ3bの正面側に位置する状態で縦片部12mが設けられていて、該戸尻端側吊りローラ3bの正面側覆い部としての機能を呈することになるため、火炎が正面側に吹き出ることも低減できることになって、遮炎効果の向上が図れることになる。
そのうえ第二遮炎体12は、戸体1側に設けられたものとなって戸体1と共に移動する(可動する)ため、戸尻端側吊りローラ3bの戸尻側に、背面側上端縁12u、背面側下半縦端縁12i、そして切欠き部12jの上端縁12vによって形成される板面部が戸尻端側吊りローラ3bの戸尻側覆い部Wとして設けたとしても、戸尻端側吊りローラ3bの移動に影響がなく、この結果、遮炎体10を移動する戸体1に対応させたものにでき、特に戸尻側覆い部Wによる遮炎効果も大いに期待でき、防災機能が向上する。
そしてこのように、戸尻端側吊りローラ3bの上側、正面側、背面側、そして戸袋部T側が、上側覆い片部10j、正面側覆い片部10k、背面側覆い片部10i、そして戸尻側覆い部Wが設けられたものとなっているため、戸尻端側吊りローラ3bが燃焼した場合の火炎がこれら周囲に吹き出るのを効果的に遮炎できることになる。
そしてこの場合に、横板状の防火板5cの正面側端縁を下方に延出した構成にして戸体1の上端縁部に対して背面側で対向する呑み込み片部5eが設けられたものになっているのに対して、前記延出遮炎部Zは、この呑み込み片部5eに近接対向する位置にまで至るよう長く延出したものになっており、このようにすることで、遮炎効果がさらに向上するよう配慮している。
因みに、戸尻端側吊りローラ3bを前記覆う部材としては、該戸尻端側吊りローラ3bの下側を吊りレール4で覆う構成にしているため、別途下側を覆う必要がないが、吊りローラ4の構造によっては下側を覆うための部材を設けた構成にしてもよい。
そしてこのような遮炎効果を発揮するため、前記各実施の形態のものを提示しているが、遮炎体の上端縁(前記各実施の形態においては、例えば引出符号10c、11d、12eの各上端縁が該当する。)を、必要においてさらに上方に延設して上側に位置する部材、例えば上面板2aに当接するまでのあいだの任意の位置まで延出したものにすることができ、また同様にして、下端縁(前記各実施の形態においては、例えば引出符号11g、12fの各下端縁が該当する。)についても、該下端縁の下側に位置する部材(例えば第一遮炎体11の下端縁11gであれば吊りレール4のレール部4c)に当接するまでのあいだの任意の位置まで延出したものにすることができ、正面側、背面側の縦端縁(前記各実施の形態においては、例えば引出符号10b、10e、11a、12dの各縦端縁が該当する。)についても、該対応する側に位置する部材(例えば正面板2bや背面板2c)に当接するまでのあいだの任意の位置まで延出したものにすることができることは言うまでもない。
この場合に、各端縁の形状は直線である必要はなく、近接又は当接する部材に対応する等して凹凸形状にしてもよい。
1a 上端面部
1b 戸尻側端縁
2 ケース体
3 吊りローラ
3b 戸尻端側吊りローラ
4 吊りレール
6 開閉機
8 伝動チエン
10 遮炎体
10i 背面(側面)側覆い片部
11 第一遮炎体
11b 遮炎部(板面部)
12 第二遮炎体
12a 第一遮炎部(板面部)
12b 第二遮炎部
12k 上片部(上面側覆い部)
12m 縦片部(側面側覆い部)
D 出入り口部
S ケース体の間隙部
T 戸袋部
V 伝動チエン用の間隙
W 戸尻側覆い部
Claims (10)
- 戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、
前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、
戸体の上端面部には、ケース体に内装の吊りレールを転動する複数の吊りローラが設けられ、これら吊りローラのうち最も戸尻側に位置する戸尻端側吊りローラは、ケース体内の出入り口部側部位に配される可燃性部材のうち、燃焼したときの火炎が戸袋部側に至る状態で燃焼可能な最も戸袋部側に位置する可燃性部材であり、
遮炎体は、前記戸尻端側吊りローラの戸尻側部位を中心として上下両側、正面側、および背面側の四方の遮炎をする板面部を備えることを特徴とする引き戸装置。 - 戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、
前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、
戸体の上端面部には、ケース体に内装の吊りレールを転動する複数の吊りローラが設けられ、これら吊りローラのうち最も戸尻側に位置する戸尻端側吊りローラは、ケース体内の出入り口部側部位に配される可燃性部材のうち、燃焼したときの火炎が戸袋部側に至る状態で燃焼可能な最も戸袋部側に位置する可燃性部材であり、
遮炎体には、前記戸尻端側吊りローラ部位の上方を覆う上側覆い部が設けられていることを特徴とする引き戸装置。 - 遮炎体には、戸尻端側吊りローラ部位の正面側、背面側の少なくとも一方を覆う側面側覆い部が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の引き戸装置。
- 遮炎体は、戸体側に取付けられていて戸体と一体に移動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の引き戸装置。
- 遮炎体には、戸尻端側吊りローラの戸尻側部位を覆う戸尻側覆い部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の引き戸装置。
- 戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、
前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、
遮炎体は、ケース体側に取付けられた第一遮炎体と、戸体側に取付けられていて戸体と一体に移動する第二遮炎体とを備えて構成されることを特徴とする引き戸装置。 - 第一、第二遮炎体は、戸体が閉鎖姿勢の状態で面一状になって遮炎をする板面部同士を備えることを特徴とする請求項6記載の引き戸装置。
- 戸体の上端面部には、ケース体に内装の吊りレールを転動する複数の吊りローラが設けられ、これら吊りローラのうち最も戸尻側に位置する戸尻端側吊りローラは、ケース体内の出入り口部側部位に配される可燃性部材のうち、燃焼したときの火炎が戸袋部側に至る状態で燃焼可能な最も戸袋部側に位置する可燃性部材であり、
第二遮炎体には、戸尻端側吊りローラの戸尻側部位を覆う戸尻側覆い部が設けられていることを特徴とする請求項6または7記載の引き戸装置。 - 戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、
前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、
遮炎体は、ケース体側に取付けられていることを特徴とする引き戸装置。 - 戸体と、戸先側の出入り口部と戸尻側の戸袋部との上端部間に亘って設けられ、下端縁が間隙部を存するようにして形成されたケース体とを備え、戸体の上端縁部が前記間隙部に遊嵌する状態で戸体が左右移動することにより出入り口部の開閉をするように構成した引き戸装置において、
前記出入り口部側のケース体内に、ケース体の出入り口部側内部で発生した火炎が戸袋部側に至るのを遮炎する遮炎体を設けるにあたり、
ケース体には、戸体の自動開閉を行うため電動式の開閉機と、該開閉機の駆動に伴い移動する伝動体が内装され、遮炎体には、伝動体が貫通するための間隙が設けられていることを特徴とする引き戸装置。
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