JP7202570B2 - 正極材および蓄電デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、正極材および蓄電デバイスに関する。
近年、電気自動車へのリチウムイオン電池(LiB)の採用が試みられている。電気自動車のバッテリーに求められる性能の一つとして急速充電があるが、LiBの急速充電能力は限られていた。
LiBの急速充電能力を向上させるために、非特許文献1では、ニトロキシラジカル部位を有するポリ(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリニジルオキシ-4-イルメタクリレート)(PTMA)と、正極活物質としてLiFePOを用いた、キャパシターと蓄電池を合わせたようなハイブリッドデバイスが提案されている。
Scientific Reports (2014) 4. DOI: 10.1038/srep04315
非特許文献1のデバイスに使用されているPTMAはイオン伝導度が低く、充放電時にLiイオンが円滑に流れにくいという問題があった。本発明者らは、ニトロキシラジカル部位を有するラジカル化合物について鋭意検討を重ねた結果、蓄電デバイスの充放電時に正極においてイオンが移動しやすい新規な正極材に想到した。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは蓄電デバイスの充放電時に正極においてイオンが移動しやすい新規な正極材を提供することにある。
本発明のある態様は正極材である。この正極材は、ポリエーテル骨格、または酸素原子の一部もしくはすべてが硫黄で置換されたポリエーテル骨格を主鎖に、ニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物を側鎖に含み、数平均分子量(Mn)が5000以上である高分子と、
リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、を含む。
本発明の他の態様は蓄電デバイスである。この蓄電デバイスは、上記正極材からなる正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電解質と、を含む。
本発明によれば、蓄電デバイスの充放電時に正極においてイオンが移動しやすい新規な正極材を提供することができる。
実施の形態に係る蓄電デバイスを示す模式図である。 実施例1の電池の充放電試験の結果を示す図である。 比較例1の電池の充放電試験の結果を示す図である。 実施例2の電池の充放電試験の結果を示す図である。 実施例3の電池の充放電試験の結果を示す図である。 比較例2の電池の充放電試験の結果を示す図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
(正極材)
実施の形態に係る正極材は、ポリエーテル骨格、または酸素原子の一部もしくはすべてが硫黄で置換されたポリエーテル骨格を主鎖に、ニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物を側鎖に含み、数平均分子量(Mn)が5,000以上である高分子と、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、を含む。酸化物または硫化物と結合可能な上記リチウム等の元素のイオンが、該高分子中の酸素原子、または該酸素原子を置換する硫黄の元素と相互作用することにより、該高分子上を移動しやすくなる。リチウムイオン等の元素のイオンの伝導パスとなる硫黄は、規則的に配置されることが望ましい。規則的に硫黄配置されることで、リチウムイオン等のイオンが規則的に移動することができ、イオン伝導率が増加する。
また、上述したように、リチウム等の元素のイオンは高分子上の硫黄や酸素と相互作用しながら移動するため、イオンと高分子との相互作用が強すぎると移動が阻害され、イオン伝導率が低下する。相互作用の強さは、一般的にHSAB則(Hard and Soft Acids and Bases)によって整理できる。HSAB則では、硬い塩基と硬い酸、柔らかい塩基と柔らかい酸で、相互作用が強いことが知られている。したがって、伝導するイオンと高分子の関係は、相互作用を弱めるために、硬い塩基と柔らかい酸、柔らかい塩基と硬い酸といった組合せにすることが望ましい。高分子中の酸素原子を硫黄に置換することで、相対的に柔らかい塩基とすることができる。したがって、このように作製した高分子は硬い酸を伝導イオンとして用いる蓄電池に特に有効である。硬い伝導イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、鉄(III)イオン、水素イオンなどが挙げられる。硬い塩基と柔らかい酸の組合せについても、同様の考え方によりイオン伝導性の高い材料を作製することが可能である。硬い塩基としては、窒素、炭素で置換した高分子が選択可能であり、柔らかい酸については、亜鉛イオン、銅イオン、水銀イオンなどが選択可能である。
該高分子は、ポリエーテル骨格、または酸素原子の一部もしくはすべてが硫黄で置換されたポリエーテル骨格を主鎖に、ニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物を側鎖に含み、数平均分子量(Mn)が5000以上である。側鎖のラジカル化合物は直接主鎖に結合していてもよく、エーテル結合などを介して主鎖に結合していてもよい。
該高分子の主鎖は、すべてポリエーテル骨格から構成されていてもよく、該ポリエーテル骨格の酸素原子の一部もしくはすべてが硫黄で置換されていてもよい。酸素原子を置換する元素は硫黄であることが好ましい。高分子のイオン伝導度をさらに向上させるという観点から、ポリエーテル骨格の酸素原子の好ましくは10~100%、より好ましくは50~100%が硫黄で置換されていてもよい。ポリエーテル骨格の酸素原子を硫黄原子に置換することでイオン伝導度は向上するが、完全置換したポリマーは合成が難しいため、低置換率のポリマーの方が安価に合成可能である。10%未満の置換ではイオン伝導度の向上が認められない。
該高分子の側鎖のラジカル化合物は、ニトロキシルラジカル(-N-O・)部位を有する限り特に限定されない。そのようなラジカル化合物の代表例としては、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)が挙げられる。また、特開2009-295881号公報、特開2008-192452号公報、特開2008-78063号公報に記載されているような、有機ラジカル電池に使用されている公知のラジカル化合物を、該高分子の側鎖のラジカル化合物として採用することができる。
該高分子の数平均分子量(Mn)は5,000以上である。かかる分子量とすることで、該高分子は固体となり、電解質に溶解しなくなる。該数平均分子量は、電解質への溶解防止の観点から好ましくは10,000以上であり、該数平均分子量の上限としては、正極材の強度とイオンの動きやすさを確保するという観点から、100,000以下であることが好ましい。ここで、本明細書における数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPC)におけるポリスチレン換算の数平均分子量を指す。
該高分子は、公知のポリエーテルの合成方法において、所望の高分子の主鎖および側鎖に応じて、モノマーを適宜選択することによって合成できる。例えば、主鎖がすべてポリエーテル骨格から構成されている高分子は、グリシジルオキシ基を有するラジカル化合物のモノマーを、適切な開始剤の下でアニオン開環重合させることによって合成できる。また、例えば、公知文献Macromolecules,1993,26,3227-3229.およびMacromol.Symp.,2015,351,90-96.を参照して、該高分子を合成できる。
正極材を構成する固体の酸化物または硫化物は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能であり、正極活物質として作用する化合物である。このような酸化物または硫化物の例としては、LiFeO、LiCoO、LiMn、LiMnPO、LiNiO、Li(Ni-Mn-Co)O、LiTi12、硫化リチウム、酸化リチウム、NaFePO4、NaVPO4、NaCoO、NaNi1/2Mn1/2、NaFe1/2Co1/2、MgCoSiO、MgFeSiO、MgMnSiO、酸化アルミニウム、誘導化ポリピレン等が挙げられる。
実施の形態の正極材のある態様では、高分子の標準電極電位が、酸化物または硫化物の標準電極電位より大きく、かつ高分子の電流、および酸化物または硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、高分子の電流値が酸化物または硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、使用電位範囲において存在する。ここで、電池の使用電位範囲は、電池の種類に応じて変動し得る。例えば、リチウム電池の場合、その一般的な使用電位範囲は、2~5Vである。かかる正極材を正極として用いた蓄電デバイスでは、充電時に高分子中のラジカル化合物が先に酸化し、その後、酸化物または硫化物が徐々に酸化し、それにより放出された電子をラジカル化合物が受け取り、元の還元状態に戻る。これにより、蓄電デバイスの高速充電が可能となる。電池として機能できるようにするという観点から、高分子と酸化物または硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることが好ましく、0.03~0.8Vであることがより好ましく、0.05~0.3Vであることがさらにより好ましい。標準電極電位差が0.01V未満の場合、高分子と酸化物または硫化物との間のエネルギー差が小さく、放出された電子の受け渡しが困難となる。一方で、1.0Vより大きい場合、電子は容易に受け渡し可能であるが、充放電効率(エネルギー効率)が低下し、蓄電デバイスとしての価値が毀損する。
実施の形態の正極材のある態様では、高分子の標準電極電位が、酸化物または硫化物の標準電極電位より小さく、かつ高分子の電流、および酸化物または硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、高分子の電流値が酸化物または硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、使用電位範囲において存在する。かかる正極材を正極として用いた蓄電デバイスでは、放電時に高分子中のラジカル化合物が先に還元し、その後、酸化物または硫化物が徐々に還元する。これにより、蓄電デバイスの高速放電が可能となる。電池として機能できるようにするという観点から、高分子と酸化物または硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることが好ましく、0.03~0.8Vであることがより好ましく、0.05~0.3Vであることがさらにより好ましい。標準電極電位差が0.01V未満の場合、高分子と酸化物または硫化物との間のエネルギー差が小さく、放出された電子の受け渡しが困難となる。1.0Vより大きい場合、電子は容易に受け渡し可能であるが充放電効率(エネルギー効率)が低下し、蓄電デバイスとしての価値が毀損する。
(蓄電デバイス)
図1は、実施の形態に係る蓄電デバイスを示す模式図である。蓄電デバイス10は、上述の正極材を含む正極12と、負極14と、正極12と負極14との間に配置された電解質16とを含む。後述するように、蓄電デバイス10は、上述の正極材が正極12に用いられていることから、高速充放電が可能である。なお、図1は模式図であって、電解質16は正極12もしくは負極14と混合状態であってもよく、正極、電解質、負極が必ずしも層状に積層されている必要はない。
正極12は、上述の正極材と、一般に正極の形成に用いられる公知の添加剤、例えばバインダー、補助導電材、増粘剤等の少なくとも一種とを混合し、公知の正極製造方法に従って製造できる。
負極14は、正極12を構成する正極材の組成に応じて、公知の負極活物質および添加剤を適宜選択し、公知の負極製造方法にしたがって製造できる。負極材の例としては、炭素材料、金属リチウム、シリコン、チタン酸リチウムなどが挙げられる。なお、正極12および負極14は、それぞれ公知の集電体を含んでもよい。電解質16は、溶液だけでなく、ポリマー電解質や固体電解質を利用することもできる。ポリマー電解質や固体電解質を用いることで、ポリマーが分解してTEMPO等のラジカルが生じた時に、正極12と負極14の間をラジカルがシャトルし電流効率を低下することを抑制することができる。
電解質16は、正極12と負極14との間に配置され、充放電時の正極12と負極14との間のイオンの流れを媒介する。電解質16の組成は、正極12を構成する正極材の酸化物または硫化物の種類に応じて、例えば公知の二次電池に使用されているもの等の公知の電解質のものを適宜採用することができる。電解質16の具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、[Li(G3)]TFSI、[Li(G4)]TFSIが挙げられる。なお、前述の通り、電解質16は正極12もしくは負極14と混合状態であってもよく、正極、電解質、負極が必ずしも層状に積層されている必要はない。
電解質16は液体であっても固体であってもよい。より安全性を高くするという観点から、電解質は固体であることが好ましい。一般に固体電解質は電子伝導性が低い傾向にあるが、実施の形態にかかる蓄電デバイス10は、正極12のラジカル化合物が充放電時に速く酸化還元反応を行うため、固体電解質であっても高速充放電を実現することができる。また、電解質16が液体である場合でも、正極12のラジカル化合物が高分子であるため、ラジカル化合物が電解質16に溶解することはない。
ある態様の蓄電デバイス10では、1.0Cレート以上において、正極12における高分子の充電電位が酸化物または硫化物の充電電位よりも低いことが好ましい。この場合、充電時に正極12中の高分子のラジカル化合物が先に酸化し、その後、酸化物または硫化物が徐々に酸化し、それにより放出された電子をラジカル化合物が受け取り、元の還元状態に戻る(メディエーション効果)。これにより、蓄電デバイス10の高速充電が可能となる。
また、別の態様の蓄電デバイス10では、1.0Cレート以上において、高分子の放電電位が酸化物または前記硫化物の放電電位よりも高いことが好ましい。この場合、放電時に正極12中の高分子のラジカル化合物が先に還元し、その後、酸化物または硫化物が徐々に還元する(メディエーション効果)。これにより、蓄電デバイス10の高速放電が可能となる。
蓄電デバイス10の形状は特に限定されず、公知の二次電池の形状、例えば、ペーパー型、ボタン型、積層型、コイン型、円筒型、角形などの形状を適用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、実施例は本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(合成例1:TEMPO置換グリシジルエーテルモノマー(1)の合成)
メタノール200mLと30%過酸化水素水80mLの混合溶液に、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン40.0g(254mmol)とタングステン酸ナトリウム30mgを加え、常温で12時間撹拌した。その後、飽和塩化ナトリウム水溶液100mlを加えてからエーテルでの抽出の後、抽出物に無水硫酸マグネシウムを加えた。さらにエバポレーションによって水分除去し、オレンジ色の残留物を得てから、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を経て42.1gの精製物を得た。これを100mlのTHF溶液に26.0g(151mmol)溶解させてから水素化ナトリウム(油45%含有)(TCI)7.5g(170mmol)を加えた。この混合溶液を窒素雰囲気下で減圧エバポレーションさせながら30分撹拌し、得られた残留物にエピクロロヒドリン100gを加えてから窒素雰囲気下50℃で20時間撹拌した。その後、減圧乾燥によって余分なエピクロロヒドリンを除去した。最後にカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)を経て、減圧蒸留によって24.5gのTEMPO置換グリシジルエーテル(1)を得た。
Figure 0007202570000001
(合成例2:TEMPOポリマーP1の合成)
アルゴン雰囲気下にて、TEMPO置換グリシジルエーテル(1)300mg(0.18mmol)と、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.2mlに溶解させた18-クラウン-6 48mg(0.18mmol)とを、1Mナトリウムtert-ブトキシド(東京化成工業(TCI))のTHF溶液61μl(0.061mmol)に加えた。混合溶液を40℃で20時間撹拌した。得られた粘性混合物をクロロホルムに溶解させてから、ゆっくりとヘキサンに滴下させた。遠心分離によって沈殿物を回収し、常温にて減圧乾燥させることで粘性のある赤色のP1を得た。
Figure 0007202570000002
(合成例3:TEMPOポリマーP2の合成)
TEMPO置換グリシジルエーテル(1)2.0g(8.8mmol)をエタノールに溶解し、炭酸カルシウム(関東化学)とチオウレア(TCI)をそれぞれ2等量(17.6mmol)加えた後、70℃で1時間攪拌した。クロロホルムでの抽出、純水での抽出の後、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1)を経てTEMPO置換チオグリシジルエーテル2を得た。
Figure 0007202570000003
モノマー2(340mg,1.4mmol)のDMSO溶液に開始剤としてナトリウムtert-ブトキシド(TCI)を0.05等量加え、常温で3時間攪拌した。ジエチルエーテルおよびメタノールへの再沈殿精製を経て赤色固体として重合体P2を得た。重合体P2をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC,THF溶液)で分析し、数平均分子量5.0x10、分散度1.64を得た。示差走査熱量計より算出されたガラス転移点は13℃であった。
Figure 0007202570000004
(合成例4:TEMPOポリマーP3の合成)
4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TCI)25g(0.145mol)、ビス(2-ブロモエチル)エーテル(TCI)28mL(51.7g,0.223mol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(TCI)1.97g(5.8mmol)を5mol/L水酸化ナトリウム水溶液中で常温にて24時間攪拌した。ジエチルエーテルでの抽出、水での洗浄、カラム精製(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)を経て前駆体3-1を得た。
Figure 0007202570000005
水素化ナトリウム(TCI)1.04g(43.3mmol)をDMF60mL中に添加後、グリシドール(TCI)3.08mL(3.44g,46.4mmol)を0℃で1時間反応させた。その後、前駆体3-1 10g(31mmol)を0℃で添加し、常温で20時間攪拌した。過剰量のメタノール添加による未反応物の失活後、酢酸エチルでの抽出、水での洗浄、カラム精製(酢酸エチル)を経てグリシジル誘導体3を得た(収率:18%)。
Figure 0007202570000006
モノマー3(500mg)にカリウムtert-ブトキシド(TCI,0.05等量)と18-クラウン6-エーテル(0.15等量)を加え、40℃で20時間攪拌した。ヘキサンへの沈殿精製を経て重合体P3を得た。重量平均分子量は3.1x10、ガラス転移点は-35℃であった。
重合体1-3をそれぞれ過塩素酸リチウム(和光純薬)と複合したフィルムを作成、櫛形電極上に成膜した。対照実験として、ポリエチレンオキシド(PEO)(Sigma-Aldrich,重量平均分子量6x10)も過塩素酸リチウムとの複合体として評価した。いずれの複合体においても、重合体の繰り返し構造単位中の酸素並びに硫黄原子の数と過塩素酸リチウムの数量比が8/1となる比率を設定した。交流インピーダンスアナライザを用いてフィルムの室温でのイオン伝導度を測定し、その結果を表1に示す。いずれの複合体も10-7S/cm以上の伝導度を示し、室温の高分子固体条件にてイオン輸送能を示すことが判明した。TEMPOポリマーP1~P3の特性を下記表1に示す。
Figure 0007202570000007
(実施例1:P1/LiFeO正極および固体電解質を用いた電池の製造)
固体高分子電解質(SPE)としてPEO/リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI,TCI)/1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Pry13TFSI,TCI)を10/1/0.56のモル比率で調製した。次に、P1、LiFePO、単層カーボンナノチューブ、SPEを5/35/10/50重量比で混合してスラリーを製造し、アルミ集電体上に塗布、乾燥した後、圧延して固体電池用の電極を作製した。電解質層としてSPE、負極にリチウムを用いた二次電池を製造し、充放電応答を評価した。0.1Cにおいて、5回充放電サイクルを繰り返した測定結果を図2に示す。活物質の理論容量(約150mAh/g)に対応する、活物質重量あたり150mAh/g程度の充放電容量が得られた。
(比較例1:PEG/LiFeO正極を用いた電池の製造)
上記実施例の対照実験として、P1の代わりに、酸化還元席を持たない分子量1万のポリエチレングリコールを用いたことを除いては同じ条件にて電池を製造した。0.05Cにおいて、5回充放電サイクルを繰り返した測定結果を図3に示す。活物質重量あたり10mA/g程度の放電容量しか得られず、充放電容量の向上にはP1-P3の添加が有効であることが示された。
図3から、ラジカル化合物を含むポリマーを正極に用いた実施例1の電池は、ラジカル化合物を使用していない比較例1の電池と比較して、容量が10倍以上大きく改善されたことが分かる。
(実施例2:P1/LiFeO正極および液体電解質を用いた電池の製造)
P1、LiFePO(MTI)、導電剤として単層カーボンナノチューブ(名城ナノカーボン)を2/7/1重量比で混合してスラリーを製造し、アルミ集電体上に塗布、乾燥した後、圧延して電極を作製した。1mol/Lリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)γーブチロラクトン溶液を電解液、白金ワイヤを対極、銀線を参照極とした構成で上記電極を評価した。1,10,50Cの各電流条件にてフェロセン基準の電位を測定した結果を図4に示す。約0V、0.25VにそれぞれLiFePO、P1の酸化還元に由来する充放電プラトーが観測された。1Cにおいて、活物質重量あたりの充電・放電容量の合計は273mAh/gであった。10,50Cのレートでもそれぞれ245,149mAh/gの活物質重量あたりの充放電容量を維持し、P1由来の低い電極抵抗が容量維持率の向上に繋がった。
(実施例3:P2/LiFeO正極および液体電解質を用いた電池の製造)
上記実施例において、P1の代わりにP3を用いたことを除いては同じ条件にて電極を評価した。その結果を図5に示す。約0V、0.25VにそれぞれLiFePO、P3の酸化還元に由来する充放電プラトーが観測された。1Cにおいて、活物質重量あたりの充電・放電容量の合計は223mAh/gであった。10,50Cのレートでもそれぞれ196,129mAh/gの活物質重量あたりの充放電容量を維持した。この高い容量維持率はP3由来の電極抵抗と上述のメディエーション効果によって説明される。
(比較例2:LiFeO正極を用いた電池の製造)
上記実施例の対照実験として、LiFePO/SWNTが9/1の重量比で複合されることを除いては同じ条件にて電極を作製、評価した。その結果を図6に示す。ポリマーP1-P3が含まれない本電極においては、LiFePO由来の約0Vのみで充放電プラトーが出現した。1Cでは上記実施例と同等の229mAh/gの充放電容量を示したものの、それ以上のレートでは急激に特性が低下し、10,50Cでの充放電容量はそれぞれ183,47mAh/gまで減少した。50Cでは、電極の高い抵抗成分と過電圧に由来して明瞭な充放電プラトーが観測されなかった。
図4~図6に示すように、1Cレート超ではラジカル化合物を含むポリマーを正極に用いた実施例2および3の電池は、ポリマーを使用していない比較例2の電池と比較して、容量が大きい。また、1Cレートにおいては、実施例3の電池の容量は比較例2のものと同等であり、実施例2の電池の容量は比較例2よりも大きかった。
10 蓄電デバイス
12 正極
14 負極
16 電解質

Claims (9)

  1. ポリエーテル骨格、または酸素原子の一部もしくはすべてが硫黄からなる群より選択される元素で置換されたポリエーテル骨格を主鎖に、ニトロキシルラジカル部位を有するラジカル化合物を側鎖に含み、数平均分子量(Mn)が5000以上である高分子と、
    リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つの元素と結合可能である、固体の酸化物または硫化物と、を含むことを特徴とする正極材。
  2. 前記高分子の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より大きく、かつ前記高分子の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記高分子の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする請求項1に記載の正極材。
  3. 前記高分子と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項2に記載の正極材。
  4. 前記高分子の標準電極電位が、前記酸化物または前記硫化物の標準電極電位より小さく、かつ前記高分子の電流、および前記酸化物または前記硫化物の電流を、電池の使用電位範囲内の同じ電位下で測定した際に、前記高分子の電流値が前記酸化物または前記硫化物の電流値より大きくなる電位範囲が、前記使用電位範囲において存在することを特徴とする請求項1に記載の正極材。
  5. 前記高分子と、前記酸化物または前記硫化物との標準電極電位差が0.01~1.0Vであることを特徴とする請求項4に記載の正極材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の正極材を含む正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置された電解質と、を含むことを特徴とする蓄電デバイス。
  7. 1.0Cレート以上において、前記高分子の充電電位が前記酸化物または前記硫化物の充電電位よりも低いことを特徴とする請求項6に記載の蓄電デバイス。
  8. 1.0Cレート以上において、前記高分子の放電電位が前記酸化物または前記硫化物の放電電位よりも高いことを特徴とする請求項6に記載の蓄電デバイス。
  9. 前記電解質が固体であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
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