JP2020146965A - 複合繊維構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量であるが不燃性、吸音性に優れ、製造工程や輸送時における加工ジワや施工時における衝撃や捩れなどによる折れジワが付き難い複合繊維構造物の提供。【解決手段】ポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層A3と耐炎化繊維を含む不織布からなる層B2とを積層した繊維構造体の両側にガラス繊維織物からなる層C1、D4を積層してなる複合繊維構造物であり、下記(1)〜(5)の全てを満足する複合繊維構造物。(1)繊維構造体の目付が300g/m2以下。(2)層Aに含まれるポリエステル系短繊維と熱接着性繊維の質量比率が、50/50〜20/80。(3)層Aと層Bが積層された状態で圧縮され且つ熱接着性繊維が周囲の繊維と熱融着される。(4)層Aの目付が140〜220g/m2、変動係数(CV%)が8%以下。(5)複合繊維構造物の目付が800g/m2以下、厚さが8〜15mm。【選択図】図1
Description
本発明は複合繊維構造物に関する。
現在まで大規模な空間を持つ建築物に使用する天井材として、石膏材料からなる不燃性ボードが一般的に使用されてきた。しかしながら、石膏材料からなる不燃性ボードは質量が重く、強い地震の揺れに対し、亀裂が発生し易く、また落下する危険性がある。
そこで、軽量性、難燃性及び吸湿性に優れた天井材として、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体の少なくとも1表面に無機繊維シートおよび金属シートを積層した天井材が提案されている(特許文献1参照)。
また、難燃性、軽量性及び剛性に優れた複合繊維構造体として、ポリエステル系短繊維を含む主体繊維と熱接着性短繊維を含む繊維構造体の少なくとも1表面または内部にガラスクロスからなる不燃シートを積層した複合繊維構造体が提案されている(特許文献2)。
さらに、剛性、外観及び取扱い性に優れた天井材として、主体繊維とバインダー繊維を含む繊維構造体の少なくとも1表面または内部に不燃シートを積層してなる複合繊維構造体を厚さ方向に圧縮することにより厚さを減少させた個所を有する天井材が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献1記載の天井材は、住宅などの床や壁、屋根などの断熱性を補強する役割の基材であり、意匠性に欠けることや剛性の不足から歪みが生じるという課題がある。
特許文献2記載の複合繊維構造体や特許文献3に記載の天井材は、輸送や施工時の取り扱いにおいて折れジワが付き易く取れ難い。また、剛性を向上させたことにより、吸音性が低下するという課題がある。
特許文献2記載の複合繊維構造体や特許文献3に記載の天井材は、輸送や施工時の取り扱いにおいて折れジワが付き易く取れ難い。また、剛性を向上させたことにより、吸音性が低下するという課題がある。
本発明は、軽量でありながら不燃性、吸音性に優れ、製造工程や輸送時における加工ジワや、施工時における衝撃や捩れなどによる折れジワが付き難い複合繊維構造物を提供することを課題とする。
本願の第一発明によれば、少なくともポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと、耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bとを積層してなる繊維構造体の表側と裏側にガラス繊維織物からなる層C、Dを積層してなる複合繊維構造物であり、
かつ下記の要件(1)〜(5)の全てを満足することを特徴とする複合繊維構造物である。
(1)JIS L 1913:2010に準拠して測定した前記繊維構造体の目付が、300g/m2以下である。
(2)前記層Aを構成する前記繊維構造体に含まれるポリエステル系短繊維と熱接着性繊維との質量比率が、50/50〜20/80である。
(3)前記繊維構造体は、ポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bが積層された状態で圧縮され且つ熱接着性繊維が周囲の繊維と融着されて形成される。
(4)前記層Aを縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が140〜220g/m2であり、変動係数(CV%)が8%以下である。
(5)JIS L 1913:2010に準拠して測定した前記複合繊維構造物の目付が800g/m2以下、かつ厚さが8〜15mmである。
かつ下記の要件(1)〜(5)の全てを満足することを特徴とする複合繊維構造物である。
(1)JIS L 1913:2010に準拠して測定した前記繊維構造体の目付が、300g/m2以下である。
(2)前記層Aを構成する前記繊維構造体に含まれるポリエステル系短繊維と熱接着性繊維との質量比率が、50/50〜20/80である。
(3)前記繊維構造体は、ポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bが積層された状態で圧縮され且つ熱接着性繊維が周囲の繊維と融着されて形成される。
(4)前記層Aを縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が140〜220g/m2であり、変動係数(CV%)が8%以下である。
(5)JIS L 1913:2010に準拠して測定した前記複合繊維構造物の目付が800g/m2以下、かつ厚さが8〜15mmである。
本願の第二発明は、本願の第一発明において、前記繊維構造体を縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が230〜330g/m2であり、変動係数(CV%)が8%以下である。
本願の第三発明は、本願の第一または第二発明において、JIS L 1913:2010に準拠して測定した層Aの目付が200g/m2以下である。
本願の第四発明は、本願の第一ないし第三のいずれかの発明において、JIS A 1405−2:2007に準拠して測定した、1/3オクターブ中心周波数500Hzでの垂直入射吸音率が0.1以上かつ1/3オクターブ中心周波数1000Hzでの垂直入射吸音率が0.2以上である。
本願の第五発明は、本願の第一ないし第四のいずれかの発明において、複合繊維構造物の表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際、最高発熱速度が10秒以上連続して200kW/m2を超えない。
本願の第六発明は、本願の第一ないし第五のいずれかの発明において、複合繊維構造物の表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際、総発熱量が8MJ/m2以下であり、裏側まで貫通する亀裂または穴が発生しない。
本発明により、軽量でありながら不燃性、吸音性に優れ、製造工程や輸送時における加工ジワや、施工時における衝撃や捩れなどによる折れジワが付き難い複合繊維構造物を提供することができる。
本発明の好ましい態様においては、軽量でありながらも国土交通省の不燃材認定基準を満足し、かつ吸音性に優れるため、意匠性に優れた建築物の天井材、大規模な空間を持つ大規模建築物の天井用などに好適に用いることができる。
本発明の好ましい態様においては、軽量でありながらも国土交通省の不燃材認定基準を満足し、かつ吸音性に優れるため、意匠性に優れた建築物の天井材、大規模な空間を持つ大規模建築物の天井用などに好適に用いることができる。
本願の第一発明の複合繊維構造物は、少なくともポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと、耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bとを積層してなる繊維構造体の表側と裏側にガラス繊維織物からなる層C、Dを積層してなる複合繊維構造物であり、かつ下記の要件(1)〜(5)の全てを満足することを特徴とする複合繊維構造物である。
(1)JIS L−1913:2010に準拠して測定した前記繊維構造体の目付が、300g/m2以下である。この繊維構造体の目付は、260g/m2以上、300g/m2以下であることが好ましい。繊維構造体の目付が300g/m2より大きくなると、不燃性に劣るものとなる。吸音性ならびに複合構造物の剛性の点から下限としては260g/m2以上であることが好ましい。
更に、本発明においては、上記繊維構造体を縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が、230〜330g/m2の範囲で分布していることが好ましく、260〜300g/m2の範囲で分布していることがより好ましい。
すなわち、局所的に目付が大きすぎる部分を含むということは、局所的に熱に対する発熱量の大きい部分を含み得ることを意味し、複合繊維構造物全体の不燃性として優れているとは言えない。局所的に目付が小さい部分を含むということは、局所的に吸音性に劣る部分を含むことになり、複合繊維構造物全体の吸音性として優れているとは言えない。
(2)前記層Aを構成する前記繊維構造体に含まれるポリエステル系短繊維と熱接着性繊維との質量比率が、50/50〜20/80である。
本発明の複合繊維構造物を構成する層Aに用いられるポリエステル系短繊維は熱接着性繊維によって固着されている。ポリエステル系短繊維と熱接着繊維の質量比率は、50/50〜20/80が好ましく、より好ましくは35/65〜20/80である。ポリエステル系短繊維が50質量%を超えると複合繊維構造物の剛性が不足して歪みが生じるため好ましい様態の複合繊維構造物が得られない。一方、ポリエステル系短繊維が20質量%未満では、剛性は向上するが、嵩高性が小さく、繊維間の空隙が少なくなり、吸音率が低下するため好適な様態の複合繊維構造物を得にくくなる。
本発明の複合繊維構造物を構成する層Aに用いられるポリエステル系短繊維は熱接着性繊維によって固着されている。ポリエステル系短繊維と熱接着繊維の質量比率は、50/50〜20/80が好ましく、より好ましくは35/65〜20/80である。ポリエステル系短繊維が50質量%を超えると複合繊維構造物の剛性が不足して歪みが生じるため好ましい様態の複合繊維構造物が得られない。一方、ポリエステル系短繊維が20質量%未満では、剛性は向上するが、嵩高性が小さく、繊維間の空隙が少なくなり、吸音率が低下するため好適な様態の複合繊維構造物を得にくくなる。
(3)繊維構造体は、ポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bが積層された状態で圧縮され且つ熱接着性繊維が周囲の繊維と融着されて形成される。
(4)前記層Aを縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が140〜220g/m2であり、変動係数(CV%)が8%以下である。
本発明においては、前記層Aを縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が、140〜220g/m2の範囲で分布していることが好ましく、160〜200g/m2の範囲で分布していることがより好ましい。すなわち、局所的に層Aの目付が大きすぎる部分を含むと、熱に対する発熱量が、局所的に大きい部分を含むことになり、複合繊維構造物全体の不燃性として優れているとは言えない。
本発明においては、前記層Aを縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が、140〜220g/m2の範囲で分布していることが好ましく、160〜200g/m2の範囲で分布していることがより好ましい。すなわち、局所的に層Aの目付が大きすぎる部分を含むと、熱に対する発熱量が、局所的に大きい部分を含むことになり、複合繊維構造物全体の不燃性として優れているとは言えない。
また、層Aおよび繊維構造体の目付に関して以下の式で計算される変動係数(CV%)は、8%以下であることが好ましく、より好ましくは6%以下である。
CV(%)=(σ/x)×100
上記においてσは目付の標準偏差、xは目付の平均値をそれぞれ示す。
CV(%)=(σ/x)×100
上記においてσは目付の標準偏差、xは目付の平均値をそれぞれ示す。
(5)JIS L 1913:2010に準拠して測定した前記複合繊維構造物の目付が800g/m2以下、かつ厚さが8〜15mmである。
本発明の複合繊維構造物の目付は500〜800g/m2、かつ厚さが8〜15mmである。不燃性と軽量性の点から目付は800g/m2以下であることが好ましく、750g/m2以下であることがより好ましい。目付が500g/m2を下回ると、剛性が不足し、吸音性も不十分となる。また、厚さは吸音性と剛性の点から8mm以上、15mm以下であることが好ましく、10mm以上、15mm以下であることがより好ましい。
本発明の複合繊維構造物の目付は500〜800g/m2、かつ厚さが8〜15mmである。不燃性と軽量性の点から目付は800g/m2以下であることが好ましく、750g/m2以下であることがより好ましい。目付が500g/m2を下回ると、剛性が不足し、吸音性も不十分となる。また、厚さは吸音性と剛性の点から8mm以上、15mm以下であることが好ましく、10mm以上、15mm以下であることがより好ましい。
また、JIS L 1913:2010に準拠して測定した層Aの目付が200g/m2以下であることが好ましく、180g/m2以下であることが好ましい。層Aの目付が200g/m2より大きくなると、複合繊維構造体中の有機物の量が増えることとなり、不燃性に劣るものとなる。吸音性ならびに複合繊維構造物の剛性の点から下限としては140g/m2以上であることが好ましい。
本発明においては目付の変動範囲を上記上限以下に制御することで、複合繊維構造物全体として、熱に対する発熱量を好ましい範囲、特に局所的に目付の大きすぎる部分がないように制御すること、例えば、複合繊維構造物の表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際の総発熱量を8MJ/m2を超えないように制御することも容易となり、その結果、複合繊維構造物に優れた不燃性を付与することができる。
なお、上記繊維構造体の目付の変動範囲を抑える方法は、特に限定されるものではないが、各層の目付のばらつきを抑えればよく、なかでも繊維構造体、特に層Aのばらつきを抑制することで容易に実現可能である。
なお、上記層Aの目付の変動範囲を抑える方法は、特に限定されるものではないが、例えば、カードへ供給する綿の開繊により未開繊綿を減らしてカードウェブムラを抑制したり、カード供給綿量の計量バラツキを抑制したり、カードウェブの積層速度の調整などウェブの目付の変動範囲が上記範囲になるよう調整することにより実現可能である。
層Aに用いられるポリエステル系繊維の単繊維繊度は、0.8〜9.0dtexが好ましい。単繊維繊度が0.8dtexより細くなると、繊維構造体の剛性が不足して歪みが生じるため天井材として好ましい様態にない。また、単繊維繊度が9.0dtexより太くなると、繊維構造体の剛性は増すが、吸音性が低下するおそれがある。
層Aに用いられるポリエステル系繊維の断面形状は特に限定されない。円形、扁平、中空、異型など任意に用いられる。
層Aに用いられるポリエステル系繊維は短繊維であることが好ましい。更には繊維長が28〜76mmであることが好ましく、38〜64mmであることがより好ましい。繊維長が76mmを超えると、不織布を得る工程での繊維の分散が悪くなる傾向があり、均一な繊維構造体を得にくい場合がある。一方、繊維長を28mm未満にすると、繊維構造体を製造するカード機工程において落綿が増加したり、繊維の移行不良等から均一な繊維構造体が得られなくなる場合がある。
本発明に用いられるポリエステル系繊維は、形態安定性、難燃性、低コストの点よりポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートを主体としたポリエステル系繊維が好ましく、中でも、得られる繊維構造体の特性から、ポリエチレンテレフタレートを用いることがより好ましい。また、これらポリエステルは本発明の効果を損ねない範囲で共重合成分を含んでいてもよい。共重合成分としては、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸、ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン等を挙げることができる。また、それらの共重合成分の共重合割合は、15モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下である。
加えて、これらポリエステル系繊維は、本発明の効果を損なわない範囲で、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤となるシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤、着色顔料、安定剤、蛍光剤、抗菌剤、消臭剤、および難燃剤などを添加されてなる繊維であってもよく、それにより好適な繊維構造体を得ることが可能となる。
本発明に用いられる熱接着性繊維の単繊維繊度は1.7〜6.6dtexが好ましく、2.2〜4.4dtexがより好ましい。単繊維繊度が1.7dtex未満では、紡糸性が悪化して生産性が低下する。一方、単繊維繊度が6.6dtexを超えると、繊維構造体の空隙が大きくなり吸音性が低下するおそれがある。
本発明に用いられる熱接着性繊維は短繊維が好ましく、更には繊維長が28〜76mmであることが好ましく、38〜64mmであることがより好ましい。繊維長が76mmを超えると、不織布を得る工程での繊維の分散が悪くなる傾向があり、均一な繊維構造体を得にくい場合がある。一方、繊維長を28mm未満にすると、繊維構造体を製造するカード機工程において落綿が増加したり、繊維の移行不良等から均一な繊維構造体が得られなくなる場合がある。
本発明に用いられる熱接着性繊維はポリエステル系繊維より低融点成分を含む繊維である。繊維構造体製造時の圧縮成形加工と同時に熱を加えることで、熱接着性繊維が隣接する熱接着性繊維やポリエステル系繊維などと繊維間の少なくとも一部で接着し、それにより形態保持性に優れた繊維構造体を得ることができる。
熱接着性繊維は、芯鞘型やサイドバイサイド型などの複合繊維の形態であることが複合繊維構造物の強度、耐捩れ等を向上させる点で好ましい。なかでも隣接する繊維との接着点を増加させる観点から、芯鞘型複合繊維の形態が好ましく、なかでも鞘成分を低融点成分の熱可塑性樹脂とし、芯成分を鞘成分よりも融点の高い熱可塑性樹脂とする、芯鞘型複合繊維が好ましく使用される。
芯鞘型複合繊維は、熱成形加工により鞘の形が崩れ、細い芯部分の繊維が残存することにより、成形性(具体的には熱融着後も繊維形態を維持し得る繊維形態の保持性)を有するとともに、緻密な構造ができるため、ポリエステル系繊維により形成される構造と合わせて微細な空隙を多く含むことができるため、嵩高性があり吸音性に優れた繊維構造体を得ることができる。
また、熱接着性繊維を構成する低融点成分の構成比率は、熱接着性繊維の全質量に対する低融点成分/高融点成分の質量比として30/70〜70/30にすることで、優れた接着性能を得ることができ、更には低融点成分/高融点成分の質量比を40/60〜60/40にすることがより好ましい。熱接着性繊維における低融点成分の割合が30質量%未満になると、ポリエステル系繊維と熱接着性繊維および熱接着性繊維同士の接着点が少なくなり、均一な品質の繊維構造体が得られない場合がある。また、熱接着性繊維の低融点成分の構成比率を70質量%超にすると、接着点は増加するが、微細な空隙の減少により、嵩高性や吸音性が低下するため好ましい繊維構造体が得られにくくなる。
熱接着性繊維における低融点成分としては、用いるポリエステル系繊維の融点よりも低い融点を有する成分を用いる。高融点成分としては、低融点成分よりも高い融点を有する成分であることが好ましい。低融点成分と高融点成分の組み合わせとしては、例えば低融点ポリエステルとホモポリエステル、ポリオレフィンとポリエステル、ポリエチレンとポリプロピレンなどが挙げられる。低融点ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートにジエチレングリコールやイソフタル酸などを共重合したポリエステルを用いることで、原糸が製造しやすく好ましく使用される。
層Bに用いられる耐炎化繊維としては、アクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、フェノール系繊維等から選択される繊維を原料として耐炎化処理を行った繊維が挙げられる。これらは単独で使用しても2種類以上を同時に使用してもよい。上記耐炎化繊維としては市販品を用いることも可能であり、そのような市販品としてはZoltek社製耐炎化繊維OX、東邦テナックス(株)“パイロメックス”(Pyromex)(登録商標)等を挙げることができる。
層Bには、耐炎化繊維の他、熱接着性繊維を用いることができる。熱接着性繊維としては、層Aで用いられる熱接着性繊維で説明したものと同様のものが好ましく用いられる。
層Bを構成する不織布は、耐炎化繊維、必要に応じてさらに熱接着性繊維を用い、カードウェブを積層し、ニードルパンチにより構成繊維同士を交絡させることで得ることができる。ニードルパンチの方法は、ニードルパンチ法不織布の製造に適用される方法であれば、特に限定されることはなく、例えば、前記積層ウェブに対して1cm2あたり15〜150本の針密度でニードルパンチを行うなどの方法により実施することができる。
層Bを構成する不織布の好ましい目付は、用いる層Aと所望の繊維構造体の目付に合わせ、適宜決定することができる。また、目付の変動範囲も本発明で規定する範囲を満たすよう、適宜制御される。
層Bにおいて、熱接着性繊維を用いることで、この層Bの熱接着性繊維が隣接する耐炎化繊維や層Aとの界面で隣接するポリエステル系繊維や熱接着繊維等と繊維間の少なくとも一部で接着し、それにより形態保持性に優れた繊維構造体を得ることできる。
本発明の複合繊維構造物は、少なくとも2種類以上のポリエステル系短繊維を含む層Aと、耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bとを積層して繊維構造体とし、その表側と裏側にガラス繊維織物からなる層を積層してなる複合繊維構造物であることが好ましい。
図1に示すように、層Aと層Bとの積層体である繊維構造体の表側にはガラス繊維織物1(層C)を積層し、耐炎化繊維を含む不織布2からなる層Bと接着させる。耐炎化繊維を含む不織布2からなる層Bの裏側はポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む繊維3の層Aと接着し、更に前記繊維構造体の裏側にはガラス繊維織物4(層D)を積層し、複合繊維構造物を得ることができる。
複合繊維構造物の軽量化のために、ガラス繊維織物の目付は80〜400g/m2が好ましい。ガラス繊維織物の組織、密度は特に限定されない。表側に使用されるガラス繊維織物は、アクリル樹脂系塗料や表皮材などを付与しても構わない。複合繊維構造物の軽量化を損なわない80〜400g/m2の目付範囲で、カラーバリエーションや意匠性を持った表皮材を選択できる。
本発明の複合繊維構造物の製造方法について、以下説明する。層A、B、C、Dは、あらかじめ各層を用意し、それぞれを積層、一体化して製造することも可能であるし、あらかじめ積層された層Aおよび層Bからなる繊維構造体の表裏に層C、Dをそれぞれ積層し、一体化してもよい。
具体的には表側のガラス繊維織物(層C)、耐炎化繊維を含む不織布からなる層B、ポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと裏側のガラス繊維織物(層D)を同時に接着し、複合繊維構造物を得る方法を採用することができ、その際重ね合わせ、加熱プレスによるバッチ式の圧縮接着加工、連続式の加熱ロールや熱成形機などにより加熱接着する方法を用いることができる。
また、繊維構造体の表裏にガラス繊維織物(層C、D)を同時に積層し、これを圧縮接着させる方法も採用することができる。この方法によれば、安定した品質が得られやすく、加工ジワの軽減される加熱プレス機を用いることからより好ましい加工方法として挙げられる。
また、繊維構造体に含まれる熱接着性繊維を再溶融させることで、繊維構造体の表裏にそれぞれガラス繊維織物(層C、層D)を接着することも可能であるが、繊維構造体とガラス繊維織物の接着力をより強固にするためには、熱可塑性ポリアミドパウダーや共重合ポリエステルパウダーを介して繊維構造体とガラス繊維織物を積層、成型することがより好ましい。
本発明の複合繊維構造物が得られるように成型するときの条件は、例えば加熱プレスによるバッチ式の圧縮接着加工をする場合、熱板間の隙間を8〜15mmにし、100〜110℃にて10〜15秒プレスすることが好ましい。加熱時間が10秒未満では圧縮接着が不十分であり、加熱時間を15秒よりも長くすると熱接着性繊維の溶融が進行し厚みが低下する。
本発明の複合繊維構造物に用いられる繊維構造体は、層Aを構成するポリエステル系繊維と熱接着性繊維とを短繊維の形態で用い、規定の質量に計量して混合したあと開繊した短繊維をカーディング法又はエアレイド法にてウェブを積層し、層Bを構成する不織布と積層して熱処理成形を行う方法で製造することが好ましい。
更には、ガラス繊維織物と積層前の中間品としての繊維構造体の厚さを10〜20mmに薄く均一に製造するため、カーディング法によるウェブ積層法式がより好ましい。
具体的には、層Aを構成するポリエステル系短繊維と熱接着性短繊維とを開繊、混合した後、不織布製造工程のカーディング、クロスラッパーを通過させて積層し、カードウェブを得る。そのカードウェブに層Bを構成する耐炎化繊維を含む不織布を重ね、圧縮しながら熱処理を行い、繊維構造体を得る。
また、層Aを構成する短繊維の向きがシートの幅方向になるように積層して熱接着させることが均一な品質を得る手段としてより好ましく使用され、密度や引っ張り強度などが安定した好ましい様態である。また、積層する際、供給する短繊維が均一かつ均質に積層されるよう、留意する。具体的には開繊を十分に行い、供給速度と供給位置を調整する。
また、前記繊維構造体の目付の範囲内であれば上記層Aおよび/または層Bを複数積層することも可能であるし、本発明の規定を満たす限り、他の不織布等の層を積層しても好適な様態となる。
かくして得られる本発明の複合繊維構造物は、吸音性に優れ、好ましい態様においてJIS A 1405−2:2007に準拠して測定した、1/3オクターブ中心周波数500Hzでの垂直入射吸音率が0.1以上かつ、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでの垂直入射吸音率が0.2以上を達成することが可能であり、好ましくは1/3オクターブ中心周波数500Hzでの垂直入射吸音率が0.1以上かつ、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでの垂直入射吸音率が0.2以上である。垂直入射吸音率の上限としては特になく、高い方が好ましい。なお、JIS A 1405−2:2007に準拠して測定した、1/3オクターブ中心周波数500Hzは、一般的な人の話し声の帯域を示す周波数である。したがって、上記範囲であることで、一般的な人の話し声を十分に吸音することが可能である。
また、本発明の複合繊維構造物は、優れた不燃性を有するので、好ましい態様においてはその表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際、総発熱量が8MJ/m2以下とすることも可能であり、より好ましい態様においては7.2MJ/m2以下を達成することも可能である。また、同様に表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際、裏側面まで貫通する亀裂または穴が発生しないものとすることも可能である。
また、本発明の複合繊維構造物は、優れた不燃性を有するので、好ましい態様においてはその表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際、最高発熱速度が10秒以上連続して200kW/m2を超えないようにすることも可能である。
なお、本発明においては、層A、層Bを観察したとき、層Bが層Aよりも外層側にある面を表面と称する。
本発明の複合繊維構造物は不燃性および軽量性、吸音性、意匠性に優れるため、建築物の内壁用または天井用として特に好適に使用される。もちろん、自動車、新幹線、電車などの車両用の吸音材としても使用することができる。
本発明における特性値の測定方法について説明する。
1.単繊維繊度
JIS L 1015:2010 8.5.1 A法に準拠して、単繊維繊度(dtex)を測定した。
1.単繊維繊度
JIS L 1015:2010 8.5.1 A法に準拠して、単繊維繊度(dtex)を測定した。
2.繊維構造体および複合繊維構造物の厚み
JIS L 1913:2010 6.1.1 A法に準拠して厚み(mm)を測定した。
JIS L 1913:2010 6.1.1 A法に準拠して厚み(mm)を測定した。
3.目付および目付の変動範囲
(層A、層Bを構成する不織布、繊維構造体および複合繊維構造物の目付)
JIS L 1913:2010 6.2に準拠して単位面積あたりの質量を測定して目付とした。
目付の測定に際し、試料は層Aと層Bを積層した繊維構造体、複合繊維構造物等の評価対象物を縦方向に30cm、横方向に30cmの大きさで切り出して採取した。測定は3回行い、平均値を目付とした。
目付の変動範囲の測定に際しては、得られた繊維構造体等の評価対象物の巾方向中心部から両幅方向に向けて縦方向に10cm、横方向に10cmの大きさにサンプルを切り出す操作を繰り返す作業を複数段(下記実施例では2段)行い、計42枚の試料を作製し、目付の変動範囲とした。
上記において、層Aの目付は、層Bを用いない以外は同じ条件で層Aのみからなる繊維構造体を製造し、その目付を測定することにより行った。なお、その値は、層Aおよび層Bを積層してなる繊維構造体の目付から層Bを構成する不織布の目付を差し引いた値とほぼ一致することを確認した。
(層A、層Bを構成する不織布、繊維構造体および複合繊維構造物の目付)
JIS L 1913:2010 6.2に準拠して単位面積あたりの質量を測定して目付とした。
目付の測定に際し、試料は層Aと層Bを積層した繊維構造体、複合繊維構造物等の評価対象物を縦方向に30cm、横方向に30cmの大きさで切り出して採取した。測定は3回行い、平均値を目付とした。
目付の変動範囲の測定に際しては、得られた繊維構造体等の評価対象物の巾方向中心部から両幅方向に向けて縦方向に10cm、横方向に10cmの大きさにサンプルを切り出す操作を繰り返す作業を複数段(下記実施例では2段)行い、計42枚の試料を作製し、目付の変動範囲とした。
上記において、層Aの目付は、層Bを用いない以外は同じ条件で層Aのみからなる繊維構造体を製造し、その目付を測定することにより行った。なお、その値は、層Aおよび層Bを積層してなる繊維構造体の目付から層Bを構成する不織布の目付を差し引いた値とほぼ一致することを確認した。
4.垂直入射吸音率
JIS A 1405−2:2007に準拠して垂直入射吸音率を測定した。すなわち、(株)ソーテック(旧電子測器(株))製の垂直入射吸音率測定器(TYPE10041A)を用いて、低周波領域は、サンプルを直径92mmの円形に切り抜き100〜2000Hzの範囲の吸音率を測定した。高周波領域は、サンプルを直径41mmの円形に切り抜き800〜5000Hzの範囲の吸音率を測定した。測定はそれぞれ3個ずつ行い、小数点第3位を四捨五入して垂直入射吸音率の平均値とした。但し800〜2000Hzの間は低周波領域と高周波領域の平均値を測定値とする。上記測定から、1/3オクターブ中心周波数500Hzでの垂直入射吸音率、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでの垂直入射吸音率をそれぞれ求めた。一般的な人の声の周波数といわれる500Hzを中心とした吸音率が大きい方が好ましい。
JIS A 1405−2:2007に準拠して垂直入射吸音率を測定した。すなわち、(株)ソーテック(旧電子測器(株))製の垂直入射吸音率測定器(TYPE10041A)を用いて、低周波領域は、サンプルを直径92mmの円形に切り抜き100〜2000Hzの範囲の吸音率を測定した。高周波領域は、サンプルを直径41mmの円形に切り抜き800〜5000Hzの範囲の吸音率を測定した。測定はそれぞれ3個ずつ行い、小数点第3位を四捨五入して垂直入射吸音率の平均値とした。但し800〜2000Hzの間は低周波領域と高周波領域の平均値を測定値とする。上記測定から、1/3オクターブ中心周波数500Hzでの垂直入射吸音率、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでの垂直入射吸音率をそれぞれ求めた。一般的な人の声の周波数といわれる500Hzを中心とした吸音率が大きい方が好ましい。
5.耐燃性
コーンカロリーメーターを使用した発熱性試験として、ISO 5660−1:2002に準拠して、サンプルの大きさは縦方向に100mm、横方向に100mmとし、輻射電気ヒーターから上記大きさの複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射して、最高発熱速度と総発熱量を測定し、耐熱性を評価した。
輻射電気ヒーターから上記大きさの複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、最高発熱速度が10秒以上連続して200kW/m2を超えないこと及び総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましく、あわせて裏側まで貫通する亀裂や穴がないことが好ましい複合繊維構造物の様態である。
コーンカロリーメーターを使用した発熱性試験として、ISO 5660−1:2002に準拠して、サンプルの大きさは縦方向に100mm、横方向に100mmとし、輻射電気ヒーターから上記大きさの複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射して、最高発熱速度と総発熱量を測定し、耐熱性を評価した。
輻射電気ヒーターから上記大きさの複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、最高発熱速度が10秒以上連続して200kW/m2を超えないこと及び総発熱量が8MJ/m2以下であることが好ましく、あわせて裏側まで貫通する亀裂や穴がないことが好ましい複合繊維構造物の様態である。
[実施例1]
ポリエステル系繊維として、繊度7.8dtex、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を30質量%と、熱接着性繊維として、鞘部が共重合ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)である芯鞘型複合繊維(繊度4.4dtex、繊維長51mm、共重合ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート質量比=50/50)を70質量%とを未開繊部を含まないよう十分に開繊、それぞれの供給量を調整しながら混合した後、不織布製造工程のカーディング、クロスラッパーを通過させて積層されたカードウェブ(層A)を得た。なおクロスラッパーでの積層時には、積層速度を調整し、幅方向の目付の変動範囲を抑制した。
ポリエステル系繊維として、繊度7.8dtex、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート短繊維を30質量%と、熱接着性繊維として、鞘部が共重合ポリエチレンテレフタレート(融点110℃)、芯部がポリエチレンテレフタレート(融点255℃)である芯鞘型複合繊維(繊度4.4dtex、繊維長51mm、共重合ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート質量比=50/50)を70質量%とを未開繊部を含まないよう十分に開繊、それぞれの供給量を調整しながら混合した後、不織布製造工程のカーディング、クロスラッパーを通過させて積層されたカードウェブ(層A)を得た。なおクロスラッパーでの積層時には、積層速度を調整し、幅方向の目付の変動範囲を抑制した。
次に繊維構造体を得るために、上記のように積層されたカードウェブ(層A)に、耐炎化繊維として、耐炎化糸(Zoltek(株)製OX)40%と熱接着性繊維60%からなる目付100g/m2のニードルパンチ不織布(層B)を重ね、金属メッシュシートで圧縮しながら熱成形機内を温度170℃で通過させて、目付が280g/m2、厚さが12mmの層Aと層Bを積層した繊維構造体を得た。また、層Aの目付は、180g/m2であった。
層Aおよび層Bを積層させた繊維構造体を縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法に切断して計42カ所で測定して求めた目付の変動範囲は、最小247g/m2、最大307g/m2であった。またCVは5.5%であった。
また、層Aの目付の変動範囲は最小157g/m2、最大197g/m2であった。またCVは5.5%であった。
また、層Aの目付の変動範囲は最小157g/m2、最大197g/m2であった。またCVは5.5%であった。
前記繊維構造体の表側(耐炎化繊維を用いたニードルパンチ不織布からなる層B側)に、目付が330g/m2のガラス繊維織物の裏面にポリアミド接着剤を10g/m2塗布したものを重ね、更に繊維構造体の裏側には、目付105g/m2のガラス繊維織物を重ね、温度100℃に設定した熱プレス加工機で厚さ10mmに圧縮して、目付が725g/m2、厚さ12mmの複合繊維構造物を得た。
その複合繊維構造物の垂直入射吸音率は、1/3オクターブ中心周波数500Hzにおいて0.13、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでは0.28であった。
また、その複合繊維構造物の耐熱性は、輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中、被照射サンプルに対する最高発熱速度が135.4kW/m2で、10秒以上連続して200kW/m2を超えることはなく、被照射サンプルに対する総発熱量が7.2MJ/m2、および裏側まで貫通する亀裂及び穴が空くことがなく良好な品質であることを確認した。
その複合繊維構造物の垂直入射吸音率は、1/3オクターブ中心周波数500Hzにおいて0.13、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでは0.28であった。
また、その複合繊維構造物の耐熱性は、輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中、被照射サンプルに対する最高発熱速度が135.4kW/m2で、10秒以上連続して200kW/m2を超えることはなく、被照射サンプルに対する総発熱量が7.2MJ/m2、および裏側まで貫通する亀裂及び穴が空くことがなく良好な品質であることを確認した。
[実施例2]
実施例1と同じ原料を用い、カードウェブ重量を変更した以外は実施例1と同じ方法で作成した層Aと層Bを積層して加熱圧縮し、目付が250g/m2、厚さが11mmの繊維構造体を作成した。また、層Aの目付は、150g/m2であった。得られた繊維構造体を縦方向10cm、横方向10cmの寸法に切断して計42カ所で測定して求めた目付の変動範囲は、最小230g/m2、最大290g/m2であった。またCVは6.0%であった。また、実施例1と同じガラス繊維織物を表側と裏側に重ね、実施例1を同じ方法で加工して目付が700g/m2、厚さが11mmの複合繊維構造物を得た。また、層Aの目付の変動範囲は最小140g/m2、最大180g/m2であった。またCVは6.0%であった。その複合繊維構造物の垂直入射吸音率は、1/3オクターブ中心周波数500Hzにおいて0.11、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでは0.22であった。輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する最高発熱速度が128.0kW/m2で、10秒以上連続して200kW/m2を超えることはなく、被照射サンプルに対する総発熱量は6.5MJ/m2で、裏側まで貫通する亀裂及び穴が空くことがなく良好な品質であることを確認した。
実施例1と同じ原料を用い、カードウェブ重量を変更した以外は実施例1と同じ方法で作成した層Aと層Bを積層して加熱圧縮し、目付が250g/m2、厚さが11mmの繊維構造体を作成した。また、層Aの目付は、150g/m2であった。得られた繊維構造体を縦方向10cm、横方向10cmの寸法に切断して計42カ所で測定して求めた目付の変動範囲は、最小230g/m2、最大290g/m2であった。またCVは6.0%であった。また、実施例1と同じガラス繊維織物を表側と裏側に重ね、実施例1を同じ方法で加工して目付が700g/m2、厚さが11mmの複合繊維構造物を得た。また、層Aの目付の変動範囲は最小140g/m2、最大180g/m2であった。またCVは6.0%であった。その複合繊維構造物の垂直入射吸音率は、1/3オクターブ中心周波数500Hzにおいて0.11、1/3オクターブ中心周波数1000Hzでは0.22であった。輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する最高発熱速度が128.0kW/m2で、10秒以上連続して200kW/m2を超えることはなく、被照射サンプルに対する総発熱量は6.5MJ/m2で、裏側まで貫通する亀裂及び穴が空くことがなく良好な品質であることを確認した。
[比較例1]
実施例1において、繊維構造体を構成する繊維の混率は実施例1と同じでカードウェブ重量を増加し、実施例1と同じ目付100g/m2のニードルパンチ不織布を重ねて実施例1と同じ方法で加熱圧縮し、目付400g/m2、厚さ15mmの繊維構造体を得た。更に実施例1と同じガラス繊維織物を表側と裏側に重ね、実施例1を同じ方法で加工して、目付が820g/m2、厚さ13mmの複合繊維構造物を得た。なお、層Aの目付は300g/m2であった。段落0069の記載に準じて、その複合繊維構造物の耐燃性は、輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する総発熱量が8.5MJ/m2と、高すぎた。
実施例1において、繊維構造体を構成する繊維の混率は実施例1と同じでカードウェブ重量を増加し、実施例1と同じ目付100g/m2のニードルパンチ不織布を重ねて実施例1と同じ方法で加熱圧縮し、目付400g/m2、厚さ15mmの繊維構造体を得た。更に実施例1と同じガラス繊維織物を表側と裏側に重ね、実施例1を同じ方法で加工して、目付が820g/m2、厚さ13mmの複合繊維構造物を得た。なお、層Aの目付は300g/m2であった。段落0069の記載に準じて、その複合繊維構造物の耐燃性は、輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する総発熱量が8.5MJ/m2と、高すぎた。
[比較例2]
実施例1において、繊維構造体を構成する繊維の混率は実施例1と同じでカードウェブ重量を増加し、ニードルパンチ不織布なしで、目付300g/m2の繊維構造体を得た。更に実施例1と同じガラス繊維織物を表側と裏側に重ね、実施例1を同じ方法で加工して、目付が720g/m2、厚さ12mmの複合繊維構造物を得た。段落0069の記載に準じて、その複合繊維構造物の耐燃性は、輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する総発熱量が7.3MJ/m2となったが、複合繊維構造物の剛性不足によりたわみやすいものとなった。具体的には、その複合繊維構造物を縦方向60cm、横方向60cmの正方形に切り出し、対向する4辺を固定して空中に保持したところ、たわんでしまい、天井材として剛性に欠けるものであった。
実施例1において、繊維構造体を構成する繊維の混率は実施例1と同じでカードウェブ重量を増加し、ニードルパンチ不織布なしで、目付300g/m2の繊維構造体を得た。更に実施例1と同じガラス繊維織物を表側と裏側に重ね、実施例1を同じ方法で加工して、目付が720g/m2、厚さ12mmの複合繊維構造物を得た。段落0069の記載に準じて、その複合繊維構造物の耐燃性は、輻射電気ヒーターから複合繊維構造物の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する総発熱量が7.3MJ/m2となったが、複合繊維構造物の剛性不足によりたわみやすいものとなった。具体的には、その複合繊維構造物を縦方向60cm、横方向60cmの正方形に切り出し、対向する4辺を固定して空中に保持したところ、たわんでしまい、天井材として剛性に欠けるものであった。
[比較例3]
実施例1において、カードウェブ積層時に積層速度を調整することなく(単純往復運動)重ね、実施例1と同じ目付100g/m2のニードルパンチ不織布を重ねて実施例1と同じ方法で加熱圧縮し、平均目付280g/m2、厚さ12mmの繊維構造体を得た。その繊維構造体を縦方向10cm、横方向10cmの寸法に切断して42カ所で測定した目付は、最小260g/m2、最大341g/m2であった。またCVは9.1%であった。段落0069の記載に準じて、得られた繊維構造体の耐熱性は、輻射電気ヒーターから繊維構造体の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する総発熱量が8.5MJ/m2と、高すぎた。
実施例1において、カードウェブ積層時に積層速度を調整することなく(単純往復運動)重ね、実施例1と同じ目付100g/m2のニードルパンチ不織布を重ねて実施例1と同じ方法で加熱圧縮し、平均目付280g/m2、厚さ12mmの繊維構造体を得た。その繊維構造体を縦方向10cm、横方向10cmの寸法に切断して42カ所で測定した目付は、最小260g/m2、最大341g/m2であった。またCVは9.1%であった。段落0069の記載に準じて、得られた繊維構造体の耐熱性は、輻射電気ヒーターから繊維構造体の被照射サンプル表面に50kW/m2の輻射熱を20分間照射中に、被照射サンプルに対する総発熱量が8.5MJ/m2と、高すぎた。
1 ガラス繊維織物(表側、層C)
2 層B
3 層A
4 ガラス繊維織物(裏側、層D)
2 層B
3 層A
4 ガラス繊維織物(裏側、層D)
Claims (6)
- 少なくともポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと、耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bとを積層してなる繊維構造体の表側と裏側にガラス繊維織物からなる層C、Dを積層してなる複合繊維構造物であり、
かつ下記の要件(1)〜(5)の全てを満足することを特徴とする複合繊維構造物である。
(1)JIS L 1913:2010に準拠して測定した前記繊維構造体の目付が、300g/m2以下である。
(2)前記層Aを構成する前記繊維構造体に含まれるポリエステル系短繊維と熱接着性繊維との質量比率が、50/50〜20/80である。
(3)前記繊維構造体は、ポリエステル系短繊維と熱接着性繊維を含む層Aと耐炎化繊維を含む不織布からなる層Bが積層された状態で圧縮され且つ熱接着性繊維が周囲の繊維と融着されて形成される。
(4)前記層Aを縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が140〜220g/m2であり、変動係数(CV%)が8%以下である。
(5)JIS L 1913:2010に準拠して測定した前記複合繊維構造物の目付が800g/m2以下、かつ厚さが8〜15mmである。 - 前記繊維構造体を縦方向に10cm、横方向に10cmの寸法で切断して測定したときの目付が230〜330g/m2であり、変動係数(CV%)が8%以下である請求項1に記載の複合繊維構造物。
- JIS L 1913:2010に準拠して測定した層Aの目付が200g/m2以下である請求項1または2に記載の複合繊維構造物。
- JIS A 1405−2:2007に準拠して測定した、1/3オクターブ中心周波数500Hzでの垂直入射吸音率が0.1以上かつ1/3オクターブ中心周波数1000Hzでの垂直入射吸音率が0.2以上である請求項1ないし3のいずれかに記載の複合繊維構造物。
- 複合繊維構造物の表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際、最高発熱速度が10秒以上連続して200kW/m2を超えない請求項1ないし4のいずれかに記載の複合繊維構造物。
- 複合繊維構造物の表側に50kW/m2の輻射熱を20分間照射した際、総発熱量が8MJ/m2以下であり、裏側まで貫通する亀裂または穴が発生しない請求項1ないし5のいずれかに記載の複合繊維構造物。
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JP2019047860A JP2020146965A (ja) | 2019-03-15 | 2019-03-15 | 複合繊維構造物 |
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JP (1) | JP2020146965A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7203458B1 (ja) | 2021-11-17 | 2023-01-13 | ユニチカ株式会社 | シート、膜天井、光膜天井 |
-
2019
- 2019-03-15 JP JP2019047860A patent/JP2020146965A/ja active Pending
Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP7203458B1 (ja) | 2021-11-17 | 2023-01-13 | ユニチカ株式会社 | シート、膜天井、光膜天井 |
JP2023074449A (ja) * | 2021-11-17 | 2023-05-29 | ユニチカ株式会社 | シート、膜天井、光膜天井 |
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