以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の表示制御装置62は、車両5に搭載されている表示装置61を制御することにより、車両5の前景に画像を重畳表示させる。まず、この表示制御装置62が用いられる車両5について説明する。
図1および図2に示すように、車両5は、ウインドシールド6、インストルメントパネル7および表示システム1を備えている。
図1に示すように、ウインドシールド6は、車両5の前方に配置されており、車両5の運転手の前方の視界を確保する。インストルメントパネル7は、後述の表示装置61を収容している。
図2に示すように、表示システム1は、周辺環境センサ10、DSM20、車両状態センサ30、入力操作部40、運転者データベース50、運転支援ECU55およびHMIシステム60を備えている。また、ここでは、周辺環境センサ10、DSM20、車両状態センサ30、入力操作部40、運転者データベース50、運転支援ECU55およびHMIシステム60は、例えば、車内LAN80に接続されている。このため、これらは、相互間における情報の受け渡しが行えるようになっている。なお、DSMは、Driver Status Monitorの略である。HMIは、Human Machine Interfaceの略である。
周辺環境センサ10は、障害物検出部に対応しており、車両5の周辺の環境に応じた信号を車内LAN80に出力する。ここでは、周辺環境センサ10は、日射センサ11、路面状態センサ12、前方カメラ13および探査波送受信部14を有する。
日射センサ11は、車両5の外部からの日射量Msに応じた信号を車内LAN80に出力する。
路面状態センサ12は、カメラによる路面画像、タイヤの振動の大きさおよび車両5が走行している路面に照射された近赤外光の入反射角等を取得する。そして、路面状態センサ12は、これらの情報に基づいて、車両5が走行している道路の車線85の位置および路面状態に応じた信号を車内LAN80に出力する。
前方カメラ13は、車両5の前方を撮像する。そして、前方カメラ13は、この撮像した画像を車内LAN80に出力するとともに、この撮像した画像に基づいて、車両5の前方における障害物8の種類等の情報を車内LAN80に出力する。
探査波送受信部14は、ミリ波、ソナーおよび赤外線等の探査波を車両5の前方の障害物8に送信する。また、探査波送受信部14は、障害物8で反射された探査波を受信する。そして、探査波送受信部14は、この探査波から得られる情報に基づいて、車両5の前方の障害物8の速度および位置に応じた信号を車内LAN80に出力する。
DSM20は、車両5の運転者の心身状態を推定する装置である。具体的には、DSM20は、運転者用カメラ21を有する。運転者用カメラ21は、車両5の運転者の顔を撮像する。そして、運転者用カメラ21は、この顔画像を車内LAN80に出力するとともに、この顔画像に基づいて、車両5における運転者の眠気等の心身状態に関する情報を車内LAN80に出力する。
車両状態センサ30は、車両5の走行状態に応じた信号を車内LAN80に出力する。ここでは、車両状態センサ30は、車速センサ31、加速度センサ32、アクセルセンサ33およびブレーキセンサ34を有する。
車速センサ31は、車両5の速度に応じた信号を車内LAN80に出力する。
加速度センサ32は、車両5の加速度に応じた信号を車内LAN80に出力する。
アクセルセンサ33は、車両5の図示しないアクセルペダルの踏み込み量に応じた信号を車内LAN80に出力する。
ブレーキセンサ34は、車両5の図示しないブレーキペダルの踏み込み量に応じた信号を車内LAN80に出力する。
入力操作部40は、車両5の運転手によって操作されることにより、各操作設定を示す信号を車内LAN80に出力する。ここでは、入力操作部40は、ウインカースイッチ41およびACCスイッチ42を有する。
ウインカースイッチ41は、車両5の運転者によるオンオフ操作によって、車両5の図示しない左右のウインカーを点灯させる。
ACCスイッチ42は、車両5の運転者によるオンオフ操作によって、車両5の自動運転をさせる。なお、ACCは、Adaptive Cruise Controlの略である。
運転者データベース50は、後述する車両5の運転者の情報を蓄積する。
運転支援ECU55は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、運転支援ECU55は、ROMに記憶されているプログラムを実行すると、例えば、車両5から先行車までの距離が一定となるように、車両5のアクセル操作およびブレーキ操作を制御する。さらに、運転支援ECU55は、ROMに記憶されているプログラムを実行すると、例えば、車両5が障害物8との接触が回避されるように、車両5のブレーキ操作を制御する。
HMIシステム60は、車両5のコックピット内の情報マネジメントを行うシステムであって、車両5の運転者に向けて情報を提示する。具体的には、HMIシステム60は、HUDを含む表示装置61およびHCU64を含む表示制御装置62を有する。なお、HUDは、Head-Up Displayの略である。また、HCUは、HMI Control Unitの略である。
図1に示すように、表示装置61は、後述のHCUからの画像データに基づく表示画像を形成する。具体的には、表示装置61は、液晶式および走査式等のプロジェクタ611および凹面鏡等の光学系612を含む。
表示装置61では、プロジェクタ611からの光が光学系612で反射される。光学系612で反射された光は、ウインドシールド6の投影面9に投影される。この投影される光がウインドシールド6で反射されることにより、プロジェクタ611からの表示画像は、車両5の運転手によって知覚される。また、車両5の前方の景色も、車両5の運転手によって知覚される。これにより、ウインドシールド6の前方に結像される表示画像の虚像613と前方の景色の一部とが重畳表示されるため、車両5の運転者は、AR表示を視認することができる。なお、ARは、Augmented Realityの略である。
図2に示すように、表示制御装置62は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、RAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。具体的には、表示制御装置62は、計測部63およびHCU64を含む。
計測部63は、ROMに記憶されているプログラムを実行すると、周辺環境センサ10、DSM20、車両状態センサ30および入力操作部40の情報に基づいて、後述する運転者データベース50に蓄積されるデータの更新を行うためのパラメータを計測する。
HCU64は、相対移動算出部、空走算出部、表示制御部、加速更新部および反応更新部に対応しており、ROMに記憶されているプログラムを実行する。このとき、HCU64は、周辺環境センサ10、DSM20、車両状態センサ30、入力操作部40、運転者データベース50および計測部63の情報に基づいて、表示装置61を制御する。
以上のように、表示制御装置62を搭載する車両5は構成されている。この表示制御装置62のHCU64が表示装置61を制御することにより、車両5が走行する道路に画像が重畳表示される。これにより、車両5の運転者に情報が提供される。
次に、この車両5の運転者への情報提供を説明するために、車両5のイグニッションがオンされているときの表示制御装置62のHCU64の処理について説明する。このHCU64の処理について説明をするために、便宜上、以下のように用語を定義する。
車両5の運転者の目の位置をアイポイントPsとする。車両5の運転者の眠さを数値化したものを眠気度合Nsとする。車両5の前端から、車両5の前方における障害物8の後端までの距離を車間距離Lpとする。車両5の前方における障害物8の絶対速度を障害物速度Vpとする。車両5の前方における障害物8の加速度を障害物減速度αpとする。車両5の絶対速度を自車速度Vfとする。車両5のブレーキが効き始めるときの自車速度Vfの単位時間当たりの減少量を自車減速度αfとする。車両5が車線変更するときの、車両5が走行する道路の車線85に対して垂直な方向の車両5の加速度を自車横加速度βfとする。車両5の運転者により踏まれるペダルがアクセルペダルからブレーキペダルに切り替わるまでの時間を踏替時間CTとする。車両5の危険が発生してから車両5の運転者がブレーキペダルを踏むまでの時間を反応時間RTとする。運転者データベース50に登録されており、車両5の運転者を識別するための番号を運転者識別番号IDとする。運転者データベース50に蓄積されており、運転者識別番号ID毎の自車減速度αfに関するデータを減速度データIαとする。運転者データベース50に蓄積されており、運転者識別番号ID毎の自車横加速度βfに関するデータを横加速度データIβとする。運転者データベース50に蓄積されており、運転者識別番号ID毎の踏替時間CTに関するデータを踏替時間データIcとする。運転者データベース50に蓄積されており、運転者識別番号ID毎の反応時間RTに関するデータを反応時間データIrとする。
次に、図3のフローチャートを参照して、車両5のイグニッションがオンされているときのHCU64の処理について説明する。以下では、便宜上、HCU64のステップS101の処理が開始されてからステップS101の処理に戻るまでの一連の動作の期間をHCU64の制御周期とする。
ステップS101において、HCU64は、周辺環境センサ10、DSM20、車両状態センサ30、入力操作部40および運転者データベース50から各種情報を取得する。具体的には、HCU64は、日射量Ms、車線85の位置、路面状態、障害物8の種類、車間距離Lpおよび障害物速度Vpを周辺環境センサ10から取得する。また、HCU64は、アイポイントPsおよび眠気度合NsをDSM20から取得する。さらに、HCU64は、自車速度Vf、アクセルペダルの踏み込み量およびブレーキペダルの踏み込み量を車両状態センサ30から取得する。また、HCU64は、ウインカースイッチ41のオンオフおよびACCスイッチ42のオンオフを入力操作部40から取得する。また、HCU64は、DSM20の運転者用カメラ21によって撮像された運転者の顔画像を運転者用カメラ21から取得する。そして、HCU64は、この顔画像に基づいて、運転者識別番号IDを推定する。そして、HCU64は、この推定した運転者識別番号IDに対応する減速度データIα、横加速度データIβ、踏替時間データIcおよび反応時間データIrを運転者データベース50から取得する。
続いて、ステップS102において、HCU64は、表示制御装置62の計測部63によって計測されたデータに基づいて、運転者識別番号ID毎の減速度データIα、横加速度データIβ、踏替時間データIcおよび反応時間データIrを更新する。そして、HCU64は、これらの更新した特性データから自車減速度αf、自車横加速度βf、踏替時間CTおよび反応時間RTを抽出する。なお、この特性値の更新および抽出の詳細については後述する。
続いて、ステップS103において、HCU64は、車両5の運転者に提供するための重畳表示される画像を更新する。これにより、車両5の運転者に情報が提供される。なお、この重畳表示される画像の更新の詳細については後述する。
続いて、ステップS104において、HCU64は、車両5のイグニッションがオフされたか否かを判定する。車両5のイグニッションがオフされたとき、処理は、終了する。また、車両5のイグニッションがオンであるとき、処理は、ステップS101に戻る。
次に、ステップS103におけるHCU64による重畳表示される画像の更新について説明する。この重畳表示される画像の更新を説明するために、便宜上、以下のように用語を定義する。
走行中の車両5のブレーキが効き始めてから車両5が停止するまでに、車両5の前方の障害物8に対して車両5が移動する距離を相対移動距離Laとする。また、ここでは、後述するように、相対移動距離Laは、走行中の車両5の車線変更の開始から完了までに、車両5の前方の障害物8に対して車両5が移動する距離であってもよい。車両5が走行する道路の路面状態による相対移動距離Laの増加分を移動伸長距離ΔLaとする。車両5の運転者が停止の必要を感じたときから、ブレーキペダル操作の開始を経て実際にブレーキが効き始めるまでに、車両5が移動する距離を空走距離Lrとする。車両5の運転者の漫然状態および視界状態による空走距離Lrの増加分を空走伸長距離ΔLrとする。相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrと空走伸長距離ΔLrとの和を表示距離Ldとする。HCU64が重畳表示させる画像であって、車両5が走行する道路上に表示される車両5の前端から表示距離Ldまでの範囲を表示領域Sdとする。表示領域Sdのうち、相対移動距離Laに基づいて車両5が走行する道路上に表示される領域を相対移動領域Saとする。表示領域Sdのうち、移動伸長距離ΔLaに基づいて車両5が走行する道路上に表示される領域を相対拡大領域ΔSaとする。表示領域Sdのうち、空走距離Lrに基づいて車両5が走行する道路上に表示される領域を空走領域Srとする。表示領域Sdのうち、空走伸長距離ΔLrに基づいて車両5が走行する道路上に表示される領域を空走拡大領域ΔSrとする。
次に、図4のサブフローチャートを参照して、HCU64による表示更新について説明する。
ステップS201において、表示制御装置62は、ステップS101により取得した情報に基づいて、車両5の前方に障害物8があるか否かを判定する。車両5の前方に障害物8があるとき、処理は、ステップS203に移行する。また、車両5の前方に障害物8がないとき、処理は、ステップS202に移行する。
ステップS201に続くステップS202において、図5に示すように、HCU64は、表示装置61に画像を生成させないことにより、画像を重畳表示させない。その後、表示更新の処理が終了し、HCU64の処理は、ステップS104に移行する。なお、図5において、車両5が走行している車線85が破線で記載されている。
ステップS201に続くステップS203において、HCU64は、相対移動距離La、移動伸長距離ΔLa、空走距離Lrおよび空走伸長距離ΔLrを算出することにより、表示距離Ldを算出する。なお、この表示距離Ldの算出の詳細については後述する。
続いて、ステップS204において、HCU64は、ステップS203にて算出した相対移動距離La、移動伸長距離ΔLa、空走距離Lr、空走伸長距離ΔLrおよび表示距離Ldに基づいて、重畳表示させる画像を設定する。この設定の場合、例えば、図6に示すように、HCU64により、車両5の前端から前方に向かって相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの順に並ぶように、表示領域Sdが重畳表示される。また、このとき、HCU64により、車両5が走行する道路を覆うように、表示領域Sdが重畳表示されており、車両5の運転者は、車両5が走行する道路上において四角形状の表示領域Sdを視認することができる。
さらに、このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrのそれぞれが明確になるように、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの態様が互いに異なるように設定される。具体的には、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrは、互いに色が異なるように設定される。また、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrは、互いに模様が異なるように設定される。例えば、図6に示すように、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrは、互いに角度が異なる斜線ハッチングでそれぞれ示されている。なお、図6において、車両5が検出した障害物8として先行車が記載されている。
続いて、ステップS205において、HCU64は、重畳表示される画像の画角から表示領域Sdがはみ出すか否か、すなわち、表示領域Sdの全域が表示可能か否かを判定する。具体的には、HCU64は、表示距離Ldが、車両5が走行する道路上において重畳表示可能な距離である表示可能距離Ld_th以下であるか否かを判定する。
ここで、この表示可能距離Ld_thの算出について説明する。この表示可能距離Ld_thの算出を説明するために、図7に示すように、以下のように用語を定義する。
地面からアイポイントPsまでの天地方向における距離をアイポイント高さH_eyeとする。表示装置61により映される虚像613のうち天側の端部と、アイポイントPsから車両5の幅方向に対して垂直な方向かつ虚像613のうち天側の端部に向かって延びる直線と、の交点を虚像端点Pvとする。地面から虚像端点Pvまでの天地方向における距離を虚像高さH_dispとする。アイポイントPsから虚像端点Pvまでの、車両5の前後方向における距離を虚像距離D_edとする。アイポイントPsおよび虚像端点Pvを通る直線をアイポイント直線Pdとする。アイポイント直線Pdと地面との交点を地面点Pgとする。アイポイント直線Pdと地面とでなす角度をアイポイント角度θとする。アイポイントPsから地面点Pgまでの、車両5の前後方向における距離を地面距離D_erとする。アイポイントPsから車両5の前端までの、車両5の前後方向における距離を車両前端距離D_ecとする。
そして、車両5の前端から地面点Pgまでの、車両5の前後方向における距離が、車両5の運転者が重畳表示される画像を視認可能な距離であるので、表示可能距離Ld_thに相当する。したがって、HCU64は、以下関係式(1)に示すように、アイポイント高さH_eye、虚像高さH_disp、虚像距離D_ed、アイポイント角度θ、地面距離D_erおよび車両前端距離D_ecに基づいて、表示可能距離Ld_thを算出する。
具体的には、HCU64は、ステップS101にてDSM20から取得したアイポイントPsの位置からアイポイント高さH_eyeを算出する。また、HCU64は、ステップS101にてDSM20から取得したアイポイントPsの位置と表示装置61による虚像613の位置および大きさとに基づいて、虚像高さH_dispおよび虚像距離D_edを算出する。さらに、HCU64は、この算出したアイポイント高さH_eyeと虚像高さH_dispとを比較する。そして、アイポイント高さH_eyeが虚像高さH_dispよりも大きい場合、HCU64は、アイポイント高さH_eye、虚像高さH_dispおよび虚像距離D_edに基づいて、アイポイント角度θを算出する。また、HCU64は、この算出したアイポイント角度θおよびアイポイント高さH_eyeに基づいて、地面距離D_erを算出する。さらに、HCU64は、ステップS101にてDSM20から取得したアイポイントPsの位置と予め設定される車両5の大きさとに基づいて、車両前端距離D_ecを算出する。そして、HCU64は、この算出した地面距離D_erから車両前端距離D_ecを減算することによって、表示可能距離Ld_thを算出する。なお、アイポイント高さH_eyeが虚像高さH_disp以下である場合、アイポイント直線Pdが地面点Pgと交差することがないので、車両5の運転者は、広範囲に表示領域Sdを視認することができる。したがって、この場合、HCU64は、表示可能距離Ld_thを非常に大きな値とみなすことにより、表示可能距離Ld_thが表示距離Ldよりも大きいとみなす。よって、この場合、後述するように、車両5の運転者は、表示領域Sdの全範囲を視認することができる。
H_eye>H_disp
θ=tan-1[(H_eye-H_disp)/D_ed]
D_er=H_eye/tanθ
Ld_th=D_er-D_ec ・・・(1)
そして、この表示可能距離Ld_thよりも表示距離Ldが大きいとき、処理は、ステップS206に移行する。また、表示距離Ldが表示可能距離Ld_th以下であるとき、処理は、ステップS207に移行する。
ステップS205に続くステップS206において、表示距離Ldが表示可能距離Ld_thよりも大きいので、車両5の運転者は、表示領域Sdの全域を視認することができない。このため、HCU64は、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrのうち、全域が視認できない領域を抽出する。そして、HCU64は、この全域が視認できない領域の態様を変更する。
具体的には、以下関係式(2-1)で示されるように、表示可能距離Ld_thが、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrとの和以上、表示距離Ld未満であるとき、車両5の運転者は、空走拡大領域ΔSrの一部を視認することができない。したがって、この場合、HCU64により、空走拡大領域ΔSrの態様が変更される。例えば、図8に示すように、空走拡大領域ΔSrが網掛けハッチングで示される。なお、図8において、空走拡大領域ΔSrのうち視認できない領域が二点鎖線で示されている。
また、以下関係式(2-2)で示されるように、表示可能距離Ld_thが、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaとの和以上、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrとの和未満であるとする。このとき、車両5の運転者は、空走拡大領域ΔSrの全域、および、空走領域Srの一部を視認することができない。したがって、この場合、HCU64により、上記と同様に、空走領域Srの態様が変更される。
また、以下関係式(2-3)で示されるように、表示可能距離Ld_thが、相対移動距離La以上、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaとの和未満であるとする。このとき、車両5の運転者は、空走拡大領域ΔSrおよび空走領域Srの全域、ならびに、相対拡大領域ΔSaの一部を視認することができない。したがって、この場合、HCU64により、上記と同様に、相対拡大領域ΔSaの態様が変更される。
また、以下関係式(2-4)で示されるように、表示可能距離Ld_thが、相対移動距離La未満であるとする。このとき、車両5の運転者は、空走拡大領域ΔSr、空走領域Srおよび相対拡大領域ΔSaの全域、ならびに、相対移動領域Saの一部を視認することができない。したがって、この場合、HCU64により、上記と同様に、相対移動領域Saの態様が変更される。
La+ΔLa+Lr≦Ld_th<Ld ・・・(2-1)
La+ΔLa≦Ld_th<La+ΔLa+Lr ・・・(2-2)
La≦Ld_th<La+ΔLa ・・・(2-3)
Ld_th<La ・・・(2-4)
続いて、ステップS207において、HCU64は、車間距離Lp、相対移動距離La、移動伸長距離ΔLa、空走距離Lrおよび空走伸長距離ΔLrに基づいて、障害物8が表示領域Sdの外側および内側のいずれに位置するかを判定する。
具体的には、以下関係式(3-1)で示されるように、車間距離Lpが、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrと空走伸長距離ΔLrとの和、すなわち、表示距離Ld以上であるとする。このとき、障害物8が表示領域Sdの外側に位置するので、処理は、ステップS209に移行する。また、車間距離Lpが、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrと空走伸長距離ΔLrとの和、すなわち、表示距離Ld未満であるとき、障害物8は、表示領域Sd内に位置する。このとき、処理は、ステップS208に移行する。
La+ΔLa+Lr+ΔLr≦Lp ・・・(3-1)
ステップS207に続くステップS208において、HCU64は、障害物8が表示領域Sdに侵入していることを強調するために、以下のように、障害物8の位置に基づいて、これらの領域の態様を変更する。
例えば、以下関係式(3-2)で示されるように、車間距離Lpが、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走伸長距離ΔLrとの和以上、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrと空走伸長距離ΔLrとの和未満であるとする。この場合、障害物8は、空走拡大領域ΔSrに位置する。このとき、HCU64により、空走拡大領域ΔSrの態様が変更される。例えば、図9に示すように、空走拡大領域ΔSrが網掛けハッチングで示される。なお、ここでは、HCU64は、周辺環境センサ10の前方カメラ13によって撮像された画像に基づいて、障害物8の大きさを抽出する。これにより、HCU64は、空走拡大領域ΔSrと重複する障害物8の部分には空走拡大領域ΔSrが表示されないように、空走拡大領域ΔSrの態様が変更される。
また、以下関係式(3-3)で示されるように、車間距離Lpが、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaとの和以上、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrとの和未満であるとき、障害物8は、空走領域Srに位置する。このとき、HCU64により、空走拡大領域ΔSrおよび空走領域Srの態様が変更される。例えば、図10に示すように、空走拡大領域ΔSrおよび空走領域Srが網掛けハッチングで示される。また、ここでは、上記と同様に、空走領域Srと重複する障害物8の部分には空走領域Srが表示されないように、空走領域Srの態様が変更される。
また、以下関係式(3-4)で示されるように、車間距離Lpが、相対移動距離La以上、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaとの和未満であるとき、障害物8は、相対拡大領域ΔSaに位置する。このとき、HCU64により、空走拡大領域ΔSr、空走領域Srおよび相対拡大領域ΔSaの態様が変更される。例えば、図11に示すように、空走拡大領域ΔSr、空走領域Srおよび相対拡大領域ΔSaが網掛けハッチングで示される。また、ここでは、上記と同様に、相対拡大領域ΔSaと重複する障害物8の部分には相対拡大領域ΔSaが表示されないように、相対拡大領域ΔSaの態様が変更される。
また、以下関係式(3-5)で示されるように、車間距離Lpが相対移動距離La未満であるとき、障害物8が相対移動領域Saに位置する。このとき、HCU64により、空走拡大領域ΔSr、空走領域Sr、相対拡大領域ΔSaおよび相対移動領域Saの態様が変更される。例えば、図12に示すように、空走拡大領域ΔSr、空走領域Sr、相対拡大領域ΔSaおよび相対移動領域Saが網掛けハッチングで示される。また、ここでは、上記と同様に、相対移動領域Saと重複する障害物8の部分には相対移動領域Saが表示されないように、相対移動領域Saの態様が変更される。
La+ΔLa+Lr≦Lp<La+ΔLa+Lr+ΔLr・・・(3-2)
La+ΔLa≦Lp<La+ΔLa+Lr ・・・(3-3)
La≦Lp<La+ΔLa ・・・(3-4)
Lp<La ・・・(3-5)
ステップS209において、HCU64は、現在の制御周期の直前における表示領域Sdの表示から現在の制御周期の表示領域Sdの表示への変化が生じたか否かを判定する。具体的には、HCU64は、現在の制御周期の直前の表示距離Ldと現在の制御周期の表示距離Ldとの変化量が所定の閾値以上であるとき、この変化が生じたと判定する。また、HCU64は、後述する特性値が更新されたとき、この変化が生じたと判定する。そして、HCU64は、現在の制御周期の直前における表示領域Sdの表示から現在の制御周期の表示領域Sdの表示への変化が生じてから、所定時間経過したか否かを判定する。具体的には、HCU64は、表示領域Sdの表示が変化してから経過した時間である変化経過時間ΔTdが変化時間閾値ΔTd_th未満であるか否かを変更する。なお、この変化時間閾値ΔTd_thは、車両5の運転者に不快感が与えられないように設定される値であり、実験やシミュレーション等により設定される。例えば、変化時間閾値ΔTd_thは、5秒である。
そして、変化経過時間ΔTdが変化時間閾値ΔTd_th以下であるとき、処理は、ステップS210に移行する。また、変化経過時間ΔTdが変化時間閾値ΔTd_thを超えるとき、処理は、ステップS211に移行する。
ステップS209に続くステップS210において、HCU64は、表示領域Sdの表示が変化した理由を表示させるように、重畳表示させる画像の設定を変更する。
例えば、移動伸長距離ΔLaおよび空走伸長距離ΔLrがゼロであって、車両5の前方に障害物8がない状況から車両5の前方に障害物8が検知された状況になったとする。また、このとき、表示距離Ldの変化量が所定の閾値以上であったとする。この場合、HCU64により、表示領域Sdのうち相対移動領域Saおよび空走領域Srが重畳表示される。また、このとき、図13に示すように、HCU64により、表示領域Sdが変化した理由として「先行車検知」という文字が表示領域Sdの外側に表示される。なお、図13では、移動伸長距離ΔLaおよび空走伸長距離ΔLrがゼロであるため、相対拡大領域ΔSaおよび空走拡大領域ΔSrは、重畳表示されていない。
また、例えば、後述するように、車両5の運転者の眠気度合Nsの増加により空走伸長距離ΔLrがゼロより大きくなったとする。また、このとき、表示距離Ldの変化量が所定の閾値以上であったとする。この場合、空走拡大領域ΔSrが表示される。また、車両5の運転者の眠気度合Nsの増加により空走拡大領域ΔSrが表示されるため、図14に示すように、表示領域Sdが変化した理由として「覚醒低下」という文字が空走拡大領域ΔSr内に重畳表示される。
また、例えば、後述するように、HCU64による反応時間RTの更新によって、車両5の運転者の反応時間RTが短くなったとする。このとき、現在の直前の制御周期に表示されていた空走領域Srと比較して、空走領域Srが小さくなる。また、このとき、図15に示すように、空走領域Srが変化した理由として、変化後の反応時間RTが空走領域Sr内に重畳表示される。その後、処理は、ステップS212に移行する。なお、図15において、例えば、HCU64による更新後の反応時間RTが「0.81秒」と記載されている。
ステップS209に続くステップS211において、HCU64は、表示領域Sdの表示が変化した理由を非表示とさせるように、重畳表示させる画像の設定を変更する。その後、処理は、ステップS212に移行する。
ステップS212において、HCU64は、ステップS204からステップS211までの処理による設定に基づいて、画像を重畳表示させる。これにより、車両5の運転者は、ステップS204からステップS211までの処理による設定に基づいた画像を視認することができる。このため、車両5の運転者に情報が提供される。その後、表示更新の処理が終了し、HCU64の処理は、ステップS104に移行する。
このようにして、HCU64による表示更新が行われる。
次に、図16のサブフローチャートを参照して、ステップS203におけるHCU64による表示距離Ldの算出について説明する。
ステップS301において、HCU64は、車両5が自動運転状態であるか否か、すなわち、ACCスイッチ42がオンであるか否かを判定する。ACCスイッチ42がオンであるとき、処理は、ステップS302に移行する。また、ACCスイッチ42がオフであるとき、処理は、ステップS305に移行する。
ステップS301に続くステップS302からステップS303までの処理では、ACCスイッチ42がオンであるため、運転支援ECU55により、車両5と障害物8とが衝突しないようにブレーキ操作が制御される。例えば、車間距離Lpが表示距離Ld以下であるとき、車両5と障害物8とが衝突する可能性が高いため、運転支援ECU55によりブレーキ操作が自動で行われる。したがって、ここでは、車両5が減速するために車両5の運転者によるブレーキ操作が行われないため、空走距離Lrおよび空走伸長距離ΔLrは、ゼロである。よって、ステップS302からステップS303までの処理では、HCU64は、表示距離Ldを算出するために、空走距離Lrを算出することはしないで、相対移動距離Laおよび移動伸長距離ΔLaを算出する。
具体的には、ステップS302において、HCU64は、相対移動距離Laを算出する。なお、この相対移動距離Laの算出の詳細については後述する。
続いて、ステップS303において、HCU64は、移動伸長距離ΔLaを算出する。なお、この移動伸長距離ΔLaの算出については後述する。
続いて、ステップS304において、HCU64は、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaとの和を表示距離Ldにする。その後、処理は、ステップS204に移行する。
ステップS301に続くステップS305からステップS308の処理では、ACCスイッチ42がオフであるため、車両5が運転者により運転される。この場合、車両5が減速するためには、車両5の運転者がブレーキ操作を行う。したがって、ステップS305からステップS308の処理では、HCU64は、表示距離Ldを算出するために、相対移動距離Laおよび移動伸長距離ΔLaだけでなく、空走距離Lrおよび空走伸長距離ΔLrも算出する。
具体的には、ステップS305において、HCU64は、ステップS302と同様に、相対移動距離Laを算出する。なお、この相対移動距離Laの算出の詳細については後述する。
続いて、ステップS306において、HCU64は、ステップS303と同様に、移動伸長距離ΔLaを算出する。なお、この移動伸長距離ΔLaの算出の詳細については後述する。
続いて、ステップS307において、HCU64は、空走距離Lrを算出する。なお、この空走距離Lrの算出の詳細については後述する。
続いて、ステップS308において、HCU64は、空走伸長距離ΔLrを算出する。なお、この空走伸長距離ΔLrの算出の詳細については後述する。
続いて、ステップS309において、HCU64は、相対移動距離Laと移動伸長距離ΔLaと空走距離Lrと空走伸長距離ΔLrとの和を表示距離Ldにする。その後、処理は、ステップS204に移行する。
次に、図17のサブフローチャートを参照して、ステップS302およびステップS305の相対移動距離Laの算出について説明する。なお、上記したように、相対移動距離Laは、走行中の車両5のブレーキが効き始めてから車両5が停止するまでに、車両5の前方の障害物8に対して車両5が移動する距離である。また、ここでは、相対移動距離Laは、走行中の車両5の車線変更の開始から完了までに、車両5の前方の障害物8に対して車両5が移動する距離も含む。
ステップS401において、HCU64は、車両5が車線変更するか否かを判定する。具体的には、HCU64は、ステップS101にて取得したウインカースイッチ41のオンオフを判定する。そして、ウインカースイッチ41がオフであるとき、処理は、ステップS402に移行する。また、ウインカースイッチ41がオンであるとき、処理は、ステップS403に移行する。
ステップS401に続くステップS402において、ウインカースイッチ41がオフであるため、車両5は、車線変更を行わない。したがって、HCU64は、制動距離Lbを算出する。なお、制動距離Lbは、走行中の車両5のブレーキが効き始めてから停止するまでに、車両5が走行する距離である。
具体的には、HCU64は、以下関係式(4-1)に示すように、車両5のブレーキが効き始めてから停止するまでにかかる時間に、自車速度Vfを乗算することにより、制動距離Lbを算出する。その後、処理は、ステップS403に移行する。なお、以下関係式のTbは、車両5のブレーキが効き始めてから停止するまでにかかる時間であって、自車速度Vfおよび自車減速度αfに基づいて算出される。また、ここでは、車両5の後方が車両5の加速度の正方向とされている。このため、自車減速度αfは、正の値であって、例えば、0.13G程度である。さらに、関係式(4-1)の正負を整合させるため、自車減速度αfに(-1)を乗算した値がAfとされている。よって、Afは、負の値になっており、Tbは、正の値になっており、制動距離Lbは、正の値になっている。
ステップS401に続くステップS403において、ウインカースイッチ41がオンであるため、車両5は、車線変更を行う。したがって、HCU64は、走行中の車両5の車線変更の開始から完了までに車両5が前方に移動する距離を算出する。なお、以下では、便宜上、走行中の車両5の車線変更の開始から完了までに車両5が前方に移動する距離を操舵距離Lsとする。
ここで、操舵距離Lsの算出するために、以下のように用語を定義する。図18に示すように、ウインカースイッチ41がオンされて車両5の右側のウインカーランプが点滅するとき、車両5が走行する道路の車線85に対して垂直な方向において、この障害物8の右後端から車両5の左前端までの距離を自車横移動距離Dyとする。また、自車横移動距離Dyは、図19に示すように、ウインカースイッチ41がオンされて車両5の左側のウインカーランプが点滅するとき、車両5が走行する道路の車線85に対して垂直な方向において、障害物8の左後端から車両5の右前端までの距離である。また、この自車横移動距離Dyは、例えば、HCU64により、周辺環境センサ10の前方カメラ13の画像および探査波送受信部14からの信号に基づいて算出される。そして、ここでは、ウインカースイッチ41がオンされたときを、車両5が車線変更を開始したとする。また、車両5が走行する道路の車線85に対して垂直な方向に自車横移動距離Dyを移動したときを、車両5が車線変更を完了したとする。
したがって、HCU64は、この自車横移動距離Dyおよび自車横加速度βfに基づいて、操舵距離Lsを算出する。なお、上記したように、自車横加速度βfは、車両5が車線変更するときの、障害物8の幅方向における車両5の加速度であって、後述の横加速度データIβから抽出される。
具体的には、HCU64は、以下関係式(4-2)に示すように、車両5が車線変更開始してから完了するまでにかかる時間に、自車速度Vfを乗算することにより、操舵距離Lsを算出する。なお、以下関係式のTsは、車両5が車線変更開始してから完了するまでにかかる時間である。
ステップS404において、HCU64は、ステップS101にて取得した障害物8の種類を判別する。具体的には、HCU64は、障害物8が静止物、先行車および横断者のいずれであるかを判定する。障害物8の種類が静止物であるとき、処理は、ステップS405に移行する。また、障害物8の種類が先行車であるとき、処理は、ステップS406に移行する。さらに、障害物8の種類が横断者であるとき、処理は、ステップS407に移行する。なお、静止物とは、信号機およびガードレール等である。また、横断者は、車両5の前方に交差する方向に移動する歩行者、自転車および自動車等である。
ステップS404に続くステップS405において、車両5の前方の障害物8が静止しているため、相対移動距離Laは、制動距離Lbおよび操舵距離Lsに相当する。したがって、ウインカースイッチ41がオフであるとき、HCU64は、制動距離Lbを相対移動距離Laにする。また、ウインカースイッチ41がオンであるとき、HCU64は、操舵距離Lsを相対移動距離Laにする。その後、HCU64による相対移動距離Laの算出の処理は、終了する。
ステップS404に続くステップS406において、車両5の前方の障害物8が先行車であるため、相対移動距離Laの算出には、この先行車の移動距離が考慮される。したがって、ここでは、HCU64は、先行車の移動距離である他車移動距離Loを算出する。また、ここでは、車両5と先行車とがともに減速し同時に停止するものとして、HCU64は、他車移動距離Loを算出する。よって、この他車移動距離Loは、走行中の先行車のブレーキが効き始めてから停止するまでに、先行車が走行する距離である。
具体的には、HCU64は、以下関係式(4-3)に示すように、先行車が停止するまでにかかる時間に、障害物速度Vpを乗算することにより、他車移動距離Loを算出する。なお、以下関係式のTpは、先行車が停止するまでにかかる時間であって、障害物速度Vpおよび障害物減速度αpに基づいて算出される。また、ここでは、上記したように、車両5の後方が車両5の加速度の正方向とされている。このため、障害物減速度αpは、予め設定される正の値であって、例えば、0.4Gである。さらに、関係式(4-3)の正負を整合させるため、障害物減速度αpに(-1)を乗算した値がApとされている。よって、Apは、負の値になっており、Tpは、正の値になっており、他車移動距離Loは、正の値になっている。
続いて、ステップS407において、HCU64は、ウインカースイッチ41のオンオフ、制動距離Lb、操舵距離Lsおよび他車移動距離Loに基づいて、相対移動距離Laを算出する。
具体的には、ウインカースイッチ41がオフであるとき、図20に示すように、車両5は、車両5のブレーキが効き始めてから車両5が停止するまでに、制動距離Lbを移動する。また、このとき、先行車は、先行車のブレーキが効き始めてから先行車が停止するまでに他車移動距離Loを移動する。したがって、HCU64は、以下関係式(4-4)に示すように、制動距離Lbから他車移動距離Loを減算することにより、相対移動距離Laを算出する。なお、図20において、制動距離Lbと他車移動距離Loと相対移動距離Laとの関係をわかりやすくするため、車両5と障害物8が停止するとき、車両5の前端と障害物8の後端とが同位置になっている。
また、ウインカースイッチ41がオンであるとき、車両5は、自車横移動距離Dyを移動するまで、すなわち、車線変更完了するまでに、操舵距離Lsを移動する。また、このとき、先行車は、先行車のブレーキが効き始めてから先行車が停止するまでに他車移動距離Loを移動する。したがって、上記と同様に、HCU64は、操舵距離Lsから他車移動距離Loを減算することにより、相対移動距離Laを算出する。その後、HCU64による相対移動距離Laの算出の処理は、終了する。
ステップS404に続くステップS408において、車両5の前方の障害物8が横断者であるため、相対移動距離Laの算出には、この横断者の移動距離が考慮される。したがって、ここでは、HCU64は、車両5が減速し始めてから車両5が停止するまでにおける横断者の移動距離である横断者移動距離Lcを算出する。また、ここでは、横断者が車両5に接近するものとして、HCU64は、横断者移動距離Lcを算出する。よって、この横断者移動距離Lcは、車両5の後方に向かう距離である。
ここで、この横断者移動距離Lcの算出をするために、以下のように用語を定義する。
図21に示すように、車両5の車幅方向における車両5の前端の中心から横断者までの距離を障害物横距離Xpとする。横断者の速度を横断速度Vxとする。この横断速度Vxは、予め設定される値であり、例えば、5km/hである。また、ここでは、横断者は、等速移動しており、横断者の位置を中心とする仮想円Cの径方向に移動することによって、車両5に接近するものとする。
そして、HCU64は、以下関係式(4-5)に示すように、自車減速度αf、反応時間RT、自車速度Vf、障害物横距離Xpおよび横断速度Vxに基づいて、横断者移動距離Lcを算出する。なお、ここでは、車両5の後方が車両5の加速度の正方向とされている。したがって、自車減速度αfは、正の値である。また、関係式(4-5)の正負を整合させるため、自車減速度αfに(-1)を乗算した値がAfとされている。よって、Afが負の値になっており、横断者移動距離Lcは、負の値になっている。これにより、横断者移動距離Lcは、車両5に接近する方向、すなわち、車両5の後方に横断者が移動する距離になっている。
続いて、ステップS409において、HCU64は、制動距離Lb、操舵距離Lsおよび横断者移動距離Lcに基づいて、相対移動距離Laを算出する。
具体的には、図21に示すように、車両5は、車両5のブレーキが効き始めてから車両5が停止するまでに、制動距離Lbを移動する。また、このとき、横断者は、車両5のブレーキが効き始めてから車両5が停止するまでに、横断者移動距離Lcを移動する。したがって、HCU64は、以下関係式(4-6)に示すように、制動距離Lbから横断者移動距離Lcを減算することにより、相対移動距離Laを算出する。なお、図21において、制動距離Lbと横断者移動距離Lcと相対移動距離Laとの関係をわかりやすくするため、車両5が停止するとき、車両5の前端と横断者とが同位置になっている。また、ここでは、障害物8が横断者であって、ウインカースイッチ41がオンである場合、HCU64は、車両5の減速によって車両5と横断者との接近が回避されることを優先するものとして、相対移動距離Laを算出する。したがって、ステップS401においてウインカースイッチ41がオンであっても、HCU64は、上記と同様に、制動距離Lbおよび横断者移動距離Lcに基づいて、相対移動距離Laを算出する。
このようにして、HCU64は、相対移動距離Laを算出する。
次に、図22のサブフローチャートを参照して、ステップS303およびステップS306におけるHCU64による移動伸長距離ΔLaの算出について説明する。なお、移動伸長距離ΔLaは、上記したように、車両5が走行する道路の路面状態による相対移動距離Laの増加分である。
ステップS501において、HCU64は、ステップS101にて取得した路面状態が凍結、湿潤および下り坂のいずれかであるか否かを判定する。路面状態が凍結、湿潤および下り坂のいずれかであるとき、処理は、ステップS503に移行する。さらに、路面状態が凍結、湿潤および下り坂でないとき、処理は、ステップS502に移行する。
ステップS501に続くステップS502において、路面状態が凍結でも、湿潤でも、下り坂でもないため、相対移動距離Laが伸長する要因がない。したがって、HCU64は、移動伸長距離ΔLaをゼロにする。その後、HCU64による移動伸長距離ΔLaの算出の処理は、終了する。
ステップS501に続くステップS503からステップS504までの処理では、路面状態が凍結、湿潤および下り坂であり、相対移動距離Laが伸長する要因があるため、HCU64は、移動伸長距離ΔLaを算出する。
具体的には、ステップS503において、HCU64は、自車減速度αfから減速度減少量Δαfを減算することにより、補正減速度αf_Cを算出する。この減速度減少量Δαfは、路面状態によって変化する自車減速度αfを補正するための値であって、実験やシミュレーション等により予め設定される値である。例えば、減速度減少量Δαfは、0.1G程度である。
続いて、ステップS504において、HCU64は、この補正減速度αf_Cを用いて、ステップS305と同様に、相対移動距離Laを算出する。このときの相対移動距離Laを補正距離La_Cとする。
続いて、ステップS505において、HCU64は、補正距離La_Cから相対移動距離Laを減算する。これにより、路面状態によって変化した相対移動距離Laの増加分が算出されるため、移動伸長距離ΔLaが算出される。その後、HCU64による移動伸長距離ΔLaの算出の処理は、終了する。
このようにして、HCU64は、移動伸長距離ΔLaを算出する。
次に、図23のサブフローチャートを参照して、ステップS307におけるHCU64による空走距離Lrの算出について説明する。なお、空走距離Lrは、上記したように、車両5の運転者が停止の必要を感じたときから、ブレーキペダル操作の開始を経て実際にブレーキが効き始めるまでに、車両5が移動する距離である。ここでは、例えば、車両5の運転者が停止の必要を感じるとは、車両5が障害物8に接近することをいう。
ステップS601において、HCU64は、車両5のブレーキペダルが踏まれているか否かを判定する。ブレーキペダルが踏まれているとき、処理は、ステップS603に移行する。また、ブレーキペダルが踏まれていないとき、処理は、ステップS602に移行する。
ステップS601に続くステップS602において、車両5のブレーキペダルが踏まれており、反応時間RTがゼロであるため、HCU64は、空走距離Lrをゼロにする。その後、HCU64による空走距離Lrの算出の処理は、終了する。
ステップS601に続くステップS603において、HCU64は、車両5のアクセルペダルが踏まれているか否かを判定する。アクセルペダルが踏まれていないとき、処理は、ステップS605に移行する。また、アクセルペダルが踏まれているとき、処理は、ステップS604に移行する。
ステップS603に続くステップS604において、アクセルペダルが踏まれているため、踏替時間CTが発生する。したがって、HCU64は、反応時間RTに自車速度Vfを乗算することにより、空走距離Lrを算出する。その後、HCU64による空走距離Lrの算出の処理は、終了する。
ステップS603に続くステップS605において、アクセルペダルが踏まれていないため、踏替時間CTが発生しない。したがって、HCU64は、反応時間RTから踏替時間CTを減算することにより、車両5の運転者がブレーキ操作をするまでの時間を算出する。そして、HCU64は、この車両5の運転者がブレーキ操作をするまでの時間に、自車速度Vfを乗算することにより、空走距離Lrを算出する。その後、HCU64による空走距離Lrの算出の処理は、終了する。
このようにして、HCU64は、空走距離Lrを算出する。
次に、図24のサブフローチャートを参照して、ステップS308における表示制御装置62による空走伸長距離ΔLrの算出の詳細について説明する。なお、空走伸長距離ΔLrは、上記したように、車両5の運転者の漫然状態および視界状態による空走距離Lrの増加分である。
ステップS701において、HCU64は、車両5の運転者が漫然状態であるか否かを判定する。具体的には、HCU64は、ステップS101にて取得した眠気度合Nsが眠気閾値Ns_th以上であるか否かを判定する。眠気度合Nsが眠気閾値Ns_th未満であるとき、処理は、ステップS703に移行する。また、眠気度合Nsが眠気閾値Ns_th以上であるとき、処理は、ステップS702に移行する。なお、眠気閾値Ns_thは、眠気度合Nsの閾値であって、車両5の運転者毎に設定されている。
ステップS701に続くステップS702において、車両5の運転者が漫然状態であるため、HCU64は、第1反応遅れ時間RDT1を算出する。この第1反応遅れ時間RDT1は、車両5の運転者の漫然状態に起因する反応時間RTの遅れ時間であって、例えば、0.5秒である。その後、処理は、ステップS704に移行する。
ステップS701に続くステップS703において、車両5の運転者が漫然状態ではないため、HCU64は、第1反応遅れ時間RDT1をゼロにする。その後、処理は、ステップS704に移行する。
ステップS704において、HCU64は、車両5の運転者の視界状態が悪いか否かを判定する。具体的には、HCU64は、ステップS101にて取得した日射量Msが日射閾値Ms_th未満であるか否かを判定する。天候が良好であって、日射量Msが日射閾値Ms_th以上であるとき、車両5の運転者の視界状態が良く、処理は、ステップS706に移行する。また、車両5の周辺に霧が発生している、または、現時点の時間帯が夜等であって、日射量Msが日射閾値Ms_th未満であるとき、車両5の運転者の視界状態が悪く、処理は、ステップS705に移行する。なお、日射閾値Ms_thは、日射量Msの閾値であり、実験やシミュレーション等によって設定される。
ステップS704に続くステップS705において、車両5の運転者の視界が比較的悪いため、HCU64は、第2反応遅れ時間RDT2を算出する。この第2反応遅れ時間RDT2は、車両5の運転者の視界状態に起因する反応時間RTの遅れ時間であって、例えば、0.5秒である。その後、処理は、ステップS707に移行する。
ステップS704に続くステップS706において、車両5の運転者の視界状態が比較的良いため、HCU64は、第2反応遅れ時間RDT2をゼロにする。その後、処理は、ステップS707に移行する。
ステップS707において、HCU64は、第1反応遅れ時間RDT1と第2反応遅れ時間RDT2との和に自車速度Vfを乗算することにより、車両5の運転者の漫然状態および視界状態による空走距離Lrの増加分を算出する。これにより、空走伸長距離ΔLrが算出される。その後、HCU64による空走伸長距離ΔLrの算出の処理は、終了する。
このようにして、HCU64は、空走伸長距離ΔLrを算出する。
次に、HCU64によるステップS102の特性値の更新および抽出について説明する。上記したように、この特性値は、車両5の運転者毎の反応時間データIr、踏替時間データIc、減速度データIαおよび横加速度データIβである。
まず、車両5の運転者毎の反応時間データIrおよび踏替時間データIcの更新について説明する。ここでは、反応時間データIrの更新には、表示制御装置62の計測部63によって計測された反応時間RTが用いられる。さらに、踏替時間データIcの更新には、表示制御装置62の計測部63によって計測された踏替時間CTが用いられる。したがって、この反応時間データIrおよび踏替時間データIcの更新を説明するために、計測部63による反応時間RTおよび踏替時間CTの計測について説明する。
計測部63は、図25に示すような車両状態の遷移に基づいて、反応時間RTおよび踏替時間CTを計測する。ここでは、計測部63の車両状態は、通常状態Un、接近状態Uc、アクセルオフ状態Ua_offおよびブレーキオン状態Ub_onを含む。また、ここでの車両状態の遷移は、第1遷移T1、第2遷移T2、第3遷移T3、第4遷移T4、第5遷移T5および第6遷移T6のいずれかである。第1遷移T1は、通常状態Unから接近状態Ucへの変化である。この第1遷移T1は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する、かつ、車両5のアクセルペダルが踏まれることによって生じる。第2遷移T2は、接近状態Ucから通常状態Unへの変化である。この第2遷移T2は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しないことによって生じる。第3遷移T3は、接近状態Ucからアクセルオフ状態Ua_offへの変化である。この第3遷移T3は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する、かつ、車両5のアクセルペダルが踏まれないことによって生じる。第4遷移T4は、アクセルオフ状態Ua_offから通常状態Unへの変化である。この第4遷移T4は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のアクセルペダルが踏まれることによって生じる。第5遷移T5は、アクセルオフ状態Ua_offからブレーキオン状態Ub_onへの変化である。この第5遷移T5は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれることによって生じる。第6遷移T6は、ブレーキオン状態Ub_onから通常状態Unへの変化である。この第6遷移T6は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないことによって生じる。なお、ここでの車両5が車両5の前方の障害物8に接近するとは、車間距離Lpが所定の閾値以下であることをいう。また、ここでの車両5が車両5の前方の障害物8に接近しないとは、車間距離Lpが所定の閾値より大きいことをいう。また、図25において、計測部63の始状態が黒丸で示されている。
次に、図25の状態遷移図、図26の表および図27のタイムチャートを参照して、具体的な反応時間RTおよび踏替時間CTの計測について説明する。この説明のため、タイムチャート上の初期時刻Y0では、計測部63の状態が通常状態Unであるとする。また、ここでは、車両5は、車両5の前方の障害物8に接近しないで、障害物8に離反している。さらに、ここでは、車両5のアクセルペダルは、踏まれており、車両5のブレーキペダルは、踏まれていない。
初期時刻Y0後の時刻Y1に、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する、かつ、車両5のアクセルペダルが踏まれるので、計測部63では、第1遷移T1が生じることにより、通常状態Unから接近状態Ucに状態が変化する。第1遷移T1が生じるとき、車両5と車両5の前方の障害物8とが接近するため、車両5の運転者がアクセルペダルを外す可能性がある。したがって、計測部63は、第1遷移T1が生じる時刻Y1に、反応時間RTの計測を開始する。
次に、時刻Y2に、車両5のアクセルペダルが車両5の運転者から外れて、車両5のアクセルペダルが踏まれない状態になる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する、かつ、車両5のアクセルペダルが踏まれないので、計測部63では、第3遷移T3が生じることにより、接近状態Ucからアクセルオフ状態Ua_offに状態が変化する。第3遷移T3が生じるとき、車両5の運転者が踏むペダルをアクセルペダルからブレーキペダルに変更する可能性がある。したがって、計測部63は、第3遷移T3が生じる時刻Y2に、踏替時間CTの計測を開始する。
次に、時刻Y3に、車両5のブレーキペダルが踏まれる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれるので、計測部63では、第5遷移T5が生じることにより、通常状態Unから接近状態Ucに状態が変化する。時刻Y1から時刻Y3までの時間において、車両5の運転者が障害物8を認知してからブレーキペダルが踏まれる状態になるため、反応時間RTが生成された状態になる。したがって、時刻Y1から時刻Y3までの時間が反応時間RTに相当するため、計測部63は、時刻Y1から時刻Y3までの時間を算出することにより、反応時間RTを算出する。よって、計測部63は、第5遷移T5が生じる時刻Y3に、反応時間RTの計測を終了する。
また、時刻Y2から時刻Y3までの期間において、アクセルペダルが踏まれている状態からブレーキペダルが踏まれる状態になるため、踏替時間CTが生成された状態になる。したがって、時刻Y2から時刻Y3までの時間が踏替時間CTに相当するため、計測部63は、時刻Y2から時刻Y3までの時間を算出することにより、踏替時間CTを算出する。よって、計測部63は、第5遷移T5が生じる時刻Y3に、踏替時間CTの計測を終了する。
なお、時刻Y1から時刻Y2までの期間において、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、例えば、車両5が車両5の前方の障害物8に離れるとする。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しないので、計測部63では、第2遷移T2が生じることにより、接近状態Ucから通常状態Unに状態が変化する。第2遷移T2が生じるとき、ブレーキペダルが踏まれないため、計測部63は、反応時間RTの計測を中止する。また、時刻Y2から時刻Y3までの期間において、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のアクセルペダルが踏まれるとする。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のアクセルペダルが踏まれるので、計測部63では、第4遷移T4が生じることにより、アクセルオフ状態Ua_offから通常状態Unに状態が変化する。第4遷移T4が生じるとき、ブレーキペダルが踏まれないため、計測部63は、反応時間RTおよび踏替時間CTの計測を中止する。
次に、時刻Y4に、車両5は、前方の障害物8に接近しなくなる。次に、時刻Y5に、車両5のブレーキペダルが踏まれなくなる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないので、計測部63では、第6遷移T6が生じることにより、ブレーキオン状態Ub_onから通常状態Unに状態が変化する。次に、時刻Y6に、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する。このとき、車両5のアクセルペダルが踏まれていないので、計測部63では、状態遷移が発生しない。したがって、時刻Y4から時刻Y6までの時間において、アクセルペダルが踏まれていないため、計測部63は、反応時間RTの計測を開始しない。
次に、時刻Y7に、車両5が車両5の前方の障害物8に接近中において、車両5のアクセルペダルが踏まれる。このとき、車両5が減速する可能性が低いため、計測部63では、第2遷移T2が生じない。したがって、このとき、計測部63は、反応時間RTの計測を開始しない。
このようにして、計測部63により反応時間RTおよび踏替時間CTが計測される。そして、HCU64は、車両5の運転者毎に、この計測された反応時間RTおよび踏替時間CTを反応時間データIrおよび踏替時間データIcとして集計する。
次に、HCU64による反応時間データIrおよび踏替時間データIcの集計について説明する。
HCU64は、図28に示すように、反応時間データIrとして、所定の時間間隔で区切られた反応時間RTのヒストグラムを作成する。また、HCU64は、反応時間データIrとして、このヒストグラムに対応するモデル分布を作成する。このモデル分布は、例えば、ガンマ分布である。なお、図28において、反応時間RTのヒストグラムが破線で記載されている。さらに、反応時間RTのガンマ分布を示す曲線が実線で記載されている。
また、HCU64は、図29に示すように、踏替時間データIcとして、所定の時間間隔で区切られた踏替時間CTのヒストグラムを作成する。さらに、HCU64は、踏替時間データIcとして、このヒストグラムに対応するモデル分布を作成する。このモデル分布は、例えば、ガンマ分布である。なお、図29において、踏替時間CTのヒストグラムが破線で記載されている。さらに、踏替時間CTのガンマ分布が実線で記載されている。
次に、HCU64によるステップS102の反応時間データIrの更新および反応時間RTの抽出について説明する。
HCU64は、ステップS102において、計測部63によって計測された反応時間RTを取得する。また、HCU64は、図30に示すように、この取得した反応時間RTを追加した反応時間データIrのヒストグラムを更新する。さらに、HCU64は、この更新したヒストグラムに基づいて、反応時間データIrのガンマ分布を更新する。これにより、車両5の運転者毎に、反応時間データIrが更新される。なお、図30において、追加された反応時間RTが黒丸で記載されている。
反応時間データIrの更新後、HCU64は、この更新したガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの反応時間RTを算出する。そして、HCU64は、ステップS103の表示更新に用いられる反応時間RTとして抽出する。なお、この所定値は、計測部63における状態が接近状態Ucとブレーキオン状態Ub_onとに偶然同時になったとき等の反応時間RTの異常値を除外するための値であって、例えば、5%である。また、図30において、反応時間RTのガンマ分布の累積分布確率は、斜線ハッチングで記載されている。
次に、HCU64によるステップS102の踏替時間データIcの更新および踏替時間CTの抽出について説明する。
HCU64は、ステップS102において、計測部63によって計測された踏替時間CTを取得する。また、HCU64は、図31に示すように、この取得した踏替時間CTを追加した踏替時間データIcのヒストグラムを更新する。さらに、HCU64は、この更新したヒストグラムに基づいて、踏替時間データIcのガンマ分布を更新する。これにより、車両5の運転者毎に、踏替時間データIcが更新される。なお、図31において、追加された踏替時間CTが黒丸で記載されている。
踏替時間データIcの更新後、HCU64は、この更新したガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの踏替時間CTを算出する。そして、HCU64は、ステップS103の表示更新に用いられる踏替時間CTとして抽出する。なお、この所定値は、計測部63における状態が接近状態Ucとブレーキオン状態Ub_onとに偶然同時になったとき等の踏替時間CTの異常値を除外するための値であって、例えば、5%である。また、図31において、踏替時間CTのガンマ分布の累積分布確率は、斜線ハッチングで記載されている。
このようにして、車両5の運転者毎に、HCU64による反応時間データIrおよび踏替時間データIcの更新が行われる。この更新された反応時間データIrおよび踏替時間データIcは、運転者データベース50に蓄積される。また、このようにして、HCU64により、反応時間RTおよび踏替時間CTが抽出される。この抽出された反応時間RTおよび踏替時間CTは、上記した表示距離Ldの算出に用いられる。
次に、車両5の運転者毎の減速度データIαの更新を説明する。ここでは、減速度データIαの更新には、表示制御装置62の計測部63によって計測された自車速度Vfおよび最大減速度が用いられる。これにより、減速度データIαの更新を説明するために、まず、計測部63による自車速度Vfおよび最大減速度の計測について説明する。
計測部63は、図32に示すような車両状態の遷移に基づいて、自車速度Vfおよび最大減速度を計測する。ここでの計測部63の車両状態は、接近状態Uc、通常状態Un、ブレーキオン状態Ub_on、ブレーキオフ状態Ub_offおよび停車状態Usを含む。また、ここでの車両状態の遷移は、第7遷移T7、第8遷移T8、第9遷移T9、第10遷移T10、第11遷移T11、第12遷移T12、第13遷移T13、第14遷移T14および第15遷移T15のいずれかである。第7遷移T7は、接近状態Ucから通常状態Unへの変化である。この第7遷移T7は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないことによって生じる。第8遷移T8は、通常状態Unから接近状態Ucへの変化である。この第8遷移T8は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近することによって生じる。第9遷移T9は、通常状態Unからブレーキオン状態Ub_onへの変化である。この第9遷移T9は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれることによって生じる。第10遷移T10は、ブレーキオン状態Ub_onからブレーキオフ状態Ub_offへの変化である。この第10遷移T10は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないことによって生じる。第11遷移T11は、ブレーキオン状態Ub_onから停車状態Usへの変化である。この第11遷移T11は、自車速度Vfがゼロになることによって生じる。第12遷移T12は、停車状態Usからブレーキオン状態Ub_onへの変化である。この第12遷移T12は、自車速度Vfがゼロよりも大きくなることによって生じる。第13遷移T13は、ブレーキオフ状態Ub_offから通常状態Unへの変化である。この第13遷移T13は、この第13遷移T13は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないことによって生じる。第14遷移T14は、ブレーキオン状態Ub_onから接近状態Ucへの変化である。この第14遷移T14は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近することによって生じる。第15遷移T15は、ブレーキオフ状態Ub_offから接近状態Ucへの変化である。この第15遷移T15は、車両5が車両5の前方の障害物8に接近することによって生じる。なお、図32において、計測部63の始状態が黒丸で記載されている。
次に、図32の状態遷移図、図33の表および図34のタイムチャートを参照して、具体的な自車速度Vfおよび最大減速度の計測について説明する。この説明のため、タイムチャート上の初期時刻Z0では、計測部63の状態が接近状態Ucであるとする。また、ここでは、車両5が走行しており、車両5は、車両5の前方の障害物8に接近している。さらに、ここでは、車両5のブレーキペダルは、踏まれていない。
初期時刻Z0後の時刻Z1に、車両5のブレーキペダルが踏まれる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しているため、障害物8の影響を受けた運転者による車両5の減速が行われる。このため、ここでは、計測部63では、接近状態Ucからの状態遷移が生じないで、計測部63は、計測しない。
次に、時刻Z2に、車両5のブレーキペダルが踏まれない状態になる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しているため、計測部63では、接近状態Ucからの状態遷移が生じないで、計測部63は、計測しない。
次に、時刻Z3に、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、例えば、車両5がこの障害物8に離れる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないので、計測部63では、第7遷移T7が生じることにより、接近状態Ucから通常状態Unに状態が変化する。また、このとき、車両5が減速されないため、計測部63は、計測しない。
次に、時刻Z4に、車両5のブレーキペダルが踏まれる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれるので、計測部63では、第9遷移T9が生じることにより、通常状態Unからブレーキオン状態Ub_onに状態が変化する。第9遷移T9が生じるとき、障害物8の影響を受けない運転者による車両5の減速が行われるため、計測部63は、自車速度Vfを車両状態センサ30から取得を開始する。また、計測部63は、自車速度Vfの時間変化を算出することにより、最大減速度の計測を開始する。なお、ここでは、許容される減速度の上限を知るために、減速度の最大値が計測されている。
次に、時刻Z5に、車両5が停止し、自車速度Vfがゼロになる。このとき、自車速度Vfがゼロになるので、計測部63では、第11遷移T11が生じることにより、ブレーキオン状態Ub_onから停車状態Usに状態が変化する。第11遷移T11が生じるとき、車両5の運転者による車両5の減速が終了する。したがって、このとき、計測部63は、自車速度Vfおよび最大減速度の計測を終了する。
なお、時刻Z5に、車両5のブレーキペダルが踏まれない状態になるとする。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないので、計測部63では、第10遷移T10が生じることにより、ブレーキオン状態Ub_onからブレーキオフ状態Ub_offに状態が変化する。第10遷移T10が生じるとき、車両5の運転者による車両5の減速が終了する。したがって、このとき、計測部63は、自車速度Vfおよび最大減速度の計測を終了する。
次に、時刻Z5から時刻Z6の期間において、車両5が走行し、自車速度Vfがゼロよりも大きくなる。このとき、自車速度Vfがゼロよりも大きくなるので、計測部63では、第12遷移T12が生じることにより、停車状態Usからブレーキオフ状態Ub_offに状態が変化する。このとき、車両5が減速されないため、計測部63は、計測しない。
また、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれないので、計測部63では、第13遷移T13が生じることにより、ブレーキオフ状態Ub_offから通常状態Unに状態が変化する。また、このとき、車両5が減速されないため、計測部63は、計測しない。
次に、時刻Z6に、車両5のブレーキペダルが踏まれる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しない、かつ、車両5のブレーキペダルが踏まれるので、計測部63では、第9遷移T9が生じることにより、通常状態Unからブレーキオン状態Ub_onに状態が変化する。第9遷移T9が生じるとき、障害物8の影響を受けない運転者による車両5の減速が行われるため、計測部63は、自車速度Vfを車両状態センサ30から取得を開始する。また、計測部63は、自車速度Vfの時間変化を算出することにより、最大減速度の計測を開始する。
次に、時刻Z7に、車両5が車両5の前方の障害物8に接近する。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近するので、計測部63では、第8遷移T8が生じることにより、ブレーキオフ状態Ub_offから接近状態Ucに状態が変化する。第8遷移T8が生じるとき、障害物8の影響を受けた運転者による車両5の減速が行われる。このため、計測部63は、自車速度Vfおよび最大減速度の計測を中止する。
次に、時刻Z8に、車両5のブレーキペダルが踏まれない状態になる。このとき、車両5が車両5の前方の障害物8に接近しているので、計測部63では、接近状態Ucからの状態遷移が生じない。また、このとき、車両5が減速されないため、計測部63は、計測しない。
このようにして、計測部63により自車速度Vfおよび最大減速度が計測される。そして、HCU64は、車両5の運転者毎に、この計測された自車速度Vfおよび最大減速度を減速度データIαとして集計する。
HCU64は、図35に示すように、自車速度Vfとその自車速度Vfに対応する最大減速度とをプロットする。また、HCU64は、自車速度Vfを所定の範囲の値に固定させたときの最大減速度の図示しないヒストグラムを作成する。さらに、HCU64は、この最大減速度のヒストグラムに対応するモデル分布を作成する。このモデル分布は、例えば、ガンマ分布である。また、HCU64は、このガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの最大減速度と自車速度Vfとの近似曲線を作成する。これにより、HCU64は、自車速度Vfとその自車速度Vfに対応する最大減速度との関係図を、減速度データIαとして、作成する。
なお、このガンマ分布の累積分布確率が所定値は、動物飛び出し等の外乱により比較的大きい最大減速度を除外するための値であって、例えば、最大減速度が大きいほうから5%に設定されている。また、このガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの最大減速度と自車速度Vfとの近似曲線は、例えば、log関数で表される。また、図35において、自車速度Vfを所定の範囲の値に固定させたときの最大減速度のヒストグラムの記載は、省略されている。さらに、この最大減速度のヒストグラムに対応するガンマ分布が破線で記載されている。また、このガンマ分布では、自車速度Vfの軸方向と同一方向に頻度が示されている。さらに、このガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの最大減速度と自車速度Vfとの近似曲線が実線で記載されている。
次に、HCU64によるステップS102の減速度データIαの更新および自車減速度αfの抽出について説明する。
HCU64は、ステップS102において、計測部63によって計測された自車速度Vfおよび最大減速度を取得する。また、HCU64は、図36に示すように、この取得した自車速度Vfおよび最大減速度を減速度データIαに追加することにより、減速度データIαを更新する。さらに、HCU64は、この更新したヒストグラムに基づいて、この最大減速度のヒストグラムに対応するガンマ分布を更新する。また、HCU64は、このガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの最大減速度と自車速度Vfとの近似曲線を更新する。これにより、車両5の運転者毎に、減速度データIαが更新される。なお、図36において、追加した自車速度Vfおよび最大減速度のプロット点が白丸で記載されている。
また、HCU64は、この更新した減速度データIαのうち、ステップS101にて取得した自車速度Vfに対応する最大減速度を自車減速度αfとして抽出する。
このようにして、車両5の運転者毎に、HCU64により、減速度データIαの更新が行われる。この更新された減速度データIαは、運転者データベース50に蓄積される。また、このようにして、HCU64により、自車減速度αfが抽出される。この抽出された自車減速度αfは、上記した表示距離Ldの算出に用いられる。
次に、車両5の運転者毎の横加速度データIβの更新を説明する。ここでは、横加速度データIβの更新には、表示制御装置62の計測部63によって計測された自車速度Vfに対応する最大横加速度が用いられる。これにより、横加速度データIβの更新を説明するために、まず、計測部63による自車速度Vfおよび最大横加速度の計測について説明する。なお、最大横加速度とは、車両5が走行する道路の車線85に対して垂直な方向の車両5の最大加速度である。
計測部63は、図37に示すような車両状態の遷移に基づいて、自車速度Vfおよび最大横加速度を計測する。ここでの計測部63の車両状態は、通常状態Un、ウインカーオン状態Ut_onおよび車線変更状態Ulを含む。また、ここでの車両状態の遷移は、第16遷移T16、第17遷移T17、第18遷移T18および第19遷移T19のいずれかである。第16遷移T16は、通常状態Unからウインカーオン状態Ut_onへの変化である。この第16遷移T16は、ウインカースイッチ41がオンされることによって生じる。第17遷移T17は、ウインカーオン状態Ut_onから通常状態Unへの変化である。この第17遷移T17は、車両5のハンドル操作がされない、かつ、ウインカースイッチ41がオフされることによって生じる。第18遷移T18は、ウインカーオン状態Ut_onから車線変更状態Ulへの変化である。この第18遷移T18は、車両5のハンドル操作がされることによって生じる。第19遷移T19は、車線変更状態Ulから通常状態Unへの変化である。この第19遷移T19は、ウインカースイッチ41がオフされることによって生じる。なお、図37において、計測部63の始状態が黒丸で記載されている。
次に、図37の状態遷移図を参照して、計測部63による自車速度Vfおよび最大横加速度の計測について説明する。
ここでの計測部63の状態が通常状態Unであるとする。そして、ウインカースイッチ41がオンされる。このとき、ウインカースイッチ41がオンされるので、第16遷移T16が生じることにより、計測部63では、通常状態Unからウインカーオン状態Ut_onに状態が変化する。第16遷移T16が生じるとき、車両5が車線変更する可能性があるため、計測部63は、自車速度Vfおよび最大横加速度の計測を開始する。そして、車両5のハンドル操作がされることにより、車両5が車線変更する。このとき、車両5のハンドル操作がされるので、計測部63では、第18遷移T18が生じることにより、ウインカーオン状態Ut_onから車線変更状態Ulに状態が変化する。第18遷移T18が生じるとき、車両5が車線変更するため、計測部63は、自車速度Vfおよび最大横加速度の計測を継続する。そして、ウインカースイッチ41がオフされる。このとき、ウインカースイッチ41がオフされるので、計測部63では、第19遷移T19が生じることにより、車線変更状態Ulから通常状態Unに状態が変化する。第19遷移T19が生じるとき、車両5の車線変更が完了するため、計測部63は、自車速度Vfおよび最大横加速度の計測を終了する。なお、車両5のハンドル操作がされない、かつ、ウインカースイッチ41がオンからオフされるとき、ウインカーオン状態Ut_onから通常状態Unへの変化である第17遷移T17が生じる。第17遷移T17が生じるとき、車両5が車線変更されないため、計測部63は、自車速度Vfおよび最大横加速度の計測を中止する。
このようにして、計測部63により自車速度Vfおよび最大横加速度が計測される。そして、HCU64は、車両5の運転者毎に、この計測された自車速度Vfおよび最大横加速度を横加速度データIβとして集計する。
HCU64は、自車速度Vfと最大減速度とのプロットと同様に、図示はしないが、自車速度Vfとその自車速度Vfに対応する最大横加速度とをプロットする。また、HCU64は、自車速度Vfを所定の範囲の値に固定させたときの最大横加速度のヒストグラムを作成する。さらに、HCU64は、この最大横加速度のヒストグラムに対応するモデル分布を作成する。このモデル分布は、例えば、ガンマ分布である。また、HCU64は、このガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの最大横加速度と自車速度Vfとの近似曲線を作成する。これにより、HCU64は、自車速度Vfとその自車速度Vfに対応する最大横加速度との関係図を、横加速度データIβとして、作成する。なお、このガンマ分布の累積分布確率が所定値は、外乱により比較的大きい最大横加速度を除外するための値であって、例えば、最大横加速度の大きいほうから5%に設定されている。また、このガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの最大横加速度と自車速度Vfとの近似曲線は、例えば、log関数で表される。
次に、車両5の運転者毎のHCU64によるステップS102の横加速度データIβの更新および自車横加速度βfの抽出について説明する。
HCU64は、ステップS102において、計測部63によって計測された自車速度Vfおよび最大横加速度を取得する。また、HCU64は、この取得した自車速度Vfおよび最大横加速度を横加速度データIβに追加することにより、横加速度データIβを更新する。さらに、HCU64は、この更新したヒストグラムに基づいて、この最大横加速度のヒストグラムに対応するガンマ分布を更新する。また、HCU64は、このガンマ分布の累積分布確率が所定値となるときの最大横加速度と自車速度Vfとの近似曲線を更新する。これにより、車両5の運転者毎に、横加速度データIβが更新される。
また、HCU64は、この更新した横加速度データIβのうち、ステップS101にて取得した自車速度Vfに対応する最大横加速度を自車横加速度βfとして抽出する。
このようにして、車両5の運転者毎に、HCU64により、横加速度データIβの更新が行われる。この更新された横加速度データIβは、運転者データベース50に蓄積される。また、このようにして、HCU64により、自車横加速度βfが抽出される。この抽出された自車横加速度βfは、上記した表示距離Ldの算出に用いられる。
以上のように、表示制御装置62のHCU64および計測部63は、それぞれのROMに記憶されているプログラムを実行することにより、上記処理を行う。この表示制御装置62では、重畳表示される画像の有効性が向上する。以下では、この重畳表示される画像の有効性の向上について説明する。
本実施形態の表示制御装置62では、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrが、車両5が走行する道路に重畳表示される。なお、上記したように、相対移動領域Saは、相対移動距離Laで示される領域である。また、相対移動距離Laは、走行中の車両5のブレーキが効き始めてから車両5が停止するまでに、車両5の前方の障害物8に対して車両5が移動する距離である。さらに、相対移動距離Laは、走行中の車両5の車線変更の開始から完了までに、車両5の前方の障害物8に対して車両5が移動する距離も含む。相対拡大領域ΔSaは、移動伸長距離ΔLaで示される領域である。また、移動伸長距離ΔLaは、車両5が走行する道路の路面状態による相対移動距離Laの増加分である。空走領域Srは、空走距離Lrで示される領域である。また、空走距離Lrは、車両5の運転者が停止の必要を感じたときから、ブレーキ操作の開始を経て実際にブレーキが効き始めるまでに、車両5が移動する距離である。空走拡大領域ΔSrは、空走伸長距離ΔLrで示される領域である。また、空走伸長距離ΔLrは、車両5の運転者の漫然状態および視界状態による空走距離Lrの増加分である。
これにより、走行中の車両5が停止するまでに移動する距離の内訳が表示されるため、車両5の運転者は、車間距離Lpを確保すべき理由を知ることができる。また、車両5の運転者のブレーキを踏むタイミングがわかりやすくなるため、車両5の運転者は、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrが重畳表示されることへの納得感が高まる。したがって、重畳表示される画像の有効性が向上する。
また、表示制御装置62では、以下に説明するような効果も奏する。
図5に示すように、周辺環境センサ10により、車両5の前方の障害物8が検出されないとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrが重畳表示されない。これにより、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrが、常時、重畳表示されることを回避することができる。このため、車両5の運転者の煩わしさを低減することができる。
また、図13および図14に示すように、変化経過時間ΔTdが変化時間閾値ΔTd_th以下であるとき、表示領域Sdの表示が変化した理由が重畳表示される。そして、変化経過時間ΔTdが変化時間閾値ΔTd_thを超えるとき、表示領域Sdの表示が変化した理由が重畳表示されない。これにより、表示領域Sdの表示が変化した理由が、常時、重畳表示されることを回避することができる。このため、車両5の運転者の煩わしさを低減することができる。
(変形例1)
上記実施形態では、車両5の運転者は、車両5が走行する道路上において四角形状の相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrを視認することができる。これに対して、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrのそれぞれの形状は、限定されない。
例えば、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrは、図38に示すように、帯状であってもよい。また、この場合、車両5の運転者の煩わしさが低減するように、帯状の相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrは、車線85付近に表示されており、車線85に沿って延びている。
(変形例2)
上記実施形態では、表示領域Sdが重畳表示される画像の画角からはみ出すとき、図8に示すように、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの模様が変更される。これに対して、このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの模様が変更されることに限定されない。このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの色が変更されてもよい。
また、このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの形状が変更されてもよい。例えば、図39に示すように、表示領域Sdが重畳表示される画像の画角から空走拡大領域ΔSrがはみ出すとき、空走拡大領域ΔSrの四角形状が三角形形状に変更される。
このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrに添え字が表示されてもよい。例えば、図40に示すように、表示領域Sdが重畳表示される画像の画角から空走拡大領域ΔSrがはみ出すとき、空走伸長距離ΔLrが表示される。なお、図39および図40において、空走拡大領域ΔSrのうち視認できない領域が二点鎖線で示されている。
(変形例3)
障害物8が表示領域Sdに位置するとき、上記実施形態では、図9-図12に示すように、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの模様が変更される。これに対して、このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの模様が変更されることに限定されない。このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの色が変更されてもよい。
また、このとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの形状が変更されてもよい。例えば、図41に示すように、障害物8が空走拡大領域ΔSrに位置するとき、空走拡大領域ΔSrが四角形状から帯状に変更される。また、図42に示すように、障害物8が空走領域Srに位置するとき、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrが四角形状から帯状に変更される。さらに、図43に示すように、障害物8が相対拡大領域ΔSaに位置するとき、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrが四角形状から帯状に変更される。また、図44に示すように、障害物8が相対移動領域Saに位置するとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrが四角形状から帯状に変更される。
(変形例4)
車両5の右ウインカーを点滅させるためのウインカースイッチ41がオンされるとき、相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの形状が変更されてもよい。例えば、図45に示すように、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの形状が、車両5が車線85に沿って走行するときの車両5の軌跡となる形状から、車両5の右側に車線変更するときの軌跡となる形状に変更される。
(変形例5)
上記したように、ACCスイッチ42がオンされるとき、車両5は、自動運転する。このため、空走距離Lrおよび空走伸長距離ΔLrは、ゼロである。したがって、このとき、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrは、重畳表示されない。しかし、相対移動領域Saおよび相対拡大領域ΔSaは、重畳表示される。この相対移動領域Saおよび相対拡大領域ΔSaの重畳表示を強調するため、ACCスイッチ42がオンされるとき、相対移動領域Saおよび相対拡大領域ΔSaの態様が変更されてもよい。例えば、ACCスイッチ42がオンされており、車両5が、車両5と障害物8との接触が回避されるように車両5のブレーキ操作が自動で行われる制御状態であるとする。このとき、図46に示すように、相対移動領域Saおよび相対拡大領域ΔSaが斜線ハッチングから網掛けハッチングに変更される。また、例えば、相対移動領域Saおよび相対拡大領域ΔSaの色および形状等が変更されてもよい。
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
本開示に記載の制御部等およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部等およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
(1)上記実施形態では、車両5の前端から前方に向かって相対移動領域Sa、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの順に並ぶように、表示領域Sdが重畳表示される。これに対して、相対拡大領域ΔSa、空走領域Srおよび空走拡大領域ΔSrの順番は、限定されない。例えば、図47に示すように、車両5の前端から前方に向かって空走領域Sr、空走拡大領域ΔSr、相対移動領域Saおよび相対拡大領域ΔSaの順に並ぶように、表示領域Sdが重畳表示されてもよい。
(2)上記実施形態では、運転者データベース50は、車両5内に配置されている。これに対して、運転者データベース50は、車両5内に配置されることに限定されないで、車両5外に配置されてもよい。
(3)上記実施形態では、HCU64は、現在の制御周期の直前における表示領域Sdの表示から現在の制御周期の表示領域Sdの表示への変化が生じたとき、この変化の理由を重畳表示させる。例えば、車両5が走行する道路の路面状態が湿潤したとする。このとき、相対拡大領域ΔSaが表示される。また、このとき、図48に示すように、表示領域Sdが変化したとき理由として、「路面湿潤」という文字が相対拡大領域ΔSa内に重畳表示される。また、HCU64による減速度データIαの更新により、自車減速度αfが変化したとする。このとき、図48に示すように、自車減速度αfが変化した理由として、変化後の自車減速度αfが相対移動領域Sa内に重畳表示される。なお、図48において、例えば、HCU64による更新後の自車減速度αfを示すために、「ブレーキ 0.13G」が相対移動領域Sa内に重畳表示されている。