ところで、従来の防火戸では、ドアが引分け式の引戸の場合、2つの引戸の召し合わせ部に隙間が形成され、ドアが片引き式の引戸の場合、引戸と縦枠との間に隙間が形成される。これら隙間は、2つの引戸同士、あるいは引戸と縦枠との衝撃を緩和するために設けられる戸当たりゴムによる隙間であって、隙間の上方の開口部は、無目の内部に連通している。このため、建物内に設置している防火戸の周囲で火災が発生した場合、熱風がこれら隙間を介して無目の内部に入り込む場合がある。
一方、熱風は、2つの引戸の召し合わせ部の隙間や引戸と縦枠との隙間を介して火炎にさらされていない側に通過する場合がある。この場合、熱風は、火炎にさらされていない低温の空気に触れることにより急激に温度が低下するため、その温度が低下した熱風が無目の内部に入り込んでも無目の内部の温度が過度に上昇することが抑制される。また、2つの引戸の召し合わせ部や引戸と縦枠との隙間内において熱風が上昇する場合、熱風が火炎にさらされていない外気に触れることなく、隙間の上方の開口部を経て無目の内部に入り込む。このため、高温を維持した熱風が無目の内部に入り込んでしまう場合がある。
また、従来の防火戸として、駆動部によりドアが駆動される自動開閉式の防火戸は、ドアの周囲の動体および静止体の少なくとも一方を検出するセンサを備え、そのセンサの検出結果に基づき、駆動部がドアの開閉動作を制御する。センサの配線は、例えば、無目に形成された配線用孔を介して無目の内部に引き込まれる。このため、防火戸の周囲で火災が発生したとき、配線用孔を介して熱風が無目の内部に入り込むおそれがある。なお、センサの配線以外にも、駆動部に接続される信号線、通信線等の配線が配線用孔を介して無目の内部に引き込まれる場合、同様の問題が生じる。
このように、防火戸には、火炎にさらされている側の空間と無目の内部とを連通する空気通路が存在するため、防火戸の周囲で火災が発生したとき、熱風はその空気通路を介して無目の内部に入り込むおそれがある。なお、配線用孔に関する課題に関しては、引戸に限られず、開戸または折戸を有する防火戸についても同様の問題が生じると考えられる。
そこで、本発明は、温度が過度に高い熱風が無目の内部に入り込みにくい防火戸を提供することを目的とする。
〔1〕本発明の一形態に従う防火戸は、ドアと、前記ドアを駆動する駆動部と、前記駆動部を収容する収容空間を有し、前記ドアの上方に配置された無目と、加熱されることにより膨張して、前記収容空間と連通する空気通路における前記収容空間と連通する側の開口部を閉塞する発泡材と、前記開口部と間隔を置いて対向して設けられる規制部材とを備える。
この構成によれば、防火戸の周囲で火災が発生したとき、発泡材が加熱されて膨張するため、収容空間に連通する空気通路の開口部を閉塞する。このため、温度が過度に高い熱風が収容空間に入り込むことを抑制することができる。加えて、発泡材が膨張したときに規制部材が発泡材を受けることにより、開口部と対向する部分の発泡材の膨張を規制する。これにより、発泡材における開口部と対向する部分の密度が発泡材の他の部分の密度よりも高くなるため、発泡材から熱風が収容空間側に漏れ出して収容空間に入り込むことを抑制することができる。
〔2〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記ドアは、引き分け式となる第1引戸および第2引戸を有し、前記空気通路は、前記第1引戸と前記第2引戸との召し合わせ部に形成される隙間を含み、前記開口部は、前記隙間において上方に向けて開口する部分であり、前記規制部材は、前記空気通路よりも上方に配置され、かつ、前記開口部と間隔を置いて対向して設けられ、前記発泡材は、前記召し合わせ部と前記規制部材との間に設けられる。
この構成によれば、発泡材が加熱されて膨張したとき、空気通路の開口部となる第1引戸と第2引戸との間の隙間の上方の開口部が発泡材により閉塞される。このため、第1引戸と第2引戸との間の隙間に入り込んだ熱風が上昇して収容空間に入り込むことを抑制することができる。加えて、第1引戸と第2引戸との間の隙間の上方の開口部と収容空間とを連通する部分では、規制部材により発泡材の上方への膨張が規制された状態で発泡材により閉塞される。このため、第1引戸と第2引戸との間の隙間の上方の開口部と収容空間とを連通する部分における発泡材の密度が高まるため、発泡材から熱風が収容空間側に漏れ出して収容空間に入り込むことを抑制することができる。
〔3〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記発泡材は、前記第1引戸側の前記召し合わせ部により下方から支持される第1発泡材と、前記第2引戸側の前記召し合わせ部により下方から支持される第2発泡材とを有する。
この構成によれば、空気通路の開口部となる第1引戸および第2引戸の召し合わせ部の隙間の上方の開口部の両側に発泡材が位置するため、発泡材が膨張するとき、開口部を閉塞しやすくなる。このため、開口部を閉塞する発泡材の密度が高くなり、熱風が発泡材から収容空間側に漏れ出すことを一層抑制することができる。加えて、各発泡材が召し合わせ部により下方から支持されることにより各発泡材がその自重により召し合わせ部から剥がれることを抑制することができる。
〔4〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記召し合わせ部は、前記第1引戸および前記第2引戸の一方に形成され、他方に向けて突出する凸部と、前記第1引戸および前記第2引戸の他方に形成され、前記凸部が入り込むことが可能な凹部とを有し、前記第1発泡材および前記第2発泡材のそれぞれは、前記召し合わせ部の凹凸形状に沿った形状である。
この構成によれば、第1引戸および第2引戸の召し合わせ部の凹凸形状に沿って発泡材が取り付けられるため、発泡材が空気通路の開口部となる第1引戸および第2引戸の召し合わせ部の隙間の上方の開口部に近接して配置することができる。このため、召し合わせ部の複雑な開口部の形状に対しても発泡材が膨張して開口部を十分に閉塞することができる。
〔5〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記規制部材は、熱膨張により前記第1引戸および前記第2引戸が上方に伸長した場合に前記発泡材が前記召し合わせ部と前記規制部材との間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。
発泡材の膨張を規制して発泡材の密度を高めるためには、規制部材が発泡材の近くに配置されることが好ましい。このため、規制部材は、召し合わせ部の上方において召し合わせ部の近くに配置することが考えられる。
一方、各引戸は、熱膨張により上方に伸長する。このため、規制部材が召し合わせ部の上方において召し合わせ部の近くに配置された場合、各引戸が熱膨張により上方に伸長するときに規制部材と干渉し、規制部材が撓んでしまうおそれがある。
このような事情のもと、本願発明者は、各引戸が熱膨張により上方に伸長した状態を基準として、その状態の召し合わせ部に対して規制部材を近くに配置できるような位置に規制部材を配置することを知見した。
そして、〔5〕の構成のように規制部材を配置することにより、加熱されて膨張した発泡材が規制部材により上方への膨張が規制されるため、開口部を閉塞する発泡材の密度を高めることができるとともに、規制部材と召し合わせ部とが干渉することにより規制部材が撓むことを抑制することができる。
〔6〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記無目を支持する縦枠をさらに備え、前記ドアは、片引きの引戸であり、前記引戸の戸先は、前記縦枠に形成された凹部に入り込むことが可能であり、前記空気通路は、前記引戸の駆動方向において前記引戸の戸先と前記縦枠の前記凹部との間に形成される隙間であり、前記開口部は、前記空気通路の上方に向けて開口するように形成され、前記規制部材は、前記開口部よりも上方に間隔を置いて配置され、前記発泡材は、前記引戸が全閉状態において、前記引戸の戸先と前記規制部材との間に設けられる。
この構成によれば、発泡材が加熱されて膨張したとき、空気通路の開口部となる引戸の戸先と縦枠の凹部との間の隙間の上方の開口部が発泡材により閉塞される。このため、引戸の戸先と縦枠の凹部の間の隙間に入り込んだ熱風が上昇して収容空間に入り込むことを抑制することができる。加えて、引戸の戸先と縦枠の凹部との間の隙間と、収容空間とを連通する部分では、規制部材により発泡材の密度が高まるため、発泡材から熱風が収容空間側に漏れ出して収容空間に入り込むことを抑制することができる。
〔7〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記発泡材は、前記引戸の戸先により下方から支持されている。
この構成によれば、発泡材が引戸の戸先により下方から支持されるため、発泡材の経年劣化に起因して発泡材の自重により、発泡材が取り付けられた部分から発泡材が剥がれることを抑制することができる。
〔8〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記規制部材は、熱膨張により前記引戸が上方に伸長した場合に前記発泡材が前記引戸と前記規制部材との間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。
この構成によれば、引戸が熱膨張により上方に伸長した状態の引戸の上部に対して規制部材を近くに配置できるような位置に規制部材を配置するため、上記〔5〕の効果と同様に、開口部を閉塞する発泡材の密度を高めることができるとともに、規制部材と引戸とが干渉することにより規制部材が撓むことを抑制することができる。
〔9〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記規制部材は、前記無目と前記引戸との間において、前記引戸の駆動方向における前記縦枠と隣り合う端部において、前記引戸よりも上方に間隔を置いて配置された端部規制部材をさらに含み、前記端部規制部材は、前記引戸の駆動方向において前記縦枠と接触し、前記発泡材は、前記端部規制部材と前記引戸の戸先との間に設けられた端部発泡材をさらに含む。
例えば、規制部材が縦枠の凹部に収容された場合、規制部材は縦枠の凹部と引戸の戸先における凹部に入り込む部分との間の隙間を閉塞する発泡材の密度を高めることに寄与する一方、縦枠の凹部以外の部分と引戸の戸先との間の隙間を閉塞する発泡材の密度を高めることには寄与しない。また発泡材が縦枠の凹部以外の部分と引戸の戸先との間の隙間を閉塞できない場合がある。
そこで、〔9〕の構成によれば、端部発泡材が加熱されて膨張したとき、縦枠の凹部以外の部分と引戸の戸先との間の隙間を端部発泡材により閉塞される。このため、縦枠の凹部以外の部分と引戸の戸先との間の隙間に入り込んだ熱風が上昇して収容空間に入り込むことを抑制することができる。加えて、縦枠の凹部以外の部分と引戸の戸先との間の隙間と、収容空間とを連通する部分では、端部規制部材が端部発泡材の上方への膨張を規制することにより端部発泡材の密度が高まる。このため、端部発泡材から熱風が収容空間側に漏れ出して収容空間に入り込むことを抑制することができる。
〔10〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記端部発泡材は、前記引戸の戸先により下方から支持されている。
この構成によれば、発泡材が引戸の戸先により下方から支持されるため、発泡材がその自重により引戸の戸先から剥がれることが抑制される。
〔11〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記端部規制部材は、熱膨張により前記引戸が上方に伸長した場合に前記端部発泡材が前記引戸と前記端部規制部材との間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。
この構成によれば、引戸が熱膨張により上方に伸長した状態の引戸の上部に対して端部規制部材を近くに配置できるような位置に端部規制部材を配置するため、上記〔5〕の効果と同様に、開口部を閉塞する端部発泡材の密度を高めることができるとともに、端部規制部材と引戸とが干渉することにより端部規制部材が撓むことを抑制することができる。
〔12〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記ドアと前記無目との間における前記空気通路には、煙返しが設けられ、前記煙返しは、前記ドアに設けられ、水平に延びる上側水平片および前記上側水平片の縁から下方に延びる下方垂直片を含むドア側煙返し片と、前記無目における前記上側水平片よりも下側に設けられ、水平に延びる下側水平片および前記下側水平片の縁から上方に延び、前記下方垂直片と前後方向に対向する上方垂直片を含む無目側煙返し片とを有し、前記開口部は、前記煙返しの前記収容空間側の開口部であり、前記ドア側煙返し片と前記無目側煙返し片との間には、外側発泡材が設けられ、前記発泡材は、前記空気通路において前記煙返しよりも前記収容空間側に設けられ、前記ドアと前記無目との間に設けられた内側発泡材を含み、前記規制部材は、前記無目において前記内側発泡材よりも上方に設けられ、前記内側発泡材と対向する内側規制部材を含む。
この構成によれば、例えば火災初期において、外側発泡材が加熱されて膨張することにより空気通路における無目から離れた部分の隙間を閉塞し、その後、ドアが熱膨張により上方に伸長したときに内側発泡材が加熱されて膨張することにより空気通路における無目に近い部分の隙間を閉塞する。このように、収容空間に連通する空気通路における2箇所において発泡材により空気通路が閉塞可能となるため、空気通路に入り込んだ熱風が収容空間に入り込むことを一層抑制することができる。
〔13〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記外側発泡材は、前記無目側煙返し片の前記下側水平片により下方から支持され、前記内側発泡材は、前記ドア側煙返し片の前記上側水平片により下方から支持される。
この構成によれば、外側発泡材が下側水平片により下方から支持され、内側発泡材が上側水平片により下方から支持されるため、各発泡材がその自重により煙返しから剥がれることを抑制することができる。
〔14〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記無目には、前記駆動部に接続される配線が通過する配線用孔が形成され、前記空気通路は、前記配線用孔を含み、前記開口部は、前記配線用孔の開口部であり、前記規制部材は、前記配線用孔と間隔を置いて対向して設けられ、前記発泡材は、前記配線用孔と前記規制部材との間に設けられる。
この構成によれば、発泡材が加熱されたとき、規制部材により配線用孔側とは反対側に発泡材が膨張することが規制されるため、発泡材は、配線用孔に向けて膨張しやすくなる。このため、発泡材により配線用孔を閉塞しやすくなる。
〔15〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記規制部材は、前記無目の前記収容空間内に配置され、前記発泡材は、前記規制部材において前記配線用孔側の面に取り付けられる。
この構成によれば、発泡材により配線用孔からの熱風が規制部材側に入り込むことが抑制されるため、熱風が規制部材に直接的に当たることが抑制される。
〔16〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記発泡材は、前記配線用孔と対向し、かつ、前記配線用孔の開口面積以上の面積を有する。
例えば、発泡材が配線用孔を取り囲む環状に形成された場合、発泡材が加熱されたとき、発泡材が環状の中心まで膨張しない、または、発泡材が環状の中心まで膨張したとしても配線用孔と対向する環状の中心の発泡材の密度が低くなるおそれがある。また、配線用孔と対向する発泡材の面積が配線用孔の開口面積よりも小さいと、発泡材が配線用孔を十分に閉塞できないおそれがある。
その点、〔16〕の構成によれば、発泡材が加熱されて膨張したとき、発泡材が配線用孔と対向するため、配線用孔に向けて膨張する。加えて、発泡材の面積が配線用孔よりも大きいため、配線用孔を十分に閉塞することができる。
〔17〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記無目は、前記収容空間を開閉する開閉カバーをさらに備え、前記規制部材は、前記開閉カバーを支持している。
この構成によれば、開閉カバーを支持する支持部材を規制部材とは個別に形成した構成と比較して、防火戸の部品点数を減らすことができる。
〔18〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記無目は、前記縦枠にボルトにより連結され、前記規制部材は、前記縦枠と前記無目とにより挟み込まれ、前記縦枠を支持する補強部材である。
この構成によれば、補強部材を規制部材とは個別に形成する構成と比較して、防火戸の部品点数が減り、かつ、規制部材および補強部材の取り付け作業を減らすことができる。
〔19〕上記防火戸に従属する一形態によれば、前記内側規制部材は、前記端部規制部材を含む。
この構成によれば、内側規制部材と端部規制部材とを個別に形成する場合と比較して、防火戸の部品点数を減らすことができる。
本発明にかかる防火戸によれば、温度が過度に高い熱風が無目の内部に入り込みにくくなる。
(第1の実施形態)
以下、図1〜図8を参照して、第1の実施形態の防火戸について説明する。なお、図2〜図8において、便宜上、発泡材を網掛けにより示している。第1の実施形態の防火戸1は、図1に示されるように、引分け式の防火戸である。
図1に示されるように、防火戸1は、建物に形成された長方形状の間口200の長手方向において間隔をあけて配置された一対の縦枠2、および、一対の縦枠2の上方に配置され、一対の縦枠2により支持されている無目40を備える。縦枠2は、中空形状であり、防火戸1の高さ方向ZAに延びている。無目40の内部には、収容空間41が形成されている。
一対の縦枠2の間には、2つの固定壁10と、2つの固定壁10が並べられている方向に沿って移動する第1引戸20Aおよび第2引戸20Bが設けられている。2つの固定壁10は、互いに離間して配置されることにより、2つの固定壁10の間に出入口を形成している。各引戸20A,20Bは、防火戸1の前後方向ZC(図2参照)において、固定壁10よりも背面側に配置されている。各引戸20A,20Bは、出入口を開閉可能なように配置されている。なお、第1引戸20Aおよび第2引戸20Bのような引戸は、ドアの一例であり、防火戸1は、引戸に代えて、開戸または折戸を備えていてもよい。
固定壁10は、高さ方向ZAに延びる中空形状の中方立11、および、中方立11と縦枠2との間に配置され、各引戸20A,20Bの開閉方向(以下、「駆動方向ZB」)に延びる巾木12、ならびに、縦枠2、中方立11、および、巾木12に支持されている耐熱ガラス13を備える。
第1引戸20Aは、耐熱ガラス21、耐熱ガラス21の一方の側部を支持している戸先側縦框22、耐熱ガラス21の他方の側部を支持している戸尻側縦框23、耐熱ガラス21の上部を支持している上框24、および、耐熱ガラス21の下部を支持している下框25を備える。第1引戸20Aは、戸車を有する第1ドアハンガ110を介して無目40の収容空間41に配置された走行レール(図示略)に吊り下げられ、第1ドアハンガ110により駆動方向ZBにスライド自在に支持されている。なお、第2引戸20Bも同様の構成である。また、第2引戸20Bが吊り下げられるドアハンガを第2ドアハンガ120と称する。
無目40の収容空間41には、第1引戸20Aおよび第2引戸20Bを駆動する駆動部30が配置されている。駆動部30が第1引戸20Aおよび第2引戸20Bを駆動方向ZBに移動させて第1引戸20Aおよび第2引戸20Bが接近および離間することにより、2つの固定壁10の間の出入口を開閉する。
駆動部30は、電気モータ31、電気モータ31の出力軸と減速機(図示略)を介して連結されている駆動スプロケット32、および、駆動方向ZBにおいて駆動スプロケット32と間隔を置いて配置されている従動スプロケット33を備える。駆動部30は、さらに、駆動スプロケット32と従動スプロケット33とに巻き掛けられているチェーン34、および、電気モータ31を制御する制御部35を備える。
チェーン34は、互いに移動方向が異なる第1の部分34Aおよび第2の部分34Bを備える。第1の部分34Aと第1引戸20Aの上框24とは、第1ドアハンガ110を介して接続されている。第2の部分34Bと第2引戸20Bの上框24とは、第2ドアハンガ120を介して接続されている。電気モータ31の駆動力がチェーン34を介して第1ドアハンガ110および第2ドアハンガ120に伝達されることにより、第1引戸20Aおよび第2引戸20Bが開閉する。なお、無目40内には、駆動部30の他に、防火戸1が設置されている建物内で火災が発生したことが検出されたときに、引戸20を閉じ方向に移動させるための自動閉鎖装置(図示略)が配置されている。
防火戸1は、さらに、第1引戸20Aおよび第2引戸20Bの周囲の動体および静止体を検出する複数のセンサを備える。複数のセンサは、無目40の正面側および背面側のそれぞれに取り付けられている無目取付型センサ61、3つの正面側光電センサ62、および、3つの背面側光電センサ63を含む。なお、以下の説明において、防火戸1により区画される空間のうち、固定壁10および各引戸20A,20Bの正面と面する空間を室外空間と称し、固定壁10および各引戸20A,20Bの背面と面する空間を室内空間と称する。
無目取付型センサ61は、例えば、近赤外線反射式のセンサであり、無目40の駆動方向ZBの中央に取り付けられている。
3つの正面側光電センサ62は、室外空間に存在する動体および静止体を検出するセンサである。各正面側光電センサ62は、光を出力する投光器62A、および、投光器62Aが出力した光を受信する受光器62Bを含む。3つの投光器62Aは、第1引戸20A側の固定壁10の中方立11に取り付けられ、高さ方向ZAに沿って並べて配置されている。3つの受光器62Bは、第2引戸20B側の固定壁10の中方立11に取り付けられ、高さ方向ZAに沿って並べて配置されている。各投光器62Aおよび各受光器62Bは、駆動方向ZBにおいて対向している。
3つの背面側光電センサ63は、室内空間に存在する動体および静止体を検出するセンサである。各背面側光電センサ63は、光を出力する投光器63A、および、投光器63Aが出力した光を受信する受光器63Bを含む。3つの投光器63Aは、第1引戸20A側の縦枠2に取り付けられ、高さ方向ZAに沿って並べて配置されている。3つの受光器63Bは、第2引戸20B側の縦枠2に取り付けられ、高さ方向ZAに沿って並べて配置されている。各投光器63Aおよび各受光器63Bは、駆動方向ZBにおいて対向している。
図2を参照して、無目40の内部構造について説明する。なお、図2においては、図面の簡略化のため、駆動部30が配置される領域を二点鎖線で示している。
図2に示されるように、無目40は、背面側が開口するような箱状に形成されている。詳細には、無目40は、無目40の正面を構成する正面壁42、無目40の下面を構成する底壁43、無目40の上面を構成する上壁44、および、無目40の長手方向の端面を構成する側壁45を有する。底壁43は、固定壁10の背面側端部まで延びている。底壁43の背面側端部には、下方に延びる下側固定壁43Aが形成されている。上壁44は、第1引戸20Aよりも背面側まで延びている。上壁44の背面側端部には、下方に延びる上側固定壁44Aが形成されている。
無目40は、一対の側壁45が縦枠2とボルト300により連結され、躯体のアンカー(図示略)により吊り下げられている。無目40には、正面壁42を正面側から覆う化粧カバー46が取り付けられている。無目40の上側固定壁44Aには、ヒンジ47を介して点検カバー48が無目40の開口部を開閉可能に取り付けられている。無目40の収容空間41における正面側かつ下方側は、L字状の芯材49が配置されている。芯材49は、例えば、鉄により形成され、正面壁42および底壁43に溶接されている。なお、点検カバー48は、収容空間41を開閉する開閉カバーに相当する。
図2に示されるように、無目40の正面側には、正面側の無目取付型センサ61の配線61Aを挿入するための配線用孔51が形成されている。配線用孔51は、化粧カバー46および無目40の正面壁42を前後方向ZCに貫通する貫通孔であり、収容空間41と連通している。すなわち、配線用孔51は、収容空間41と連通する空気通路の一部となる。そして配線用孔52における収容空間41側の開口部は、上記空気通路における収容空間41と連通する側の開口部となる。正面側の無目取付型センサ61の配線61Aは、配線用孔51を介して収容空間41に引き込まれ、駆動部30の制御部35と電気的に接続されている。
図1および図2に示されるように、無目40における下方の部分には、正面側光電センサ62の3つの投光器62Aの配線62Cを挿入するための配線用孔52が形成されている。配線用孔52は、高さ方向ZAにおいて無目40の底壁43および芯材49を貫通する貫通孔であり、収容空間41と連通している。すなわち、配線用孔52は、収容空間41と連通する空気通路の一部となる。そして配線用孔52における収容空間41側の開口部は、上記空気通路における収容空間41と連通する側の開口部となる。また無目40における第2引戸20B側の下方の部分には、正面側光電センサ62の3つの受光器62Bの配線62Dを挿入するための配線用孔(図示略)が形成されている。この配線用孔は、高さ方向ZAにおいて無目40の底壁43および芯材49を貫通する貫通孔であり、収容空間41と連通している。すなわち、配線62Dが挿入される配線用孔は、収容空間41と連通する空気通路の一部となる。そして配線用孔における収容空間41側の開口部は、上記空気通路における収容空間41と連通する側の開口部となる。
3つの投光器62Aの配線62Cは、第1引戸20A側の固定壁10の中方立11内を通り、配線用孔52を介して収容空間41に引き込まれ、制御部35と電気的に接続されている。3つの受光器62Bの配線62Dは、第2引戸20B側の固定壁10の中方立11内を通り、配線用孔を介して収容空間41に引き込まれ、制御部35と電気的に接続されている。
無目40における第1引戸20A側の側壁45には、背面側光電センサ63の3つの投光器63Aの配線63Cを挿入するための配線用孔53が形成されている。配線用孔53は、駆動方向ZBにおいて無目40の側壁45を貫通している。また無目40における第2引戸20B側の側壁45には、背面側光電センサ63の3つの受光器63Bの配線63Dを挿入するための配線用孔(図示略)が形成されている。
3つの投光器63Aの配線63Cは、第1引戸20A側の縦枠2内を通り、配線用孔53を介して収容空間41に引き込まれ、制御部35と電気的に接続されている。3つの受光器63Bの配線63Dは、第2引戸20B側の縦枠2内を通り、配線用孔を介して収容空間41に引き込まれ、制御部35と電気的に接続されている。
図2に示されるように、第1引戸20Aと無目40との間における空気通路には、煙返し70が設けられている。煙返し70は、第2引戸20Bと無目40との間における空気通路にも設けられている。煙返し70は、無目40の下方、かつ、前後方向ZCにおける固定壁10の上端部と第1引戸20Aの上端部との間に位置している。煙返し70は、無目40に設けられる無目側煙返し片71と、第1引戸20Aに設けられる引戸側煙返し片72とを備える。無目側煙返し片71は、前後方向ZCにおいて水平に延びる下側水平片71Aと、下側水平片71Aの縁から上方に向けて延びる上方垂直片71Bとを有する。引戸側煙返し片72は、第1引戸20Aの上面に取り付けられている。引戸側煙返し片72は、前後方向ZCにおいて水平に延びる上側水平片72Aと、上側水平片72Aの縁から下方に向けて延びる下方垂直片72Bとを有する。各垂直片71B,72Bは、固定壁10と第1引戸20Aとの前後方向ZCの間に互いに平行するように配置されている。上方垂直片71Bは、下方垂直片72Bよりも背面側に間隔を置いて配置されている。下方垂直片72Bは、前後方向ZCにおいて、無目40の底壁43の下側固定壁43Aよりも背面側に間隔を置いて配置されている。なお、煙返し70は、前後方向ZCにおいて固定壁10と第2引戸20Bとの間にも同様に設けられている。
図4に示されるように、第1引戸20Aの戸先および第2引戸20Bの戸先により召し合わせ部80が構成されている。召し合わせ部80は、第1引戸20Aの戸先に形成される凸部26と、第2引戸20Bの戸先に形成され、凸部26が入り込むことが可能な凹部27とを備える。なお、召し合わせ部80は、第1引戸20Aの戸先に凹部27が形成され、第2引戸20Bの戸先に凸部26が形成される構成であってもよい。
召し合わせ部80においては、防火戸1が全閉状態となるとき、駆動方向ZBにおいて、第1引戸20Aの戸先と第2引戸20Bの戸先とが接触しない。すなわち、防火戸1が全閉状態のとき、衝撃緩和用の戸当たりゴム(図示略)によって駆動方向ZBにおいて、第1引戸20Aの戸先と第2引戸20Bの戸先との間に隙間(以下、「召し合わせ部80の隙間」)が形成されている。召し合わせ部80の隙間は、高さ方向ZAにおいて各引戸20A,20Bの全体にわたり形成されている。召し合わせ部80の隙間は、収容空間41と連通する空気通路の一部となる。召し合わせ部80の隙間において上方に向けて開口する部分は、上記空気通路における収容空間41と連通する開口部となる。
ところで、図2に示されるように、無目40には、無目取付型センサ61の配線用孔51、正面側光電センサ62の配線用孔(配線用孔52)、煙返し70、および、召し合わせ部80に形成された隙間のような収容空間41と連通する空気通路が形成されている。そしてこれら空気通路を介して、室外空間の空気が室内空間の空気に触れることなく、無目40の内部(収容空間41)に連通する。そして、室外空間において火災が発生したとき、火炎により加熱された室外空間の空気は熱風として、上述の空気通路を介して収容空間41に入り込むおそれがある。熱風が室内空間の空気に触れることなく、収容空間41内に入り込むと、熱風により収容空間41の温度が急激に高くなる。
一方、無目40には、背面側光電センサ63の配線用孔(配線用孔53)は、室内空間と無目40の内部とを連通する空気通路が形成されている。そしてこの空気通路を介して、室外空間の空気が室内空間の空気に触れた後、無目40の内部(収容空間41)に連通する。この場合、熱風が室内空間の空気と触れるため、熱風の温度が急激に低下するため、熱風により収容空間41の温度が過度に高くなることが抑制される。
以上のとおり、室外空間の熱風が室内空間の空気と触れずに、空気通路を介して直接的に収容空間41に入り込む場合における収容空間41内の温度上昇の度合は、室外空間の熱風が空気通路を経て室内空間の空気と触れた後、収容空間41に入り込む場合の収容空間41内の温度上昇の度合よりも大きい。
そこで、防火戸1では、収容空間41の温度上昇を抑制するため、熱風が室内空間の空気に触れることなく、収容空間41に入り込むことが可能な空気通路を閉塞可能な通路閉塞構造が設けられている。以下、通路閉塞構造の詳細について説明する。
図2に示されるように、通路閉塞構造RC1は、加熱されることにより膨張する発泡材により、正面側の無目取付型センサ61の配線用孔51や正面側光電センサ62の配線用孔52を閉塞する構造を備える。
通路閉塞構造RC1は、収容空間41内に配置された第1の規制部材101を備える。第1の規制部材101は、配線用孔51の収容空間41側の開口部と前後方向ZCに間隔を置いて対向する位置に配置されている。第1の規制部材101は、金具であり、ボルト310により芯材49に固定されている。第1の規制部材101は、高さ方向ZAに延びる平板であり、無目40の正面壁42と平行している。第1の規制部材101における配線用孔51側の面には、発泡材の一例である第1の配線孔用発泡材91が取り付けられている。このため、第1の規制部材101は、第1の配線孔用発泡材91の背面側への膨張を規制する。
第1の配線孔用発泡材91は、グラファイト系発泡材が用いられている。第1の配線孔用発泡材91は、配線用孔51と前後方向ZCにおいて対向し、配線用孔51よりも背面側において間隔を置いて配置されている。図3(a)に示されるように、第1の配線孔用発泡材91は、配線用孔51の開口面積よりも広い面積を有する平板に形成されている。これにより、第1の配線孔用発泡材91が配線用孔51と第1の規制部材101との間に設けられているため、第1の規制部材101が配線用孔51と直接的に面しなくなる。
また通路閉塞構造RC1は、図2に示されるように、収容空間41内に配置された第2の規制部材102を備える。第2の規制部材102は、配線用孔52と高さ方向ZAに間隔を置いて対向する位置に配置されている。このため、第2の規制部材102は、収容空間41内に配置されている。第2の規制部材102は、駆動方向ZBおよび前後方向ZCに延びる平板であり、無目40の底壁43と平行している。図2および図3(b)に示されるように、第2の規制部材102は、前後方向ZCが長手方向となる第1平板102Aと、第1平板102Aの縁から上方に延びる第2平板102Bとが一体的に形成された金具である。第2の規制部材102は、第2平板102Bにおいてボルト320により芯材49に固定されている。第1平板102Aにおいて配線用孔52側の面には、発泡材の一例である第2の配線孔用発泡材92が取り付けられている。このため、第2の配線孔用発泡材92は、第2の配線孔用発泡材92の上方への膨張を規制する。
第2の配線孔用発泡材92は、グラファイト系発泡材が用いられている。第2の配線孔用発泡材92は、配線用孔52と高さ方向ZAにおいて対向し、配線用孔52よりも上方において間隔を置いて配置されている。図3(b)に示されるように、第2の配線孔用発泡材92は、配線用孔52の開口面積よりも広い面積を有する平板に形成されている。これにより、第2の配線孔用発泡材92が配線用孔52と第2の規制部材102との間に設けられているため、第2の規制部材102が配線用孔52と直接的に面しなくなる。なお、図3(a)および図3(b)に示すとおり、第1の配線孔用発泡材91の正面視の形状および第2の配線孔用発泡材92の正面視の形状が四角形であるが、円形、または、四角形以外の多角形であってもよい。
また図2に示されるように、通路閉塞構造RC2は、加熱されることにより膨張する発泡材により、煙返し70の空気通路における収容空間41側の開口部73を閉塞する構造を備える。
詳細には、引戸側煙返し片72の上側水平片72Aのうちの各引戸20A,20Bよりも正面側の部分の上面には、内側発泡材93が取り付けられている。すなわち内側発泡材93は、上側水平片72Aにより下方から支持されている。内側発泡材93は、前後方向ZCにおいて固定壁10と各引戸20A,20B(図1参照)との間に設けられている。内側発泡材93は、上側水平片72Aの駆動方向ZBの全体にわたり延びている。このように内側発泡材93は、煙返し70よりも収容空間41側に設けられている。
無目40内における内側発泡材93よりも上方において、内側発泡材93と高さ方向ZAに対向する部分には、内側規制部材103が設けられている。内側規制部材103は、金具である。内側規制部材103は、断面形状がL字状に形成され、上側水平片72Aの駆動方向ZBの全体にわたり延びている。内側規制部材103は、駆動方向ZBおよび前後方向ZCに延びる第1平板103Aおよび第1平板103Aの縁から下方に延びる第2平板103Bが一体的に形成された構造である。内側規制部材103は、無目40における底壁43の下側固定壁43Aの背面と第2平板103Bが例えばスポット溶接されることにより無目40に固定されている。第1平板103Aは、前後方向ZCにおいて下側固定壁43Aから第1ドアハンガ110(第2ドアハンガ120(図1参照))まで延びている。第1平板103Aの高さ方向ZAの位置は、各引戸20A,20Bが熱膨張により上方に伸長したときに引戸側煙返し片72の上側水平片72Aよりも上方であり、かつ、内側発泡材93が第1平板103Aと上側水平片72Aとの間の隙間を閉塞可能な位置に設定されている。
無目側煙返し片71の下側水平片71Aの上面には、外側発泡材94が取り付けられている。すなわち外側発泡材94は、下側水平片71Aにより下方から支持されている。外側発泡材94は、前後方向ZCにおいて固定壁10と各引戸20A,20B(図1参照)との間に設けられ、下側水平片71Aの駆動方向ZBの全体にわたり延びている。外側発泡材94は、高さ方向ZAにおいて、引戸側煙返し片72の下方垂直片72Bと対向している。なお、外側発泡材94および内側発泡材93のそれぞれは、グラファイト系発泡材が用いられる。
また図4に示されるように、通路閉塞構造RC3は、加熱されることにより膨張する発泡材により、召し合わせ部80の隙間における上方の開口部を閉塞する構造を備える。
通路閉塞構造RC3は、第1引戸20A側の召し合わせ部である第1引戸20A側の戸先により下方から支持される第1発泡材95、および、第2引戸20B側の召し合わせ部である第2引戸20B側の戸先により下方から支持される第2発泡材96を備える。第1発泡材95は、第1引戸20Aの上面に取り付けられた引戸側煙返し片72の上側水平片72Aにおける第1引戸20Aの戸先に対応する部分の上面に取り付けられている。第2発泡材96は、第2引戸20Bの上面に取り付けられた引戸側煙返し片72の上側水平片72Aにおける第2引戸20Bの戸先に対応する部分の上面に取り付けられている。なお、第1発泡材95および第2発泡材96のそれぞれはグラファイト系発泡材が用いられる。
図4に示すとおり、第1発泡材95および第2発泡材96は、召し合わせ部80の凹凸形状に沿った形状である。具体的には、第1発泡材95は、長さの異なる2つの直線状の発泡材により構成されている。長さの短い発泡材は、第1引戸20Aの凸部26に取り付けられる。第2発泡材96は、長さの異なる4つの直線状の発泡材により構成されている。これら4つの発泡材が第2引戸20Bの凹部27に沿うように取り付けられている。また第1発泡材95および第2発泡材96の正面側の端部は、前後方向ZCにおいて内側発泡材93よりも背面側かつ内側発泡材93と隣り合う。
第1発泡材95および第2発泡材96よりも上方には、規制部材の一例である召し合わせ側規制部材104が設けられている。召し合わせ側規制部材104は、高さ方向ZAにおいて、召し合わせ部80の隙間の上方の開口部、および、各発泡材95,96と間隔を置いて対向している。これにより、各発泡材95,96は、召し合わせ部80と召し合わせ側規制部材104との間に設けられている。召し合わせ側規制部材104は、駆動方向ZBおよび前後方向ZCに沿って延びる平板部104Aと、平板部104Aにおける点検カバー48(図2参照)側の端部において断面略U字となる支持部104Bとが一体的に形成された金具である。平板部104Aは、平面視において、前後方向ZCが長手となる長方形に形成されている。平板部104Aは、駆動方向ZBおよび前後方向ZCにおいて召し合わせ部80を覆っている。図2に示されるように、召し合わせ側規制部材104は、内側規制部材103の第1平板103Aの上面に配置され、例えばスポット溶接により内側規制部材103に固定されている。召し合わせ側規制部材104の平板部104Aの高さ方向ZAの位置は、各引戸20A,20Bが熱膨張により上方に伸長したときに引戸側煙返し片72の上側水平片72Aよりも上方であり、かつ、各発泡材95,96が平板部104Aと上側水平片72Aとの間の隙間を閉塞可能な位置に設定されている。支持部104Bは、点検カバー48における収容空間41側の面と接触している。すなわち支持部104Bは、点検カバー48を正面側から支持している。
次に図2および図4〜図8を参照して、防火戸1の作用および効果について説明する。
図2に示されるように、建物内に設置されている防火戸1の室外空間で火災が発生したとき、火炎および熱風により防火戸1が加熱される。この場合、各通路閉塞構造RC1〜RC3は次のように通路を閉塞する。
すなわち図5(a)に示されるように、通路閉塞構造RC1において、無目40が加熱されることにより第1の配線孔用発泡材91が加熱されたとき、図5(b)に示されるように、第1の配線孔用発泡材91が膨張し、第1の規制部材101と無目40の正面壁42との間の隙間および配線用孔51を閉塞する。このため、配線用孔51を介して熱風が収容空間41に入り込むことが抑制される。また第1の規制部材101により第1の配線孔用発泡材91の背面側への膨張が規制されるため、第1の配線孔用発泡材91は正面壁42に向けて膨張する。このため、第1の規制部材101と正面壁42との間の隙間および配線用孔51を閉塞する第1の配線孔用発泡材91の密度が高くなる。これにより、配線用孔51からの熱風が第1の配線孔用発泡材91から収容空間41側に漏れ出て収容空間41に入り込むことが抑制される。
また図6(a)に示されるように、通路閉塞構造RC1において、無目40が加熱されることにより第2の配線孔用発泡材92が加熱されたとき、図6(b)に示されるように、第2の配線孔用発泡材92が膨張し、第2の規制部材102と芯材49との間の隙間および配線用孔52を閉塞する。このため、配線用孔52を介して熱風が収容空間41に入り込むことが抑制される。また第2の規制部材102により第2の配線孔用発泡材92の上側への膨張が規制されるため、第2の配線孔用発泡材92は芯材49に向けて膨張する。このため、第2の規制部材102と芯材49との間の隙間および配線用孔52を閉塞する第2の配線孔用発泡材92の密度が高くなる。これにより、配線用孔52からの熱風が第2の配線孔用発泡材92から収容空間41側に漏れ出て収容空間41に入り込むことが抑制される。
また図7(a)に示されるように、通路閉塞構造RC2において、第1引戸20Aおよび無目40が加熱されることにより、外側発泡材94が加熱されたとき、外側発泡材94が膨張し、煙返し70の入口側の空気通路を閉塞する。このとき、無目側煙返し片71の下側水平片71Aが外側発泡材94の下方への膨張を規制するため、外側発泡材94は上方に膨張する。このため、煙返し70の入口側の空気通路が効果的に閉塞される。このため、煙返し70内に熱風が入り込むことが抑制される。
そして第1引戸20Aおよび無目40がさらに加熱されることにより、第1引戸20Aの熱膨張により上方に伸長する。このとき、図7(b)に示されるように、第1引戸20Aの上方への伸長により、内側発泡材93と内側規制部材103との間の隙間が小さくなる。加えて、第1引戸20Aが上方に伸長したとき、引戸側煙返し片72の下方垂直片72Bと内側規制部材103の第2平板103Bとが前後方向ZCにおいて対向する。これにより、前後方向ZCにおいて、引戸側煙返し片72の下方垂直片72Bと内側規制部材103の第2平板103Bとの間の隙間が煙返し70の空気通路よりも小さくなる。このような状態において、内側発泡材93が加熱されて内側発泡材93が膨張し、煙返し70の出口側の空気通路を閉塞する。そして、引戸側煙返し片72の上側水平片72Aが内側発泡材93の下方への膨張を規制するため、内側発泡材93は上方に膨張する。このため、引戸側煙返し片72の上側水平片72Aと内側規制部材103との間を閉塞する内側発泡材93の密度が高くなる。これにより、熱風が内側発泡材93から漏れ出て収容空間41に入り込むことが抑制される。また、内側規制部材103の第2平板103Bにより規制された内側発泡材93は、下方に膨張し、引戸側煙返し片72の下方垂直片72Bと内側規制部材103の第2平板103Bとの間の隙間を閉塞する。このように煙返し70においては、外側発泡材94および内側発泡材93により二重で熱風が収容空間41に入り込むことを抑制する構成であるため、煙返し70を介して収容空間41に熱風が入り込むことが一層抑制される。
また図8(a)に示されるように、通路閉塞構造RC3において、第1引戸20Aが加熱されて第1引戸20Aの熱膨張により上方に伸長したとき、図8(b)に示されるように、引戸側煙返し片72の上側水平片72Aと召し合わせ側規制部材104との間の高さ方向ZAの隙間が小さくなる。そして図4に示される第1発泡材95および第2発泡材96が加熱されることにより各発泡材95,96が膨張して、第1引戸20Aの戸先と第2引戸20Bの戸先との駆動方向ZBにおける隙間が閉塞される。各発泡材95,96は、引戸側煙返し片72の上側水平片72Aの上面に取り付けられているため、下方への膨張が規制されて上方に膨張する。各発泡材95,96は、召し合わせ側規制部材104の平板部104Aにより上方への移動が規制される。このため、引戸側煙返し片72の上側水平片72Aと召し合わせ側規制部材104の平板部104Aとの高さ方向ZAの間の各発泡材95,96の密度が高くなる。また召し合わせ側規制部材104の平板部104Aにより規定された各発泡材95,96は、第1引戸20Aの戸先と第2引戸20Bの戸先との駆動方向ZBにおける隙間に入り込む。このように、各発泡材95,96により、第1引戸20Aの戸先と第2引戸20Bの戸先との駆動方向ZBにおける隙間から収容空間41に熱風が直接的に入り込むことが抑制される。一方、熱風は、第1引戸20Aの戸先と第2引戸20Bの戸先との駆動方向ZBにおける隙間を介して各引戸20A,20Bの背面側に抜けた後、収容空間41に入り込む場合がある。しかし、各引戸20A,20Bの背面側に抜けた熱風は、室内空間と触れるため、急激に温度が低下する。その状態において、熱風が収容空間41に入り込んでも収容空間41の温度の上昇が抑制される。
このように、防火戸1は、通路閉塞構造RC1〜RC3により、室外空間の空気が室内空間の空気に触れることなく、室外空間が収容空間41に連通する空気通路を閉塞している。このため、収容空間41内に熱風が入り込むことが抑制されるため、収容空間41内の温度、ひいては駆動部30の温度が上昇しにくくなる。
第1の実施形態の防火戸1は、さらに以下の効果を奏する。
(1)第1発泡材95および第2発泡材96は、召し合わせ部80において引戸側煙返し片72の上側水平片72Aの上面に取り付けられている。すなわち、第1発泡材95は第1引戸20A側の召し合わせ部80により下方から支持され、第2発泡材96は第2引戸20B側の召し合わせ部80により下方から支持されている。この構成によれば、空気通路の開口部となる第1引戸20Aと第2引戸20Bとの間の隙間の上方の開口部の両側に各発泡材95,96が位置するため、各発泡材95,96が膨張するとき、開口部を閉塞しやすくなる。このため、開口部を閉塞する各発泡材95,96の密度が高くなり、熱風が各発泡材95,96から漏れ出すことを一層抑制することができる。加えて、各発泡材95,96がその自重により上側水平片72Aから剥がれることが抑制される。
(2)第1発泡材95および第2発泡材96は、召し合わせ部80の凹凸形状に沿って取り付けられている。このため、各発泡材95,96を空気通路の開口部となる第1引戸20Aと第2引戸20Bとの隙間の上方の開口部に近接して配置することができる。このため、複雑な開口部の形状に対しても各発泡材95,96が膨張して開口部を十分に閉塞することができる。
(3)召し合わせ側規制部材104は、第1発泡材95および第2発泡材96の膨張を規制して各発泡材95,96の密度を高めるためには、各発泡材95,96の近くに配置されることが好ましい。このため、召し合わせ側規制部材104は、召し合わせ部80の上方において召し合わせ部80の近くに配置することが考えられる。
一方、第1引戸20Aおよび第2引戸20Bは、熱膨張により上方に伸長する。このため、召し合わせ側規制部材104が召し合わせ部80の上方において召し合わせ部80の近くに配置された場合、各引戸20A,20Bが熱膨張により上方に伸長するときに召し合わせ側規制部材104と干渉し、召し合わせ側規制部材104が撓んでしまうおそれがある。
このような事情のもと、本願発明者は、各引戸20A,20Bが熱膨張により上方に伸長した状態を基準として、その状態の召し合わせ部80に対して召し合わせ側規制部材104を近くに配置できるような位置に召し合わせ側規制部材104を配置することを知見した。
このような知見のもと、召し合わせ側規制部材104は、熱膨張により第1引戸20Aおよび第2引戸20Bが上方に伸長した場合に各発泡材95,96が召し合わせ部80と召し合わせ側規制部材104との間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。このため、各発泡材95,96が加熱されることにより膨張して召し合わせ部80と召し合わせ側規制部材104との間の空間が閉塞されるとともに召し合わせ側規制部材104により各発泡材95,96の膨張が規制されるため、開口部を閉塞する各発泡材95,96の密度を高めることができる。加えて、召し合わせ側規制部材104と召し合わせ部80とが干渉することにより召し合わせ側規制部材104が撓むことを抑制することができる。
(4)外側発泡材94は、無目側煙返し片71の下側水平片71Aにより下方から支持され、内側発泡材93は、引戸側煙返し片72の上側水平片72Aにより下方から支持されている。この構成によれば、各発泡材93,94がその自重により各水平片71A,72Aから剥がれることを抑制することができる。したがって、外側発泡材94が下側水平片71Aから脱落して煙返し70の空気通路を閉塞できないこと、および、内側発泡材93が上側水平片72Aから脱落して内側規制部材103と上側水平片72Aとの間の隙間および開口部73のそれぞれを閉塞できないことを抑制することができる。
(5)第1の規制部材101が収容空間41内に配置され、第1の配線孔用発泡材91が第1の規制部材101の配線用孔51側の面に取り付けられている。これにより、第1の配線孔用発泡材91が膨張して配線用孔51を閉塞するため、配線用孔51からの熱風が第1の規制部材101側に入り込むことが抑制される。このため、熱風が第1の規制部材101に直接的に当たることを抑制し、第1の規制部材101を熱して収容空間41内の温度が上昇してしまうことを抑制することができる。なお、第2の規制部材102についても同様の効果が得られる。
(6)第1の配線孔用発泡材91は、配線用孔51と対向し、かつ配線用孔51の開口面積以上の面積を有する。このため、配線用孔51を十分に閉塞することができる。
(7)召し合わせ側規制部材104は、点検カバー48を正面側から支持している。このため、点検カバー48を支持する支持部材を召し合わせ側規制部材104とは個別に形成した構成と比較して、防火戸1の部品点数を減らすことができる。
(8)第1の規制部材101は、無目取付型センサ61の配線61Aを配線用孔51から収容空間41内に引き込んだ後、ボルト310により芯材49に固定される。このため、第1の規制部材101が配線61Aの配線作業の邪魔になることを防ぐことができる。
(9)第2の規制部材102は、正面側光電センサ62の投光器62Aの配線62Cを配線用孔52から収容空間41内に引き込んだ後、ボルト320により芯材49に固定される。このため、第2の規制部材102が配線62Cの配線作業の邪魔になることを防ぐことができる。
(第2の実施形態)
図9〜図13を参照して、第2の実施形態の防火戸1について説明する。以下、第1の実施形態の防火戸1と異なる点について詳細に説明し、第1の実施形態の防火戸1と共通する構成については同じ符号を用いてその説明を省略する。第2の実施形態の防火戸1は、図9に示されるように、片引き式の防火戸1である。このため、無目40の駆動方向ZBの寸法は、第1の実施形態の無目40の駆動方向ZBの寸法よりも小さい。
一対の縦枠2の間には、1つの固定壁10と、駆動方向ZBに沿って移動する引戸20とが設けられている。固定壁10と引戸20側の縦枠2との間には、出入口が形成されている。引戸20は、固定壁10よりも背面側において、出入口を開閉可能なように配置されている。なお、引戸20はドアの一例であり、防火戸1は、引戸に代えて、駆動部30により駆動される開戸、または、駆動部30により駆動される折戸を備えていてもよい。
図10に示されるように、無目40の側壁45における正面壁42側かつ上方には、配線用孔54が形成される一方、側壁45における背面側かつ上方に形成された配線用孔53が省略されている。配線用孔54は、通路閉塞構造RC1と同様に、通路閉塞構造RC4が設けられている。
詳細には、通路閉塞構造RC4は、配線用孔54と駆動方向ZBに隙間を置いて対向する規制部材の一例である第3の規制部材105を備える。第3の規制部材105は、前後方向ZCおよび高さ方向ZAに延びる第1平板105Aと、第1平板105Aの縁から駆動方向ZBに延びる第2平板105Bとが一体的に形成された金具である。第3の規制部材105は、ボルト330により第2平板105Bを無目40の正面壁42に締結することにより固定されている。第1平板105Aは、側面視において前後方向ZCが長手となる長方形である。第1平板105Aは、駆動方向ZBにおいて配線用孔54と間隔を置いて対向している。第1平板105Aの配線用孔54側の面には、発泡材の一例である第3の配線孔用発泡材97が取り付けられている。すなわち第3の配線孔用発泡材97は、配線用孔54と第3の規制部材105との間に設けられている。第3の配線孔用発泡材97は、グラファイト系発泡材が用いられる。第3の配線孔用発泡材97は、側壁45と平行し、前後方向ZCが長手となる平板状に形成されている。第3の配線孔用発泡材97は、配線用孔54の開口面積よりも広い面積を有する。
また、無目40における引戸20側の側壁45において、正面壁42側かつ上方には、背面側光電センサ63の3つの受光器63Bの配線63Dを挿入するための配線用孔(図示略)が形成されている。この配線用孔にも配線用孔54と同様に通路閉塞構造RC4が設けられている。
図11および図12は、引戸20側の縦枠2と引戸20の戸先28との構成を示している。
図11に示されるように、縦枠2には、引戸20から離れる方向に向けて凹む凹部2Aが形成されている。引戸20の戸先28は、引戸20が全閉状態のとき、縦枠2の凹部2Aに入り込む。図12に示されるように、引戸20の戸先28と凹部2Aとの間には、衝撃緩和用の戸当たりゴム(図示略)により隙間が形成されている。この隙間は、収容空間41と連通する空気通路の一部である。この隙間の上方の開口部は、上記空気通路における収容空間41側の開口部である。
図11および図12に示されるように、防火戸1には、引戸20の戸先28と凹部2Aとの間の隙間と、収容空間41(図10参照)との空気通路を閉塞する通路閉塞構造RC5が設けられている。通路閉塞構造RC5は、加熱されることにより膨張する発泡材により、引戸20の戸先28と凹部2Aとの隙間の上方の開口部を閉塞する構造を備える。
詳細には、引戸20の上端面に取り付けられた引戸側煙返し片72の上側水平片72Aにおいて引戸20の戸先28に対応する部分の上面には、戸先28の形状に沿って形成された発泡材の一例である凸状発泡材98が取り付けられている。すなわち凸状発泡材98は、引戸20の戸先28により下方から支持されている。凸状発泡材98は、長さの異なる4つの直線状の発泡材により構成されている。
縦枠2において引戸20よりも上方には、規制部材の一例である補強部材106が設けられている。補強部材106は、縦枠2の凹部2Aに嵌め込まれている。このため、補強部材106は、駆動方向ZBにおいて縦枠2と無目40とにより挟み込まれる。補強部材106は、縦枠2を支持することにより、ボルト300(図10参照)により無目40と縦枠2とを連結する際に、縦枠2が変形することを抑制する。補強部材106は、前後方向ZCの側面視においてC字状に形成された金具である。補強部材106は、高さ方向ZAにおいて間隔を置いて平行する上壁106Aおよび下壁106Bと、上壁106Aと下壁106Bとを連結する連結壁106Cとが一体的に形成された金具である。上壁106Aおよび下壁106Bは、駆動方向ZBおよび前後方向ZCに延びる平板である。連結壁106Cは、駆動方向ZBにおける上壁106Aおよび下壁106Bの内側規制部材103側の端部において上壁106Aおよび下壁106Bと連続している。連結壁106Cは、高さ方向ZAおよび前後方向ZCに延びる平板である。連結壁106Cには、ボルト300を挿入するための挿入孔106Dが形成されている。下壁106Bの高さ方向ZAの位置は、内側規制部材103の第1平板103Aの高さ方向ZAの位置と同じである。下壁106Bは、高さ方向ZAにおいて凸状発泡材98よりも上方に間隔を置いて対向している。また下壁106Bは、引戸20の戸先28と凹部2Aとの間の隙間の上方の開口部よりも上方に間隔を置いて対向している。補強部材106は、熱膨張により引戸20が上方に伸長した場合に凸状発泡材98が引戸側煙返し片72の上側水平片72Aと補強部材106の下壁106Bとの間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。このように、凸状発泡材98は、引戸20が全閉状態において、引戸20の戸先28と補強部材106との間に設けられている。
また、引戸20の戸先28の上面に取り付けられた引戸側煙返し片72の上側水平片72Aにおいて戸先28よりも正面側の部分の上面には、端部発泡材99が取り付けられている。すなわち、端部発泡材99は、引戸20の戸先28により下方から支持されている。端部発泡材99は、凸状発泡材98の正面側端部よりも正面側に隣り合うように配置され、かつ、内側発泡材93と駆動方向ZBに隣り合う。なお、凸状発泡材98および端部発泡材99のそれぞれは、グラファイト系発泡材が用いられる。
図11に示されるように、内側規制部材103の駆動方向ZBの端部は、駆動方向ZBにおいて縦枠2に接触している。内側規制部材103の駆動方向ZBの端部は、高さ方向ZAにおいて端部発泡材99と対向している。このように端部発泡材99は、端部規制部材の一例である内側規制部材103の駆動方向ZBの端部と引戸20の戸先28との間に設けられている。そして内側規制部材103の駆動方向ZBの端部は、熱膨張により引戸20が上方に伸長した場合に端部発泡材99が引戸側煙返し片72の上側水平片72Aと内側規制部材103の第1平板103Aとの間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。
図13(a)に示されるように、防火戸1の室外空間で火災が発生して引戸20および縦枠2が加熱されることにより凸状発泡材98が加熱されたとき、図13(b)に示されるように、引戸20が上方に伸長するとともに凸状発泡材98が膨張し、引戸20の戸先28と縦枠2の凹部2Aとの隙間における上方の開口部を閉塞する。このため、引戸20の戸先28と凹部2Aとの隙間に入り込んだ熱風が隙間の上方の開口部を介して収容空間41に入り込むことが抑制される。すなわち、引戸20の戸先28と凹部2Aとの隙間に入り込んだ熱風が、室内空間に接することなく、収容空間41に直接的に入り込むことが抑制される。また凸状発泡材98の上方への膨張は、補強部材106の下壁106Bにより規制されるため、引戸20の戸先28と凹部2Aとの隙間の上方の開口部を閉塞する凸状発泡材98の密度が高くなる。このため、熱風が凸状発泡材98から収容空間41側に漏れ出て、収容空間41に入り込むことを抑制することができる。
ところで、補強部材106が縦枠2の凹部2Aに収容されるため、補強部材106は縦枠2の凹部2Aと引戸20の戸先28との間の隙間を閉塞する凸状発泡材98の密度を高めることに寄与する一方、縦枠2の凹部2A以外の部分と引戸20の戸先28との間の隙間を閉塞する発泡材の密度を高めることには十分に寄与しない。
そこで、図11および図12に示されるように、内側規制部材103の駆動方向ZBの端部が引戸20の戸先28よりも正面側の部分を上方から覆い、引戸20の戸先28よりも正面側の部分に端部発泡材99が設けられている。これにより、引戸20および縦枠2が加熱されることにより端部発泡材99が加熱されたとき、端部発泡材99が膨張し、引戸20の戸先28の正面側の部分とこの部分と駆動方向ZBに対向する縦枠2との間の隙間における上方の開口部を閉塞する。このため、引戸20の戸先28の正面側の部分と縦枠2との間の隙間に入り込んだ熱風が引戸20の戸先28の正面側の部分と縦枠2との隙間の上方の開口部を介して収容空間41に入り込むことが抑制される。すなわち、引戸20の戸先28の正面側の部分と縦枠2との隙間に入り込んだ熱風が、室内空間に接することなく、収容空間41に直接的に入り込むことが抑制される。また端部発泡材99の上方への膨張は、内側規制部材103の駆動方向ZBの端部により規制されるため、引戸20の戸先28の正面側の部分と縦枠2との隙間を閉塞する端部発泡材99の密度が高くなる。このため、熱風が端部発泡材99から収容空間41側に漏れ出て、収容空間41に入り込むことを抑制することができる。
第2の実施形態の防火戸1は、第1の実施形態の防火戸1に準じた効果に加え、以下の効果が得られる。
(10)補強部材106は、ボルト300により無目40と縦枠2とを連結する際に、縦枠2が変形することを抑制する機能と、凸状発泡材98の上方への膨張を規制する機能とを兼ねる。このため、凸状発泡材98の上方への膨張を規制する規制部材が補強部材106とは個別に形成される構成と比較して、防火戸1の部品点数が減る。加えて、規制部材および補強部材106の両方の取り付け作業を行う必要がないため、防火戸1を組み付ける際の作業を減らすことができる。
(11)補強部材106は、熱膨張により引戸20が上方に伸長した場合に凸状発泡材98が引戸側煙返し片72の上側水平片72Aと補強部材106の下壁106Bとの間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。このため、凸状発泡材98が加熱されることにより膨張して上側水平片72Aと補強部材106の下壁106Bとの間の空間が閉塞されるとともに補強部材106により引戸20の戸先28と縦枠2の凹部2Aとの隙間を閉塞する凸状発泡材98の密度を高めることができる。加えて、引戸20の戸先28が補強部材106と干渉することにより補強部材106が撓むことを抑制することができる。
(12)凸状発泡材98および端部発泡材99は、引戸20の戸先28により下方から支持されている。このため、凸状発泡材98および端部発泡材99が自重により上側水平片72A(引戸20の戸先28)から剥がれることを抑制することができる。
(13)内側規制部材103の駆動方向ZBの端部は、熱膨張により引戸20が上方に伸長した場合に端部発泡材99が引戸側煙返し片72の上側水平片72Aと内側規制部材103の第1平板103Aとの間の空間を閉塞可能な位置に配置されている。このため、端部発泡材99が加熱されることにより膨張して上側水平片72Aと内側規制部材103の第1平板103Aとの間の空間が閉塞されるとともに内側規制部材103により引戸20の戸先28における正面側の部分と縦枠2の凹部2Aとの隙間を閉塞する端部発泡材99の密度を高めることができる。加えて、引戸20の戸先28が内側規制部材103の第1平板103Aと干渉することにより内側規制部材103が撓むことを抑制することができる。
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う防火戸が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う防火戸は、例えば以下に示される各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
(変形例1)
発泡材の配置を、例えば以下の(a)〜(h)のようにしてもよい。
(a)上記各実施形態において、図14(a)に示されるように、第1の配線孔用発泡材91を無目40の内部または外部において、配線用孔51の周囲に直接取り付ける。この場合、図14(b)に示されるように、第1の規制部材101は、配線用孔51および第1の配線孔用発泡材91と駆動方向ZBに対向することが好ましい。またこの場合、上記各実施形態の第1の配線孔用発泡材91を第1の規制部材101の配線用孔51側の面にさらに取り付けてもよい。
(b)上記各実施形態において、第1の配線孔用発泡材91と同様に、第2の配線孔用発泡材92を無目40の内部または外部において、配線用孔52の周囲に直接取り付ける。またこの場合、上記各実施形態の第2の配線孔用発泡材92を第2の規制部材102の配線用孔52側の面にさらに取り付けてもよい。
(c)上記各実施形態の内側発泡材93に代えてまたは加えて、内側発泡材93を内側規制部材103の第1平板103Aの下面に取り付ける。
(d)上記各実施形態において外側発泡材94を省略する。
(e)上記第1の実施形態に第1発泡材95および第2発泡材96に代えてまたは加えて、第1発泡材95および第2発泡材96の少なくとも一方を召し合わせ側規制部材104の平板部104Aに取り付ける。
(f)上記第2の実施形態において、第1の配線孔用発泡材91と同様に、第3の配線孔用発泡材97を無目40の内部または外部において、配線用孔54の周囲に直接取り付ける。またこの場合、上記第2の実施形態の第3の配線孔用発泡材97を第3の規制部材105の配線用孔54側の面にさらに取り付けてもよい。
(g)上記第2の実施形態の凸状発泡材98に代えてまたは加えて、凸状発泡材98を補強部材106の下壁106Bの下面に取り付ける。
(h)上記第2の実施形態の端部発泡材99に代えてまたは加えて、内側規制部材103の第1平板103Aの下面に取り付ける。
(変形例2)
上記各実施形態において、第1の規制部材101を正面壁42にボルトを介して固定してもよい。また第2の規制部材102を底壁43にボルトを介して固定してもよい。すなわち、この変形例の防火戸1は、芯材49を有さない。
(変形例3)
上記第1の実施形態において、無目40に設けられ、点検カバー48を正面側から支持する支持部材を召し合わせ側規制部材104とは個別に形成してもよい。この場合、例えば、召し合わせ側規制部材104は、支持部材よりも下方に配置される。
(変形例4)
上記第1の実施形態において、第1発泡材95および第2発泡材96の少なくとも一方は、例えば前後方向ZCに延びる直線形状等の召し合わせ部80の凹凸形状に沿わない形状に変更してもよい。
(変形例5)
上記第2の実施形態において、補強部材106と、凸状発泡材98の膨張を規制する規制部材とを個別に形成してもよい。この場合、規制部材は、図10に示される補強部材106の下壁106Bと同じ位置に配置される。そして変形例の補強部材106は、規制部材よりも上方に配置される。また規制部材を備える場合、補強部材106を省略してもよい。
(変形例6)
上記第2の実施形態において、内側規制部材103の端部と縦枠2との駆動方向ZBには、間隔が形成されてもよい。この場合、上記間隔を埋めるように、端部規制部材が内側規制部材103とは個別に設けられる。端部規制部材は、駆動方向ZBにおいて内側規制部材103および縦枠2のそれぞれに接触する。端部規制部材は、高さ方向ZAに間隔を置いて端部発泡材99と対向する。
(変形例7)
上記各実施形態において、第1の配線孔用発泡材91が膨張することにより配線用孔51を閉塞可能であれば、第1の配線孔用発泡材91の面積が配線用孔51の開口面積よりも小さくてもよい。また第2の配線孔用発泡材92および第3の配線孔用発泡材97についても同様に変更することができる。