JP7203458B1 - シート、膜天井、光膜天井 - Google Patents

シート、膜天井、光膜天井 Download PDF

Info

Publication number
JP7203458B1
JP7203458B1 JP2021200934A JP2021200934A JP7203458B1 JP 7203458 B1 JP7203458 B1 JP 7203458B1 JP 2021200934 A JP2021200934 A JP 2021200934A JP 2021200934 A JP2021200934 A JP 2021200934A JP 7203458 B1 JP7203458 B1 JP 7203458B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
glass fiber
nonwoven fabric
mass
fiber fabric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021200934A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2023074449A (ja
Inventor
信貴 武内
昌広 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Application granted granted Critical
Publication of JP7203458B1 publication Critical patent/JP7203458B1/ja
Publication of JP2023074449A publication Critical patent/JP2023074449A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】 難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合にも不燃性に優れ、不織布和紙調外観維持性の向上、並びに、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減、を図ることが可能な、シートの提供を主な課題とする。【解決手段】 少なくとも、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布と、を含むシートであって、前記シートの有機質量が80g/m2以下であり、前記シートの質量(g/m2)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m2)の割合が70~81質量%であり、前記不織布の質量が30g/m2以上である、シート。【選択図】 図1

Description

本発明は、シート、膜天井、光膜天井に関する。
従来、和紙調外観を有する間仕切り材や天井材などの内装建材に好適なシート状建築材料であって、特に建築基準法に適合する不燃特性を有する和紙調不燃シートが知られている。
上記和紙調不燃シートとして、無機長繊維織物層と、難燃性樹脂組成物からなり、かつ前記無機長繊維織物層の少なくとも1面を被覆して接合している難燃樹脂接着層と、難燃化処理された繊維を含み、かつ前記難燃樹脂接着層上に積層されている難燃性不織布層とを含み、前記難燃性不織布層と、前記難燃樹脂接着層とが、互に部分的に接着して、これら両層間に接着部と非接着部とを形成しており、前記接着部及び非接着部のいずれか一方が、互に離間して分布する多数の離間分布域において形成され、かつ、他方が、前記離間分布域を取り囲む連続域において形成されており、前記非接着部の合計面積の、前記接着部と前記非接着部との総合計面積に対する比が、5~30%の範囲内にある屈曲性和紙調不燃シートが知られている(例えば特許文献1参照。)。
また、上記和紙調不燃シートとして、少なくとも、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物の少なくとも一方の面に貼付された不織布と、を含む、シートであって、前記ガラス繊維織物の質量が、10~120g/mである、シートが知られている(例えば特許文献2参照。)。
特開2011-131504号公報 特開2020-55251号公報
特許文献1のシートにおいては、難燃樹脂接着層と、不織布として難燃化処理された繊維を用いることが必要であることから、和紙調外観のバリエーションが限られ、また、コストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明者は、不織布を構成する繊維として難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合にも、和紙調外観の発現と不燃性との両立を可能とするシートの製造可能性について検討した。
しかしながら、本発明者の検討によれば、例えば特許文献1の実施例に記載されている不織布及び接着層の質量を維持しながら、特許文献1に記載の上記難燃化処理された繊維を難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維に置き替えると、得られるシートは不燃性に劣る場合があることが判明した。
一方、特許文献2のシートにおいては、不織布を構成する繊維として難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を使用しながら、不燃性にも優れる。
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献2のシートは、ガラス繊維織物に貼付する前の不織布が元々備える和紙調外観を、ガラス繊維織物に貼付した後にも維持させること(以下、単に「不織布和紙調外観維持性」ということがある。)、光膜天井として使用したときのシート面における明るさのムラの低減(以下、単に「明るさムラの低減」ということがある。)、及び光膜天井として使用したときのランプイメージ発現の低減(以下、単に「ランプイメージ発現の低減」ということがある。)においてなお改善の余地があった。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合にも不燃性に優れ、不織布和紙調外観維持性の向上、並びに、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減、を図ることが可能な、シートの提供を主な課題とする。
本発明者は、まず、前述した、特許文献1の実施例に記載されている不織布及び接着層の質量を維持しながら、特許文献1に記載の上記難燃化処理された繊維を難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維に置き替えると、得られるシートは不燃性に劣る場合があること、の原因について検討した。そして、本発明者は、特許文献1の実施例に記載されているシートの不織布及び接着層の質量、すなわち有機質量が大きく、これに起因して不燃性が劣る場合があることを知得した。具体的に、建築基準法では、不燃性の要件として、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、総発熱量が8MJ/m以下であることが定められている。当該総発熱量及び発熱速度は、酸素消費法と呼ばれる方法によって計算され、有機質量に大きく依存する。そして、シートに含まれる有機質量が大きくなると、上記総発熱量及び発熱速度が大きくなり、上記不燃性の要件を満足しない場合があることを知得した。
そして、本発明者が上記特許文献1に関する検討からさらに検討をおこなったところ、難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合に得られるシートの不燃性を優れたものとするには、シートの有機質量が80g/m以下とすることが有効であることを知得した。
また、本発明者は、上記のようにシートの有機質量を80g/m以下とすることで、明るさムラ及びランプイメージの発現という技術的課題が生じることを突きとめた。すなわち、有機質量を80g/m以下とすると、シートの光透過性及び光拡散性に与えるガラス繊維織物の影響が相対的に大きくなり、明るさムラ及びランプイメージの発現という課題が生じる。明るさムラ及びランプイメージの発現という課題が生じると、例えば光膜天井として用いた場合、シートの有する和紙調外観を十分に発揮することができない場合がある。そして、本発明者は検討を重ね、シートの質量(g/m)に対するガラス繊維織物の質量(g/m)の割合を70~81質量%とすることにより、シートの有機質量を80g/m以下としたときに生じる明るさムラ及びランプイメージの発現を低減することができることを見出した。
さらに、本発明者は、不織布の質量が小さすぎる場合、ガラス繊維織物の経緯の織り目に起因して、不織布和紙調外観維持性に劣る場合があることを知得した。すなわち、和紙調外観を有する不織布は、不織布を構成する繊維1本1本がランダムな方向を向き、これらランダムな方向を向く繊維によって和紙調外観を発現させる。しかし、本発明者は、前述のようにシートの有機質量を80g/m以下とすることで、ガラス繊維織物に不織布を貼付する際、ガラス繊維織物の織り目が不織布側に出やすくなり、これに起因して不織布和紙調外観維持性を損ねる場合があることを知得した。そこで、本発明者は、検討を重ね、不織布の質量を30g/m以上とすることにより、不織布和紙調外観維持性に優れることを見出した。
本発明は、係る知見に基づき、さらに鋭意検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.少なくとも、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布と、を含むシートであって、前記シートの有機質量が80g/m以下であり、前記シートの質量(g/m)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m)の割合が70~81質量%であり、前記不織布の質量が30g/m以上である、シート。
項2.前記ガラス繊維織物の質量が180~250g/mである、項1に記載のシート。
項3.前記ガラス繊維織物と前記不織布とが接着層によって接着されており、前記シートにおける前記接着層が存在する面積比率が30%を超える、項1又は2に記載のシート。
項4.下記配向解析における配向強度が1.00~1.10である、項1~3のいずれか1項に記載のシート。
[配向解析]
シートの不織布側表面を、顕微鏡で50倍の倍率で撮影する。得られた画像を、X軸方向がガラス繊維織物の緯糸方向と平行方向に、Y軸方向がガラス繊維織物の経糸方向と平行方向になるように配して二値化し、二値化画像を得る。当該二値化画像をフーリエ変換したパワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。当該近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
項5.項1~4のいずれか1項に記載のシートの製造方法であって、ガラス繊維織物に貼付する原料不織布として下記配向解析における配向強度が1.00~1.10である不織布を準備する工程を含む、シートの製造方法。
[配向解析]
前記不織布表面を、顕微鏡で50倍の倍率で撮影する。得られた画像を、Y軸方向が前記不織布MD方向(流れ方向)と平行方向に、X軸方向が前記不織布TD方向(MD方向と直角方向)と平行方向になるように配して二値化し、二値化画像を得る。当該二値化画像をフーリエ変換したパワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。当該近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
項6.ガラス繊維織物と不織布とを下記式を満足するように貼付する工程を含む、項5に記載のシートの製造方法。
(式)・・・30≦(ST-GT)/BNT×100≦100
ST:シートの厚さ(μm)
GT:ガラス繊維織物の厚さ(μm)
BNT:ガラス繊維織物に貼り合わせる前の不織布の厚さ(μm)
項7.膜天井用シートである、項1~4のいずれか1項に記載のシート。
項8.前記膜天井が、光膜天井である、項7に記載のシート。
項9.項1~4のいずれか1項に記載のシートを含み、該シートが、前記ガラス繊維織物が光源側となるように配置される光膜天井。
本発明のシートによれば、少なくとも、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布と、を含むシートであって、前記シートの有機質量が80g/m以下であり、前記シートの質量(g/m)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m)の割合が70~81質量%であり、前記不織布の質量が30g/m以上であることから、難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合にも不燃性に優れ、不織布和紙調外観維持性の向上、並びに、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減、を図ることが可能となる。
本発明のシート1の略図的断面図である。
本発明のシートは、少なくとも、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布と、を含むシートであって、前記シートの有機質量が80g/m以下であり、前記シートの質量(g/m)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m)の割合が70~81質量%であり、前記不織布の質量が30g/m以上である。以下、図1を参照しながら、本発明のシートについて、詳述する。
図1は、本発明のシート1の略図的断面図である。例えば図1に示すように、本発明のシート1は、少なくとも、ガラス繊維織物2と、ガラス繊維織物2の一方の面に貼付された不織布3とを含む。
本発明のシート1において、ガラス繊維織物2は、少なくとも1枚含まれていればよく、複数枚含まれていてもよい。また、本発明のシート1において、不織布3は、少なくとも1枚含まれていればよく、複数枚含まれていてもよい。本発明のシート1が和紙調外観を好適に発現する観点から、シート1の少なくとも一方の表面は、不織布3により構成されていることが好ましい。
ガラス繊維織物2と不織布3とは、接着層4により接着されていることが好ましい。本発明のシート1の好ましい積層構成としては、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3がこの順に積層された積層構成が挙げられる。また、本発明のシート1において、ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維の一部及び不織布3を構成する繊維の一部が空気中に露出したものとすることが好ましい。
以下、本発明のシート1を構成する各層について詳述する。
<ガラス繊維織物2>
本発明のシート1は、ガラス繊維織物2を含む。本発明において、ガラス繊維織物2は、本発明のシート1に不燃性を備えさせる役割を果たす。
ガラス繊維織物2を構成するガラス材料については、特に制限されず、公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、具体的には、無アルカリガラス(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス(Cガラス)、高強度・高弾性率ガラス(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス(ARガラス)等が挙げられる。これらのガラス材料の中でも、好ましくは汎用性の高い無アルカリガラス(Eガラス)が挙げられる。ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維は、1種類のガラス材料からなるものであってもよいし、異なるガラス材料からなるガラス繊維を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
ガラス繊維織物2を構成するガラス繊維の単繊維直径としては、例えば、3~10μmが挙げられ、不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、4~10μmが好ましく、6~10μmが好ましく挙げられる。
ガラス繊維織物2は、ガラス長繊維である単繊維が複数本撚りまとめられたガラスヤーンを経糸及び緯糸としたガラス繊維織物とすることが好ましい。上記ガラスヤーンにおける上記単繊維の本数は、例えば、50~2400本が挙げられ、シート1の不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、100~1600本が好ましく、180~850本がより好ましく挙げられる。上記ガラスヤーンの番手は、例えば、1~400texが挙げられ、シート1の不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、1~200texが好ましく挙げられ、5~200texがより好ましく挙げられ、5~130texがさらに好ましく挙げられ、60~80texが特に好ましく上がられる。
ガラス繊維織物2の組織としては、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられ、これらの中でも平織が好ましい。ガラス繊維織物2の織密度については、特に制限されないが、不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、経糸密度及び緯糸密度ともに、20~100本/25mmが好ましく挙げられ、20~50本/25mmがより好ましく挙げられる。
本発明のシート1において、ガラス繊維織物2の質量は100~400g/mが挙げられ、シート1の不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、150~250g/mが好ましく挙げられ、180~250g/mがより好ましく挙げられ、200~230g/mがさらに好ましく挙げられる。
本発明のシート1において、シート1の質量(g/m)に対するガラス繊維織物2の質量(g/m)の割合が70~81質量%である。これにより、後述する、シートの有機質量を80g/m以下としたときに生じる明るさムラ及びランプイメージの発現を低減することができる。
ガラス繊維織物2の厚さとしては、特に制限されないが、例えば、100~400μmが挙げられ、シート1の不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、100~300μmが好ましく挙げられ、150~300μmがより好ましく挙げられ、150~200μmが特に好ましく挙げられる。
<不織布3>
本発明のシート1は、前述したガラス繊維織物2の一方の面に貼付された不織布3を含む。これにより、本発明において、不織布3は、シート1に和紙調外観を備えさせる役割を果たす。
本発明のシート1において、不織布3の質量が30g/m以上であり、38g/m以上が好ましい。本発明者は、後述する、シート1の有機質量を80g/m以下とすることで、ガラス繊維織物2に不織布を貼付する際、ガラス繊維織物2の織り目が不織布3側に出やすくなり、これに起因して不織布和紙調外観維持性を損ねる場合があることを知得した。そこで、本発明者は、検討を重ね、不織布3の質量を30g/m以上とすることにより、不織布和紙調外観維持性に優れることを見出したのである。上限値については、例えば、80g/m以下が挙げられ、60g/m以下が好ましく挙げられ、50g/m以下がより好ましく挙げられる。
不織布3を構成する繊維材料としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等、任意の繊維が挙げられる。また、本発明において、不織布3は、セルロース系繊維を含有しないものとすることができる。
また、不織布3の種類としては、長繊維不織布又は短繊維不織布が挙げられる。長繊維不織布としては、スパンボンド不織布、トウ開繊不織布、連続繊維から成るメルトブロー不織布などが挙げられる。短繊維不織布としては、ニードルパンチ不織布、湿式抄紙不織布等が挙げられる。中でも、不織布3を構成する繊維の方向の異方性がより低く、後述するシート1における配向強度をより低いものとして、不織布和紙調外観維持性をより優れたものとする観点から、短繊維不織布が好ましい。短繊維不織布を構成する繊維の繊維長としては、例えば100mm以下が挙げられ、15~100mm、好ましくは、30~80mmが挙げられる。不織布の繊維長は、JIS L 1015 8.4.1 C)直接法(C法)に基づき、繊維を伸長せずまっすぐに伸ばし、置尺上で測定する。
本発明のシート1は、後述する、シート1の有機質量を80g/m以下とすることにより、不織布3として難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合にも不燃性に優れる。当該不織布に含まれ得る難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、及びオクチルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類、高分子量化したポリホスフェートなどの縮合リン酸エステル類、ホスホン酸、ジホスフィン酸、ホスフィン酸等の亜リン酸及び縮合亜リン酸のエステル類、リン酸アンモニウムなどのリン酸系難燃剤及びホウ酸、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウムなどのホウ酸系難燃剤が挙げられる。不織布3に対する上記難燃剤の含有量としては、3質量%未満とすることができ、2質量%以下、または、1質量%以下とすることができ、難燃剤を含有しないものとすることができる。
<接着層4>
本発明のシート1は、必要に応じて、ガラス繊維織物と不織布を接着する接着層4を備えていてもよい。接着層4は、接着剤により形成することができる。
接着層4を形成する接着剤としては、特に制限されない。例えば、熱可塑性樹脂系、熱硬化型樹脂系、ゴム(エラストマー)系等の接着剤が例示できる。これらは、公知のもの、ないし、市販品を適宜選択して使用することができる。熱可塑性樹脂系接着剤としては、たとえば、熱可塑性ポリウレタン樹脂(ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタン、ポリシロキサンウレタン等)、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、シアノアクリレート、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、熱可塑性エポキシ、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、ポリオレフィン系接着剤等を挙げることができる。また、熱硬化型樹脂系接着剤としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硬化型ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール等を挙げることができる。ゴム系接着剤としては、天然ゴム、再生ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、ブロックコポリマーゴム(SBS、SIS、SEBS等)等を挙げることができる。
上記接着剤の中でも、ガラス繊維織物2と不織布3の接着性をより高める観点から、ウレタン系接着剤が好ましく、共重合ポリウレタン接着剤がさらに好ましい。共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などが挙げられ、製造のし易さや接着性の観点から、グラフト共重合が好ましい。
接着層4の質量(g/m)としては、例えば、10~60g/m程度、好ましくは10~35g/m程度が挙げられる。
不織布3の質量と接着層4の質量との比(不織布3/接着層4)としては、1.2~2.2が挙げられ、1.2~1.9が好ましく挙げられる。
本発明のシート1は、後述する、シート1の有機質量を80g/m以下とすることにより、不織布3又は接着層4として難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維や接着層を用いた場合にも不燃性に優れる。当該接着層4に含まれ得る該難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、及びオクチルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類、高分子量化したポリホスフェートなどの縮合リン酸エステル類、ホスホン酸、ジホスフィン酸、ホスフィン酸等の亜リン酸、縮合亜リン酸のエステル類及びリン酸アンモニウムなどのリン酸系難燃剤及びホウ酸、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウムなどのホウ酸系難燃剤、2,4,6,-トリブロモフェノール、テトラブロモビスフェノールA、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモフェニルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシエチルエーテル)、ポリ(ペンタブロモベンジル)アクリレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、ポリ-ジブロモフェニレンオキシド、トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)トリアジン、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモベンゼンなどのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤が挙げられる。上記接着層4に含まれ得る難燃剤の含有量としては、10質量%未満、又は3質量%未満とすることができ、2質量%以下、または、1質量%以下とすることができ、難燃剤を含有しないものとすることができる。
本発明のシート1は、不織布3又は接着層4として難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維や接着層を用いた場合にも不燃性に優れる、という観点から、有機質量を80g/m以下と限定している。従って、接着層4を備える場合に接着層4の質量も比較的少ないものとなる。接着層4の質量が比較的少ない場合にもガラス繊維織物2と不織布3との接合性をより向上させるという観点から、シート1における接着層4が存在する面積比率が30%を超えることが好ましく、50%以上がより好ましく、80%がさらに好ましく、90%以上が特に好ましい。
<シート1>
本発明のシート1は、少なくとも、ガラス繊維織物2と、ガラス繊維織物2の一方の面に貼付された不織布3と、を含む。
本発明のシート1は有機質量が80g/m以下である。これにより、不織布3として難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合にも不燃性に優れる。当該有機質量の下限値としては、30g/m以上が挙げられ、50g/m以上が好ましく挙げられ、55g/m以上がより好ましく挙げられる。本発明において、シートの有機質量は、次のように測定される。すなわち、シート1を試験片とし、当該試験片の面積を予め求めておく。次に、試験片を、JIS R 3420:2013 7.3.2.1~7.3.2.4の手順に準じ、マッフル炉の加熱条件を温度625℃、時間60分として加熱をおこない、m1:乾燥後の試験片及び試験片ホルダの質量(g)、及びm2:乾燥及び加熱後の試験片及び試験片ホルダの質量(g)、を求め、m1からm2を減じた値(m1-m2)を求め、これを試験片の有機質量とする。当該試験片の有機質量(m1-m2)と、予め求めた試験片面積とから、シートの1mあたりの有機質量を求め、これをシート1の有機質量(g/m)とする。
本発明のシート1は、下記配向解析における配向強度が1.00~1.10であることが好ましく、1.00~1.05がより好ましい。
[配向解析]
シートの不織布側表面を、顕微鏡で50倍の倍率で撮影する。得られた画像を、X軸方向がガラス繊維織物の緯糸方向と平行方向に、Y軸方向がガラス繊維織物の経糸方向と平行方向になるように配して二値化し、二値化画像を得る。当該二値化画像をフーリエ変換したパワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。当該近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
前記配向強度は、以下に示す(1)~(4)のステップで配向解析することによって求められる。
(1)シート1の不織布3側表面の顕微鏡画像を二値化し、二値化画像を得る。
(2)前記二値化画像を、X軸方向がガラス繊維織物の緯糸方向と平行方向に、Y軸方向がガラス繊維織物の経糸方向と平行方向になるように配して、フーリエ変換することによりパワースペクトル画像を得る。
(3)前記パワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。
(4)前記近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
前記(1)~(4)のステップによる配向解析手法については、江前敏晴等の文献(「紙の繊維配向をフーリエ画像解析により求める手法」、文化財保存修復学会第26回大会研究発表要旨集、44~45頁、2004年)に記載されており、当該文献に記載の手法で行うこときるが、以下、前記(1)~(4)のステップについて補足説明する。
前記(1)のステップで使用する顕微鏡画像は、倍率50倍の顕微鏡で観察した画像を使用すればよい。顕微鏡によるシート1の不織布3側表面を観察する手法は前記の通りである。前記(1)のステップで得られた二値化画像は、フーリエ変換処理に供されるため、前記(1)のステップでは、画素数は1辺が2のべき乗の正方形の顕微鏡画像を使用する。前記(1)のステップにおける二値化処理は、具体的には、移動平均法によって行えばよい。
前記(2)のステップでは、X軸方向がガラス繊維織物の緯糸方向と平行方向に、Y軸方向がガラス繊維織物の経糸方向と平行方向になるように二値化画像を配して、フーリエ変換処理を行う。前記(2)のステップにおけるフーリエ変換処理は、高速フーリエ変換(FFT)処理にて行えばよい。前記(1)のステップで得られた二値化画像をフーリエ変換することによって得られるパワースペクトル画像には、周期構造の波数と方向に応じた箇所にスポットが現れる。
前記(3)のステップにおいて、平均振幅の角度分布図(パワースペクトルパターン)は、前記(2)のステップで得られたパワースペクトル画像を極座標表示することにより得られる。本発明のシート1の不織布側表面の繊維配向の平均振幅の角度分布図は楕円に近似した形状として現れるため、前記(3)のステップでは、平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。
前記(4)のステップでは、前記(3)のステップで求めた近似楕円(長軸長、短軸長、短軸方向の角度)に基づいて、X軸の正方向に対する近似楕円の短軸方向の角度を配向角度(°)、近似楕円における長軸長/短軸長の比を配向強度として算出する。本発明において、配向強度は、顕微鏡画像10視野の解析結果の平均値として算出される値である。
前記(1)~(4)のステップによる配向解析は、公知の画像解析ソフトを使用して行うことができる。例えば、「非破壊による紙の表面繊維配向解析プログラム FiberOri8single03.exe(V.8.03)」(http://www.enomae.com/FiberOri/index.htmからダウンロード可能)を使用することにより、簡便に、前記(1)~(4)のステップによる配向解析を行って、配向強度を求めることができる。以下、「非破壊による紙の表面繊維配向解析プログラム FiberOri8single03.exe(V.8.03)」を使用して配向角度及び配向強度を求める手順について説明する。先ず、X軸方向がガラス繊維織物の緯糸方向と平行方向に、Y軸方向がガラス繊維織物の経糸方向と平行方向になるようにシートの不織布側表面の顕微鏡画像を前記画像解析ソフトに取り込む。次いで、当該顕微鏡画像に対して移動平均による二値化を行い、二値化画像を作成する。その後、当該二値化画像を高速フーリエ変換(FFT)し、パワースペクトル画像を作成する。次いで、当該パワースペクトル画像に基づいて、配向強度の計算処理を行うことにより、配向強度の値が出力される。
前記のような配向強度とすることにより、不織布和紙調外観維持性によりすぐれたものとすることができる。すなわち、本発明者等の検討によれば、当該配向強度は、不織布側から見たときのガラス繊維織物の織り目の影響度に依存することを知得した。そして、本発明者等は、後述するガラス繊維織物に張り合わせる前の原料不織布の配向強度が比較的小さいものを使用した場合、例えば不織布製造の際の機械方向(MD方向)等への繊維配向が比較的認められにくい場合、前記シートの配向強度も比較的小さいものとなり、ガラス繊維織物の織り目による影響をより受けにくくなり、不織布和紙調外観維持性がより一層優れたものとなることを知得したのである。
なお、ガラス繊維織物は、製造する際、経糸が緯糸に比べてより張力がかかった状態で製造される。従って、ガラス繊維織物の緯糸は、比較的張力フリーな状態で製造されることから、ガラス繊維織物平面方向から見たときの糸幅のムラが経糸より大きくなる。従って、本発明において、緯糸とは、経糸及び緯糸のうち、平面方向から見たときの糸幅のムラが大きい方のガラス糸であるとも定義することができる。
本発明のシート1の全光線透過率としては、シート1の明るさムラ及びランプイメージ発現をより低減する観点から、30%以上75%以下が好ましく、30%を越え50%以下がより好ましく、30%を超え45%以下がさらに好ましく、32%以上42%以下が特に好ましく、38%以上42%以下が一層好ましい。また、本発明のシート1のヘーズは、シート1の明るさムラ及びランプイメージ発現をより低減する観点から、90%以上99.5%以下が好ましく、95.0%以上99.5%以下がより好ましく、98%以上99.5%以下がさらに好ましく、98.5%以上99.5%以下が特に好ましい。なお、本発明において、シートの全光線透過率は、JIS K7361-1:1997、ヘーズはJIS K7136:2000に準じ、シートの2つの面それぞれについて、光源側として測定したそれぞれの値の平均値とする。
本発明のシート1が備える不燃性の好適な例としては、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って測定される、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験において、加熱開始後の最大発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えず、かつ、総発熱量が8MJ/m以下であることが好ましい。
本発明のシート1の質量としては、例えば、50~400g/m程度が挙げられ、シート1の不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、200~300g/m程度が好ましく挙げられ、250~330g/m程度がより好ましく挙げられ、280~330g/m程度がさらに好ましく挙げられる。また、本発明のシート1の厚さとしては、例えば、100~500μm程度が挙げられ、シート1の不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、150~400μm程度が好ましく挙げられ、250~350μmがより好ましく挙げられ、270~330μmがさらに好ましく挙げられる。
本発明のシート1において、強熱減量値としては、シート1の不燃性と、不織布和紙調外観維持性の向上と、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減と、の並立をより一層図る観点から、20~30質量%が好ましく挙げられ、22~27質量%がより好ましく挙げられる。なお、本明細書において、「強熱減量」は、「JIS R 3420:2013 ガラス繊維一般試験方法」の「7.3.2強熱減量」に規定されている方法に準じ、シートを625℃に設定したマッフル炉に30分間加熱し、減量割合を算出することにより求められる値である。また、不織布の質量(g/m)とガラス繊維織物の質量(g/m)と、の比(ガラス繊維織物質量/不織布質量)としては、例えば、4.5~5.5が挙げられ、4.5~4.9が好ましく挙げられる。
また、不織布3及び接着層4の厚さの指標となる、シート1の厚さからガラス繊維織物2の厚さを減じた値としては、50~150μmが挙げられ、不織布和紙調外観維持性の向上をより図る観点から、100~150μmがより好ましく挙げられる。
本発明のシート1は、難燃剤を含有してもよいし、含有しなくともよい。難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、及びオクチルジフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類、高分子量化したポリホスフェートなどの縮合リン酸エステル類、ホスホン酸、ジホスフィン酸、ホスフィン酸等の亜リン酸、縮合亜リン酸のエステル類及びリン酸アンモニウムなどのリン酸系難燃剤及びホウ酸、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウムなどのホウ酸系難燃剤、2,4,6,-トリブロモフェノール、テトラブロモビスフェノールA、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモフェニルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシエチルエーテル)、ポリ(ペンタブロモベンジル)アクリレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、ポリ-ジブロモフェニレンオキシド、トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)トリアジン、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモベンゼンなどのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤が挙げられる。一方、本発明のシート1は、有機質量(g/m)に対する、難燃剤の含有量を3質量%未満とすることができ、2質量%以下、または、1質量%以下とすることができ、難燃剤を含有しないものとすることができる。
<シート1の製造方法>
本発明のシート1の製造方法としては特に制限されない。例えば、次の各工程を含む、製造方法が挙げられる。
(第1工程)
ガラス繊維織物2、当該ガラス繊維織物2に貼付する原料不織布を準備する工程。
(第2工程)
前記ガラス繊維織物2に前記原料不織布を積層し、ガラス繊維織物2と原料不織布を貼付する工程。
前記第1工程では、シート1の不織布和紙調外観維持性をより優れたものとする観点から、ガラス繊維織物に貼付する原料不織布として下記配向解析における配向強度が1.00~1.10である不織布を準備する工程を含むことが好ましい。
[配向解析]
前記不織布表面を、顕微鏡で50倍の倍率で撮影する。得られた画像を、Y軸方向が前記不織布MD方向(流れ方向)と平行方向に、X軸方向が前記不織布TD方向(MD方向と直角方向)と平行方向になるように配して二値化し、二値化画像を得る。当該二値化画像をフーリエ変換したパワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。当該近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
前記配向強度は、以下に示す(1)~(4)のステップで配向解析することによって求められる。
(1)前記不織布表面の顕微鏡画像を二値化し、二値化画像を得る。
(2)前記二値化画像を、Y軸方向が前記不織布MD方向(流れ方向)と平行方向に、X軸方向が前記不織布TD方向(MD方向と直角方向)と平行方向になるように配して、フーリエ変換することによりパワースペクトル画像を得る。
(3)前記パワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。
(4)前記近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
前記(1)~(4)のステップによる配向解析手法については、江前敏晴等の文献(「紙の繊維配向をフーリエ画像解析により求める手法」、文化財保存修復学会第26回大会研究発表要旨集、44~45頁、2004年)に記載されており、当該文献に記載の手法で行うこときるが、以下、前記(1)~(4)のステップについて補足説明する。
前記(1)のステップで使用する顕微鏡画像は、倍率50倍の顕微鏡で観察した画像を使用すればよい。顕微鏡によるシート1の不織布3側表面を観察する手法は前記の通りである。前記(1)のステップで得られた二値化画像は、フーリエ変換処理に供されるため、前記(1)のステップでは、画素数は1辺が2のべき乗の正方形の顕微鏡画像を使用する。前記(1)のステップにおける二値化処理は、具体的には、移動平均法によって行えばよい。
前記(2)のステップでは、Y軸方向が前記不織布MD方向(流れ方向)と平行方向に、X軸方向が前記不織布TD方向(MD方向と直角方向)と平行方向になるように二値化画像を配して、フーリエ変換処理を行う。前記(2)のステップにおけるフーリエ変換処理は、高速フーリエ変換(FFT)処理にて行えばよい。前記(1)のステップで得られた二値化画像をフーリエ変換することによって得られるパワースペクトル画像には、周期構造の波数と方向に応じた箇所にスポットが現れる。
前記(3)のステップにおいて、平均振幅の角度分布図(パワースペクトルパターン)は、前記(2)のステップで得られたパワースペクトル画像を極座標表示することにより得られる。原料不織布とする不織布表面の繊維配向の平均振幅の角度分布図は楕円に近似した形状として現れるため、前記(3)のステップでは、平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。
前記(4)のステップでは、前記(3)のステップで求めた近似楕円(長軸長、短軸長、短軸方向の角度)に基づいて、X軸の正方向に対する近似楕円の短軸方向の角度を配向角度(°)、近似楕円における長軸長/短軸長の比を配向強度として算出する。本発明において、配向強度は、顕微鏡画像10視野の解析結果の平均値として算出される値である。
前記(1)~(4)のステップによる配向解析は、公知の画像解析ソフトを使用して行うことができる。例えば、「非破壊による紙の表面繊維配向解析プログラム FiberOri8single03.exe(V.8.03)」(http://www.enomae.com/FiberOri/index.htmからダウンロード可能)を使用することにより、簡便に、前記(1)~(4)のステップによる配向解析を行って、配向強度を求めることができる。以下、「非破壊による紙の表面繊維配向解析プログラム FiberOri8single03.exe(V.8.03)」を使用して配向角度及び配向強度を求める手順について説明する。先ず、Y軸方向が前記不織布MD方向(流れ方向)と平行方向に、X軸方向が前記不織布TD方向(MD方向と直角方向)と平行方向になるように不織布表面の顕微鏡画像を前記画像解析ソフトに取り込む。次いで、当該顕微鏡画像に対して移動平均による二値化を行い、二値化画像を作成する。その後、当該二値化画像を高速フーリエ変換(FFT)し、パワースペクトル画像を作成する。次いで、当該パワースペクトル画像に基づいて、配向強度の計算処理を行うことにより、配向強度の値が出力される。
また、前記第1工程では、必要に応じて、接着層4とする接着剤を準備することができる。
また、前記第2工程では、貼付の手段としては特に制限されないが、例えば、熱プレス加工が挙げられる。この場合、熱プレスの条件としては、使用する原料不織布や接着剤に応じて適宜設定すればよいが、例えば、プレス温度は100~200℃が挙げられる。不織布の積層方向としては、配向解析における配向強度が1.00~1.10となる面側がガラス繊維織物とは反対側となるようにすればよい。また、原料不織布MD方向がガラス繊維織物の経糸方向と平行となるように積層することが好ましい。
熱プレスにおいては、シート1の不織布和紙調外観維持性をより優れたものとする観点から、ガラス繊維織物と不織布とを下記式を満足するように貼付することが好ましい。
(式)・・・30≦(ST-GT)/BNT×100≦100
ST:シートの厚さ(μm)
GT:ガラス繊維織物の厚さ(μm)
BNT:ガラス繊維織物に貼り合わせる前の原料不織布の厚さ(μm)
<シート1の用途>
本発明のシート1の用途としては、膜天井が挙げられ、光膜天井とすることが好ましい。光膜天井とする場合は、ガラス繊維織物2が光源側となるように配置されることが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
<物性の評価方法>
1.ガラス糸の単繊維直径(μm)、単繊維本数(本)
ガラス繊維織物を30cm角にカットしたものを2枚用意し、一方を経糸観察用、他方を緯糸観察用として、それぞれをエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製商品名3091)に包埋して硬化させ、経糸、緯糸が観察可能な程度に研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM-6390A)を用い、倍率500倍で観察、測定をおこなった。
(1)ガラス糸の単繊維直径(μm)
経糸、緯糸それぞれについて無作為に20本選び、該20本のガラス糸の全単繊維の直径(最も大きい部分)を測定して平均値を算出し、経糸及び緯糸の単繊維直径とした。
(2)単繊維本数(本)
経糸、緯糸それぞれについて無作為に20本選び、20本のガラス糸の全単繊維数を測定して平均値を算出し、経糸及び緯糸の単繊維本数Nとした。
2.ガラス糸の番手(tex)
JIS R 3420 2013 7.1に従い、測定、算出した。
3.ガラス繊維織物3の織密度(本/25mm)
JIS R 3420 2013 7.9に従い、経、緯糸の織密度を測定、算出した。
4.ガラス繊維織物3の質量(g/m
JIS R 3420 2013 7.2に従い、測定、算出した。
5.ガラス繊維織物3の厚さ(μm)
JIS R 3420 2013 7.10.1A法に従い、測定、算出した。
6.不織布の質量(μm)
JIS L 1913:2010 6.2に従い、測定及び算出した。
7.不織布の厚さ(μm)
JIS L 1913:2010 6.1のA法に従い、測定及び算出した。
8.不織布和紙調外観維持性の評価
ガラス繊維織物と該ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布とを含むシートの開発を専門とするパネラーにより、原料不織布表面外観と、当該原料不織布を用いた実施例及び比較例のシートの不織布面表面外観とを、顕微鏡にて50倍観察した画像を用いて比較し、下記評価基準により、原料不織布が有する不織布和紙調外観がシート1とした後も維持されているか評価した。2点以上を合格とした。
4点・・・原料不織布とシート1との不織布和紙調外観は遜色なく、不織布和紙調外観を維持している。
3点・・・原料不織布とシート1との不織布和紙調外観にやや変化は見られるものの、不織布和紙調外観をほぼ維持している。
2点・・・原料不織布とシート1との不織布和紙調外観に変化は見られるものの、不織布和紙調外観を実用上問題ない程度に維持している。
1点・・・原料不織布とシート1との不織布和紙調外観に大きな変化が見られ、不織布和紙調外観を維持できていない。
9.明るさムラ及びランプイメージ発現の評価
シートを3m×1mにカットした試料を準備する。直管蛍光灯(パナソニック株式会社製型番FL20SSD/18)を1m置きに平行に並ぶように3本配置させ、シートを、シート長手方向が直管蛍光灯長手方向と垂直方向となるようにして、当該3本のうち真ん中の1本がシート長手方向の中心(1.5m地点)に位置するよう、直管蛍光灯が位置する高さから30cm下方に、ガラス繊維織物面が直管蛍光灯側となるように配置した。そして、ガラス繊維織物と該ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布とを含むシートの開発を専門とするパネラーが、当該パネラーの目が当該シートの下方100cmに位置するようにしてシートの不織布面を観察した。そして、下記評価基準により、明るさムラ及びランプイメージ発現の評価をおこなった。〇以上を合格とした。
(1)明るさムラの評価
◎・・・シート全体にわたって明るさムラが見られなかった。
〇・・・一部明るさムラが見られたものの、暗い部分と明るい部分とで明るさの差が少なく、実用上問題ないレベルであった。
×・・・明るさムラが見られ、暗い部分と明るい部分とで明るさの大きな差が認められ、実用上問題あるものであった。
(2)ランプイメージの評価
◎・・・3本の蛍光灯のイメージは認められなかった。
〇・・・うすく蛍光灯のイメージがやや認められたものの、実用上問題ないレベルであった。
×・・・蛍光灯のイメージがはっきり認められ、実用上問題あるものであった。
10.シートの全光線透過率、ヘーズ
前述した方法により測定した。
11.シートの不燃性
シートの不燃性は、一般財団法人建材試験センターの「防耐火性能試験・評価業務方法書」(平成26年3月1日変更版)における4.10.2 発熱性試験・評価方法に従って、輻射電気ヒーターからシートの表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱性試験をおこなった。加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下であり、加熱開始後20分間に最高発熱速度が10秒以上継続して200kw/mを超えない場合に、不燃性に優れる(◎)と評価とした。
12.シート及び原料不織布の配向強度
前述した方法により評価した。
(実施例1)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「G75 1/0 0.7Z」(単繊維直径9μm、単繊維本数400本、撚り数0.7Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
呉羽テック株式会社製不織布品番RK-19-0015(ポリエステル短繊維からなるニードルパンチ不織布、質量45g/m、厚さ15μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.05であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が24g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に、準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は280g/m、厚さは293μm、有機質量は69g/m、配向強度は1.03、全光線透過率(平均)は40.16%、ヘーズ(平均)は98.97%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は211g/m、厚さは170μm、織密度は経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mm、シート1における接着層4の質量は24g/mであった。
(実施例2)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「G75 1/0 0.7Z」(単繊維直径9μm、単繊維本数400本、撚り数0.7Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
ユニチカ株式会社製不織布商品名エルベス(登録商標)品番S0403WDO(連続繊維で構成される不織布、質量40g/m、厚さ29μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.10であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が32g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は283g/m、厚さは277μm、有機質量は72g/m、配向強度は1.03、全光線透過率(平均)は37.83%、ヘーズ(平均)は98.97%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は211g/m、厚さは170μm、織密度は経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mm、シート1における接着層4の質量は32g/mであった。
(実施例3)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「G75 1/0 0.7Z」(単繊維直径9μm、単繊維本数400本、撚り数0.7Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
ユニチカ株式会社製不織布商品名マリックス(登録商標)品番S90403WSO(連続繊維で構成される不織布、質量40g/m、厚さ25μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.10であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が21g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は272g/m、厚さは300μm、有機質量は61g/m、配向強度は1.08、全光線透過率(平均)は36.61%、ヘーズ(平均)は98.95%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は211g/m、厚さは170μm、織密度は経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mm、シート1における接着層4の質量は21g/mであった。
(実施例4)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「G75 1/0 0.7Z」(単繊維直径9μm、単繊維本数400本、撚り数0.7Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
JX ANCI株式会社製不織布商品名ミライフ(登録商標)品番TY2020FE(連続繊維で構成される、縦方向(経)と横方向(緯)に垂直(直交)な繊維配列を持つ不織布、質量40g/m、厚さ13μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.18であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が20g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は271g/m、厚さは259μm、有機質量は60g/m、配向強度は1.14、全光線透過率(平均)は34.35%、ヘーズ(平均)は98.94%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は211g/m、厚さは170μm、織密度は経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mm、シート1における接着層4の質量は20g/mであった。
(実施例5)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「G75 1/0 0.7Z」(単繊維直径9μm、単繊維本数400本、撚り数0.7Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
JX ANCI株式会社製不織布商品名ミライフ(登録商標)品番T40(連続繊維で構成される、縦方向(経)と横方向(緯)に垂直(直交)な繊維配列を持つ不織布、質量40g/m、厚さ12μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.51であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が24g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は275g/m、厚さは235μm、有機質量は64g/m、配向強度は1.27、全光線透過率(平均)は35.17%、ヘーズ(平均)は98.95%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は211g/m、厚さは170μm、織密度は経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mm、シート1における接着層4の質量は24g/mであった。
(比較例1)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「E225 1/0 0.7Z」(単繊維直径7μm、単繊維本数200本、撚り数0.7Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が60本/25mm、緯糸密度が57本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
呉羽テック株式会社製不織布品番RK-19-0015(ポリエステル短繊維からなるニードルパンチ不織布、質量45g/m、厚さ15μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.05であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が25g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は177g/m、厚さは210μm、有機質量は70g/m、配向強度は1.03、全光線透過率(平均)は46.87%、ヘーズ(平均)は99.01%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は107g/m、厚さは100μm、織密度は経糸密度が60本/25mm、緯糸密度が57本/25mm、シート1における接着層4の質量は25g/mであった。
(比較例2)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「DE75 1/2 3.8S」(単繊維直径6μm、単繊維本数1600本、撚り数3.8S)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が30本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
呉羽テック株式会社製不織布品番RK-19-0015(ポリエステル短繊維からなるニードルパンチ不織布、質量45g/m、厚さ15μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.05であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が19g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は412g/m、厚さは393μm、有機質量は64g/m、配向強度は1.03、全光線透過率(平均)は24.62%、ヘーズ(平均)は98.63%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は348g/m、厚さは280μm、織密度は経糸密度が31本/25mm、緯糸密度が30本/25mm、シート1における接着層4の質量は19g/mであった。
(比較例3)
<第1工程>
ガラス繊維織物2、不織布3とする原料不織布、及び接着層4とする接着剤として、以下のものを準備した。
(1)ガラス繊維織物2
経糸及び緯糸としてユニチカグラスファイバー株式会社製「G75 1/0 0.7Z」(単繊維直径9μm、単繊維本数400本、撚り数0.7Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mmの平織のガラス繊維織物を準備した。
(2)不織布3とする原料不織布
ユニチカ株式会社製不織布商品名エルベス(登録商標)品番S0153WDO(連続繊維で構成される不織布、質量15g/m、厚さ10μm)を準備した。当該原料不織布の配向強度は1.13であった。
(3)接着層4とする接着剤
接着層を形成する接着剤として、東洋紡株式会社製共重合ポリウレタン樹脂 商品名バイロン(登録商標)品番UR―1350を準備した。
<第2工程>
準備したガラス繊維織物2の上から前述の準備した接着層4とする接着剤を乾燥後の質量が35g/mとなるように前記ガラス繊維織物2の一方の面の全面に均一に(すなわち、シートにおける接着層が存在する面積比率が100%となるように)塗布し、該接着剤を塗布したガラス繊維織物2の上に準備した原料不織布を前述した配向強度である面がガラス繊維織物2とは反対側となるように、原料不織布MD方向とガラス繊維織物経糸方向とが平行となるように被せ、熱プレスを実施して接着剤を乾燥、固化し、ガラス繊維織物2、接着層4、及び不織布3が順に積層されたシート1を得た。シート1の質量は261g/m、厚さは255μm、有機質量は50g/m、配向強度は1.05、全光線透過率(平均)は41.16%、ヘーズ(平均)は98.98%、シート1におけるガラス繊維織物の質量は211g/m、厚さは170μm、織密度は経糸密度が44本/25mm、緯糸密度が33本/25mm、シート1における接着層4の質量は35g/mであった。
実施例、比較例の結果を表1に示す。
Figure 0007203458000002
表1に示すように、実施例1~5のシートは、少なくとも、ガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布と、を含むシートであって、前記シートの有機質量が80g/m以下であり、前記シートの質量(g/m)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m)の割合が70~81質量%であり、前記不織布の質量が30g/m以上であることから、難燃化処理されていない、又は難燃剤の含有量が少ない繊維を用いた場合にも不燃性に優れ、不織布和紙調外観維持性の向上、並びに、明るさムラ及びランプイメージ発現の低減、を図ることが可能となるものであった。
中でも、実施例1~3のシートは、配向強度が1.00~1.10であることから、不織布和紙調外観維持性によりすぐれたものであった。
一方、比較例1のシートは、シートの質量(g/m)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m)の割合が70質量%未満であったことから、ランプイメージ発現の低減を図ることができなかった。
比較例2のシートは、シートの質量(g/m)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m)の割合が81質量%を超えるものであったことから、明るさムラの低減を図ることができなかった。
比較例3のシートは、不織布の質量が30g/m未満であったことから、不織布和紙調外観維持性の向上を図ることができなかった。
1 シート
2 ガラス繊維織物
3 不織布
4 接着層






Claims (9)

  1. 少なくとも、番手が60~80texであるガラスヤーンを経糸及び緯糸としたガラス繊維織物と、前記ガラス繊維織物の一方の面に貼付された不織布と、を含むシートであって、
    前記シートの有機質量が80g/m以下であり、
    前記シートの質量(g/m)に対する前記ガラス繊維織物の質量(g/m)の割合が70~81質量%であり、
    前記不織布の質量が30g/m以上である、シート。
  2. 前記ガラス繊維織物の質量が180~250g/mである、請求項1に記載のシート。
  3. 前記ガラス繊維織物と前記不織布とが接着層によって接着されており、前記シートにおける前記接着層が存在する面積比率が30%を超える、請求項1又は2に記載のシート。
  4. 下記配向解析における配向強度が1.00~1.10である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシート。
    [配向解析]
    シートの不織布側表面を、顕微鏡で50倍の倍率で撮影する。得られた画像を、X軸方向がガラス繊維織物の緯糸方向と平行方向に、Y軸方向がガラス繊維織物の経糸方向と平行方向になるように配して二値化し、二値化画像を得る。当該二値化画像をフーリエ変換したパワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。当該近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
    配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のシートの製造方法であって、
    ガラス繊維織物に貼付する原料不織布として下記配向解析における配向強度が1.00~1.10である不織布を準備する工程を含む、シートの製造方法。
    [配向解析]
    前記不織布表面を、顕微鏡で50倍の倍率で撮影する。得られた画像を、Y軸方向が前記不織布MD方向(流れ方向)と平行方向に、X軸方向が前記不織布TD方向(MD方向と直角方向)と平行方向になるように配して二値化し、二値化画像を得る。当該二値化画像をフーリエ変換したパワースペクトル画像から平均振幅の角度分布図の近似楕円を求める。当該近似楕円に基づいて、下記配向強度を求める。
    配向強度:近似楕円における長軸長/短軸長の比
  6. ガラス繊維織物と不織布とを下記式を満足するように貼付する工程を含む、請求項5に記載のシートの製造方法。
    (式)・・・30≦(ST―GT)/BNT×100≦100
    ST:シートの厚さ(μm)
    GT:ガラス繊維織物の厚さ(μm)
    BNT:ガラス繊維織物に貼り合わせる前の不織布の厚さ(μm)
  7. 膜天井用シートである、請求項1~4のいずれか1項に記載のシート。
  8. 前記膜天井が、光膜天井である、請求項7に記載のシート。
  9. 請求項1~4のいずれか1項に記載のシートを含み、
    該シートが、前記ガラス繊維織物が光源側となるように配置される光膜天井。
JP2021200934A 2021-11-17 2021-12-10 シート、膜天井、光膜天井 Active JP7203458B1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021187199 2021-11-17
JP2021187199 2021-11-17

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7203458B1 true JP7203458B1 (ja) 2023-01-13
JP2023074449A JP2023074449A (ja) 2023-05-29

Family

ID=84888480

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021200934A Active JP7203458B1 (ja) 2021-11-17 2021-12-10 シート、膜天井、光膜天井

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7203458B1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014000710A (ja) 2012-06-18 2014-01-09 Teijin Ltd 複合繊維構造体
JP2020146965A (ja) 2019-03-15 2020-09-17 東レ株式会社 複合繊維構造物
JP2021146622A (ja) 2020-03-19 2021-09-27 凸版印刷株式会社 膜材

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2985208B2 (ja) * 1990-02-19 1999-11-29 大日本印刷株式会社 和紙調シートおよびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014000710A (ja) 2012-06-18 2014-01-09 Teijin Ltd 複合繊維構造体
JP2020146965A (ja) 2019-03-15 2020-09-17 東レ株式会社 複合繊維構造物
JP2021146622A (ja) 2020-03-19 2021-09-27 凸版印刷株式会社 膜材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2023074449A (ja) 2023-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5641168B1 (ja) 膜天井用ガラスクロス及び膜天井
US11248319B2 (en) Flame-resistant woven fabric
TWI732996B (zh) 透明片材、包含該透明片材之防煙垂壁及透明片材之製造方法
JP6619220B2 (ja) シート
JP7203458B1 (ja) シート、膜天井、光膜天井
EP2725127A1 (en) Suede-tone flame-retardant union cloth
CA3014860A1 (en) Laminate
JP2011131504A (ja) 屈曲性和紙調不燃シート
JP5300548B2 (ja) 布帛、テント用膜材および再生紙製造方法
JP7223394B2 (ja) シート、膜天井、光膜天井
JP6464412B2 (ja) 吸音不燃シート
JP6357272B1 (ja) 透明シートの製造方法及び透明シート
JP5059927B2 (ja) 織物壁紙、及び織物壁紙接着ボード
JP6371445B1 (ja) 透明シート、該透明シートを含む防煙垂壁、及び透明シートの製造方法
JPH0740487A (ja) 不織布構造物
KR20210112959A (ko) 실리카 원사와 탄소 섬유를 이용한 방염성 및 난연성 특성을 지닌 원단 및 그 제조 방법
JP2020055250A (ja) シート、膜天井、光膜天井
JP6704706B2 (ja) ユニフォーム衣料用難燃防水性布帛
JP7222522B2 (ja) 光沢フィルム
JP2020056952A (ja) シート、照明装置、膜天井
TWI670510B (zh) 濕式不織布材料作為光分佈元件的用途及光源
JP2018158582A (ja) 透明シート、該透明シートを含む防煙垂壁、及び透明シートの製造方法
JP3231618U (ja) 接着シート及びボード
JP2016018109A (ja) ガラス繊維強化樹脂シート
JP6940875B2 (ja) 透明シートの製造方法及び透明シート

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20211221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211223

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220701

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221220

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7203458

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150