JP7203197B2 - 架橋性オルガノシロキサン組成物 - Google Patents

架橋性オルガノシロキサン組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ヒドロシリル架橋性オルガノシロキサン組成物、その製造方法、およびその使用、ならびにそれから得られうる加硫物に関する。
脂肪族炭素-炭素多重結合を有する反応性単位を含むオルガノポリシロキサン樹脂は、ヒドロシリル化/付加反応によって、触媒(通常は白金含有触媒)の存在下で、2個の反応性SiH官能基を有する適切な結合剤(koppler)または少なくとも3個の反応性SiH官能基を有する架橋剤で架橋することができる。不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂などの有機系と比較した加硫オルガノポリシロキサン樹脂の利点は、高いUV耐性と高い耐熱性とを兼ね備えているという特徴である。さらに、オルガノポリシロキサン樹脂は誘電率が低く、化学薬品に対する安定性が良好である。これらの理由から、オルガノポリシロキサン樹脂は、例えば、電気または電子部品の製造用の埋込用樹脂として、特に高性能LED(=発光デバイス)などの光学半導体素子の製造に使用されており、また、巻線を固定するためや、ターン間の空洞を埋めるためなど、例えばトラクションモーターの絶縁材料として使用され、またコーティング材料として使用されている。強度または耐久性に対するより高い要求が必要とされる用途向けの付加架橋オルガノポリシロキサン樹脂組成物の活用可能性を拡大するために、繊維、強化フィラーまたは改質剤を使用することにより、機械的特性、強度または破壊靭性を最適化できる。しかしながら、オルガノポリシロキサン樹脂の加硫ネットワークは、有機系と比較してより脆く、これは、より低い延性、すなわちポリマーネットワークの低い流動特性に起因する可能性がある。該材料の低い流動特性とその結果としての比較的低い破壊靭性も、流量比の高い値によって圧縮試験曲線で確認できる。さらに、このような脆性材料は、通常、不均一なポリマーネットワークを示し、それに応じて、動的機械分析(DMA)のtanδ測定曲線において、半値全幅が比較的高く、ガラス転移温度(Tg)での減衰最大tanδmaxの高さが比較的低いことによって確認できる、好ましくない減衰特性を示す。対照的に、単一の狭く高いtanδピーク(=高減衰)は、モル重量分布が狭い熱可塑性材料で一般的に観察される比較的均質なネットワークを示す。しかしながら、これは典型的な熱硬化性材料では通常観察されない。逆に、より有利な流動特性(すなわち、流量比の低い値)、そしてその結果、より高い破壊靭性を示すオルガノポリシロキサン樹脂の加硫ネットワークは、比較的低い強度、すなわち低い弾性率を示す傾向がある。
米国特許第3,438,936号明細書には、とりわけ、白金触媒の存在下、二価のSiH含有結合剤を用いた付加反応により加硫される環状シロキサン(ViMeSiO2/24の使用が記載されている。加硫物は、良好な流動特性を有するが、強度が低く、すなわち弾性率値が低い。
米国特許第3,438,936号明細書
本発明は、強度が高く(すなわち弾性率が高く)、しかも、小さい値の流量比と高く狭い減衰最大tanδmaxとに現れる高い破壊靭性を有する加硫物を得ることができる、付加反応により架橋可能なオルガノシロキサンを提供することを目的としている。
本発明は、
(A)式:[Ra1 b2 cSiO2/2m (I)
のシクロシロキサンと、
(B)2個のSi結合水素原子、および少なくとも1個の芳香族基を有する有機ケイ素化合物と、
(C)脂肪族多重結合へのSi結合水素の付加を促進する触媒と
を含むヒドロシリル架橋性組成物を提供する。
上記式中、Rは、メチル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,2,4-トリメチルペンチルまたは2,4,4-トリメチルペンチルを表し、
1は、ビニル、ビシクロヘプテニル、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルまたは2-プロペニルを表し、
2は、フェニル、o-,m-もしくはp-トリルまたはベンジルを表し、
aは、0または1であり、
bは、0または1であり、
cは、0、1または2であり、
mは、3、4または5、好ましくは3または4、特に好ましくは3であり、
ただし、a+b+cは2であり、シロキサン分子(A)当たり少なくとも3個の基R1が存在し、シロキサン分子(A)当たり少なくとも(m-3)個の基R2が存在する。
基Rは、好ましくはメチルである。
基R1は、好ましくはビニルである。
基R2は、好ましくはフェニルである。
成分(A)は、mが3であり、a=b=1であり、c=0である式(I)のシクロトリシロキサン(A1)、またはmが3、4または5である式(I)の芳香族シクロシロキサン(A2)(ここで、シクロシロキサン分子(A2)当たり、少なくとも3個の基R1が存在し、a=0およびb=c=1である少なくとも1個の単位が存在する)であることが好ましい。
式(I)のシクロシロキサン(A2)は、好ましくは、mが3または4であり、m個の単位のうちの少なくとも3個において、a=0およびb=c=1であるものであり、特に好ましくは、mが3であり、m個の単位のそれぞれにおいてa=0およびb=c=1である式(I)のシクロシロキサンである。
好ましくは、少なくとも(m-2)個、特に好ましくは(m-1)個、とりわけ好ましくはm個の基R2がシロキサン分子(A2)ごとに存在し、ここで、mおよびR2は上記で定義された通りである。
本発明において使用されるシクロシロキサン(A1)の例は、(MeViSiO2/23、(MeBchSiO2/23、(MeDcpSiO2/23であり、ここで、Meはメチルであり、Bchはビシクロヘプテニルであり、Dcpは3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルであり、Viはビニルである。
本発明において使用されるシクロシロキサン(A2)の例は、(PhViSiO2/25、(PhViSiO2/24、(Ph(Bch)SiO2/24、(Ph(Dcp)SiO2/24、(PhViSiO2/23、(Ph(Bch)SiO2/23、(Ph(Dcp)SiO2/23、(PhMeSiO2/21(PhViSiO2/23、(PhMeSiO2/22(PhViSiO2/23、(Ph2SiO2/21(PhViSiO2/23、(MeViSiO2/21(PhViSiO2/23、(MeVi-SiO2/22(PhViSiO2/22、(MeViSiO2/22(PhViSiO2/23、(MeVi-SiO2/21(PhViSiO2/22および(MeViSiO2/23(PhMeSiO2/21であり、ここで、Meはメチルであり、Viはビニルであり、Bchはビシクロヘプテニルであり、Dcpは3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルであり、Phはフェニルである。
本発明において使用されるシクロシロキサン(A2)は、好ましくは(Ph(Bch)SiO2/24、(Ph(Dcp)SiO2/24、(Ph(Bch)SiO2/23、(Ph(Dcp)SiO2/23、(PhViSiO2/23、(PhViSiO2/24または(PhViSiO2/25であり、ここで、(PhViSiO2/23または(PhViSiO2/24が特に好ましく、ここで、Meはメチルであり、Viはビニルであり、Bchはビシクロヘプテニルであり、Dcpは3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルであり、Phはフェニルである。
成分(A2)は、1種の芳香族シクロシロキサンであってもよく、または異なる種の芳香族シクロシロキサンの混合物であってもよく、混合物が好ましく、mが3または4である式(I)の芳香族シクロシロキサンの混合物が特に好ましい。
本発明において使用される成分(A2)が、mが3、4または5、好ましくは3または4である式(I)の芳香族シクロシロキサンの混合物である場合、m=3または4である式(I)の芳香族シクロシロキサン(A2)の合計は、式(I)のすべての芳香族シクロシロキサン(A2)の合計に対して、望ましくは少なくとも0.70、好ましくは少なくとも0.80、特に好ましくは少なくとも0.90、とりわけ好ましくは少なくとも0.95である。m=3である式(I)の芳香族シクロシロキサン(A2)の合計は、式(I)のすべての芳香族シクロシロキサン(A2)の合計に対して、望ましくは少なくとも0.10、好ましくは少なくとも0.20、特に好ましくは少なくとも0.30、とりわけ好ましくは少なくとも0.40である。
シクロシロキサン(A)は、市販品であるか、または化学において慣習的な方法によって、例えば、必要に応じて補助塩基の存在下で、対応するジクロロシランの加水分解および縮合によって製造可能であり;必要に応じて補助塩基、例えばピリジン、アルキルアミン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属エトキシド、アルカリ金属メトキシドの存在下で、対応するジクロロシランと、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩、酸化亜鉛などの金属酸化物、またはtert-ブチルアルコールなどのアルコールなどの「酸素供与体」との反応によって、製造可能であり、合成は、通常、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、Isopar(商標)Eまたはテトラクロロメタンなどの一般的に使用される溶媒中で行われ;または、必要に応じてトルエンなどの溶媒中で、1,1,3,3-置換1,3-ジヒドロキシジシロキサンと1,1,3,3-置換1,3-ジクロロジシロキサンまたは置換ジクロロシランおよびピリジンまたはアルキルアミンなどの補助塩基との反応によって、製造可能である。
本発明において使用されるフェニル含有シクロシロキサン(A2)は、好ましくは、Zuev,V.,Kalinin,A.V.,Phosphorus Sulfur and Silicon,178:1289-1294,2003(DOI:10.1080/10426500390200585)に記載される実施例に従って製造され、例えば、トルエン、アセトン、酢酸エチルまたはメチルエチルケトン中における、対応するジクロロシランと、酸素供与体としての炭酸水素ナトリウムおよび補助塩基としてのピリジンとの反応によって製造される。
本発明において使用される成分(B)は、2個のSi結合水素原子および少なくとも1個の芳香族基を有する、任意の所望の従来知られている有機ケイ素化合物、例えば、SiH官能性のシランおよびシロキサン、であり得る。
結合剤(B)は、好ましくは、
式:R4 ef5 gSiO(4-e-f-g)/2 (II)
の単位を含む有機ケイ素化合物である。
上記式中、R4は、同一であっても異なっていてもよく、一価または二価の、SiC結合した、必要に応じて置換された脂肪族飽和炭化水素基を表し、
5は、同一であっても異なっていてもよく、一価または二価の、SiC結合した、必要に応じて置換された脂肪族飽和芳香族炭化水素基を表し、
eは、0、1、2または3、好ましくは0、1または2、特に好ましくは1または2であり、fは、0、1または2、好ましくは1または2であり、gは、0、1または2、好ましくは1または2であり、ただし、e+f+gは4以下であり、分子当たり2個のSi結合水素原子と少なくとも1個の芳香族基とが存在する。
結合剤(B)は、分子当たり、1~4個の基R5を含むことが好ましく、1~2個の基R5を含むことが特に好ましい。
結合剤(B)は、二価の、SiC結合した、特に式(II)の2つの単位を互いに連結する脂肪族飽和芳香族炭化水素基である基R5を、分子当たり少なくとも1個含むことが好ましい。
基R4の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-n-ブチル基、2-n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基;n-ヘキシル基などのヘキシル基;n-ヘプチル基などのヘプチル基;n-オクチル基、ならびに2,4,4-トリメチルペンチル基および2,2,4-トリメチルペンチル基などのイソオクチル基などのオクチル基;n-ノニル基などのノニル基;n-デシル基などのデシル基;n-ドデシル基などのドデシル基;n-ヘキサデシル基などのヘキサデシル基;n-オクタデシル基などのオクタデシル基;などのアルキル基;;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;;ならびにメチレン基、エチレン基、ジメチルメチレン基およびメチルメチレン基であり、好ましくはメチル基である。
基R5の例は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基などのアリール基;o-,m-,p-トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基などのアルカリール基;ならびにベンジル基、α-およびβ-フェニルエチル基、2-(2-メチルフェニル)エチル基、2-(3-メチルフェニル)エチル基、2-(4-メチルフェニル)エチル基、2-フェニルプロペニル基および2-フェニル-イソプロペニル基などのアラルキル基;ならびにフェニレン基、メチル(フェニル)メチレン基、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、-(C64)-CH2-(C64)-、-(C64)-C(CH32-(C64)-、-(C64)-C(CH3)H-(C64)-、-(C64)-C(C65)H-(C64)-、-(C64)-C(C65)Me-(C64)-、-(C64)-C(C652-(C64)-、-(C64)-O-(C64)-、-(C64)-S-(C64)-、ならびに二価のビフェニル基、ナフタレン基、アントラセン基またはフェナントレン基であり、フェニル基、二価のビフェニル基またはフェニレン基が好ましい。
結合剤(B)の例は、ジフェニルシラン(CAS 775-12-2)、メチル(フェニル)シラン(CAS 766-08-5)などのフェニルシラン;1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルジシロキサン(CAS 6689-22-1)、1,1,3-トリメチル-3-フェニルジシロキサン、1,5-ジメチル-1,3,3,5-テトラフェニルトリシロキサン、1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジフェニルトリシロキサン、1,1,3,5,5-ペンタメチル-3-フェニルトリシロキサンなどのシロキサン単位を有する結合剤;1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(CAS 2488-01-9)、1,4-ビス(メチルフェニルシリル)ベンゼン、4,4’-ビス(ジメチルシリル)-1,1’-ビフェニル、ビス(4’-(ジメチルシリル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ジメチルシラン、4,4’-ビス(メチルフェニルシリル)-1,1’-ビフェニル、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジメチルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)(エチル)メチルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジエチルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジ-n-ブチルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジ-tert-ブチルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジプロピルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジイソプロピルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)メタン、2,2-ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)プロパンなどのフェニレン単位や二価のビフェニル単位を有する結合剤;9,10-ビス(ジメチルシリル)アントラセン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、1,5-ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、2,6-ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、1,8-ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、1,6-ビス(ジメチルシリル)ナフタレン、1,7-ビス(ジメチルシリル)ナフタレンなどの二価の多環式芳香族炭化水素を含む結合剤;ならびにビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)エーテルおよびビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)スルフィドである。
本発明において使用される結合剤(B)は、好ましくは、ジフェニルシラン、1,3-ジメチル-1,3-ジフェニル-ジシロキサン、1,1,5,5-テトラメチル-3,3-ジフェニルトリシロキサン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、4,4’-ビス(ジメチルシリル)-1,1’-ビフェニル、ビス(4’-(ジメチルシリル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ジメチルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジメチルシラン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)メタン、ビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)エーテルまたはビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)スルフィドなどの有機ケイ素化合物である。
本発明において使用される結合剤(B)は、特に好ましくは、ジフェニルシラン、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,3-ジメチル-1,3-ジフェニル-ジシロキサン、4,4’-ビス(ジメチルシリル)-1,1’-ビフェニルまたはビス(4-(ジメチルシリル)フェニル)ジメチルシランであり、とりわけ好ましくは、1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、4,4’-ビス(ジメチルシリル)-1,1’-ビフェニル、1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルジシロキサンまたはビス(4-ジメチルシリル)フェニル)ジメチルシランである。
結合剤(B)は、市販品であるか、または化学で一般的に使用される方法、例えばグリニャール反応、によって製造してもよい。
本発明の組成物において、成分(A)および(B)は、脂肪族不飽和炭素-炭素多重結合に対するSi結合水素のモル比が望ましくは0.80~1.20、好ましくは0.85~1.10、特に好ましくは0.90~1.10、とりわけ好ましくは0.95~1.05であるような量で使用される。
使用可能な触媒(C)としては、脂肪族多重結合へのSi結合水素の付加に従来も使用されているすべての触媒が挙げられる。
触媒(C)の例は、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよびイリジウムなどの金属、好ましくは白金であり、これらは、活性炭、酸化アルミニウムまたは二酸化ケイ素などの微細化担体物質に、必要に応じて固定されていてもよい。
好ましく使用される触媒(C)は、白金、ならびにその化合物および錯体である。
そのような白金触媒(C)の例は、金属状および微細化白金(これらは、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは活性炭などの担体上に配置されていてもよい)、白金の化合物または錯体であり、例えば、ハロゲン化白金(例えば、PtCl4、H2PtCl6・6H2O、Na2PtCl4・4H2O)、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、白金-アルコキシド錯体、白金-エーテル錯体、白金-アルデヒド錯体、白金-ケトン錯体(例えばH2PtCl6・6H2Oとシクロヘキサノンとの反応生成物)、白金-ビニルシロキサン錯体(特に、検出可能な量の無機結合ハロゲンを含むかまたは含まない白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体)、ビス(γ-ピコリン)白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩化物、ジシクロペンタジエン白金二塩化物、ジメチルスルホキシドエチレン白金(II)二塩化物、ならびに四塩化白金とオレフィンおよび第一級アミンもしくは第二級アミンまたは第一級および第二級アミンとの反応生成物(例えば1-オクテンに溶解した四塩化白金とsec-ブチルアミンとの反応生成物)、または欧州特許第110370号明細書によるアンモニウム-白金錯体、ならびにN-ヘテロ環状カルベン(NHC)との白金錯体、例えば、[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン][1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン]白金(0)(CAS 849830-54-2)、[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジニリデン][1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン]白金(0)(CAS 873311-51-4)、[1,3-ビス(シクロヘキシル)イミダゾール-2-イリデン][1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン]白金(0)(CAS 400758-55-6)、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-1-イウム白金(ジビニルテトラメチルジシロキサン)、1,3-ビス(2,6-ジメチルフェニル)-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-1-イウム白金(ジビニルテトラメチルジシロキサン)および1,3-ビス(2-メチルフェニル)-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-1-イウム白金(ジビニルテトラメチルジシロキサン)である。
触媒(C)として好ましく使用されるのは、文献でKarstedt触媒として長い間知られている白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(CAS 68478-92-2)である。
触媒(C)は、それぞれの場合において金属元素、好ましくは白金元素として計算されるが、成分(A)および(B)の総重量に対して、望ましくは1~5000重量ppm(百万重量部当たりの重量部)の量で、好ましくは1~2000重量ppmの量で、とりわけ好ましくは1~500重量ppmの量で、本発明の調製物で使用される。
触媒(C)として、本発明の調製物は、Karstedt触媒(CAS 68478-92-2)を、白金元素として計算されるが、成分(A)および(B)の総重量に対して、非常に特に好ましくは5~100重量ppmの量で使用する。
好ましい実施形態では、触媒(C)は、抑制剤(D)と混合して使用される。
成分(A)、(B)および(C)に加えて、本発明の組成物は、成分(A)、(B)および(C)とは異なるさらなる物質、例えば、抑制剤(D)、添加剤(E)および溶媒(F)、を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、ヒドロシリル架橋性組成物に従来も使用され、室温で脂肪族炭素-炭素多重結合へのSi結合水素の付加を遅らせるもの、または処理時間および架橋速度を特異的に調節するために使用できるものなどの抑制剤(D)を含んでいてもよい。
必要に応じて使用される抑制剤(D)の例は、1-エチニルシクロヘキサン-1-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オールおよび2-メチル-3-ブチン-2-オールなどのアセチレンアルコール、線状ビニル末端ポリジメチルシロキサン、トリアルキルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジメチルおよびマレイン酸ビス(2-メトキシ-1-メチルエチル)などのマレイン酸エステル、フマル酸ジエチルおよびフマル酸ジアリルなどのフマル酸アルキル、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシドおよびピナンヒドロペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシド、有機ペルオキシド、有機スルホキシド、有機アミンおよびアミド、ホスフィンおよびホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ニトリル、ジアジリジンおよびオキシム、ならびにアルキルチオ尿素、チウラムモノスルフィドおよびジスルフィドである。
必要に応じて使用される抑制剤(D)は、好ましくは1-エチニルシクロヘキサン-1-オールまたはチウラムモノスルフィドであり、特に好ましくはチウラムモノスルフィドである。
抑制剤(D)を使用する場合、それは、それぞれの場合において成分(A)および(B)の総重量に対して、好ましくは5~5000重量ppm、特に好ましくは10~2000重量ppm、とりわけ好ましくは20~1000重量ppmの量で使用される。本発明の組成物は、好ましくは抑制剤(D)を含む。
本発明の付加架橋組成物は、当該組成物を形成する個々の成分のすべてを-50℃~30℃の温度で組み合わせた後、比較的長期間、特に数週間から、少なくとも2ヶ月、好ましくは少なくとも3ヶ月、特に好ましくは少なくとも4ヶ月、とりわけ好ましくは少なくとも5ヶ月にわたって貯蔵安定であるように調節することができる。
同様に、上記調製物を形成する成分のすべてを組み合わせた後、硬化開始までの限られた作業時間(ポットライフ)しか残らないように、本発明の調製物を調節することが可能である。これは、抑制剤(D)を加えないか、または、例えば、付加反応に対する抑制効果がそれほど顕著ではない、1-エチニルシクロヘキサン-1-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、2,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールまたは3,7-ジメチルオクト-1-イン-6-エン-3-オールを使用することによって達成される。この抑制剤のリストは、単なる例示であり、限定的ではないと理解されるべきである。
本発明において必要に応じて使用される成分(E)は、好ましくは、可塑剤、接着促進剤、可溶性染料、無機および有機顔料、蛍光染料、殺菌剤、芳香剤、分散剤、レオロジー添加剤、腐食防止剤、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、タックに影響を与える物質、電気的性質に影響を与える物質、熱伝導率向上剤;強度、ガラス転移温度および/または破壊靭性を高めるための改質剤;補強フィラーおよび非補強フィラー;ならびにガラス、カーボンまたはプラスチック製の繊維織物;またはそれらの組合せから選択される。
本発明の組成物が成分(E)を含む場合、その使用量は、それぞれの場合において、成分(A)および(B)の合計100重量部に対して、好ましくは0.1~200重量部、特に好ましくは0.1~100重量部、とりわけ好ましくは0.1~50重量部である。本発明の組成物は、好ましくは成分(E)を含まない。
必要に応じて使用される溶媒(F)の例は、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジエチルケトン、2-ヘキサノン、アセチルアセトンおよびブタン-2,3-ジオンなどのケトン;酢酸エチル、エチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、酢酸2-メトキシプロピル(MPA)、ジ(プロピレングリコール)ジベンゾエートおよびエチル(エトキシ)プロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n-ブチル、酢酸メチル、酢酸n-,sec-またはtert-ブチル、2-ヒドロキシプロピオン酸ブチル、プロピオン酸エチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチルおよびマレイン酸ジメチルなどのエステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンおよびN-エチル-2-ピロリドンなどのアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリルなどのニトリル;メチラール、エチルヘキシラール、ブチラール、1,3-ジオキソラン、1,3,5-トリオキサンおよびグリセロールホルマールなどのアセタール;メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジフェニルエーテル、アリルフェニルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、シクロヘキシルフェニルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロピラン、4-メチルテトラヒドロピラン、ブチルフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、アニソール、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-,トリ-またはテトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチルメチルエーテルおよび1,4-ジオキサンなどのエーテル;ジメチルスルホキシド、ジプロピルスルホキシドおよびジブチルスルホキシドなどのスルホキシド;n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、ならびに2-エチルヘキサン、2,4,4-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタンおよび2-メチルヘプタンなどの異性体オクタン、Exxsol(商標)、Isopar(商標)、Hydroseal(登録商標)またはShellsol(登録商標)の商標名で入手できるような、60~300℃の沸点範囲を有する飽和炭化水素の混合物などの飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、o-,m-またはp-キシレン、ソルベントナフサおよびメシチレンなどの芳香族炭化水素;メチラール、エチルヘキシラール、ブチラール、1,3-ジオキソランおよびグリセロールホルマールなどのアセタール;1,3-ジオキソラン-2-オン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸ジプロピル、炭酸プロピレングリコールおよび炭酸エチレンなどの炭酸塩;クロロホルム;ジクロロメタン;ならびにそれらの混合物である。
必要に応じて使用される溶媒(F)は、好ましくは、芳香族溶媒または飽和炭化水素である。
本発明の組成物が溶媒(F)を含む場合、その使用量は、それぞれの場合において、成分(A)および(B)の合計100重量部に対して、好ましくは0.001~20重量部、特に好ましくは0.01~10重量部、とりわけ好ましくは0.01~5重量部である。本発明の組成物は、好ましくは溶媒(F)を含まない。
製造の結果として、シクロシロキサン(A)の合成はまた、本発明において使用される成分(A)に相当しない副生成物の形成をもたらし得る。成分(A)の合成はまた、例えば、末端シロキサン単位上にシラノール基および/またはアルコキシ基を有する、線状、すなわち開鎖のシロキサンの形成をもたらし得る。成分(A)の製造中に副生成物が形成される場合、これらは好ましくは分離されず、むしろシクロシロキサン(A)と混合して存在する。
本発明の組成物は、望ましくは、
(A1)シクロトリシロキサン、
(B)結合剤、
(C)触媒、
必要に応じて(D)抑制剤、
必要に応じて(E)添加剤、および
必要に応じて(F)溶媒
を含む組成物である。
本発明の組成物は、好ましくは、
(A1)シクロトリシロキサン、
(B)二価の、SiC結合した、必要に応じて置換された、式(II)の2つの単位を互いに連結する脂肪族飽和芳香族炭化水素基である基R5を少なくとも1個有する結合剤、
(C)触媒、
(D)抑制剤、
必要に応じて(E)添加剤、および
必要に応じて(F)溶媒
を含む組成物である。
さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
(A2)芳香族シクロシロキサン、
(B)結合剤、
(C)触媒、
必要に応じて(D)抑制剤、
必要に応じて(E)さらなる構成要素、および
必要に応じて(F)溶媒
を含む組成物である。
さらに特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
(A2)芳香族シクロシロキサン、
(B)二価の、SiC結合した、必要に応じて置換された、式(II)の2つの単位を互いに連結する脂肪族飽和芳香族炭化水素基である基R5を少なくとも1個有する結合剤、
(C)触媒、
(D)抑制剤、
必要に応じて(E)さらなる構成要素、および
必要に応じて(F)溶媒
を含む組成物である。
成分(A)、(B)、(C)、必要に応じて使用される成分(D)~(F)、および成分(A)の製造において形成され得る副生成物に加えて、本発明の組成物は、好ましくはさらなる構成要素を含まない。
本発明において使用される成分は、それぞれの場合において、当該成分の1種であってもよく、またはそれぞれの成分の少なくとも2種の混合物であってもよい。
本発明の組成物は、23℃および1013hPaで固体または液体であってよく、好ましくは23℃および1013hPaで液体であってよい。
本発明の組成物が23℃および1013hPaで液体である場合、該組成物の動的粘度は、それぞれの場合において23℃で、好ましくは1~100,000mPa・s、特に好ましくは10~50,000mPa・s、とりわけ好ましくは100~10,000mPa・sである。
本発明の組成物の製造は、例えば、上記個々の成分を任意の所望の順序で、従来知られている方法で混合するなど、既知の方法に従って実施することができる。
本発明はさらに、上記個々の成分を混合することにより本発明の組成物を製造する方法を提供する。
本発明の方法では、混合は、好ましくは10℃~40℃の範囲の温度で実施することができる。しかしながら、必要に応じて、混合は、より高い温度、例えば、40℃~100℃の範囲の温度で実施することもでき、ここで、抑制剤(D)を組成物に加えることが好ましい。周囲温度で混合するときに、原料の温度に混合中のエネルギー入力による温度上昇を加えて生じる温度で混合を行うことが好ましく、必要に応じて加熱または冷却を行ってもよい。
混合は、周囲気圧、すなわち約900~1100hPaで実施することができる。さらに、減圧下、例えば30~500hPaの絶対圧で、一時的または連続的に混合を行い、揮発性化合物および/または空気を除去するか、または高圧下、例えば1100hPa~3000hPaの絶対圧で作業することが可能であり、特に連続モードでは、例えば、これらの圧力が、ポンピング中の圧力および高温で使用される材料の蒸気圧によって閉鎖系でもたらされる場合である。
本発明の方法は、連続的、不連続的または半連続的に実施することができ、好ましくは不連続的に実施することができる。
本発明の組成物を製造する本発明の方法の好ましい実施形態では、構成要素(A)、(B)および(C)ならびに必要に応じて使用される成分(D)、(E)および(F)を、任意の所望の順序で混合する。
本発明の方法が、成分(A)および(B)ならびに必要に応じて使用される成分(D)、(E)および(F)を任意の所望の順序で予混合し、次に成分(C)を、必要に応じて成分(F)との混合物として、加えることを含む場合、特に好ましい。
さらなる特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、成分(A)および(B)ならびに必要に応じて使用される成分(E)および(F)を任意の所望の順序で予混合し、次に成分(C)と成分(D)との混合物を、必要に応じて成分(F)との混合物として、加えることを含む。
さらなる特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、成分(A)ならびに必要に応じて使用される成分(E)および(F)を任意の所望の順序で予混合し、次に成分(B)および(C)、必要に応じて使用される成分(D)、ならびに必要に応じて使用される成分(F)の混合物として、加えることを含む。
本発明の混合物/本発明に従って製造される混合物は、好ましくは、硬化前に脱気される。
本発明における架橋は、好ましくは50℃~270℃、特に好ましくは70℃~200℃、とりわけ好ましくは140℃~200℃の範囲の温度で行われる。本発明における架橋は、特に好ましくは、最初に100℃~200℃の温度で行われ、続いて210℃~270℃での後硬化工程が行われる。
本発明における架橋は、好ましくは、周囲気圧、すなわち約900~1100hPaで行われるが、高圧、すなわち1200hPa~10MPaで行われてもよい。
本発明における架橋は、空気雰囲気中または窒素もしくはアルゴンなどの保護ガス雰囲気中で行うことができる。本発明における架橋は、好ましくは、空気雰囲気中で220℃以下の温度で、保護ガス雰囲気中で220℃を超える温度で行われる。
本発明は、本発明の組成物を架橋することにより製造される成形品をさらに提供する。
本発明の成形品の、23℃で測定される弾性率は、0.70GPaを超えることが望ましく、好ましくは0.80GPaを超え、特に好ましくは1.00GPaを超え、とりわけ好ましくは1.40GPaを超える。
本発明の成形品の、23℃で測定される曲げ強度σfMは、20MPaを超えることが望ましく、好ましくは30MPaを超え、特に好ましくは40MPaを超え、とりわけ好ましくは50MPaを超える。
本発明の成形品のtanδmaxは、少なくとも0.400であることが望ましく、好ましくは少なくとも0.500、特に好ましくは少なくとも0.600、とりわけ好ましくは少なくとも0.700である。
本発明の成形品の、tanδmax/2におけるピーク幅として定義される半値全幅は、30℃以下であることが望ましく、好ましくは25℃以下、特に好ましくは20℃以下である。
25℃で測定される圧縮試験において、本発明の成形品は、好ましくは降伏応力σyを有し、降伏応力は、圧縮の増加が応力の増加を初めて伴わない応力(DIN EN ISO 604:2003-12、第3.3.1章を参照)として定義され、応力/圧縮ひずみ曲線(DIN EN ISO 604:2003-12、第4章、図1;曲線aを参照)における最大応力に続く、σy後のさらなる圧縮増加における応力降下(ひずみ軟化)によって確認可能である。
本発明の成形品の、25℃で測定される流量比は、1.30未満であることが望ましく、好ましくは1.25未満、特に好ましくは1.20未満、とりわけ好ましくは1.15未満である。
本発明の成形品は、高強度、すなわち高い弾性率値および曲げ強度値、良好な流動特性、すなわち低流量比σ20%:σy、ならびにガラス転移温度(Tg)における高い減衰最大tanδmaxおよび低い半値全幅によって確認可能な均質なネットワーク構造を兼ね備えるという利点を有する。
本発明の組成物は、液体であり、23℃で容易に加工可能という利点を有する。
本発明の組成物は、それらが、容易に入手可能な物質から、一般的に使用される方法によって製造可能であるという利点を有する。
本発明の組成物は、液体であり、23℃で容易に加工可能という利点を有する。
本発明の方法は、実施が容易であるという利点を有する。
粘度測定
本発明の文脈において、DIN 53019に準拠した動的粘度は、特に明記しない限り、23℃の温度および1013hPaの気圧で測定される。測定は、Anton Paar “Physica MCR 300”回転レオメーターを使用して行う。ここでは、1~200mPa・sの粘度については、1.13mmのリング測定スロットを備える同軸シリンダー測定システム(CC 27)を使用する。一方、200mPa・sを超える粘度については、コーンプレート測定システム(CP 50-1測定コーンを備えるSearle-System)を使用する。せん断速度は、ポリマーの粘度(100s-1で1~99mPa・s;200s-1で100~999mPa・s;120s-1で1000~2999mPa・s;80s-1で3000~4999mPa・s;62s-1で5000~9999mPa・s;50s-1で10,000~12,499mPa・s;38.5s-1で12,500~15,999mPa・s;33s-1で16,000~19,999mPa・s;25s-1で20,000~24,999mPa・s;20s-1で25,000~29,999mPa・s;17s-1で30,000~39,999mPa・s;10s-1で40,000~59,999mPa・s;5s-1で60,000~149,999;3.3s-1で150,000~199,999mPa・s;2.5s-1で200,000~299,999mPa・s;1.5s-1で300,000~1,000,000mPa・s)に合わせて設定している。
測定システムを測定温度に温度制御した後、慣らし運転、事前せん断および粘度測定からなる3段階の測定プログラムを用いる。慣らし運転は、測定が行われる、予想粘度に応じた上記せん断速度まで、1分間にわたってせん断速度を段階的に増加させることによって行われる。これが達成されるとすぐに、事前せん断が一定のせん断速度で30秒間行われ、その後、それぞれ25回のそれぞれ4.8秒の個別の測定から粘度が決定され、そこから平均値が決定される。平均値は、mPa・s単位で報告される動的粘度に相当する。
シリンダー状試験片の作製
DMA、曲げ強度測定および圧縮試験測定を実施するために、シリンダー状加硫物から試験片を作製した。シリンダー状加硫物は、長さ×内径=150mm×10mmの寸法を有するステンレス鋼管(ステンレス鋼製のスクリュートップキャップで一方を密閉した)中で製造した。シクロシロキサン組成物の付着を防ぐために、ポリテトラフルオロエチレン製の底部シールをスクリュートップの内側に配置し;ステンレス鋼管の内面を、シロキサン組成物を充填する前に、適切なサイズの試験管ブラシを使用してWACKER(登録商標)SILICONE PASTE Pでわずかに濡らし、続いて、上記管を180℃で2時間保管した。次に、上記管にシクロシロキサン組成物を充填し、窒素雰囲気中の再循環空気オーブン内で180℃で72時間、次に、250℃でさらに2時間硬化させた。ステンレス鋼管を、開口側が上を向くように直立させた。次に、試験片を脱型する前に、試験片を管内で23℃に冷却した。硬化中に覆われなかった側の試験片の最上部20mmは、それ以上使用せずに廃棄した。
動的機械分析(DMA)
測定パラメータ:
・機器:ARESレオメーター(TA-機器)
・温度範囲:-100℃~300℃
・加熱速度:窒素パージで4K/min
・周波数:1Hz
・ひずみ:最初は0.03%、測定信号がしきい値を下回ると自動的に増加
調査のために、長さ×幅×高さ=40mm×6mm×3mmの寸法を有する長方形の試験片をシリンダー状試験片から作製し;結果として得られたクランプ長さは25mmであった。
本発明では、tanδは、減衰、すなわち、位相角の正接、または損失弾性率G''の貯蔵弾性率G'に対する比に相当し;tanδmaxは、ガラス転移温度Tgでの減衰最大tanδ(=タンジェントデルタ曲線の最大値)として定義される。
本発明では、半値全幅は、tanδmax/2におけるtanδ曲線の℃単位でのピーク幅として定義される。
表1に報告されているtanδmaxの値は、小数点以下第3位に丸められ、半値全幅の報告値は、最も近い整数に丸められ、それぞれの場合においてDIN 1333:1992-02 セクション4に準拠する。
圧縮試験
本発明の文脈において、圧縮特性(降伏応力)は、標準DIN EN ISO 604:2003-12に準拠して実施した。
測定パラメータ:
・機器:Instron 3369 試験システム
・ロードセル:50kN
・圧縮ピストン:50mm
・試験速度:1mm/min
・温度:25℃、28%RH
・初期荷重:40N
・潤滑剤:なし
サンプル調製:調査のために、直径9.5mm、高さ17mmを有するシリンダー状試験片を作製した。圧縮試験は、試験体の3つの試験片で実施した。試験体を、約4.5mmに圧縮し、つまり初期高さを基準として約26%に圧縮し、測定が完了するまで、実質的に理想的なバレル形状(球根状)の変形を受けさせた。20%圧縮でのMPa単位での圧縮応力σと降伏応力σyの商として定義される流量比(DIN EN ISO 604:2003-12、第3.3.1章を参照)を使用して、材料の流動特性を評価した。表1に報告されている流量比の値は、DIN 1333:1992-02 セクション4に準拠して、小数点以下第2位に丸められた3つの個別の測定値のそれぞれの平均値に相当する。
曲げ強度
本発明において、曲げ強度および曲げ弾性率は、ISO 178:2011-04 方法Aに準拠して、60mmの支持距離L、5mm/minの試験速度で測定した。測定は、23℃および相対湿度50%で行った。好ましい手順は次のとおりである:長さ×直径=100mm×9.5mmの寸法を有するシリンダー状試験片を使用した。測定は、それぞれの場合において5つの試験片で実施した。曲げ強度σfM(試験中に試験片が受ける最大曲げ応力(ISO 178:2011-04、6ページ、第3.4章を参照))は、式
Figure 0007203197000001
に従って計算した。式中、Lは支持距離60mmであり、σfはニュートン単位で測定された曲げ応力であり、φはmm単位での試験片の直径である。曲げ弾性率Efは、式
Figure 0007203197000002
に従って計算した。式中、Lは支持距離60mmであり、σf1は0.10mmのたわみで測定されたキロニュートン(kN)単位での曲げ応力であり、σf2は0.25mmのたわみで測定されたキロニュートン(kN)単位での曲げ応力であり、φは試験片のmm単位での直径である。表1に報告されているMPa単位での曲げ強度σfMおよびGPa単位での曲げ弾性率Efの値は、DIN 1333:1992-02 セクション4に準拠して、最も近い整数(曲げ弾性率)または小数点以下第1位(曲げ強度)に丸められた個々の測定値のそれぞれの平均値に相当する。
モル質量
本発明の文脈において、数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwは、それぞれの場合において、g/molの単位であり、DIN 1333:1992-02 セクション4に準拠して最も近い10の位に丸められて、固定相としてポリスチレン-co-ジビニルベンゼンをベースとし、10,000Å、500Åおよび100Åの順序で、排除サイズが450,000g/molを超える、異なる細孔サイズ分布を有する3つのカラムにより構成されるカラムアセンブリのポリスチレン標準に対する較正による、DIN 55672-1/ISO 160414-1およびISO 160414-3に準拠したサイズ排除クロマトグラフィー(SEC/GPC)によって測定される。フェニル含有成分はTHF溶離液で測定され、非フェニル含有成分はトルエン溶離液で測定される。分析は、屈折率検出器を使用して、45±1℃のカラム温度で実施される。
以下の例では、特に明記しない限り、部とパーセンテージとのすべての数値は重量によるものである。特に明記しない限り、以下の例は、周囲気圧、すなわち約1013hPa、および室温、すなわち約23℃、または追加の加熱もしくは冷却なしに室温で反応物を組み合わせたときに達成される温度で実施される。
以下では、Meはメチルを表し、Viはビニルを表し、Etはエチルを表し、Phはフェニルを表す。
例1
環状混合物1
250mlの乾燥アセトン(≦0.01%水;VWR International GmbH、D-ダルムシュタットから市販)中、52.92g(630mmol)の無水炭酸水素ナトリウム(Sigma-Aldrich Chemie GmbH、D-シュタインハイムから市販)および49.84g(630mmol)の無水ピリジン(Sigma-Aldrich Chemie GmbH、D-シュタインハイムから市販)を、窒素雰囲気下で最初に装入した。次に、190mlの乾燥アセトンに溶解した128.00g(630mmol)のビニルフェニルジクロロシラン(Gelest,Inc.,11 East Steel Rd.,Morrisville,PA 19067から市販)を1時間かけて滴下し、次に混合物を室温で3時間撹拌した。続いて混合物を濾過し、固形残留物を180mlの乾燥アセトンで洗浄した。合わせた濾液から溶媒および揮発性成分を80℃および1mbarで除去し、油性残留物を再度濾過した。29Si NMR分析によれば、(PhViSiO2/23 55mol%と(PhViSiO2/24 26mol%とを含み、さらに平均組成(PhViSiO2/27.5(PhVi(OH)SiO1/22を有する線状シロキサン 19mol%を含む無色の油(環状混合物1)88.6gが得られた。
上記で生成した50.00gの環状混合物1と、34.40gの1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン(CAS 2488-01-9;abcr GmbH、D-カールスルーエから市販)とを、Speedmixer(商標)DAC 150 FVZ(Hauschild & Co.KG)中、3000rpmで10秒間混合し、次に0.05gの白金触媒(Wacker Chemie AG、D-ミュンヘンのWACKER(登録商標)CATALYST OLの名称で市販)を混合物に加え;混合物をSpeedmixer(商標)DAC 150 FVZ中、3000rpmで30秒間混合し、ステンレス鋼のシリンダー型に注ぎ、硬化させ、試験した。測定結果を表1に示す。
例2
例1に記載の手順を、環状混合物1の代わりに50.0gの1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリビニルシクロトリシロキサン(CAS 3901-77-7;abcr GmbH、D-カールスルーエから市販)および59.23gの1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンを使用するという変更を加えて繰り返した。測定結果を表1に示す。
例3
例1に記載の手順を、34.4gの1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに47.76gの4,4’-ビス(ジメチルシリル)ビフェニルを使用するという変更を加えて繰り返した。測定結果を表1に示す。
比較例1(V1)
例1に記載の手順を、環状混合物1の代わりに50.0gの1,3,5,7-トリメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン(CAS 2554-06-5;abcr GmbH、D-カールスルーエから市販)および59.23gの1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼンを使用するという変更を加えて繰り返した。測定結果は表1に示す。
Figure 0007203197000003

Claims (11)

  1. (A)式:[Ra1 b2 cSiO2/2m (I)
    のシクロシロキサンと、
    (B)2個のSi結合水素原子、および少なくとも1個の芳香族基を有する有機ケイ素化合物と、
    (C)脂肪族多重結合へのSi結合水素の付加を促進する触媒
    を含む、ヒドロシリル架橋性組成物。
    [上記式中、
    Rは、メチル、n-ブチル、tert-ブチル、シクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,2,4-トリメチルペンチルまたは2,4,4-トリメチルペンチルを表し、
    1は、ビニル、ビシクロヘプテニル、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルまたは2-プロペニルを表し、
    2は、フェニル、o-,m-もしくはp-トリルまたはベンジルを表し、
    aは、0または1であり、
    bは、0または1であり、
    cは、0、1または2であり、
    mは、3、4または5であり、
    ただし、a+b+cは2であり、シロキサン分子(A)当たり少なくとも3個の基R1が存在し、シロキサン分子(A)当たり少なくとも(m-3)個の基R2が存在する。]
  2. 成分(A)が、mが3であり、a=b=1であり、c=0である式(I)のシクロトリシロキサン(A1)であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 成分(A)が、mが3、4または5である式(I)の芳香族シクロシロキサン(A2)であり、シクロシロキサン分子(A2)当たり、少なくとも3個の基R1が存在し、a=0およびb=c=1である少なくとも1個の単位が存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  4. 成分(A)が、(Ph(Bch)SiO2/24、(Ph(Dcp)SiO2/24、(Ph(Bch)SiO2/23、(Ph(Dcp)SiO2/23、(PhViSiO2/23、(PhViSiO2/24または(PhViSiO2/25であり、前記式中、Meはメチルであり、Viはビニルであり、Bchはビシクロヘプテニルであり、Dcpは3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデニルであり、Phはフェニルあることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
  5. 結合剤(B)が、
    式:R4 ef5 gSiO(4-e-f-g)/2 (II)
    の単位を含む有機ケイ素化合物であることを特徴とする、請求項1~4の一項以上に記載の組成物。
    [上記式中、R4は、同一であっても異なっていてもよく、一価または二価の、SiC結合した、必要に応じて置換された脂肪族飽和炭化水素基を表し、
    5は、同一であっても異なっていてもよく、一価または二価の、SiC結合した、必要に応じて置換された脂肪族飽和芳香族炭化水素基を表し、
    eは、0、1、2または3であり、
    fは、0、1または2であり、
    gは、0、1または2であり、
    ただし、e+f+gは4以下であり、分子当たり2個のSi結合水素原子と少なくとも1個の芳香族基とが存在する。]
  6. 触媒(C)が、白金、ならびにその化合物および錯体であることを特徴とする、請求項1~5の一項以上に記載の組成物。
  7. (A1)シクロトリシロキサン、
    (B)結合剤、
    (C)触媒
    要に応じて(E)添加剤、および
    必要に応じて(F)溶媒
    を含む組成物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
  8. (A2)芳香族シクロシロキサン、
    (B)結合剤、
    (C)触媒
    要に応じて(E)添加剤、および
    必要に応じて(F)溶媒
    を含む組成物であることを特徴とする、請求項1または3に記載の組成物。
  9. 前記個々の成分を混合することにより、請求項1~8の一項以上に記載の組成物を製造する方法。
  10. 請求項1~8の一項以上に記載の組成物を架橋することによって製造される成形品。
  11. 23℃で測定される弾性率が0.70GPaを超えることを特徴とする、請求項10に記載の成形品。
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