図1に示すように、本実施形態のコンテナ10(特許請求の範囲中の「搬送容器」に相当する)は、上面が開放した箱形をなし、長方形状の底壁11の外縁部から側壁12,13が起立した構造になっている。詳細には、側壁12,13は、底壁11の長辺部から起立した1対の第1側壁12と、短辺部から起立した1対の第2側壁13と、からなり、これら側壁12,13は、上側へ向かうに従って開口が拡張されるように傾斜している。なお、隣り合った側壁12,13同士の連絡部は丸みを帯びている。本実施形態では、適宜、コンテナ10の短手方向(つまり、1対の第1側壁12が対向する方向)を、第1水平方向H1といい、長手方向(つまり、1対の第2側壁13が対向する方向)を第2水平方向H2という。
図2に示すように、底壁11は、平板11A(図11参照)の裏面に、平板11Aの外周から突出し、かつ、その内側に格子状に形成されたリブ11Lを備えてなる。
図1に示すように、コンテナ10は、その上端部全体から側方に張り出した上端フランジ壁14(特許請求の範囲中の「横リブ」に相当する)を備えている。また、コンテナ10の上下方向の略中央には、コンテナ10の外面の略全周のうち各側壁12,13の途中部分が分断された、即ち、コーナー部のみから張り出したコーナーフランジ壁15が形成されている。
図1及び図3に示すように、上下方向における上端フランジ壁14とコーナーフランジ壁15との間には、補強フランジ壁16A,16Bが形成されている。詳細には、1対の第2側壁13のうちの一方の第2側壁13(図1における手前側の第2側壁13。以降、適宜、「一方の第2側壁13A」という。特許請求の範囲中の「一側部」に相当する)と隣り合う第1側壁12とに跨って、コーナーフランジ壁15に沿って延びる第1補強フランジ壁16Aと、一方の第2側壁13Aと第1側壁12との連絡部から1対の第2側壁13のうちの他方の第2側壁13(図3における手前側の第2側壁13。以降、適宜、「他方の第2側壁13B」という)の第1水平方向H1の途中部分まで延びる第2補強フランジ壁16Bと、が設けられている。図1及び図14に示すように、第1補強フランジ壁16Aは、上端フランジ壁14寄り位置に配されていて、一方の第2側壁13Aにおける端部が、コーナーフランジ壁15の端部よりも第1水平方向H1の外側に位置し、第1側壁12における端部が、コーナーフランジ壁15の端部よりも第2水平方向H2の中央側に位置している。第2補強フランジ壁16Bは、第1補強フランジ壁16Aよりも下方に配され、図3に示すように、他方の第2側壁13Bにおける端部が、コーナーフランジ壁15の端部よりも第1水平方向H1の中央側に位置している。なお、上端フランジ壁14と第1補強フランジ壁16Aとの上下方向の間隔と、第1補強フランジ壁16Aと第2補強フランジ壁16Bとの上下方向の間隔とは、略同一になっている。
また、図1~図4に示すように、上端フランジ壁14、コーナーフランジ壁15及び補強フランジ壁16A,16Bの間は、複数の縦リブ17により連絡されている。これらフランジ壁14,15,16A,16B及び縦リブ17により、側面突部18が構成されている。側面突部18の外端面は鉛直になっている。
なお、図2及び図4に示すように、コンテナ10には、第1側壁12の中央に、第2補強フランジ壁16Bの一部を上方へ突出させて、下面が開放した指掛け部19が備えられると共に、第2側壁13の中央にも、第1補強フランジ壁16A同士の間又は第2補強フランジ壁16B同士の間に、下面が開放した指掛け部19が備えられる。第2側壁13の指掛け部19は、後述する孔底構成壁42の中央側端部又は第2補強フランジ壁16Bの端部と、上端フランジ壁14と、を連絡する縦リブ17同士の間に配され、上端フランジ壁14の外縁部から下方へ突出し、それら縦リブ17同士の間を連絡する指掛け壁19Aを有している。また、第2側壁13から突出した上端フランジ壁14における指掛け部19の上方部と、第2補強フランジ壁16Bのうち第1側壁12の指掛け部19となった部分と、には、水抜き穴19Hが4つずつ形成されている。また、一方の第2側壁13Aには、後述する孔底構成壁42における第1水平方向H1の中央寄り位置にも水抜き穴19Hが形成されている(図14参照)。
また、図1及び図2に示すように、一方の第2側壁13Aの下端部には、上辺部と垂下部とを有する逆L字状に下方へ突出した1対のカードホルダ取付部36が形成されている。これらのカードホルダ取付部36は、指掛け部19の両端部寄り位置の下方に配されている。また、一方の第2側壁13Aにおけるカードホルダ取付部36の上辺部より下方部分には、第1水平方向H1の中央部と、その両側方部と、に上面が水平になったカードホルダ支持突部37が形成されている。側方のカードホルダ支持突部37は、中央のカードホルダ支持突部37よりも下方に配されている。
図2及び図4に示すように、1対の第2側壁13には、コーナーフランジ壁15の下方に、四角形の枠状をなすラベル囲い部38が形成されている。詳細には、図4に示すように、他方の第2側壁13Bにおいては、コーナーフランジ壁15の下面から下方へ延びた一対の縦突条38Aと、一対の縦突条38Aの下端部同士の間を連絡する下端突条38Bと、が、形成されており、コーナーフランジ壁15と、一対の縦突条38Aと、下端突条38Bと、により、ラベル囲い部38が構成されている。
図1及び図2に示すように一方の第2側壁13Aの両端部には、下端部に、長方形状の当接突出部50(特許請求の範囲中の「側方当接突部」に相当する)が形成されており、当接突出部50の第1水平方向H1の中央側端部と、コーナーフランジ壁15の端部との間は、延長リブ51により連絡されている。そして、一方の第2側壁13Aには、第1水平方向H1において延長リブ51よりも外側に配され、コーナーフランジ壁15の下面から下方に延びた縦突条38Aと、縦突条38Aの下端部と、当接突出部50の上端部との間を連絡する下端突条38Bと、が形成されており、コーナーフランジ壁15と、延長リブ51と、縦突条38Aと、下端突条38Bと、当接突出部50と、により、ラベル囲い部38が構成されている。これらラベル囲い部38の内側には、内容物の情報等が記載されたラベルを張り付けられることがある。なお、当接突出部50及び延長リブ51については後に詳述する。
図5及び図6に示すように、本実施形態のコンテナ10は、コンテナ10の向きによって、ネスティング状態又はスタッキング状態に積み重ねることが可能である。以下、ネスティング状態及びスタッキング状態に段積みするための構成について説明する。
図1に示すように、コンテナ10のうち側面突部18より下方の外側面からは、複数の積上支持突部20,21(特許請求の範囲中の「支持突部」に相当する)が突出している。また、コンテナ10の内側面には、上端フランジ壁14の上面で開口する複数の受容ポケット25,26(特許請求の範囲中の「縦溝」に相当する)が陥没形成されている。これら積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26は、第1水平方向H1におけるコンテナ10の中心線(1対の第2側壁13の中心同士を結ぶ線)に対して線対称となる一方、第2水平方向H2におけるコンテナ10の中心線(1対の第1側壁12の中心同士を結ぶ線)に対して非線対称となるように配されている。詳細は、以下の通りである。
図1~図4に示すように、積上支持突部20,21は、コンテナ10における1対の第1側壁12の両端部に配され、コンテナ10の上下方向の略中央位置から下端寄り位置に亘って上下方向に延在している。積上支持突部20,21は、横並びに配置される1対の突部構成縦リブ20A,21Aと、それら1対の突部構成縦リブ20A,21Aの下端部同士を連絡する突部構成横リブ20B,21Bと、を有していて、各突部構成縦リブ20A,21Aがコーナーフランジ壁15に連絡している。また、図7及び図8に示すように、積上支持突部20,21の下端部には、外側端部から下方へ突出した下端突出部20T,21Tが形成されている。
図1及び図3に示すように、受容ポケット25,26は、1対の第1側壁12のうち、積上支持突部20,21に対して第2水平方向H2にずれた位置で、コンテナ10の上端部分の内側に上下方向に延びる溝状に形成され、受容ポケット25,26の深さは、コンテナ10において側面突部18(側面突部18の下端のコーナーフランジ壁15)より下方に配置される部分の高さと略同じになっている。また、受容ポケット25,26は、コンテナ10を平面視180度回転させたときの積上支持突部20,21に対応する位置に配置され、対応する積上支持突部20,21を受容可能な大きさ(具体的には、コンテナ10の辺方向に沿った幅とコンテナ10の内外方向に沿った奥行)を有している。また、これら受容ポケット25,26の上端部には、内側面の3面に、鉛直方向に対する傾斜角が下方部よりも大きくなったガイド部25G,26Gが形成されている。
また、積上支持突部20,21には、横幅が異なる幅広積上支持突部20と幅狭積上支持突部21との2種類が存在し、その積上支持突部20,21の種類に対応して、受容ポケット25,26にも、横幅が異なる幅広受容ポケット25と幅狭受容ポケット26との2種類が存在する。具体的には、第1側壁12における、他方の第2側壁13B側の端部には、幅広受容ポケット25が配され、その幅広受容ポケット25より中央側にずれた位置に、幅狭積上支持突部21が配されている。さらに、第1側壁12における、一方の第2側壁13A側の端部には、幅広積上支持突部20が配され、その幅広積上支持突部20より中央側にずれた位置に、幅狭受容ポケット26が配されている。これら積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26は、1対の第1側壁12の各々に、1対の第1側壁12の間の中心線に対して線対称となるように配されているので、他方の第2側壁13Bと幅広受容ポケット25との間の距離同士、及び、一方の第2側壁13Aと幅狭受容ポケット26との間の距離同士は、それぞれ等しくなっていると共に、一方の第2側壁13Aと幅狭受容ポケット26との間の距離は、他方の第2側壁13Bと幅広受容ポケット25との間の距離よりも長くなっている。
図1及び図3に示すように、コンテナ10の1対の第1側壁12のうち側面突部18の上面(即ち、上端フランジ壁14の上面)には、幅方向(第1水平方向H1)の中央が段付き状に陥没し、第2水平方向H2に延びるスライド溝28が形成されている。スライド溝28は、幅広受容ポケット25の中央側端部から、幅狭受容ポケット26の中央側端部まで延びる第1溝部28Aと、幅狭受容ポケット26の外側端部から、一方の第2側壁13A側端部寄り位置まで延びる第2溝部28Bと、を有している。また、第1溝部28Aにおいて、外側の内側面は、全体が第2水平方向H2に直線状に延びているのに対し、内側の内側面は、幅広受容ポケット25寄り位置に傾斜部28Kが設けられ、幅広受容ポケット25側の端部がそれ以外の部分より幅狭になっている。第2溝部28Bの内側面は、第1溝部28Aの幅広受容ポケット25側の端部の内側面と面一になっている。第2溝部28B及び第1溝部28Aの幅広受容ポケット25側の端部の幅は、積上支持突部20,21の下端突出部20T,21Tを受容可能な大きさになっている。なお、図9に示すように、第2溝部28Bの内側の内側面のうち幅狭受容ポケット26側端部にも傾斜部28Kが形成されている。
図1~4に示すように、コンテナ10の下端部には、複数の位置決めリブ30,31,32,33が設けられている。詳細には、コンテナ10は、第1側壁12のうち積上支持突部20,21の下方にそれぞれ配された第1位置決めリブ30,31(図2及び図4参照)と、一方の第2側壁13Aの両端部に設けられた第2位置決めリブ32(図1及び図2参照)と、他方の第2側壁13Bの両端部に設けられた第3位置決めリブ33(図3及び図4参照)と、を有している。図2及び図4に示すように、幅広積上支持突部20の下方の第1位置決めリブ30は、突部構成横リブ20Bにおける第2水平方向H2の両端部寄り位置から下方に突出していて、幅狭積上支持突部21の下方の第1位置決めリブ31は、突部構成横リブ21Bにおける第2水平方向H2の中央から下方に突出している。これら第1位置決めリブ30,31は、リブ11Lの下端まで延びていて、その突出量は、下方へ向かうにつれて小さくなっている。
図1及び図2に示すように、第2位置決めリブ32は、一方の第2側壁13Aの当接突出部50の下面における両端部から下方へ延びている。第2位置決めリブ32は、リブ11Lの下端まで延びていて、その突出量は、下方へ向かうにつれて小さくなっている。当接突出部50については後に詳説する。図3及び図8に示すように、第3位置決めリブ33は、他方の第2側壁13Bの両端部における下端部に配されていて、上下方向の中間部が、最も突出した突出面33Aとなっていて、その上下は、他方の第2側壁13Bの外側面へ向けて傾斜した傾斜面33Bとなっている。また、第3位置決めリブ33は、リブ11Lの下端まで延びている。
また、図3に示すように、一方の第2側壁13Aの内側面には、コンテナ10を平面視180度回転させたときの第3位置決めリブ33と対応する位置に、リブ受容溝34が形成されている。図1に示すように、他方の第2側壁13Bの内側面には、コンテナ10を平面視180度回転させたときの当接突出部50と対応する位置に、突部受容溝35が形成され、カードホルダ取付部36同士の間の領域と対応する位置に、取付部受容凹部39が形成されている。なお、突部受容溝35の上端部にも、受容ポケット25,26のガイド部25G,26Gと同様に、内側面の3面に、鉛直方向に対する傾斜角が下方部よりも大きくなったガイド部35Gが形成されている。
次に、コンテナ10の段積みについて説明する。まず、コンテナ10の上に別のコンテナ10が同じ向きで積み上げられると、図5に示すように、上段側のコンテナ10の積上支持突部20,21が下段側のコンテナ10の側面突部18の上面(即ち、上端フランジ壁14の上面)と当接するスタッキング状態となる。詳細には、上段側のコンテナ10の幅広積上支持突部20の下端突出部20Tと、幅狭積上支持突部21の下端突出部21Tと、が、下段側のコンテナ10のスライド溝28のうちの第2溝部28Bと、第1溝部28Aの幅広受容ポケット25側の端部と、にそれぞれ受容された状態で、上段側のコンテナ10の積上支持突部20,21の突部構成横リブ20B,21Bが、下段側のコンテナ10の上端フランジ壁14の内縁部に当接する。
スタッキング状態では、上段側のコンテナ10の下端突出部20T,21Tが下段側のコンテナ10のスライド溝28に受容されると共に、上段側のコンテナ10の各位置決めリブ30,31,32,33(図1~図4参照)が下段側のコンテナ10の側壁12,13の内側面に突き合わされた状態になって、上下のコンテナ10の横ズレが抑えられる。
一方、コンテナ10の上に別のコンテナ10が平面視180度回転させた状態で積み上げられると(例えば、図1に示した向きのコンテナ10の上に図3に示した向きのコンテナ10が積み上げられると)、図6に示すように、上段側のコンテナ10の積上支持突部20,21が下段側のコンテナ10の受容ポケット25,26に受容されるネスティング状態となる。このとき、受容ポケット25,26にガイド部25G,26Gが設けられているので、上下のコンテナ10の位置が多少ずれていても、上段側のコンテナ10の積上支持突部20,21が下段側のコンテナ10の受容ポケット25,26に案内されるので、スムーズに作業を行うことができる。
コンテナ10がネスティング状態に段積みされると、上段側のコンテナ10の側面突部18の下端(コーナーフランジ壁15)が下段側のコンテナ10の側面突部18の上面(上端フランジ壁14の上面)に当接する。なお、ネスティング状態では、上段側のコンテナ10の第3位置決めリブ33が下段側のコンテナ10のリブ受容溝34に受容されると共に、上段側のコンテナ10の第2位置決めリブ32及び当接突出部50が下段側のコンテナ10の突部受容溝35に受容され、上段側のコンテナ10のカードホルダ取付部36及びカードホルダ支持突部37が、下段側のコンテナ10の取付部受容凹部39に受容される。
ところで、コンテナ10をスタッキング状態及びネスティング状態に積み上げる際には、上段側のコンテナ10を下段側のコンテナ10に対して真上から降下して積み上げていってもよいが、上段側のコンテナ10を下段側のコンテナ10に対してスライドさせてもよい。
まず、スタッキングする際のスライド積み上げ操作(即ち、スライドスタッキング)について説明する。例えば、図1の向きでコンテナ10を手前側から奥側へスライドさせてスライドスタッキングを行う場合、下段側のコンテナ10における1対の第1側壁12の上面中央付近に、上段側のコンテナ10の幅狭積上支持突部21を突き当てて上段側のコンテナ10を傾斜姿勢とし、上段側のコンテナ10を下段側のコンテナ10の上面上で第2水平方向H2にスライドさせればよい。このとき、下段側のコンテナ10のスライド溝28(第1溝部28Aの中央部)に、上段側のコンテナ10の幅狭積上支持突部21の下端突出部21Tが受容されるので、スライド操作をスムーズに行うことができる。そして、上段側のコンテナ10をスライドさせていき、その上段側のコンテナ10の幅狭積上支持突部21が下段側のコンテナ10の第1溝部28Aの幅広受容ポケット25側の端部に到達したところで、上段側のコンテナ10を水平姿勢に戻せば、スタッキング状態になる。
スライド溝28の第1溝部28Aは、幅広受容ポケット25側の端部以外の部分が幅広になっているので、上段側のコンテナ10の幅狭積上支持突部21の下端突出部21Tを下段側のコンテナ10のスライド溝28(第1溝部28Aの中央部)に受容させる際に、第1水平方向H1の多少のずれは許容され、作業が容易となる。また、第1溝部28Aに傾斜部28Kが形成されているので、上段側のコンテナ10の幅狭積上支持突部21の下端突出部21Tが下段側のコンテナ10の第1溝部28Aの幅広受容ポケット25側の端部にスムーズに案内される。
また、コンテナ10と作業者の位置関係によっては、図3の向きでコンテナ10を手前側から奥側へスライドさせてスライドスタッキングを行う場合も考えられる。この場合は、下段側のコンテナ10のスライド溝28(第1溝部28Aの中央部)に、上段側のコンテナ10の幅広積上支持突部20の下端突出部20Tを受容させてスライドさせ、上段側のコンテナ10の幅広積上支持突部20の下端突出部20Tが下段側のコンテナ10のスライド溝28の端部(第2溝部28Bの外側端部)に当接したところで上段側のコンテナ10を水平姿勢に戻せばよい。
ここで、第1側壁12の中間部分に受容ポケット25,26が配されている場合、上段側のコンテナ10の積上支持突部20,21が、スライド中に、受容ポケット25,26に落ちてしまい、スムーズにスタッキング状態までスライドできなくなるという問題が生じ得る。これに対し、本実施形態のコンテナ10では、第1側壁12の中間部分(第2水平方向H2において、幅広受容ポケット25よりも中央側)に配されているのが幅狭受容ポケット26であり、図3の向きでスライドスタッキングを行うときに下段側のコンテナ10の1対の第1側壁12に突き当てられるのが幅狭受容ポケット26よりも第2水平方向H2で長い幅広積上支持突部20であるので、幅狭受容ポケット26を乗り越えることができ、スムーズにスライドスタッキングを行うことができる。また、第2溝部28Bの幅狭受容ポケット26側端部にも傾斜部28Kが形成されているので、幅広積上支持突部20が、幅狭受容ポケット26を乗り越えて、第2溝部28Bに突入する際に、スムーズに案内される。なお、図1の向きでスライドスタッキングを行うときには、幅狭積上支持突部21が幅広受容ポケット25に到達する前にスタッキング状態になるので問題ない。
また、コンテナ10をネスティングする場合には、下段側のコンテナ10に対して上段側のコンテナ10の向きを180度旋回させて、スタッキングする場合と同様に、下段側のコンテナ10における1対の第1側壁12の上面中央付近に、上段側のコンテナ10の積上支持突部20,21(図1の向きの場合は幅狭積上支持突部21であり、図3の向きの場合は幅広積上支持突部20)を突き当てて上段側のコンテナ10を傾斜姿勢とし、第2水平方向H2にスライドさせればよい。すると、上記したスライドスタッキングの場合と同様に、上段側のコンテナ10における下端突出部20T,21Tが下段側のコンテナ10のスライド溝28に受容されてスライド操作をスムーズに行うことができる。そして、上段側のコンテナ10をスライドさせて行くと、その上段側のコンテナ10のスライド方向の前側の積上支持突部20,21が下段側のコンテナ10の対応する受容ポケット25,26に突入すると共に、上段側のコンテナ10のスライド方向の後側の積上支持突部20,21が下段側のコンテナ10の対応する受容ポケット25,26に突入するので、そこで、上段側のコンテナ10を水平姿勢に戻せば、上段側のコンテナ10の全ての積上支持突部20,21が、下段側のコンテナ10の受容ポケット25,26に受容されてネスティング状態になる。
さて、図10及び図11に示すように、本実施形態のコンテナ10は、搬送機100の保持ツール101により片持ち状態で持ち上げて搬送することが可能となっている。保持ツール101は、上側ツール102と下側ツール103とからなる。図12に示すように、上側ツール102は、第1水平方向H1に延びる帯板状の主板102Aに2本の係合爪102Bが設けられてなる。係合爪102Bは、主板102Aの上端面から上方に突出した起立部102Cと、起立部102Cの上端部から第2水平方向H2に延びる水平部102Dと、水平部102Dの端部から垂下した垂下部102Eと、を有する。垂下部102Eの主板102A側の面には、上端部に、三角形状の切り欠き102Kが形成されるとともに、下端部に、主板102Aと反対側に傾斜する傾斜部102Lが形成されている。
図13に示すように、下側ツール103は、第1水平方向H1に延びる帯板状の主板103Aの一方の主面に、複数の突起部103B,103Cが形成されている。詳細には、主板103Aの第1水平方向H1の両端部に、上下に並んだ第1突起部103B、第2突起部103Cがそれぞれ形成されている。第1突起部103Bは、平板状をなし、その外縁に、主板103Aから第2水平方向H2に延びる1対の第1外縁部103B1と、その端部から互いに近づくように傾斜して延びる第2外縁部103B2と、第2外縁部103B2の端部同士の間を連絡し、第1水平方向H1に延びる第3外縁部103B3と、を有する。第2突起部103Cは直方体状をなし、主板103Aの下端に配されている。また、主板103Aの一方の主面には、下側の両隅部に、僅かに陥没した四角形状の陥没部103Dが形成されている。
上記した保持ツール101は、コンテナ10における1対の第2側壁13のうち一方の第2側壁13Aの側面突部18を保持してコンテナ10を片持ち状に持ち上げる。そのために、一方の第2側壁13Aには、上側ツール102の係合爪102Bが挿入される爪受容部40が形成されている。以下、詳細を説明する。なお、側面突部18のうち、一方の第2側壁13Aに配された部分が特許請求の範囲中の「保持用側面突部」に相当し、それ以外の側壁12,13に配された部分が特許請求の範囲中の「サブ側面突部」に相当する。
図7及び図14に示すように、一方の第2側壁13Aの側面突部18には、縦リブ17として、第1補強フランジ壁16Aの端部と上端フランジ壁14とコーナーフランジ壁15とを接続する第1角筒構成縦リブ17Aと、コーナーフランジ壁15の端部よりも第1水平方向H1の中央側に配され、第1角筒構成縦リブ17Aと第1水平方向H1で対向する第2角筒構成縦リブ17Bと、が備えられている。第2角筒構成縦リブ17Bの下端は、上下方向において第2補強フランジ壁16Bと同じ位置に配され、第2角筒構成縦リブ17Bの下端と第1角筒構成縦リブ17Aとは、側面突部18の一部をなし、第2補強フランジ壁16Bと面一に延びる孔底構成壁42により連絡されている。また、図7及び図11に示すように、第1角筒構成縦リブ17Aと第2角筒構成縦リブ17Bとの間は、第2水平方向H2の内側端部を、一方の第2側壁13Aにより連絡され、第2水平方向H2の外側端部寄り位置を、一方の第2側壁13Aと対向する外側壁41により連絡されている。外側壁41は、一方の第2側壁13Aから突出する上端フランジ壁14の幅における内側から2/3程の位置に配され、上端フランジ壁14と孔底構成壁42との間も連絡している。また、図11に示すように、一方の第2側壁13Aのうち、上端フランジ壁14と孔底構成壁42との間の部分は、下方に向かうにつれて肉厚になっていて、一方の第2側壁13Aの外側の面は、略鉛直方向に延びている。
図14に示すように、上端フランジ壁14のうち、一方の第2側壁13Aと、第1及び第2の角筒構成縦リブ17A,17Bと、外側壁41とに囲まれた部分には角孔45(特許請求の範囲中の「貫通孔」に相当する)が形成されている。また、一方の第2側壁13Aと、第1及び第2の角筒構成縦リブ17A,17Bと、外側壁41とにより、角孔45の四辺から開口縁の下方に位置して角筒状になった角筒部46(特許請求の範囲中の「筒部」に相当する)が構成され、角孔45と、角筒部46と孔底構成壁42とにより爪受容部40が構成されている。
また、図7及び図15に示すように、一方の第2側壁13Aの側面突部18には、外側壁41の外側に、上端フランジ壁14と、第1及び第2の角筒構成縦リブ17A,17Bと、孔底構成壁42と、に囲まれた部分を4等分するように十字状に配された、上下方向及び第1水平方向H1に延びた補強リブ43が形成されている。また、一方の第2側壁13Aの側面突部18には、縦リブ17として、コーナーフランジ壁15の端部と孔底構成壁42とを連絡する連絡リブ44が設けられている。連絡リブ44は、上下方向に延びた補強リブ43と同一直線上に配されている。また、第1角筒構成縦リブ17Aと連絡リブ44との間は、孔底構成壁42寄り位置を、水平方向に延びた補強リブ43により連絡されている。これにより、角筒部46の内側面からコンテナ10の内側面(一方の第2側壁13Aの内側面)までの最短距離より側面突部18の最外面までの最短距離の方が大きくなっている。
上述したように、一方の第2側壁13Aの両端部には、下端部に、長方形状の当接突出部50が形成されている。図7に示すように、当接突出部50は、横長の長方形枠状に一方の第2側壁13Aの外側面から外方へ突出した枠部50Aと、枠部50Aの上辺と下辺との中央同士を連絡する中央リブ50Bと、を有している。また、枠部50Aの上面のうち第1水平方向H1の外側の側辺と中央リブ50Bとの上方には補強リブ50Lが形成されている。図15に示すように、枠部50Aの上面における第1水平方向H1の中央側端部と、コーナーフランジ壁15の端部との間は、枠部50Aの第1水平方向H1の中央側の側辺から上方へ延長して延びた延長リブ51により連絡されている。図11に示すように、一方の第2側壁13Aの外側面からの当接突出部50の突出量は、一方の第2側壁13Aの外側面からの側面突部18の突出量の1/2~1/3程になっていて、当接突出部50の外端面は、鉛直になっている。
本実施形態のコンテナ10は、以下のようにして搬送機100の保持ツール101に保持される。即ち、まず、下側ツール103が、複数の突起部103B,103Cがコンテナ10の一方の第2側壁13Aと対向する向きで、側方からコンテナ10に向かい、一方の第2側壁13A側へ押し当てられる。すると、下側ツール103の第1突起部103Bが下方から、コンテナ10の一方の第2側壁13Aの側面突部18の下端部(コーナーフランジ壁15の下面)に当接すると共に、下側ツール103の第2突起部103Cがコンテナ10の一方の第2側壁13Aの当接突出部50の外端面に当接する(図11参照)。また、下側ツール103の主板103Aもコンテナ10の一方の第2側壁13Aの側面突部18の外端面に当接する。なお、下側ツール103は、下方から、又は斜め方向からコンテナ10へ向かう構成であってもよい。なお、一方の第2側壁13Aの側面突部18のうち、下側ツール103の第1突起部103Bが当接する部分(コーナーフランジ壁15の下面)が特許請求の範囲中の「鉛直当接部」に相当する。
次いで、上側ツール102が、コンテナ10の一方の第2側壁13Aに向けて下ろされ、上側ツール102の係合爪102Bが、コンテナ10の爪受容部40に挿入される(図11参照)。この状態で保持ツール101が上昇すると、図16に示すように、コンテナ10が僅かに傾き、下側ツール103の第1突起部103Bがコンテナ10の一方の第2側壁13Aの側面突部18を下方から支持しつつ、上側ツール102の係合爪102Bがコンテナ10の爪受容部40の内側面に当接係合してコンテナ10の落下を防ぎ、コンテナ10が片持ち状に持ち上げられる。このとき、下側ツール103の第2突起部103Cがコンテナ10の一方の第2側壁13Aの当接突出部50の外端面に当接することで、コンテナ10の傾きが抑制され、さらに、上側ツール102の係合爪102Bとコンテナ10の爪受容部40とにかかる負荷が分散される。
本実施形態のコンテナ10の構成は以上である。次に、コンテナ10の作用効果について説明する。上述したように、本実施形態のコンテナ10によれば、搬送機100の保持ツール101が、コンテナ10の一方の第2側壁13Aの側面突部18を下方から支持しつつ、係合爪102Bをコンテナ10の爪受容部40に係合させることで、コンテナ10の一方の第2側壁13Aの側面突部18を保持することができ、コンテナ10を片持ち状態で持ち上げて搬送することが可能となる。
また、下側ツール103の第2突起部103Cがコンテナ10の一方の第2側壁13Aの当接突出部50の外端面に当接することで、コンテナ10の傾きが抑制されると共に、上側ツール102の係合爪102Bとコンテナ10の爪受容部40とにかかる負荷が分散される。
ここで、コンテナ10が搬送機100により片持ち状態で持ち上げられると、保持された一方の第2側壁13Aと反対側の他方の第2側壁13B側が垂れ下がろうとして、爪受容部40を構成する角筒部46の外側の内側面に係合爪102Bが当接し、負荷を受けて破損しやすくなると考えられる。これに対して、本実施形態のコンテナ10では、角筒部46の外側壁41の外側に、補強リブ43が設けられ、角筒部46の内側面からコンテナ10の内側面(一方の第2側壁13Aの内側面)までの最短距離より側面突部18の最外面までの最短距離の方が大きくなっているので、負荷を受けやすい角筒部46の外側の内側面の強度が比較的高くなり、角筒部46(爪受容部40)の破損が防がれる。また、保持ツール101の係合爪102Bには、三角形状の切り欠き102Kが形成されているので、コンテナ10が傾いても、角筒部46の外側上端部が、この切り欠き102Kに受容され、コンテナ10の破損が防がれる。
また、角筒部46を構成する一方の第2側壁13Aによりコンテナ10の内部と爪受容部40とが区画されているので、コンテナ10の収容物が係合爪102Bにより破損することが防がれる。また、角筒部46の一部は、一方の第2側壁13Aの内側面と対向し、さらに、一方の第2側壁13Aの内側面と兼用するように構成されている。従って、コンテナ10の内側面から内方に張り出すような形状によって爪受容部40が区画される場合に比べて、収容物を出し入れする際の接触や、収容量減少が防がれる。また、コンテナ10を極力コンパクトにすることができる。
ところで、本実施形態のコンテナ10は、スタッキング状態及びネスティング状態での積み上げを可能にするため、一方の第2側壁13Aを挟んで対向する1対の第1側壁12に、積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26が形成されているが、一般的に、積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26の配置方法は2通りある。1つは、積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26を、第1水平方向H1におけるコンテナ10の中心線(1対の第2側壁13の中心同士を結ぶ線)に対して線対称となる一方、第2水平方向H2におけるコンテナ10の中心線(1対の第1側壁12の中心同士を結ぶ線)に対して非線対称となるように配置する方法であり、もう1つは、反対に、積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26を、第1水平方向H1におけるコンテナ10の中心線(1対の第2側壁13の中心同士を結ぶ線)に対して非線対称となる一方、第2水平方向H2におけるコンテナ10の中心線(1対の第1側壁12の中心同士を結ぶ線)に対して線対称となるように配置する方法である。
本実施形態では、これら2通りの配置方法のうち、前者の方法を採用しており、積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26が、1対の第1側壁12の間の中心線に対して線対称に配置されている。これにより、一方の第2側壁13Aからの積上支持突部20,21及び受容ポケット25,26の距離が1対の第1側壁12の間で等しくなるので、コンテナ10を片持ち状態で持ち上げたときにかかる負荷が1対の第1側壁12の間で略均一になり、コンテナ10のねじれ等による破損が防がれる。
さらに、コンテナ10では、1対の第2側壁13のうち、受容ポケット25,26からの距離が遠くなる方の第2側壁13を、搬送機100の保持ツール101に保持される一方の第2側壁13Aにしているので、受容ポケット(幅狭受容ポケット26)にかかる負荷が一方の第2側壁13Aに伝わりにくく、一方の第2側壁13Aの破損が防がれる。また、第1側壁12のうち一方の第2側壁13A側端部の強度が高くなるので、コンテナ10を片持ち状態で持ち上げたときに第1側壁12の受容ポケット(幅狭受容ポケット26)近傍が破損することが防がれる。さらに、一方の第2側壁13A側に、幅狭受容ポケット26が配されているので、幅広受容ポケット25を一方の第2側壁13A側に配置した構成に比べて、第1側壁12のうち一方の第2側壁13A側端部の強度をさらに高くすることができる。
[他の実施形態]
(1)図17及び図18には、上記実施形態のコンテナ10よりも深い深型コンテナ10Wが示されている。深型コンテナ10Wは、コーナーフランジ壁15として、側面突部18の下端部を構成する下端コーナーフランジ壁15Aと、上下方向において下端コーナーフランジ壁15Aと上端フランジ壁14との中央部に位置する中間コーナーフランジ壁15Bと、を有している。第1水平方向H1において、中間コーナーフランジ壁15Bは、下端コーナーフランジ壁15Aよりも中央側に延びていて、下端コーナーフランジ壁15Aの端部と、中間コーナーフランジ壁15Bとは、連絡リブ44により連絡されている。本変形例では、この連絡リブ44に第1水平方向H1の中央側から隣接して当接突出部50が形成されている。
図18に示すように、本変形例の深型コンテナ10Wは、中間コーナーフランジ壁15Bが、搬送機100の下側ツール103の第1突起部103Bに下方から支持され、その下方の当接突出部50が第2突起部103Cに押された状態で、片持ち状に持ち上げられる。なお、深型コンテナ10Wの中間コーナーフランジ壁15Bと当接突出部50との間隔を、上記実施形態のコンテナ10のコーナーフランジ壁15と当接突出部50との間隔と同一にすることで、同じ保持ツール101で、コンテナ10と深型コンテナ10Wとの両方を搬送することができる。
また、深型コンテナ10Wの下端部には、上記実施形態のコンテナ10の当接突出部50と同形状の長方形突部50Wが形成されている。
(2)上記実施形態では、保持ツール101の第2突起部103Cが当接突出部50に当接してコンテナ10,10Wの傾きを抑える構成であったが、これら第2突起部103C及び当接突出部50が設けられていなくてもよい。この場合であっても、下側ツール103の主板103Aが一方の第2側壁13Aの側面突部18の外端面に当接して、コンテナ10,10Wの傾きが抑えられる。
(3)上記実施形態では、下側ツール103、上側ツール102、の順で可動される構成であったが、逆であってもよいし、一緒に可動される構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、コンテナ10,10Wがスタッキング及びネスティング可能な構成であったが、スタッキングのみ可能な構成であってもよいし、ネスティングのみ可能な構成であってもよい。
(5)上記実施形態では、コンテナ10,10Wの内部と爪受容部40とが区画されていたが、区画されていなくてもよい。即ち、一方の第2側壁13Aのうち、爪受容部40と対応する部分に、貫通孔が形成されていてもよい。この場合であっても、爪受容部40は、コンテナ10,10Wの内側面(一方の第2側壁13Aの内側面)よりも外側(第2水平方向H2における外側)に形成されていることが好ましい。
(6)上記実施形態では、持ち上げられるときにコンテナ10,10Wが僅かに傾く構成であったが、傾かないように、上側ツール102の位置を調整し、係合爪102Bと、爪受容部40の内側面とを面当りさせる構成であってもよい。
(7)上記実施形態では、爪受容部40の上端部となる角孔45が、側面突部18のうち最も上方に位置する上端フランジ壁14に形成されていたが、上下方向の中間に位置するフランジ壁(例えば、第1補強フランジ壁16A)に形成されていてもよい。この場合、上方から見て角孔45が露出するように、第1補強フランジ壁16Aが、上端フランジ壁14よりも外方へ突出していることが好ましい。
(8)上記実施形態では、爪受容部40の平面形状が四角形であったが、円形等であってもよい。